特許第6158276号(P6158276)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6158276チオピリジノン化合物を用いてケラチン成分の色素を除去するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6158276
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】チオピリジノン化合物を用いてケラチン成分の色素を除去するための方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 213/82 20060101AFI20170626BHJP
   A61Q 19/02 20060101ALN20170626BHJP
   A61K 8/49 20060101ALN20170626BHJP
【FI】
   C07D213/82CSP
   !A61Q19/02
   !A61K8/49
【請求項の数】4
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2015-231634(P2015-231634)
(22)【出願日】2015年11月27日
(62)【分割の表示】特願2013-543653(P2013-543653)の分割
【原出願日】2011年12月8日
(65)【公開番号】特開2016-74706(P2016-74706A)
(43)【公開日】2016年5月12日
【審査請求日】2015年12月21日
(31)【優先権主張番号】1060474
(32)【優先日】2010年12月14日
(33)【優先権主張国】FR
(31)【優先権主張番号】61/425,258
(32)【優先日】2010年12月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】クザヴィエ・マラ
【審査官】 齋藤 光介
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5931909(JP,B2)
【文献】 国際公開第2010/102809(WO,A1)
【文献】 米国特許第05168113(US,A)
【文献】 特開昭52−131597(JP,A)
【文献】 米国特許第04548942(US,A)
【文献】 特開2002−275159(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(Ia)の化合物:
【化1】
又は式(I'a)のその互変異性体形態:
【化2】
[式中、
R1が水素原子を表すとき、R2は、不飽和型のC2〜C20アルキル基、環状のC7アルキル基、飽和型の直鎖状のC1〜C20若しくは分枝状のC3〜C20アルキル基又は (C1〜C20)アルキルアリールとから選ばれる基を表し、1つ又は複数の同一の又は異なる-OR3基で置換されており、R3は、水素原子、又は、飽和型の直鎖状のC1〜C5若しくは分枝状のC3〜C5若しくは不飽和型のC2〜C5の炭化水素基を表し、
R1が、飽和型の直鎖状のC1〜C10又は分枝状のC3〜C10又は不飽和型のC2〜C10アルキル基であり、1つ又は複数の-OR3基で場合により置換されているアルキル基を表すとき、R2は、
a)飽和型の分枝状のC3〜C12又は環状のC3〜C7アルキル基であり、1個若しくは複数、好ましくは1個の酸素原子が場合により割り込んでおり、及び/又は、1つ若しくは複数の同一の若しくは異なる-OR3基を場合により含有するアルキル基
から選ばれる基を表し、
R3は、水素原子、又は、場合により水酸化されている飽和型の直鎖状のC1〜C5若しくは分枝状のC3〜C5炭化水素基を表す]、
さらに、その塩、その光学異性体、及びそのラセミ化合物。
【請求項2】
R1が水素原子を表すとき、R2は、不飽和型のC2〜C20アルキル、飽和型の直鎖状のC1〜C20若しくは分枝状のC3〜C20アルキル又は (C1〜C6)アルキルフェニルとから選ばれる基を表し、1つ又は複数の同一の又は異なる-OR3基で置換されており、R3は、水素原子、又は、飽和型の直鎖状のC1〜C5若しくは分枝状のC3〜C5若しくは不飽和型のC2〜C5炭化水素基を表し、
R1が、飽和型の直鎖状のC1〜C12又は分枝状のC3〜C10又は不飽和型のC2〜C10アルキル基であり、1つ又は複数の-OR3基で場合により置換されているアルキル基を表すとき、R2は、
a)飽和型の分枝状のC3〜C12又は環状のC3〜C7アルキル基であり、1個若しくは複数、好ましくは1個の酸素原子が場合により割り込んでおり、及び/又は、1つ若しくは複数の同一の若しくは異なる-OR3基を場合により含有するアルキル基
から選ばれる基を表し、
R3は、水素原子、又は、場合により水酸化されている飽和型の直鎖状のC1〜C5若しくは分枝状のC3〜C5炭化水素基を表す
請求項1に記載の式(I)又は(I'a)の化合物。
【請求項3】
R1が水素原子を表すとき、R2は、飽和型の直鎖状のC1〜C20若しくは分枝状のC3〜C20アルキル又は (C1〜C6)アルキルフェニルとから選ばれる基を表し、1つ又は複数の同一の又は異なる-OR3基で置換されており、R3は、水素原子、又は、飽和型の直鎖状のC1〜C5若しくは分枝状のC3〜C5若しくは不飽和型のC2〜C5炭化水素基を表し、
R1が、飽和型の直鎖状のC1〜C10又は分枝状のC3〜C10又は不飽和型のC2〜C10アルキル基であり、1つ又は複数の-OR3基で場合により置換されているアルキル基を表すとき、R2は、
a)飽和型の分枝状のC3〜C12又は環状のC3〜C7アルキル基であり、1個若しくは複数、好ましくは1個の酸素原子が場合により割り込んでおり、及び/又は、1つ若しくは複数の同一の若しくは異なる-OR3基を場合により含有するアルキル基から選ばれる基を表し、
R3は、水素原子、又は、場合により水酸化されている飽和型の直鎖状のC1〜C5若しくは分枝状のC3〜C5炭化水素基を表す
請求項1又は2のいずれかに記載の式(Ia)又は(I'a)の化合物。
【請求項4】
N-(2-ヒドロキシエチル)-2-チオキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-チオキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-(2,3-ジヒドロキシプロピル)-2-チオキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-(1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イル)-2-チオキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-エチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-2-チオキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル]-2-チオキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド
から選ばれる、請求項1又は2のいずれかに記載の式(Ia)又は(I'a)の化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美容処置の方法、具体的には、チオピリジノン型の少なくとも1つの化合物を用いた、皮膚を色素除去及び/又は白色化するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人生のさまざまな時期において、皮膚、より特定すれば手に黒ずんだ及び/又はより色の濃い跡を生じる人がおり、このような跡があると、皮膚が異質な外見を呈する。このような跡は、具体的には、皮膚の表面に位置するケラチン生成細胞中の高濃度のメラニンに起因する。
【0003】
良好な有効性を呈する無害の局所用色素除去物質の使用は、色素性の跡を処置する目的においては特に望ましい。
【0004】
皮膚の色素沈着の形成、すなわちメラニンの形成の機序は、とりわけ複雑であり、概略的には、
チロシン--->ドーパ--->ドパキノン--->ドパクロム--->メラニン
という主要な段階を含む。チロシナーゼ(モノフェノールジヒドロキシルフェニルアラニン:酸素オキシドレダクターゼEC1.14.18.1)は、この一連の反応に関与する必須酵素である。具体的には、チロシナーゼは、チロシンをドーパ(ジヒドロキシフェニルアラニン)に変換させる反応をそのヒドロキシラーゼ活性により、また、ドーパをドパキノンに変換させる反応をそのオキシダーゼ活性により、触媒する。このチロシナーゼは、成熟形態であるときにのみ、一定の生物学的要因の作用下で作用する。
【0005】
物質は、それが、メラニン形成の行われる表皮メラニン形成細胞の活力に直接作用する場合、及び/又は、メラニン形成に関わる酵素のうち1つを阻害するか、若しくは、メラニン合成鎖の化学化合物のうち1つの構造類似体として入り込むことでこの鎖を分断化でき、それにより確実に色素除去できるか、そのいずれかによりメラニン生合成のステップの1つを妨げる場合に、色素除去物質であると認められる。
【0006】
アルブチン、ナイアシンアミド、及びコウジ酸は、皮膚色素除去剤として公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】EP-A-298752
【特許文献2】WO03/014062
【特許文献3】FR-A-2349591
【特許文献4】FR-A-2555450
【特許文献5】WO2008/012532
【特許文献6】EP0852949
【特許文献7】US4367390
【特許文献8】EP863145
【特許文献9】EP517104
【特許文献10】EP570838
【特許文献11】EP796851
【特許文献12】EP775698
【特許文献13】EP878469
【特許文献14】EP933376
【特許文献15】EP507691
【特許文献16】EP507692
【特許文献17】EP790243
【特許文献18】EP944624
【特許文献19】EP669323
【特許文献20】US2463264
【特許文献21】US5237071
【特許文献22】US5166355
【特許文献23】GB2303549
【特許文献24】DE19726184
【特許文献25】EP893119
【特許文献26】WO93/04665
【特許文献27】DE19855649
【特許文献28】EP518772
【特許文献29】EP518773
【特許文献30】FR-A-2734825
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Comprehensive Organic Transformation、R. Larock著、Wiley VCH刊、Interconversion of nitriles, carboxylic acids and derivativesの章
【非特許文献2】Phosphorus in organic synthesis-XI、Amino acids and peptides-XXI、Reaction of diethyl phosphorocyanidate with carboxylic acids. A new synthesis of carboxylic esters and amides、Tetrahedron、32、1976、2211〜2217頁
【非特許文献3】A. Monge、V. Martinez-Merino、Synthesis of 2-substituted 3-Oxoisothiazolo[5,4-b]pyridines、J. heterocyclic. Chem、22、1353頁、(1985)
【非特許文献4】A. Dunn、R. Norrie、Synthesis of pyrido-1,3-thiazines、Zeitschrift fur chemie、1988、第28巻、第6号、212/214頁
【非特許文献5】S. Andreae、J. Parkt. Chem.、339、(1997)、152〜158頁
【非特許文献6】S. Gorsuch、Biorganic & Medicinal Chemistry、17、(2009)、467〜474頁
【非特許文献7】A. Mongeら、J. Heterocyclic Che.、25、23頁、(1988)
【非特許文献8】M. Pregnolato、Il Farmaco、55、(2000)、669〜679頁
【非特許文献9】R. Schmidt、P. Krien、及びM. Regnier、Anal.Bichem.、235(2)、113〜18頁、1996
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
有効な色素除去作用を呈する物質、とりわけ、アルブチン、ナイアシンアミド、及びコウジ酸の色素除去作用を超える物質の探索が行われてきた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この点に関し、出願人は、驚くべきことに、また予想外なことに、チオピリジノン化合物の中には、低濃度でも良好な色素除去活性を呈するものがあることを見出した。
【0011】
したがって、本発明の主題は、ケラチン成分、とりわけ皮膚を色素除去、明色化、及び/又は白色化するための非治療的で美容的な方法であって、生理学的に許容される媒体中に以下で定義する少なくとも1つの式(I)の化合物を含む化粧品組成物を適用することを含む方法である。
【0012】
本発明は、さらに、ケラチン成分、とりわけ皮膚のための白色化剤、明色化剤、及び/又は色素除去剤としての、式(I)の化合物の非治療的で美容的な使用に関する。
【0013】
本発明に従って使用される化合物は、ヒトの皮膚を有効に色素除去、及び/又は明色化、又はさらには白色化することを可能にする。本化合物は、とりわけ、茶色がかった色素沈着跡若しくは老化跡を呈する個体の皮膚、又は、メラニン形成により生じる茶色がかった色の外見を改善したいと願う個体の皮膚に適用することを意図したものである。
【0014】
本化合物は、体毛、まつ毛、頭髪、さらには唇、及び/又は爪を色素除去及び/又は明色化することも可能にし得る。
【発明を実施するための形態】
【0015】
したがって、本発明に従って使用される化合物は、以下の式(I)又は(I'):
【0016】
【化1】
【0017】
[式中、
R1とR2とは、同一であっても異なっていてもよく、
a)水素原子、
b)飽和型の直鎖状のC1〜C20又は分枝状のC3〜C20又は不飽和型のC2〜C20アルキル基であり、N、S、Oから選ばれる1個若しくは複数のヘテロ原子が場合により割り込んでおり、及び/又は、
i)-OR3
ii)-SR3
iii)-NR3R4
iv)-CONHR3
v)-COOR3
vi)C5〜C12アリール基であり、1つ若しくは複数のヒドロキシル基及び/又は1つ若しくは複数のC1〜C8アルコキシ基で場合により置換されているアリール基
から選ばれる同一であっても異なっていてもよい1つ若しくは複数の基で場合により置換されているアルキル基、
c)飽和型のC1〜C8アルキル基であり、1つ若しくは複数のヒドロキシル基及び/又は1つ若しくは複数のC1〜C8アルコキシ基で場合により置換されているC5〜C12アリール基で置換されているアルキル基、
d)1つ若しくは複数のヒドロキシル基及び/又は1つ若しくは複数のC1〜C8アルコキシ基で場合により置換されているフェニル基
から選ばれる基を表し、
R3は、水素原子、又は、飽和型の直鎖状のC1〜C5若しくは分枝状のC3〜C5若しくは不飽和型のC2〜C5炭化水素基を表し、
R4は、水素原子、飽和型の直鎖状のC1〜C5若しくは分枝状のC3〜C5炭化水素基、又はアセチル基を表し、
R1とR2とは、それらを担持している窒素原子と共に、ピロリジン、ピロリン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、アゼピンから選ばれる環を形成することが可能である]、
さらに、その塩、その溶媒和物、その光学異性体、及びそのラセミ化合物に対応する。
【0018】
化合物(I')は、以下のスキーム:
【0019】
【表1】
【0020】
による互変異性平衡が存在するとき、化合物(I)の互変異性体形態である。
【0021】
式(I)又は(I')の化合物の塩は、前記化合物の従来型の非毒性塩、例えば、酸又は塩基から形成されるものを含む。
【0022】
式(I)又は(I')の化合物(四級化可能な窒素原子を含むとき)の塩としては、
a)化合物(I)又は(I')に、無機酸、とりわけ、塩酸、ホウ酸、臭化水素酸、ヒドロン酸(hydrioic acid)、硫酸、硝酸、炭酸、リン酸、テトラフルオロホウ酸から選ばれる無機酸を付加することにより得られる塩、
b)又は、化合物(I)又は(I')に、有機酸、具体的には、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、フマル酸、乳酸、グリコール酸、クエン酸、グルコン酸、サリチル酸、酒石酸、テレフタル酸、メチルスルホン酸、エチルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、トリフル酸から選ばれる有機酸を付加することにより得られる塩
を挙げることができる。
【0023】
さらに、式(I)又は(I')の化合物(酸性基を含むとき)に、無機塩基を付加することにより得られる塩、例えば、例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化アンモニウム、水酸化マグネシウム、水酸化リチウム、及び、ナトリウム、カリウム、若しくはカルシウムの炭酸塩若しくは炭酸水素塩、
又は、有機塩基、例えば第一級、第二級、若しくは第三級アルキルアミン、例としてはトリエチルアミン若しくはブチルアミンを付加することにより得られる塩
を挙げることができる。この第一級、第二級、又は第三級アルキルアミンは、1個又は複数の窒素原子及び/又は酸素原子を含んでもよく、したがって、例としては1つ又は複数のアルコール官能基を含んでもよく、具体的には、2-アミノ-2-メチルプロパノール、エタノールアミン、トリエタノールアミン、2-ジメチルアミノプロパノール、2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール、及び3-(ジメチルアミノ)プロピルアミンを挙げることができる。
【0024】
さらに、アミノ酸(例としては、リシン、アルギニン、グアニジン、グルタミン酸、又はアスパラギン酸など)を挙げることができる。
【0025】
有利には、式(I)又は(I')の化合物(酸性基を含むとき)の塩は、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、又はマグネシウム塩)及びアンモニウム塩から選んでもよい。
【0026】
有利には、式(I)又は(I')の化合物(四級化可能な窒素原子を含むとき)の塩は、ハロゲン化物、例えば塩化物又は臭化物から、並びに、クエン酸塩、酢酸塩、コハク酸塩、リン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩から、選ぶことができる。
【0027】
本発明において記載する化合物の許容される溶媒和物は、従来型の溶媒和物、例えば、溶媒が存在する結果として前記化合物の調製中に形成されるものを含む。例としては、水、又は、直鎖状若しくは分枝状のアルコール(例えばエタノール若しくはイソプロパノール)が存在することにより得られる溶媒和物を挙げることができる。
【0028】
光学異性体は、具体的には、エナンチオマー及びジアステレオ異性体である。
【0029】
優先的には、直鎖状又は分枝状の基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシルから選ぶことができる。
【0030】
より優先的には、飽和型の直鎖状又は分枝状アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルから選ぶことができる。
【0031】
優先的には、C1〜C4アルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、さらにより優先的にはメトキシから選ぶことができる。
【0032】
式(I)の化合物は、2-メルカプトニコチン酸と、式HNR1R2(R1及びR2は、前述した意味を有する)のアミンとを、とりわけ、塩基(例えばカルボニルジイミダゾール)の存在下で反応させることにより、公知の方式で得ることができる。
【0033】
式(I)の化合物は、さらに、2-メルカプトニコチン酸又は2-クロロニコチン酸を、式HNR1R2(R1及びR2は、前述した意味を有する)のアミンと、とりわけ、カルボン酸を活性化させる薬剤の存在下で、酸を活性化させる従来の方法(例としては、Comprehensive Organic Transformation、R. Larock著、Wiley VCH刊、Interconversion of nitriles, carboxylic acids and derivativesの章に記載されている)に従って反応させることにより、公知の方式で得ることもできる。好ましくは、カルボン酸を活性化させる薬剤を使用するが、これにより、酸塩化物を形成すること(例:塩化チオニル若しくは塩化オキサリル若しくは1-クロロ-N,N,2-トリメチル-1-プロペンアミンを用いる)、又は、混合無水物を形成すること(クロロギ酸アルキルを用いる)、又は、カルボジイミド若しくはシアノリン酸ジエチルを用いてカルバミミデート(carbamimidate)若しくはアシルホスホネートを形成することが可能になる(Phosphorus in organic synthesis-XI、Amino acids and peptides-XXI、Reaction of diethyl phosphorocyanidate with carboxylic acids. A new synthesis of carboxylic esters and amides、Tetrahedron、32、1976、2211〜2217頁)。
【0034】
開始試薬として2-クロロニコチン酸を使用するときは、得られたクロロアミドを、次いで、試薬、例えばNaSH、チオ尿素、チオ硫酸ナトリウム、又はチオ酢酸(塩基性媒体中で)を用いた塩素-硫黄間の交換反応において使用する。
【0035】
式(I)又は(I')の化合物は、以下の文献:
EP-A-298752、WO03/014062、EP-A-298752、FR-A-2349591、FR-A-2555450、WO03/014062、及びWO2008/012532、並びに以下の刊行物:
・論文:A. Monge、V. Martinez-Merino、Synthesis of 2-substituted 3-Oxoisothiazolo[5,4-b]pyridines、J. heterocyclic. Chem、22、1353頁、(1985)
・論文:A. Dunn、R. Norrie、Synthesis of pyrido-1,3-thiazines、Zeitschrift fur chemie、1988、第28巻、第6号、212/214頁
・S. Andreae、J. Parkt. Chem.、339、(1997)、152〜158頁
・S. Gorsuch、Biorganic & Medicinal Chemistry、17、(2009)、467〜474頁
・A. Mongeら、J. Heterocyclic Che.、25、23頁、(1988)
・M. Pregnolato、Il Farmaco、55、(2000)、669〜679頁
に記載されている。
【0036】
好ましくは、式(I)又は(I')の化合物、並びに、その塩、その溶媒和物、及びその光学異性体、及びそのラセミ化合物は、
R1は、
a)水素原子、
b)飽和型の直鎖状のC1〜C10又は分枝状のC3〜C10又は不飽和型のC2〜C10アルキル基であって、1つ又は複数のOR3基で場合により置換されているアルキル基
から選ばれる基を表し、
R2は、
a)飽和型の直鎖状のC1〜C10又は分枝状のC3〜C10又は環状のC3〜C7アルキル基であって、1個若しくは複数、好ましくは1個の酸素原子が場合により割り込んでおり、及び/又は、
i)-OR3
ii)-NR3R4
iii)-CONHR3
iv)-COOR3
から選ばれる同一であっても異なっていてもよい1つ若しくは複数の基を場合により含有するアルキル基、
b)1つ若しくは複数のヒドロキシル基及び/又は1つ若しくは複数のC1〜C3アルコキシ基で場合により置換されているフェニル基、
c)1つ若しくは複数のヒドロキシル基又は1つ若しくは複数のC1〜C3アルコキシ基で場合により置換されているフェニル基で置換されている飽和型のC1〜C5アルキル基
から選ばれる基を表し、
R3は、水素原子、又は、飽和型の直鎖状のC1〜C5若しくは分枝状のC3〜C5炭化水素ベースの基を表し、
R4は、水素原子、又は、飽和型の直鎖状のC1〜C5若しくは分枝状のC3〜C5炭化水素ベースの基を表すことを意味する。
【0037】
優先的には、式(I)又は(I')の化合物、さらに、その塩、その溶媒和物、及びその光学異性体、及びそのラセミ化合物は、
R1は、水素原子、又は、直鎖状のC1〜C4アルキル基であり、1つ若しくは複数のヒドロキシル基で場合により置換されているアルキル基を表し、
R2は、
a)飽和型の直鎖状のC1〜C10又は分枝状のC3〜C10又は環状のC5〜C7アルキル基であって、酸素原子が場合により割り込んでおり、及び/又は-CONH2基を場合により含有し、及び/又は1つ若しくは複数のヒドロキシル基で場合により置換されているアルキル基、
b)フェニル基、
c)1つ又は複数のヒドロキシル基又はC1〜C3アルコキシ基で場合により置換されているフェニル基で置換されている飽和型のC1〜C5アルキル基
から選ばれる基を表すことを意味する。
【0038】
より優先的には、式(I)又は(I')の化合物、さらに、その塩、その溶媒和物、及びその光学異性体、及びそのラセミ化合物は、
R1は、水素原子又はC1〜C4ヒドロキシアルキル基を表し、
R2は、飽和型の直鎖状のC1〜C10若しくは分枝状のC3〜C10若しくは環状のC5〜C6アルキル炭化水素ベースの基であって、酸素原子が場合により割り込んでおり、及び/若しくは-CONH2基を場合により含有し、及び/若しくはヒドロキシル基で場合により置換されているアルキル炭化水素ベースの基;フェニル基;又は、それ自体が1つ若しくは複数のヒドロキシル基若しくはC1〜C3アルコキシ基で場合により置換されているフェニル基で置換されている飽和型のC1〜C5アルキル基を表すことを意味する。
【0039】
本発明の主題は、さらに、式(I)又は(I')の化合物に対応する式(Ia)及び(Ia'):
[式中、
R1が水素原子を表すとき、R2は、不飽和型のC2〜C20アルキル基、環状のC7アルキル基、飽和型の直鎖状のC1〜C20又は分枝状のC3〜C20アルキル基であって、1つ又は複数の同一の又は異なる-OR3基で置換されているアルキル基と、1つ又は複数の同一の又は異なる-OR3基で置換されている(C1〜C20)アルキルアリールとから選ばれる基を表し、R3は、水素原子、又は、飽和型の直鎖状のC1〜C5若しくは分枝状のC3〜C5若しくは不飽和型のC2〜C5の炭化水素ベースの基を表し、
R1が、飽和型の直鎖状のC1〜C10又は分枝状のC3〜C10又は不飽和型のC2〜C10アルキル基であって、1つ又は複数の-OR3基で場合により置換されているアルキル基を表すとき、R2は、
a)飽和型の分枝状のC3〜C12又は環状のC3〜C7アルキル基であって、1個若しくは複数、好ましくは1個の酸素原子が場合により割り込んでおり、及び/又は、1つ若しくは複数の同一の若しくは異なる-OR3基を場合により含有するアルキル基
から選ばれる基を表し、
R3は、水素原子、又は、場合により水酸化されている飽和型の直鎖状のC1〜C5若しくは分枝状のC3〜C5炭化水素ベースの基を表す]
の新規化合物、さらに、その塩、その光学異性体、及びそのラセミ化合物である。
【0040】
好ましくは、式(Ia)及び(Ia')の新規化合物、さらに、その塩、その光学異性体、及びそのラセミ化合物については、
R1が水素原子を表すとき、R2は、不飽和型のC2〜C20アルキル、飽和型の直鎖状のC1〜C20又は分枝状のC3〜C20アルキルであって、1つ又は複数の同一の又は異なる-OR3基で置換されているアルキルと、1つ又は複数の同一の又は異なる-OR3基で置換されている(C1〜C6)アルキルフェニルとから選ばれる基を表し、R3は、水素原子、又は、飽和型の直鎖状のC1〜C5若しくは分枝状のC3〜C5若しくは不飽和型のC2〜C5炭化水素ベースの基を表し、
R1が、飽和型の直鎖状のC1〜C12又は分枝状のC3〜C10又は不飽和型のC2〜C10アルキル基であって、1つ又は複数の-OR3基で場合により置換されているアルキル基を表すとき、R2は、
a)飽和型の分枝状のC3〜C12又は環状のC3〜C7アルキル基であって、1個若しくは複数、好ましくは1個の酸素原子が場合により割り込んでおり、及び/又は、1つ若しくは複数の同一の若しくは異なる-OR3基を場合により含有するアルキル基
から選ばれる基を表し、
R3は、水素原子、又は、場合により水酸化されている飽和型の直鎖状のC1〜C5若しくは分枝状のC3〜C5炭化水素ベースの基を表す。
【0041】
好ましくは、式(Ia)及び(Ia')の新規化合物については、
R1が水素原子を表すとき、R2は、飽和型の直鎖状のC1〜C20又は分枝状のC3〜C20アルキルであって、1つ又は複数の同一の又は異なる-OR3基で置換されているアルキルと、1つ又は複数の同一の又は異なる-OR3基で置換されている(C1〜C6)アルキルフェニルとから選ばれる基を表し、R3は、水素原子、又は、飽和型の直鎖状のC1〜C5若しくは分枝状のC3〜C5若しくは不飽和型のC2〜C5炭化水素ベースの基を表し、
R1が、飽和型の直鎖状のC1〜C10又は分枝状のC3〜C10又は不飽和型のC2〜C10アルキル基であって、1つ又は複数の-OR3基で場合により置換されているアルキル基を表すとき、R2は、
a)飽和型の分枝状のC3〜C12又は環状のC3〜C7アルキル基であって、1個若しくは複数、好ましくは1個の酸素原子が場合により割り込んでおり、及び/又は、1つ若しくは複数の同一の若しくは異なる-OR3基を場合により含有するアルキル基から選ばれる基を表し、
R3は、水素原子、又は、場合により水酸化されている飽和型の直鎖状のC1〜C5若しくは分枝状のC3〜C5炭化水素ベースの基を表す。
【0042】
好ましくは、式(Ia)及び(Ia')の新規化合物については、
R1は水素原子を表し、R2は、
a)飽和型の直鎖状のC1〜C10若しくは分枝状のC3〜C10若しくは環状のC5〜C7アルキル基であり、1つ若しくは複数のヒドロキシル基で置換されており酸素原子が場合により割り込んでいるアルキル基から選ばれる基を表し、又は、
R1は、1つ若しくは複数のヒドロキシル基で場合により置換されている直鎖状のC1〜C4アルキル基を表し、R2は、
a)飽和型の直鎖状のC1〜C10若しくは分枝状のC3〜C10若しくは環状のC5〜C7アルキル基であって、1つ若しくは複数のヒドロキシル基で置換されており酸素原子が場合により割り込んでいるアルキル基
から選ばれる基を表す。
【0043】
優先的には、式(Ia)及び(Ia')の新規化合物については、
R1は水素原子を表し、R2は、飽和型の直鎖状のC1〜C10若しくは分枝状のC3〜C10若しくは環状のC5〜C6アルキル炭化水素ベースの基であって、酸素原子が場合により割り込んでおりヒドロキシル基で場合により置換されているアルキル炭化水素ベースの基を表し、又は、
R1はC1〜C4ヒドロキシアルキル基を表し、
R2は、飽和型の直鎖状のC1〜C10若しくは分枝状のC3〜C10若しくは環状のC5〜C6アルキル炭化水素ベースの基であって、酸素原子が場合により割り込んでおりヒドロキシル基で場合により置換されているアルキル炭化水素ベースの基を表す。
【0044】
式(I)の化合物のうち、下記の化合物:
【0045】
【表2A】
【0046】
【表2B】
【0047】
【表2C】
【0048】
【表2D】
【0049】
【表2E】
【0050】
が好ましくは使用される。
【0051】
これらの化合物のうち、下記の化合物:
【0052】
【表3A】
【0053】
【表3B】
【0054】
【表3C】
【0055】
さらに、その塩、その光学異性体、及びその溶媒和物が、中でもとりわけ好ましい。
【0056】
化合物1及び10は、合成中間体として出願EP-A-298752に記載されている。
化合物2から8、11、及び12は、FR-A-2555450に記載されている。
化合物14は、論文:A. Monge、V. Martinez-Merino、Synthesis of 2-substituted 3-Oxoisothiazolo[5,4-b]pyridines、J. heterocyclic. Chem、22、1353頁、(1985)に記載されている。
化合4、6、7、及び15は、論文:A. Dunn、R. Norrie、Synthesis of pyrido-1,3-thiazines、Zeitschrift fur chemie、1988、第28巻、第6号、212/214頁に記載されている。
化合物14は、論文:A. Monge、V. Martinez-Merino、Synthesis of 2-substituted 3-Oxoisothiazolo[5,4-b]pyridines、J. heterocyclic. Chem、22、1353頁、(1985)に記載されている。
化合物18は、WO-A-03/014062に記載されている。
化合物27は、EP298752に記載されている。
化合物2、7、12、16、21、及び27が、その中でもとりわけ好ましい。
【0057】
本発明による式(I)及び/又は(I')の化合物は、化粧品分野に完全に特定して使用される。
【0058】
本発明に従って使用される組成物は、生理学的に許容される媒体中に前述の式(I)及び/又は(I')の化合物を含む。
【0059】
化合物(I)及び/又は(I')は、本発明に従って使用される組成物中に、組成物の総重量に対し0.01〜10重量%の間、好ましくは0.1〜5重量%まで、とりわけ0.5から3重量%までの間の量で存在することができる。
【0060】
用語「生理学的に許容される媒体」は、ヒトのケラチン成分、例えば、体若しくは顔の皮膚、唇、粘膜、まつ毛、爪、頭皮、及び/又は毛髪と適合性のある媒体を意味すると理解される。
【0061】
したがって、本発明に従って使用される組成物は、化粧品分野において一般に用いられるアジュバントをすべて含んでもよい。
【0062】
とりわけ、水;有機溶媒、とりわけC2〜C6アルコール;油、とりわけ炭化水素ベースの油、シリコーン油;蝋、顔料、充填剤、染料、界面活性剤、乳化剤;美容活性剤、UVスクリーン、ポリマー、増粘剤、保存剤、香料、殺菌剤、臭気吸収剤、及び酸化防止剤を挙げることができる。
【0063】
これらの任意選択的な化粧品アジュバントは、本組成物中に、組成物の総重量に対し0.001から80重量%まで、とりわけ0.1から40重量%までの割合で存在してもよい。いずれの場合も、これらのアジュバントもその割合も、想定した添加により、本発明による化合物の有利な特性が損なわれることも実質的に損なわれることもないような形で、当業者により選ばれよう。
【0064】
活性剤として、落屑剤;鎮静剤、有機又は無機の光防護剤、保湿剤;色素除去剤又はプロピグメント化剤;抗糖化剤;NO合成酵素阻害剤;真皮若しくは表皮の巨大分子の合成を刺激する及び/又はその分解を防止する薬剤;線維芽細胞及び/若しくはケラチン生成細胞の増殖を刺激する又はケラチン生成細胞の分化を刺激する薬剤;筋弛緩剤及び/又は皮膚収縮防止剤;伸張剤;抗汚染剤、及び/又はフリーラジカル捕捉剤;微小循環に作用する薬剤;細胞のエネルギー代謝に作用する薬剤;並びにそれらの混合物から選ばれる少なくとも1つの化合物を、本発明に従って使用される組成物中に導入することが有利であろう。
【0065】
そのような追加的な化合物の例は、以下のとおりである:レチノール及びその誘導体(例えばパルミチン酸レチニル);アスコルビン酸及びその誘導体(例えばアスコルビルリン酸マグネシウム及びアスコルビルグルコシド);トコフェロール及びその誘導体(例えば酢酸トコフェリル);ニコチン酸及びその前駆体(例えばニコチンアミド);ユビキノン;グルタチオン及びその前駆体(例えばL-2-オキソチアゾリジン-4-カルボン酸);植物抽出物、具体的には植物タンパク質及びその加水分解産物、さらには植物ホルモン;海産物抽出物(例えば藻類抽出物);細菌抽出物;サポゲニン(例えばジオスゲニン、及び、ジオスゲニンを含有する自然薯抽出物);セラミド;ヒドロキシ酸(例えばサリチル酸及び5-n-オクタノイルサリチル酸);レスベラトロール;オリゴペプチド及び擬ジペプチド及びそのアシル誘導体;マンガン塩及びマグネシウム塩、とりわけグルコン酸塩;並びにそれらの混合物。
【0066】
用語「落屑剤」は、
・剥離を促進することにより落屑に直接的に作用する能力を有する任意の化合物、例えば、β-ヒドロキシ酸、とりわけサリチル酸及びその誘導体(5-n-オクタノイルサリチル酸など);α-ヒドロキシ酸、例えばグリコール酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、若しくはマンデル酸;尿素;ゲンチシン酸;オリゴフコース;ケイ皮酸;エンジュ抽出物;レスベラトロール、
・或いは、落屑に関与する酵素に、又は、コルネオデスモソーム、グリコシダーゼ、角質層キモトリプシン酵素(SCCE)、若しくは他のプロテアーゼ(トリプシン、キモトリプシン様のもの)の分解に作用する能力を有する任意の化合物、そのいずれかを意味することを意図したものである。無機塩をキレート化するための以下の薬剤:EDTA;N-アシル-N,N',N'-エチレンジアミン三酢酸;アミノスルホン酸化合物、とりわけ(N-2 ヒドロキシエチルピペラジン-N-2-エタン)スルホン酸(HEPES);2-オキソチアゾリジン-4-カルボン酸(プロシステイン)の誘導体;グリシンタイプのアルファアミノ酸の誘導体(EP-0852949に記載されているもの、さらにはTrilon Mの商品名でBASFにより販売されているメチルグリシン二酢酸ナトリウム);蜂蜜;糖誘導体、例えばO-オクタノイル-6-D-マルトース及びN-アセチルグルコサミンを挙げることができる。
【0067】
落屑剤は、一般に、本発明による組成物中に、組成物の総重量に対し0.01から15重量%までの範囲、好ましくは0.1から10重量%までの範囲の割合で存在する。
【0068】
本発明による組成物中で使用できる鎮静剤としては、五環系のトリテルペン、及び、それを含有する植物(例えばスペインカンゾウ)の抽出物、例としてはβ-グリチルレチン酸並びにその塩及び/又は誘導体(グリチルレチン酸モノグルクロニド、グリチルレチン酸ステアリル、3-ステアロイルオキシグリシルレチン酸)、ウルソール酸及びその塩、オレアノール酸及びその塩、ベツリン酸及びその塩、ボタン及び/又はシャクヤクの抽出物、サリチル酸塩、とりわけサリチル酸亜鉛、Codif社製のフィコサッカリド(phycosaccharide)、カラフトコンブの抽出物、キャノーラ油、ビサボロール及びカモミール抽出物、アラントイン、SEPPIC製のSepivital EPC(ビタミンE及びCのリン酸ジエステル)、ω-3不飽和油、例えばジャコウバラ油、クロフサスグリ油、エキウム(ecchium)油、魚油、プランクトン抽出物、カプリロイルグリシン、SEPPIC製のSeppicalm VG(パルミトイルプロリンナトリウム及びセイヨウスイレン)、ピジウムの抽出物、ボスウェリア・セラータ(Boswellia serrata)の抽出物、センチペーダ・カニンガミ(Centipeda cunninghami)の抽出物、ヒマワリの抽出物、アマの抽出物、トコトリエノール、コーラノキの抽出物、ピペロナール、クローブの抽出物、ヤナギランの抽出物、アロエベラ、バコパ・モニエラ(Bacopa moniera)の抽出物、フィトステロール、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、インドメタシン、及びベタメタゾンを挙げることができる。
【0069】
鎮静剤は、一般に、本発明に従って使用される組成物中に、組成物の総重量に対し0.01から15重量%までの範囲、好ましくは0.1から10重量%までの範囲の割合で存在する。
【0070】
有機光防護剤は、とりわけ、以下から選ばれる:アントラニレート;ケイ皮酸誘導体;ジベンゾイルメタン誘導体;サリチル酸誘導体;樟脳誘導体;トリアジン誘導体、例えば、特許出願US4367390、EP863145、EP517104、EP570838、EP796851、EP775698、EP878469、EP933376、EP507691、EP507692、EP790243、及びEP944624に記載されているもの;ベンゾフェノン誘導体;β,β-ジフェニルアクリレート誘導体;ベンゾトリアゾール誘導体;ベンザルマロネート誘導体;ベンズイミダゾール誘導体;イミダゾリン;ビス-ベンザゾリル誘導体(特許EP669323及びUS2,463,264に記載されているようなもの);p-アミノ安息香酸(PABA)誘導体;メチレンビス(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)誘導体(出願US5237071、US5166355、GB2303549、DE19726184、及びEP893119に記載されているようなもの);スクリーニングポリマー及びスクリーニングシリコーン、例えば、とりわけ出願WO93/04665に記載されているもの;及びα-アルキルスチレン由来のダイマー、例えば特許出願DE19855649に記載されているもの。
【0071】
無機光防護剤は、とりわけ、被覆されている又は被覆されていない金属酸化物の顔料又はナノ顔料(一次粒子の平均サイズが一般に5nm〜100nmの間、好ましくは10nm〜50nmの間)、例としては、酸化チタン(非晶質、又は、ルチル型結晶及び/若しくはアナターゼ型結晶のもの)のナノ顔料、酸化鉄のナノ顔料、酸化亜鉛のナノ顔料、酸化ジルコニウムのナノ顔料、又は酸化セリウムのナノ顔料から選ぶことができ、これらはすべて、周知のUV光防護剤である。さらに、従来型のコーティング剤は、アルミナ及び/又はステアリン酸アルミニウムである。そのような被覆されている又は被覆されていない金属酸化物のナノ顔料は、特許出願EP518772及びEP518773に具体的に記載されている。
【0072】
光防護剤は、一般に、本発明に従って使用される組成物中に、組成物の総重量に対し0.1から20重量%までの範囲、好ましくは0.2から15重量%までの範囲の割合で存在する。
【0073】
本発明に従って使用される組成物は、化粧品分野で普通に使用される任意のガレヌス製剤形態、とりわけ、場合によりゲル化された水溶液若しくは水性アルコール溶液、分散系、場合により、ローションタイプの2相分散系、水中油エマルション若しくは油中水エマルション若しくは多相(W/O/W若しくはO/W/O)エマルション、水性ゲル、小球を利用して水相中に油を分散させたもの(この小球は、ポリマーナノ粒子、例えばナノスフェア及びナノカプセル、又は、さらに良好には、イオン型及び/若しくは非イオン型の脂質ベシクルであることが考えられる)、又は、水性若しくは油性のゲルの形態であってもよい。これらの組成物は、通常の方法により調製する。本発明によれば、エマルション、とりわけ水中油エマルションの形態の組成物が、好ましくは使用される。
【0074】
本発明に従って使用される組成物は、スキンケア組成物、とりわけ、顔、手、足、主要な解剖学的ひだ、若しくは体のための、クレンジング用、保護用、処置用、若しくはケア用のクリーム(例としては、日中用クリーム、夜用クリーム、メイクアップ除去用クリーム、ファンデーションクリーム、日焼け止め用クリーム);液体ファンデーション、メイクアップ除去用乳液、保護用若しくはケア用の体用乳液、若しくは日焼け止め用乳液;スキンケア用のローション、ゲル、若しくはフォーム、例えばクレンジングローションを構成してもよい。
【0075】
本発明を、以下の非限定的な例により、さらに詳細に例証する。
【0076】
(実施例)
(実施例1〜4)
構造的なメラニン形成に及ぼす活性の実証
生物学的試験により、式(I)の7つの化合物(化合物2、7、12、16、19、21、及び27)の色素除去活性が実証された。
【0077】
各化合物がメラニン形成に及ぼす調節効果を、FR-A-2734825、さらにはR. Schmidt、P. Krien、及びM. Regnierによる論文であるAnal. Bichem.、235(2)、113〜18頁、1996に記載されている方法に従って測定した。この試験は、ケラチン生成細胞とメラニン形成細胞との共培養物に対して実施する。
【0078】
試験した化合物について、
・細胞毒性:ロイシンの取込量の推定による
・メラニン合成に及ぼす阻害活性:対照を100%とし、これに対するチオウラシルの取込量対ロイシンの取込量の比率を推定することによる(対照とは、試験化合物を用いずに実施する試験のことである)
を定量した。IC50値(メラニン合成の50%が阻害される濃度)を定量した。
【0079】
試験は、公知の色素除去化合物であるアルブチン、ナイアシンアミド、及びコウジ酸を用いても実施した。
【0080】
結果を、以下の表に順に並べる。
【0081】
【表4A】
【0082】
【表4B】
【0083】
したがって、化合物2、7、12、16、19、21、及び27は、メラニン形成の阻害における有効性が実証され、さらに、アルブチン、コウジ酸、及びナイアシンアミドより有効である。
化合物2は、最も有効な化合物である。
【0084】
(実施例5)
以下(重量%):
化合物2 2%
カルボマー(Carbopol 981、Lubrizol製) 1%
保存剤 適量
水 100%となる量
を含む、皮膚のための色素除去用ゲルを調製する。
【0085】
皮膚に適用すると、本組成物は、茶色の跡を徐々に消すことを可能にする。
【0086】
化合物3又は化合物11又は化合物16を用いて、同様の組成物を調製する。