(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書で開示される燃料供給装置では、燃料供給通路は、燃料室の下部に接続されており、排出口は、燃料供給通路に隣接していてもよい。排出口から流出する燃料が、隣接する燃料供給通路の外壁面を伝って燃料タンク内の燃料に返送されるため、燃料が燃料タンク内に落下する際の落下音が軽減されると同時に確実にリザーブカップ内に燃料が返送される。
【0015】
また、本明細書で開示される燃料供給装置は、第1電子回路の発熱量に応じて、燃料供給通路からの燃料の供給量を制御する手段をさらに備えていてもよい。第1電子回路の発熱時に燃料の供給量を増やす等の制御を行うことができる。
【0016】
また、本明細書で開示される燃料供給装置は、第1電子回路と電気的に接続されている第2電子回路をさらに備えていてもよい。さらには、セットプレートは、第1電子回路を収容する第1ケースが設けられたセットプレート本体と、第2電子回路を収容する第2ケースと、第1ケースの開口に取り付けられる蓋状部を有しており、第1ケースの少なくとも一部に燃料室が設けられており、第2ケースは、第1ケースの上方となる位置に設けられており、第2ケースと蓋状部は、樹脂によって一体に形成されていてもよい。この場合、蓋状部の上壁面と、第2ケースの下壁面との間には、大気と連通する通風路が設けられていることが好ましい。第1ケースの開口に取り付けられる蓋状部が樹脂を材料とする場合、燃料が樹脂を透過することがある。第1ケース側から蓋状部を透過する燃料が、通風路を通過する大気中に排出されるため、燃料に弱い第2電子回路が収容される第2ケース内に透過することを抑制することができる。また、通風路は、第2ケースとセットプレート本体とを固定する固定部材を挿入する固定部材挿入部を兼ねていてもよい。さらに、第1電子回路の発熱が第2電子回路に伝達されることも防ぐことができる。
【0017】
また、本明細書で開示される燃料供給装置では、第2ケースおよびコネクタは、セットプレート本体の外周より内側に備えられていてもよい。例えば、セットプレート本体の外周は、平面視したときに円形であり、第2ケースの上面および下面は、セットプレート本体の外周に沿った円弧部を有する扇形であってもよい。セットプレート本体の外周から突出することなく、第2ケースを配置することができる。
【0018】
また、本明細書で開示される燃料供給装置では、第1電子回路は、燃料ポンプを駆動するポンプコントローラであってもよい。ポンプコントローラは、発熱し易く、燃料と直接接するようにすることによって、効率よく冷却することができる。また、第1電子回路は、燃料の特性を検出する静電容量式のセンサであってもよい。燃料ポンプから供給される攪拌された燃料と直接接するため、燃料の特性を精度よく測定することができる。
【0019】
(第1実施例)
本発明を具現化した第1実施例を
図1〜
図5を用いて説明する。本実施例の燃料供給装置1は、自動車等に取付けられ、エンジンへ燃料を供給するために利用される。
図1に示すように、燃料供給装置1は、燃料タンク12の上部に設置される蓋状のセットプレート本体14と、燃料タンク12内に収容される燃料ポンプ22とを備えている。セットプレート本体14の上面には、燃料取出し管14bが形成されている。燃料取出し管14bは、図示しない燃料供給管の一端と接続されている。この燃料供給管の他端はエンジンに接続されている。セットプレート本体14は、平面視すると、円形であり、燃料タンク12の開口に取付けられている。
【0020】
燃料供給部10は、リザーブカップ18と、燃料ポンプ22と、燃料フィルタ20と、サクションフィルタ28と、プレッシャレギュレータ30を備えている。リザーブカップ18は略円筒形状であり、上端は開口し、底部を有している。リザーブカップ18は、燃料ポンプ22と、燃料フィルタ20と、サクションフィルタ28と、プレッシャレギュレータ30を収容し、燃料タンク12の底部に設置されている。サクションフィルタ28は、リザーブカップ18の底部に設置されており、燃料ポンプ22の下方に位置している。プレッシャレギュレータ30は、リザーブカップ18の底部に設置されている。セットプレート本体14の第1ケース40と、プレッシャレギュレータ30とは、管路34によって接続されている。
【0021】
燃料ポンプ22は、その軸線が燃料タンク12の開口に対して垂直となり、かつ、燃料吐出口22bが上側となる一方で燃料吸入口22aが下側となるようにリザーブカップ18内に収容されている。燃料吐出口22bは、接続管16aを介して燃料フィルタ20と接続されている。燃料フィルタ20は略円筒形状であり、燃料ポンプ22の周囲に配設されている。燃料フィルタ20は、接続管16bを介して燃料取出し管14bと接続されている。また、燃料フィルタ20は、プレッシャレギュレータ30と接続されている。プレッシャレギュレータ30は、燃料ポンプ22から燃料フィルタ20に吐出される燃料の一部を管路68aに流すことで、燃料フィルタ20から接続管16bに流れる燃料の圧力を調整する。これによって、エンジンに供給される燃料の圧力が一定の圧力に維持される。
【0022】
図1〜4に示すように、セットプレート本体14には、第1電子回路60を収容する第1ケース40が設けられている。セットプレート本体14の上部には、第2電子回路52を収容する第2ケース42が位置している。第2ケース42には、コネクタ50が設けられている。すなわち、セットプレート本体14と第2ケース42が
、「セットプレート」の一例である。
【0023】
第1ケース40は、外側部材55と、内側部材68とを備えている。第1ケース40は、外側部材55と内側部材68によって区画される、燃料供給通路71と、燃料室72と、燃料返送通路73とを備えている。
【0024】
外側部材55と内側部材68とは、互いに間隔を空けて配置されている。内側部材68は、管路68aと、底面を有する円筒形状の容器68bとを備えている。管路68aは、その上端部において容器68bの底面に連結しており、下端部において管路34に接続している。管路68aの内側の流路は、燃料供給通路71である。外側部材55の内側は燃料室であり、容器68bによって、回路収容部72と燃料返送部73とに区画されている。容器68bの内側は、回路収容部72であり、容器68bの外側は、燃料返送部73である。第1電子回路60は、その全体が燃料室の回路収容部72に露出している。外側部材55は、管路55aと、円筒形状の容器55bとを備えている。容器55bの上端は開口している。管路55aは、その上端部において容器55bの底面に連結している。管路55aの内側に管路68aが配置されている。管路55aの長さは、管路68aよりも十分に短く、管路55aの下端の排出口73aは、燃料タンク12内のリザーブカップ18内に向かって開放されている。排出口73aおよびその近傍には、管路68aが配置されており、排出口73aおよびその近傍の流路は、管路68aの外壁面および管路55aの内壁面によって区画されている。すなわち、排出口73aは、燃料供給通路71の外側に隣接している。
【0025】
第1電子回路60は、静電容量式のセンサである。第1電子回路60は、板状部57と、板状部57の表面および裏面に形成された電極対58a,58bとを備えている。電極対58a,58bは、それぞれ表面または裏面上で間隔を空けて対向する電極対である。電極対58a,58bは、それぞれターミナル59a,59bによって、第2電子回路52と電気的に接続している。第1電子回路60は、燃料室72内を流れる燃料に直接接しているため、第1電子回路60を用いて静電容量を調べることによって、その燃料の特性(例えば、液質、エタノール濃度等)を調べることができる。第2電子回路52は、信号処理回路であり、第1電子回路60から入力される電気信号を処理し、処理後の信号を、コネクタ50を介して、外部回路に出力する。なお、図示していないが、燃料供給装置1は、第1電子回路60の発熱量を検知する検知手段(例えば、サーミスタ等)を備えている。検知手段の検知値に応じて燃料ポンプ22から吐出される燃料を制御することで、プレッシャレギュレータ30から燃料室72に供給される燃料の供給量を制御することができる。これによって、第1電子回路60の発熱量に応じて燃料室72に供給される燃料供給量が調整され、第1電子回路60が好適に冷却される。
【0026】
第2ケース42は、筐体54と、蓋53とを備えている。筐体54の内部に第2電子回路52が配置されており、筐体54の上面に設置された蓋53によって、密閉されている。第2電子回路52とコネクタ50は、ターミナル51によって電気的に接続している。
【0027】
筐体54の下面は、第1ケース40内に露出している。第1電子回路60の板状部57の上端は筐体54の下面に固定されている。板状部57は、筐体54の下面から下方に向かって伸び、その下端部が第1ケース40の燃料室の回路収容部72内に位置している。
【0028】
セットプレート本体14と、外側部材55は、樹脂によって一体に形成されている。筐体54と、板状部57と、コネクタ50は、樹脂によって一体に形成されている。筐体54は、その下部において外側部材55の内側に嵌合している。筐体54と外側部材55との隙間は、シール材62によって封止されている。筐体54の下部は、第1ケース60の容器55bの開口に取り付けられる蓋状部として機能する。内側部材68の容器68bの上端は、通路72aが設けられている部分を除いて、筐体54の下面に接合されている。
【0029】
燃料供給装置1の動作について説明する。外部電源から燃料ポンプ22に電力が供給されると、燃料ポンプ22が駆動される。燃料ポンプ22が駆動されると、リザーブカップ18内の燃料は、サクションフィルタ28によって吸引されるとともに濾過され、燃料吸入口22aより燃料ポンプ22内に吸引される。燃料ポンプ22内に吸入された燃料は、昇圧されて燃料吐出口22bから吐出される。燃料ポンプ22から吐出された燃料は、燃料フィルタ20へ送られ、再度濾過される。燃料フィルタ20で濾過された燃料は、プレッシャレギュレータ30によってエンジンの運転状態に応じた圧力に調圧される。調圧された燃料は、燃料取出し管14bからエンジンへ送られる。
【0030】
一方、プレッシャレギュレータ30から戻された燃料は、管路68a内の燃料供給通路71に送られる。
図5は、燃料供給通路71,回路収容部72、燃料返送部73を流れる燃料の流れを矢印で示している。プレッシャレギュレータ30から燃料供給通路71に送られた燃料は、さらに、管路68aと容器68bとの連結部を通過して、燃料室の回路収容部72内に送られる。回路収容部72内には、第1電子回路60が露出した状態で配置されており、第1電子回路60は、燃料に直接接して、燃料によって冷却される。第1電子回路60は、燃料に直接接するため、効率よく冷却される。また、燃料ポンプ22から吐出されて攪拌された燃料が第1電子回路60に接するため、第1電子回路60は、燃料特性を精度よく検出することができる。すなわち、燃料タンク12内の燃料と第1電子回路60(すなわち、静電容量式センサ)を接触させる構成とした場合、燃料タンク12内で燃料が分離していると、第1電子回路60で燃料特性を正確に検出できない。一方、本実施例の構成によると、燃料ポンプ22から吐出されて攪拌された燃料と第1電子回路60が接触するため、上記の問題がなく、燃料特性を精度よく検出することができる。容器68bは、第1電子回路60が必要とする燃料量を貯留することで、第1電子回路60と燃料との接触を確実にする。また、容器68bの上流に設けられたプレッシャレギュレータ30あるいは逆止弁(図示しない)が閉弁することにより、燃料ポンプ22の停止中でも、容器68b内の貯留燃料は保持される。
【0031】
その後、燃料は、容器68bの上方の通路72aを通過して容器68bと容器55bとの間の燃料返送部73に流れ込む。燃料は、燃料返送部73を通過して、排出口73aから燃料タンク12に排出される。排出口73aは、燃料供給通路71を区画する管路68aの外壁面に隣接しているため、燃料は、管路68aおよびこれに接続する管路34の外壁面を伝って、燃料タンク12内のリザーブカップ18内に確実に戻される。
図1に示すように、管路34は、燃料タンク12の下部に設置されたプレッシャレギュレータ30まで伸びているため、排出口73aから排出される燃料が、その出口からリザーブカップ18内に貯留されている燃料の液面に向かって落下することを抑制でき、その落下の際に落下音が発生することを抑制することができる。
【0032】
(第2実施例)
第2実施例に係る燃料供給装置は、第1ケースの構成において、第1実施例に係る燃料供給装置と相違している。
【0033】
図6および
図7に示すように、第1ケース140は、外側部材155と、管路168aと、板状部168bとを備えている。外側部材155は、その流路断面が略半円状の半円管路155aと、底面を有する円筒形状の容器155bとを備えている。容器155bの上端は開口している。半円管路155aは、略半円状に欠けた方において管路168aの側面に接合されている。半円管路155aおよび管路168aは、その上端部において容器155bの底面に連結している。管路168aは、その下端部において管路34に接続している。管路168aの内側の流路は、燃料供給通路171である。板状部168bは、半円管路155aおよび管路168aの上方を通る位置で、容器155bを仕切るように配置されている。容器155bの内側は燃料室であり、板状部168bによって、管路168aに連結する回路収容部172と、半円管路155aに連結する燃料返送部173とに分離されている。回路収容部172と燃料返送部173とは、板状部168bの上方の通路172aにおいて連通している。燃料返送部173は、さらに、半円管路155aの下端の排出口173aに接続している。排出口173aは、
図1と同様に、燃料タンク12内のリザーブカップ18内に向かって開放されている。排出口173aおよびその近傍は、半円管路155aの内壁面と管路168aの外壁面の一部によって構成されており、燃料供給通路171の外側の一部と隣接している。
【0034】
セットプレート本体14と、外側部材155と、管路168aおよび板状部168bは、樹脂によって一体に形成されている。筐体54と、コネクタ50は、樹脂によって一体に形成されている。
【0035】
回路収容部172内には、第1電子回路160が露出して配置されている。第1電子回路160の具体的な構成は、第1電子回路60と同様であるため、詳細な説明は省略する。第2実施例に係る燃料供給装置のその他の構成は、第1実施例と同様であるため、説明を省略する。
【0036】
第2実施例においても、第1実施例と同様の作用効果を得ることができる。すなわち、第1電子回路160は燃料室の回路収容部172内に露出しており、燃料に直接接するため、効率よく冷却される。また、排出口173aは、燃料供給通路171を区画する管路168aの外壁面の一部に隣接している。このため、燃料は、管路168aおよび管路34の外壁面を伝って、燃料タンク12内のリザーブカップ18内に確実に戻され、燃料が返送される際に落下音が発生することを抑制することができる。また、燃料ポンプ22から吐出されて攪拌された燃料が第1電子回路160に接するため、第1電子回路160は、燃料特性を精度よく検出することができる。
【0037】
(第3実施例)
第3実施例に係る燃料供給装置は、第1ケース、第2ケースおよび第1電子回路の構成において、第1実施例に係る燃料供給装置と相違している。
【0038】
図8および
図9に示すように、第1ケース240は、外側部材255と、内側部材268と、蓋状部254dとを備えている。第2ケース242は、蓋253と、筐体254aと、筐体254aと蓋状部254dとを連結する接続部254b,254cとを有している。筐体254aの下面と、蓋状部254dの上面とは離間しており、その間に、外気と連通する通風路275が設けられている。通風路275は、筐体254aの下面、蓋状部254dの上面、接続部254b,254cによって囲まれている。なお、
図9では、第1ケース240の構成を理解し易くするために、
図8に示すIX−IX線断面に現れる蓋状部254dおよび第1電子回路260の図示を省略している。
【0039】
内側部材268は、管路268aと、底面を有する筐体形状の容器268bとを備えている。管路268aは、その上端部において容器268bの底面に連結しており、下端部において管路34に接続している。外側部材255は、管路255aと、筐体形状の容器255bとを備えている。容器255bの上端は開口している。容器268bは、
図8に示すy方向において容器255bと接合しており、z軸の正方向(上方)において蓋状部254dと接合している。容器268bは、上方の一部に設けられた通路272aおいて蓋状部254dと離間している。管路255aは、その上端部において容器255bの底面に連結している。管路255aの内側に管路268aが配置されている。
【0040】
管路268aの内側の流路は、燃料供給通路271である。外側部材255の内側は、燃料室であり、容器268bによって、回路収容部272と燃料返送部273とに区画されている。容器268bの内側は、回路収容部272であり、容器268bの外側は、燃料返送部273である。第1電子回路260は、第1ケース240内に収容されている。第1電子回路260は、その平面方向が蓋状部254dの下面と平行になるように固定されており、その下面側が回路収容部272内に露出している。第1電子回路260は、燃料ポンプ22を駆動するポンプコントローラの発熱部である。第2電子回路252は、第2ケース242の筐体254a内に収容されており、蓋253によって、密閉されている。第2電子回路252は、第1実施例等と同様に、ポンプコントローラの信号処理回路である。第1電子回路260と、第2電子回路252とは、第2電子回路252から、筐体254a、接続部254b、蓋状部254dを貫通するターミナル259によって電気的に接続されている。
【0041】
管路255aの長さは、管路268aよりも十分に短く、管路255aの下方は、
図1と同様に、燃料タンク12内のリザーブカップ18内に向かって開放されている。排出口273aおよびその近傍には、管路268aが配置されており、排出口273aおよびその近傍の流路は、管路268aの外壁面および管路255aの内壁面によって区画されている。すなわち、排出口273aは、燃料供給通路271の外側に隣接している。
【0042】
セットプレート本体214と、外側部材255とは、樹脂によって一体に形成されている。筐体254aと、接続部254b,254cと、蓋状部254dと、コネクタ50は、樹脂によって一体に形成されている。蓋状部254dは、外側部材255の内側に嵌合いる。蓋状部254dと外側部材255との隙間は、シール材262によって封止されている。蓋状部254dは、第1ケース240の容器255bの開口に取り付けられる。内側部材268の容器268bの上端は、通路272aが設けられている部分を除いて、蓋状部254dの下面に接合されている。第3実施例に係る燃料供給装置のその他の構成については、第1実施例と同様であるため、説明を省略する。
【0043】
第3実施例においても、第1実施例と同様の作用効果を得ることができる。すなわち、第1電子回路260は燃料室の回路収容部272内に露出しており、燃料に直接接するため、効率よく冷却される。また、排出口273aは、燃料供給通路271を区画する管路268aの外壁面に隣接している。このため、燃料は、管路268aおよび管路34の外壁面を伝って、燃料タンク12内のリザーブカップ18内に確実に戻され、燃料が返送される際に落下音が発生することを抑制することができる。また、第1電子回路260は、ポンプコントローラの発熱部であり、ポンプコントローラは、発熱し易い。発熱し易い第1電子回路260が、燃料と直接接しているため、効率よく冷却することができる。
【0044】
さらに、第3実施例においては、第1ケース240の開口に取り付けられる蓋状部245dの上壁面と、第2ケース242の筐体254aの下壁面との間に、大気と連通する通風路275が設けられている。蓋状部245dは樹脂を材料としているため、第1ケース240側から蓋状部254dを介して、第2ケース242内に向かって燃料が透過することが懸念される場合がある。第3実施例によれば、蓋状部245dの上壁面と第2ケース242の筐体254aの下壁面との間に通風路275が設けられている。このため、第1ケース240内の燃料が蓋状部245dを透過した場合であっても、通風路275によって、燃料が大気中に拡散され、第2ケース242内に向かって燃料がさらに透過することを抑制することができる。燃料に弱い第2電子回路が収容される第2ケース内に、燃料が透過することを抑制することができる。
【0045】
なお、通風路275は、第2ケース242とセットプレート本体214とを固定する固定部材を挿入するための固定部材挿入部を兼ねていてもよい。例えば、接続部254b,254cの通風路275側に、固定部材と係合する係合部が形成されており、固定部材を通風路275内に挿入して、通風路275側の係合部と、固定部材側の係合部とを係合させることによって、第2ケース242とセットプレート本体214とを固定するように構成されていてもよい。
【0046】
(第4実施例)
第4実施例に係る燃料供給装置は、第1ケースの構成において、第3実施例に係る燃料供給装置と相違している。
【0047】
図10および
図11に示すように、第1ケース340は、外側部材355と、管路368aと、板状部368bとを備えている。外側部材355は、略半円状の半円管路355aと、筐体形状の容器355bとを備えている。容器355bの上端は開口している。半円管路355aは、略半円状に欠けた方において管路368aの側面に接合されている。半円管路355aおよび管路368aは、その上端部において容器355bの底面に連結しており、底面のy方向の中央よりもy軸の負方向側に配置されている。管路368aは、その下端部において管路34に接続している。管路368aの内側の流路は、燃料供給通路371である。板状部368bは、半円管路355aおよび管路368aの上方を通る位置で、容器355bを仕切るように配置されている。容器355bの内側は、燃料室であり、板状部368bによって、管路368aに連結する回路収容部372と、半円管路355aに連結する燃料返送部373に分離されている。板状部368bの上方のy軸の正方向の端部付近に通路372aが設けられており、通路372aによって、回路収容部172と燃料返送部173は連通している。燃料返送部373は、さらに、半円管路355aの下端の排出口373aに接続している。排出口373aは、
図1と同様に、燃料タンク12内のリザーブカップ18内に向かって開放されている。排出口373aおよびその近傍は、半円管路355aの内壁面と管路368aの外壁面の一部によって構成されており、燃料供給通路371の外側の一部と隣接している。
【0048】
セットプレート本体214と、外側部材355と、管路368aおよび板状部368bは、樹脂によって一体に形成されている。筐体254aと、接続部254b,254cと、蓋状部254dと、コネクタ50は、樹脂によって一体に形成されている。第4実施例に係る燃料供給装置のその他の構成は、第3実施例と同様であるため、説明を省略する。
【0049】
第4実施例においても、第1実施例と同様の作用効果を得ることができる。すなわち、第1電子回路260は燃料室の回路収容部372内に露出しており、燃料に直接接するため、効率よく冷却される。また、排出口373aは、燃料供給通路371を区画する管路368aの外壁面の一部に隣接している。このため、燃料は、管路368aおよび管路34の外壁面を伝って、燃料タンク12内のリザーブカップ18内に確実に戻され、燃料が返送される際に落下音が発生することを抑制することができる。
【0050】
また、第3実施例と同様の通風路275が設けられているため、燃料が、第1ケース340側から第2ケース242内に向かって透過することを抑制することができる。また、第1電子回路260は、ポンプコントローラの発熱部であり、ポンプコントローラは、発熱し易い。発熱し易い第1電子回路260が、燃料と直接接しているため、効率よく冷却することができる。さらに、第1電子回路の発熱が第2電子回路に伝達されることも防ぐことができる。
【0051】
(変形例)
第2ケースおよびコネクタは、セットプレート本体の外周より内側に備えられていることが好ましい。例えば、セットプレート本体を平面視すると円形である場合には、第2ケースの上面および下面は、セットプレート本体の外周に沿った円弧部を有する扇形であってもよい。
図12および
図13に示すように、第2ケース542の上面および下面は、平面視すると扇形であり、第2ケース542の円弧部542aが、円形のセットプレート本体514の外周514aに沿うように構成されている。第1ケース540は、第2ケース542の扇形の下面から伸びており、コネクタ550は、第2ケース542の扇形の直線部に連結する側面から伸びている。第2ケース542は、セットプレート本体514の外周から突出することなくセットプレート本体514の上面に配置することができる。
【0052】
また、
図14に示すように、平面視したときに、円形のセットプレート本体614の上部に、中心角が90°の扇形である上面および下面を有する第2ケース642a,642bが2つ配置されていてもよい。第2ケース642aに収容されている第2電子回路は、ポンプコントローラである。第2ケース642bに収容されている第2電子回路は、静電容量式の燃料センサである。また、第2ケース642a,642bは互いに隣接して配置されており、セットプレート本体614の上部の第2ケース642a,642bが形成されていない部分に、燃料取出管614bおよび燃料戻り管614cが設けられていてもよい。
図15に示すように、第2ケース642a内に収容されたポンプコントローラ(FPC)は、図示しない外部回路からの電気信号を受けて燃料ポンプ(EFP)を制御する。また、第2ケース642b内に収容された静電容量式の燃料センサには、燃料ポンプからの供給燃料の一部が供給され、測定した液質の電気信号を図示しない外部回路に出力する。外部回路は、エンジン動作状況を示す各種情報に基づいて、ポンプコントローラを制御するための信号を出力する。なお、
図15において、
図1と同じ参照番号を付しているものは、同様の構成を示しているため、説明を省略する。
【0053】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0054】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。