特許第6158561号(P6158561)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6158561
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】組立式紙芝居舞台
(51)【国際特許分類】
   A63J 99/00 20090101AFI20170626BHJP
【FI】
   A63J99/00 A
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-76078(P2013-76078)
(22)【出願日】2013年4月1日
(65)【公開番号】特開2014-200317(P2014-200317A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2016年4月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】502200874
【氏名又は名称】有限会社みずの
(74)【代理人】
【識別番号】100080698
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 治親
(74)【代理人】
【識別番号】100110722
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 誠一
(72)【発明者】
【氏名】水野 貴之
【審査官】 ▲吉▼川 康史
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭59−083784(JP,U)
【文献】 実開平05−054274(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3131056(JP,U)
【文献】 実開昭55−151400(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63J 1/00−99/00
A63K 1/00−99/00
B65D 5/00− 5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に紙芝居の絵板を収容可能な収容部を有し、前記絵板に描かれた絵を露出させる開口部と、左右の側面の少なくとも一方に設けられた前記絵板を挿抜する挿抜口を備えた組立式紙芝居舞台において、
前記組立式紙芝居舞台は可撓性を有する材料によって形成され、天井板部及び底板部には前後方向への伸縮を可能にする複数の切込線が設けられると共に、前記天井板部には前記収容部内に収容された前記絵板を確認するための窓部が設けられていることを特徴とする組立式紙芝居舞台。
【請求項2】
請求項1に記載の組立式紙芝居舞台において、
前記絵板は、表面に絵が描かれた菓子であることを特徴とする組立式紙芝居舞台。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の組立式紙芝居舞台において、
前記組立式紙芝居舞台の後部覆いは、前記絵板の挿抜を補助するための1又は複数の溝部を備えていることを特徴とする組立式紙芝居舞台。
【請求項4】
請求項3に記載の組立式紙芝居舞台において、
前記溝部は、複数の折り目によって形成されることを特徴とする組立式紙芝居舞台。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の組立式紙芝居舞台において、
前記組立式紙芝居舞台は、1枚の平板状の型紙によって提供され、前記型紙には組み立てを補助するための切り込み及び折り目が設けられていることを特徴とする組立式紙芝居舞台。
【請求項6】
請求項2から4のいずれか1項に記載の組立式紙芝居舞台において、
前記組立式紙芝居舞台は、前記絵板である菓子を収容するパッケージによって提供され、前記パッケージには組み立てを補助するための切り込み及び折り目が設けられていることを特徴とする組立式紙芝居舞台。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の組立式紙芝居舞台において、
さらに、日除け部材及び前扉を備えると共に、前記日除け部材及び前扉をそれぞれ係止する係止片が設けられていることを特徴とする組立式紙芝居舞台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組立式紙芝居舞台に関し、さらに詳しくは、例えば、表面に紙芝居用の絵が描かれた煎餅などの菓子類を購入した需要者が自ら組み立てて、菓子類を紙芝居の絵板として用いることにより紙芝居を楽しむことができる組立式紙芝居舞台に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビが普及する以前に人気であった紙芝居は、複数枚のB4サイズ程度の用紙やボード等の表面にお伽噺の場面等の絵を描画し、その裏面側に筋書きやセリフを記載した絵板と、この絵板を収容可能な枠状の紙芝居舞台とを用意し、物語の進行に合わせて絵板の最前列の用紙やボードを順次入れ換えながら話を進めるものである。絵板の表面に描かれた絵と裏面に記載された文章は一致しておらず、絵板を予め定められた順番に並べた場合に最前列に位置する絵板の表面に描かれた絵の説明文はそのときに最後列に位置する絵板の裏面に示されるようになっている。
【0003】
従来の紙芝居舞台として、例えば、特許文献1に示すものがある。この紙芝居舞台100は、図10に示すように、天扉103、左扉104及び右扉105を含む正面扉体101を備え、これらは底板と、この底板の両側に立設された左右一対の右側板及び左側と、この一対の側板の上端に設けられた天板とを備えた枠体(いずれも図示せず)に取り付けられている。そして、天扉103はその天扉内側107が一対のヒンジ116,116によって観客側となる縁枠体102の側部に結合され、左扉104及び右扉105はその左扉内側108及び左扉内側109が各一対のヒンジ116,116によって縁枠体102に結合されている。さらに、縁枠体102の中央部には紙芝居シート表示部110が開口されている。
【0004】
また、紙で形成した紙芝居用舞台も提供されている。例えば、特許文献2は、紙製の紙芝居舞台は折れ曲がったり反り返ったりするため、一番前の絵板を抜き出して一番後ろに挿入する際に縁部に引っかかってうまく差し込めないことがあり、そのような場合でも挿抜がスムーズに行うことができるようにした紙製の紙芝居舞台が提案されている。
【0005】
一方、特許文献3には、チョコレート等の菓子の表層面に図柄を印刷する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3090057号公報
【特許文献2】実開平2−149300号公報
【特許文献3】実開平4−6683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1,2に示すような従来の紙芝居舞台の場合、一番前に位置している絵板がどのような絵板であるかは演者が前を覗き込んで現に表示されている絵を確認する必要があった。また、紙芝居舞台に絵板を収容した後では絵板が物語の順番にきちんと並んでいるかは一旦絵板を引き出して確認せざるを得ないことから演技中における絵板の順番の確認は困難であった。
【0008】
また、特許文献1の紙芝居舞台は木製であるため形状は固定されており、挿入する絵板の枚数が許容枚数よりも少なければ全てを収容することが可能であるが収容部に大きな隙間が空いてしまうので挿入された絵板は真っ直ぐに保持されずガタついてしまうという問題がある。一方で、その許容枚数よりも多い場合には収容することができないのはもちろんである。また、特許文献2の紙芝居舞台は紙製であるため容易に変形するであろうがそれでも収容可能な絵板の枚数は決まっており、絵板の枚数が増えた場合には全てを収容することができない。
【0009】
一方、チョコレートなどの菓子の表面に図柄を印刷することは、例えば、特許文献3に示されているが、複数の菓子の表面に図柄をそれぞれ物語調に印刷することにより菓子を紙芝居の絵板として利用するということは示されていない。また、菓子を紙芝居用の絵板として使用した場合には紙芝居舞台の形状が固定されていると挿抜の際に菓子が容易に割れるおそれがある。
【0010】
そこで、本発明は、前を覗き込まなくても一番前に位置している絵板がどのような絵板であるかを演者が瞬時に確認することが可能であり、しかも、紙芝居舞台に絵板を収容した後でも絵板が順番にきちんと並んでいるかを演者が確認することが可能な組立式紙芝居舞台を提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、収容すべき絵板の枚数が増減しても収容部内に収容することができる組立式紙芝居舞台を提供することを目的とする。
【0012】
さらに、菓子の表面に図柄を印刷することによって形成された紙芝居用の絵板であっても紙芝居舞台への挿抜の際に容易に割れることがない組立式紙芝居舞台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために請求項1に記載の発明は、内部に紙芝居の絵板を収容可能な収容部を有し、前記絵板に描かれた絵を露出させる開口部と、左右の側面の少なくとも一方に設けられた前記絵板を挿抜する挿抜口を備えた組立式紙芝居舞台において、前記組立式紙芝居舞台は可撓性を有する材料によって形成され、天井板部及び底板部には前後方向への伸縮を可能にする複数の切込線が設けられると共に、前記天井板部には前記収容部内に収容された前記絵板を確認するための窓部が設けられていることを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決するために請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の組立式紙芝居舞台において、前記絵板は、表面に絵が描かれた菓子であることを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決するために請求項3に記載の本発明は、請求項1又は2に記載の組立式紙芝居舞台において、前記組立式紙芝居舞台の後部覆いは、前記絵板の挿抜を補助するための1又は複数の溝部を備えていることを特徴とする。
【0016】
上記課題を解決するために請求項4に記載の本発明は、請求項3に記載の組立式紙芝居舞台において、前記溝部は、複数の折り目によって形成されることを特徴とする。
【0017】
上記課題を解決するために請求項5に記載の本発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の組立式紙芝居舞台において、前記組立式紙芝居舞台は、1枚の平板状の型紙によって提供され、前記型紙には組み立てを補助するための切り込み及び折り目が設けられていることを特徴とする。
【0018】
上記課題を解決するために請求項6に記載の本発明は、請求項2から4のいずれか1項に記載の組立式紙芝居舞台において、前記組立式紙芝居舞台は、前記絵板である菓子を収容するパッケージによって提供され、前記パッケージには組み立てを補助するための切り込み及び折り目が設けられていることを特徴とする。
【0019】
上記課題を解決するために請求項7に記載の本発明は、請求項1から6のいずれか1項に記載の組立式紙芝居舞台において、さらに、日除け部材及び前扉を備えると共に、前記日除け部材及び前扉をそれぞれ係止する係止片が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る組立式紙芝居舞台によれば、紙芝居舞台の天井板部に収容部内に収容された絵板を確認するための窓部を設けたので演者がその都度前を覗き込まなくても一番前に位置している絵板がどのような絵板であるかを瞬時に確認することができると共に、紙芝居舞台に絵板を収容した後でも絵板が順番にきちんと並んでいるかを確認することができるという効果がある。
【0021】
また、本発明に係る組立式紙芝居舞台によれば、紙芝居舞台を可撓性のある材料で形成すると共に、紙芝居舞台の天井板部及び底板部に前後方向への伸縮を可能にする複数の切込線を設けたので組立式紙芝居舞台が前後に伸縮するので収容すべき絵板の枚数が増減しても収容部に隙間を空けることなく絵板を保持することができるという効果がある。また、紙芝居舞台が前後へ容易に伸縮するので絵板が煎餅やクッキーなどの割れやすい菓子であっても挿抜の際に容易に割れることがないという効果がある。さらに、後部覆いに絵板の挿抜を補助するための1又は複数の溝部を備えているので可撓性を有する材質と相まって収容された絵板を前方に押圧することで絵板を挿抜することなく前方の溝へ掛止させることもできる。
【0022】
さらに、本発明に係る組立式紙芝居舞台によれば、詰め合わせ菓子等の商品を本来の目的以外に利用でき、これによって商品の付加価値を高めて販売促進等が図られるようにしたことにより、商品の付加価値が高められ、顧客の商品購入意欲の向上及び販売促進の向上を図ることができるという効果がある。また、切り込みによって分離可能な反射部材を設けたので演者は前方から絵板を覗かなくても絵を確認できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係る組立式紙芝居舞台の第一の実施形態の組み立て前の型紙の状態を示す平面図である。
図2図1の型紙を組み立てた状態の組立式紙芝居舞台を示す斜視図である。
図3】(a)は後部覆いを折り込んだ状態の組立式紙芝居舞台を後方から見た状態を示す斜視図、(b)その側面図である。
図4図2の組立式紙芝居舞台の平面図である。
図5】本発明に係る組立式紙芝居舞台の第一の実施形態の使用例を示す斜視図である。
図6】本発明に係る組立式紙芝居舞台の第二の実施形態の展開図である。
図7】(a)は第二の実施形態における反射部材の組立後の状態を示す斜視図、(b)は反射部材の他の構成例を示す斜視図である。
図8】本発明に係る型紙の他の構成例を示す平面図である。
図9】第一の実施形態の底板部の底面図である。
図10】従来の紙芝居舞台の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
1.第一の実施形態
[組立式紙芝居舞台の構成]
以下、本発明に係る組立式紙芝居舞台について、好ましい一実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は本発明に係る組立式紙芝居舞台の第一の実施形態の組み立て前の型紙の状態を示す平面図、図2図1の型紙を組み立てた状態の紙芝居舞台を示す斜視図である。
【0025】
図示された型紙2は、図1に示すように、概略として略長方形状をなし、いわゆる「ペーパークラフト」のようにして箱形枠体からなる組立式紙芝居舞台1(以下単に「紙芝居舞台1」という。)を組み立てるためのものである。型紙2は、前板部3と、後板部4と、上記前板部3と後板部4の間に位置する天井板部5と、後板部4と連続した底板部6を備えて構成されている。また、底板部6の長端縁に沿って糊代部7が設けられている。尚、この糊代部7は前板部3の長端縁側に沿って設けることもできる。そして、各部のそれぞれには所定箇所に複数の切り込み線31〜39や折り線21〜28が設けられている。尚、天井板部5及び底板部6の奥行きは絵板の厚みや収容する枚数に応じて適宜変更することができる。また、型紙2は、図8に示すように、前板部3を底板部6に連続させ、糊代部7を前板部3又は天井板部5に設ける構成であってもよい。型紙2は、例えば、長さ26cm、幅12.5cm、厚み0.5mmの長方形を有する紙材で、前板部3を例えば、12.5×9cm、後板部4を例えば、12.5×9cm、上記前板部3及び後板部4を連結する天井板部5を例えば、12.5×3cmとすることができる。そして、この型紙2を組み立てることによって紙芝居舞台1が形成される。尚、材質は紙材に限らず可撓性を有する合成樹脂材料を用いても構わない。
【0026】
切り込み線31〜39は、全長に亘ってカットされていても良く、或いはミシン目などを設けることで切り離し可能としてもよい。また、折り線21〜28は、線状の押し型による凹部形成又は単なる線や破線等の印刷により設けることができる。印刷の場合、組立時にユーザがそのまま指で折るなどして折り目を付けるか、印刷線に沿ってカッターナイフ等で浅い切れ目を入れることによって簡単に折れるようにすることもできる。尚、紙芝居舞台1の表面となる各面は無地でもよいが、適宜の色に着色し、あるいは模様、イラスト、写真等を印刷してもよい。
【0027】
前板部3には、切込線36及び折り線27によって形成される上下方向に開閉する日除け部11と、切込線37,38及び左右に設けられた折り線28,28によって観音開きに開閉可能な前扉12,12が形成される。また、後板部4の中央部には、折り線23及びコ字形状の切込線32によって形成される後部覆い13が設けられている。この後部覆い13を開けると、紙芝居舞台1内に収容された絵板50a〜50dの背面を視認することができ、これにより絵板50a〜50dの背面に記載された記号や解説文を読み取ることができる。後部覆い13は前方側(座絵板3側)に折り込んでも、それとは反対に後方側に折り倒すことができる。後部覆い13を前方に折り込む場合には、図3に示すように、後部覆い13を図9(b)に示すように山折りと谷折りを繰り返することにより凹凸に折り込んで絵板の挿抜を補助するための1又は複数の溝41を形成することができる。このとき前方側がやや低くなるように後部覆い13を傾斜させて折り込むようにすれば溝41に掛止絵板50a〜50dを前方に押圧することで絵板50a〜50dを挿抜することなく溝41を乗り越えさせながら前方の溝41へ移動させることもできる。さらに、日除け部11の左右両側の上方及び前板部3の左右の両端側の下方には、それぞれ切込線39,39が設けられており、この切込線39,39に日除け部11の両側縁部や前扉12,12の下縁部を係止させることで日除け部11や前扉12,12を固定することができる。
【0028】
天井板部5は、折り線25,26によって前板部3と後板部4との間に形成されており、この天井板部5には三角形状に開口した窓部14を形成するための切込線33が設けられ、さらに三角形状の切込線33の2つの斜辺に沿うようにして略斜めに一対の切込線34,34が設けられると共に、この切込線34,34と折り線26に沿うようにして切込線35が設けられている。切込線34,34のそれぞれの一端部は天井板部5の縁部と連続しており、切込線35の両側は天井板部5の天井板部5の縁部には連続していない。
【0029】
底板部6は、後板部4との間に設けられた折り線22によって後板部4と連続されて配置されている。底板部6には、幅方向に沿って所定の長さの切込線31,31が交互に設けられている。図1の底板部6には両側にそれぞれ4列と、その間に3列の切込線31,31が設けられている。この切込線31,31により、底板部6は天井板部5の切込線34,35と共に前後に伸縮できるようになっている。後板部6は、例えば、12.5×40mmの大きさに形成される。また、後板部6には折り線33を境にして糊代部7が設けられている。天井板部5と底板部6の奥行きを同一にすることで紙芝居舞台1を横から見て方形状にすることができ、底板部6の奥行きを天井板部5よりも長くすれば安定性のよい台形状にすることができる。そして、両側部には絵板50a〜50dを挿抜するための挿抜口10a、10bが形成されている。
【0030】
一方、紙芝居に使用する絵板は紙やカードなどに描かれたものを使用するのが一般的であるが、近年では煎餅やチョコレート等の菓子の表面に印刷によって詳細な絵柄を描くことが可能となっており、そのような絵が描かれた菓子を絵板として使用することができる。そして、そのような菓子が詰められた菓子箱内に付属品として上述の型紙2を同梱し、菓子を購入した需要者が型紙2から紙芝居舞台1を組み立ててもらうようにすれば需要者の購買意欲を刺激することができる。また、菓子を詰めた菓子箱(パッケージ)自体に上述した切込線や折線を設けた状態で販売することもできる。絵板として使用する菓子としては、四角い形状と適度な硬さを有し、且つ、比較的厚みが薄い、例えば、煎餅や板チョコなどの硬質な菓子が望ましい。そして、菓子の表面に物語のシーン(場面)を示す絵やイラスト等を描き、裏面には提示する順番を示すシーン番号(登場番号)やシーンの説明文を表示する。尚、絵板となる菓子はそれぞれ透明の包装紙で包装された状態となっているのでシーン番号の表示は直接記載しなくても裏面側の包装紙に番号を記載したシールを貼付することにより行うこともできる。また、菓子にシーンの説明文を表示すことができない場合などには別途説明文を付属させてもよい。
【0031】
[紙芝居舞台の組み立て]
次に、上述した型紙2を組み立てて紙芝居舞台1を形成する手順について図1を参照して説明する。順序はこれに限定されるものではなく適宜の順序で組み立てることができる。
(1)まず、型紙2に設けられている切込線32,36,37,38に沿って切り離し、日除け部材11、前扉12,12、後部覆い13のそれぞれを分離する。また、切込線33に沿って三角形に抜き取って窓部14を形成する。窓部14を設けたことにより内部が見えるだけでなく持ち手としても利用することができる。
(2)次いで、折り線27,28を利用して日除け部11及び前扉12,12を形成する。
(3)同様にして、切込線32に沿って後部覆い13を形成し、さらに折り線23沿って後部覆い13を図2の後方側へ折り曲げて開口とする。尚、後部覆い13は前方に折り込んだ場合には山折り谷折りを繰り返して溝41を形成することができる。これによって絵板50a〜50dの位置決め及び出し入れが容易になる。尚、溝41は形成せずに平坦状にしておくこともできる。
(4)さらに、折り線21に沿って糊代部7を図1の奥側方向へ折り曲げて折り癖を付け、糊代部7の表面に別途用意した糊(図示せず)を塗布し、この塗布部分を前板部3の端辺の内側に貼り付ける。
(5)そして、折り線22,25,26のそれぞれの折り曲げ角度を90°になるようにして全体が箱型になるようにする。すると、図2図4に示すような紙芝居舞台1が完成する。
【0032】
[紙芝居舞台の使用例]
次に、紙芝居舞台1の使用例について説明する。図5は紙芝居舞台の使用例を示す斜視図である。まず、図2図4のように組立てられた紙芝居舞台1をテーブル等の上に置く。そして、日除け部材11及び前扉12,12を90°に折り曲げる。このとき、日除け部材11及び前扉12,12はそれぞれ係止片16,17に係止することにより固定することもできる。次に、図2に示す紙芝居舞台1の収容部40に菓子によって形成された所定枚数の絵板50a〜50dを絵が観客側に向くようにして所定の順序でセットする。尚、ここでは便宜上4枚であるがこれに限るものではない。絵板50a〜50dの数が多い場合や厚みのある菓子等の場合には、切込線31,34,35によって天井板部5及び底板部6が延びるので容易に収納することができる。尚、使用する絵板の全てを収容部40に収容する必要はなく、絵板は適宜に挿抜するようにしてもよい。
【0033】
準備が整ったところで演者は1枚目の絵板50aに基づき紙芝居を実施する。このとき、天井板部5に設けられた窓部14や切込線34,35によって開口した部分から紙芝居舞台1の収容部40に収容された絵板50a〜50dを後方から確認することができるので絵板50a〜50dの裏面に表示されたシーン番号を確認することで絵板50a〜50dが順番にきちんと並んでいるかを演者が瞬時に把握することができる。そして、演者は物語の進行に合わせて絵板50a〜50dを適宜に挿抜口10a、10bから排出する。そして、上演が終わった絵板50a〜50dは食べることも、再度紙芝居に用いることもできる。また、紙芝居舞台1に写真を収容することでフォトスタンドとして利用することもできる。
【0034】
2.第二の実施形態
次に、第二の実施形態について説明する。図6は本発明に係る紙芝居舞台の第二の実施形態の展開図である。図6に示すように、本実施形態では後板部4の一方の側辺に反射部材8を設けたものである。この反射部材8は、後板部4との間に設けられた切込線81によって分離可能とされ、中間部には上下を二分するようにして折り線83が設けられ、その上部には、例えば、反射鏡となるアルミニウム箔等による円形の反射シール18が貼り付けられて形成されている。そして、反射シール18の下部の側には所定長の折り線84が設けられ、この折り線84の両端には垂直に切込線82,82が設けられている。尚、反射シール18は円形としたが四角形や反射部材8の片面全域に反射シールを設ける等の構成とすることもできる。
【0035】
この反射部材8を切込線81から分離して組み立てたのが図7(a)であり、切込線81を境に一対の前脚部8a,8aと後脚部8bを前後に折り曲げて自立させる。そして、反射シール18紙芝居舞台1の前方に配置する。これにより、観客側に向いている紙芝居の絵の内容を演者が紙芝居舞台1の前方から絵を除かなくても絵板50a〜50dを確認することができる。
【0036】
一方、図7(b)は、反射部材の他の実施形態を示す斜視図である。本実施形態に係る反射部材9は2つの反射シール19,19が並列されている略中央部に設けた折り線91に沿って二つ折りにして屏風の如くに立てることができるようにしたものである。
【0037】
以上のように、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0038】
1 組立式紙芝居舞台
2 型紙
3 前板部
4 後板部
5 天井板部
6 底板部
7 糊代部
8,9 反射部材
10a,10b 挿抜口
11 日除け部材
12 前扉
13 後部覆い
14 窓部
15 板紙
16,17 係止片
18,19 反射シール
20a,20b 切込線
21〜28 折り線
31〜39 切込線
40 収容部
41 溝
50a,50b,50c,50d 絵板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10