特許第6158233号(P6158233)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6158233
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】RFベースバンド・ビームフォーミング
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/08 20060101AFI20170626BHJP
   H04B 7/10 20060101ALI20170626BHJP
   H01Q 3/42 20060101ALI20170626BHJP
【FI】
   H04B7/08 D
   H04B7/10 A
   H01Q3/42
【請求項の数】15
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-558976(P2014-558976)
(86)(22)【出願日】2013年2月27日
(65)【公表番号】特表2015-513260(P2015-513260A)
(43)【公表日】2015年4月30日
(86)【国際出願番号】US2013028105
(87)【国際公開番号】WO2013130675
(87)【国際公開日】20130906
【審査請求日】2016年2月2日
(31)【優先権主張番号】13/406,282
(32)【優先日】2012年2月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595020643
【氏名又は名称】クゥアルコム・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】リン、サイファ
【審査官】 佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−530240(JP,A)
【文献】 特開2012−034110(JP,A)
【文献】 特開平06−120990(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0072389(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/08
H01Q 3/42
H04B 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のミキサと、各ミキサは、直交信号および同相信号のうちの少なくとも1つを伝達するように構成される、
前記同相信号のうちの少なくとも1つがコサイン波と混合され、前記同相信号のうちの前記少なくとも1つの別の1つがサイン波と混合される点において、および、前記直交信号のうちの少なくとも1つがサイン波と混合され、前記直交信号のうちの前記少なくとも1つの別の1つがコサイン波と混合される点において、前記複数のミキサの各々の出力に結合され、回転された同相信号および回転された直交信号のうちの少なくとも1つを生成するために、前記直交信号および前記同相信号のうちの前記少なくとも1つのエンベロープをキャリア信号と無関係に回転するために構成された少なくとも1つのRF位相回転器と
を備えるビームフォーミングのためのデバイス。
【請求項2】
前記複数のミキサは、4つのミキサである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
複数のフィルタをさらに備え、ここで、前記複数のフィルタの各フィルタは、前記複数のミキサのうちの2つのミキサに出力信号を供給する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記少なくとも1つのRF位相回転器のうちのRF位相回転器に出力信号を供給する複数のドライバ増幅器をさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記少なくとも1つのRF位相回転器の各RF位相回転器は、アンテナ経路に関連付けられる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記少なくとも1つのRF位相回転器の各RF位相回転器は、
複数の入力信号を受信するための第1の複数のスイッチと、
所望の象限を選択するために構成された第2の複数のスイッチと
を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記デバイスの出力において回転された信号を供給するための第3の複数のスイッチをさらに備える、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記RF位相回転器は、前記第1の複数のスイッチに電流を供給する定電流ソースおよび可変電流ソースのうちの1つをさらに備える、請求項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記第1の複数のスイッチおよび前記第2の複数のスイッチの各スイッチは、トランジスタである、請求項6に記載のデバイス。
【請求項10】
前記第1の複数のスイッチの各スイッチは、デジタル/アナログ変換器から入力信号を受信する、請求項6に記載のデバイス。
【請求項11】
RF位相回転器において直交信号および同相信号のうちの少なくとも1つを受信することと、
前記同相信号のうちの少なくとも1つがコサイン波と混合され、前記同相信号のうちの前記少なくとも1つの別の1つがサイン波と混合される点において、および、前記直交信号のうちの少なくとも1つがサイン波と混合され、前記直交信号のうちの前記少なくとも1つの別の1つがコサイン波と混合される点において、回転された直交信号および回転された同相信号のうちの少なくとも1つを生成するために、前記直交信号および前記同相信号のうちの前記少なくとも1つのエンベロープをキャリア信号と無関係に回転することと
を備えるビームフォーミングのための方法。
【請求項12】
所望の象限を選択するために、制御信号を1つまたは複数のスイッチに伝達することをさらに備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記回転することは、前記RF位相回転器の電流ソースを変化させることを備える、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
直交信号および前記同相信号のうちの前記少なくとも1つをベースバンドにダウンコンバートすることと、
回転された直交信号および前記回転された同相信号のうちの前記少なくとも1つを生成するために、ベースバンドで直交信号および前記同相信号のうちの前記少なくとも1つを回転することと、および、好ましくは、複数のスイッチのうちのスイッチに、ダウンコンバートされた直交信号およびダウンコンバートされた同相信号のうちの少なくとも1つを伝達することをさらに備えること
を備える請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記回転することは、前記回転された直交信号または前記回転された同相信号を備える1つまたは複数の出力信号を選択するために、複数のスイッチのうちの少なくとも1つのスイッチに制御信号を伝達することを備える、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、一般的にはビームフォーミングに関する。より具体的には、本発明は、ミリメートル波アプリケーションにおけるRFビームフォーミングのためのシステム、デバイス、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 当業者によって理解されるように、ミリメートル波アプリケーションにおけるビームフォーミングは、多くの課題を提示する。一例として、60GHz信号は、約1メートルの距離において、2.4GHz信号よりも約20dB多くの損失を有しうる。損失の問題に対する1つの解決策は、電力増幅器の出力電力を増大させることを含みうる。しかしながら、この解決策は、低い供給電圧、低い降伏電圧、損失性基板(lossy substrate)、低いQ(low-Q)の受動コンポーネント、およびCMOSトランジスタの低い真性利得(intrinsic gain)によって制限されうる。
【0003】
[0003] ミリメートル波アプリケーションにおけるビームフォーミングを向上させる方法、システム、およびデバイスの必要性がある。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1図1は、様々なビームフォーミング・アレイ・アーキテクチャを図示する。
図2A図2Aは、本発明の典型的な実施形態による、指向性の信号送信のために構成されたデバイスを例示する。
図2B図2Bは、本発明の典型的な実施形態による、送信機ユニットと受信機ユニットとを含むデバイスを例示する。
図3図3は、本発明の典型的な実施形態による、位相シフタを例示する。
図4A図4Aは、本発明の典型的な実施形態による、電圧入力を有する別の位相シフタを例示する。
図4B図4Bは、本発明の典型的な実施形態による、電流入力を有する図4Aの位相シフタを例示する。
図5A図5Aは、本発明の典型的な実施形態による、電圧入力を有するなお別の位相シフタを例示する。
図5B図5Bは、本発明の典型的な実施形態による、電流入力を有する図5Aの位相シフタを例示する。
図6図6は、回転される前の同相および直交(quadrature)のデータを図示するプロットである。
図7図7は、90度回転された後の図8の同相および直交のデータを図示するプロットである。
図8図8は、本発明の典型的な実施形態による、方法を例示するフローチャートである。
図9図9は、本発明の典型的な実施形態による、別の方法を例示するフローチャートである。
【詳細な説明】
【0005】
[0016] 添付図面に関連して以下に記載される詳細な説明は、本発明の典型的な実施形態の説明として意図され、本発明が実現されうる唯一の実施形態を表すようには意図されない。本明細書の全体にわたって用いられる「典型的(exemplary)」という用語は、「例、実例、または例示を提供する」を意味し、他の典型的な実施形態に対して、必ずしも好ましいまたは有利であるようには解釈されるべきではない。詳細な説明は、本発明の典型的な実施形態の完全な理解を提供することを目的とした特定の詳細を含む。本発明の典型的な実施形態は、これらの特定の詳細なしで実現されうることが当業者に明らかになるであろう。いくつかの事例では、周知の構造およびデバイスが、ここに示される典型的な実施形態の新規性を曖昧にすることを避けるために、ブロック図形式で示される。
【0006】
[0017] 当業者によって理解されるように、従来のポイント・ツー・ポイント(point-to-point)通信では、1つのアンテナの解決策を利用する場合、大量のエネルギが浪費されうる。したがって、空間領域においてエネルギを集中させうる様々なアレイ・アーキテクチャ(即ち、アンテナのアレイ)が、当該技術分野において周知である。
【0007】
[0018] 図1は、様々なビームフォーミング・アレイ・アーキテクチャを例示する。図1は、様々な受信機ベースのビームフォーミング・アレイ・アーキテクチャを例示しているが、当業者であれば、送信機ベースのビームフォーミング・アレイ・アーキテクチャも理解するであろう。具体的には、参照番号100は、無線周波数(RF)経路ビームフォーミング・アーキテクチャを示し、参照番号102は、局部発信器(LO)経路ビームフォーミング・アーキテクチャを示し、参照番号104は、中間周波数(IF)経路ビームフォーミング・アーキテクチャを示し、参照番号106は、デジタル領域アーキテクチャを示す。
【0008】
[0019] 理解されるように、無線周波数(RF)経路ビームフォーミングは、小面積および低電力を利用しうる。さらに、RF経路ビームフォーミングは、良好な信号対雑音比(SNR)および良好な信号対干渉プラス雑音比(SINR:signal to interference-plus-noise ratio)を示しうる。しかしながら、RF経路ビームフォーミングの課題は、高い線形性、広帯域、低損失、および低面積(low-area)のRF位相シフタのための設計を含む。さらに、LO経路ビームフォーミングは、LO振幅変動に対して低い感度(low sensitivity to LO amplitude variations)を示しうる。一方、LO経路ビームフォーミングの課題は、大きなLOネットワークの設計を含み、ミリメートル波LO信号を生成することが困難となる場合がある。IF経路ビームフォーミングは、良好な線形性を示すことができ、また、低電力位相シフタを利用することができる。しかしながら、IF経路ビームフォーミングは、より少ないコンポーネントの共用と、大きなLOネットワークとを含む。さらに、オフセット較正は、複数のミキサにより、困難となりうる。加えて、デジタル領域アーキテクチャは、用途が広く(versatile)ありうるが、それは、高速デジタル信号プロセッサを必要とし、高い電力消費を示しうる。
【0009】
[0020] 従来のビームフォーミング・システムは、アレイ内の各アンテナにつき一対のミキサを必要としうる。例えば、2つのアンテナを有するアレイは、4つのミキサ(即ち、2つのIフィルタおよび2つのQフィルタ)を必要とし、4つのアンテナを有するアレイは、8つのミキサを必要としうる。本発明の様々な典型的な実施形態によると、アンテナ経路の数にかかわらず、4つのミキサ(即ち、2つの対)のみが必要である。さらに、4相LO信号は、必要でない場合がある。
【0010】
[0021] 当業者によって理解されるように、アナログ・ベースバンド・ビームフォーミングについては、
【数1】
【数2】
【数3】
【0011】
である。
【0012】
[0022] さらに、RFベースバンド・ビームフォーミングについては、
【数4】
【数5】
【数6】
【0013】
である。
【0014】
[0023] さらに、ベースバンドおよびRFのビームフォーミングの両方について同じである出力信号「SignalTx,out」は、I’+Q’に等しい。したがって、当業者によって理解されるように、アナログ・ベースバンド・ビームフォーミングおよびRFベースバンド・ビームフォーミングは、ベースバンド・ビームフォーミング技術をそれぞれ利用し、したがって、アナログ・ベースバンド・ビームフォーミングは、RFベースバンド・ビームフォーミングと比べて、実質的に同じ出力を生成する。
【0015】
[0024] 本発明の典型的な実施形態は、RFベースバンド・ビームフォーミングのためのデバイス、システム、および方法を含む。キャリア信号がシフトされうる従来のRFビームフォーミングとは対照的に、典型的な実施形態は、ベースバンド信号(即ち、エンベロープ)がシフトされるRFベースバンド・ビームフォーミングを提供しうる。
【0016】
[0025] 図2Aは、本発明の典型的な実施形態による、デバイス150を例示する。指向性の信号送信(即ち、ビームフォーミング)のために構成されたデバイス150は、2つのフィルタ152、4つのミキサ154、8つのドライバ増幅器156、2つの位相シフタ158、および2つの電力増幅器162を含む。より具体的には、図2Aに例示される典型的な実施形態において、デバイス150は、フィルタ152Aおよび152B、ミキサ154A−154D、ドライバ増幅器156A−156H、RF位相シフタ158Aおよび158B、および電力増幅器162Aおよび162Bを含む。デバイス150は、2つのアンテナ・ブランチを含む(即ち、電力増幅器162Aおよび162Bの各々が1つのアンテナ・ブランチと関連付けられている)ことに留意されたい。さらに、本発明の典型的な実施形態によると、アンテナ・ブランチの数にかかわらず、デバイス150は、4つのミキサ(即ち、ミキサ154A−154D)のみを必要としうる。位相シフタ158Aおよび158Bは、以下に説明される位相シフタのうちの1つ(即ち、位相シフタ220、位相シフタ240、位相シフタ250、位相シフタ280、または位相シフタ290)をそれぞれ備えうることに留意されたい。
【0017】
[0026] デバイス150の企図された動作中、同相信号(即ち、信号「Ip」および「In」)は、フィルタ152Aにおいて受信されることができ、直交信号(即ち、信号「Qp」および「Qn」)は、フィルタ152Bにおいて受信されることができる。さらに、各フィルタされた信号(即ち、フィルタされた信号IpおよびInとフィルタされた信号QpおよびQn)は、関連するミキサ(即ち、ミキサ154A−D)に伝達され(conveyed)、その後、関連するドライバ増幅器(即ち、ドライバ増幅器156A−H)に伝達される。より具体的には、同相信号Ipは、信号ipcosωtを生成するためにミキサ154Aにおいてコサイン波と混合され、ipsinωtを生成するためにミキサ154Bにおいてサイン波と混合され、ここで、ωは、角周波数である。さらに、同相信号Inは、信号incosωtを生成するためにミキサ154においてコサイン波と混合され、insinωtを生成するためにミキサ154Bにおいてサイン波と混合される。加えて、直交信号Qpは、信号qpsinωtを生成するためにミキサ154Cにおいてサイン波と混合され、qpcosωtを生成するためにミキサ154Dにおいてコサイン波と混合される。さらに、同相信号Qnは、信号qnsinωtを生成するためにミキサ154Cにおいてサイン波と混合され、qncosωtを生成するためにミキサ154Dにおいてコサイン波と混合される。
【0018】
[0027] さらに、信号ipcosωtおよびincosωtは、ドライバ増幅器156Aおよびドライバ増幅器156Eの各々に伝達されることができ、信号ipsinωtおよびinsinωtは、ドライバ増幅器156Bおよびドライバ増幅器156Fの各々に伝達されることができ、信号qpsinωtおよびqnsinωtは、ドライバ増幅器156Cおよびドライバ増幅器156Gの各々に伝達されることができ、信号qpcosωtおよびqncosωtは、ドライバ増幅器156Dおよびドライバ増幅器156Hの各々に伝達されることができる。
【0019】
[0028] さらに、各ドライバ増幅器156の出力は、位相シフタ158に伝達される。ドライバ増幅器156Aおよびドライバ増幅器156Eの各々は、一対の信号(例えば、ipcosωtおよびincosωt)を、それぞれの位相シフタ158Aおよび158Bに伝達しうることに留意されたい。さらに、ドライバ増幅器156Bおよびドライバ増幅器156Fの各々は、一対の信号(例えば、ipsinωtおよびinsinωt)を、それぞれの位相シフタ158Aおよび158Bに伝達しうる。加えて、ドライバ増幅器156Cおよびドライバ増幅器156Gの各々は、一対の信号(例えば、qpsinωtおよびqnsinωt)を、それぞれの位相シフタ158Aおよび158Bに伝達しうる。さらに、ドライバ増幅器156Dおよびドライバ増幅器156Hの各々は、一対の信号(例えば、qpcosωtおよびqncosωt)を、それぞれの位相シフタ158Aおよび158Bに伝達しうる。
【0020】
[0029] 受信された信号を処理した後、以下により詳細に説明されるように、RF位相シフタ158AおよびRF位相シフタ158Bの各々は、回転された同相および直交の信号を、それぞれの電力増幅器162に出力しうる。より具体的には、位相シフタ158Aは、回転された同相(I’pおよびI’n)および直交(Q’pおよびQ’n)の信号を電力増幅器162Aに伝達することができ、位相シフタ158Bは、回転された同相(I’pおよびI’n)および直交(Q’pおよびQ’n)の信号を電力増幅器162Bに伝達することができる。
【0021】
[0030] 図2Bは、デバイス175の実施形態のブロック図を示す。デバイス175は、1つまたは複数のアンテナ176を含みうる。信号の送信中、送信(TX)データプロセッサ178は、データを受信および処理して、1つまたは複数のデータ・ストリームを生成する。TXデータプロセッサ178による処理は、システム依存であり、例えば、符号化すること、インターリーブすること、シンボルマップすることなどを含みうる。CDMAシステムの場合、この処理は、典型的に、チャネル化(channelization)およびスペクトル拡散をさらに含む。TXデータプロセッサ178はまた、各データ・ストリームを対応するアナログ・ベースバンド信号に変換する。送信機ユニット180は、TXデータプロセッサ178からのベースバンド信号を受信および調整(例えば、増幅、フィルタ、および周波数アップコンバート)して、データ送信のために使用される各アンテナについてのRF出力信号を生成する。これらRF出力信号は、アンテナ176を介して送信される。信号の受信中、1つまたは複数の信号は、アンテナ182によって受信され、受信機ユニット184によって調整およびデジタル化され、RXデータプロセッサ186によって処理されうる。コントローラ188は、デバイス175内の様々な処理ユニットの動作を指示しうる。さらに、メモリユニット190は、コントローラ188のためのデータおよびプログラムコードを記憶しうる。送信機ユニット180は、図2Aに例示されるデバイス150を含みうることに留意されたい。
【0022】
[0031] 図3は、本発明の典型的な実施形態による、RF位相シフタ220を例示する。当業者によって理解されるように、位相シフタ220は、同相および直交(IQ)のデータ(即ち、エンベロープ信号)を回転するように構成される。さらに、位相シフタ220が位相回転を行うために、キャリア信号の回転は必要でないことに留意されたい。位相シフタ220は、複数のスイッチング素子M1−M40を含む。スイッチング素子M1−M40は、トランジスタとして図3に例示されているが、スイッチング素子M1−M40の各々は、任意の既知のおよび適切なスイッチング素子を備えうる。「スイッチング素子」はまた、ここで「スイッチ」と称されうることに留意されたい。図3に例示されるように、スイッチング素子M1、M4、M18、およびM20の各々は、ノードAに結合されたドレインと、別のスイッチング素子のドレインに結合されたソースとを有する。さらに、スイッチング素子M2、M3、M17、およびM19の各々は、ノードBに結合されたドレインと、別のスイッチング素子のドレインに結合されたソースとを有する。さらに、スイッチング素子M5、M7、M21、およびM24の各々は、ノードCに結合されたドレインと、別のスイッチング素子のドレインに結合されたソースとを有する。加えて、スイッチング素子M6、M8、M22、およびM23の各々は、ノードDに結合されたドレインと、別のスイッチング素子のドレインに結合されたソースとを有する。スイッチング素子M9−M16およびスイッチング素子M25−M32の各々は、別のトランジスタのソースに結合されたドレインと、可変電流ソース(即ち、cosθまたはsinθ)に結合されたソースとを有する。
【0023】
[0032] さらに、スイッチング素子M33およびM34は、ノードAに結合されたソースを有し、スイッチング素子M35およびM36は、ノードBに結合されたソースを有する。さらに、スイッチング素子M33およびM35は、第1の出力I’pに結合されたドレインを有し、スイッチング素子M34およびM36は、第2の出力I’nに結合されたドレインを有する。スイッチング素子M37およびM38は、ノードCに結合されたソースを有し、スイッチング素子M39およびM40は、ノードDに結合されたソースを有する。さらに、スイッチング素子M37およびM39は、第3の出力Q’pに結合されたドレインを有し、スイッチング素子M38およびM40は、第4の出力Q’nに結合されたドレインを有する。
【0024】
[0033] さらに、スイッチング素子M1−M8、M17−M24、およびM33−M40は、ゲートにおいて制御信号を受信するようにそれぞれ構成される。より具体的には、スイッチング素子M1−M8は、それらのそれぞれのゲートにおいて第1の制御信号(例えば、「Q1」)を受信するようにそれぞれ構成され、スイッチング素子M17−M24は、それらのそれぞれのゲートにおいて第2の制御信号(例えば、「Q2」)を受信するようにそれぞれ構成され、スイッチング素子M33、M36、M37およびM40は、それらのそれぞれのゲートにおいて第3の制御信号(例えば、「\S」)を受信するようにそれぞれ構成され、スイッチング素子M34、M35、M38およびM39は、それらのそれぞれのゲートにおいて第4の制御信号(例えば、「S」)を受信するようにそれぞれ構成される。
【0025】
[0034] 加えて、スイッチング素子M9およびM25は、ゲートにおいて信号Ipcosωtを受信するようにそれぞれ構成され、スイッチング素子M10およびM26は、ゲートにおいて信号incosωtを受信するようにそれぞれ構成され、スイッチング素子M11およびM27は、ゲートにおいて信号qpcosωtを受信するようにそれぞれ構成され、スイッチング素子M12およびM28は、ゲートにおいて信号qncosωtを受信するようにそれぞれ構成され、スイッチング素子M13およびM29は、ゲートにおいて信号ipsinωtを受信するようにそれぞれ構成され、スイッチング素子M14およびM30は、ゲートにおいて信号insinωtを受信するようにそれぞれ構成され、スイッチング素子M15およびM31は、ゲートにおいて信号qpsinωtを受信するようにそれぞれ構成され、スイッチング素子M16およびM32は、ゲートにおいて信号qnsinωtを受信するようにそれぞれ構成される。
【0026】
[0035] 構成されているように、位相シフタ220は、象限選択(quadrant selection)のみならず、信号合成(signal combination)および信号回転を提供しうる。1つまたは複数の象限が、所望の位相シフトに基づいて選択されうることに留意されたい。一例として、第1象限が選択された場合、制御信号Q1は、ハイ「1」であり、制御信号Q2は、ロー「0」であり、制御信号Sは、ロー「0」であり、制御信号\Sは、ハイ「1」である。したがって、第1象限が選択された場合、スイッチング素子M1−M8、M33、M36、M37、およびM40は、導電状態となり、スイッチング素子M17−M24、M34、M35、M38、およびM39は、非導電状態となり、第1の出力I’pは、ノードAに結合され、第2の出力I’nは、ノードBに結合され、第3の出力Q’pは、ノードCに結合され、第4の出力Q’nは、ノードDに結合される。別の例として、第2象限が選択された場合、制御信号Q1は、ロー「0」であり、制御信号Q2は、ハイ「1」であり、制御信号Sは、ロー「0」であり、制御信号\Sは、ハイ「1」である。したがって、第2象限が選択された場合、スイッチング素子M1−M8、M34、M35、M38、およびM39は、非導電状態となり、スイッチング素子M17−M24、M33、M36、M37、およびM40は、導電状態となり、第1の出力I’pは、ノードAに結合され、第2の出力I’nは、ノードBに結合され、第3の出力Q’pは、ノードCに結合され、第4の出力Q’nは、ノードDに結合される。
【0027】
[0036] さらに、第3象限が選択された場合、制御信号Q1は、ハイ「1」であり、制御信号Q2は、ロー「0」であり、制御信号Sは、ハイ「1」であり、制御信号\Sは、ロー「0」である。したがって、第3象限が選択された場合、スイッチング素子M1−M8、M34、M35、M38、およびM39は、導電状態となり、スイッチング素子M17−M24、M33、M36、M37、およびM40は、非導電状態となり、第1の出力I’pは、ノードBに結合され、第2の出力I’nは、ノードAに結合され、第3の出力Q’pは、ノードDに結合され、第4の出力Q’nは、ノードCに結合される。さらに、第4象限が選択された場合、制御信号Q1は、ロー「0」であり、制御信号Q2は、ハイ「1」であり、制御信号Sは、ハイ「1」であり、制御信号\Sは、ロー「0」である。したがって、第4象限が選択された場合、スイッチング素子M1−M8、M33、M36、M37、およびM40は、非導電状態となり、スイッチング素子M17−M24、M34、M35、M38、およびM39は、導電状態となり、第1の出力I’pは、ノードBに結合され、第2の出力I’nは、ノードAに結合され、第3の出力Q’pは、ノードDに結合され、第4の出力Q’nは、ノードCに結合される。
【0028】
[0037] 当業者によって理解されるように、位相シフタ220は、cosθまたはsinθを生成するために、2つのデジタル/アナログ(DAC)変換器を利用することができ、ここで、θは、実質的に0度から90度の範囲にある。位相シフタ220の企図された動作中、位相シフトは、例えば、その大きさがcosθまたはsinθとしてスケールされる、必要とされる位相シフト電流を生成するためにDACを使用することによって達成されうる。さらに、スイッチング素子M1ないしM40は、信号の切り替えおよび合成のために使用されうる。この結果、最終的な出力は、以上に示されたように、式(5)および式(6)に示されたような位相回転された信号である。
【0029】
[0038] 図3に例示される位相シフタ220は、(例えば、90度を超える)高分解能のケースのために構成されうることに留意されたい。しかしながら、いくつかのケースでは、90度を超える分解能は必要とされず、したがって、簡単化されたアーキテクチャが利用されうる。図4Aは、本発明の典型的な実施形態による、別の位相シフタ240である。当業者によって理解されるように、位相シフタ240は、同相および直交(IQ)のデータ(即ち、エンベロープ信号)を回転するように構成される。さらに、位相シフタ240が位相回転を行うために、キャリア信号の回転は必要でないことに留意されたい。位相シフタ240は、90度以下の分解能が望ましいケースに限定されるものではないが、位相シフタ240は、90度を超える分解能を必要としないケースにおいて簡単化された回路を提供する。位相シフタ240は、複数のスイッチング素子M41−M64を含む。位相シフタ220に関して上述されたように、スイッチング素子M41−M64は、トランジスタとして図4Aに例示されているが、スイッチング素子M41−M64は、任意の適切なスイッチング素子を備えうる。図4Aに例示されるように、スイッチング素子M41およびM46の各々は、ノードEに結合されたドレインを有する。加えて、スイッチング素子M42およびM45の各々は、ノードFに結合されたドレインを有する。さらに、スイッチング素子M43およびM47の各々は、ノードGに結合されたドレインを有する。加えて、スイッチング素子M44およびM48の各々は、ノードHに結合されたドレインを有する。さらに、スイッチング素子M41−M48は、別のトランジスタに結合されたソースを有する。スイッチング素子M49−M56の各々は、別のトランジスタのソースに結合されたドレインと、定電流ソースに結合されたソースとを有する。
【0030】
[0039] スイッチング素子M57およびM58は、ノードEに結合されたソースを有し、スイッチング素子M59およびM60は、ノードFに結合されたソースを有する。さらに、スイッチング素子M57およびM59は、第1の出力I’pに結合されたドレインを有し、スイッチング素子M58およびM60は、第2の出力I’nに結合されたドレインを有する。スイッチング素子M61およびM62は、ノードGに結合されたソースを有し、スイッチング素子M63およびM64は、ノードHに結合されたソースを有する。さらに、スイッチング素子M61およびM63は、第3の出力Q’pに結合されたドレインを有し、スイッチング素子M62およびM64は、第4の出力Q’nに結合されたドレインを有する。
【0031】
[0040] さらに、スイッチング素子M41−M48およびM57−M64は、ゲートにおいて制御信号を受信するようにそれぞれ構成される。より具体的には、スイッチング素子M41、M42、M47、およびM48は、それらのそれぞれのゲートにおいて第1の制御信号(例えば、「Q1」)を受信するように構成され、スイッチング素子M43−M46は、それらのそれぞれのゲートにおいて第2の制御信号(例えば、「Q2」)を受信するように構成され、スイッチング素子M57、M60、M61、およびM64は、それらのそれぞれのゲートにおいて第3の制御信号(例えば、「\S」)を受信するように構成され、スイッチング素子M58、M59、M62、およびM63は、それらのそれぞれのゲートにおいて第4の制御信号(例えば、「S」)を受信するように構成される。
【0032】
[0041] 加えて、スイッチング素子M49は、ゲートにおいて信号ipcosωtを受信するように構成され、スイッチング素子M50は、ゲートにおいて信号incosωtを受信するように構成され、スイッチング素子M51は、ゲートにおいて信号ipsinωtを受信するように構成され、スイッチング素子M52は、ゲートにおいて信号insinωtを受信するように構成され、スイッチング素子M53は、ゲートにおいて信号qpcosωtを受信するように構成され、スイッチング素子M54は、ゲートにおいて信号qncosωtを受信するように構成され、スイッチング素子M55は、ゲートにおいて信号qpsinωtを受信するように構成され、スイッチング素子M56は、ゲートにおいて信号qnsinωtを受信するように構成される。
【0033】
[0042] 構成されているように、位相シフタ240は、象限選択を可能にするのみならず、信号の合成および回転を提供しうる。1つまたは複数の象限が、所望の位相シフトに基づいて選択されうることに留意されたい。一例として、第1象限が選択された場合、制御信号Q1は、ハイ「1」であり、制御信号Q2は、ロー「0」であり、制御信号Sは、ロー「0」であり、制御信号\Sは、ハイ「1」である。したがって、第1象限が選択された場合、スイッチング素子M41、M42、M47、M48、M57、M60、M61、およびM64は、導電状態となり、スイッチング素子M43−M46、M58、M59、M62、およびM63は、非導電状態となり、第1の出力I’pは、ノードEに結合され、第2の出力I’nは、ノードFに結合され、第3の出力Q’pは、ノードGに結合され、第4の出力Q’nは、ノードHに結合される。別の例として、第2象限が選択された場合、制御信号Q1は、ロー「0」であり、制御信号Q2は、ハイ「1」であり、制御信号Sは、ロー「0」であり、制御信号\Sは、ハイ「1」である。したがって、第2象限が選択された場合、スイッチング素子M41、M42、M47、M48、M57、M60、M61、およびM64は、非導電状態となり、スイッチング素子M43−M46、M58、M59、M62、およびM63は、導電状態となり、第1の出力I’pは、ノードAに結合され、第2の出力I’nは、ノードBに結合され、第3の出力Q’pは、ノードCに結合され、第4の出力Q’nは、ノードDに結合される。
【0034】
[0043] さらに、第3象限が選択された場合、制御信号Q1は、ハイ「1」であり、制御信号Q2は、ロー「0」であり、制御信号Sは、ハイ「1」であり、制御信号\Sは、ロー「0」である。したがって、第3象限が選択された場合、スイッチング素子M41、M42、M47、M48、M58、M59、M62、およびM63は、導電状態となり、スイッチング素子M43−M46、M57、M60、M61、およびM64は、非導電状態となり、第1の出力I’pは、ノードFに結合され、第2の出力I’nは、ノードEに結合され、第3の出力Q’pは、ノードHに結合され、第4の出力Q’nは、ノードGに結合される。さらに、第4象限が選択された場合、制御信号Q1は、ロー「0」であり、制御信号Q2は、ハイ「1」であり、制御信号Sは、ハイ「1」であり、制御信号\Sは、ロー「0」である。したがって、第4象限が選択された場合、スイッチング素子M41、M42、M47、M48、M57、M60、M61、およびM64は、非導電状態となり、スイッチング素子M43−M46、M58、M59、M62、およびM63は、導電状態となり、第1の出力I’pは、ノードFに結合され、第2の出力I’nは、ノードEに結合され、第3の出力Q’pは、ノードHに結合され、第4の出力Q’nは、ノードGに結合される。
【0035】
[0044] 当業者によって理解されるように、図4Aは、電圧入力を有する位相シフタを例示する。図4Bは、位相シフタ250を例示し、これは、位相シフタ250が電圧入力ではなく、電流入力を含むことを除き、図4Aに例示される位相シフタ240と同様である。
【0036】
[0045] 図5Aは、本発明の典型的な実施形態による、別の位相シフタ280である。当業者によって理解されるように、位相シフタ280は、同相および直交(IQ)のデータ(即ち、エンベロープ信号)を回転するように構成される。さらに、位相シフタ280が位相回転を行うために、キャリア信号の回転は必要でないことに留意されたい。位相シフタ280は、90度以下の分解能が望ましいケースに限定されるものではないが、位相シフタ280は、90度を超える分解能を必要としないケースにおいて簡単化された回路を提供する。位相シフタ280は、複数のスイッチング素子M65−M88を含む。位相シフタ220および位相シフタ240に関して上述されたように、スイッチング素子M65−M88は、トランジスタとして図5Aに例示されているが、スイッチング素子M65−M88は、任意の適切なスイッチング素子を備えうる。図5Aに例示されるように、スイッチング素子M66、M68、M73、およびM75の各々は、出力I’pに結合されたノードNに結合されたドレインを有する。加えて、スイッチング素子M65、M67、M74、およびM76の各々は、出力I’nに結合されたノードPに結合されたドレインを有する。さらに、スイッチング素子M70、M72、M78、およびM80の各々は、出力Q’pに結合されたノードRに結合されたドレインを有する。加えて、スイッチング素子M69、M71、M77、およびM79の各々は、出力Q’nに結合されたノードSに結合されたドレインを有する。さらに、スイッチング素子M65−M80は、別のトランジスタに結合されたソースを有する。スイッチング素子M81−M88の各々は、別のトランジスタのソースに結合されたドレインと、定電流ソースに結合されたソースとを有する。
【0037】
[0046] さらに、スイッチング素子M65−M80の各々は、ゲートにおいて制御信号を受信するように構成される。より具体的には、スイッチング素子M66、M67、M78、およびM79は、それらのそれぞれのゲートにおいて第1の制御信号(例えば、「Q1」)を受信するように構成され、スイッチング素子M70、M71、M74、およびM75は、それらのそれぞれのゲートにおいて第2の制御信号(例えば、「Q2」)を受信するように構成され、スイッチング素子M65、M68、M77、およびM80は、それらのそれぞれのゲートにおいて第3の制御信号(例えば、「Q3」)を受信するように構成され、スイッチング素子M69、M72、M73、およびM76は、それらのそれぞれのゲートにおいて第4の制御信号(例えば、「Q4」)を受信するように構成される。
【0038】
[0047] 加えて、スイッチング素子M81は、ゲートにおいて信号ipcosωtを受信するように構成され、スイッチング素子M82は、ゲートにおいて信号incosωtを受信するように構成され、スイッチング素子M83は、ゲートにおいて信号ipsinωtを受信するように構成され、スイッチング素子M84は、ゲートにおいて信号insinωtを受信するように構成され、スイッチング素子M85は、ゲートにおいて信号qpcosωtを受信するように構成され、スイッチング素子M86は、ゲートにおいて信号qncosωtを受信するように構成され、スイッチング素子M87は、ゲートにおいて信号qpsinωtを受信するように構成され、スイッチング素子M88は、ゲートにおいて信号qnsinωtを受信するように構成される。
【0039】
[0048] 構成されているように、位相シフタ280は、象限選択を可能にするのみならず、信号の合成および回転を提供しうる。1つまたは複数の象限が、所望の位相シフトに基づいて選択されうることに留意されたい。一例として、第1象限が選択された場合、制御信号Q1は、ハイ「1」であり、制御信号Q2、Q3、およびQ4の各々は、ロー「0」である。したがって、第1象限が選択された場合、スイッチング素子M66、M67、M78、およびM79は、導電状態となり、スイッチング素子M65、M68−M77、およびM80は、非導電状態となる。別の例として、第2象限が選択された場合、制御信号Q1、Q3、およびQ4は、それぞれロー「0」であり、制御信号Q2は、ハイ「1」である。したがって、第2象限が選択された場合、スイッチング素子M70、M71、M74、およびM75は、導電状態となり、スイッチング素子M65−M69、M72、M73、およびM76−M80は、非導電状態となる。
【0040】
[0049] さらに、第3象限が選択された場合、制御信号Q1は、ハイ「1」であり、制御信号Q2は、ロー「0」であり、制御信号Sは、ハイ「1」であり、制御信号\Sは、ロー「0」である。したがって、第3象限が選択された場合、スイッチング素子M65、M68、M77、およびM80は、導電状態となり、スイッチング素子M66、M67、M69−M76、M78、およびM79は、非導電状態となる。さらに、第4象限が選択された場合、制御信号Q1は、ロー「0」であり、制御信号Q2は、ハイ「1」であり、制御信号Sは、ハイ「1」であり、制御信号\Sは、ロー「0」である。したがって、第4象限が選択された場合、スイッチング素子M65−M68、M70、M71、M74、M75、M77−M80は、非導電状態となり、スイッチング素子M69、M72、M73、およびM76は、導電状態となる。
【0041】
[0050] 位相シフタ240および位相シフタ280は、位相分解能が実質的に90度以下である特別なケースである。この状況下において、0度では、I=I’およびQ=Q’であり、90度では、I’=−QおよびQ’=Iであり、180度では、I’=−IおよびQ’=−Qであり、270度では、I’=QおよびQ’=−Iである。この結果、sin(90)、sin(180)、sin(0)sin(360)、cos(90)、cos(0)、cos(180)、およびcos(270)は、0、1または−1に等しいので、cosおよびsinのスケールされた電流を生成する正確なDACとなる。0、1または−1のみが必要とされるので、1つのステップのみが必要であるから、位相シフトのプロシージャはより簡単である。所望の象限(即ち、所望の位相シフト)に依存して、Q1、Q2、Q3、またはQ4が選択されうる。最終的な出力は、以上に示されたように、式(5)および式(6)に示されたような位相回転された信号である。ある特定のケースでは、実質的に45度を達成するために、両方の象限信号がオンにされうる。例えば、Q1=0度、Q2=90度、Q3=180度、およびQ4=270度である。加えて、Q1およびQ2の両方がオンにされた場合、実質的に45度が達成されうる。Q2およびQ3の両方がオンにされた場合、実質的に135度が達成されうる。さらに、Q3およびQ4の両方がオンにされた場合、実質的に225度が達成されうる。加えて、Q4およびQ1の両方がオンにされた場合、実質的に315度が達成されうる。
【0042】
[0051] 当業者によって理解されるように、図5Aは、電圧入力を有する位相シフタを例示する。図5Bは、位相シフタ290を例示し、これは、位相シフタ290が電圧入力ではなく、電流入力を含むことを除き、図5Aに例示される位相シフタ280と同様である。
【0043】
[0052] 図6は、回転される前の同相および直交のデータを図示するプロットである。図7は、90度回転された後の図6の同相および直交のデータを図示するプロットである。
【0044】
[0053] 図8は、1つまたは複数の典型的な実施形態による、方法400を例示するフローチャートである。方法400は、RF位相回転器(RF phase rotator)において直交信号および同相信号のうちの少なくとも1つを受信することを含みうる(番号402によって示される)。方法400はまた、回転された直交信号および回転された同相信号のうちの少なくとも1つを生成するために、直交信号および同相信号のうちの少なくとも1つのエンベロープを回転することを含みうる(番号404によって示される)。
【0045】
[0054] 図9は、1つまたは複数の典型的な実施形態による、別の方法450を例示するフローチャートである。方法450は、直交信号および同相信号のうちの少なくとも1つをベースバンドにダウンコンバートする(番号452によって示される)。さらに、方法450は、回転された直交信号および回転された同相信号のうちの少なくとも1つを生成するために、ベースバンドで直交信号および同相信号のうちの少なくとも1つを位相回転することを含みうる(番号454によって示される)。
【0046】
[0055] ここで説明されたような典型的な実施形態は、それに限定されるものではないが、QPSK、16−QAM、および64−QAMを含む様々な変調方式に適切でありうる。さらに、上述されたように、本発明の実施形態は、アンテナの数にかかわらず、2つの対のスイッチを使用し、信号合成および位相回転を行うためにスイッチを利用し、高分解能のケースにおいてsinθおよびcosθを生成するためにDACを利用するように構成されうる。したがって、従来のビームフォーミングと比較して、多数(a number of)のミキサが低減されることができ、したがって、同相および直交の較正が簡単化されることができる。さらに、従来のシステムと比較して、本発明の典型的な実施形態は、必要とされる面積および電力を低減させ、線形性および帯域幅を向上させうる。加えて、本発明の典型的な実施形態は、従来のシステムにおいて行われていたようなキャリア信号ではなく、同相および直交のデータ(例えば、エンベロープ信号)の回転を提供しうる。
【0047】
[0056] 当業者であれば、情報および信号は、様々な異なる技術および技法のうちの任意のものを用いて表されうることを理解するであろう。例えば、上記説明の全体にわたって参照されうるデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、およびチップは、電圧、電流、電磁波、磁場または磁性粒子、光場または光粒子、あるいはこれらの任意の組み合わせによって表されうる。
【0048】
[0057] 当業者であれば、ここに開示された典型的な実施形態に関連して説明された様々な例示的な論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズムステップは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、または両方の組み合わせとしてインプリメントされうることをさらに理解するであろう。ハードウェアおよびソフトウェアの互換性を明確に例示するために、様々な例示的なコンポーネント、ブロック、モジュール、回路、およびステップが、概してそれらの機能の観点から上記に説明された。このような機能が、ハードウェアとしてインプリメントされるか、あるいはソフトウェアとしてインプリメントされるかは、特定のアプリケーションおよびシステム全体に課せられる設計制約に依存する。当業者は、各特定のアプリケーションに関して、多様な方法で、説明された機能をインプリメントしうるが、このようなインプリメンテーションの決定は、本発明の典型的な実施形態の範囲から逸脱を引き起こしていると解釈されるべきでない。
【0049】
[0058] ここに開示された典型的な実施形態に関連して説明された様々な例示的な論理ブロック、モジュール、および回路は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)またはその他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリートゲートまたはトランジスタロジック、ディスクリートハードウェアコンポーネント、あるいはここに説明された機能を実行するように設計されるこれらの任意の組み合わせで、インプリメントまたは実行されうる。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサでありうるが、代替において、このプロセッサは、任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、またはステートマシン(state machine)でありうる。プロセッサはまた、例えば、DSPとマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連携した1つまたは複数のマイクロプロセッサ、あるいはその他任意のこのような構成であるコンピューティングデバイスの組み合わせとしてインプリメントされうる。
【0050】
[0059] 1つまたは複数の典型的な実施形態では、説明された機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの任意の組み合わせでインプリメントされうる。ソフトウェアでインプリメントされる場合、これら機能は、コンピュータ可読媒体上で、1つまたは複数の命令またはコードとして送信または記憶されうる。コンピュータ可読媒体は、1つの場所から別の場所へのコンピュータプログラムの転送を容易にする任意の媒体を含む通信媒体とコンピュータ記憶媒体との両方を含む。記憶媒体は、コンピュータによってアクセスされうる任意の利用可能な媒体でありうる。限定ではなく例として、このようなコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD−ROMまたは他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置またはその他の磁気記憶デバイス、あるいは、データ構造または命令の形式で所望のプログラムコードを記憶または伝送するために使用可能であり、かつコンピュータによってアクセスされうるその他任意の媒体を備えうる。また、任意の接続は、コンピュータ可読媒体と厳密には称されうる。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバーケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL)、または赤外線、電波、およびマイクロ波のような無線技術を使用して、ウェブサイト、サーバ、またはその他の遠隔ソースから送信される場合には、この同軸ケーブル、光ファイバーケーブル、ツイストペア、DSL、または赤外線、電波、およびマイクロ波のようなワイヤレス技術は、媒体の定義に含まれる。ここで使用される場合、ディスク(disk)およびディスク(disc)は、コンパクトディスク(CD)、レーザーディスク(登録商標)、光ディスク、デジタル多目的ディスク(DVD)、フロッピー(登録商標)ディスクおよびブルーレイ(登録商標)ディスクを含み、ここでディスク(disks)は、通常磁気的にデータを再生し、一方ディスク(discs)は、レーザーを用いて光学的にデータを再生する。上記の組み合わせもまた、コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0051】
[0060] 開示された典型的な実施形態の上記説明は、いかなる当業者であっても、本発明の製造または使用を可能にするように提供される。これら典型的な実施形態への様々な修正は、当業者にとって容易に明らかであり、ここに定義された一般的な原理は、本発明の主旨または範囲から逸脱することなく、他の実施形態にも適用されうる。したがって、本発明は、ここに示された典型的な実施形態に限定されるようには意図されず、ここに開示される原理および新規な特徴と一致する最も広い範囲を与えられることとなる。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
複数のミキサと、各ミキサは、直交信号および同相信号のうちの少なくとも1つを伝達するように構成される、
前記複数のミキサの各々の出力に結合され、回転された同相信号および回転された直交信号のうちの少なくとも1つを生成するために、前記直交信号および前記同相信号のうちの前記少なくとも1つのエンベロープを回転するために構成された少なくとも1つのRF位相回転器と
を備えるデバイス。
[C2]
前記複数のミキサは、4つのミキサを備える、C1に記載のデバイス。
[C3]
複数のフィルタをさらに備え、前記複数のフィルタの各フィルタは、前記複数のミキサのうちの2つのミキサに結合される、C1に記載のデバイス。
[C4]
前記少なくとも1つのRF位相回転器のうちのRF位相回転器に結合された複数のドライバ増幅器をさらに備える、C1に記載のデバイス。
[C5]
前記少なくとも1つの位相RF回転器の各RF位相回転器は、アンテナ経路に関連付けられる、C1に記載のデバイス。
[C6]
前記少なくとも1つの位相RF回転器の各RF位相回転器は、
複数の入力信号を受信するための第1の複数のスイッチと、
所望の象限を選択するために構成された第2の複数のスイッチと
を備える、C1に記載のデバイス。
[C7]
出力を生成するための第3の複数のスイッチをさらに備える、C6に記載のデバイス。
[C8]
複数のミキサと、各ミキサは、直交信号および同相信号のうちの少なくとも1つを受信するように構成される、
前記複数のミキサの各々の出力に結合され、回転された直交信号および回転された同相信号のうちの少なくとも1つを生成するために、前記直交信号および前記同相信号のうちの前記少なくとも1つのエンベロープを回転するために構成された少なくとも1つのRF位相回転器と
を備え、
前記少なくとも1つの各RF位相回転器は、
複数の入力信号を受信するための第1の複数のスイッチと、
所望の象限を選択するために構成された第2の複数のスイッチと
を備える、デバイス。
[C9]
前記複数のミキサは、4つのミキサを備える、C8に記載のデバイス。
[C10]
前記位相回転器は、前記第1の複数のスイッチに結合された定電流ソースおよび可変電流ソースのうちの1つをさらに備える、C8に記載のデバイス。
[C11]
前記第1の複数のスイッチおよび前記第2の複数のスイッチの各スイッチは、トランジスタを備える、C8に記載のデバイス。
[C12]
前記少なくとも1つの位相RF回転器の各RF位相回転器は、アンテナ経路に関連付けられる、C8に記載のデバイス。
[C13]
前記第2の複数のスイッチの各スイッチは、デジタル/アナログ変換器に結合される、C8に記載のデバイス。
[C14]
RF位相回転デバイスであって、
象限選択のために構成された複数のスイッチと、
複数の入力と、前記複数のスイッチの各スイッチは、前記複数の入力のうちの入力と複数の出力のうちの出力との間に結合される、
を備え、
前記位相回転デバイスは、直交信号および同相信号のうちの少なくとも1つのエンベロープを回転するために構成される、RF位相回転デバイス。
[C15]
複数の入力信号を受信するための第2の複数のスイッチをさらに備える、C14に記載のデバイス。
[C16]
RF位相回転器において直交信号および同相信号のうちの少なくとも1つを受信することと、
回転された直交信号および回転された同相信号のうちの少なくとも1つを生成するために、前記直交信号および前記同相信号のうちの前記少なくとも1つのエンベロープを回転することと
を備える方法。
[C17]
所望の象限を選択するために、制御信号を1つまたは複数のスイッチに伝達することをさらに備える、C16に記載の方法。
[C18]
前記回転することは、前記RF位相回転器を用いて電流ソースを変化させることを備える、C16に記載の方法。
[C19]
直交信号および同相信号のうちの少なくとも1つをベースバンドにダウンコンバートすることと、
回転された直交信号および回転された同相信号のうちの少なくとも1つを生成するために、ベースバンドで直交信号および同相信号のうちの前記少なくとも1つを回転することと
を備える方法。
[C20]
前記回転することは、所望の象限を選択するために、複数のスイッチのうちの少なくとも1つのスイッチに信号を伝達することを備える、C19に記載の方法。
[C21]
複数のスイッチのうちのスイッチに、ダウンコンバートされた直交信号およびダウンコンバートされた同相信号のうちの少なくとも1つを伝達することをさらに備える、C19に記載の方法。
[C22]
前記回転することは、前記回転された直交信号または前記回転された同相信号を備える1つまたは複数の出力信号を選択するために、複数のスイッチのうちの少なくとも1つのスイッチに制御信号を伝達することを備える、C19に記載の方法。
[C23]
RF位相回転器において直交信号および同相信号のうちの少なくとも1つを受信するための手段と、
回転された直交信号および回転された同相信号のうちの少なくとも1つを生成するために、前記直交信号および前記同相信号のうちの前記少なくとも1つのエンベロープを回転するための手段と
を備えるデバイス。
[C24]
直交信号および同相信号のうちの少なくとも1つをベースバンドにダウンコンバートするための手段と、
回転された直交信号および回転された同相信号のうちの少なくとも1つを生成するために、直交信号および同相信号のうちの前記少なくとも1つのエンベロープを回転するための手段と
を備えるデバイス。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9