特許第6158586号(P6158586)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6158586
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20170626BHJP
【FI】
   A63F7/02 304Z
【請求項の数】1
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-104551(P2013-104551)
(22)【出願日】2013年5月16日
(65)【公開番号】特開2014-223214(P2014-223214A)
(43)【公開日】2014年12月4日
【審査請求日】2015年5月25日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000135210
【氏名又は名称】株式会社ニューギン
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(72)【発明者】
【氏名】足立 祐二
(72)【発明者】
【氏名】岩本 勲
(72)【発明者】
【氏名】小島 俊幸
(72)【発明者】
【氏名】松永 崇
(72)【発明者】
【氏名】青木 孝司
(72)【発明者】
【氏名】岡田 淳
(72)【発明者】
【氏名】赤羽根 圭一朗
(72)【発明者】
【氏名】塚本 匠
(72)【発明者】
【氏名】太田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 臣
(72)【発明者】
【氏名】高津 巨樹
(72)【発明者】
【氏名】岡部 貴之
(72)【発明者】
【氏名】木股 健二
(72)【発明者】
【氏名】石川 裕章
(72)【発明者】
【氏名】吉原 裕章
(72)【発明者】
【氏名】菊谷 浩平
(72)【発明者】
【氏名】長井 直也
【審査官】 土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−230040(JP,A)
【文献】 特開平03−155353(JP,A)
【文献】 特開平11−057126(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A63F 5/04
H02J 1/00 − 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動式の駆動手段を備えた作動装置と、前記駆動手段に電気を供給する電気供給手段とを備えた遊技機において、
前記駆動手段と前記電気供給手段とを電気的に接続して、該電気供給手段から該駆動手段に電気を供給する電源ラインに、正の温度係数を有する過電流保護素子が設けられ、
前記電源ラインに過電流が流れた場合および前記過電流保護素子の周辺温度が上昇した場合に、前記過電流保護素子が温度上昇して抵抗値が高くなることで、前記電気供給手段から駆動手段への電気供給を制限すると共に、該過電流保護素子が温度低下して抵抗値が低くなることで、前記電気供給手段から駆動手段への電気供給を許容するよう構成され、
壁面に囲まれた収容空間内に前記駆動手段を配置すると共に、該駆動手段が面する該収容空間上部に、該駆動手段の上方に位置するよう前記過電流保護素子を配置した
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電動式の駆動手段を備えた作動装置と、前記駆動手段に電気を供給する電気供給手段とを備えた遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
代表的な遊技機であるパチンコ機は、機内にセットされる遊技盤の盤面に画成した遊技領域の内側に演出領域が設けられ、該演出領域に臨むように遊技盤の後側に配設した図柄表示装置により図柄変動演出を行なうよう構成されている。また、遊技盤における演出領域の周囲には、図柄表示装置での図柄変動演出に合わせて動作する可動体を備えた可動演出装置が配設されている。この可動演出装置は、パチンコ機に搭載された制御手段により制御される駆動手段を備えると共に、この駆動手段に可動体が連係されており、駆動手段の駆動により可動体が姿勢変位したり移動することで演出効果を高めるよう構成されている。このような可動演出装置は、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−290308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記可動演出装置は、電気式の駆動手段(例えば、モータや電磁ソレノイド等)を採用している。そして、可動演出装置は、演出効果を高めるために可動体が大型化しており、該可動体を動作させる駆動手段にかかる負荷が大きくなり易くなっている。このため、駆動手段が過負荷によって異常発熱すると、電源供給部から該駆動手段に電気を供給する電源ラインに過電流が流れることがあり、一般的に該電源ラインにはヒューズが配設されている。しかし、電源ラインがショートしてヒューズが切れた場合には、新しいヒューズに交換する必要があるから、ヒューズの交換作業を要すると共にコストが嵩む問題が生じている。
【0005】
本発明は、前述した課題を解決するために案出されたものであって、駆動手段に電気を供給する電源ラインに過電流が流れた場合に該駆動手段に対する電気の供給を制限する構成を、低コストで実施可能とした遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明は、
電動式の駆動手段(32)を備えた作動装置(30)と、前記駆動手段(32)に電気を供給する電気供給手段(101A)とを備えた遊技機において、
前記駆動手段(32)と前記電気供給手段(101A)とを電気的に接続して、該電気供給手段(101A)から該駆動手段(32)に電気を供給する電源ライン(L/L1,L2)に、正の温度係数を有する過電流保護素子(70)が設けられ、
前記電源ライン(L/L1,L2)に過電流が流れた場合および前記過電流保護素子(70)の周辺温度が上昇した場合に、前記過電流保護素子(70)が温度上昇して抵抗値が高くなることで、前記電気供給手段(101A)から駆動手段(32)への電気供給を制限すると共に、該過電流保護素子(70)が温度低下して抵抗値が低くなることで、前記電気供給手段(101A)から駆動手段(32)への電気供給を許容するよう構成され、
壁面(27,38)に囲まれた収容空間(27A)内に前記駆動手段(32)を配置すると共に、該駆動手段(32)が面する該収容空間(27A)の上部に、該駆動手段(32)の上方に位置するよう前記過電流保護素子(70)を配置したことを要旨とする。
請求項1に係る発明によれば、駆動手段の異常発熱等により該駆動手段に電気を供給する電源ラインに過電流が流れた場合に、過電流保護素子が温度上昇して抵抗値が高くなるから、該駆動手段に電気が供給されることを制限し得る。また、過電流保護素子は、温度が低下すると抵抗値が低くなって再利用可能であるから、交換作業を不要とすると共にコストを抑えることもできる
【0007】
本願には、次のような技術的思想が含まれる。
前記過電流保護素子(70)は、前記電気供給手段(101A)および駆動手段(32)からの電源ライン(L/L1,L2)用の配線が接続される中継基板(60)において、該電源ライン(L/L1,L2)を構成する配線パターン(61C)上に設けられていることを要旨とする。
上記構成によれば、駆動手段からの配線および電気供給手段からの配線の接続を解除することで、過電流保護素子が配設された中継基板を取外して再利用がすることが可能となり、コストを抑えることができる。
【0008】
本願には、次のような技術的思想が含まれる。
1つの前記過電流保護素子(70)が、複数の前記電源ライン(L/L1,L2)の各々に共用可能に設けられ、
前記複数の電源ライン(L/L1,L2)の何れかに過電流が流れた場合に、前記過電流保護素子(70)が温度上昇して抵抗値が高くなることで、各電源ライン(L/L1,L2)に電流が流れるのを制限するよう構成したことを要旨とする。
上記構成によれば、1つ過電流保護素子を複数の電源ラインで共用するので、各電源ライン毎に過電流保護素子を配設する必要がなく、コストを抑えることができる。
【0009】
本願には、次のような技術的思想が含まれる。
前記駆動手段(32)に近接する部位に、前記中継基板(60)を取り付ける基板取付部(28)が設けられ、
前記中継基板(60)を前記基板取付部(28)に取り付けることで、前記過電流保護素子(70)が前記駆動手段(32)に近接して配置されるよう構成したことを要旨とする。
上記構成によれば、基板取付部に中継基板を取り付けることで過電流保護素子が該駆動手段に近接して配置されるから、駆動手段の温度上昇に伴って過電流保護素子の温度も上昇し易くなり、駆動手段が異常過熱し始めた際には早い段階で該駆動手段に対する電気の供給を制限し得る。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る遊技機によれば、駆動手段に電気を供給する電源ラインに過電流が流れた場合に該駆動手段に対する電気の供給を制限する構成を、低コストで実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例に係るパチンコ機の正面図である。
図2図1に示すパチンコ機の背面図である。
図3】可動体および駆動モータを備えた可動演出装置が、遊技盤の後側に配設された設置部材に取り付けられた状態を示す正面図である。
図4】設置部材に設けられたモータ固定部および基板取付部と、モータ取付板に固定した駆動モータおよび中継基板とを、分離した状態で示す正面図である。
図5図3のV−V線断面図である。
図6】設置部材に設けられたモータ固定部および基板取付部と、中継基板および駆動モータとを、分離した状態で示す断面図である。
図7】統括制御基板に接続される駆動制御基板と駆動モータとを、過電流保護素子を実装した中継基板により電気的に接続した形態を示す説明図である。
図8】駆動制御基板、第2配線、中継基板および第3配線により形成される駆動モータ用の電源ラインの概略図である。
図9】素子の温度変化により該素子の抵抗値が急減に変化する過電流保護素子の特性を示すグラフである。
図10】統括制御基板と駆動モータに接続される駆動制御基板とを、過電流保護素子を実装した中継基板により電気的に接続した形態を示す説明図である。
図11】可動体および駆動モータを備えてユニット化された可動演出装置が、遊技盤の後側に配設された設置部材に取り付けられた状態を示す正面図である。
図12】複数基の駆動モータを備えた作動装置において、各駆動モータに対する電源ラインの共用部分に、1つの過電流保護素子を配設した形態を概略的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明に係る遊技機につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。なお、実施例では、遊技機として、遊技球としてパチンコ球を用いて遊技を行なうパチンコ機を例に挙げる。また、以下の説明において前・後および左・右とは、特に断りのない限り、図1に示すようにパチンコ機を正面側(遊技者側)から見た場合において指称するものとする。
【実施例】
【0013】
(パチンコ機の概略構成)
実施例に係るパチンコ機Pは、図1および図2に示すように、矩形枠状に形成されて遊技店の図示しない設置枠台に固定される固定枠としての外枠Aの開口前面側に、遊技盤Dが着脱可能に保持された本体枠としての中枠Bが開閉および着脱可能に組み付けられている。また、遊技盤Dの裏側には、各種演出用の図柄を変動表示可能な図柄表示装置Hが着脱可能に配設されている。中枠Bの前面側には、遊技盤Dを透視保護するガラス板10を備えた装飾枠としての前枠Cが開閉可能に組み付けられると共に、パチンコ球を貯留する下球皿Fが前枠Cの下方に開閉可能に組み付けられる。そして、前枠Cの下部には、下球皿Fの上側に位置して、パチンコ球を貯留する上球皿Eが組み付けられており、前枠Cの開閉に合わせて上球皿Eも一体的に開閉するよう構成される。また、中枠Bにおける下球皿Fの右側に、回動操作可能な操作ハンドルGが配設されており、該操作ハンドルGの回動操作によって中枠Bの下部に設けられた打球発射装置(図示せず)が作動して、上球皿Eに貯留したパチンコ球が遊技盤Dの遊技領域12に向けて打ち出されるようになっている。なお、上球皿Eは、前枠Cと別体に形成して中枠Bに対して開閉可能に組み付けるようにしてもよい。
【0014】
(遊技盤)
前記遊技盤Dは、図1および図3に示すように、ベニヤ板や透明なアクリル板を加工して形成され、その前面に画成された遊技領域12には、パチンコ球の入賞により図柄表示装置Hの図柄を変動開始させる始動入賞装置や、大当りの発生時に開放する特別入賞装置(何れも図示せず)等が配設されている。そして、遊技盤Dには、図柄表示装置Hの表示部H1に対応する位置に前後に開口する表示開口部13が開設され、所要の装飾を施したセンター役物とも称される枠状の装飾部材14が、該表示開口部13を囲うように取り付けられている。また、遊技盤Dの後側には、裏ユニットとも称される設置部材20が取り付けられている。
【0015】
(設置部材)
図3および図5に示すように、前記設置部材20は、前方に開口した部材であり、略矩形の設置板部21と、該設置板部21の外周縁から前方へ延出した枠状の枠板部22と、枠板部22の前端から側方、上方および下方へ延出するよう形成された取付板部23とを備え、該取付板部23を遊技盤Dの後面にネジにより固定して該遊技盤Dに取り付けられる。そして、設置部材20を遊技盤Dの後側に取り付けた状態では、該遊技盤Dの後面と該設置部材20の設置板部21との間に空間24が画成されている。設置板部21には、前後に開口した設置開口25が形成され、該設置板部21の後側には、各種図柄を変動表示可能な表示部H1を備えた図柄表示装置Hが、該表示部H1を設置開口25に臨ませた状態で配設されている(図3参照)。設置板部21の前側において設置開口25の上部には、後述する可動演出装置30の可動体31を支持するガイド部26,26と、駆動手段としての駆動モータ32を固定するモータ固定部27とが設けられている。なお、設置板部21の前側における設置開口25の左部および右部には、図示しない可動演出装置や装飾部材等を取り付け得るようになっている。また、図柄表示装置Hは、表示部H1として液晶画面を備えた液晶タイプの図柄表示装置や、図柄ドラムを備えたドラム式の図柄表示装置や、ドットマトリックス式の図柄表示装置等を採用し得る。
【0016】
図2に示すように、パチンコ機Pの裏側略中央部には、当該パチンコ機Pを制御する主制御基板100Aを備えた主制御装置100が配設されている。遊技盤Dの後面(設置部材20の後側)に着脱可能に配設された図柄表示装置Hの後面には、遊技盤Dに配設された発光装置(図示せず)や可動演出装置30を制御したり、前枠Cに設けられるランプ装置やスピーカ等を制御する統括制御基板101Aを備えた統括制御装置101が配設されている。また、図柄表示装置Hの後面には、右側(図2では左側)に偏倚した部位に設置された統括制御装置101の左側に、図柄表示装置Hを制御する表示制御基板102Aを備えた表示制御装置102が配設されている。更に、中枠Bの下部に設けられた球通出案内部15の後面には、パチンコ機Pの電源制御を行なう電源基板103A(図7参照)を備えた電源装置(電源供給手段)103や、打球発射装置を制御する発射制御基板を備えた発射制御装置104や、中枠Bに設けられた球通路ユニット16に配設した球払出装置105を制御する払出制御基板を備えた払出制御装置106や、外部端末に接続されるインターフェース基板107などの各種基板が配設されている。なお、図7に示すように、主制御基板100Aと統括制御基板101Aとは、メイン配線77を介して電気的に接続され、電源基板103Aと統括制御基板101Aとは電源配線75を介して電気的に接続され、図柄表示装置Hに接続される表示制御基板102Aと統括制御基板101Aとは、表示配線78を介して電気的に接続されている。また、統括制御基板101Aと可動演出装置30とは、駆動制御基板108および中継基板60を介して電気的に接続されいる。
【0017】
このようなパチンコ機Pでは、上球皿Eから球送り装置および打球発射装置を介して遊技盤Dの遊技領域12へ打ち込まれた遊技球が、該遊技領域12内に配設された始動入賞装置に入賞することにより、主制御装置100、統括制御装置101および表示制御装置102による所定の制御に基づき、該遊技盤Dの表示開口部13に臨むように配設された図柄表示装置Hでの図柄変動演出が開始されると共に、該統括制御装置101および駆動制御基板108による所定の制御に基づき、所要のタイミングで可動演出装置30が作動する。そしてパチンコ機Pは、図柄表示装置Hにおける図柄変動演出の結果として、表示開口部13に臨む表示部H1の図柄が所定の組み合わせで停止することにより遊技者に有利な特別遊技状態(例えば「大当り」)が発生すると、遊技盤Dの遊技領域12に設けられた特別入賞装置の特別入賞口が開放して多数の遊技球の入賞が可能となり、遊技球の入賞に基づいて払出制御装置106の制御により球払出装置105が作動して多数のパチンコ球が賞球として上球皿Eまたは下球皿Fへ払い出される。
【0018】
(可動演出装置)
前記可動演出装置30は、図3図6に概略的に示すように、設置部材20に設けられたガイド部26,26に移動可能に取り付けられる可動体31と、ガイド部26の左側に設けられたモータ固定部27に固定される駆動モータ32と、該可動体31および駆動モータ32を連結する連係機構33とを備えている。可動演出装置30は、図7に示すように、統括制御装置101に第1配線45を介して電気的に接続された駆動制御基板108の制御による駆動モータ32の回転駆動により、可動体31が、表示開口部13から上方へ退避した初期位置(図3に実線で表示)および該表示開口部13に延出した作動位置(図3に2点鎖線で表示)の間で昇降移動するよう構成されている。
【0019】
(可動体)
前記可動体31は、図3および図5に示すように、設置部材20の設置板部21に設けられた一対のガイド部26,26に摺動可能に係合する支持部34,34が後部に設けられると共に、連係機構33を構成するラックギア35が左側部に設けられている。各ガイド部26,26は、設置板部21に対して左右に離間した位置に設けられ、上下方向へ平行に延在している。各支持部34,34は、対応するガイド部26,26に対し、前後方向および左右方向の移動が規制され、該ガイド部26,26に沿う上下方向の移動のみが許容されている。これにより、可動体31は、各支持部34,34が各ガイド部26,26に支持された状態で摺動することで、前述した初期位置および作動位置の間を移動する。なお、可動体31は、所要の装飾が施されている。
【0020】
(駆動モータ)
実施例の可動演出装置30では、図8に概略的に示すように、前記駆動モータ32として、第1コイル40および第2コイル41を回転子の周りに複数組有する2相ユニポーラタイプのステッピングモータが採用されている。第1コイル40は、該第1コイル40の一端側の第1コイル端40A、他端側の第2コイル端40B、コイルの中間から延出した第3コイル端40Cを備え、該第3コイル端40Cがコモンとなっている。従って、第1コイル40は、第3コイル端40Cから第1コイル端40Aに向けて電流が流れた場合に、該第3コイル端40Cと第1コイル端40Aとの間が励磁され、該第3コイル端40Cから第2コイル端40Bに向けて電流が流れた場合に、該第3コイル端40Cと第2コイル端40Bとの間が励磁される。また、第2コイル41は、該第2コイル41の一端側の第4コイル端41A、他端側の第5コイル端41B、コイルの中間から延出した第6コイル端41Cを備え、該第6コイル端41Cがコモンとなっている。従って、第2コイル41は、第6コイル端41Cから第4コイル端41Aに向けて電流が流れた場合に、該第6コイル端41Cと第4コイル端41Aとの間が励磁され、該第6コイル端41Cから第5コイル端41Bに向けて電流が流れた場合に、該第6コイル端41Cと第5コイル端41Bとの間が励磁される。
【0021】
(連係機構)
連係機構33は、図3および図5に示すように、駆動モータ32の駆動軸32Aに固定された駆動ギア36と、可動体31に設けられたラックギア35と、後述するモータ取付板38に回転自在に配設され、駆動ギア36およびラックギア35に各々噛合して該駆動ギア36の回転をラックギア35に伝達する中間ギア37とを備えている。従って、図3において駆動モータ32が反時計方向へ回転(左回転)すると可動体31が下方へ移動し、図3において駆動モータ32が時計方向へ回転(右回転)すると可動体31が上方へ移動する。
【0022】
前記駆動モータ32は、図7および図8に示すように、モータ駆動用の駆動制御基板108に対し、中継基板60を介して電気的に接続されている。すなわち、駆動制御基板108と中継基板60とは第2配線50で電気的に接続されると共に、該中継基板60と駆動モータ32とは第3配線55で電気的に接続されている。ここで、駆動モータ32の第1コイル40と駆動制御基板108とは、第2配線50の第1〜第3電線51A,51B,51C、中継基板60の第1〜第3プリント配線61A,61B,61C、第3配線55の第1〜第3電線56A,56B,56Cで構成された第1電源ラインL1を介して電気的に接続されている。また、駆動モータ32の第2コイル41と駆動制御基板108とは、第2配線50の第4〜第6電線51D,51E,51F、中継基板60の第3〜第5プリント配線61C,61D,61E、第3配線55の第4〜第6電線56D,56E,56Fで構成された第2電源ラインL2を介して電気的に接続されている。従って、駆動モータ32は、駆動制御基板108から第1コイル40へのパルス信号および第2コイル41へのパルス信号を所定のパターンで切り替え、各コイル40,41に所定のタイミングで電流を流して該コイル40,41を励磁させることで、磁性体からなる回転子が配設された駆動軸32Aが回転するよう構成されている。なお、駆動モータ32には、駆動軸32Aの回転角度を検知するセンサ(図示せず)が配設されており、駆動軸32Aの実際の回転角度を検知するよう構成されている。
【0023】
(第1配線)
統括制御装置101の統括制御基板101Aと駆動制御基板108とを接続する前記第1配線45は、図7および図8に示すように、複数の電線46(図8では、2本のみ表示)と、各電線46の一方の端部に配設されて、統括制御基板101Aの統括接続端子101Bに連結される第1コネクタ47と、各電線46の他方の端部に配設されて、駆動制御基板108の第1駆動コネクタ108Aに連結される第2コネクタ48とを備えている。第1配線45には、統括制御基板101Aから駆動制御基板108に電気を供給するための電源線46Aと、統括制御基板101Aと駆動制御基板108との間で信号を送受信するための信号線46Bとを備えている。
【0024】
(第2配線)
駆動制御基板108と中継基板60とを接続する前記第2配線50は、図8に示すように、複数(実施例では9本)の電線(第1〜第9電線51A〜51I)と、各電線51A〜51Iの一方の端部に配設されて、駆動制御基板108の第2駆動コネクタ108Bに連結される第1コネクタ52と、各電線51A〜51Iの他方の端部に配設されて、中継基板60の第1中継コネクタ62に分離可能に連結される第2コネクタ53とを備えている。第1コネクタ52は、第1〜第9電線51A〜51Iに対応した第1〜第9端子(図8では「1」〜「9」の数字で表示)が配設され、第2コネクタ53は、第1〜第9電線51A〜51Iに対応した第1〜第9端子(図8では「1」〜「9」の数字で表示)が配設されている。ここで、第2配線50においては、第1〜第3電線51A,51B,51Cが前述した第1電源ラインL1用に使用され、第4〜第6電線51D,51E,51Fが第2電源ラインL2用に使用される。また、第7電線51Gは、駆動モータ32に配設されたセンサ用の信号ラインとして使用され、第8および第9電線51H,51Iは、該センサ用の電源ラインとして使用される。
【0025】
(第3配線)
駆動モータ32のモータコネクタ42と中継基板60とを接続する前記第3配線55は、複数(実施例では9本)の電線(第1〜第9電線56A〜56I)と、各電線56A〜56Iの一方の端部に配設されて、中継基板60の第2中継コネクタ63に分離可能に連結される第1コネクタ57と、各電線56A〜56Iの他方の端部に配設されて、モータコネクタ42に連結される第2コネクタ58とを備えている。第1コネクタ57は、第1〜第9電線56A〜56Iに対応した第1〜第9端子(図8では「1」〜「9」の数字で表示)が配設され、第2コネクタ58は、第1〜第9電線56A〜56Iに対応した第1〜第9端子(図8では「1」〜「9」の数字で表示)が配設されている。ここで、第3配線55においては、第1〜第3電線56A,56B,56Cが前述した第1電源ラインL1用に使用され、第4〜第6電線56D,56E,56Fが第2電源ラインL2用に使用される。また、第7電線56Gは、駆動モータ32に配設されたセンサ用の信号ラインとして使用され、第8および第9電線56H,56Iは、該センサ用の電源ラインとして使用される。
【0026】
(モータコネクタ)
図8に示すように、駆動モータ32に配設されたモータコネクタ42は、第3配線55の第2コネクタ58における第1〜第9端子に対応する第1〜第9端子(図8では「1」〜「9」の数字で表示)が配設されている。モータコネクタ42の第1端子は第1コイル40の第1コイル端40Aに接続され、第2端子は第1コイル40の第2コイル端40Bに接続され、第3端子は第1コイル40の第3コイル端40Cに接続されている。また、モータコネクタ42の第4端子は第2コイル41の第6コイル端41Cに接続され、第5端子は第2コイル41の第4コイル端41Aに接続され、第6端子は第2コイル41の第5コイル端41Bに接続されている。そして、モータコネクタ42の第7端子は、駆動モータ32に配設されたセンサの信号端子に接続され、第8および第9端子は、該センサの電源端子に各々接続される。
【0027】
(中継基板)
中継基板60は、図4および図8に示すように、基板ベースの表面に、電気が導通可能な複数(実施例では8本)のプリント配線(第1〜第8プリント配線61A〜61H)がパターン形成され、基板ベースの一方の端縁部に、第2配線50の第2コネクタ53が分離可能に差し込み連結される第1中継コネクタ62が設けられると共に、基板ベースの他方の端縁部に、第3配線55の第1コネクタ57が分離可能に差し込み連結される第2中継コネクタ63が設けられている。第1中継コネクタ62は、第2配線50の第2コネクタ53における第1〜第9端子に各々接続される第1〜第9端子(図8では「1」〜「9」の数字で表示)を備え、第2中継コネクタ63は、第3配線55の第1コネクタ57における第1〜第9端子に各々接続される第1〜第9端子(図8では「1」〜「9」の数字で表示)を備えている。
【0028】
前記第1プリント配線61Aは、一方の端部に第1中継コネクタ62の第1端子がはんだ接合されると共に、他方の端部に第2中継コネクタ63の第1端子がはんだ接合されている。第2プリント配線61Bは、一方の端部に第1中継コネクタ62の第2端子がはんだ接合されると共に、他方の端部に第2中継コネクタ63の第2端子がはんだ接合されている。第3プリント配線61Cは、両端が各々二股に分岐するように形成され、一方の各端部に第1中継コネクタ62の第3端子および第4端子が各々はんだ接合されると共に、他方の各端部に第2中継コネクタ63の第3端子および第4端子が各々はんだ接合されている。第4プリント配線61Dは、一方の端部に第1中継コネクタ62の第5端子がはんだ接合されると共に、他方の端部に第2中継コネクタ63の第5端子がはんだ接合されている。第5プリント配線61Eは、一方の端部に第1中継コネクタ62の第6端子がはんだ接合されると共に、他方の端部に第2中継コネクタ63の第6端子がはんだ接合されている。ここで、第1〜第3プリント配線61A,61B,61Cは第1電源ラインL1として使用され、第3〜第5プリント配線61C,61D,61Eが第2電源ラインL2として使用され、該第3プリント配線61Cが、第1電源ラインL1および第2電源ラインL2に共用されるよう構成されている。なお、第3プリント配線61Cは、長手方向の略中間で第1中継コネクタ62側と第2中継コネクタ63側とが分離しており、この分離した部分には、後述する過電流保護素子70が、第1中継コネクタ62側と第2中継コネクタ63側とを導通するように実装されている。
【0029】
第6プリント配線61Fは、一方の端部に第1中継コネクタ62の第7端子がはんだ接合されると共に、他方の端部に第2中継コネクタ63の第7端子がはんだ接合され、第7プリント配線61Gは、一方の端部に第1中継コネクタ62の第8端子がはんだ接合されると共に、他方の端部に第2中継コネクタ63の第8端子がはんだ接合され、第8プリント配線61Hは、一方の端部に第1中継コネクタ62の第9端子がはんだ接合されると共に、他方の端部に第2中継コネクタ63の第9端子がはんだ接合されている。そして、第6プリント配線61Fは、駆動モータ32に配設されたセンサ用の信号ラインとして使用され、第7および第8プリント配線61G,61Hは、該センサ用の電源ラインとして使用される。
【0030】
(過電流保護素子について)
実施例のパチンコ機Pでは、図4および図8に示すように、駆動モータ(駆動手段)32と電気供給手段としての電源装置103とを電気的に接続する第1電源ラインL1および第2電源ラインL2に、過電流保護素子70を備えている。過電流保護素子70は、正の温度係数を持つポリマー系のPTCサーミスタ(Positive Temperature Coefficient thermistor)で、絶縁体であるポリマーと導電体であるカーボンとの特殊な配合からなる抵抗体素子であって、温度に応じて導電特性が可変するよう構成された素子である。過電流保護素子70は、図9に示すように、平常状態では、ポリマー中に分散したカーボンが無数の導電パスを形成することで抵抗値が低く維持されて電力損失を低く抑える一方、該過電流保護素子70の温度が上昇すると、ポリマーの熱膨張による体積変化によりカーボンの導電パスが切断されて、T℃(例えば110℃)を越えると、抵抗値が例えば10〜10倍程度まで急激に上昇(トリップ)するよう構成されている。そして、過電流保護素子70は、該過電流保護素子70の温度がT℃以下に戻ると、ポリマーの熱収縮によりカーボンが再び無数の導電パスを形成して抵抗値が低くなるようになっている。
【0031】
実施例では、チップタイプの過電流保護素子70が、中継基板60の第3プリント配線61C上に面実装され、該過電流保護素子70により第3プリント配線61Cの第1中継コネクタ62側と第2中継コネクタ63側とが電気的に導通している。なお、実施例の過電流保護素子70は、例えばトリップ時に素子に印加可能な最大電圧値が24.0V、安全に遮断することができる最大電流値が40A、パチンコ機Pの標準的な使用環境温度(例えば20℃)においてトリップせずに流すことができる最大電流値が0.75A、トリップする最小電流値(以降、「トリップ電流値」という)が1.5Aとなるよう構成されている。これにより、実施例のパチンコ機Pは、第1電源ラインL1および第2電源ラインL2に、過電流保護素子70のトリップ電流値以下の電流が流れている場合に、過電流保護素子70がT℃以下となって該過電流保護素子70の抵抗値が低く維持されることで、統括制御基板101A、駆動制御基板108、中継基板60を介して電源装置103から駆動モータ32への電気供給が行なわれる。そして、第1電源ラインL1および第2電源ラインL2の少なくとも一方に、過電流保護素子70のトリップ電流値より大きい電流(過電流)が流れた場合に、過電流保護素子70がT℃より上昇して該過電流保護素子70の抵抗値が高くなることで、電源装置103から駆動モータ32への電気供給を制限するよう構成されている。
【0032】
前記駆動モータ32は、図3図6に示すように、モータ取付板38にモータ本体が固定され、該モータ取付板38をモータ固定部27に固定することで、設置部材20に固定される。モータ取付板38は、略矩形状の板状部材であり、駆動軸32Aが挿通される挿通孔38Aが、上下方向における中央下方に形成されると共に、モータ固定部27にねじ込まれるネジが挿通するネジ挿通孔38Bが、各隅部の近傍に形成されている。そして、駆動モータ32は、挿通孔38Aに駆動軸32Aを挿通させた状態でモータ取付板38の後面にネジ等により固定され、駆動軸32Aが該挿通孔38Aから前方へ延出した状態となる。なお、挿通孔38Aから前方へ延出した駆動軸32Aには、連係機構33を構成する駆動ギア36が固定されている。
【0033】
(モータ固定部)
図4図6に示すように、前記設置部材20の設置板部21に設けられたモータ固定部27は、設置板部21の前面から前方へ突出した枠状の壁部により構成され、該壁部で囲まれた部分に、前方に開口した収容空間27Aが画成されている。モータ固定部27の各隅部には、前述したモータ取付板38に形成された各ネジ挿通孔38Bが整合するネジ孔27Bが形成されており、該ネジ挿通孔38Bに挿通させたネジを該ネジ孔27Bにねじ込むことで、モータ取付板38がモータ固定部27に締結されるようになっている。ここで、モータ取付板38は、モータ固定部27の前側開口を全面的に覆蓋し得る形状に形成されており、モータ取付板38をモータ固定部27に固定することで、収容空間27Aが密閉されるように構成されている。また、モータ固定部27を構成する壁部の前方延出長は、駆動モータ32のモータ本体の全長より大きく設定されており、駆動モータ32を固定したモータ取付板38をモータ固定部27に締結した際に、該駆動モータ32のモータ本体が設置板部21に接触しないようになっている(図5参照)。
【0034】
(基板取付部)
図4図6に示すように、モータ固定部27は、駆動モータ32と中継基板60とを収容可能な大きさに構成されており、モータ固定部27の収容空間27A内に、中継基板60を取り付けるための基板取付部28が設けられている。基板取付部28は、収容空間27Aにおいて上側に設けられ、中継基板60を後側から支持する複数(実施例では4つ)の支持ボス28Aを備えている。各支持ボス28Aの前端にはネジ孔28Bが形成されており、中継基板60に設けられたネジ挿通孔64に挿通したネジを該ネジ孔28Bにねじ込むことで、当該中継基板60は、前面が上下方向に延在する向きで各支持ボス28Aの前側に固定される。
【0035】
すなわち、基板取付部28は、図3および図5に示すように、モータ固定部27に固定された駆動モータ32のモータ本体に対し、過電流保護素子70が駆動モータ32の異常過熱に伴う温度変化の影響が生じる程度に近接した姿勢で中継基板60を固定支持するよう構成されている。また、モータ固定部27の収容空間27Aは、該モータ固定部27にモータ取付板38を締結することで密閉されるから、駆動モータ32が駆動中に異常過熱した場合には、該駆動モータ32の熱により過電流保護素子70の温度が上昇し易くなっている。従って、実施例のパチンコ機Pは、駆動モータ32の異常過熱により発生した熱により過電流保護素子70の温度がT℃より上昇した場合に、該過電流保護素子70の抵抗値が高くなって、統括制御基板101Aから駆動モータ32への電気供給を制限するよう構成されている。
【0036】
(実施例の作用)
実施例のパチンコ機Pは、図8に示すように、電源装置103の電源基板103Aと統括制御基板101Aとを電源線75で接続し、該統括制御基板101Aと駆動制御基板108とを第1配線45で接続し、該駆動制御基板108と中継基板60とを第2配線50で接続し、該中継基板60と駆動モータ32とを第3配線55で接続する。これにより、電源線75、第1配線45の電源線46A、第2配線50の第3電線51C、中継基板60の第3プリント配線61C、第3配線55の第3電線56Cにより、電源基板103Aと第1コイル40の第3コイル端40Cとが電気的に接続される。また、第2配線50の第1電線51A、中継基板60の第1プリント配線61A、第3配線55の第1電線56Aにより、接地側と第1コイル40の第1コイル端40Aとが電気的に接続されると共に、第2配線50の第2電線51B、中継基板60の第2プリント配線61B、第3配線55の第2電線56Bにより、接地側と第1コイル40の第2コイル端40Bとが電気的に接続される。これにより、電源基板103Aと駆動モータ32の第1コイル40とが、第1電源ラインL1により電気的に接続される。
【0037】
一方、電源線75、第1配線45の電源線46A、第2配線50の第4電線51D、中継基板60の第3プリント配線61C、第3配線55の第4電線56Dにより、電源基板103Aと第2コイル41の第6コイル端41Cとが電気的に接続される。また、第2配線50の第5電線51E、中継基板60の第4プリント配線61D、第3配線55の第5電線56Eにより、接地側と第2コイル41の第4コイル端41Aとが電気的に接続されると共に、第2配線50の第6電線51F、中継基板60の第5プリント配線61E、第3配線55の第6電線56Fにより、接地側と第2コイル41の第5コイル端41Bとが電気的に接続される。これにより、電源基板103Aと駆動モータ32の第2コイル41とが、第2電源ラインL2により電気的に接続される。
【0038】
駆動制御基板108および駆動モータ32に各々接続される中継基板60は、図8に示すように、第3プリント配線61C上に、過電流保護素子70が面実装される。そして、中継基板60は、図4および図6に示すように、設置部材20のモータ固定部27に設けられた基板取付部28に対し、ボス28Aのネジ孔28Bにネジをねじ込むことで取り付けられる。また、駆動モータ32を固定したモータ取付板38をモータ固定部27にネジにより固定することで、図3および図8に示すように、駆動モータ32が収容空間27A内に収容された状態で該モータ固定部27に固定される。従って、中継基板60の過電流保護素子70は、駆動モータ32の異常過熱に伴う熱による温度変化の影響が生じる位置に配置される。
【0039】
前述のように構成された実施例の可動演出装置30は、統括制御基板101Aからの制御信号に基づいた駆動制御基板108の制御により、駆動モータ32の第1コイル40へのパルス信号および第2コイル41へのパルス信号を所定のパターンで切り替え、各コイル40,41に所定のタイミングで電流を流して該コイル40,41を励磁させることで、該駆動モータ32の駆動軸32Aが所要の回転速度で正転または逆転する。これにより、可動演出装置30は、連係機構33を介して駆動モータ32と連係した可動体31が、初期位置から作動位置に向けて下方へ移動したり、作動位置から初期位置に向けて上方へ移動する。
【0040】
ここで、通常状態で駆動モータ32が駆動している場合には、第1電源ラインL1および第2電源ラインL2に、過電流保護素子70のトリップ電流値以下の電流が流れるから、過電流保護素子70の温度はT℃以下に維持される。従って、過電流保護素子70の抵抗値が低く維持されて、第1電源ラインL1および第2電源ラインL2を介して駆動モータ32への電気供給が継続される。また、駆動モータ32は、通常状態で駆動している場合には、モータ本体からの発熱量が抑えられるから、基板取付部28に取り付けられた中継基板60に実装された過電流保護素子70の温度はT℃以下に維持される。従って、過電流保護素子70の抵抗値が低く維持されて、第1電源ラインL1および第2電源ラインL2を介して駆動モータ32への電気供給が継続される。これにより、可動演出装置30は、統括制御基板101Aおよび駆動制御基板108の制御に基づき、駆動モータ32に対して電源装置103から電気が安定的に供給されて正常に作動する。
【0041】
一方、駆動モータ32に対して大きい負荷がかかったり、該駆動モータ32に異常が発生して、第1電源ラインL1および第2電源ラインL2に過電流保護素子70のトリップ電流値より大きい電流(過電流)が流れた場合には、該過電流保護素子70の温度がT℃より高くなる。これにより、過電流保護素子70の抵抗値が急激に高くなるから、第1電源ラインL1および第2電源ラインL2を介した駆動モータ32への電気供給が制限され、該駆動モータ32が停止する。
【0042】
また、駆動モータ32に対して大きい負荷がかかったり、該駆動モータ32に異常が発生して、駆動モータ32がT℃以上に異常過熱した場合には、駆動モータ32に隣接して配置された中継基板60に実装された過電流保護素子70が、該駆動モータ32から発生する熱により熱せられるから、過電流保護素子70の温度がT℃より高くなる。これにより、過電流保護素子70の抵抗値が高くなるから、第1電源ラインL1および第2電源ラインL2を介した駆動モータ32への電気供給が制限され、該駆動モータ32が停止する。
【0043】
なお、第1電源ラインL1および第2電源ラインL2を介した駆動モータ32への電気供給が制限された後に、過電流保護素子70の温度がT℃以下になった場合や、停止した駆動モータ32の温度が低下して過電流保護素子70の温度がT℃以下になった場合には、過電流保護素子70の抵抗値が再び低くなる。従って、過電流保護素子70の温度がT℃以下となった場合には、統括制御基板101A、駆動制御基板108および中継基板60を介して駆動モータ32の第1コイル40および第2コイル41に電気を供給することが可能となり、駆動モータ32を再駆動させて可動演出装置30を作動させることができる。
【0044】
従って、実施例のパチンコ機Pによれば、可動演出装置30の駆動モータ32に対して大きい負荷がかかったり、該駆動モータ32に異常が発生して、第1電源ラインL1または第2電源ラインL2に、過電流保護素子70のトリップ電流値より大きい電流(過電流)が流れた場合や、駆動モータ32がT℃以上に異常過熱した場合には、第1電源ラインL1および第2電源ラインL2に設けられた過電流保護素子70の温度がT℃より高くなって該過電流保護素子70の抵抗値が高くなることで、駆動モータ32に対する電気供給を制限して該駆動モータ32を強制的に停止させることができる。従って、可動演出装置30の駆動モータ32が異常過熱するのを短時間に抑えることができ、該駆動モータ32の故障や破損を防止することができる。
【0045】
そして、過電流保護素子70は、該素子の温度がT℃より高くなって抵抗値が高くなっても、該過電流保護素子70の温度がT℃以下まで降下すれば抵抗値が低くなって再利用可能であるから、交換作業を不要とすると共にコストを抑えることもできる。
【0046】
また、実施例の構成によれば、駆動モータ32および中継基板60を連結する第3配線55の第1コネクタ57と該中継基板60の第2中継コネクタ63とを分離すると共に、駆動制御基板108および中継基板60を連結する第2配線50の第2コネクタ53と該中継基板60の第1中継コネクタ62とを分離することで、過電流保護素子70が配設された当該中継基板60を基板取付部28から取り外して再利用することが可能である。すなわち、過電流保護素子70が実装された中継基板60を、別のパチンコ機Pの中継基板として再利用することが可能であり、コストを抑えることができる。また、過電流保護素子70が設けられた中継基板60は、統括制御基板101Aや駆動制御基板108と別体に構成されているから、取付位置や取付姿勢の自由度が高く、所望とする位置に配設することができる。
【0047】
更に、実施例では、可動演出装置30における駆動モータ32の第1コイル40に電気を供給するための第1電源ラインL1と、駆動モータ32の第2コイル41に電気を供給するための第2電源ラインL2とが、中継基板60の第3プリント配線61Cを共用していると共に、該第3プリント配線61Cに1つの過電流保護素子70を配設した。すなわち、第1電源ラインL1に過電流保護素子70のトリップ電流値より大きい過電流が流れた場合には、該過電流保護素子70の温度がT℃より上昇して抵抗値が高くなることで、該第1電源ラインL1および第2電源ラインL2に対する電気の供給を制限し得る。また、第2電源ラインL2に過電流保護素子70のトリップ電流値より大きい過電流が流れた場合にも、該過電流保護素子70の温度がT℃より上昇して抵抗値が高くなることで、第1電源ラインL1および該第2電源ラインL2に対する電気の供給を制限し得る。すなわち。1つ過電流保護素子70を、第1電源ラインL1および第2電源ラインL2の各電源ラインで共用するので、各電源ライン毎に過電流保護素子を配設する必要がなく、コストを抑えることができる。
【0048】
〔変更例〕
なお、遊技機の構成としては、実施例のものに限られるものではなく、種々の変更が可能である。
(1)本願が対象とする作動装置に備えられる電気的な駆動手段としては、実施例で例示したユニポーラタイプのステッピングモータに限らず、バイポーラタイプのステッピングモータや、サーボモータやDCモータ等の各種電気モータや、ロータリー式やリニア式の電磁ソレノイド等が対象とされる。
(2)過電流保護素子70が設けられた中継基板60は、図10に示すように、統括制御基板101Aと駆動制御基板108との間に配設して、該統括制御基板101Aおよび駆動制御基板108の各々に電気的に接続するようにしてもよい。
(3)過電流保護素子70は、統括制御基板101Aにおける電源ライン用のプリント配線上に実装したり、駆動制御基板108における電源用のプリント配線上に実装してもよい。また、過電流保護素子70は、第1配線45の電源線46A上、第2配線50の第3電線51Cまたは第4電線51D上、第3配線55の第3電線56Cまたは第4電線56D上に配設してもよい。
(4)過電流保護素子70は、第1電源ラインL1および第2電源ラインL2の共用部分に1つだけを実装する形態に限らず、第1電源ラインL1および第2電源ラインL2の各々に1つずつ個別に実装するようにしてもよい。
(5)過電流保護素子70は、中継基板60に面実装されるチップタイプに限らず、該中継基板60に各脚部を差し込んではんだ付けされる端子挿入タイプ等を採用してもよい。また、過電流保護素子70は、駆動モータ32の定格電圧、定格電流等に応じて、適切な規格のものが使用される。
(6)モータ固定部27に設けられた基板取付部28は、実施例で例示した形態に限らず、例えば該モータ固定部27を形成する壁部内面に、過電流保護素子70が駆動モータ32のモータ本体側に向いた姿勢で固定するようにしてもよい。
(7)基板取付部28は、モータ固定部27から離れた位置に設けて、該モータ固定部27に固定した駆動モータ32から離れた位置に中継基板60を配設するようにしてもよい。
(8)モータ固定部27は、収容空間27Aが壁部およびモータ取付板38により密閉されていなくてもよく、該モータ固定部27の壁部やモータ取付板38に開口が形成されたり、駆動モータ32が設置部材20の空間24に露出していてもよい。
(9)作動装置としての可動演出装置30は、図11に示すように、可動体31と駆動モータ32とがベース体76に各々配設されてユニット化され、該ベース体76を設置部材20に固定するタイプであってもよい。このような可動演出装置30では、ベース体76に、モータ固定部27および基板取付部28が設けられている。
(10)図12に示すように、複数基(図12では3基)の駆動手段32を有する作動装置30を備えた遊技機においては、各駆動手段32に該駆動手段32の駆動用の電気を供給するための各電源ラインLに共用部分80を設けて、該共用部分80に1つの過電流保護素子70を配設するようにしてもよい。この場合には、各駆動手段32のうちの何れかに異常が発生して、電源ラインLに過電流保護素子70のトリップ電流値より大きい過電流が流れた場合には、該過電流保護素子70の温度が上昇して抵抗値が高くなることで、各駆動手段32に対する電気供給が制限されて当該作動装置30を適切に停止させることができる。なお、駆動手段32を備えた複数の作動装置30を備えた遊技機においては、各作動装置30の駆動手段32に該駆動手段32の駆動用の電気を供給するための各電源ラインLに共用部分を設けて、該共用部分に1つの過電流保護素子70を配設するようにしてもよい。
(11)作動装置としては、実施例で例示した可動体31を備えた可動演出装置に限らず、電動式の駆動手段である駆動モータを備えたドラム式の図柄表示装置またはベルト式の図柄表示装置や、電気式の駆動手段である電磁ソレノイドを備えた打球発射装置および球送り装置等も対象とされる。
(12)遊技機は、実施例で例示したパチンコ機に限られるものではなく、スロットマシンであってもよい。
【符号の説明】
【0049】
27 モータ固定部(壁面)
27A 収容空間
0 可動演出装置(作動装置)
32 駆動モータ(電気式の駆動手段)
38 モータ取付板(壁面)
0 過電流保護素子
103 電源装置(電気供給手段)
L 電源ライ
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