(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6158495
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】回転子及びそれを含む電動機
(51)【国際特許分類】
H02K 1/27 20060101AFI20170626BHJP
H02K 19/10 20060101ALI20170626BHJP
【FI】
H02K1/27 501A
H02K1/27 501K
H02K19/10 A
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-235673(P2012-235673)
(22)【出願日】2012年10月25日
(65)【公開番号】特開2013-146178(P2013-146178A)
(43)【公開日】2013年7月25日
【審査請求日】2015年3月3日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0004987
(32)【優先日】2012年1月16日
(33)【優先権主張国】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】金 成 一
(72)【発明者】
【氏名】朴 晟 ▲ひょく▼
【審査官】
森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−167055(JP,A)
【文献】
特開平09−009537(JP,A)
【文献】
特開2009−268204(JP,A)
【文献】
特開2003−189567(JP,A)
【文献】
特開2011−223742(JP,A)
【文献】
特開2001−339889(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/27
H02K 19/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転子コアと、
前記回転子コアの周りに円周方向に配列され、それぞれ非対称形状に形成された複数の回転子極と、を含み、
前記回転子極のそれぞれは、
前記回転子コアに埋め込まれた永久磁石を含み、
前記永久磁石は、半径方向外側に段差を形成するように、前記回転子コアの半径方向に沿って第1厚さを有する右側部位と前記回転子コアの半径方向に沿って前記第1厚さと異なる第2厚さを有する左側部位とを含み、
前記回転子コアは、複数のフラックスバリアを含み、
何れか1つのフラックスバリアが、前記各永久磁石の右側部位側に接し、他のフラックスバリアが、前記各永久磁石の左側部位側に接する、
回転子。
【請求項2】
回転子コアと、
前記回転子コアの周りに円周方向に配列され、それぞれ非対称形状に形成された複数の回転子極と、を含み、
前記回転子極は、それぞれ、
前記回転子コアの内部に形成されたフラックスバリアを含み、
前記フラックスバリアは、半径方向外側に段差を形成するように、前記回転子コアの半径方向に沿って第1厚さを有する右側部位と前記回転子コアの半径方向に沿って前記第1厚さと異なる第2厚さを有する左側部位とを含む、
回転子。
【請求項3】
前記回転子極は、それぞれ、
前記回転子コアの半径方向に配列された複数のフラックスバリアを含み、
前記各フラックスバリアは、中央部位が曲げられ、前記回転子コアの中央に向けて突出した形態を有する、
請求項2に記載の回転子。
【請求項4】
回転子コア、及び前記回転子コアの周りに円周方向に配列され、それぞれ非対称形状を有する複数の回転子極を含んだ回転子と、
前記回転子から離隔して位置し、コイルが巻かれる複数のスロットを含む固定子と、を含み、
前記回転子極のそれぞれは、
前記回転子コアに埋め込まれた永久磁石を含み、
前記永久磁石は、半径方向外側に段差を形成するように、前記回転子コアの半径方向に沿って第1厚さを有する右側部位と前記回転子コアの半径方向に沿って前記第1厚さと異なる第2厚さを有する左側部位とを含み、
前記回転子コアは、複数のフラックスバリアを含み、
何れか1つのフラックスバリアが、前記各永久磁石の右側部位側に接し、他のフラックスバリアが、前記各永久磁石の左側部位側に接する、
電動機。
【請求項5】
回転子コア、及び前記回転子コアの周りに円周方向に配列され、それぞれ非対称形状を有する複数の回転子極を含んだ回転子と、
前記回転子から離隔して位置し、コイルが巻かれる複数のスロットを含む固定子と、を含み、
前記回転子極は、それぞれ、
前記回転子コアの内部に形成されたフラックスバリアを含み、
前記フラックスバリアは、半径方向外側に段差を形成するように、前記回転子コアの半径方向に沿って第1厚さを有する右側部位と前記回転子コアの半径方向に沿って前記第1厚さと異なる第2厚さを有する左側部位とを含む、
電動機。
【請求項6】
前記回転子極は、それぞれ、
前記回転子コアの半径方向に配列された複数のフラックスバリアを含み、
前記各フラックスバリアは、中央部位が曲げられ、前記回転子コアの中央に向けて突出した形態を有する、
請求項5に記載の電動機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車、家電機器などの各種分野で電気エネルギーを力学的エネルギーに変換させるために使われる電動機に関する。
【背景技術】
【0002】
大気汚染の問題による環境の悪影響と化石燃料の枯渇とによって、ハイブリッド自動車、電気自動車が注目を浴びている。ハイブリッド自動車は、内燃機関を主動力源として利用し、電動機を補助動力源として利用する自動車である。電気自動車は、電動機のみを主動力源として利用する自動車である。
【0003】
電気自動車は、走行時、汚染物質及び二酸化炭素俳出量がない無公害自動車という特徴のために、バッテリー、電動機などの技術の発展につれて、ハイブリッド自動車のような過渡期的自動車を代替できると期待される。
【0004】
一方、電気自動車の電動機は、エンジンのような役割を果たし、バッテリーから電気エネルギーを供給されて機械エネルギーに変換させる。これにより、電気自動車の出力及び走行距離は、バッテリーと電動機の性能とに大きな影響を受ける。したがって、電気自動車の出力及び走行距離の向上のためには、バッテリーの性能向上と共に電動機の出力密度及び効率向上が重要視されている。
【0005】
また、最近、地球環境問題及び炭素経済時代の到来を背景に電気自動車だけではなく、家電機器など全分野でシステムの高効率化が非常に重要な問題として注目されている。これにより、システムの中核駆動源として電動機の高効率化がさらに要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、電気自動車、家電機器などの各種分野で電気エネルギーを力学的エネルギーに変換させるために使われる電動機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、回転子は、回転子コアと、回転子コアの周りに円周方向に配列され、それぞれ非対称形状に形成された複数の回転子極と、を含みうる。
【0008】
本発明の他の態様によれば、回転子は、回転子コア、及び回転子コアの周りに円周方向に配列された複数の回転子極を含み、回転子極にそれぞれ対応する回転子コアの外側部位が偏心して形成されうる。
【0009】
本発明の一態様によれば、電動機は、回転子コア、及び回転子コアの周りに円周方向に配列され、それぞれ非対称形状に形成された回転子極を含んだ回転子と、回転子から離隔して位置し、コイルが巻かれるスロット(slot)を含む固定子と、を含みうる。
【0010】
本発明の他の態様によれば、電動機は、回転子コア、及び回転子コアの周りに円周方向に配列された複数の回転子極を含み、回転子極にそれぞれ対応する回転子コアの外側部位が偏心して形成された回転子と、回転子から離隔して位置し、コイルが巻かれるスロットを含む固定子と、を含みうる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態による電動機に対する断面図である。
【
図2】
図1の一部の領域を抜粋して示した断面図である。
【
図4】回転子極が非対称形状になることによって突極比が増加することを説明するベクトル線図である。
【
図5】本発明の他の例による回転子を含んだ電動機を一部示した断面図である。
【
図6】本発明のさらに他の例による回転子を含んだ電動機を一部示した断面図である。
【
図7】本発明のさらに他の例による回転子を含んだ電動機を一部示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施のための具体的な例を詳しく説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態による電動機に対する断面図である。
図2は、
図1の一部の領域を抜粋して示した断面図である。そして、
図3は、
図1の回転子に対する斜視図である。
【0014】
図1ないし
図3を参照すると、電動機100は、回転子(rotor)110、及び固定子(stator)120を含む。
【0015】
回転子110は、回転子コア111、及び回転子極112を含む。回転子コア111は、軟磁性材料(soft magnet material)からなりうる。回転子コア111は、中心部に長手方向に沿って貫設された貫通ホールを有しうる。シャフト130が貫通ホールに挿設されうる。したがって、回転子コア110が回転すれば、シャフト130も共に回転することができる。シャフト130は、非磁性物質からなりうる。
【0016】
回転子極112は、回転子コア111の円周方向に沿って配列される。回転子極112は、一定間隔離隔して回転子コア111の内部に埋め込まれうる。他の例として、回転子極は、回転子コアに単純に付着されることもある。
【0017】
回転子極112は、偶数個備えられうる。隣接した2つの回転子極112のうちの1つは、回転子コア111の外側面にN極を形成し、他の1つは、回転子コア111の外側面にS極を形成しうる。回転子極112は、一定間隔離隔して位置しうる。
【0018】
回転子極112は、それぞれ非対称形状になされて、突極比(saliency ratio)を増加させる。突極比は、d軸インダクタンスに対するq軸インダクタンスの比である。例えば、それぞれの回転子極112は、第1永久磁石113、及び第2永久磁石114を含みうる。第1、2永久磁石113、114は、互いに離隔して回転子コア111に埋め込まれる。第1永久磁石113は、一端が他端より回転子コア111の内側に位置する。そして、第2永久磁石114は、一端が他端より回転子コア111の内側に位置する。言い換えれば、
図2に示したように、シャフトに近い永久磁石の一端が回転子コアに斜めに植えられた深さは、回転子コアから遠くある永久磁石の他端の深さより大きい。
【0019】
第1、2永久磁石113、114は、
図3に示したように、回転子コア111の回転軸方向に沿って一定の断面積を有するように、それぞれ延びた構造からなりうる。第1、2永久磁石113、114の断面積は、回転子コア111の回転軸方向に垂直な方向に切断した面積と定義される。
【0020】
第1、2永久磁石113、114は、互いに異なる断面積を有するように形成される。このために、第1永久磁石113の厚さt1が、第2永久磁石114の厚さt2と異ならせて形成されうる。すなわち、第1永久磁石113の厚さt1が、第2永久磁石114の厚さt2より厚く形成されうる。ここで、第1永久磁石113の厚さt1の増加分ほど、第2永久磁石114の厚さt2を減少させることによって、回転子極112に使われた第1、2永久磁石113、114の総量をそのまま保持させることができる。
【0021】
言い換えれば、永久磁石のうちの1つの厚さが増加するにつれて、その永久磁石の断面積が増加し、他の永久磁石の厚さが減少するにつれて、その永久磁石の断面積が減少することによって、第1、2永久磁石の総断面積、すなわち、回転子コアの回転軸に垂直である断面積は、設定された総量で固定されうる。
【0022】
他の例として、第1永久磁石113の長さが、第2永久磁石114の長さと異ならせて形成されるか、第1永久磁石113の厚さ及び長さのいずれもが第2永久磁石114の厚さ及び長さと異ならせて形成されうる。
【0023】
第1永久磁石113の一端と第2永久磁石114の一端との間隔は、第1永久磁石113の他端と第2永久磁石114の他端との間隔よりも狭くなることによって、第1、2永久磁石113、114は、“V”字状に位置しうる。他の例として、第1、2永久磁石113、114は、平行に位置することも可能であるので、例示されたものに限定されるものではない。第1永久磁石113と第2永久磁石114は、N極が互いに対向するか、S極が互いに対向するように位置されうる。第1、2永久磁石113、114は、硬磁性材料(hard magnet material)からなりうる。
【0024】
固定子120は、回転子110から離隔して位置する。回転子110が、インナー(inner)タイプである場合、固定子120は、中空を有する円筒状からなりうる。回転子110は、固定子120の中空に挿入されて回転可能に位置されうる。固定子120は、コイルが巻かれるようにスロット121を含みうる。コイルに電流が流れば、固定子120は、回転磁界(rotational magnetic field)を発生させる。
【0025】
一方、分割コア115が、第1永久磁石113と第2永久磁石114との間に配置される。分割コア115は、回転子コア111と同様に磁性物質からなりうる。そして、連結部116は、第1永久磁石113の一端と第2永久磁石114の一端とを互いに連結することができる。連結部116は、回転子コア111の内部に位置されうる。連結部116は、非磁性物質またはエア(air)で構成することができる。したがって、連結部116は、磁束漏れを防止することができる。他の例として、連結部116のうちの中央部分は、磁性物質で構成され、その他の部分は、非磁性物質または空気で構成することができる。この場合、連結部116の中央部分は、非磁性物質で形成された固定部材によって回転子コア111に固定されうる。
【0026】
数式(1)と
図4とを参照して、回転子極112が非対称形状になることによって、突極比が増加することを説明すれば、次の通りである。ここで、数式(1)は、電動機のトルクを計算する方程式である。そして、
図4は、回転子極が非対称形状になることによって、突極比が増加することを説明するベクトル線図である。
【0027】
【数1】
ここで、T:トルク、Pn:極対(pole pair)、Ψa:無負荷鎖交磁束(no−load flux−linkage)、id:d軸電流(d−axis current)、Ld:d軸インダクタンス(d−axis inductance)、iq:q軸電流(q−axis current)、Lq:q軸インダクタンス(q−axis inductance)を意味する。
【0028】
数式(1)の右辺で、Pn×Ψa×iq項は、磁気トルクTmを意味し、Pn×(Ld−Lq)×id×iqは、磁気抵抗(reluctance)トルクTrを意味する。磁気トルクTmは、回転子の永久磁石とこれに対応する固定子の回転磁界との間の磁気的引力によるトルクである。磁気抵抗トルクTrは、磁界で磁気回路の磁気抵抗が最小になる方向に整列しようとする磁性体の特性によって発生するトルクである。
【0029】
一般的に、Lqは、Ldに比べて大きい。Lq値が、Ld値に比べて大きいために、(Ld−Lq)値は、負(−)の値を有する。idが負(−)の値であり、iqが正(+)の値を有するので、磁気抵抗トルクTr値は、正(+)の値を有する。したがって、(Ld−Lq)値を増加させれば、磁気抵抗トルクTr値が増加するということが分かる。
【0030】
図4で、α、α’は位相差(phase difference)、Iaは位相電流(phase current)、βは電流角(current angle)、Ψoは負荷鎖交磁束(load flux−linkage)、Eaは無負荷逆起電力、Eoは負荷逆起電力を意味する。
【0031】
回転子極の永久磁石の使用量が同じ条件で、回転子極が非対称形状になれば、
図4に示したように、回転子の回転方向に沿って位相差がαからα’に小さくなる。この際、回転子極の永久磁石の使用量に変化がないので、鎖交磁束Ψa、Ψoは、同じレベルである。q軸磁路(magnetic circuit)の磁気抵抗変化がほとんどないために、Lq×iq値は、同じレベルである。ここで、iq値は、変化がない値であるので、q軸インダクタンスも同じレベルである。
【0032】
一方、d軸磁路の磁気抵抗が増加するために、Ld×id値が小さくなる。ここで、id値は、変化がないので、d軸インダクタンスが減少する。したがって、突極比が増加することができる。このように、d軸インダクタンスを減少させることができるために、(Ld−Lq)値が大きくなり、それによりトルク成分のうち、磁気抵抗トルクTmが大きくなる。
【0033】
したがって、同量の永久磁石を使う場合、逆起電力は、同様に保持しながら、磁気抵抗トルクTmをさらに確保して、電動機100の出力及び効率を向上させることができる。また、d軸インダクタンスを減少させるので、与えられた電圧仕様内で固定子120のコイルターン数を増やすことができて、設計自由度が高くなる。
【0034】
図4では、回転子110が逆時計回り方向に回転する時、d軸インダクタンスが減少する例を示しているが、回転子110が時計回り方向に回転する時も、同じ結果を表わす。一方、前述した非対称形状の回転子極112の構成は、回転子がアウトタイプである場合にも適用可能であるので、例示されたものに限定されるものではない。
【0035】
図5は、本発明の他の例による回転子を含んだ電動機を一部示した断面図である。
図5に示された回転子210の回転子極212は、回転子コア211の半径方向による中央軸を基準に左右に長く延びた形状になった少なくとも1つの永久磁石213を含む。永久磁石213は、回転子コア211に埋め込まれうる。永久磁石213は、回転子コア211の半径方向による中央軸を基準に左右側部位の厚さが互いに異ならせて形成されることによって、非対称形状になる。
【0036】
例えば、永久磁石213の左側部位の厚さt3が、右側部位の厚さt4より厚く設定されうる。もちろん、永久磁石213の右側部位の厚さが、左側部位の厚さより厚く設定されることも可能である。このように、永久磁石213が非対称形状になれば、前述したような原理によって突極比が増加しうる。
【0037】
回転子コア211は、フラックスバリア(flux barrier)214を有しうる。フラックスバリア214は、永久磁石213の左右両端とそれぞれ接するように形成される。フラックスバリア214は、永久磁石213の磁束漏れを防止する作用ができる。
【0038】
図6は、本発明のさらに他の例による回転子を含んだ電動機を一部示した断面図である。
図6に示された回転子310の回転子極312は、フラックスバリア313を含みうる。ここで、回転子極312は、永久磁石を含まない。フラックスバリア313が回転子コア311の内部に形成されて、固定子120との相互作用によって磁気抵抗トルクを発生させる。フラックスバリア313は、回転子コア311の半径方向による中央軸を基準に左右側部位の厚さが互いに異ならせて形成されることによって、非対称形状になる。
【0039】
例えば、フラックスバリア313の左側部位の厚さt5が、右側部位の厚さt6より厚く設定しうる。もちろん、フラックスバリア313の右側部位の厚さが、左側部位の厚さより厚く設定されることも可能である。このように、フラックスバリア313が非対称形状になれば、前述したような原理によって突極比が増加しうる。
【0040】
このようなフラックスバリア313は、複数個備えられうる。複数のフラックスバリア313は、回転子コア311の半径方向に配列され、各中央部位が回転子コア311の内側に向けて曲げた形態にされうる。一方、フラックスバリア313は、前述した機能を具現することができる範疇で多様に構成することができ、例示されたものに限定されるものではない。
【0041】
図7は、本発明のさらに他の例による回転子を含んだ電動機を一部示した断面図である。
図7に示された回転子410の回転子コア411は、回転子極412に対応する外側部位が偏心して形成され、突極比を増加させる。例えば、回転子極412は、同じサイズと形態とを有する一対の永久磁石413を含みうる。永久磁石413は、回転子コア411に埋め込まれ、連結部414によって互いに連結されうる。
【0042】
そして、回転子コア411は、一対の永久磁石413の間に配される分割コア415を含みうる。ここで、分割コア415は、回転子コア411の半径方向による中央軸を基準に左右側部位415a、415bの断面積が互いに異ならせて形成されて、偏心された形態になされうる。
【0043】
例えば、分割コア415は、左側部位415aが右側部位415bより固定子120に向けてさらに突出した形状になりうる。もちろん、分割コア415は、右側部位415bが左側部位415aより固定子120に向けてさらに突出した形状になることも可能である。このように、分割コア415が偏心された形態でなされば、前述したような原理によって突極比が増加しうる。
【0044】
一方、回転子コア411の外側部位が偏心された構成は、
図5に示された回転子に適用可能である。この場合、永久磁石は、対称形状になりうる。また、回転子コア411の外側部位が偏心された構成は、
図6に示された回転子に適用可能である。この場合、フラックスバリアは、対称形状になりうる。
【0045】
前述した例によれば、回転子極を非対称に作って突極比を増加させることができるために、電動機の出力密度を向上させることができる。同量の永久磁石を使うことができるので、製造コストが節減される。そして、前述した例によれば、d軸インダクタンスを減少させることができるために、電圧仕様内で固定子のコイルターン数を増やすことができて、設計自由度を高めうる。
【0046】
説明された実施形態は、多様な変形がなされるように、各実施形態の全部または一部が選択的に組み合わせられて構成することもできる。また、実施形態は、その説明のためのものであり、その制限のためのものではないということに注意しなければならない。また、当業者ならば、本発明の技術思想の範囲で多様な実施形態が可能であるということを理解できるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、回転子及びそれを含む電動機関連の技術分野に適用可能である。