特許第6158477号(P6158477)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6158477画素ユニット回路、画素アレイ、パネル、パネル駆動方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6158477
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】画素ユニット回路、画素アレイ、パネル、パネル駆動方法
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/3233 20160101AFI20170626BHJP
   G09G 3/3291 20160101ALI20170626BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20170626BHJP
【FI】
   G09G3/3233
   G09G3/3291
   G09G3/20 611H
   G09G3/20 624B
   G09G3/20 642A
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-110299(P2012-110299)
(22)【出願日】2012年5月14日
(65)【公開番号】特開2012-242830(P2012-242830A)
(43)【公開日】2012年12月10日
【審査請求日】2015年4月20日
(31)【優先権主張番号】201110124714.X
(32)【優先日】2011年5月13日
(33)【優先権主張国】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 仲▲遠▼
(72)【発明者】
【氏名】段 立業
(72)【発明者】
【氏名】袁 廣才
【審査官】 小川 浩史
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/060898(WO,A1)
【文献】 S.Ono, Y.Kobayashi, K.Miwa, T.Tsujimura,Pixel Circuit for a-Si AM-OLED,IDW'03 Proceedings of The 10th International Display Workshops,The Society for Information Display,2003年12月 3日,p.255−258
【文献】 小野晋也,小林芳直,「a-Si TFTによるアクティブマトリクス有機LEDディスプレイを目指した画素回路の提案」,映像情報メディア学会誌,2004年 9月 1日,Vol.58, No.9,pp.1283-1287
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/20−3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
OLEDパネルに用いられるOLEDパネル駆動方法であって、
前記OLEDパネルは、画素回路アレイを含み、
前記画素回路アレイは、走査線と、データ線と、画素ユニット回路と、を備え、
前記画素ユニット回路のそれぞれは、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、第3のトランジスタと、第4のトランジスタと、第1キャパシタと、OLEDと、を備え、
前記第1のトランジスタのゲートは、前記第1キャパシタの一端と前記第2のトランジスタのソースとに共に接続され、前記第1のトランジスタのソースは、前記第3のトランジスタのドレインと第2の電源端子とに共に接続され、前記第1のトランジスタのドレインは、前記第2のトランジスタのドレインと前記OLEDのアノードとに共に接続され、
前記第2のトランジスタのゲートは、第2の制御端に接続され、
前記第3のトランジスタのソースは、前記第1キャパシタの他端と前記第4のトランジスタのドレインとに共に接続され、前記第3のトランジスタのゲートは、第1の制御端に接続され、
前記第4のトランジスタのゲートは、前記走査線の一端と接続された走査制御端と接続され、前記第4のトランジスタのソースは、前記データ線の一端と接続された第1の電源端子に接続され、
前記OLEDのカソードは、第3の電源端子に接続され、前記第2の電源端子と前記第3の電源端子とは接地されず、
前記OLEDパネル駆動方法は、
第1ステップとして、第4のトランジスタをオンさせるように前記走査線が走査制御端を通じて有効信号を出力し、前記第2のトランジスタおよび前記第3のトランジスタをオフさせるように前記第1の制御端と前記第2の制御端は無効信号を出力するステップと、
第2ステップとして、前記第1のトランジスタのゲートに有効信号を、前記第1キャパシタを介して、入力することにより前記第1のトランジスタをオンさせるステップと、
第3ステップとして、前記第2の電源端子により出力された第1のレベル信号は前記第1のトランジスタを通じて前記OLEDのアノードに伝送されるステップと、を含む
ことを特徴とするOLEDパネル駆動方法。
【請求項2】
前記第1ステップの前に、
第aステップとして、第1の電源端子および前記第2の電源端子はともに第1のレベル信号を出力し、前記第3の電源端子は第2のレベル信号を出力するステップをさらに含む
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1ステップの後であって前記第2ステップの前に、
第bステップとして、前記第2のトランジスタをオンさせ、前記第1のトランジスタのドレイン電圧がゲート電圧に等しくなるように、前記第2の制御端は有効信号を出力するステップをさらに含む
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1ステップの後、前記第bステップにおいて、前記第2のトランジスタをオンさせる前に、前記第1の電源端子の出力電圧は現在のフレームのデータ電圧に変えるステップをさらに含む
ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のトランジスタのドレイン電圧およびゲート電圧はともに前記第2の電源端子の出力電圧に等しい
ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記第2のトランジスタをオンさせ、前記第1のトランジスタのドレイン電圧がゲート電圧に等しくなるように、前記第2の電源端子が有効信号を出力した後、前記第2ステップの前に、前記第2の電源端子が直流基準電圧を出力するステップをさらに含む
ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記第2ステップにおいて、前記第1のトランジスタをオンさせるように前記第1のトランジスタのゲートに有効信号を出力し、および、前記第3のトランジスタをオンさせるように前記第1の制御端に有効信号を出力し、
前記第2ステップの後であって前記第3ステップの前に、前記第2のトランジスタおよび前記第4のトランジスタをオフさせるように前記第2の制御端および前記走査制御端は無効信号を出力し、前記第1のトランジスタのドレインを通じてデータ電流を前記OLEDに送るステップをさらに含む
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のトランジスタをオンさせるように前記第1のトランジスタのゲートに有効信号を出力し、および、前記第3のトランジスタをオンさせるように前記第1の制御端が有効信号を出力する前であって前記第1ステップの後に、
前記第2の電源端子は第2のレベル信号を出力し、前記第3の電源端子は第1のレベル信号を出力するステップをさらに含む
ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施例は、画素ユニット回路、画素アレイ、パネル、パネル駆動方法に係わるものである。
【背景技術】
【0002】
有機発光ダイオード(OLED)は1種の電流型発光装置として、ますます高性能表示装置に応用されている。従来のパッシブマトリクス有機発光表示(Passive Matrix OLED)は表示サイズの増大につれて、さらに短い単独の画素の駆動時間が必要であり、従って、瞬時電流を増大して、消費電力を増加する必要がある。同時に、大きな電流の応用はITO(インジウムスズ酸化物)のラインで電圧降下が大きすぎるのをもたらし、これにより、OLEDの動作電圧を高すぎるようになり、さらにそれによって、その効率を下げる。しかし、アクチブマトリックス有機発光表示(Active Matrix OLED、AMOLED)は、順次走査するようにスイッチ素子が制御してOLED電流を入力することによって、これらの問題をよく解決することができる。
【0003】
AMOLED画素回路は、動作のプロセスの間に、スイッチ素子としてのTFTの閾値電圧の非均一性、OLEDの非均一性あるいは抵抗の電圧降下(IR Drop、即ち、バックパネルでARVDD電源の電力供給位置に近い領域の電源電圧は、電源の電力供給位置から比較的に遠い領域の電圧より高い現象)などのため、回路が不安定になることをもたらし、OLED輝度は均等でないことをもたらし、それによって、画素回路アレイ全体に影響を及ぼす。従って、関連した技術は、OLED駆動回路に画素の補償を行わせるように、OLED駆動回路を改善した。
【0004】
AMOLEDは駆動のタイプによって3つの種類に区分されることができる:デジタル式、電流式および電圧式。電圧式駆動方法は伝統的なAMLCD駆動方法に似ていて、駆動集積チップにより1つのグレースケールを示す電圧信号を画素に提供し、この電圧信号は画素回路の内部で電流信号に変換され、それによってOLEDを駆動する。このような方法は、駆動のスピードが速くて、簡単に実現することができる利点があり、サイズが大きいパネルを駆動することに適し、業界に広範に採用されている。
【0005】
図1に示したのは、関連した技術における第一種類のOLEDを駆動するための電圧式駆動回路である。それぞれの画素において、T2は、データラインにおける電圧信号をT1のゲートに伝送し、T1は、受信したデータ電圧信号を対応するデータ電流信号に変換してOLEDに提供する。正常な動作を行う時、T1は飽和状態になり、その電流は次のように示すことができる:
【0006】
【数1】
【0007】
中には、

はキャリア移動度であり、

はゲート酸化層コンデンサであり、W/LはTFTチャネルの幅と長さの比であり、Vdataはデータ電圧であり、ARVDDはAMOLEDのバックパネル電源であり、すべての画素ユニット回路に共有され、VthpはT1の閾値電圧である。上式から分かるように、異なる画素ユニット回路の間に駆動TFT(即ち、図1におけるT1)のVthpが異なるならば、たとえ送り込まれたデータの電圧は同じであるとしても、OLEDに送り込んだ電流は相違がある。かつ、各画素に実際に加えるARVDDは異なるならば、OLEDに送り込んだ電流は相違もある。
【0008】
図2Aに示したのは、関連した技術における第二種類のOLEDを駆動するための電圧式駆動回路に関する概略図であり、図2Bに示したのは、当該電圧式駆動回路のタイミング制御に関する概略図である。この回路には、トランジスタT2に加えたゲート電圧はVdata+ Vthpであり、電源電圧VDDと関係がないので、当該回路はIR Dropを補償することができるが、TFTの非均一性を補償することができない。
【0009】
図3Aに示したのは、関連した技術における第三種類のOLEDを駆動するための電圧式駆動回路に関する概略図であり、図3Bに示したのは、当該電圧式駆動回路のタイミング制御に関する概略図である。このような回路構造は、実際的にトランジスタT1のゲートに加えた電圧がT1の閾値電圧Vthと電源電圧ELVDDとすべて関係なく、駆動トランジスタT1の閾値電圧の非均一性とIR Dropを補償することができる。しかし、このような回路は4つのTFT と2つのコンデンサを必要とし、しかも実際的にトランジスタT1のゲートに加えた電圧が2つのコンデンサの割合と関係あり、そして、この回路における2つのコンデンサの大きさはほぼ同じであり、入力電圧のダイナミック範囲が小さい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図4Aに示したのは、関連した技術における第四種類のOLEDを駆動するための電圧式駆動回路に関する概略図であり、図4Bに示したのは、当該電圧式駆動回路のシーケンス制御に関する概略図である。このような回路においてOLEDに入力した電流は一定であり、OLEDの非均一性を補償することができるが、しかし、トランジスタT1に加えたゲート電圧がT1の閾値電圧Vthと電源電圧ELVDDとすべて関係あり、駆動トランジスタT1の閾値電圧の非均一性とIR Dropを補償することができない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一つの実施例は、一つの画素回路アレイを提供し、当該画素回路アレイは、走査線と、データ線と、前記走査線および前記データ線により交差して限定された画素ユニット回路と、を備えている。前記画素ユニット回路のそれぞれは、発光するための発光回路と、前記発光回路を駆動するための駆動回路と、前記駆動回路を正常に動作させるためのプレチャージ(precharge)回路と、前記駆動回路の閾値電圧を補償するための補償回路と、前記駆動回路の制御端および入力端の電圧を保持するための保持回路と、前記プレチャージ回路に電圧を提供するための第1の電源端子と、前記駆動回路に電圧を提供するための第2の電源端子と、前記発光回路に電圧を提供するための第3の電源端子と、前記プレチャージ回路の動作又はオフを制御するための走査制御端と、前記保持回路の動作またはオフを制御するための第1の制御端および前記補償回路の動作またはオフを制御するための第2の制御端と、を備えている;前記プレチャージ回路の入力端が前記第1の電源端子に接続され、その第1の出力端が前記保持回路の入力端に接続され、その第2の出力端が前記補償回路の入力端および前記駆動回路の制御端に接続され、その制御端は前記走査制御端に接続され、前記補償回路の出力端は前記駆動回路の出力端および前記発光回路の入力端に接続され、その制御端は前記第2の制御端に接続され、前記保持回路の出力端は前記駆動回路の入力端および前記第2の制御端に接続され、その制御端は前記第1の制御端に接続される。
【0012】
本発明の他の一つの実施例は、一つのOLEDパネルを提供し、上に述べた画素回路アレイを備える。
【0013】
本発明のもう一つの実施例は、一つのOLEDパネル駆動方法を提供し、上に述べたパネルに用いられ、画素ユニット回路におけるプレチャージ回路は第4のトランジスタおよび第1のコンデンサを備え、補償回路は第2のトランジスタを備え、保持回路は第3のトランジスタを備え、駆動回路は第1のトランジスタを備え、発光回路は有機発光ダイオード(OLED)を備え、前記方法は、第4のトランジスタをオンさせるように前記走査線が制御端を走査することにより有効信号を出力し、前記第2のトランジスタおよび前記第3のトランジスタをオフさせるように前記第1の制御端と前記第2の制御端は無効信号を出力するステップと、前記第1のトランジスタのゲートに有効信号を出力することにより前記第1のトランジスタをオンさせるステップと、第2の電源端子により出力された第1のレベル信号は前記第1のトランジスタを通じて前記OLEDのアノードに伝送されるステップと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】関連した技術における第一種類のOLEDを駆動するための電圧式駆動回路模式図である。
図2A】関連した技術における第二種類のOLEDを駆動するための電圧式駆動回路模式図である。
図2B】関連した技術における第二種類のOLEDを駆動するための電圧式駆動回路のタイミング制御に関する概略図である。
図3A】関連した技術における第三種類のOLEDを駆動するための電圧式駆動回路模式図である。
図3B】関連した技術における第三種類のOLEDを駆動するための電圧式駆動回路のタイミング制御に関する概略図である。
図4A】関連した技術における第四種類のOLEDを駆動するための電圧式駆動回路模式図である。
図4B】関連した技術における第四種類のOLEDを駆動するための電圧式駆動回路のタイミング制御に関する概略図である。
図5】本発明の実施例におけるOLEDパネルの主な構成図である。
図6A】本発明の実施例における画素ユニット回路の主な構成図である。
図6B】本発明の実施例における画素ユニット回路の詳細な構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施例におけるOLEDパネルは、第1の電源端子、第2の電源端子、第3の電源端子、および、画素回路アレイを含む。前記画素回路アレイは、複数の画素ユニット回路により構成されている。前記画素回路アレイは走査線とデータ線をさらに含む。前記画素ユニット回路のそれぞれは、第1のトランジスタ、第2のトランジスタ、第3のトランジスタ、第4のトランジスタ、第1のコンデンサおよび有機発光ダイオード(OLED)を含む。前記第1のトランジスタのゲートは前記第1のコンデンサの一端および前記第2のトランジスタのソースに接続される。前記第1のトランジスタのソースは前記第3のトランジスタのドレインおよび前記第2の電源端子に接続されれる。前記第1のトランジスタのドレインは前記第2のトランジスタのドレインおよび前記OLEDのアノードに接続される。前記第3のトランジスタのソースは前記第1のコンデンサの他端および前記第4のトランジスタのドレインに接続される。前記第4のトランジスタのゲートは前記走査線に接続される。前記第4のトランジスタのソースは前記第1の電源端子に接続される。本発明の実施例に提供された画素ユニット回路を用いることにより、OLEDに送る電流をTFTの閾値電圧および電源電圧とすべて関係なくなるようにし、従って、TFTの閾値電圧の非均一性、OLEDの非均一性およびIR Dropを補償することができる。その上、本実施例が採用した部品はより少なく、それゆえに、効果的に開口率を高めることができる。
【0016】
図5を参照して、本発明の実施例におけるパネルは画素回路アレイ501を含む。前記OLEDパネルは、画素回路アレイ501に制御信号を提供する制御ユニット502をさらに含む。
【0017】
画素回路アレイ501は走査線、データ線および画素ユニット回路を含み、画素回路アレイ501は走査線とデータ線により交差して限定する画素ユニット回路で構成される。
【0018】
図6Aを参照して、本発明の実施例における画素ユニット回路は発光するための発光回路605と、発光回路605を駆動するための駆動回路604と、前記駆動回路604を正常に動作させるためのプレチャージ回路601と、駆動回路604の閾値電圧を補償するための補償回路602と、前記駆動回路604の制御端および入力端の電圧を保持するための保持回路603と、プレチャージ回路601に電圧を提供するための第1の電源端子606と、駆動回路604に電圧を提供するための第2の電源端子607と、発光回路605に電圧を提供するための第3の電源端子608と、プレチャージ回路601のオン又はオフを制御するための走査制御端609と、保持回路603のオンまたはオフを制御するための第1の制御端610および補償回路602のオンまたはオフを制御するための第2の制御端611と、を備える。プレチャージ回路601の入力端が第1の電源端子606に接続され、プレチャージ回路601の第1の出力端が保持回路602の入力端に接続され、プレチャージ回路601の第2の出力端が補償回路602の入力端および駆動回路604の制御端に接続され、プレチャージ回路601の制御端は走査制御端609に接続され、補償回路602の出力端は駆動回路604の出力端および発光回路605の入力端に接続され、補償回路602の制御端は第2の制御端611に接続され、保持回路603の出力端は駆動回路604の入力端および第2電源端子607に接続され、保持回路603の制御端は第1の制御端610に接続され、発光回路605の出力端は第3の電源端子608に接続される。第1の制御端610と第2の制御端611はすべて制御ユニット502に接続され、制御ユニット502は、第1の制御端610と第2制御端611を通じて異なる制御信号を出力する。走査制御端609は画素回路アレイにおける走査線に接続され、走査線は、走査制御端609を通じてプレチャージ回路601に制御信号を提供する。第1の電源端子606は画素回路アレイ501におけるデータ線に接続される。第2の電源端子607および第3の電源端子608は、それぞれ異なる電源電圧端に接続される。
【0019】
第1の電源端子606、第2の電源端子607および第3の電源端子608は、画素回路アレイ501に電源電圧を提供するために、それぞれ異なる電源電圧端に接続される。
【0020】
図6Bを参照する。プレチャージ回路601は、第4のトランジスタ(以下T4と略称)および第1のコンデンサ(以下C1と略称)を含み、プレチャージ回路601の第1の出力端は図6BにおけるN1端であり、第2の出力端は図6BにおけるN2端である。補償回路602は第2のトランジスタ(以下T2と略称)を含む。保持回路603は第3のトランジスタ(以下T3と略称)を含む。駆動回路604は第1のトランジスタ(以下T1と略称)を含む。発光回路605はOLEDを含む。プレチャージ回路601の入力端はT4のソース端を指し、出力端はT4のドレイン端を指す。補償回路602の入力端はT2のソース端を指し、出力端はT2のドレイン端を指す。保持回路603の入力端はT3のソース端を指し、出力端はT3のドレイン端を指す。駆動回路604の入力端はT1のソース端を指し、出力端はT1のドレイン端を指す。発光回路605の入力端は発光ダイオードT5のアノードを指す。T4はオンされると、プレチャージ回路601は動作する。T4はカットオフされると、プレチャージ回路601はオフする。T3はオンされると、保持回路603は動作する。T3はカットオフされると、保持回路603はオフする。T2はオンされると、補償回路602は動作する。T2はカットオフされると、補償回路602はオフする。
【0021】
T1のゲートはC1の一端およびT2のソースに接続される。T1のソースはT3のドレインおよび第2の電源端子607(第2の電源端子607の出力端は図6BにおけるVP端である)に接続される。T1のドレインはT2のドレインおよびOLEDのアノードに接続される。T3のソースはC1の他端およびT4のドレインに接続される。T3のゲートは第1の制御端610に接続される。T4のゲートは走査制御端609に接続される。T4のソースは第1の電源端子606(即ち、第1の電源端子606の出力端は図6BにおけるVD端である)に接続される。T2のゲートは第2の制御端611(即ち、図6BにおけるVC端である)に接続される。第2の制御端611は第2の制御信号をT2に提供し、T3のゲートは第1の制御端610(即ち、図6BにおけるEM端である)に接続される。第1の制御端610は第1の制御信号をT3に提供する。中には、OLEDは1つの発光ダイオードT5と1つのンデンサCOLEDの並列に相当することができ、OLEDのアノードは発光ダイオードT5のアノードであり、即ち、図6BにおけるN3の点であり、つまり、発光回路608の入力端であり、発光回路608の出力端は発光ダイオードT5のカソード端である。発光ダイオードT5のカソードは第3の電源端子608に接続される。前記第1の制御信号および第2の制御信号はすべてOLEDパネルでの制御ユニット502により提供され、制御ユニット502は第1の制御信号と第の2制御信号を制御し、即ち、制御ユニット502はそれぞれ第2の制御端611と第1の制御端610を通じてT2とT3のゲート電圧を制御する。
【0022】
本発明の実施例における第1のトランジスタ、第2のトランジスタ、第3のトランジスタおよび第4のトランジスタがすべてTFTであることができ、本発明の実施例におけるすべてのTFTはP型TFTを例とする。本技術分野における技術者は本発明の実施例に対して変形を行うこともでき、例えば、本発明の実施例におけるTFTはN型TFTを用いることもでき、そうすると、回路の構造と制御信号のシーケンスに対して対応する変更を行う必要があり、その動作原理もP型TFTにより構成された画素回路と類似し、本技術分野における技術者は本発明の実施例における教えに基づいて、どのようにN型TFTを用いて本発明の他の実施例を実現することを自然に知っている。
【0023】
本発明の実施例におけるOLEDに対する駆動は3段階に分けることができる:初期化段階、補償段階および保持段階。
【0024】
初期化段階
第1の電源端子606(VD)と第2の電源端子607(VP)はロー電源レベル(ARVSS)を出力し、第3の電源端子608(VN)はハイ電源レベル(ARVDD)出力する。OLEDは電気学の性能の面で1つの発光ダイオードT5と第2のコンデンサ(以下にはCOLEDと略称)と並列接続することに相当でき、従って、OLEDは逆方向オフされる。図6BにおけるN1の点が直前の段階に記憶された電圧はARVDDであり、N2点が直前の段階に記憶された電圧はARVDDーVDATA(nー1) +VRFF+Vthpであり、ここから分かるように、C1の電圧降下は−VDATA(n−1)+VREF+Vthpである。中には、VDATA(nー1)は直前のフレームに入力したデータ電圧であり、VRFFは直流基準電圧であり、VthpはT1の閾値電圧(Vthp<0)である。この時、走査線がロー電源レベル (VGL)を出力し、EMとVCをハイ電源レベル(VGH)になるように制御する。T1、T4はオンされ、T2、T3はオフされ、T4を経てロー電源レベルARVSSをN1の点に伝送し、C1のブートストラッピング効果により、N2点の電圧はARVSSーVDATA(nー1) +VRFF+Vthpになり、即ち、N1の点の電圧からC1の電圧降下がさし引かれる電圧になる。本発明の実施例VRFFを合理的に選択することを通じて、ーVDATA(nー1)+VRFF<0にし、つまり、N2点の電圧はロー電圧であると、T1はオンさせ、N3の点電圧もARVSSである。
【0025】
その後、VD端の出力電圧はARVSSから現在のフレームのデータ電圧VDATA(n)になり、VPはロー電源レベル(ARVSS)を保持し、VNはハイ電源レベル(ARVDD)を保持する。この時、N2点の電圧はDATA(n)−VDATA(n−1)+VRFF+Vthpになり,つまり、N1の点の電圧からC1の電圧降下がさし引かれる電圧になる。N3の点電圧はARVSSを保持する。VCをロー電源レベル(VGL)になるように制御し、T2はオンされ、C1はOLED等価回路におけるコンデンサCOLEDに直列接続し、N2、N3の最終電圧は電荷保存原理によって得られることができる(中には、T2がオンされた後に、N2点がVINIT点とも称される):
【0026】
【数2】
【0027】
そのため:
【0028】
【数3】
【0029】
がある。
ARVSSーARVDD<0、しかも通常COLED>>C6ため、
【0030】
【数4】
【0031】
N2点はN3の点の電圧に等しく、VINITである。つまり、本段階はN2点とN3の点の電圧に対するプレチャージを完成した。
【0032】
補償段階
VD端は現在のフレームのデータ電圧VDATA(n)を出力し、VP端は直流基準電圧(VRFF)を出力し、VN端はハイ電源レベルの信号(ARVDD)を出力すると、OLEDは逆方向オフを保持する。走査線(SCAN端)とVCをロー電源レベル(VGL)になるように制御し、EMをハイ電源レベルハイ(VGH)ように制御する。この段階で、VRFF>0、N2、N3の点の初期電圧VINIT<0、従って、この時、T1はオンされ、1つのダイオードに相当し、電流がVRFFからN3の点に流れ,N3の点に対して充電し、N3の点の電圧がVRFF+Vthpまで(即ち、VRFFをT1の閾値電圧をプラスし)上がた後、T1はオフされる。補償段階が終了する時、C1の両端に累積された電荷は(VRFF+VthpーVDATA(n))C6になり,T4が線形領域で動作するため、閾値電圧の消耗がない。
【0033】
保持段階
VP端はハイ電源レベル(ARVDD)を出力し、VN端はロー電源レベル(ARVSS)を出力し、OLEDは、順方向オンされる。SCAN、VCをハイ電源レベル(VGH)になるよう制御し、EMはロー電源レベル(VGL)であり、T1、T3はオンされ、T2、T4はオフされ、T1のVGS(つまり、ゲート-ソース電圧)を保持するため、C1はT1のゲート-ソースの間に接続され、その累積された電荷は変えないように保持する。N1の点は時にT3を通じてARVDDに接続され、C1のブートストラッピング効果により、N2点の電圧はARVDDーVDATA(n)+VRFF+Vthp(即ち、N1の点の電圧からC1の電圧降下がさし引かれる電圧)。T1のVGSはVRFF+VthpーVDATA(n)(即ち、ARVDDからN2点の電圧がさし引かれる電圧)。この時、T1に流した電流は:
【0034】
【数5】
【0035】
であり、
そのため:
【0036】
【数6】
【0037】
がある。
【0038】
公式(5)から分かるように、T1に流した電流はT1の閾値電圧と電源電圧ARVDDとすべて関係がないため、以上の三つの段階を通して、基本的にTFTの閾値電圧の非均一性とIR Dropに対する補償が実現される。入力した直流基準電圧VRFFとデータ電圧VDATA(n)は一定であれば、T1に流した電流は一定であり、OLEDの非均一性を効果的に補償した。
【0039】
以下は、流れを通じて本発明実施例におけるOLEDパネル駆動方法を詳しく紹介し、中には、以下のようなステップが含まれている。
【0040】
ステップ701:第4のトランジスタをオンさせるように走査制御端609は有効信号を出力し、第2のトランジスタおよび第3のトランジスタをオフさせるように前記第1の制御端610と前記第2の制御端611は無効信号を出力する。本発明実施例は図6Bを結び付けて説明を行う。
【0041】
ステップ702:第1のトランジスタのゲートに有効信号を、プレチャージ回路を介して、入力することにより前記第1のトランジスタをオンさせる。
【0042】
ステップ703:第2の電源端子607により出力された第1のレベル信号は前記第1のトランジスタを通じて前記OLEDのアノードに出力される。
【0043】
第1の電源端子606および第2の電源端子607はすべて第1のレベル信号を出力し、走査線は走査制御端609により有効信号を出力し、第3の電源端子608は第2のレベル信号を出力し、中には、本発明実施例における第1のレベル信号はロー電源レベル信号(ARVSS)であることができ、第2のレベル信号はハイ電源レベル信号(ARVDD)であることができ、本発明実施例における有効信号はローレベル信号であることができる。同時に、第1の制御信号および第2の制御信号はすべて無効信号である。画素ユニット回路におけるOLEDのアノードは図6BにおけるN3の点である。
【0044】
その後、第1の電源端子606の出力電圧は現在のフレームのデータ電圧になり、制御ユニット502は、第2のトランジスタをオンさせ、しかも、第1のトランジスタのドレイン電圧をゲート電圧と等しくなり、すべて第2電源の端子607の出力電圧に等しくなるように、第2の制御端611を通じて有効信号を出力する。本発明実施例における有効信号はローレベル信号であることができる。第2の制御端は611は第2のトランジスタのゲートに接続され、制御ユニット502は第2の制御端は611を通じて第2のトランジスタのゲートに有効信号を出力し、そうすると、第2のトランジスタはオンさせる。第2の電源端子607は直流基準電圧を出力する。
【0045】
第2の電源端子607は第2のレベル信号を出力し、第3の電源端子608は第1のレベル信号を出力する。第1のトランジスタをオンさせるように、第1のトランジスタのゲートに有効信号を出力し、且つ、第3のトランジスタをオンさせるように、第1の制御端610は有効信号を出力する。第2のトランジスタと第4のトランジスタをオフさせるように、第2の制御端611および走査制御端609は無効信号を出力し、第1のトランジスタのドレインを通じてデータ電流をOLEDに送り込む。
【0046】
本発明実施例におけるOLEDパネルには、第1の電源端子606、第2の電源端子607、第3の電源端子608および画素回路アレイ501が含まれている;前記画素回路アレイ501は画素ユニット回路により構成されている;画素回路アレイ501には走査線がさらに含まれている;前記画素ユニット回路は、第1のトランジスタ、第2のトランジスタ、第3のトランジスタ、第4のトランジスタ、第1コンデンサおよびOLEDを含む;前記第1のトランジスタのゲートは前記第1のコンデンサの1端および前記第2のトランジスタのソースに接続する;前記第1のトランジスタのソースと前記第3のトランジスタのドレインおよび前記第2の電源端子に接続する;前記第1のトランジスタのドレインは前記第2のトランジスタのドレインおよび前記OLEDのアノードに接続する;前記第3のトランジスタのソースは前記第1のコンデンサの他の端および前記第4のトランジスタのドレインに接続する;前記第4のトランジスタのゲートは前記走査制御端に接続する;前記第4のトランジスタのソースは前記第1の電源端子606に接続する。
【0047】
本発明実施例に提供した画素ユニット回路を採用すると、入力した直流基準電圧とデータ電圧信号が変わらないさえであれば、OLEDに送り込まれた電流は一定になることを保持し、そのため、OLEDの非均一性を補償することができる。しかも、OLEDに送り込んだ電流はTFTの閾値電圧とOLEDパネルの電源電圧とすべて関係がなく、従って、TFTの閾値電圧の非均一性とIR Dropを補償することができる。制御方法は簡単で、実現しやすいである。本発明実施例における画素ユニット回路の構造は簡単で、採用の部品はより少なく、それゆえに、効果的に開口率を高めることができる。
【0048】
明らかに、当該技術的分野の技術者は本発明精神と範囲から逸脱しないように本発明実施例に対して各種の補正と変形を行うことができる。このように、もし本発明に関するこれらの補正と変形は本発明におけるクレームおよびそれと同じとみなす技術の範囲に属すれば、本発明がこれらの補正と変形を含むことは本発明の意図である。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6A
図6B