(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本開示の好ましい種々の実施形態を図示することを目的として示される図面を参照すると、
図1には、複合材料製品100が示される。複合材料製品100は、複合材料パネル104の上側106および下側108に製品表面102を有する複合材料パネル104として構成され得る。複合材料製品100は、複数のフィルム120から作製され、積層構成130に配置され得る。フィルム120は、1つまたは複数の接着層112を使用して、または接着剤基材材料110を使用して、一体的に積層または結合され得る。一実施形態においては、接着層112は、フィルム120に対して光学的に整合するものであってもよい。例えば、接着層112およびフィルム120が、相互に相補的であるか、あるいは可視スペクトルおよび/または赤外線スペクトルの範囲内などの所定の波長帯域について実質的に均等である、屈折率を有してもよい。
【0016】
図2を参照すると、積層構成130の複数のポリマーフィルム120を示す、
図1の複合材料製品100の分解斜視図が示される。有利には、この複合材料製品100中のフィルム120の中の1つまたは複数が、少なくとも1つの延伸方向134に沿って延伸され得る。この延伸方向134に沿ったフィルム120の延伸は、非延伸方向または横方向136に沿ったフィルム120の強度よりも高くてもよい(
図6)。横方向136は、延伸方向134に対してほぼ垂直に配向されたものであってもよい。1つまたは複数の隣接対のフィルム120が、比較的薄い接着層112を使用して一体的に結合されてもよい。各接着層112は、フィルム120の接合表面同士の間に薄い結合ラインを形成してもよい。接着層112は、基材材料、樹脂、またはフィルム120同士を一体的に接着により結合するために隣接し合うフィルム120間に実装し得る他の材料から形成されてもよい。
【0017】
図2においては、各フィルム120が、フィルム120中において所定のパターンで配置された比較的幅狭のストリップまたは経路として形成され得る、複数の脆弱部分160を備えてもよい。例えば、脆弱部分160は、フィルム120において長手方向経路162(
図4)に沿ったライン176(
図4)の形状で形成されてもよい。上述のように、フィルム120の中の1つまたは複数が、延伸フィルム132を備えてもよい。延伸フィルム132中の脆弱部分160は、延伸フィルム132の延伸方向134とほぼ整列するか、または平行であってもよい。しかし、延伸フィルム132の脆弱部分160の中の1つまたは複数が、延伸フィルム132の延伸方向134に対してほぼ非平行である1つまたは複数の方向に沿って配向されてもよい。
【0018】
各フィルム120において、脆弱部分160は、フィルムの複数の比較的大きな非脆弱部分140を画定してもよい。各フィルム120の非脆弱部分140は、各フィルム120の大部分を構成してもよい。
図2は、複数の非脆弱部分140を図示し、各脆弱部分140は、脆弱部分160の長手方向経路162により境界を画されたほぼリボン形状構成152を有する。フィルム120の脆弱部分160は、フィルム120の非脆弱部分140の特性よりも低い少なくとも1つの特性を有してもよい。例えば、フィルム120の脆弱部分160は、フィルム120の非脆弱部分の強度よりも低い強度を有するように変更されてもよい。一実施形態においては、フィルム120の脆弱部分160の中の1つまたは複数が、フィルム120の非脆弱部分140と比べて化学的に修飾されてもよく、この化学修飾により、脆弱部分160は、フィルム120の非脆弱部分140の引張強度、引張係数、終局歪み、および/または他の特性よりも低い引張強度、引張係数、終局歪み、および/または他の特性を有し得る。他の一実施形態においては、フィルム120の脆弱部分160の中の1つまたは複数が、形状的に変更されてもよく、それにより、フィルム120は、非脆弱部分140におけるフィルム120の引張強度および/または横方向(例えば面外)剪断強度よりも低い引張強度および/または低い横方向剪断強度を有することになる。
【0019】
有利には、各フィルム120が、所望のパターンで配置された1つまたは複数の脆弱部分160を備えることにより、フィルム120は、外部荷重を受けた場合に、所望の態様で破壊され得る。例えば、複合材料パネル104が発射体(図示せず)による衝突を受け得る弾道事象の際に、複合材料パネル104中の1つまたは複数のフィルム120が、伸長または延伸により、発射体の運動エネルギーを吸収することができる。初めに、複合材料パネル104中のフィルム120の中の1つまたは複数が、脆弱部分160の中の1つまたは複数に沿って破壊され得る(例えば局所的破砕)。有利には、フィルム120の非脆弱部分140が、脆弱部分160の破壊後に、非損傷状態に留まり得る。この非損傷状態の非脆弱部分140は、発射体が複合材料パネル104の中へとまたは貫通しようと経路に沿って進み続ける際に、撓曲、伸長、または延伸することにより、発射体の運動エネルギーを吸収し続けることができる。非脆弱部分140の撓曲、伸長、または延伸により、フィルム材料の終局歪みに達して非脆弱部分140が破壊されるまでは、発射体は減速され得る。
【0020】
有利には、初めに脆弱部分160においてフィルム120の破壊を生じさせることにより、非脆弱部分140は、非脆弱部分140が破壊されるまでに、比較的多量の撓曲および伸長(例えば延伸)を被り続けることができる。さらに、延伸フィルム132については、延伸フィルム132の延伸方向134に対してほぼ平行に延伸フィルム132の非脆弱部分140を配向することにより、延伸方向134における延伸フィルム132の強度がより高くなることによって、延伸フィルム132の横方向136に沿ったより低いエネルギー吸収能力に比べてより改善された衝突エネルギー吸収能力が実現され得る。さらに、初めに脆弱部分160において延伸フィルム132の破壊を生じさせることにより、より多量のフィルム材料が、弾道事象に関与し得る。
【0021】
例えば、
図2を参照すると、初めに脆弱部分160においてフィルム120の破壊を生じさせることにより、非脆弱部分140は、撓曲および伸長をし続けることができることによって、結果的に、複合材料パネル104の積層構成130中のさらなるフィルム120が関与できるようになる。撓曲量および伸長量が高まることにより、弾道事象に関与することとなる非脆弱部分140の量が増加し得る。弾道事象に関与する非脆弱部分140の量が増加することにより、発射体による複合材料パネル104の侵徹を低下または防止させ得る、フィルム120が発射体の運動エネルギーを吸収し得る期間の時間量が、増加し得る。これに関連して、フィルム120に選択的に脆弱化された部分160を設けることにより、複合材料製品100の弾道性能は、従来型の複合材料製品(図示せず)の弾道性能に比べて著しく向上し得る。
【0022】
本開示により実現されるさらなる利点は、繊維(図示せず)を用いて作製された従来型の透明複合材料製品(図示せず)の光学性能と比べた場合の、延伸フィルム132を用いて作製された透明複合材料製品100の光学性能の向上である。例えば、従来型の複合材料製品においては、繊維は、ほぼ円筒状の構成を有し得ることにより、各繊維は、この従来型の複合材料製品を通過する光に対して小型レンズとして作用する。従来型の複合材料製品は、それぞれ異なる方向に配向された複数の繊維層を備えてもよい。複数の繊維による累積効果は、光が従来型の複合材料製品を通過する際の光の散乱であり、これにより、従来型の複合材料製品を通して見た物体は、不鮮明に見える場合がある。
【0023】
有利には、本開示においては、フィルム120の脆弱部分160は、脆弱部分160が、非脆弱部分140の特性よりも低い特性(例えば低い強度)を有するにもかかわらず、フィルム120の非脆弱部分140と実質的に同一の光学特性を有し得る。フィルム120がフィルム120全体にわたって実質的に均等な光学特性を有することにより、本開示における選択的に脆弱化されたフィルム120によって、従来型の繊維強化複合材料に付随する望ましくない光学的効果が回避される。
【0024】
図2においては、各フィルム120は、延伸方向134と、延伸方向134に対してほぼ垂直に配向された横方向136とを有する、延伸フィルム132を備えてもよい。延伸フィルム132は、横方向136においては実質的に延伸されていなくてもよい。
図2に示す延伸フィルム132は、一方向に延伸されたものであってもよく、非脆弱部分140は、横方向136における非脆弱部分140の引張強度および/または引張係数よりも高い引張強度および/または引張係数を、延伸方向134において有してもよい。しかし、この複合材料製品100は、二方向に延伸された延伸フィルム132(図示せず)から構成されてもよい。例えば、複合材料製品100中の1つまたは複数の延伸フィルム132が、長手方向に沿っておよび横方向136に沿って延伸されてもよい。代替的には、複合材料製品100が、延伸されない1つまたは複数のフィルム120(図示せず)を用いて構成されてもよいことが企図される。
【0025】
図2においては、延伸フィルム132同士が、各延伸フィルム132の延伸方向134が隣接する延伸フィルム132の延伸方向134に対してほぼ垂直に配向されるように、配置される。しかし、延伸フィルム132は、任意の態様で配置されてもよく、延伸方向134が交互に垂直に配向されることに限定されない。例えば、複合材料製品100は、延伸フィルム132の延伸方向134同士が実質的に同一方向に配向されるように、構成されてもよい。代替的には、複合材料製品100は、延伸フィルム132の延伸方向134同士が相互に対して非垂直角度にて配向されるように、構成されてもよい。例えば、複合材料製品100は、1つまたは複数の延伸フィルム132の延伸方向134が、相互に対して所定の角度(例えば15°、22.5°、45°、60°、75°等々)で配向され得るように、構成されてもよい。
【0026】
これに同じく関連して、複合材料製品100は、
図21に図示するように、クロスパターンの脆弱部分220を有して構成されてもよく、各延伸フィルム132の脆弱部分160が、隣接する延伸フィルム132の脆弱部分160に対してほぼ垂直角度で配向される。しかし、複合材料製品100は、脆弱部分160がほぼ同一方向に配向された延伸フィルム132(図示せず)を有して、構成されてもよい。代替的には、複合材料製品100は、脆弱部分160が隣接する延伸フィルム132の脆弱部分160に対して非垂直角度(例えば15°、22.5°、45°、60°、75°等々)で配向された延伸フィルム132を有して構成されてもよい。さらに、複合材料製品100は、延伸フィルム132の中の1つの延伸方向134に対する脆弱部分160の配向が、複合材料製品100中の他の延伸フィルム132の中の1つまたは複数の延伸方向134に対する脆弱部分160の配向とは異なるように、構成されてもよい。
【0027】
図3を参照すると、積層構成130にある延伸フィルム132を示す、
図1の複合材料製品100が図示される。延伸フィルム132の中の1つまたは複数が、1つまたは複数の非脆弱部分140を備えてもよい。非脆弱部分140は、脆弱部分160により境界を画されてもよい。各延伸フィルム132は、上方フィルム表面および下方フィルム表面128を備えてもよい。接着層112が、隣接し合う延伸フィルム132の上方フィルム表面と下方フィルム表面128との間に実装されて、延伸フィルム132同士を接着により結合してもよい。上述のように、接着層112は、ある波長帯域(例えば可視スペクトルおよび/または赤外線スペクトル)内において接着層112およびフィルム120の屈折率を実質的に整合させることによって、および/または、ある温度範囲(例えば−65F〜+200F)内において接着層112およびフィルム120の屈折率の温度係数を実質的に整合させることなどによって、フィルム120に対して光学的に整合され得る接着剤のフィルム120を備えてもよい。複数の接着層112が、延伸フィルム132に重ねられてもよい。代替的には、接着層112は、延伸フィルム132間に塗布され得る接着剤基材材料または接着剤樹脂を含んでもよい。
【0028】
図4は、フィルム長さ122およびフィルム幅124を有する延伸フィルム132の中の1つの上面図である。図示する実施形態においては、脆弱部分160は、延伸フィルム132中に形成される。各脆弱部分160は、ライン176の形状で構成される。脆弱部分160は、延伸フィルム132の延伸方向134に対してほぼ平行に配向され得る長手方向経路162に沿って延在する。各脆弱部分160は、フィルム長さ122に沿って延在する脆弱部分長さ168を有する。脆弱部分160は、フィルム幅124にわたってほぼ均等に離間されるものとして、および実質的に均等な非脆弱部分幅144を有する複数の非脆弱部分140を画定するものとして、図示される。しかし、非脆弱部分幅144は、フィルム120中において均等でなくてもよい。
【0029】
図5は、フィルム120中に形成され得る脆弱部分160を有するフィルム120の断面図である。一実施形態においては、フィルム厚さ126が、約5ミクロン〜約5,000ミクロン(0.0002〜0.2インチ)の範囲内であってもよい。しかし、フィルム120は、任意のフィルム厚さ126で形成されてもよく、限定されない。脆弱部分160は、脆弱部分幅170を有してもよい。脆弱部分160同士は、相互に離間されてもよく、非脆弱部分幅144を画定してもよい。非脆弱部分140は、ほぼ細長い断面形状154で、または比較的高いアスペクト比を有し得るリボン形状構成152で、形成されてもよい。一実施形態においては、非脆弱部分140は、約3〜約500の、非脆弱部分140幅とフィルム厚さ126のアスペクト比を有してもよいが、非脆弱部分140は、任意の値の任意のアスペクト比を有してもよい。
【0030】
脆弱部分160は、非脆弱部分140における特性に対して脆弱部分140内においてフィルム120の特性の低下を実現するための多様な種々の手段の中の任意の1つにより、延伸フィルム132などのフィルム120中に形成されてもよい。例えば、脆弱部分160は、フィルム120の化学修飾部190により、および/またはフィルム120の形状変更部192(
図6)により、フィルム120中に形成されてもよい。
【0031】
図5においては、脆弱部分160を形成するためのフィルム120の化学修飾部190が、紫外線放射に対する、または電子ビーム放射などの他の形態の放射に対するフィルム120の局所的曝露部を含んでもよい。放射は、脆弱部分160の所望の箇所においてフィルム120に対して適用されることにより、フィルム120の分子結合を変化、変更、および/または脆弱化し得る。放射ヘの曝露により、分子結合強度の低下をもたらし得る鎖切断が引き起こされ得る。放射曝露の副生成物は、フィルム120の局所的変色を含む場合がある。しかし、変色は、熱処理または光アニーリングにより軽減または最小限に抑えることができる。また、化学修飾部190は、レーザに対するフィルム120の曝露部を含んでもよく、これは、フィルム120の局所的加熱を引き起こし得るものであり、ポリマーフィルム材料に異なる特性を持たせ得る。
【0032】
図5においては、化学修飾部190が、フィルム120の局所的領域に軟化剤または硬化剤を添加するフィルム120の選択的ドーピング部をさらに含んでもよく、これは、脆弱部分160の形成に望ましい。また、化学修飾部190は、ポリマーフィルム120材料の性能を局所的に低下させることが知られている様々な材料の適用を含んでもよい。化学修飾部190は、非脆弱部分140における材料組成に比べて脆弱部分160における材料組成が若干異なるフィルム120の作製をさらに含んでもよい。例えば、フィルム120が、非脆弱部分140におけるポリマー鎖の分子量に比べて、脆弱部分160におけるポリマー鎖の分子量が低くなるように、形成されてもよく、これにより、脆弱部分160における材料強度が低い状態で、脆弱部分160および非脆弱部分140において実質的に同一の光学特性が実現されるため、有利となる。一実施形態においては、化学修飾部190は、脆弱部分160の長さに沿って変化し得る(図示せず)脆弱部分幅170を有してもよい。同様に、化学修飾部190は、異なる脆弱部分深さ172で設けられてもよい。脆弱部分深さ172は、延伸フィルム132などのフィルム120のフィルム表面128から測定されてもよい。
【0033】
図6は、脆弱部分160を形成するための形状変更部192の一実施形態を示す、延伸フィルム132の断面図である。形状変更部192は、フィルム厚さ126における局所的低下部194を備えてもよい。フィルム厚さ126におけるかかる局所的低下部194により、フィルム120の非脆弱部分140におけるフィルム120の強度に比べて、フィルム120の強度が低下(例えば引張強度が低下)し得る。フィルム厚さ126における局所的低下部194は、延伸フィルム132の長さに沿って任意の脆弱部分幅172で溝、ノッチ、またはスクラッチを形成することにより、設けられてもよい。形状変更部192は、脆弱部分厚さ174がフィルム厚さ126の約90パーセント未満になるように、フィルム厚さ126を局所的に低下させ得る。例えば、延伸フィルム132は、脆弱部分厚さ174がフィルム厚さ126の約10パーセント〜90パーセントになるように、形状的に変更されてもよいが、10〜90パーセントの範囲外の他の相対厚さも企図される。
【0034】
V字形状溝が図示されるが、形状変更部192は、任意のサイズ、形状、および構成で形成されてもよく、限定されない。例えば、フィルム120の形状変更部192は、一定厚さのフィルム120中にラインを刻み付けることによってフィルム120から材料を除去することにより、形成されてもよい。また、フィルム120の形状変更部192は、フィルム120の作製中にフィルム120中に形状変更部192を形成または成形することにより、形成されてもよい。フィルム120中の溝、ノッチ、またはスクラッチにより、望ましくない光学的効果が得られる場合があるが、かかる光学的効果は、基材樹脂または接着層112材料などの光学的に整合する材料でこの溝、ノッチ、スクラッチ、または他の形状変更部192を充填することにより、緩和され得る。かかる材料は、複合材料製品100の積層の際に適用されてもよい。また、望ましくない光学的効果は、フィルム120の一方または両方の側において任意の脆弱部分深さ172で延伸フィルム132の長さに沿って延在する、極薄カット(図示せず)または極薄スライス(図示せず)として形状変更部192を形成することによって、回避または緩和され得る。有利には、かかる極薄カットまたは極薄スライスは、延伸フィルム132からの材料の除去を伴わずに、延伸フィルム132を局所的に脆弱化し得る。脆弱部分160は、延伸方向134とほぼ平行であるものとして図示されるが、脆弱部分160は、横方向136とほぼ整列して、または上述のような任意の他の方向において形成されてもよい。
【0035】
図7は、脆弱部分160を形成するためのフィルム120の形状変更部192の一実施形態を示す、フィルム120の一部分の上面図である。脆弱部分160は、ライン176の形状のフィルム120の連続刻み目196として示される。脆弱部分は、フィルム120に沿って長手方向経路162中に延在してもよい。脆弱部分160は、延伸方向134とほぼ平行であるものとして図示されるが、脆弱部分160は、延伸方向134に対して任意の方向に配向されてもよく、延伸方向134に対してほぼ平行に配向されるようには限定されない。
【0036】
図8は、フィルム120の一実施形態を示す。脆弱部分160は、フィルム120中において所定のパターンで配置された一連の不連続形状変更部192または局所的形状変更部192として形成されてもよい。例えば、脆弱部分160は、対向し合うフィルム表面128の一方または両方の中に形成され得る一連の圧痕部198または凹部を備えてもよい。かかる圧痕部198は、フィルム120の断面積における局所的低下部194をもたらし得る。
図8は、概して直線状に形成された一連の圧痕部198を示すが、圧痕部198は、任意のパターン、配向、または構成で配置されてもよく、限定されない。局所的圧痕部198の望ましくない光学的効果は、上述のように圧痕部198に対して光学的に整合する材料を適用することにより、緩和され得る。
【0037】
図9は、脆弱部分160が、
図4に図示され上述されたパターンと同様のパターンで形成された、フィルム120の一実施形態の上面図である。しかし、
図9の実施形態における非脆弱部分140は、脆弱部分160に対してほぼ垂直に配向された横方向脆弱セグメント166を備える。各横方向脆弱セグメント166は、脆弱部分160の中の少なくとも2つの間に延在することにより、矩形178形状をそれぞれが有する複数の非脆弱部分140を画定し得る。横方向脆弱セグメント166は、非脆弱部分長さ142を画定する。長手方向脆弱セグメント164は、非脆弱部分幅144を画定する。長手方向脆弱部分160同士が相互連結されることにより、フィルム120のさらなる脆弱化が得られ、フィルム120の破壊を制御するための追加的な手段を得ることができる。
【0038】
図10は、蛇行経路180をそれぞれが形成する複数の脆弱部分160を有するフィルム120の一実施形態の上面図である。各蛇行経路180は、相互にずらされ、横方向脆弱セグメント166と相互連結することにより段形状部182を形成する、長手方向脆弱セグメント164を備えてもよい。長手方向脆弱セグメント164は、フィルム120の延伸方向134に対してほぼ平行に配向されてもよい。
図10に図示する段形状部182は、実質的に一定の断面積をフィルム長さ122の方向に沿って有するリボン形状構成152を有する非脆弱部分140をもたらす。
図10に図示する段形状部182の配置により、発射体などによる衝突によるエネルギーの吸収においてフィルム120の能力を向上させ得る比較的鋭角な隅部が得られる。
【0039】
図11は、脆弱部分160の段形状部182の配置の、さらなる実施形態の上面図である。この段形状部182の配置により、フィルム長さ122の方向に沿って変動する断面積を有するリボン形状構成152を有する非脆弱部分140を得ることができる。これに関連して、断面積の変動は、非脆弱部分140の非脆弱部分幅144の変動を含み得る。
図11において配置される段状部により、衝突事象の際に非脆弱部分140の面内移動(例えば形状変化)がもたらされ得る。
【0040】
図12〜
図13は、蛇行経路180実施形態の上面図である。脆弱部分160は、正弦波形状部184で配置される。正弦波形状部184は、
図10および
図11に示す段形状部182実施形態では生じ得る応力集中を軽減することができる。
図12の蛇行経路180実施形態は、脆弱部分160同士の間に実質的に均等な間隔を有する。非脆弱部分140のリボン形状構成152により、実質的に均等な非脆弱部分幅144が得られる。
図13は、脆弱部分160同士の間にそれぞれ異なる間隔を有する蛇行経路180実施形態を図示する。この実施形態により、
図12の実施形態に比べて、フィルム120のエネルギー吸収能力が変更され得る。いずれの蛇行経路180実施形態においても、正弦波形状部184の周期および振幅は、フィルム120の所望の破壊モードおよび/または所望のエネルギー吸収能力を実現するために、変更されてもよい。
【0041】
図14〜
図15は、それぞれ
図12〜
図13と同様である、および脆弱部分160の正弦波形状部184を相互連結する横方向脆弱セグメント166をさらに備える、蛇行経路180実施形態の上面図である。横方向脆弱セグメント166は、フィルム120の所望の脆弱度を実現するために、様々な箇所に位置決めされてもよい。
図15においては、横方向脆弱セグメント166の対の間の間隔が、非脆弱部分140の非脆弱部分長さ142を画定し得る。理解されるように、横方向脆弱セグメント166を使用した脆弱部分160の配置、パターン、配向、および相互連結は、フィルム120の所望の脆弱度を実現するように配置されてもよい。
【0042】
図16〜
図17は、脆弱部分160が端部続きの長手方向脆弱セグメント164で配置された、フィルム120の一実施形態の上面図である。隣接し合う長手方向脆弱セグメント164の端部間の各隙間が、非脆弱連結部146を備える。
図16は、フィルム120中において相互整列配置148にある非脆弱連結部146を図示する。
図17は、スタッガ状配置150にある非脆弱連結部146を図示する。これらの非脆弱連結部146は、フィルム120の隣接し合う対の非脆弱部分140を機械的に結合し得る。これに関連して、非脆弱連結部146は、フィルム120の破壊モードおよび/またはエネルギー吸収能力を制御するための追加的な手段を与え得る、相互連結される非脆弱部分140の相対移動度を制限し得る。非脆弱連結部146は、フィルム120の所望の破壊応答および/または複合材料製品100の所望の破壊応答を実現するために、任意の所望の間隔で、または任意のパターンの間隔で、離間されてもよい。
【0043】
図18は、波状複合材料製品200の斜視図である。波状複合材料製品200は、積層構成130で配置された複数の波状フィルム204を備える。各波状フィルム204は、波状フィルム204が正弦波断面形状206を形成し得るという意味において、波状構成を有し得る。しかし、波状フィルム204は、方形波断面形状、のこぎり波断面形状、または正弦波断面形状206以外の断面形状などの、断面形状で形成されてもよい。
【0044】
図19は、波状複合材料製品200の分解斜視図である。波状フィルム204は、積層構成130で配置される。波状フィルム204の中の1つまたは複数が、波状フィルム204同士を一体的に接着により結合するために、波状フィルム204同士の間に配置された接着層112を備えてもよい。各波状フィルム204は、一連のほぼ平行なリッジ210およびトラフ214を備えてもよい。各リッジ210は、リッジ配向212を有してもよい。複合材料製品100は、波状フィルム204の積層構成130の両側に取り付けられた一対の面シート202を備えてもよい。面シート202は、ポリマーフィルム材料などの複合材料から形成されてもよく、ほぼ平坦な形状を有してもよい。しかし、面シート202は、波状フィルム204の断面形状に整合し得る形状などの非平面形状で形成されてもよい。
【0045】
図19においては、各波状フィルム204は、延伸方向134を有する延伸フィルム132を備えてもよい。さらに、各波状フィルム204は、波状フィルム204に沿って長手方向経路162に配向され得る複数の脆弱部分160を備えてもよい。図示される実施形態においては、波状フィルム204の一部分は、延伸フィルム132中の脆弱部分160が延伸フィルム132のリッジ配向212に対してほぼ垂直に、および波状フィルム204の延伸方向134に対してほぼ垂直に配向されるように、構成されてもよい。さらに、波状フィルム204の一部分は、延伸フィルム132の中の脆弱部分160が、延伸フィルム132のリッジ配向212に対してほぼ平行に、および波状フィルム204の延伸方向134に対してほぼ平行に配向されるように、構成されてもよい。上述のように、複合材料製品100においては、脆弱部分160および延伸方向134は、相互に対して任意の方向に配向されてもよい。
【0046】
図20においては、
図18〜
図19の波状複合材料製品200の側面図が示される。これらの波状フィルム204は、接着層112により結合され得る。上述のように、波状フィルム204は、リッジ210を備えてもよい。最外波状フィルム204のリッジ210は、波状フィルム204と隣接する面シート202との間に隙間216を画定し得る。隙間216は、直ぐ隣りの波状フィルム204に対して各面シート202を結合するために、充填基材218(例えば接着剤充填剤)で実質的に充填されてもよい。
【0047】
有利には、波状複合材料製品200は、発射体(図示せず)などによる衝突によるエネルギーを吸収する高い能力を実現し得る。これに関連して、波状フィルム204の波状断面形状は、ばねとして作用することができ、波状フィルム204は、衝突による運動エネルギーを吸収し得る。例えば、衝突事象の際には、波状フィルム204の脆弱部分160が、初めに破壊され得る。波状フィルム204の非脆弱部分140(
図12)は、衝突事象によるエネルギーを吸収しつつ、撓曲および伸長をし続けることができる。波状フィルム204の伸長により、波状部は、より平坦または平面的な形状へと付勢され得る。より平坦な形状へと波状フィルム204が付勢されることにより、衝突事象の際の運動エネルギー吸収量が高くなり得る。理解されるように、波状複合材料製品200の破壊モードおよびエネルギー吸収能力は、波状フィルム204の振幅および周期を制御することにより制御され得る。
【0048】
図21においては、波状複合材料製品200の波状フィルム204の上面破断図が示される。波状フィルム204は、クロスパターンの脆弱部分220が形成されるように配置される。クロスパターンの脆弱部分220により、複合材料製品100(
図20)の所望のエネルギー吸収能力が実現され得る。これに関連して、波状複合材料製品200(
図20)のエネルギー吸収能力は、延伸方向134に対する、および波状フィルム204のリッジ配向212に対する、脆弱部分160のサイズ、形状、構成、および配向を制御することにより制御され得る。波状フィルム204が、上述のように一方向に延伸された、二方向に延伸された、またはそれらの組合せからなるものであり得る、実施形態が実現され得る。
【0049】
本明細書において開示されるいずれの実施形態においても、複合材料製品100のフィルム120または延伸フィルム132の脆弱部分160の配置は、フィルム120間において実質的に同様であってもよい。しかし、脆弱部分160の配置は、1つの複合材料製品100内において、フィルム120間で異なってもよい。さらには、フィルム120は、フィルム120の様々な箇所にそれぞれ異なる配置の脆弱部分160を有してもよい。さらに、複合材料製品100は、脆弱部分160を備えるいくつかのフィルム120と、脆弱部分160を備えない他のフィルム120とを有して、作製されてもよいことが企図される。
【0050】
本明細書において開示される実施形態のいずれにおいても、脆弱部分160の量、位置、パターン、サイズ(深さ、幅、長さ)、およびタイプ(例えば化学修飾部190、形状変更部192)は、様々な要素に基づき規定され得る。かかる要素には、各フィルム120により得られる所望の脆弱量、各フィルム120またはフィルム120の積層体の破壊メカニズム、ならびに弾道事象要素および環境要素などの他の要素が含まれ得る。弾道事象要素には、発射体速度、発射体質量、発射体硬度、発射体の形状サイズおよび断面積、ならびに発射体に関する他の要素が含まれ得る。環境要素には、温度、湿度、および他の要素が含まれ得る。
【0051】
本明細書において開示される実施形態のいずれにおいても、フィルム120は、任意の適切な熱可塑性材料、熱硬化性材料、および/またはガラス材料から形成されてもよく、限定されない。接着層112および/または基材材料110は、熱可塑性材料および/または熱硬化性材料から形成されてもよい。一実施形態においては、フィルム120は、以下の材料、すなわちアクリル樹脂、ナイロン、フッ化炭素、ポリアミド、ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルイミド、延伸ポリマー、および任意の他の適切な熱可塑性材料の中の少なくとも1つを含む熱可塑性材料から形成されてもよい。代替的には、フィルム120、接着層112、および/または基材材料110は、以下の材料、すなわちポリウレタン、フェノール、ポリイミド、ビスマレイミド、ポリエステル、エポキシ、シルセスキオキサン、および任意の他の適切な熱硬化性材料の中の任意の1つを含み得る熱硬化性材料から形成されてもよい。フィルム120が延伸フィルム132を備える場合には、延伸フィルム132は、上述の熱可塑性材料の中の1つを含むがそれに限定されない熱可塑性材料から形成されてもよい。一実施形態においては、フィルム120、接着層112、および/または基材材料110は、金属材料から形成されてもよい。
【0052】
一実施形態においては、フィルム120、接着層112、および/または基材材料110は、複合材料製品100に向かう、および/または複合材料製品100(
図20)に入射する入射光線(図示せず)に対して少なくとも部分的に透過性を有する、実質的に光学的に透明な材料から形成されてもよい。例えば、フィルム120、接着層112、および/または基材材料110の少なくとも一部分が、可視スペクトル、近可視スペクトル、および/または金赤外線スペクトルにおいて実質的に光学的に透明であってもよい。しかし、フィルム120、接着層112、および/または基材材料110は、実質的に不透明または半透明の材料から形成されてもよい。
【0053】
波状複合材料製品200(
図20)などの複合材料製品100(
図1)が、複合材料パネル104(
図1および
図20)のコンテクストにおいて図示され説明されるが、複合材料製品100は、様々な種々の形状、サイズ、および構成の中の任意の1つにおいて構成されてもよい。これに関連して、複合材料製品100は、任意のビークル用途または非ビークル用途において使用するために構成されてもよい。例えば、複合材料製品100は、航空機などのビークルの透明部として構成されてもよい。また、複合材料製品100は、航空機の前面ガラスまたは天蓋を構成してもよい。さらに、複合材料製品100は、ビークル用途または非ビークル用途において窓として使用するために構成されてもよい。そのうえさらに、複合材料製品100は、膜、装甲パネル、構造パネル、建築パネル、非構造パネル、もしくは製品として、または複合材料製品100の任意の他の実装形態において、実装されてもよく、限定されない。
【0054】
一実施形態においては、複合材料製品100は、第1の延伸フィルム300および第2の延伸フィルム320を備える複数の対298を使用して作製されてもよく、延伸方向306、326が、相互に対して任意の角度で配向されてもよい。例えば、
図2に示す実施形態においては、複合材料製品100は、各対298の第1の延伸フィルム300および第2の延伸フィルム320の延伸方向306、326が、相互に対してほぼ垂直に配向されるように配置される。しかし、複合材料製品100は、延伸方向が相互に対して平行関係にあることを含め、相互に対して非垂直関係に配向された、複数の延伸フィルムを使用して作製されてもよい。
【0055】
図22は、脆弱部分160(
図2)を有するフィルム120を製造する方法400の流れ図である。フィルム120(
図2)は、上述のような延伸フィルム132(
図2)を備えてもよい。方法400のステップ402は、少なくとも1つの脆弱部分160および非脆弱部分140(
図2)を有する延伸フィルム132を形成することを含んでもよい。1つまたは複数の脆弱部分160が、上述のように延伸フィルム132の化学修飾部190(
図5)および/または形状変更部192(
図5)により既存の延伸フィルム132中に形成されてもよい。代替的には、脆弱部分160は、延伸フィルム132の製造中に延伸フィルム132中に形成されてもよい。脆弱部分160は、上述のような多様なパターン、形状、および配向の中の任意の1つにおいて形成されてもよい。
【0056】
図22の方法400のステップ404は、延伸フィルム132の脆弱部分160が非脆弱部分140の特性よりも低い少なくとも1つの特性を有するように、延伸フィルム132(
図6)を構成することを含んでもよい。例えば、延伸フィルム132の脆弱部分160は、化学修飾により脆弱部分160が延伸フィルム132の非脆弱部分140の引張強度、引張係数、終局歪み、および/または他の特性よりも低い引張強度、引張係数、終局歪み、および/または他の特性を有するように、延伸フィルム132の非脆弱部分140と比べて化学的に修飾されてもよい。代替的には、フィルム120の脆弱部分160は、フィルム120が、非脆弱部分140におけるフィルム120の引張強度および/または横方向剪断強度よりも低い引張強度および/または横方向剪断強度などの、低い強度を有するように、形状的に変更されてもよい。
【0057】
図22の方法400のステップ406は、フィルム120(
図9)における所定のパターンまたは形状において脆弱部分160(
図9)を形成することを含んでもよい。例えば、この方法は、フィルム120中に脆弱部分160を形成することを含んでもよく、この脆弱部分160は、ライン176(
図7)および/または矩形178(
図9)の形状を形成する。また、脆弱部分160は、
図10〜
図11に図示される段形状部182または
図12〜
図15に図示される正弦波形状部184などの、蛇行経路180で形成されてもよい。しかし、脆弱部分160は、様々な代替的な構成の蛇行経路180で形成されてもよい。
【0058】
図22の方法400のステップ408は、脆弱部分160が延伸フィルム132の延伸方向134に対してほぼ平行に位置するように、延伸フィルム132を形成することを含んでもよい。例えば、
図2は、複合材料製品100の一実施形態を図示し、脆弱部分160は、フィルム120の延伸方向134に対して平行な長手方向経路162を形成する。代替的には、
図19は、波状複合材料製品200を図示し、波状フィルム204の一部分が、波状フィルム204の延伸方向134に対して平行に配向された脆弱部分160を備え、波状フィルム204の一部分が、波状フィルム204の延伸方向134に対して垂直に配向された脆弱部分160を備える。上述のように、波状フィルム204は、延伸方向134に対して平行または垂直のいずれかに配向された脆弱部分160を有するようには限定されず、波状フィルム204の延伸方向134に対して任意の角度で配向された脆弱部分160を備えてもよい。
【0059】
図23は、複合材料製品100(
図1)を製造する方法500の流れ図である。方法500のステップ502は、少なくとも1つの非脆弱部分140(
図2)および少なくとも1つの脆弱部分160(
図2)をそれぞれが有する複数の延伸フィルム132(
図2)を形成するステップを含んでもよい。延伸フィルム132の脆弱部分160は、ライン176(
図7)、矩形178(
図9)の形状を有してもよく、および/または、脆弱部分160は、蛇行経路180(
図10)に沿って配向されてもよい。上述のように、脆弱部分160は、非脆弱部分140の特性よりも低い少なくとも1つの特性を有してもよい。
【0060】
図23の方法500のステップ504は、積層構成130(
図18)に複数の延伸フィルム132(
図18)を配置することを含んでもよい。延伸フィルム132は、実質的に同一のサイズおよび/または形状で形成されてもよいが、延伸フィルム132は、異なるサイズおよび形状で形成されてもよい。延伸フィルム132は、積層構成130内において相互にほぼ位置合わせされた状態で整列されてもよい。
【0061】
図23の方法500のステップ506は、延伸フィルム132(
図19)の1つの延伸方向134(
図19)が別の延伸フィルム132の延伸方向134に対して所望の配向で配向されるように、延伸フィルム132を配向することを含んでもよい。例えば、
図2に示す実施形態においては、第1の延伸フィルムの延伸方向134は、第2の延伸フィルム320の延伸方向134に対してほぼ垂直に配向されてもよい。延伸方向134を相互に非平行に配向することにより、複合材料製品100(
図19)は、脆弱部分160(
図19)においてフィルムが初めに破壊を生じることによって、発射体の運動エネルギーを吸収する能力の向上を実現し得る。上述のように、フィルム120(
図19)の脆弱部分160が初めに破壊されることによって、フィルム120の非脆弱部分140(
図19)の撓曲および伸長が増加することが続く可能性がある。フィルム120の非脆弱部分140の撓曲および伸長により、フィルム120の比較的広い部分の関与が得られ、これにより、複合材料製品100の総エネルギー吸収能力が上昇し得る。
【0062】
図23の方法500のステップ508は、延伸フィルム132間に配置され得る接着層112を用いて延伸フィルム132同士を相互に結合することを含んでもよい。
図2および
図19に示すように、1つまたは複数の隣接し合う対のフィルム120が、延伸フィルム132の接合表面に沿ってフィルム120同士を一体的に結合するための接着層112を備えてもよい。
【0063】
図24の方法500のステップ510は、接着層112(
図19)を硬化および/または固化することを含んでもよい。例えば、熱および/または圧力が、複合材料製品100(
図19)に対して加えられてもよい。熱により、接着層112の粘度の低下が引き起こされてもよく、これにより、延伸フィルム132(
図19)の結合が促進され得る。圧力は、複合材料製品100を強固にするために加えられてもよい。
【0064】
図24は、複合材料製品100を使用する方法600の流れ図である。方法600のステップ602は、複数のフィルム120を有する複合材料製品100(
図1)を形成することを含んでもよく、各フィルム120が、上述のような脆弱部分160(
図2)および非脆弱部分140(
図2)を有してもよい。脆弱部分160は、非脆弱部分140の特性よりも低い少なくとも1つの特性を有してもよい。
【0065】
図24の方法600のステップ604は、非荷重条件下に複合材料製品100(
図1)を設置または維持することを含んでもよい。非荷重条件は、複合材料製品100の静的条件を含んでもよい。例えば、複合材料製品100は、静止状態または実質的に不動状態にあるビークル701(
図25)の一部分を構成してもよい。一実施形態においては、ビークル701は、航空機700(
図25)を含んでもよい。
【0066】
図25を参照すると、本明細書において開示されるような複合材料製品100(
図1)の1つまたは複数の実施形態を組み込み得る航空機700の斜視図が示される。航空機700は、一対の翼704および尾セクション708を有する胴体702を備えてもよく、尾セクション708は、垂直安定板712および水平安定板710を備えてもよい。航空機700は、操縦翼面706および推進装置714をさらに備えてもよい。航空機700は、本明細書において開示されるような複合材料製品100の中の1つまたは複数を組み込み得る様々なビークルの中の1つを一般的に表すものであり得る。
【0067】
一実施形態においては、複合材料製品100(
図1)は、複合材料パネル104(
図1)を備えてもよい。非荷重条件下においては、複合材料パネル104に対する荷重は、複合材料パネル104の質量に対して作用する重力による静荷重または航空機700(
図25)に対して作用する他の静荷重に限定され得る。非荷重条件の一例は、航空機700が空港の舗装路上に駐機されている場合などに、航空機700の胴体702(
図25)が加圧を受けない状態を含み得る。
【0068】
図24の方法600のステップ606は、ビークルが移動中であり、および/または複合材料パネル104(
図1)が動荷重を受け得る、荷重条件下に複合材料製品100(
図1)を設置することを含んでもよい。例えば、このビークルは、離陸時に滑走路上を移動中の航空機700(
図25)を含んでもよい。また、荷重条件は、航空機700の胴体702(
図25)が加圧される状態を含んでもよい。この荷重条件下においては、複合材料製品100に対する荷重は、圧縮荷重、引張荷重、剪断荷重、ねじり荷重、またはそれらの任意の組合せの中の任意の1つを含んでもよい。
【0069】
本開示の一態様によれば、複数のフィルムを有する複合材料製品を形成するステップであって、各フィルムが非脆弱部分および脆弱部分を有し、脆弱部分が非脆弱部分の特性よりも低い少なくとも1つの特性を有する、ステップと、非荷重条件下に複合材料製品を設置するステップと、荷重条件下に複合材料製品を設置するステップとを含む、複合材料製品を使用する方法が提供される。有利には、非荷重条件は、ビークルが実質的に移動中ではないことに関連するものであり、荷重条件は、移動中の車両に関連するものである。
【0070】
本開示の一態様によれば、非脆弱部分および脆弱部分をそれぞれが有する複数の延伸フィルムを形成するステップであって、脆弱部分が非脆弱部分の特性よりも低い少なくとも1つの特性を有する、ステップと、積層構成で複数の延伸フィルムを配置するステップとを含む、複合材料製品を形成する方法が提供される。有利には、少なくとも一対の延伸フィルムを接着により結合するさらなるステップが存在する。有利には、ライン、矩形形状、および蛇行経路の中の少なくとも1つの形状で脆弱部分を形成するさらなるステップが存在する。
【0071】
本開示の一態様によれば、積層構成に配置された複数のフィルムを備える複合材料製品であって、フィルムの中の少なくとも1つが、非脆弱部分および脆弱部分を有し、脆弱部分が、非脆弱部分の特性よりも低い少なくとも1つの特性を有する、複合材料製品が提供される。有利には、少なくとも一対のフィルムの間に配置された接着層が存在する。有利には、この特性は、引張強度、引張係数、および終局歪みの中の少なくとも1つを含む特性を含む。有利には、脆弱部分は、以下の形状、すなわちライン、矩形、および蛇行経路の中の少なくとも1つを有する。有利には、フィルムの中の少なくとも1つが、脆弱部分の長手方向に対してほぼ平行に配向された延伸方向を有する延伸フィルムを備える。有利には、延伸フィルムは、一方向に延伸されたものおよび二方向に延伸されたものの一方である。有利には、フィルムは、積層構成に配置された波状フィルムを備える。有利には、一対の面シートが、波状フィルムの積層構成の両側に取り付けられる。
【0072】
本開示の一態様によれば、非脆弱部分と、非脆弱部分の特性よりも低い少なくとも1つの特性を有する脆弱部分とを備える、複合材料製品用のフィルムが提供される。有利には、フィルムは、熱可塑性材料、熱硬化性材料、および金属材料の中の少なくとも1つから形成される。有利には、フィルムは、熱可塑性材料から形成された延伸フィルムを備える。有利には、フィルムは、少なくとも一対のフィルムの間に配置された接着層をさらに備える。
【0073】
本開示のさらなる変更および改良は、当業者には明白であろう。したがって、本明細書において説明および図示されるパーツのこれらの特定の組合せは、本開示の特定の実施形態のみを表すように意図され、本開示の趣旨および範囲内に代替的な実施形態またはデバイスを限定するものとしては意図されない。