(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
油圧ショベル等の建設機械のキャブの前面には、作業箇所をガラス越しではなく直視するための開口が形成されており、開口が前窓によって開閉され、前窓が開位置及び閉位置でロックされるようになっている。この種の装置として、リンク式の前窓開閉ロック装置(特許文献1参照)と、レール式の前窓開閉ロック装置(特許文献2参照)とが知られている。
【0003】
図9を用いて従来のリンク式前窓開閉ロック装置1xの概要を説明する。
図9は、従来のリンク式前窓開閉ロック装置1xが装備されたキャブ2xを斜め下方から見上げた斜視図であり、FRTは前方、UPRは上方、RHは右方を示す。図示するように、この前窓開閉ロック装置1xは、キャブ2x内に前窓用の開口の両脇に沿って配設されたガイドレール5xと、ガイドレール5xに係合するガイドローラー6xが下端に設けられた窓枠7xを有する前窓3xと、下端が窓枠7xの左右の側部7sxの中程に回動自在に接続され上端がキャブ2x内の上部に回動自在に支持されたリンクレバー8xとを備えており、リンクレバー8xが上端回りに回動しガイドローラー6xがガイドレール5xに沿って移動することで、前窓3xが開口を覆う閉位置とキャブ2内の天井に沿った開位置とに移動するようになっている。
【0004】
前窓3xは、窓枠7xの左右の側部7sxに設けられたグリップ12xを運転者(オペレーター)が把持することで、閉位置と開位置とに移動される。左右のグリップ12xの近傍には、窓枠7xを閉位置及び開位置でロックするためのロック機構9xと、ロック機構9xをロック・アンロックする解除レバーとが、夫々設けられている。ロック機構9xは、前窓3xが閉位置に移動されたとき、ガイドレール5xに設けられた閉保持用ストライカー11xと係合し、前窓3xを閉位置にロックする。また、ロック機構9xは、前窓3xが開位置に移動されたとき、キャブ2の天井に設けられた開保持用ストライカー10xと係合し、前窓3xを開位置にロックする。
【0005】
図10〜
図12を用いて従来のレール式前窓開閉ロック装置1yの概要を説明する。
図10は前窓3yが開位置に移動されたレール式前窓開閉ロック装置1yの側面図、
図11は前窓3yが開位置と閉位置との間に移動された同装置1yの側面図、
図12は前窓3yが閉位置に移動された同装置1yの側面図である。図示するように、この前窓開閉ロック装置1yは、キャブ2内に前面から天井に亘って屈曲して配設されたガイドレール5yと、ガイドレール5yに係合する上端ガイドローラー6y1及び下端ガイドローラー6y2が設けられた窓枠7yを有する前窓3yとを備えており、窓枠7yの上端ガイドローラー6y1及び下端ガイドローラー6y2がガイドレール5yに沿って移動することで、前窓3yが
図10に示す開位置から
図11に示す中間位置を経て
図12に示す閉位置に移動し、閉位置から中間位置を経て開位置に移動するようになっている。
【0006】
前窓3yの窓枠7yの上部には、窓側ロック機構9y1が設けられている。窓側ロック機構9y1は、
図12に示すように、前窓3yが閉位置に移動したときキャブ2内の上部前方に取り付けられたキャブ側ストライカー11yと係合し、前窓3yを閉位置にロックする。キャブ2y内の上部後方には、キャブ側ロック機構9y2が設けられている。キャブ側ロック機構9y2は、
図10に示すように、前窓3yが開位置に移動したとき前窓3yの上部に取り付けられた窓側ストライカー10yと係合し、前窓を開位置にロックする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、
図9に示すリンク式前窓開閉ロック装置1xにおいては、開保持用ストライカー10xがキャブ内の天井の中程に取り付けられ、閉保持用ストライカー11xがガイドレール5xの中程に取り付けられるため、これらストライカー10x、11xがキャブ2xに乗り降りする運転者の頭部等と干渉する可能性があり、運転者の乗降性の点で改善の余地が残されている。また、運転者が左右のグリップ12xを把持して左右の解除レバーを操作しなければロックを解除できず、操作性の点でも改善の余地が残されている。
【0009】
他方、
図10〜
図12に示すレール式前窓開閉ロック装置1yにおいては、前窓3yの開閉軌跡に対して閉時と開時とでロック方向が約90度異なるため、1個のロック機構では閉ロック及び開ロックの双方に対応できず、窓側ロック機構9y1及びキャブ側ロック機構9y2の2個のロック機構が必要となる。このため、コストアップが避けられない。
【0010】
以上の事情を考慮して創案された本発明の目的は、運転者がキャブに乗降し易く、前窓のロック・アンロックの操作が容易であり、コストダウンを図った建設機械の前窓開閉ロック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した目的を達成すべく創案された本発明によれば、建設機械のキャブ内に前窓用の開口の両脇に沿って配設されたガイドレールと、ガイドレールに係合するガイド部材が設けられた窓枠を有する前窓と、下端が窓枠の左右の側部の中程に回動自在に接続され上端がキャブ内の上部に回動自在に支持されたリンクレバーとを備え、リンクレバーが上端回りに回動しガイド部材がガイドレールに沿って移動することで、前窓が開口を覆う閉位置とキャブ内の天井に沿った開位置とに移動する建設機械の前窓開閉ロック装置であって、前窓の窓枠の上部に
、車幅方向の中程に位置して設けられた
一個のロック機構と、キャブ内の天井に
、車幅方向の中程に位置して設けられ、前窓が開位置に移動したときロック機構と係合する開保持用ストライカーと、キャブ内の開口の上方に
、車幅方向の中程に位置して設けられ、前窓が閉位置に移動したときロック機構と係合する閉保持用ストライカーと、窓枠の左右の側部の中程に夫々設けられたグリップと、これらグリップの何れか一方に設けられた解除レバーと、解除レバーとロック機構とを連結し、解除レバーの操作に応じてロック機構を作動する連結部材とを備え、
運転者が、一方の手で前記解除レバーが設けられた側のグリップを握って前記解除レバーを操作すると共に他方の手で前記解除レバーが設けられない側のグリップを握った状態で、前記前窓の開閉操作を行う、ことを特徴とする建設機械の前窓開閉ロック装置が提供される。
【0012】
ロック機構が、解除レバーの操作に応じてロック・アンロックが切り換えられるメインロックとセカンダリーロックとを有し、開保持用ストライカーが、メインロックと係脱するメインロック開保持用ストライカーと、セカンダリーロックと係脱するセカンダリーロック開保持用ストライカー
とから成り、閉保持用ストライカーが、メインロックと係脱するメインロック閉保持用ストライカーから成っていてもよい。
【0013】
連結部材が、解除レバーとロック機構とを連結するワイヤーから成り、窓枠が、パイプ状に形成され、ワイヤーが、窓枠の内部に挿通されていてもよい。
【0014】
閉保持用ストライカーが、キャブ内の前窓用の開口の上方に設けられたワイパー用モーターを避けて、車幅方向の一方に偏らせて配置され、この閉保持用ストライカーの偏りに合わせて、ロック機構が、前窓の窓枠の上部の中程に、車幅方向の一方に偏らされて設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る建設機械の前窓開閉ロック装置によれば、次の如き効果を発揮できる。
(1)開保持用ストライカー及び閉保持用ストライカーがキャブに乗り降りする運転者と干渉し難い位置に配設されるので、運転者のキャブへの乗降性が向上する。
(2)前窓の開位置及び閉位置におけるロック・アンロックを操作する解除レバーが左右のグリップの何れか一方のみに設けられているので、運転者は片手でロック・アンロックを操作でき、前窓のロック・アンロックの操作性が向上する。
(3)1個のロック機構を閉位置のロックと開位置のロックとに兼用しているので、コストダウンを図れる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。係る実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0018】
(建設機械の前窓開閉ロック装置の概要)
図1〜
図5を用いて、本発明の一実施形態に係る建設機械の前窓開閉ロック装置1の概要を説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る建設機械の前窓開閉ロック装置1が装備されたキャブ2を斜め下方から見上げた斜視図、
図2は
図1に示す前窓3が開位置にロックされた状態を示す前窓開閉ロック装置1の側面図、
図3は
図2に示す前窓3が開位置から僅かに移動された状態を示す同装置1の側面図、
図4は
図3に示す前窓3が閉位置の直前まで移動された状態を示す同装置1の側面図、
図5は
図4に示す前窓3が閉位置にロックされた状態を示す同装置1の側面図である。
【0019】
図1〜
図5に示すように、この建設機械の前窓開閉ロック装置1は、建設機械のキャブ2内に前窓用の開口4の両脇に沿って配設されたガイドレール5と、ガイドレール5に係合するガイド部材6が設けられた窓枠7を有する前窓3と、下端8dが窓枠7の左右の側部7sの中程に回動自在に接続され上端8uがキャブ2内の上部に回動自在に支持されたリンクレバー8とを備えており、リンクレバー8が上端8u回りに回動しガイド部材6がガイドレール4に沿って移動することで、前窓3が開口4を開放してキャブ2内の天井に沿った開位置(
図2参照)と、開口4を覆う閉位置(
図5参照)とに移動するようになっている。
【0020】
図1に示すように、前窓開閉ロック装置1は、前窓3の窓枠7の上部7uに設けられたロック機構9と、前窓3が開位置に移動したときロック機構9と係合する開保持用ストライカー10と、前窓3が閉位置に移動したときロック機構9と係合する閉保持用ストライカー11とを備えている。開保持用ストライカー10は、キャブ2内の天井の後方に設けられ、閉保持用ストライカー11は、キャブ2内の開口4の上方に設けられている。また、前窓開閉ロック装置1は、窓枠7の左右の側部7sの中程に夫々設けられたグリップ12と、これらグリップ12の何れか一方(例えば右側)に設けられた解除レバー13と、解除レバー13とロック機構9とを連結し、解除レバー13の操作に応じてロック機構9を作動する連結部材14とを備えている。以下、各構成要素について説明する。
【0021】
(ガイドレール)
図1に示すように、建設機械のキャブ2の前面には、前窓3用の開口4が形成されており、キャブ2内には、開口4の両脇(キャブ2の車幅方向の両脇)に位置して、前窓3の下端を案内するガイドレール5が、上下方向に沿って配設されている。ガイドレール5は、断面コ字状の部材からなり、コ字の開口であるガイド溝5gが向き合うように配設されている。ガイド溝5gには、前窓3の窓枠7の下端に設けられたガイド部材(ガイドローラー、ガイドピン等)6が係合され、ガイド部材6が、
図2〜
図5に示すように、ガイドレール5に沿って上下方向に移動するようになっている。
【0022】
(前窓3)
図1に示すように前窓3は、上部7uと下部7dと左右の側部7sとから枠状に形成された窓枠7と、窓枠7の内方に装着された前窓ガラスとを有する。窓枠7の左右の側部7sの下端には、ガイドレール5のガイド溝5gに係合されるガイド部材(ガイドローラー、ガイドピン等)6が、キャブ2の幅方向外方に向けて突設されている。ガイド部材6は、窓枠7の下部7dの両端部に設けられてもよい。窓枠7の左右の側部7s及び上部7uは、連続して屈曲したパイプ状に形成されている。窓枠7の左右の側部7s及び上部7uを構成する屈曲パイプの内部には、解除レバー13の操作に応じてロック機構9を作動する連結部材14としてのワイヤー15が、挿通されている。
【0023】
(リンクレバー8)
図1に示すように、リンクレバー8は、前窓3をキャブ2の天井に吊り下げて前窓3の姿勢を保つものであり、上端8uがキャブ2内の上部に回動自在に支持され、下端8dが窓枠7の左右の側部7sの中程に回動自在に接続されている。詳しくは、リンクレバー8の上端8uは、キャブ2内の上部に、支持部材16を介して回動自在に支持され、リンクレバー8の下端8dは、前窓3の窓枠7の左右の側部7sの中程に、ブラケット17を介して回動自在に接続されている。左右のリンクレバー8の上端8uは、連結パイプ18によって連結されており、左右のリンクレバー8の回動角度が同調するようになっている。連結パイプ18は、キャブ2の天井の前部に装着されたワイパー19用のモーター20を避けて屈曲されている。
【0024】
図1に示すリンクレバー8が上端8u回りに回動するに応じて、ガイド部材6がガイドレール5gに沿って移動し、前窓3が、
図2に示す開位置(キャブ2内の天井に沿った位置)と、
図5に示す
閉位置(開口4を覆う位置)との間で移動する。リンクレバー8とキャブ2との間にはダンパー21が介設されている。ダンパー21は、一端がリンクレバー8の中程に回動自在に接続され、他端がキャブ2のフロントピラー2fに回動自在に取り付けられており、前窓3を閉位置から開位置に引き上げるとき、アシスト力を発揮して操作の負担を軽減する。なお、ダンパー21は、
図1では右側のリンクレバー8に配設され、
図2〜
図5では左側のリンクレバー8に配設されているが、これは作図上の都合によるものであり、左右のリンクレバー8の何れか一方又は双方に配設される。
【0025】
(支持部16)
図1に示すように、リンクレバー8の上端8uは、支持部16を介して、キャブ2内の上部に支持されている。
図8は、リンクレバー8の上端8u及び支持部16を示す斜視図であり、UPRは上方、RHは右方、RERは後方を示す。支持部16は、キャブ2内の前面に取り付けられた第1ブラケット16aと、第1ブラケット16aに取り付けられリンクレバー8の上端8uを回動自在に支持する第2ブラケット16bとを有する。第1ブラケット16aのキャブ2内の前面への取付位置は、キャブ2の上下左右方向に所定範囲で調節可能となっており、第2ブラケット16bの第1ブラケット16aへの取付位置は、キャブ2の前後方向に所定範囲で調節可能となっている。これによりキャブの組立誤差を吸収できる。すなわち、キャブ2のアッセンブリが設計値に対して上下方向、左右方向、前後方向に組立誤差がある場合でも、第1ブラケット16aを上下左右方向に調節し,第2ブラケット16bを前後方向に調節することで、調節用のシム等の追加部品を用いることなく、対応できる。
【0026】
詳しくは、第1ブラケット16aは、キャブ2内の前面に沿ったキャブ取付板と、キャブ取付板から後方に延出されたブラケット取付板とから成っている。キャブ取付板は、ボルトナット等の締結具16cでキャブ2に取り付けられており、キャブ取付板に貫通形成されたボルト挿通孔がボルトの直径よりも大きく形成されている。これにより、第1ブラケット16aのキャブ2への取付位置が、ボルト挿通孔の範囲でキャブ2の上下左右方向に調節可能となる。ブラケット取付板には、締結具16dで第2ブラケット16bが取り付けられており、ブラケット取付板に前後方向に沿って長く形成された長孔に、ボルトが挿通されている。これにより、第2ブラケット16bの取付位置が、キャブ2の前後方向に長孔の範囲で調節可能となる。
【0027】
なお、長孔とボルト挿通孔との関係を逆とし、キャブ取付板に長孔を形成し、ブラケット取付板にボルト挿通孔を形成してもよい。この場合、第1ブラケット16aのキャブ2内の前面への取付位置が、キャブ2の左右方向に長孔の範囲で調節可能となり、第2ブラケット16bの第1ブラケット16aへの取付位置が、キャブ2の上下前後方向にボルト挿通孔の範囲で調節可能となる。
【0028】
(ロック機構9)
図1に示すように、前窓3の窓枠7の上部7uには、前窓3を開位置と閉位置でロックするためのロック機構9が設けられている。ロック機構9は、前窓3が
図2に示す開位置となったとき、キャブ2内の天井の後部に設けられた開保持用ストライカー10と係合して、前窓3を開状態にロック(保持)し、前窓3が
図5に示す閉位置となったとき、キャブ2内の開口4の上方に設けられた閉保持用ストライカー11と係合して、前窓3を閉状態にロック(保持)する。開保持用ストライカー10は、メインロック開保持用ストライカー10aとセカンダリーロック開保持用ストライカー10bとから成り、閉保持用ストライカー11は、メインロック閉保持用ストライカー11aから成る。これら各ストライカー10a、10b、11aは、U字状の金具から構成されている。
【0029】
(メインロック9a、セカンダリーロック9b)
図1に示すように、ロック機構9は、解除レバー13の操作に応じてロック・アンロックが切り換えられるメインロック9aとセカンダリーロック9bとを有する。メインロック9aは、前窓3が開位置(
図2参照)に移動されたとき、メインロック開保持用ストライカー10aと係合し、前窓3が閉位置(
図5参照)に移動されたとき、メインロック閉保持用ストライカー11aと係合する。他方、セカンダリーロック9bは、前窓3が開位置(
図2参照)に移動されたとき、セカンダリーロック開保持用ストライカー10bと係合し、前窓3が閉位置(
図5参照)に移動されたとき、何とも係合しない。
【0030】
(開保持用ストライカー10、閉保持用ストライカー11)
図6は、前窓3が開位置のロック直前位置まで移動されたとき(
図3参照)のロック機構9と開保持用ストライカー10とを示す斜視図、
図7は前窓3が閉位置のロック直前位置まで移動されたとき(
図4参照)のロック機構9と閉保持用ストライカー11とを示す斜視図である。ロック機構9は、解除レバー13(
図1参照)の操作に応じてロック・アンロックが切り換えられるメインロック9aとセカンダリーロック9bとを有する。
図6に示すように、開保持用ストライカー10は、メインロック9aと係脱するメインロック開保持用ストライカー10aと、セカンダリーロック9bと係脱するセカンダリーロック開保持用ストライカー10bとをから成る。
図7に示すように、閉保持用ストライカー11は、メインロック9aと係脱するメインロック閉保持用ストライカー11aから成
る。
【0031】
メインロック9aは、
図6に示すように前窓3が開位置(
図2参照)となったとき、メインロック開保持用ストライカー10aが差し入れられ、
図7に示すように前窓3が閉位置(
図5参照)となったとき、メインロック閉保持用ストライカー11aが差し入れられるメインロック溝9a1を有する。メインロック溝9a1に差し入れられたメインロック開保持用ストライカー10a、メインロック閉保持用ストライカー11aは、メインロック溝9a1に設けられたロック金具9a2によって押さえられ、保持(ロック)される。ロック金具9a2に保持されたメインロック開保持用ストライカー10a、メインロック閉保持用ストライカー11aは、解除レバー13(
図1参照)が操作されると、ロック金具9a2が回動されて解放(アンロック)される。
【0032】
他方、セカンダリーロック9bは、
図6に示すように前窓3が開位置(
図2参照)となったとき、セカンダリーロック開保持用ストライカー10bと係合し、
図7に示すように前窓3が閉位置(
図5参照)となったとき、何とも係合しないフック9b1を有する。フック9b1に係合されて保持(ロック)されたセカンダリーロック開保持用ストライカー10bは、解除レバー13(
図1参照)が操作されると、フック9b1が回動されて解放(アンロック)される。
【0033】
図1に示すように、開保持用ストライカー10(メインロック開保持用ストライカー10a、セカンダリーロック開保持用ストライカー10b)は、キャブ2内の天井の後方に設けられたラジオ22及びスピーカー23を避けて左右方向の一方(左方)に偏らせて配置され、閉保持用ストライカー11(メインロック閉保持用ストライカー11a)は、キャブ2内の前窓用開口4の上方に設けられたワイパー19用モーター20を避けて同方向(左方)に偏らせて配置されている。そして、これら開保持用ストライカー10及び閉保持用ストライカー11の偏りに合わせて、ロック機構9も、前窓3の窓枠7の上部7uに同方向(左方)に偏らされて設けられている。
【0034】
(グリップ12)
図1に示すように、前窓3の窓枠7の左右の側部7sの中程には、グリップ12が取り付けられている。詳しくは、グリップ12は、リンクリバー8の下端8dが接続されたブラケット17を介し、窓枠7の左右の側部7sの中程に取り付けられている。このため、グリップ12は、リンクリバー8の下端8dの近傍に配置される。よって、運転者が左右の手でグリップ12を把持して前窓3を開閉操作する際、リンクレバー8を上端8u回りに回動させ易く、操作性がよい。また、グリップ12は、前窓3の略中央の重心位置の近傍に配置されているので、グリップ12を把持する運転者は、
図2の開位置にて略水平姿勢となった前窓3を、バランスよく支持できる。
【0035】
(解除レバー13、連結部材14)
図1に示すように、右側(左側でもよい)のグリップ12の近傍には、ロック機構9を操作するための解除レバー13が取り付けられている。解除レバー13とロック機構9とは、解除レバー13の操作に応じてロック機構9を作動する連結部材14としてのワイヤー15で連結されている。ワイヤー15は、前窓3の窓枠7の左右の側部7s及び上部7uを構成する屈曲パイプの内部に挿通されており、窓枠7の外部に露出しないようになっている。解除レバー13が操作されると、ワイヤー15によってロック機構9が操作され、ロック状態のメインロック9a及びセカンダリ−ロック9bがアンロックされる。
【0036】
(前窓3の開閉)
図2に示すように前窓3が開位置となっているとき、
図1、
図6に示すロック機構9のメインロック9aとセカンダリーロック9bとが、夫々、キャブ2のメインロック開保持用ストライカー10aとセカンダリーロック開保持用ストライカー10bとに係合し、前窓3は、開位置に保持(ロック)されている。前窓3は、メインロック9aとセカンダリーロック9bとによってダブルロックされているので、仮に何れか一方のロックに不具合が発生したとしても、重力によって閉方向に移動することはなく、安全性が高い。
【0037】
前窓3を閉じるときには、
図1に示すグリップ12を運転者が左右の手で握り、右手で解除レバー13を操作する。すると、ワイヤー15を介してロック機構9が作動され、メインロック9aとセカンダリーロック9bとがアンロックされる。運転者は、アンロックにより移動可能となった前窓3を、
図2の開位置(天井位置)から、
図3、
図4に示すように、前方に移動させる。このとき、リンクレバー8が上端8u回りに回動し、ガイド部材6がガイドレール5に沿って移動し、前窓3の姿勢が略水平姿勢から略垂直姿勢に変更される。
【0038】
図2に示すように、開位置の前窓3を閉方向に移動させる際、グリップ12が
図2にて略水平姿勢となっている前窓3の略中央の重心位置の近傍に配置されているので、運転者は前窓3の略重心位置の近傍をバランスよく支持できる。また、前窓3の重量の一部がダンパー21によって支持されているので、運転者の支持負担が軽減される。また、グリップ12がリンクレバー8の下端8d近傍に配置されているので、運転者は、ダンパー21に対抗して、リンクレバー8を上端8u回りに回動させるモーメントをリンクレバー8の下端8dに加え易く、前窓3をスムーズに閉方向に移動できる。
【0039】
図5に示すように、前窓3が閉位置に移動されると、
図1、
図7に示すロック機構9のメインロック9aが、キャブ2のメインロック閉保持用ストライカー11aに係合し、前窓3は、閉位置に保持(ロック)される。前窓3は、メインロック9aのみによってロックされることになるが、仮にメインロック9aに不具合が発生したとしても、前窓が重力に逆らって開方向に移動することはないので安全性に問題はなく、且つ低コスト化を図ることができる。
【0040】
前窓3を開くときには、運転者がグリップ12を左右の手で握り、右手で解除レバー13を操作することで、ワイヤー15を介してロック機構9のメインロック9aをアンロックする。運転者は、アンロックにより移動可能となった前窓を、
図5の閉位置(前方位置)から、
図4、
図3、に示すように後方に回動させ、
図2に示すようにキャブ2の天井に移動させる。
図2に示すように天井に移動された前窓3のロック機構9は、メインロック9aとセカンダリーロック9bとが夫々メインロック開保持用ストライカー10aとセカンダリーロック開保持用ストライカー10bとに係合することで、前窓3を開位置にダブルロックする。この状態から前窓を閉じる操作は、上述した通りである。
【0041】
(作用・効果)
図1に示すように、本実施形態に係る建設機械の前窓開閉ロック装置1によれば、前窓3の窓枠7の上部7uにロック機構9を設け、前窓3が開位置に移動したときロック機構9が対向するキャブ2内の天井に開保持用ストライカー10を設け、前窓3が閉位置に移動したときロック機構9が対向するキャブ2内の開口4の上方に
閉保持用ストライカー11を設けている。よって、開保持用ストライカー10及び閉保持用ストライカー11が、キャブ2に乗り降りする運転者と干渉し難い位置に配設されることになり、運転者のキャブ2への乗降性が向上する。
【0042】
すなわち、
図9に示す従来のリンク式の前窓開閉ロック装置1xでは、前窓3xの窓枠7xの左右の側部7sxに夫々ロック機構9xが設けられているので、左右のロック機構9xに係脱するストライカー10x、11xが、キャブ2xのドア開口部に突出する位置に配設されることになり、運転者のキャブ2xへの乗降性がよいとは言えない。これに対し、
図1に示す本実施形態では、ロック機構9を前窓3の窓枠7の上部7uの中程に配設し、解除レバー13及びワイヤー15によって遠隔操作するので、ストライカー10、11がキャブ2のドア開口部に突出しない位置となり、運転者のキャブ2への乗降性が向上する。また、ストライカー10、11がドア開口部に突出しないので、見栄えがすっきりし、美観が向上する。
【0043】
また、
図1に示すように、前窓3の開位置及び閉位置におけるロック・アンロックを操作する解除レバー13が左右のグリップ12の何れか一方のみ(例えば右側)に設けられているので、運転者は片手でロック・アンロックを操作でき、前窓3のロック・アンロックの操作性が向上する。すなわち、運転者は、主として右手で右側のグリップ12をしっかり握って解除レバー13を操作すればよく、左手による左側のグリップ12はラフな握りで足りるので、
図9に示す従来のリンク式の前窓開閉ロック装置と比べて、操作性が向上する。
【0044】
解除レバー13によって操作されるロック機構9は、ワイヤー15によって遠隔操作され、前窓3の窓枠7の上部7uの中程に配置されている。よって、ロック機構9によるロックの保持力が、前窓3に対し、左右方向にアンバランスに作用することが抑えられる。従って、経年使用に応じて、ロック機構9によるロック、アンロックが繰り返されても、ロック機構9による保持力が左右アンバランスに作用することに基づく前窓3の捩れを抑制できる。また、ワイヤー15は、
図1に示すように、窓枠7の内部に挿通されているため、ワイヤー15を引っ掛けるトラブルを回避でき、また、見栄えが良好となって美観が向上する。
【0045】
また、この前窓開閉ロック装置1によれば、前窓3が
図3の開位置の直前の状態から
図2の開位置に移動する際、
図3に示すリンクプレート8が上端8u回りに反時計方向に回動し、ロック機構9が開保持用ストライカー10に下方から斜め上方に近付いて係合する。他方、前窓3が
図4の閉位置の直前の状態から
図5の閉位置に移動する際、
図4に示すリンクプレート8が上端8u回りに時計方向に回動し、ロック機構9が閉保持用ストライカー11に側方から斜め上方に近付いて係合する。このように、1個のロック機構9を、前窓の閉位置のロックと開位置のロックとに兼用しているので、コストアップを抑えられる。
【0046】
すなわち、
図10〜
図12に示す従来のレール式の前窓開閉ロック装置1yにおいては、前窓3yの開閉軌跡に対して閉時と開時とでロック方向が約90度異なるため、1個のロック機構では閉ロック及び開ロックの双方に対応できず、窓側ロック機構9y1及びキャブ側ロック機構9y2の2個のロック機構が必要となる、これに対し、本実施形態の前窓開閉ロック装置1においては、リンクプレート8を用いることで、前窓3の開閉軌跡を変更したので、1個のロック機構9を閉位置のロックと開位置のロックとに兼用でき、コストダウンを図ることができる。
【0047】
また、
図8に示すように、リンクレバー8の上端8uは、支持部16を介してキャブ2に取り付けられている。支持部16は、第1ブラケット16aと第2ブラケット16bとを有し、窓枠7の位置をキャブ2の上下左右前後方向に所定範囲で調節可能としている。よって、キャブ2のアッセンブリが設計値に対して上下方向、左右方向、前後方向に組立誤差がある場合、例えば、第1ブラケット16aを上下左右方向に調節し、第2ブラケット16bを前後方向に調節することで、調節用のシム等の追加部品を用いることなく、キャブ2(アッセンブリ)の製造誤差に対応して窓枠7の位置を微調節できる。よって、調節用のシム等の追加部品を組み付けるための工数が不要となり、組付工数を削減できる。
【0048】
以上、添付図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した各実施形態に限定されないことは勿論であり、特許請求の範囲に記載された範疇における各種の変更例又は修正例についても、本発明の技術的範囲に属することは言うまでもない。例えば、窓枠7の位置を上下左右前後方向に微調節する支持部16は、
図1に示すように左側のリンクレバー8に取り付けるものに限られず、右側のリンクリバー8に取り付けてもよく、両方に取り付けてもよい。