特許第6158249号(P6158249)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6158249
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】エレベータ
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/14 20060101AFI20170626BHJP
   B66B 3/02 20060101ALI20170626BHJP
【FI】
   B66B1/14 L
   B66B3/02 K
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-116244(P2015-116244)
(22)【出願日】2015年6月9日
(65)【公開番号】特開2017-1794(P2017-1794A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2015年6月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 勉
【審査官】 今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭56−013466(JP,U)
【文献】 特開平06−072648(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/038304(WO,A1)
【文献】 特開2007−302469(JP,A)
【文献】 特開2006−124066(JP,A)
【文献】 特開2014−114132(JP,A)
【文献】 実開平07−021661(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/10 − 1/52
B66B 3/00 − 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2階床間を移動するためのエレベータにおいて、
前記エレベータの乗りかごに設置された1つの行先階登録ボタンと、
前記乗りかごに設置されたかご内スピーカと、
前記乗りかごがいずれかの階床に着床して戸開した後、行先階登録ボタンが操作されずに所定時間が経過したときには、前記かご内スピーカから、前記行先階登録ボタンの操作を促すための音声メッセージ情報を出力させ、前記乗りかごが、前記2階床のうち上階に着床しているときには前記行先階登録ボタンの下方向の矢印および下階に関するテキスト情報の表示エリアである下半分を点滅させ、前記行先階登録ボタンが操作されると下階を行先階としてかご呼びを登録し、下階に着床しているときには前記行先階登録ボタンの上方向の矢印および上階に関するテキスト情報の表示エリアである上半分を点滅させ、前記行先階登録ボタンが操作されると上階を行先階としてかご呼びを登録し、登録したかご呼びに応答して前記乗りかごを昇降させる制御装置と、
を備えることを特徴とするエレベータ。
【請求項2】
前記制御装置は、前記乗りかごがいずれかの階床に着床して戸開した後、前記行先階登録ボタンを点滅させているときに、前記行先階登録ボタンが操作されずに所定時間が経過したときには、前記行先階登録ボタンの点滅間隔を短くする
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、2階床間を移動するためのエレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2階床間を移動するためのエレベータにおいて、当該エレベータのかご内操作盤には、上階を行先階として登録するための上階用ボタンと、下階を行先階として登録するための下階用ボタンとが別箇に設置されている。利用者は、下階に停止している乗りかごに乗車したときには上階用ボタンを操作し、上階に停止している乗りかごに乗車したときには下階用ボタンを操作することにより、乗りかごを昇降させて別階床に移動することができる。
【0003】
このようなエレベータにおいては、乗車した利用者が現在の乗りかごの停止階を認識し、これに基づいて行先階を判断して乗場ボタンを操作する必要がある。このとき、利用者が現在の乗りかごの停止階を誤って認識して、上階に停止している乗りかごで上階用ボタンを操作したとき、または下階に停止している乗りかごで下階用ボタンを操作したときにはエレベータが適切に動作せずに、運転効率が低下してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5518915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
また、2階床間を移動するための他の形態のエレベータとして、かご内操作盤に行先階登録ボタンを設置せずに、乗りかごに利用者が乗車したことを検知したときに、現在の停止階と異なる階床を行先階として自動登録し、乗りかごを昇降させるものがある。
【0006】
しかし、このようなエレベータでは、利用者が出発のタイミングや戸閉動作のタイミング等を認識することができず、利用の際に戸惑うことが多い。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、乗車した利用者が現在の乗りかごの停止階を認識していなくても、簡易な操作で効率よく2階床間を運行させることが可能なエレベータの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための実施形態によればエレベータは、行先階登録ボタンとかご内スピーカと制御装置とを備える。行先階登録ボタンは、エレベータの乗りかご内に、1つ設置される。制御装置は、乗りかごがいずれかの階床に着床して戸開した後、行先階登録ボタンが操作されずに所定時間が経過したときには、かご内スピーカから、行先階登録ボタンの操作を促すための音声メッセージ情報を出力させ、乗りかごが、2階床のうち上階に着床しているときには行先階登録ボタンの下方向の矢印および下階に関するテキスト情報の表示エリアである下半分を点滅させ、行先階登録ボタンが操作されると下階を行先階としてかご呼びを登録し、下階に着床しているときには行先階登録ボタンの上方向の矢印および上階に関するテキスト情報の表示エリアである上半分を点滅させ、行先階登録ボタンが操作されると上階を行先階としてかご呼びを登録し、登録したかご呼びに応答して乗りかごを昇降させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態によるエレベータの構成を示す全体図。
図2】一実施形態によるエレベータのかご内操作盤を示す正面図。
図3】一実施形態によるエレベータの制御盤の構成を示すブロック図。
図4】一実施形態によるエレベータの動作を示すフローチャート。
図5】一実施形態によるエレベータのかご内操作盤の行先階登録ボタン全体が点滅した状態を示す正面図。
図6】(a)は、一実施形態によるエレベータのかご内操作盤の行先階登録ボタンの下半分が点滅した状態を示す正面図であり、(b)は、上半分が点滅した状態を示す正面図。
図7】他の形態によるエレベータのかご内操作盤の行先階登録ボタンを示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〈一実施形態によるエレベータ制御装置を利用したエレベータの構成〉
本発明の一実施形態によるエレベータ制御装置を利用したエレベータの構成について、図1を参照して説明する。
【0011】
本実施形態によるエレベータ1は、建物内の1階と2階との2階床の間を移動するためのものであり、昇降路2の上部に設置された巻上げ機3に掛け渡されたロープ4の一端に乗りかご5が吊り下げられ、他端には釣り合いおもり6が吊り下げられている。乗りかご5内には、かご内操作盤51およびかご内スピーカ52が設置され、乗りかご5の下部には着床検出装置53が設置されている。
【0012】
また、当該建物の1階のエレベータ乗場7−1には、乗場操作盤8−1および着床検出装置53による着床位置の検出処理に用いる反射板9−1が設置されている。また、2階のエレベータ乗場7−2には、乗場操作盤8−2および反射板9−2が設置されている。
【0013】
また、昇降路2の上部には制御盤10が設置され、当該制御盤10は、巻き上げ機3に伝送ケーブル11により接続され、乗りかご5のかご内操作盤51に伝送ケーブル12により接続され、かご内スピーカ52に伝送ケーブル13により接続され、着床検出装置53に伝送ケーブル14により接続され、乗場操作盤8−1および8−2に伝送ケーブル15により接続されている。
【0014】
かご内操作盤51は、図2に示すように、行先階を登録するために設置された1つの行先階登録ボタン511と、かご扉(図示せず)を戸開させるための戸開ボタン512と、かご扉を戸閉させるための戸閉ボタン513と、現在の乗りかご5の位置に対応する階床情報を表示する階床情報表示部514と、現在の乗りかご5の進行方向を示す矢印を表示する進行方向表示部515とを有する。行先階登録ボタン511には、上方向の矢印と下方向の矢印とが表示されており、これにより、上方向の行先階登録操作と下方向の行先階登録操作との双方が可能であることが示されている。
【0015】
着床検出装置53は、所定方向にレーザ光を投光し、投光した光が反射板9−1または9−2で反射された反射光を受光すると、乗りかご5が1階乗場7−1または7−2に着床していることを示す着床情報を生成し、制御盤10に送信する。
【0016】
制御盤10は、図3に示すように、かご位置情報取得部101と、呼び登録部102と、動作制御部103とを有する。かご位置情報取得部101は、巻き上げ機3の動作情報と着床検出装置53からの乗りかご5の着床情報の有無とに基づいて、乗りかご5の現在位置情報を所定時間間隔で取得する。呼び登録部102は、乗場操作盤8−1、8−2における操作情報を取得し、取得した情報に基づいて乗場呼びを登録する。また呼び登録部102は、かご内操作盤51における行先階登録ボタン511の操作情報を取得し、取得した情報に基づいてかご呼びを登録する。かご呼びを登録する際は、かご位置情報取得部101で取得された乗りかご5の現在位置情報により乗りかご5が上階(2階)に着床していると判断されているときには、下階(1階)を行先階として登録し、乗りかご5が下階(1階)に着床していると判断されているときには、上階(2階)を行先階として登録する。動作制御部103は、呼び登録部102に登録された乗場呼びおよびかご呼びに応答するために、かご位置情報取得部101で取得された乗りかご5の現在位置情報に基づいて、巻上げ機3の動作を制御する。また、乗場呼びに応答した後、かご内操作盤51から所定時間操作情報が取得されないときには、かご内スピーカ52からボタン操作を促すための音声メッセージ情報を出力させる。
【0017】
〈一実施形態によるエレベータ制御装置を利用したエレベータの動作〉
次に、本実施形態によるエレベータ1の動作の一例として、現在エレベータ1の乗りかご5が2階に着床している状態で、1階にいる利用者がエレベータ1を利用して2階に移動する場合について説明する。図4は、エレベータ1が動作する際に、制御盤10で実行される処理を示すフローチャートである。
【0018】
本実施形態においてエレベータ1の稼働中は、制御盤10のかご位置情報取得部101において、巻き上げ機3の動作情報と着床検出装置53からの着床情報の有無とに基づいて、乗りかご5の現在位置情報が所定時間間隔で取得されている。ここでは、かご位置情報取得部101により、巻上げ機3により乗りかご5が上昇された状態であることが認識され、且つ、着床検出装置53から着床情報が取得されていることにより、乗りかご5の現在位置情報が2階乗場7−2として取得されている。
【0019】
まず、利用者により1階乗場7−1の乗場制御盤8−1が操作されると、当該操作情報が伝送ケーブル15を介して制御盤10に送信される。制御盤10では、乗場操作盤8−1から送信された操作情報が呼び登録部102で取得され、「1階で発生した乗場呼び」が登録される(S1の「YES」)。
【0020】
乗場呼びが登録されると、動作制御部103により、かご位置情報取得部101で取得された乗りかご5の現在位置情報に基づいて、乗りかご5を現在着床している2階から乗場呼び発生階である1階に向けて降下させるように、巻上げ機3の動作が制御される。乗場呼び発生階である1階に乗りかご5が着床して戸開すると(S2の「YES」)、利用者が1階乗場7−1から乗りかご5に乗り込む。このとき、かご内操作盤51の階床情報表示部514には、現在の乗りかご5の着床階である1階を示す「1」が表示されている。
【0021】
次に、乗りかご5に乗り込んだ利用者により行先階登録ボタン511が操作されると(S3の「YES」)、当該操作情報が伝送ケーブル12を介して制御盤10に送信される。制御盤10では、かご内操作盤51から送信された操作情報が呼び登録部102で取得され、現在の乗りかご5の着床階である「1階」と異なる方の階床「2階」が行先階として特定され、「2階を行先階としたかご呼び」が登録される(S4)。
【0022】
かご呼びが登録されると、動作制御部103により、かご位置情報取得部101で取得された乗りかご5の現在位置情報に基づいて、乗りかご5を着床している1階からかご呼びの行先階である2階に向けて上昇させるように、巻上げ機3の動作が制御される(S5)。このとき、かご内操作盤51の進行方向表示部515には、進行方向を示す上方向の矢印が表示される。そして、かご呼びの行先階である2階に乗りかご5が着床すると、かご内操作盤51の階床情報表示部514の表示は、「1」から、現在の乗りかご5の着床階である2階を示す「2」に切り替わる。乗りかご5が2階に着床して戸開すると(S6の「YES」)、利用者が目的の2階乗場7−2に降りることができる。
【0023】
またステップS3において、乗場呼びに応答して乗りかご5が戸開した後、行先階登録ボタン511が操作されずに所定時間が経過したとき(S7の「YES」)には、動作制御部103により、かご内スピーカ52から、行先階登録ボタン511の操作を促すための音声メッセージ情報、例えば「行先階登録ボタンを押してください」が出力される(S8)。
【0024】
以上の本実施形態によれば、2階床間を移動するためのエレベータにおいて、利用者が乗りかごに乗り込んだときに、乗りかごの現在位置を意識することなく、乗りかご内に設置された1つの行先階登録ボタンを操作するのみで、効率よく、もう一方の階床に乗りかごを昇降させることができる。
【0025】
上述した実施形態において、ステップS2において乗場呼び発生階で乗りかご5が戸開した後、行先階登録ボタン511が操作されるまでの間、行先階登録ボタン511を図5に示すように点滅させることで、利用者の注意をひいて行先階登録ボタン511の操作を促すようにしてもよい。このように処理をすることにより、利用者により行先階登録ボタンの押し忘れを減少させることができ、さらに効率よくエレベータを運行させることができる。
【0026】
また、行先階登録ボタン511を点滅させる際に、現在の乗りかご5の着床階と異なる方の階床を行先階としたときの乗りかご5の進行方向を示す矢印の表示エリアのみを点滅させるようにしてもよい。例えば、乗りかご5が2階に着床しているときには、図6(a)に示すように、行先階登録ボタン511の下方向の矢印の表示エリアである下半分を点滅させ、乗りかご5が1階に着床しているときには、図6(b)に示すように、行先階登録ボタン511の上方向の矢印の表示エリアである上半分を点滅させるようにすることで、利用者に進行方向を明示しつつ、行先階登録ボタンの押し忘れを減少させることができる。
【0027】
また、上述したように行先階登録ボタン511を点滅させているにもかかわらず、行先階登録ボタン511が操作されずに所定時間経過したときには、点滅間隔を短くして、さらに利用者の注意をひきやすくしてもよい。
【0028】
また当該エレベータを駅構内に設置する場合に、行先階登録ボタン511に、図7に示すように矢印に加えて、「改札」や「ホーム」等の各階床に関するテキスト情報を表示させることで、利用者に行先階に関する情報を提供し、さらに利便性を高めるようにしてもよい。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0030】
1…エレベータ、2…昇降路、3…巻き上げ機、4…ロープ、5…乗りかご、6…釣り合い錘、7−1,7−2…乗場、8−1,8−2…乗場操作盤、9−1,9−2…反射板、10…制御盤、11〜15…伝送ケーブル、51…かご内操作盤、52…かご内スピーカ、53…着床検出装置、101…かご位置情報取得部、102…呼び登録部、103…動作制御部、511…行先階登録ボタン、512…戸開ボタン、513…戸閉ボタン、514…階床情報表示部、515…進行方向表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7