特許第6158346号(P6158346)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6158346補給容器及びこれを備えたインクジェット記録装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6158346
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】補給容器及びこれを備えたインクジェット記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20170626BHJP
【FI】
   B41J2/175 131
   B41J2/175 133
   B41J2/175 153
   B41J2/175 501
【請求項の数】8
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-550279(P2015-550279)
(86)(22)【出願日】2013年11月29日
(86)【国際出願番号】JP2013082120
(87)【国際公開番号】WO2015079547
(87)【国際公開日】20150604
【審査請求日】2015年12月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】100098660
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 裕二
(72)【発明者】
【氏名】松下 雄彦
(72)【発明者】
【氏名】吉田 直倫
(72)【発明者】
【氏名】宮尾 明
(72)【発明者】
【氏名】原田 信浩
【審査官】 名取 乾治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−221685(JP,A)
【文献】 再公表特許第2007/142263(JP,A1)
【文献】 特開平09−156120(JP,A)
【文献】 特開2012−071439(JP,A)
【文献】 特開2002−370384(JP,A)
【文献】 特開2011−088639(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01−2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクまたは溶剤を貯蔵する貯蔵室を有し、開口部が形成された貯蔵部材と、
前記貯蔵部材の開口部を封止する栓部材と、
前記栓部材を覆う蓋部材を備える補給容器であって、
前記栓部材と前記蓋部材の間に貫通穴を有するシール部材を備え、
前記蓋部材は、前記シール部材の貫通穴と同心状に空けられた貫通穴を有し、前記シール部材の貫通穴の一部あるいは全部の内径は前記蓋部材の貫通穴の内径より小さく、
前記シール部材と前記蓋部材の間に、前記シール部材及び前記蓋部材に設けられた貫通穴と同心状に空けられた貫通穴を有する吸収材を備えることを特徴とする補給容器。
【請求項2】
請求項1に記載の補給容器であって、
前記シール部材は弾性体であることを特徴とする補給容器。
【請求項3】
請求項に記載の補給容器であって、
前記吸収材の貫通穴の内径が前記蓋部材の貫通穴の内径より小さいことを特徴とする補給容器。
【請求項4】
請求項に記載の補給容器であって、
前記シール部材と前記吸収材との間に間隙を設けたことを特徴とする補給容器。
【請求項5】
請求項に記載の補給容器であって、
前記シール部材の一端部に突起が設けられており、前記突起が前記吸収材と接触していることを特徴とする補給容器。
【請求項6】
請求項1に記載の補給容器であって、
前記栓部材が前記貯蔵部の底面方向に向かって移動するように設けられたことを特徴とする補給容器。
【請求項7】
請求項1に記載の補給容器であって、
前記栓部材を第1の栓部材とし、前記第1の栓部材の中央部に貫通孔を有し、該貫通孔にT字形状の第2の栓部材を備え、前記第1の栓部材と前記第2の栓部材との間にバネを設けたことを特徴とする補給容器。
【請求項8】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の補給容器を搭載したことを特徴とするインクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補給容器及びこれを備えたインクジェット記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、特許文献1(特開平9−156120号公報)がある。この公報には、「インク容器11の上部開口30には係合部材31がはめ込まれている。インク補給容器35のインク補給口36は外周部にネジ37を有し、開口にはバネ栓が圧入固定されている。バネ栓は本体38と栓41とバネ42から構成され、本体38の中央にはインク流出口39が設けられ、その周囲には円環状の突起40が形成されている。本体38にはバネ42が圧縮状態で組込まれ、栓41を突起40に向けて付勢している。栓41には複数の溝43があり、押し上げられた時に空気とインクの通路を形成する。係合部材31は内周面にインク補給口36のネジ37を受けるネジ溝32が形成され、底板部は四つのインク流入口34を有し、中央にはバネ栓41が突き当たる突当部33が設けられている。」と記載されている。(要約参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−156120
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、インク補給容器からインク容器へインクを補給する際にインクが飛散したり溢れ出したりするおそれのないことインクジェット記録装置を提供することを目的として、上述の構成をとるものと記載されている。
【0005】
しかしながら、本構成ではインク補給時にインク補給容器のバネ栓にインクが付着するものであり、インク補給容器を取り外した際にはバネ栓がインク補給容器外部に露出するため、バネ栓に残存するインクが垂れて、インク汚れを引き起こす可能性がある。
本発明は、上記課題を考慮し、インクあるいは溶剤補給時にインクあるいは溶剤による汚れを低減可能な補給容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
【0007】
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、インクまたは溶剤を貯蔵する貯蔵室を有し、開口部が形成された貯蔵部材と、前記貯蔵部材の開口部を封止する栓部材と、前記栓部材を覆う蓋部材を備える補給容器であって、前記栓部材と前記蓋部材の間に貫通穴を有するシール部材を備え、前記蓋部材は、前記シール部材の貫通穴と同心状に空けられた貫通穴を有し、前記シール部材の貫通穴の一部あるいは全部の内径は前記蓋部材の貫通穴の内径より小さいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、インクあるいは溶剤補給時等にインクあるいは溶剤による汚れを低減可能な補給容器及びこれを備えたインクジェット記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1(a)】実施例1にかかるインク補給容器の全体構造を示す断面図である。
図1(b)】実施例1にかかるインク補給容器の容器接続部の詳細構造を示す断面図である。
図2】実施例1にかかる補給容器を搭載するインクジェット記録装置を示す全体図である。
図3】実施例1にかかる補給容器が搭載されるインクジェット記録装置の実使用状態の一例を示す図である。
図4】実施例1にかかる補給容器が搭載されるインクジェット記録装置の制御構成を示す図である。
図5】実施例1にかかる補給容器が搭載されるインクジェット記録装置のインク循環システムの系統図である。
図6】実施例1にかかる補給容器が搭載されるインクジェット記録装置においてインクサブ容器の液面制御フローの一例を示す図である。
図7】実施例1にかかる補給容器が搭載されるインクジェット記録装置のインク循環エリアの概観図である。
図8(a)】実施例1にかかるインク補給容器の栓部材の形状の一例を示す図である。
図8(b)】実施例1にかかるインク補給容器の栓部材の形状の他の一例示す図である。
図9(a)】実施例1にかかるインク補給容器の蓋部材の形状の一例を示す図である。
図9(b)】実施例1にかかるインク補給容器の蓋部材の形状の他の一例を示す図である。
図10】実施例1にかかるインク補給容器のシール部材の形状の例を示す図である。
図11(a)】実施例1にかかるインク補給容器の吸収材の形状の一例を示す図である。
図11(b)】実施例1にかかるインク補給容器の吸収材の形状の他の一例を示す図である。
図12】実施例1にかかる補給容器が搭載されるインクジェット記録装置のインクサブ容器の構造を示す断面図である。
図13(a)】実施例1にかかるインク補給容器とインクサブ容器との接続状態を示す全体外観の断面図である。
図13(b)】実施例1にかかるインク補給容器とインクサブ容器との接続部分の詳細を示す断面図である。
図14】実施例1にかかるインク補給容器とインクサブ容器との接続途中の状態の一例を示す断面図である。
図15(a)】実施例2にかかるインク補給容器の構造を示す断面図である。
図15(b)】実施例2にかかるインク補給容器のインクサブ容器との接続状態を示す断面図である。
図16】実施例3にかかるインク補給容器の口部の構造を示す断面図である。
図17(a)】実施例4にかかるインク補給容器の構造を示す断面図である。
図17(b)】実施例4にかかるインク補給容器のインクサブ容器との接続状態を示す断面図である。
図18(a)】実施例5にかかるインク補給容器の構造を示す断面図である。
図18(b)】実施例5にかかるインク補給容器のインクサブ容器との接続状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下において本発明の実施例について図示例を用いて説明を行う。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0011】
図2は本実施例の補給容器に関わるインクジェット記録装置100を示す全体図である。インクジェット記録装置100には、外部に操作表示部3が備えられた本体1とインク吐出ヘッド2が備えられており、本体1とインク吐出ヘッド2は導管4で接続されている。また本体1には状態表示灯5が備えられており、インクジェット記録装置100の運転状態、例えば電源通電状態、印字可能状態、警報状態、異常状態などを点灯により表示可能である。インクジェット記録装置100にはメンテナンス扉6が備えられ、ユーザーはメンテナンス扉6を開いてインクの補給などのメンテナンスを行うことができる。
【0012】
図3はインクジェット記録装置100の実使用状態の一例を示すものである。インクジェット記録装置100は、例えば、食品や飲料などが生産される工場内の生産ラインに据え付けられ、本体1は使用者が操作できる位置に設置され、インク吐出ヘッド2はベルトコンベア15などの生産ライン上を搬送される印字対象物13に近接できる位置に設置される。
【0013】
ベルトコンベア15などの生産ライン上には搬送速度に係わらず同じ幅で印字するために、搬送速度に応じた信号をインクジェット記録装置100に出力するエンコーダ16や、印字対象物13を検出してインクジェット記録装置100に印字を指示する信号を出力する印字センサ17が設置されていて、それぞれは本体1内の図示しない制御部200に接続されている。
【0014】
エンコーダ16や印字センサ17からの信号に応じて制御部200がノズル8から吐出されるインク粒子10への帯電量や帯電タイミングを制御し、印字対象物13がインク吐出ヘッド2近傍を通過する間に帯電、偏向されたインク粒子10を印字対象物13へ付着させて印字を行うようになっている。
【0015】
図4はインクジェット記録装置100の制御構成を示すものである。制御構成としては、演算機能を有しインクジェット記録装置全体を制御するMPU101が、バス120によりMPUが動作するために必要なプログラムやデータを記憶するROM102、プログラム実行中に必要なデータを一時的に記憶するRAM103、印字内容や設定値などを入力する入力装置104、入力装置104で入力された内容や状態などを表示する表示装置105を有する。
【0016】
また、インク吐出ヘッド2内のノズル151に取り付けられた励振素子152に与える励振電圧を発生させる励振電圧発生回路111、ノズル151から吐出されたインク粒子161に電荷を与えるための帯電電極153に与える帯電電圧を発生させる帯電電圧発生回路112、帯電したインク粒子161を印字内容に合わせて偏向するための偏向電極154に与える偏向電圧を発生させる偏向電圧発生回路113、インクや溶剤の流れの開閉を行う電磁弁の制御を行う電磁弁制御回路114、インクに圧力を与えるポンプの制御を行うポンプ制御回路115、インク容器201、インクサブ容器202、溶剤サブ容器203の液面を検出する液面検出回路116に接続されている。
【0017】
インク容器、インクサブ容器、溶剤サブ容器については後で説明する。
図5はインクジェット記録装置100のインク循環システムの系統図を示すものである。本体1内には、ノズル151へ供給するインクを貯留し、またノズルへ供給したインクのうち印字に使用されなかったインクを回収し再び貯留するインク容器201、インク容器201に補給するインクを貯留するインクサブ容器202、インクの希釈や経路の洗浄に使用する溶剤を貯留する溶剤サブ容器203、インクまたは溶剤に圧力を与えるポンプ211から214、インクや溶剤の経路を開閉する電磁弁221から228、インク中のごみを捕集するフィルター231、ポンプ211により高められたインクの圧力を低減し必要な圧力に調整する減圧弁232、インクの圧力を測定する圧力計233、インクの粘度を測定する粘度計234が備えられている。インク吐出ヘッド2にはノズル151、IN側の2つの経路のうちどちらかを閉じどちらかを開きOUT側の経路と連通させる三方電磁弁229、ノズルから吐出されたインクのうち印字に使用されないインクを捕らえるガター241が備えられている。
【0018】
インクサブ容器202にはインク補給容器301が、溶剤サブ容器203には溶剤補給容器302がそれぞれ接続されている。インクサブ容器202および溶剤サブ容器203の内部のインクはそれぞれポンプ211、ポンプ214によって吸引、圧送され、インクや溶剤の経路を経てインク容器201に補給される。図は省略するが、インク容器201に接続されているポンプ212、ポンプ213、粘度計234とつながる経路をインクサブ容器202につなぎ、インク容器201から電磁弁222、および本体1の外部につながる経路を廃止して、インク容器201とインクサブ容器202を一体化とすることもできる。
【0019】
図7に、インクジェット記録装置100のインク循環エリア251の概観を示す。インク循環エリア251はメンテナンス扉6を開くことでアクセスが可能である。インク循環エリア251には、ポンプ211から214や電磁弁221から228をユニット化したインク循環ユニット261やインクサブ容器202、溶剤サブ容器203が備えられており、それらの図示は省略するが、ねじなどにより固定されている。
【0020】
前述したように、インクサブ容器202にはインク補給容器301が、溶剤サブ容器203には溶剤補給容器302がそれぞれ接続されており、これらのインク補給容器301、溶剤補給容器302はユーザーにより着脱、交換が可能である。
【0021】
図1に本実施例であるインク補給容器301の構造を示す。なお、インク補給容器及び溶剤補給容器は同様の構造であり、以下ではインク補給容器についてのみ説明し、溶剤補給容器についての説明は省略する。
【0022】
図1(a)は全体構造を、図1(b)はインク補給容器301の先端部を拡大して示したものである。図1(a)に示すように、インク補給容器301は、貯蔵部材311と栓部材312と第1の蓋部材313とシール部材314と液体吸収材315と第2の蓋部材316を備えている。
【0023】
インク補給容器301の材質の例としては、貯蔵部材311、第1の蓋部材313、第2の蓋部材316には、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)や低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)やポリプロピレン樹脂(PP)が用いられ、栓部材312には、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)や直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)が用いられる。
【0024】
また、シール部材314には弾性体であるブチルゴムあるいはエチレンプロピレンゴムが用いられ、液体吸収材315には連続気泡のポリオレフィン系発泡体あるいはポリオレフィン不織布が用いられる。なお、上記材質は本実施例における好適なものであり、他のものを用いてもよい。
【0025】
インク補給容器301の詳細構造を説明すれば、貯蔵部材311は直方体形状の貯蔵室321を有し、貯蔵室301の一端部から延出した壁面の先端部322は円筒形状をしており、その端面は開口している。
【0026】
また先端部322の外周縁にはねじが形成されており、先端部322と貯蔵室301をつなぐ壁面は貯蔵部材311内部に向かって傾斜している。
【0027】
そして、この先端部322の開口部には、貯蔵部材311内部に挿入されるように栓部材312が取り付けられている。栓部材312は円筒部331、鍔部332、底部333を備え、円筒部331の端部に鍔部332が形成され、この鍔部332が貯蔵部材311の先端部322の開口端部に掛止されて栓部材312が取り付けられる。
【0028】
この構成によって、円筒部331の外側面は貯蔵部材の先端部322の内側面と円周に沿って連続的に密接しシール性を確保し、また鍔部332は貯蔵部材の先端部322の端面と円周に沿って連続的に密接し、シール性を確保し、二重シール構造とすることで、液漏れを防ぐ構造となっている。
【0029】
栓部材312の底部333には環状にその周囲より肉厚の小さい薄肉部341を有している。本実施例では、インク補給容器301と本体機側のサブインク容器202とを接続する際に、サブインク容器202に設けられた接続部突起によって、インク補給容器301の栓部材312の底部333の一部が突き破られる構成となっており、この薄肉部341はインクを補給する際に小さい操作力で突き破るためのものであり、薄肉部の肉厚は0.2から0.5mm程度が望ましい。図8に栓部材312の形状の例を示しており、図8(a)は環状に連続的に薄肉部341が形成され、図8(b)は環状に断続的に薄肉部341が形成されている。
【0030】
続いて、図1(b)で示すように、第1の蓋部材313は円筒部351、底部352を有し、円筒部351の内側面にはねじが形成され、貯蔵部材311の先端部322に形成されたねじと係合し固定されている。
【0031】
第1の蓋部材の端面部352には貫通穴353を有しており、蓋部材の貫通穴353は栓部材312の環状薄肉部341と同心状に配置されている。図9に蓋部材313の形状の例を示しており、図9(a)は貫通穴353が円形に形成され、図9(b)は貫通穴353が円354に沿った部分355とその周囲に凹である部分356で形成されている。
【0032】
さらに、栓部材312の底面部333には、底面部333の周縁に沿ってシール部材314が設けられている。シール部材314は貫通穴361を有した円筒状であり、シール部材314の貫通穴361の内側面には2個の環状突起362、363が備えられ、環状突起362、363は貫通穴361と同心状に形成されており、また第1の蓋部材313の貫通穴353と同心状に配置されている。
【0033】
ここでシール部材314の内側面の環状突起は、例えば環状突起と同心状に軸方向に移動する円筒状部材が当該部分に密接しシール部材314を圧縮ながら移動するとき、環状突起部にて局所的に高まるシール部材314の面圧によりシール性を確保し、環状突起部以外では不要に高い面圧が生じないようにし、生じる摩擦力を軽減する効果がある。なお、環状突起の数は2個に限定されるものではなく1個あるいは3個以上でもよく、突起を有していなくてもシール性が確保されていれば。
【0034】
シール部材314の外側面には2個の環状突起364、365が形成されており、環状突起364、365は栓部材の円筒部331の内側面と円周に沿って連続的に密接しシール性を確保している。
【0035】
ここで外側面の環状突起の数は2個に限定されるものではなく1個あるいは3個以上でもよく、また突起がなくシール部材の外側面が栓部材の内側面と円周に沿って連続的に密接する形でもよい。また、インク補給容器301とインク補給容器301に接続されるアダプタとが非接続のときには、シール部材の外側面の環状突起364、365と栓部材の円筒部331の内側面との間にシール性は不要であり、当該部分は密接していなくてもよく、インク補給容器301がアダプタに接続されているときにシール部材314が変形して密接する形態でもよい。
【0036】
シール部材314の内側面の環状突起362、363の内径372、373は蓋部材の貫通穴353の内径371より小さくなっている。これにより蓋部材の貫通穴353の内径より小さいがほとんど同一寸法の外径である本体側インクサブ容器のカートリッジ接続部が蓋部材の貫通穴353より同軸状に挿入されたときに、シール部材314の内側面の環状突起362、363と前記円筒状部材の外側面が円周上に連続的に密接し、当該部分にシール性を確保することができる。
【0037】
前記円筒状部材はインク補給容器301と接続されるアダプタに備えられた形状であり、アダプタについては後で説明する。図10にシール部材314の一例を示すが、シール部材はリング状であってもよく、例えばOリングでもよい。
【0038】
次ぎに吸収剤315について説明する。吸収材315の材質の例として、前述のように連続気泡のポリオレフィン発泡体やポリオレフィン不織布が用いられる。いずれにしても吸収材315の外面から内部に連続的に隙間を有しており、その隙間部に液体を吸収することができる。
【0039】
また、吸収材315は貫通穴381を有しており、吸収材の貫通穴381は蓋部材の貫通穴353と同心状に配置されている。吸収材315の固定方法としては、例えば吸収材315とシール部材314とを両面粘着テープあるいは粘着剤で接着固定する。
【0040】
図11に吸収材315の形状の例を示しており、図11(a)は貫通穴381が円形に形成され、図11(b)は貫通穴381が円382に沿った部分383とその周囲に凹である部分384で形成されている。
【0041】
次に第2の蓋部材316について説明する。図1に示すように第2の蓋部材316は、その一例として円筒部391と底部392を有した形状であり、蓋部材313の貫通穴353を覆うように配置され、インク補給容器301を取り扱う際や保管中に栓部材312、シール部材314、吸収材315を誤って傷つけたり、ごみが外部から侵入して付着したりすることを防いでいる。
【0042】
第2の蓋部材の円筒部391の開口部周縁の内側面には環状突起393が備えられ、蓋部材313と係合し固定される。この係合は、ユーザーが手作業で第2の蓋部材を抜け方向に引っ張ると外れるものであり、インク補給容器301とアダプタとの接続は、第2の蓋部材316は取り外して行われる。
【0043】
また、第2の蓋部材316は、ユーザーが手作業で蓋部材313と係合させることができ、使用済みのインク補給容器に第2の蓋部材316を係合させることできる。
この第2の蓋部材316を設けることで、使用済みインク補給容器の内部に少量残留したインクが取り扱い時の衝撃などで外部に飛散したり、内部のインクの臭いが外部に漏れ出すことを抑止している。
【0044】
第2の蓋部材のその他の例としては、図示は省略するが、第2の蓋部材はラベルであり、蓋部材313の貫通穴353を覆って貼り付けられたものでもよい。なお、図1に示す構造と図1に関し前述した内容は、溶剤補給容器302にも適用できる。
【0045】
以上のように本実施例のインクあるいは溶剤補給容器によれば、インクあるいは溶剤補給時等にインクあるいは溶剤による汚れを低減可能な補給容器を提供することができる。
【0046】
次ぎに図12を用いて、本実施例のインク補給容器が接続されるインクジェット記録装置100のインクサブ容器202の構造を示す。インクサブ容器の貯蔵部材501は貯蔵部511、補給口512、センサ口513を有し、補給口512にはアダプタ502がねじ503で固定されている。補給口512とアダプタ502の間にはシール部材504が備えられ当該部分のシール性を確保している。
【0047】
貯蔵部材501のセンサ口513には、液面センサ505、吸引パイプ506、大気開放パイプ507が取り付けられたブロック508が蓋509のねじ嵌合により固定されて いる。
【0048】
液面センサ505は、2本の金属棒から成り、導電性を有するインクの液面が2本の金属棒に触れる位置ではその2本が導通し、インク液面が2本の金属棒に触れない位置ではその2本は導通せず、この原理によりある1点の検出レベル521において液面が到達しているか否かを検出可能である。
【0049】
ここで2本の金属棒の上部には、図は省略するが導線が嵌合された端子などが固定され導線は液面検出回路116へとつながる。
【0050】
図6に、インクジェット記録装置100においてインクサブ容器202の液面制御フローの一例を示す。ステップ401において、インクサブ容器202に設けられた液面センサ505が検出レベル521において液面を検出しているかどうか確認する。
【0051】
液面を検出していない場合、インクサブ容器内のインクが少なくなっていることを意味し、ステップ402において警報を表示する。またこのときインクサブ容器に接続されたインク補給容器は、その内部に貯留されていたインクをほとんど全てインクサブ容器内へ排出し、空の状態である。
【0052】
図12においてはインク補給容器の図は省略している。インク補給容器とインクサブ容器との接続状態の一例についてはあとで説明する。ステップ402における警報表示の例としては、状態表示灯5の警報ランプを点灯し、操作表示部3に警報マークおよびインク補給容器を規定時間T以内に新しいものに交換する必要がある内容のメッセージを表示する。
【0053】
通常、警報が解除されるまでの間は、前記警報ランプと警報マークは常時表示し、メッセージについてはユーザーが操作により消去可能である。警報が表示されたとしてもインクジェット記録装置100は通常通り印字や操作などを実行可能である。
【0054】
ステップ401において液面を検出している場合は、インクサブ容器内のインクは十分残っているため警報の表示は行わない。
【0055】
ステップ403では液面を非検出となってから規定時間Tが経過したかどうかを確認する。規定時間Tが経過した場合、使用環境や印字頻度によってはインクサブ容器内のインクがほとんど残っていないことが想定され、仮にその後も印字を継続するとインク経路にインクの代わりに空気を吸い込み、印字乱れが発生する恐れがあるため、ステップ406にて異常状態を表示し、インクジェット記録装置100の運転を停止させる。
【0056】
規定時間Tが経過していない場合は、ステップ404において液面をいまだ検出していないかどうか確認する。ステップ404においても液面を検出していない場合はステップ403に戻る。
【0057】
インク補給容器が新しいものに交換されると、インク補給容器内のインクはインクサブ容器内に排出され、インクサブ容器内の液面が上昇し液面センサが検出レベル521において液面を検出し、ステップ405に移行する。
【0058】
ステップ405ではステップ402において表示した警報を解除する。図6に示す液面制御フローは溶剤サブ容器についても同様であり、溶剤サブ容器の液面センサが液面を検出しない場合の、ステップ402における警報表示の例としては、溶剤補給容器を規定時間T以内に新しいものに交換する必要がある内容のメッセージを表示する。
【0059】
検出レベル521は吸引パイプ506の吸引口522より上方にある一定距離隔てた位置に設けられる。これにより、インクジェット記録装置100の運転中に印字などによりインクサブ容器202内のインクが減少し、液面が検出レベル521より低下し警報が発せられてから、吸引不可能になるまでに一定時間の間隔が開き、ユーザーが警報の発生を認知しインク補給容器301を交換するまでの猶予時間を設けることができる。
【0060】
吸引パイプ506の上部にはフッ素樹脂チューブが嵌合により接続されインク循環ユニット261へ接続され、その経路は電磁弁221を介してポンプ211へとつながる。大気開放パイプ507の上部にはフッ素樹脂チューブが嵌合により接続されその経路はインクジェット記録装置100の外部の大気へとつながり、インクサブ容器内のインクが吸引パイプ506より吸引されると大気開放パイプから空気がインクサブ容器内へ流入する。
溶剤サブ容器203は、内部に貯蔵する溶剤が通常導電性を有さないためインクサブ容器とは異なる方式の液面センサを用いるが、図6に示す液面制御フローは同様であり、液面センサを除けば図12に示す構造は同様である。溶剤サブ容器の液面センサとしては、フロートセンサなどが用いられる。溶剤サブ容器の構造図については省略する。
【0061】
アダプタ502はインク補給容器301と接続するものであり、接続状態については後で説明する。アダプタ502には、その上部が鋭角形状532を形成する円筒部531と外壁部533が備えられる。アダプタ502の材質としては、ポリプロピレン樹脂やポリブチレンテレフタレート樹脂などが用いられる。
【0062】
図13は、インク補給容器301とインクサブ容器202との接続状態の一例を示す図である。図13(a)は全体図、図13(b)は接続部の詳細図である。インク補給容器301は貯蔵部材311の先端部322を下方に向けた状態でインクサブ容器202に挿入され接続される。
【0063】
その接続は、インク補給容器301のシール部材314の貫通穴の内側面の環状突起362、363とインクサブ容器のアダプタ502の円筒部531の外側面の嵌合によるものであり、また、接続時にアダプタの円筒部の上部の鋭角形状532によって、栓部材312の薄肉部341は一部のつなぎ部541を残して環状に突き破られる。
【0064】
このとき、栓部材の薄肉部の内側であって環状に突き破られた部分542は、アダプタの円筒部531であって栓部材の底部333より上方に突き出た部分により押し上げられ、流路となるアダプタの円筒部531の内側を塞がない状態を維持する。
【0065】
接続させる操作としては、ユーザーがインク補給容器301から第2の蓋部材316を取り外した後、インク補給容器301の蓋部材313の円筒部351が、インクサブ容器202のアダプタの外壁部533の中に納まるように挿入後、インク補給容器301を下方に押し込む操作である。
【0066】
このとき、インクサブ容器301のアダプタの外壁部533は、その内径がインク補給容器301の蓋部材313の円筒部351の外径より大きいがその差が0.1〜0.6mm程度の近い寸法であり、またアダプタの円筒部531の外径は、蓋部材313の貫通穴353の内径より小さいがその差が0.1〜0.6mm程度の近い寸法であり、それぞれがインク補給容器301をアダプタに挿入する際の案内の役割をする。
【0067】
インク補給容器301を押し込む際、インクサブ容器202のアダプタの円筒部531とインク補給容器301のシール部材314との間の摩擦力によって、またアダプタの円筒部531の鋭角部531が栓部材314を突き破るために要する力によって、ある程度の押し込み力が必要となるが、前記の操作でも押し込むことができる。
【0068】
アダプタ502の円筒部531の外径は、インク補給容器の蓋部材313の貫通穴353の内径より小さいがほとんど同一寸法であり、またシール部材314の内側面の環状突起362、363の内径は、蓋部材の貫通穴353およびアダプタの円筒部531の外径より小さく、それにより前述したように当該部分のシール性が確保される。
【0069】
これはすなわちインク補給容器301をインクサブ容器202に接続しインクを補給する際に、インクはインク補給容器の内部の環状突起362または363の部分でシールされてとどまり、インク補給容器の外面、例えば特に蓋部材313の底部352の外面545がインクで汚れないことを意味し、これによりユーザが使用済みのインク補給容器を取り扱う際に手がインク補給容器の任意の外面に触れても手をインクで汚さず作業することができる。
【0070】
ここで、アダプタの円筒部531の外側面と栓部材312が突き破られてできた穴とは嵌合状態にあるが、円周の全周にわたって密接するとは限らず、当該部分のシール性は安定して確保できるものではない。接続時、アダプタの円筒部531の内側は流路となり、インク補給容器からインクサブ容器へインクをその自重で流し、同時に空気をインクサブ容器からインク補給容器へ流し、インク補給容器内部のインク流出により減少する分の体積を補う。その際、アダプタの円筒部531の内径が小さいと、インクが表面張力などの作用により流れ落ちない場合があり、アダプタの内径は約8mm以上が望ましい。
【0071】
また、本実施例においてはインク補給容器301の貯蔵部材311はある程度の剛性を有しており、インク補給容器301の容積はほとんど変わらないものであるが、その他の例としてインク補給容器の貯蔵部材311は剛性が小さく、内部のインクが自重で流出しようとする際発生する負圧や貯蔵部材311を加圧圧縮する外力によって容易に変形し容積が小さくなるものでもよい。
【0072】
インク補給容器301は、インクサブ容器202と接続しその内部のほとんど全てのインクを流出させた後、ユーザによって引き上げられ新しいインクサブ容器と交換される。インク補給容器引き上げの際には、例えば栓部材312の上部スペース544やシール部材314の環状突起362の上部スペース545に残留していた少量のインクがシール部材314の貫通穴の内面を伝ってインク補給容器の外面に流れ出る恐れがあるが、それに対して吸収材をシール部材314と蓋部材313の間に配置したことによって、残留インクが流れ出ることを抑止している。
【0073】
図14は、インク補給容器301とインクサブ容器202との接続途中の状態の一例を示す図である。アダプタの円筒部531の鋭角形状532は栓部材312の底部333と当接しておらず、またアダプタの円筒部531の外側面はシール部材314の環状突起363と円周に沿って連続的に密接している。これによってインク補給容器301とインクサブ容器202との接続途中であっても当該部分のシール性を確保している。
【実施例2】
【0074】
図15は、実施例2にかかるインク補給容器301の構成を示し、図15(a)はインク補給容器301の口部の構造を、図15(b)はインク補給容器301とインクサブ容器202との接続状態の一例を示している。
【0075】
インク補給容器301は貯蔵部材311、栓部材312、蓋部材313、シール部材551、吸収材552、第2の蓋部材316を備えている。本実施例は図1に関し前述した内容と同様であり、その際、シール部材314とシール部材551、吸収材315と吸収材552とがそれぞれ対応している。本実施例では、シール部材314と吸収材315の形状が一部変更されたものであり、変更部分について説明する。
【0076】
吸収材552の貫通穴361の内径は、蓋部材313の貫通穴353の内径より小さく、インク補給容器301とインクサブ容器202との接続によって、アダプタの円筒部531が当該部分に挿入された際、アダプタの円筒部の外側面と吸収材の貫通穴の内側面が密接する関係である。
【0077】
それによりインク補給容器301をインクサブ容器202から引き上げる過程で、シール部材551とアダプタ円筒部とのシール性を有する係合が外れ、前述のようなインク補給容器内に残留した少量のインクがインク補給容器外面に流れ出ようとした場合であっても、吸収材552により確実に該インクを捕らえることができ、また、吸収材315がアダプタの円筒部と密接したまま円筒部の上方に移動することで、アダプタ円筒部上方の外側面に付着したインクを拭き取ることができる。 シール部材551は、その貫通穴361と同心状の円形凹部561を有しており、円形凹部561は吸収材552と対面して配置される。円形凹部561の内径は、蓋部材313の貫通穴353の内径より大きく、それにより、インク補給容器301とインクサブ容器202との接続時、前述のようにアダプタ円筒部と吸収材の貫通穴の内面が密接することにより、吸収材552にめくれ部571が発生するが、めくれ部571はシール部材の円形凹部561の中に収められ、めくれ部571がアダプタ円筒部とシール部材との密接部に巻き込まれることを防いでいる。 吸収材552の固定方法としては、例えばシール部材551に設けられた突起部562によって吸収材552を押し込み、楔状の嵌合を形成し固定する。なお、図15に示す構造および図15に関し前述した内容は溶剤補給容器302にも適用できる。
【0078】
以上のことから、本実施例にかかる発明によれば、インクあるいは溶剤補給時等にインクあるいは溶剤による汚れを低減可能な補給容器を提供することができる。
【実施例3】
【0079】
図16は、実施例3にかかるインク補給容器301の構成を示し、特に先端部の構造を示している。本実施例は図1に示したインク補給容器301と、栓部材312、シール部材314の違いを除けば同様の構成、特徴であり、本実施例におけるインク補給容器301は、貯蔵部材311、弾性栓部材601、蓋部材313、吸収材315、第2の蓋部材316を備える。また、図16では第2の蓋部材は省略する。
【0080】
栓部材601は、円筒部611、鍔部612、底部613を備え、円筒部611の外側面は貯蔵部材311の先端部322の内側面と円周に沿って連続的に密接しシール性を確保し、また鍔部612は貯蔵部材311の先端部322の端面と円周に沿って連続的に密接し、シール性を確保している。
【0081】
栓部材601の材質としては、例えばブチルゴムやエチレンプロピレンゴム等の弾性体が用いられる。底部613の形状は平坦形状あるいは凹凸を有する形状でもよい。栓部材601の円筒部611の内側面には2個の環状突起621、622が備えられ、円筒部611と同心状に形成されている。また環状突起621、622は蓋部材313の貫通穴353と同心状に配置されている。
【0082】
ここで内側面の環状突起の数は2個に限定されるものではなく1個あるいは3個以上でもよく、また突起がなくてもよい。弾性栓部材の内側面の環状突起621、622の内径はそれぞれ蓋部材の貫通穴353の内径より小さくなっており、それによる効果はシール部材314に関し前述した内容と同じである。インクサブ容器202との接続状態については、図13で示した構造と類似である。また、図16に示す構造および図16に関し前述した内容は溶剤補給容器302にも適用できる。
【0083】
以上のことから、本実施例にかかる発明によれば、インクあるいは溶剤補給時等にインクあるいは溶剤による汚れを低減可能な補給容器を提供することができる。
【実施例4】
【0084】
図17は、実施例4にかかるインク補給容器301の構成を示し、図17(a)はインク補給容器301の先端部の構造を、図17(b)はインク補給容器301とインクサブ容器202との接続状態の一例を示している。
【0085】
本実施例は図1に示したインク補給容器301と、栓部材312、シール部材314の違いを除けば同様の構成、特徴であり、本実施例におけるインク補給容器301は、貯蔵部材311、栓部材651、シール部材652、蓋部材313、吸収材315、第2の蓋部材316を備える。図17では第2の蓋部材は省略する。
【0086】
栓部材651は、例えば円盤状でありインク補給容器301の貯蔵部材311の先端部322に嵌合により固定されている。栓部材の材質としては、例えば低密度ポリエチレン樹脂や直鎖状低密度ポリエチレン樹脂などが用いられる。
【0087】
栓部材651の外側面はインク補給容器301の貯蔵部材311の先端部322の内側面と円周に沿って連続的に密接しシール性を確保している。また、栓部材651は軸方向に外力を加えることで、貯蔵部材311との嵌合が外れ得るものである。栓部材651と蓋部材313との間にはシール部材652が備えられている。
【0088】
シール部材652は貫通穴を有する円筒形状であり、その内側面には環状突起661、662が備えられ、環状突起661、662はシール部材の円筒形状と同心状に形成されている。また環状突起661、662が蓋部材313の貫通穴353と同心状に配置されている。シール部材の外側面には環状突起663、664が形成されており、環状突起663、664は貯蔵部材311の先端部322の内側面と円周に沿って連続的に密接し、シール性を確保している。
【0089】
図17(b)に示すインク補給容器301とインクサブ容器202との接続状態では、インクサブ容器202のアダプタ671に備えられた円筒形状681によって、栓部材651が押し上げられ栓部材651とインク補給容器の貯蔵部材311との嵌合が外れ、インク補給容器内部とインクサブ容器内部とが連通した状態である。
【0090】
このとき栓部材651は固定されておらず、図17(b)に示す位置によらない。ここで仮に図17(b)に示す位置に栓部材651がとどまった場合であっても、アダプタの円筒形状681にはスリット682が設けられており、外れた栓部材651によって流路を塞がない構造となっている。本実施例におけるその他の内容については図13に関し前述した内容と類似であり省略する。また、図17に示す構造および図17に関し前述した内容は溶剤補給容器302にも適用できる。
【0091】
以上のことから、本実施例にかかる発明によれば、インクあるいは溶剤補給時等にインクあるいは溶剤による汚れを低減可能な補給容器を提供することができる。
【実施例5】
【0092】
図18は、実施例5にかかるインク補給容器301の構成を示し、図18(a)はインク補給容器301の先端部の構造を、図18(b)はインク補給容器301とインクサブ容器202との接続状態の一例を示している。
【0093】
本実施例は図1に示したインク補給容器301と、栓部材312、シール部材314の違いを除けば同様の構成、特徴であり、本実施例におけるインク補給容器301は、貯蔵部材311、第1の栓部材701、第2の栓部材702、圧縮コイルばね703、シール部材704、蓋部材313、吸収材315、第2の蓋部材316を備える。図18では第2の蓋部材は省略する。
【0094】
第1の栓部材701の材質の例としては、低密度ポリエチレン樹脂や直鎖状低密度ポリエチレン樹脂が用いられ、第2の栓部材702にはポリプロピレン樹脂や高密度ポリエチレン樹脂やポリブチレンテレフタレート樹脂が用いられ、圧縮コイルばね703にはステンレス鋼が用いられる。
【0095】
第1の栓部材701は円筒部711、鍔部712を備え、図1に関し前述した内容と同様に貯蔵部材の先端部322との間にシール性を確保している。また、第1の栓部材701は、案内部713、開口部714を備えている。
【0096】
第2の栓部材702は軸部721と弁部722を備え、軸部721は栓部材701の案内部713と軸方向に自由に移動可能な状態で係合し、弁部722は圧縮コイルばね703の力を受け、栓部材701の円筒部711の内側に設置されたシール部材704に押し当てられ、当該部分は円周に沿って連続的に密接した状態となりシール性を確保される。
【0097】
図18(b)に示すインク補給容器301とインクサブ容器202との接続状態では、インクサブ容器301のアダプタ731によって第2の栓部材702が押し上げられ、第2の栓部材702とシール部材704との間が開き、インク補給容器内部とインクサブ容器内部とが連通した状態である。
【0098】
このとき第2の栓部材702の弁部722とアダプタの円筒部681の端面が密接しているが、アダプタの円筒形状681にはスリット682が設けられており、流路を塞がな い構造となっている。
【0099】
本実施例におけるその他の内容については図13に関し前述した内容と類似であり省略する。また、図18に示す構造および図18に関し前述した内容は溶剤補給容器302にも適用できる。
【0100】
以上のことから、本実施例にかかる発明によれば、インクあるいは溶剤補給時等にインクあるいは溶剤による汚れを低減可能な補給容器を提供することができる。
【符号の説明】
【0101】
1…本体、2…インク吐出ヘッド、3…操作表示部、4…導管、5…状態表示灯、6…メンテナンス扉、13…印字対象物、15…ベルトコンベア、16…エンコーダ、17…印字センサ、100…インクジェット記録装置、101…MPU、102…ROM、103…RAM、104…入力装置、105…表示装置、111…励振電圧発生回路、112…帯電電圧発生回路、113…偏向電圧発生回路、114…電磁弁制御回路、115…ポンプ制御回路、116…液面制御回路、151…ノズル、152…励振素子、153…帯電電極、154…偏向電極、161…インク粒子、201…インク容器、202…インクサブ容器、203…溶剤サブ容器、211、212、213、214…ポンプ、221、222、223、224、225、226、227、228…電磁弁、229…三方電磁弁、231…フィルター、232…減圧弁、233…圧力計、234…粘度計、241…ガター、251…インク循環エリア、261…インク循環ユニット、301…インク補給容器、302…溶剤補給容器、311…貯蔵部材、312…栓部材、313…蓋部材、314…シール部材、315…吸収材、316…第2の蓋部材、321…貯蔵室、322…口、331…円筒部、332…鍔部、333…底部、341…薄肉部、351…円筒部、352…底部、353…貫通穴、354…円、355…円に沿った部分、356…凹である部分、361…貫通穴、362、363…環状突起、364、365…環状突起、371…貫通穴の内径、372、373…環状突起の内径、381…貫通穴、382…円、383…凹である部分、391…円筒部、392…底部、393…環状突起、501…貯蔵部材、502…アダプタ、503…ねじ、504…シール部材、505…液面センサ、506…吸引パイプ、507…大気開放パイプ、508…ブロック、509…蓋、511…貯蔵部、512…補給口、513…センサ口、521…検出レベル、522…吸引口、531…円筒部、532…鋭角形状、533…外壁部、541…つなぎ部、543…突き破られた部分、544…栓部材の上部スペース、545…環状突起の上部スペース、551…シール部材、552…吸収材、561…円形凹部、571…めくれ部、601…弾性栓部材、611…円筒部、612…鍔部、613…底部、621、622…環状突起、651…栓部材、652…シール部材、661、662…環状突起、663、664…環状突起、671…アダプタ、681…円筒形状、682…スリット、701…栓部材、702…第2の栓部材、703…圧縮コイルばね、704…シール部材、711…円筒部、712…鍔部、713…案内部、714…開口部、721…軸部、722…弁部、

図1(a)】
図1(b)】
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8(a)】
図8(b)】
図9(a)】
図9(b)】
図10
図11(a)】
図11(b)】
図12
図13(a)】
図13(b)】
図14
図15(a)】
図15(b)】
図16
図17(a)】
図17(b)】
図18(a)】
図18(b)】