特許第6158500号(P6158500)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6158500
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】バスバモジュール構造体
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/20 20060101AFI20170626BHJP
   H01M 2/34 20060101ALI20170626BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20170626BHJP
【FI】
   H01M2/20 A
   H01M2/34 B
   H01M2/10 E
   H01M2/10 M
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-260017(P2012-260017)
(22)【出願日】2012年11月28日
(65)【公開番号】特開2014-107161(P2014-107161A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2015年10月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098017
【弁理士】
【氏名又は名称】吉岡 宏嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100120053
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 哲明
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 茂之
(72)【発明者】
【氏名】井上 秀樹
【審査官】 松嶋 秀忠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−186016(JP,A)
【文献】 特開2004−098295(JP,A)
【文献】 特開2011−077031(JP,A)
【文献】 特開2012−169256(JP,A)
【文献】 特開2009−110855(JP,A)
【文献】 特開2004−227927(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10−34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池の正極と負極を交互に配置して隣り合う電池の正極と負極を導体で直列に接続する電池集合体の隣り合う一組の正極と負極間がサービスプラグを介して接離可能に構成されるバスバモジュール構造体において、
前記電池集合体の隣り合う正極と負極間をそれぞれ接続する複数の第1導体と、前記電池集合体の総正極及び総負極にそれぞれ接続される2つの第2導体と、前記サービスプラグを介して互いに接続されるとともに、前記電池集合体の隣り合う一組の正極と負極にそれぞれ接続される2つの第3導体と、前記各導体がそれぞれ収容される収容部が前記電池集合体の複数の電極の配列に合わせて形成される樹脂プレートを備え、
前記樹脂プレートは、隣り合う一組の前記収容部間に沿って分割され、この分割された樹脂プレートが互いに連結可能に形成され、
前記第3導体を収容する2つの隣り合う収容部は、それぞれ前記第3導体が当接する支持面から枠状に立ち上がる周壁に囲まれて形成され、前記樹脂プレートは、前記周壁の開口を開閉自在に被せる絶縁カバーを有し、
前記絶縁カバーは、前記周壁に被せたときに、隣り合う前記収容部の前記周壁間の隙間に進入可能なリブが設けられてなることを特徴とするバスバモジュール構造体。
【請求項2】
前記樹脂プレートは、分割される一方と他方の樹脂プレートのうち、一方の樹脂プレートの他方の樹脂プレートと対向する面に凸部が形成され、他方の樹脂プレートの一方の樹脂プレートと対向する面に前記凸部が係止可能な凹部が形成されてなることを特徴とする請求項1に記載のバスバモジュール構造体。
【請求項3】
前記複数の第1導体とそれぞれ当接させて前記収容部に収容される複数の電圧検出用端子と、この各電圧検出用端子にそれぞれ接続される複数の電線とを備え、前記樹脂プレート、前記複数の電線を収容する溝状の電線配索路が設けられてなり、
前記凸部と凹部は、前記電線配索路の溝底部に形成されることを特徴とする請求項2に記載のバスバモジュール構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電池を直列に接続して構成される電池集合体に装着されるバスバモジュール構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自動車等の駆動用電源に複数の電池を直列接続した電池集合体を用いる場合、隣り合う電池の正極と負極のうちの一組の直列接続を開放状態にしておき、その電極間をサービスプラグで着脱接続することが提案されている。そして、電池集合体の保守、電池集合体の負荷である電子機器を保守する際などにサービスプラグを取り外して、電池集合体の主回路を遮断して安全を確保するようにしている。特に、特許文献1では、直列接続が開放された正極と負極にそれぞれ受け端子を設け、その受け端子にサービスプラグを着脱可能に装着するようにしている。
【0003】
しかし、特許文献1は、電池モジュールの受け端子にサービスプラグを直接装着するようにしているから、サービスプラグを着脱できる位置に電池モジュールを設置しなければならない。また、サービスプラグの形状等が制限されるといった問題がある。
【0004】
一方、特許文献2には、複数の電池を直列接続した複数の電池集合体で構成されるバッテリパックにおいて、作業しやすい位置にサービスプラグを配置するため、電池集合体の隣り合う一組の正極と負極にそれぞれ電線を接続し、その電線の先にコンセントを接続して、コンセントを所望の位置に固定してサービスプラグを着脱可能に装着することが提案されている。
【0005】
ところで、特許文献2のように電線を電極に接続する場合、電線の先に取り付けられた端子を介して電線を電極に接続することになる。しかしながら、特許文献2には、電極に端子を接続する作業が考慮されていない。
【0006】
これに対し、サービスプラグと接続される一対の電線の先にそれぞれ端子を取り付け、この一対の端子を樹脂製のプレート(以下、樹脂プレートという。)に保持して中間モジュールを構成し、この中間モジュールを電池集合体の隣り合う一組の正極と負極に位置合わせして装着する方法が考えられる。ここで、一対の端子には、それぞれ電極が挿入される挿入穴が設けられ、樹脂プレートには、挿入穴と対向する位置に開口が設けられている。また、隣り合う一組の正極と負極には、ナットを締め付けるねじ溝が形成される。
【0007】
これによれば、中間モジュールを電池集合体の一組の正極と負極に装着すると、正極と負極が樹脂プレートの開口に挿入されて端子の挿入穴からそれぞれ突出するから、この突出する正極と負極にそれぞれナットを締め込むことで、一対の端子を電極に接続することができ、接続作業を簡単に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−343331号公報
【特許文献2】特開2009−152135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、電池集合体には、複数の電池を直列に接続するために、バスバモジュールが装着されることがある。このバスバモジュールは、電池集合体の隣り合う正極と負極を接続する複数のバスバと、電池集合体の総正極又は総負極と電線を接続する端子とをそれぞれ樹脂プレートに保持して構成される。すなわち、電池集合体には、複数の電極の配列方向に沿って、中間モジュールの総正極側と総負極側にそれぞれバスバモジュールが装着される。
【0010】
しかしながら、この構造によれば、中間モジュール以外に2つのバスバモジュールが必要になるため、部品点数が多くなる。また、中間モジュールと2つのバスバモジュールといった3つのモジュールをそれぞれ電池集合体に装着しなければならないから、作業の負担が大きくなる。
【0011】
本発明の課題は、サービスプラグと接続される端子を電極に接続する作業性を高めるとともに、部品点数を削減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明は、複数の電池の正極と負極を交互に配置して隣り合う電池の正極と負極を導体で直列に接続する電池集合体の隣り合う一組の正極と負極間がサービスプラグを介して接離可能に構成されるバスバモジュール構造体において、電池集合体の隣り合う正極と負極間をそれぞれ接続する複数の第1導体と、電池集合体の総正極及び総負極にそれぞれ接続される2つの第2導体と、サービスプラグを介して互いに接続されるとともに、電池集合体の隣り合う一組の正極と負極にそれぞれ接続される2つの第3導体と、各導体がそれぞれ収容される収容部が前記電池集合体の複数の電極の配列に合わせて形成される樹脂プレートを備え、前記樹脂プレートは、隣り合う一組の前記収容部間に沿って分割され、この分割された樹脂プレートが互いに連結可能に形成され、第3導体を収容する2つの隣り合う収容部は、それぞれ第3導体が当接する支持面から枠状に立ち上がる周壁に囲まれて形成され、樹脂プレートは、周壁の開口を開閉自在に被せる絶縁カバーを有し、絶縁カバーは、周壁に被せたときに、隣り合う収容部の周壁間の隙間に進入可能なリブが設けられてなることを特徴とする。
【0013】
これによれば、分割された樹脂プレートを連結することによって、第1導体から第3導体までのすべての導体を支持するバスバモジュール構造体を一体化することができるから、このバスバモジュール構造体を電池集合体に装着することにより、各導体を対応する電極にそれぞれ接続する際の作業性を向上できる。
【0014】
ところで、電池集合体は、駆動用電源の仕様変更などによって電池数が増減することがある。そのため、すべての導体を保持する樹脂プレートを一体的に形成すると、電池数が増減する度に、増減した電池数に対応する樹脂プレートを製造しなければならなくなる。この点、本発明では、樹脂プレートを分割可能に形成しているから、予めサイズ(収容部の数など)が異なる樹脂プレートをいくつか用意しておくことで、これらの樹脂プレートを組み合わせて、電池数の増減に対応することが可能になる。ここで、樹脂プレートは、全体として2つに分割されるから、第3導体と2つの第2導体にそれぞれ対応させて3つの樹脂プレートを形成するよりも、部品点数を少なくすることができる。
【0015】
この場合において、樹脂プレートは、分割される一方と他方の樹脂プレートのうち、一方の樹脂プレートの他方の樹脂プレートと対向する面に凸部が形成され、他方の樹脂プレートの一方の樹脂プレートと対向する面に凸部が係止可能な凹部が形成されてなるものとする。これによれば、簡単かつコンパクトな構造で、樹脂プレート間の着脱を行うことができる。
【0016】
また、複数の第1導体とそれぞれ当接させて収容部に収容される複数の電圧検出用端子と、この各電圧検出用端子にそれぞれ接続される複数の電線とを備え、樹脂プレートは、この複数の電線を収容する溝状の電線配索路が設けられ、凸部と凹部は、この電線配索路の溝底部に形成されてなるものとする。このように凸部と凹部を電線配索路の溝底部の一部として形成することにより、バスバモジュール構造体の大型化を防ぐことができる。
【0018】
また、絶縁カバーを周壁に被せたときに、第3導体を収容する2つの隣り合う収容部は、互いに一対の周壁とリブによって、周壁の立ち上がる高さ方向に渡って完全に仕切られる。このため、収容部に収容される第3導体同士が短絡するのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、サービスプラグと接続される端子を電極に接続する作業性を高めるとともに、部品点数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態のバスバモジュール構造体の構成部品である樹脂プレートが分割された状態を示す斜視図である。
図2図1の樹脂プレート同士の連結部分を拡大して示す平面図である。
図3】電池集合体に装着されるバスバモジュール構造体の平面図である。
図4図3のバスバモジュール構造体を絶縁カバーで被せたときの平面図である。
図5図3のA部を拡大して示す平面図である。
図6図3のB部を拡大して示す平面図である。
図7図3のC部を拡大して示す平面図である。
図8図1の第3収容部を拡大して示す斜視図である。
図9図4の絶縁カバーの斜視図である。
図10図8の延長壁の間に図9のリブが進入するときの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を適用してなるバスバモジュール構造体の一実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態のバスバモジュール構造体は、例えば、電動モータの駆動力によって走行する電気自動車や、エンジンと電動モータとの双方の駆動力で走行するハイブリッド車などに搭載され、電動モータに電力を供給する電源装置に適用されるものである。図1図7に示すように、本実施形態のバスバモジュール構造体1は、電源装置の電池集合体3に装着して使用される。
【0022】
電池集合体3は、直方体状に形成された複数の電池5と、これらの電池5を互いに重ね合わせて固定する図示しない固定部材とを備えている。各電池5には、互いに隣り合わない2つの電極面が形成され、一方の電極面には正極の電極柱である正極柱7、他方の電極面には負極柱9が、それぞれ突設されている。電池集合体3は、複数の電池5の正極柱7と負極柱9を交互に配置して隣り合う正極柱7と負極柱9を複数の第1導体15(バスバ)でそれぞれ接続することで、直列に接続されるようになっている。各電池5の正極柱7と負極柱9には、ナット13を螺合させるためのねじ溝が形成される。
【0023】
電池集合体3の2つの電極面には、それぞれバスバモジュール構造体1が装着される。バスバモジュール構造体1は、全体として平板状をなして形成され、複数の第1導体15と、電池集合体3の総正極の電極柱(以下、総正極柱17という。)及び総負極の電極柱(以下、総負極柱19という。)にそれぞれ接続される2つの第2導体21a,21bと、電池集合体3の隣り合う一組の正極柱7a及び負極柱9aとそれぞれ接続される一対の第3導体23a,23bと、各電池5の電圧を測定する複数の電圧検出用端子25と、第1導体15〜第3導体23及び電圧検出用端子25をそれぞれ保持する樹脂プレート27を備えて構成される。
【0024】
第1導体15〜第3導体23は、いずれも金属製の板材である。第1導体15には、隣り合う電池5の正極柱7と負極柱9がそれぞれ挿通される図示しない一対の挿入孔が設けられている。第2導体21には、平板状の電気接触部29と、高圧ケーブル31が圧着される圧着部33が設けられ、電気接触部29には、総正極柱17又は総負極柱19が挿通される図示しない挿入孔が形成される。第3導体23には、平板状の電気接触部35と、高圧ケーブル37が圧着される圧着部39が設けられ、電気接触部35には、正極柱7又は負極柱9が挿通される図示しない挿入孔が形成される。
【0025】
第2導体21aの電気接触部29aは、第2導体21bの電気接触部29bよりも長く形成することで、第2導体21aに接続される高圧ケーブル31aの配索路が確保されるようになっている。電圧検出用端子25には、第1導体15と当接する平板状の電気接触部41と、図示しない電圧検出線が圧着される圧着部43が設けられ、電気接触部41には、正極柱7又は負極柱9が挿通される図示しない挿入孔が形成される。
【0026】
図1に示すように、樹脂プレート27は、第1導体15と電圧検出用端子25の電気接触部41を収容する複数の第1収容部45と、第2導体21a,21bをそれぞれ収容する2つの第2収容部47a,47bと、第3導体23a,23bを収容する一対の第3収容部49a,49bと、電圧検出線を収容する溝状の電線配索路51を備えて形成される。第1収容部45は、電圧検出用端子25の圧着部43とこの圧着部43に圧着された電圧検出線とを収容する電線収容部53と連なって形成される。
【0027】
各収容部は、電池集合体3の電極の配列に合わせて配列され、隣り合う収容部はヒンジ55を介して互いに連結される。第2収容部47a,47bは、樹脂プレート27の長手方向(図3の左右方向)の両端にそれぞれ配置され、第3収容部49a,49bは、樹脂プレート27の長手方向の略中央部に互いに隣接して配置され、第1収容部45は、第2収容部47a,47bと第3収容部49a,49bとの間を埋めるように複数配置される。なお、第3収容部49a,49bの位置は、基本的には樹脂プレートの両端以外であれば、この位置に限定されるものではない。
【0028】
各収容部は、それぞれ樹脂プレート27の底壁から枠状に立ち上がる略矩形の周壁57に囲まれて形成される。周壁57に囲まれる底壁59には、それぞれ電極が挿通される電極通し孔61が設けられる。各収容部に収容された各導体は、各収容部の周壁57から突出する爪部63に係止されることで収容部内に保持されるようになっている。
【0029】
電線配索路51は、溝底部65と一対の側壁67との間に形成され、樹脂プレート27の長手方向に沿って形成される。電線配索路51は、第1収容部45と電線収容部53を介して連結されるとともに、樹脂プレート27と連結される保護カバー69が開閉自在に被せられるようになっている。
【0030】
一対の第3導体23a,23bは、それぞれ高圧ケーブル37を介して図示しない接続具と接続されており、この接続具にはサービスプラグ71が装脱可能に接続される。接続具には、サービスプラグ71が装着されることで、一対の高圧ケーブル37を介して一対の第3導体23a,23b間が導通され、サービスプラグ71が脱離されることで、一対の第3導体23a,23b間が遮断されるようになっている。これにより、電池集合体3の保守、電池集合体3の負荷である電子機器を保守する際などに保守用のサービスプラグ71を取り外すことで、電池集合体3のパワー回路を遮断して作業の安全を確保するようになっている。
【0031】
電池集合体3の例えば電池5の重ね合わせ方向の一方の端部には、電池集合体3を制御するための電気ユニット73が設けられる。この電気ユニット73は、電源装置の出力などを制御する機器類などをケースに収容して構成される。第2導体21aと接続される高圧ケーブル31aは、樹脂プレート27に支持されて、樹脂プレート27の長手方向に沿って電線配索路51と平行に配索された後、第2導体21bと接続された高圧ケーブル31bとともに、電気ユニット73と接続されるようになっている。
【0032】
次に、本実施形態のバスバモジュール構造体1の特徴的な構成について図面を参照して説明する。
【0033】
図1に示すように、本実施形態のバスバモジュール構造体1は、樹脂プレート27が2つに分割可能になっている。ここで、一方の樹脂プレート27aと他方の樹脂プレート27bは、一組の収容部間、つまり、第1収容部45と第3収容部49a間に沿って分割され、それぞれ電線配索路51の溝底部65において互いに連結可能になっている。
【0034】
図2に示すように、樹脂プレート27bには、樹脂プレート27aと対向する面に凸状の溝底部65(以下、凸部75という。)が形成され、樹脂プレート27aには、樹脂プレート27bと対向する面に凸部75が係止可能な凹状の溝底部65(以下、凹部77という。)が形成される。
【0035】
凸部75には、凸部75の突出方向に伸びる両側面にそれぞれ厚み方向(凸部75の突出方向と直交する方向)に伸びる一対の溝部79が形成され、凹部77には、一対の溝部79にそれぞれ嵌合可能な一対の突条部81が形成される。また、樹脂プレート27bには、凸部75の突出方向に伸びる両側面と間隔をあけて突出する一対の第1突出部83が形成され、樹脂プレート27aには、凸部75と一対の第1突出部83との間に嵌合される一対の第2突出部85が形成される。これにより、凸部75が凹部77の厚み方向から挿入されたときに、凸部75の溝部79に凹部77の突条部81が嵌合されるとともに、凸部75と一対の第1突出部83との間に一対の第2突出部85が嵌合され、2つの樹脂プレート27a,27bが互いに連結される。
【0036】
図4に示すように、樹脂プレート27は、全体的に絶縁カバー87が開閉自在に被せられるようになっている。絶縁カバー87は、樹脂プレート27に形成される図示しないヒンジを介して樹脂プレート27と連結され、各樹脂プレート27a,27bに設けられる。樹脂プレート27bと連結される絶縁カバー87bは、一対の第3導体23a,23bとそれぞれ接続される高圧ケーブル37a,37bと第2導体21bと接続される高圧ケーブル31bとを抜き出すためのU字状の切欠き89と、第2導体21aと接続される高圧ケーブル31aを抜き出すための角型の切欠き91が形成される。
【0037】
図8に示すように、樹脂プレート27bには、一対の第3収容部49a,49bの互いに対向する周壁57の一部をそれぞれ高さ方向(図8の上方向)に延長して一対の延長壁93が形成される。また、図9に示すように、絶縁カバー87には、樹脂プレート27bに被せたときに、一対の延長壁93間に進入可能な1条のリブ95が、樹脂プレート27bと対向する面から突出して形成される。
【0038】
これによれば、図10に示すように、絶縁カバー87を樹脂プレート27bに被せたときに、一対の延長壁93間にリブ95が進入することによって、一対の第3収容部49a,49bは、対向する周壁57間の一部が高さ方向に渡って完全に仕切られる。これにより、一対の第3収容部49a,49bに収容される第3導体23a,23b同士を絶縁保護する領域を増やすことができるから、第3導体23a,23b同士の短絡を防ぐことができる。
【0039】
本実施形態によれば、樹脂プレート27が2つに分割され、この分割された樹脂プレート27a,27bが連結可能に形成されるから、電源装置の仕様変更などによって電池集合体3の電池数が増減することがあっても、サイズ(第1収容部45の数など)が異なる樹脂プレート27aをいくつか用意しておけば、電池数に応じて選択した所定のサイズの樹脂プレート27aを樹脂プレート27bと連結させることにより、電池数の増減に対応することが可能になるから、設計変更などに迅速に対応できる。
【0040】
なお、電池数の増減に対応させて新たな樹脂プレート27aを既存の樹脂プレート27bと連結させた場合、一対の第3導体23a,23bの位置が連結後の樹脂プレート27の長手方向の中央部からずれることになるが、要は、サービスプラグ71によって電池集合体3のパワー回路を遮断できればよいため、第3導体23a,23bの位置が多少ずれたとしても、問題はない。
【0041】
また、バスバモジュール構造体1は、全体として2部品で構成されるから、例えば、一対の第3導体23だけを専用の樹脂プレートに保持してモジュールを構成するよりも、部品点数を少なくできる。
【0042】
また、分割された2つの樹脂プレート27a,27bは、互いに連結することで、第1導体15から第3導体23までのすべての導体を保持するとともに、4本の高圧ケーブル31a,31b,37a,37bのすべてを引き出すバスバモジュール構造体を形成することができる。したがって、各導体を各電極と接続する際には、連結されたバスバモジュール構造体1を電池集合体3に装着する作業を1回で済ませることができ、装着作業が完了した後は、各電極にナット13を螺合するだけの作業で済むから、結果として、作業工数を削減することができ、かつ、各導体と各電極を接続する作業性を向上できる。
【0043】
また、本実施形態によれば、樹脂プレート27a,27bを連結する凹部77と凸部75をそれぞれ電線配索路51の溝底部65の一部として形成しているから、バスバモジュール構造体1の大型化を防ぐことができ、かつ、バスバモジュール構造体1の設計自由度を高めることができる。
【0044】
また、本実施形態によれば、サービスプラグ71が装着される接続具を電池集合体3に固定せず、第3導体23a,23bと高圧ケーブル37a,37bを介して浮動状態にしているから、接続具を固定するための構造を別途設ける必要がなく、電池集合体3の構造を簡単化できる。なお、構造が複雑になるが、接続具を電池集合体に固定することもできる。
【0045】
以上、本発明の実施形態を図面により詳述してきたが、上記実施形態は本発明の例示にしか過ぎないものであり、本発明は上記実施形態の構成にのみ限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、本発明に含まれることは勿論である。
【0046】
例えば、本実施形態では、樹脂プレート27を、第1収容部45と第3収容部49a間に沿って分割する例を説明したが、他の収容部間に沿って分割可能に形成することもできる。
【0047】
また、本実施形態では、一対の第3収容部49a,49bの互いに対向する周壁57を延長して一対の延長壁93を形成し、この一対の延長壁93間に絶縁カバー87のリブ95を進入させる例を説明したが、例えば、延長壁93を形成する代わりに、リブ95を長くして、対向する周壁57間に進入させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 バスバモジュール構造体
3 電池集合体
7 正極柱
9 負極柱
15 第1導体
21a,21b 第2導体
23a,23b 第3導体
27 樹脂プレート
31,37 高圧ケーブル
45 第1収容部
47a,47b 第2収容部
49a,49b 第3収容部
51 電線配索路
57 周壁
65 溝底部
71 サービスプラグ
75 凸部
77 凹部
87 絶縁カバー
93 延長壁
95 リブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10