【実施例】
【0054】
[実施例1:固形分が43%であるウェットケーキを用いたコロイド状のMCC:CMCの作成]
MCCのウェットケーキは、(アメリカ合衆国のデラウェア州のニューアークにある)エフ・エム・シーの設備で酸加水分解処理して得られた。該ウェットケーキは、固形分レベルが43%になるまで脱水された。ホバートミキサー(Hobart mixer)中で、MCCのウェットケーキは、(アメリカ合衆国のデラウェア州のウィルミントンにあるアッシュランド社製の)アクアロン(Aqualon(登録商標))7LF・CMCとともに、85重量部:15重量部の比率で数分間混合された。混合物は、共同方向回転二軸押出機に数回通されて、制作物の十分な特徴・外形にされた。次に、MCC:CMCの押し出し成形物は、脱イオン水中に分散された。得られたスラリーは、マントン・ガウリン・ホモジナイザー(Manton Gaulin homogenizer)に2500〜3000psiで通されて、粉末を形成するために、3フィートのボーエン(Bowen)の噴霧乾燥機で噴霧乾燥された。
【0055】
乾燥後のMCC:CMCの粉末が、2.6%の固形分濃度で脱イオン水中に再分散された場合、常温において、その初期のブルックフィールド粘度は2350cpsであり、24時間後のセットアップ時の粘度は7200cpsであった。固形分が2.6%の分散体が24時間後のセットアップ時にテキサス・インスツルメント製のレオメーターで測定された場合、そのゲル強度G’は68Paであった。コロイド含量は90%であった。これは、水分散体を8250rpmで15分間遠心分離した後、乾燥後の上澄み部を重量分析して測定された。
【0056】
[実施例2:固形分が43%であるウェットケーキを用いたコロイド状のMCC:CMCの作成]
微結晶セルロースのウェットケーキは、(アメリカ合衆国のデラウェア州のニューアークにある)エフ・エム・シーの設備で酸加水分解処理して得られた。MCCのウェットケーキの固形分は、実験室の乾燥炉を用いて43%に調整された。ホバートミキサー(Hobart mixer)中で、MCCのウェットケーキは、(アメリカ合衆国のデラウェア州のウィルミントンにあるアッシュランド社製の)アクアロン(Aqualon(登録商標))7LF・CMCとともに、85重量部:15重量部の比率で数分間混合された。混合物は、高い押し出し成形強度で、共同方向回転二軸押出機に数回通された。次に、MCC:CMCの押し出し成形物は、脱イオン水中に再分散された。得られたスラリーは、マントン・ガウリン・ホモジナイザー(Manton Gaulin homogenizer)に2500〜3000psiで通されて、粉末を形成するために、3フィートのボーエン(Bowen)の噴霧乾燥機で噴霧乾燥された。
【0057】
乾燥後のMCC:CMC粉末が、2.6%の固形分濃度で脱イオン水中に再分散された場合、常温において、その初期のブルックフィールド粘度は1521cspであり、24時間後のセットアップ時の粘度は5900cpsであった。固形分が2.6%の分散体が24時間後のセットアップ時にテキサス・インスツルメント製のレオメーターで測定された場合、そのゲル強度G’は60Paであった。コロイド含量は93%であった。
【0058】
[(比較)例3:固形分が40%のウェットケーキコロイド状のMCC:CMCの作成]
微結晶セルロースのウェットケーキは、酸加水分解処理して得られた。MCCのウェットケーキの固形分は、実験室の乾燥炉を用いて40%に調整された。ホバートミキサー(Hobart mixer)中で、MCCのウェットケーキは、(アメリカ合衆国のデラウェア州のウィルミントンにあるアッシュランド社製の)アクアロン(Aqualon(登録商標))7LF・CMCとともに、85重量部:15重量部の比率で数分間混合された。混合物は、共同方向回転二軸押出機に数回通された。次に、MCC:CMCの押し出し成形物は、脱イオン水中に分散された。得られたスラリーは、マントン・ガウリン・ホモジナイザー(Manton Gaulin homogenizer)に2500〜3000psiで通されて、粉末を形成するために、3フィートのボーエン(Bowen)の噴霧乾燥機で噴霧乾燥された。
【0059】
乾燥後のMCC:CMC粉末が、2.6%の固形分濃度で脱イオン水中に再分散された場合、常温において、その初期のブルックフィールド粘度は720cpsであり、24時間後のセットアップ時の粘度は2400cpsであった。固形分が2.6%の分散体が24時間後のセットアップ時にテキサス・インスツルメント製のレオメーターで測定された場合、そのゲル強度G’は10〜12Paであった。コロイド含量は77.7%であった。
【0060】
[実施例4:共摩耗される、乾燥したコロイド状のMCC粉末、MCCウェットケーキ、およびCMC]
以下の材料が混合された。(1)40lbのアヴィセル(AVICEL(登録商標))612の乾燥粉末(MCCが85%、LVF・CMCが15%であり、バルク乾燥されたもの)、(2)50lbの7LVF・CMCの乾燥粉末(スウェーデンのステヌングスンド(Stenungsund)にあるアクゾノーベル(AkzoNobel)製)、および(3)固形分が41%存在する状態の561lbのMCCのウェットケーキ(乾物基準で230lb)。MCCのウェットケーキは、酸加水分解処理して得られた。混合物は、高い押し出し成形強度で、共同方向回転二軸押出機に数回通された。次に、MCC:CMCの押し出し成形物はバルク乾燥(流動層)され、粉砕されて粉末に形成された。
【0061】
乾燥後のMCC:CMCの製品粉末(MMCが82.5%、CMCが17.5%)が、2.6%の固形分濃度で脱イオン水中に再分散された場合、分散体は、常温において、初期のブルックフィールド粘度が1600cpsであり、24時間後のセットアップ時の粘度は6400cpsであった。固形分が2.6%の分散体が24時間後のセットアップ時にテキサス・インスツルメント製のレオメーターで測定された場合、そのゲル強度G’は35Paであった。コロイド含量は76%であった。
【0062】
乾燥したアヴィセル(AVICEL(登録商標))CL612粉末を使用すると、押し出し成形中の固形分レベルは増加し、この特定のケースでは、固形分の総量の範囲は、55〜66%になる。MCCの固形分の部分は、初期のウェットケーキ中において固形分が41%を占める状態から、得られるMCC:CMCの混合押し出し成形物中において固形分であるMCCが44%を占める状態まで増加される。
【0063】
[実施例5:押し出し成形/摩耗強度を増加するために延長されるMCCの処理時間]
MCCのウェットケーキは、濃度が2.5%の塩酸を用いて、100℃で24時間酸加水分解されて得られた。この延長された酸加水分解処理により得られたMCCのウェットケーキは固形分レベルが40%であり、7LF・CMC(アッシュランド製)とともに、85:15の重量比で共押し出し成形された。次に、押し出し成形物は分散され、噴霧乾燥されて、製品粉末に形成された。
【0064】
乾燥後のMCC:CMCの製品粉末が、2.6%の固形分濃度で脱イオン水中に再分散された場合、製品粉末が分散された溶液は、常温において、初期のブルックフィールド粘度が2500cpsであり、24時間後のセットアップ時の粘度は5500cpsであった。固形分が2.6%の分散体が24時間後のセットアップ時にテキサス・インスツルメント製のレオメーターで測定された場合、そのゲル強度G’は70Paであった。コロイド含量は88%であった。
【0065】
[実施例6:固形分が45%であるMCCのウェットケーキと、置換度が低い低粘度および中粘度のCMCの混合物との押し出し成形]
微結晶セルロースのウェットケーキは、酸加水分解処理して得られた。MCCのウェットケーキの固形分は、実験室の乾燥炉を用いて45%に調整された。ホバートミキサー(Hobart mixer)中で、MCCのウェットケーキは、(アメリカ合衆国のデラウェア州のウィルミントンにあるアッシュランド社製の)アクアロン(Aqualon(登録商標))7LF・CMCおよび7MF・CMCの混合物とともに、それぞれ88重量部:8重量部:4重量部の比率で数分間混合された。混合物は、高い押し出し成形強度で共同方向回転二軸押出機に数回通された。次に、MCC:CMCの押し出し成形物は、脱イオン水中に再分散された。得られたスラリーは、粉末を形成するために、3フィートのボーエン(Bowen)の噴霧乾燥機で噴霧乾燥された。
【0066】
乾燥後のMCC:7LF・CMC:7MF・CMCの粉末が、2.6%の固形分濃度で脱イオン水中に再分散された場合、粉末が分散された溶液は、常温において、初期のブルックフィールド粘度が3100cpsであり、24時間後のセットアップ時の粘度は5050cpsであった。固形分が2.6%の分散体が24時間後のセットアップ時にテキサス・インスツルメント製のレオメーターで測定された場合、そのゲル強度G’は68Paであった。
【0067】
[実施例7:置換度が低い中粘度のCMCを含むMCC/CMCの押し出し成形物の長期の押し出し成形]
MCCのウェットケーキは、置換度が低い中粘度のCMCとともに押し出し成形されて、押し出し成形物が形成された後、該押し出し成形物は、噴霧乾燥され、粉末組成物に形成された。レオロジー特性は、先の段落の「比較対象の材料3」に記載されたようなものであった。この製品のゲル強度G’は、固形分が2.6%存在する分散体において、約30Paの範囲であった。これは、比較試料である。
【0068】
本発明の範囲内の実験として、上述の(噴霧乾燥前の)押し出し成形物は、さらに、実験室の共同方向回転二軸押出機において、もう一度の工程によって押し出し成形された。次に、さらに押し出し成形された、このMCC:CMCの押し出し成形物は、脱イオン水中に再分散された。得られたスラリーは、粉末を形成するために、3フィートのボーエン(Bowen)の噴霧乾燥機で噴霧乾燥された。この粉末が、2.6%の固形分濃度で脱イオン水中に再分散された場合、粉末が分散された溶液は、常温において、初期のブルックフィールド粘度が3700cpsであり、24時間後のセットアップ時の粘度は7000cpsであった。固形分が2.6%の分散体が24時間後のセットアップ時にテキサス・インスツルメント製のレオメーターで測定された場合、そのゲル強度G’は70Paであった。コロイド含量は81.7%であった。
【0069】
[実施例8:MCCのウェットケーキと置換度が低い低粘度のCMCとの長期の押し出し成形]
微結晶セルロースのウェットケーキは、酸加水分解処理して得られ、ウェットケーキの固形分は約43%であった。MCCのウェットケーキは、アクアロン(Aqualon(登録商標))7LF・CMC(アメリカ合衆国のデラウェア州のウィルミントンにあるアッシュランド社製)と、85重量部:15重量部の比率で混合され、高い押し出し成形強度で押し出された。次に、MCC:CMCの押し出し成形物は、脱イオン水中に分散され、粉末を形成するために、3フィートのボーエン(Bowen)の噴霧乾燥機で噴霧乾燥された。
【0070】
乾燥後のMCC:CMCの製品粉末が、2.6%の固形分濃度で脱イオン水中に再分散された場合、製品粉末が分散された溶液は、常温において、初期のブルックフィールド粘度が1400cpsであり、24時間後のセットアップ時の粘度は5150cpsであった。固形分が2.6%の分散体が24時間後のセットアップ時にテキサス・インスツルメント製のレオメーターで測定された場合、そのゲル強度G’は37Paであった。コロイド含量は86%であった。これは、本発明の実施例である。
【0071】
本発明の付加的な実験として、上述の(噴霧乾燥前の)押し出し成形物は、さらに、実験室の共同方向回転二軸押出機において、もう一度の工程によって押し出し成形された。次に、さらに押し出し成形された、このMCC:7LF・CMCの押し出し成形物は、脱イオン水中に再分散された。得られたスラリーは、粉末を形成するために、3フィートのボーエン(Bowen)の噴霧乾燥機で噴霧乾燥された。この粉末が、2.6%の固形分濃度で脱イオン水中に再分散された場合、粉末が分散された溶液は、常温において、初期のブルックフィールド粘度が2400cpsであり、24時間後のセットアップ時の粘度は6900cpsであった。固形分が2.6%の分散体が24時間後のセットアップ時にテキサス・インスツルメント製のレオメーターで測定された場合、そのゲル強度G’は60Paであった。コロイド含量は96.3%であった。
【0072】
食品用途(FA)の実施例
[実施例FA1:超高温処理法(UHT)によるチョコレート飲料]
・材料および方法
UHTによるチョコレート飲料の試料は、A)実施例1〜2に記載されるような置換度が低く、低粘度のCMCを基体とする、0.12%の高ゲル粘度のコロイド状のMCCと、120ppmのカラギーナンと、の混合物、B)材料1に記載されるような置換度が低く、低粘度のCMCを基体とする、0.12%の市販のコロイド状のMCCと、120ppmのカラギーナンと、を組み合わせたもの、C)材料2に記載される置換度が高いCMCを基体とする、0.12%の市販のコロイド状のMCCと、120ppmのカラギーナンと、を組み合わせたもの、を用いて調製された。各組成を表FA1.1に示す。
【0073】
【表FA1.1】
【0074】
(加工)
全ての粉末は、乾燥状態で共に混ぜられ、高剪断混合機(例えば、シルバーソン(Silverson)型またはそれに相当するもの)を用いて、低温殺菌済みの牛乳中に約15分間混合された。製品は、最初に、75℃で45秒間予備加熱された後、UHTライン(APV−SPX型またはそれに相当するもの)中において、142℃で5秒間殺菌された。次に、製品は、70〜80℃まで冷却され、ラニー(Rannie)社製のホモジナイザーに、二段階目の圧力が180barになる条件で通された。最後に、混合物は10℃に冷却され、無菌の瓶に無菌状態で入れられた。
【0075】
得られる材料の安定性指標(Stability index)は、タービスカン(Turbiscan)装置を用いて測定された。製品は、880nmの近赤外の光のビームを用いてスキャンされた。つまり、後方散乱または透過率が、小さな間隔(各40μmごとに1スキャン)で試料に沿って記録された。後方散乱の変化は、粒子の粒径または濃度の変化を示した。
【0076】
(タービスカン(Turbiscan)測定前の試料の準備)
1.タービスカンのガラス管を以下のように準備した。つまり、無菌の組織を管内に配置し、管をアルミ箔で覆う。ふたを構成する3個の異なる部品を組み立てて、ふたをアルミ箔で覆う。
2.128℃で20分間、覆われた管およびふたをオートクレーブ中で殺菌する。
3.製品をタービスカンの管に移動する前に、無菌のフローキャビネットを30分オン状態にする。試料は、最初に常温に達するであろう(試料が冷蔵庫にあったものである場合、試料は30分間調節されるであろう)。
4.管のラベルを準備し、コンピュータ(タービスカンのソフトウェア)をセットアップし、AGSステーションを30℃にする。
5.無菌のフローキャビネットの下に、全ての材料、つまり、無菌のタービスカンの管、ラベルを貼られたふた、無菌のピペット、および試料を準備する。
6.移動の直前に、無菌溶液を用いて手を綺麗にし、各試料を緩やかに振とうする(上下逆さまに5回)。
7.試料瓶を開けて、25mlの無菌のピペットを用いて、直ぐにタービスカンの管に移動し、ふたを閉める。
8.直ぐに、AGSステーション中に管を挿入し、スキャンを開始する。スキャンを開始する前に、最高で3個の試料を一度に移動する。
【0077】
視覚的なパラメータおよび尺度を表FA1.2に記載する。タービスカン測定は、30℃で5日間に渡って1時間ごとに1回行われた。
【0078】
【表FA1.2】
【0079】
(試料の評価)
4℃、22℃、および30℃で1ヶ月保管した後のpH、粘度、および視覚的な観察の結果を表FA1.3に記載する。pHは、校正されたpHメータ(イノラボ(Inolab)製)を用いて測定された。粘度は、常温にて、ブルックフィールドLV粘度計を用い、1番のスピンドルを用いて、速度を1分間60rpmにして測定された。
【0080】
【表FA1.3】
【0081】
タービスカン装置を用い30℃で測定した5日後の安定性指標の結果(1時間ごとに1スキャン)を、表FA1.4に記載する。
【0082】
【表FA1.4】
【0083】
(結論)
試料Aは、視覚上、4℃、22℃、および30℃で1ヶ月間安定であり、漿液の分離がないか、またはほんの僅かであり、ココアの沈降がないか、またはほんの僅かであり、ゲル化されていないか、またはゲル化は最小であった。試料Aの安定性指標の低さ(つまり、粒子濃度の安定性が良好であること)は、視覚的な観察を裏付けるものであり、6ヶ月の長期間に渡る安定性を示唆した。試料A(本発明)は、優れた性能を示した。
【0084】
[実施例FA2:濃縮ラズベリーを基体とし、ブリックスが40°および50°である加熱時に安定なフルーツの詰め物]
試料は、A)実施例1〜2に記載されるような置換度が低く、低粘度のCMCを基体とし、エフ・エム・シーで製造される適用量範囲の高ゲル粘度のコロイド状のMCC、およびB)材料3に記載されるような適用量範囲の市販のコロイド状のMCC(アヴィセル(AVICEL(登録商標))RC591)を用いて調製された。
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】
(加工)
コロイド状のMCC、他の乾燥粉末、および水分は別個に量り分けられた。最初に、シルバーソン(Silverson)の混合機または等価なものを用いて、コロイド状のMCCを10分間高剪断混合して、水中に分散した。次に、グルコースシロップを40℃で前以て加熱し、他の乾燥粉末とともに、前述の混合物に加えた。次に、該製品を緩やかに混合しながら、水浴中で90℃まで加熱した。次に、フルーツの濃縮物を加え、滑らかになるまで混合した。最後に、クエン酸を加え、滑らかになるまで混合し、該製品を適当な容器内に高温状態で入れた。
【0088】
(加熱安定性試験)
加熱安定性は、保形性を測定することにより判定された。保形性は、所与の温度で一定量の時間加熱後に、初期の形状および容積を保持するフルーツを入れた調合物の能力として定義される。製パン用のオーブンは、200℃まで前以て加熱された。カップ(30ml)を試料製品で満たした。30mlのカップから得られる充填物は、オーブンプレートの製パン用のシート上にある紙シートの同心円の中央部に置かれた。プレートはオーブンの中央部に配置された。同心円の16本の軸上での材料の幅広がりは、加熱前と加熱後に記録された。充填物は、200℃で10分間加熱された。材料の幅広がりの平均値が、百分率として計算された(つまり、加熱前の平均値と加熱後の平均値)。
【0089】
(試料の評価)
加熱安定性の結果を表FA2.1および表FA2.2に記載する。
【0090】
【表FA2.1】
【0091】
【表FA2.2】
【0092】
(結論)
本発明の試料Aは、使用レベルが1%よりも高い場合に、良好から極めて良好までの加熱安定性(つまり、幅の広がりの%が小さい)を示した。
【0093】
[実施例FA3:カルシウムが多い還元乳]
(材料および方法)
試料は、カルシウムが多いUHT処理済みの還元乳中に、A)実施例1に記載されるような置換度が低い、低粘度のCMC(固形分が43%存在する)を基体とする、0.3%の高ゲル粘度のコロイド状のMCC、比較としてB)材料2に記載されるような置換度が高いCMCを基体とする、0.3%の市販のコロイド状のMCCを用いて調製された。組成を表FA3.1に示す。
【0094】
【表FA3.1】
【0095】
(加工)
粉ミルクが、45℃〜50℃で水中に添加され、製品は勢いよく20分間混合された。次に、還元乳は60℃〜65℃で加熱された。
【0096】
炭酸カルシウムおよびコロイド状のMCCが、乾式混合され、勢いよく5分間混合される間に前記還元乳に添加された。pHが調べられ記録された。必要に応じて、pHが6.70〜6.80になるように、リン酸二ナトリウムの緩衝液が加えられた。次に、製品は70℃まで予備加熱され、二段階目の圧力が200barになる条件でホモジナイザーに通された。製品は、90℃で30秒間加熱された後、140℃まで10秒間で加熱された。最後に、製品は、20℃〜25℃に冷却され、無菌の瓶に入れられた。粘度は、常温において、ブルックフィールドDV−II+粘度計を用いて、速度を1分間30rpmにして測定された。
【0097】
(試料の評価)
22℃において、40日間保管後の粘度および視覚的な観察の結果を表FA3.2に示す。
【0098】
【表FA3.2】
【0099】
(結論)
試料Aは、視覚上、22℃において、40日間安定であり、カルシウムの沈降はなく、粘度が最小であった。
【0100】
[実施例FA4:レトルトのチョコレートミルク]
(材料および方法)
レトルトのチョコレートミルクの試料は、A)実施例1および2に記載されるような置換度が低く、分子量が小さいCMCを基体とする、0.2%の高ゲル粘度のコロイド状のMCC、比較対象としてB)材料2に記載されるような置換度が高いCMCを基体とする、0.2%の市販のコロイド状のMCCを用いて調製された。組成を表FA4.1に示す。
【0101】
【表FA4.1】
【0102】
(加工)
粉ミルクが、45℃〜50℃で水に加えられ、製品は勢いよく20分間混合された。次に、還元乳は、60℃〜65℃まで加熱された。炭酸カルシウムおよびコロイド状のMCCが、乾式混合され、勢いよく5分間混合される間に前記還元乳に添加された。pHが調べられ記録された。必要に応じて、pHが6.70〜6.80になるように、リン酸二ナトリウムの緩衝液が加えられた。次に、製品は70℃まで予備加熱され、二段階目の圧力が200barになる条件でホモジナイザーに通された。製品が缶に入れられ封止された。最後に、製品は、121℃で20分間、ロータリレトルト処理された。粘度は、常温において、ブルックフィールドDV−II+粘度計を用いて、スピンドルをS00にし、速度を1分間30rpmにして測定された。
【0103】
(試料の測定)
22℃において、1ヶ月保管後の粘度および視覚的な観察の結果を表FA4.2に示す。
【0104】
【表FA4.2】
【0105】
(結論)
試料Aは、視覚上、22℃において、1ヶ月間安定であり、ココアの沈降はなく、粘度が最小であった。
(付記1)
a.微結晶セルロース、および、
b.低粘度であって、置換度が約0.45〜約0.85である水溶性のカルボキシメチルセルロース、を含む安定化剤組成物であって、
前記微結晶セルロースと前記カルボキシメチルセルロースとの重量比は、約95:5〜約70:30であり、
2.6%の固形分濃度で水中に分散した場合、前記安定化剤組成物の初期の粘度は少なくとも750cpsであり、セットアップ時の粘度は少なくとも2900cpsであり、
セットアップ時のゲル強度G’は少なくとも20Paである、
安定化剤組成物。
(付記2)
前記カルボキシメチルセルロースは、カルボキシメチルセルロースのアルカリ金属塩である、
付記1の安定化剤組成物。
(付記3)
前記カルボキシメチルセルロースは、カルボキシメチルセルロースナトリウムである、
付記2の安定化剤組成物。
(付記4)
前記カルボキシメチルセルロースの置換度は、0.45〜0.80である、
付記3の組成物。
(付記5)
前記カルボキシメチルセルロースの置換度は、約0.7である、
付記4の組成物。
(付記6)
前記初期の粘度は、750cps〜3000cpsである、
付記1の組成物。
(付記7)
前記セットアップ時の粘度は、3000cps〜7200cpsである、
付記1の組成物。
(付記8)
前記セットアップ時のゲル強度G’は、30Pa〜100Paである、
付記1の組成物。
(付記9)
a)微結晶セルロース、および、
b)中粘度であって、置換度が0.45〜0.85である水溶性のカルボキシメチルセルロースを、含む安定化剤組成物であって、
前記微結晶セルロースと前記カルボキシメチルセルロースとの重量比は、約95:5〜約70:30であり、
2.6%の固形分濃度で水中に分散した場合、前記安定化剤組成物の初期の粘度は、少なくとも1000cpsであり、セットアップ時の粘度は、少なくとも3500cpsであり、セットアップ時のゲル強度G’は少なくとも40Paである、
安定化剤組成物。
(付記10)
前記カルボキシメチルセルロースは、カルボキシメチルセルロースのアルカリ金属塩である、
付記9の組成物。
(付記11)
前記カルボキシメチルセルロースのアルカリ金属塩は、カルボキシメチルセルロースナトリウムである、
付記10の安定化剤組成物。
(付記12)
前記カルボキシメチルセルロースの置換度は、0.45〜0.80である、
付記10の組成物。
(付記13)
前記カルボキシメチルセルロースの置換度は、約0.70である、
付記12の組成物。
(付記14)
前記セットアップ時のゲル強度は、45Pa〜100Paである、
付記9の組成物。
(付記15)
前記セットアップ時の粘度は、3500cps〜7200cpsである、
付記9の組成物。
(付記16)
前記初期の粘度は、1000cps〜3000cpsである、
付記9の組成物。
(付記17)
前記微結晶セルロースと前記カルボキシメチルセルロースとの重量比は、約85:15である、
付記1または9に記載の組成物。
(付記18)
付記1または9の安定化剤組成物を含む、食用に適する食品製品。
(付記19)
さらに、フルーツ、野菜、穀物、ナッツ、肉、および酪農食品からなる群から選ばれる少なくとも1種の食品を含む、
付記18の食品製品。
(付記20)
エマルション、飲料、ソース、スープ、シロップ、ドレッシング、フィルム、冷菓、発酵食品、パンの詰め物、パンのクリーム、超高温およびレトルト加工されたタンパク質および栄養補助飲料、超高温加工されたpHが低いタンパク質系の飲料、超高温加工されたカルシウム強化飲料、高温およびレトルト加工されたミルククリーム、含気酪農食品系、および含気非酪農食品系の形態を取る、
付記19の食品製品。
(付記21)
付記1または付記9の組成物を含む、工業用懸濁液であって、
前記工業用懸濁液は、医薬品製品、栄養補助製品、化粧品製品、パーソナルケア製品、消費製品、農業用製品、または化学製剤で使用するのに適する、
工業用懸濁液。
(付記22)
前記カルボキシメチルセルロースは、カルボキシメチルセルロースナトリウムである、
付記21の工業的用懸濁液。
(付記23)
a)少なくとも42%の固形分を有する微結晶セルロースのウェットケーキと、低粘度または中粘度であって、置換度が約0.45〜0.85である水溶性のカルボキシメチルセルロースとを、前記微結晶セルロースと前記カルボキシメチルセルロースとの重量比が約95:5〜約70:30となるように混合するステップ、
b)ステップa)の混合物を、高剪断および高圧縮下で押し出し成形するステップ、および、
c)ステップb)の押し出し成形された製品を乾燥するステップ、を含む、
付記1または付記9の安定化剤組成物を作成する方法。
(付記24)
前記MCCのウェットケーキの固形分は、42.5%〜50%である、
付記25の方法。
(付記25)
前記乾燥ステップcは、噴霧乾燥、流動層乾燥、フラッシュ乾燥、またはバルク乾燥によるものである、
付記23の方法。
(付記26)
ゲル強度G’が改良された安定化剤組成物を作成する方法であって、
前記方法は、
a)i.微結晶セルロースのウェットケーキ、
ii.乾燥したコロイド状の微結晶セルロース、および、
iii.置換度が0.45〜0.85である水溶性のカルボキシメチルセルロースを混合するステップであって、ステップa)後の前記微結晶セルロースと前記カルボキシメチルセルロースとの重量比が約95:5〜約70:30となり、a)iおよびa)iiのMCCの固形分の総量が少なくとも42%となるように混合するステップ、
b)ステップa)の混合物を押し出し成形するステップ、および、
c)ステップb)の押し出し成形された製品を、乾燥するステップ、を含み、
2.6%の固形分濃度で脱イオン水中に分散した場合、ステップc)の製品の初期の粘度は少なくとも750cpsであり、24時間後のセットアップ時の粘度は少なくとも2900cpsであり、ゲル強度G’は少なくとも35Paである、
安定化剤組成物を作成する方法。
(付記27)
a)iおよびa)iiのMCCの固形分の総量は、42.5%〜50%である、
付記26の方法。
(付記28)
前記乾燥ステップcは、噴霧乾燥、流動層乾燥、フラッシュ乾燥、またはバルク乾燥によるものである、
付記26の方法。