特許第6158698号(P6158698)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6158698付加ハンドルおよび付加ハンドルを備えた作業工具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6158698
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】付加ハンドルおよび付加ハンドルを備えた作業工具
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/02 20060101AFI20170626BHJP
【FI】
   B25F5/02
【請求項の数】13
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-268138(P2013-268138)
(22)【出願日】2013年12月25日
(65)【公開番号】特開2015-123521(P2015-123521A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2016年6月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】100105120
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 哲幸
(74)【代理人】
【識別番号】100106725
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 敏行
(72)【発明者】
【氏名】神谷 剛
【審査官】 亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−261052(JP,A)
【文献】 特開2002−337074(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/02
B25G 3/00
DWPI(Thomson Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインハンドルを有する作業工具の工具本体に対してさらに付加的に装着され、作業者の選択により前記工具本体から取り外し可能な付加ハンドルであって、
作業者に保持される把持部と、
第1クランプ部を有する第1クランプ部材と、
第2クランプ部を有する第2クランプ部材と、
前記第1クランプ部材および前記第2クランプ部材を移動させるために、作業者によって操作される単一の操作部材と、を有し、
前記操作部材は、所定の軸方向に延在する長尺状部材であり、
前記操作部材の一端側には、前記第1クランプ部材と前記第2クランプ部材を保持するクランプ部材保持部が形成されており、
前記操作部材の他端側には、前記把持部が連接されており、
前記クランプ部材保持部は、左ネジが形成されるとともに前記第1クランプ部材と螺合される第1ネジ部と、右ネジが形成されるとともに前記第2クランプ部材と螺合される第2ネジ部が形成されており、
前記付加ハンドルを前記工具本体に装着する際の作業者の装着動作によって、前記操作部材と連動して前記クランプ部材保持部が前記軸方向周りの周方向に回動されることで、前記第1クランプ部材と前記第2クランプ部材が同時に前記軸方向に関して互いに近接するように移動して、前記第1クランプ部と前記第2クランプ部が前記工具本体を挟持するように構成されていることを特徴とする付加ハンドル。
【請求項2】
請求項1に記載の付加ハンドルであって、
前記第1クランプ部材は、前記第1ネジ部と螺合する第3ネジ部を有しており、
前記第2クランプ部材は、前記第2ネジ部と螺合する第4ネジ部を有しており、
前記付加ハンドルを前記工具本体に装着する際の作業者の装着動作によって、前記操作部材と連動して前記クランプ部材保持部が前記軸方向周りの周方向に回動されて、前記第1ネジ部と前記第3ネジ部が螺合すると同時に、前記第2ネジ部が前記第4ネジ部に螺合することで、前記第1クランプ部材と前記第2クランプ部材が同時に、前記軸方向に関して互いに近接するように移動して、前記第1クランプ部と前記第2クランプ部が前記工具本体を挟持するように構成されていることを特徴とする付加ハンドル。
【請求項3】
請求項1または2に記載の付加ハンドルであって、
前記クランプ部材保持部は、前記軸方向に延在しており、
前記第1クランプ部材は、前記軸方向に交差する交差方向に延在する第1アームを有し、
前記第1アームには、前記第1クランプ部が形成されており、
前記第2クランプ部材は、前記交差方向に延在する第2アームを有し、
前記第2アームには、前記第2クランプ部が形成されており、
前記第1クランプ部材は、前記軸方向に関して、前記操作部材の前記第2クランプ部材よりも前記把持部が連接された基端側に配置されていることを特徴とする付加ハンドル。
【請求項4】
請求項3に記載の付加ハンドルであって、
前記工具本体の前記付加ハンドルが装着される装着領域は、円形断面を有しており、
前記第1クランプ部は、前記工具本体の外周と係合する第1円弧部を形成し、
前記第2クランプ部は、前記工具本体の外周と係合する第2円弧部を形成し、
前記付加ハンドルが前記工具本体に装着された状態において、前記第1円弧部と前記第2円弧部が連続する所定の円弧を形成するように構成されており、
前記第1円弧部と前記第2円弧部が形成する前記所定の円弧の中心角が180度を超えるように形成されていることを特徴とする付加ハンドル。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の付加ハンドルであって、
前記クランプ部材保持部の軸周りに関する前記第1クランプ部材と前記第2クランプ部材の相対回転を規制する相対回転規制機構を有することを特徴とする付加ハンドル。
【請求項6】
請求項5に記載の付加ハンドルであって、
前記第1クランプ部材と前記第2クランプ部材のうち一方のクランプ部材は、前記クランプ部材保持部の軸方向に延在する凸部を有しており、
前記第1クランプ部材と前記第2クランプ部材のうちの他方のクランプ部材は、前記クランプ部材保持部の軸方向に延在する凹部を有しており、
前記相対回転規制機構は、前記凸部と前記凹部によって構成されており、
前記凸部と前記凹部が係合した状態で、前記クランプ部材保持部の軸方向に関する前記第1クランプ部材と前記第2クランプ部材の互いの相対移動が許容されていることを特徴とする付加ハンドル。
【請求項7】
請求項5または6に記載の付加ハンドルであって、
前記相対回転規制機構は、前記第1クランプ部材および前記第2クランプ部材の側部に形成されていることを特徴とする付加ハンドル。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の付加ハンドルであって、
前記第1ネジ部のネジ径が前記第2ネジ部のネジ径よりも大きいことを特徴とする付加ハンドル。
【請求項9】
請求項8に記載の付加ハンドルであって、
前記クランプ部材保持部は、円筒状に形成されており、
前記第1ネジ部は、前記クランプ部材保持部の外周に形成された雄ネジで構成されており、
前記第2ネジ部は、前記クランプ部材保持部の内周に形成された雌ネジで構成されており、
前記第1ネジ部と前記第2ネジ部は、前記クランプ部材保持部の軸方向に関して、オーバーラップするように設けられていることを特徴とする付加ハンドル。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の付加ハンドルであって、
前記第1クランプ部材と前記第2クランプ部材のうちの一方のクランプ部材は、前記工具本体に形成された本体側係合部と係合するハンドル側係合部を有し、
前記付加ハンドルが前記工具本体に装着された状態において、前記ハンドル側係合部が前記本体側係合部と係合して、前記付加ハンドルの前記工具本体に対する相対移動が規制されるように構成されていることを特徴とする付加ハンドル。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の付加ハンドルを備えた作業工具であって、当該作業工具は、所定の駆動軸を有する先端工具を駆動して所定の作業を行うように構成されており、
前記作業工具は、
前記付加ハンドルが装着される工具本体と、
前記工具本体と一体に形成されたメインハンドルと、を有し、
前記工具本体には、前記付加ハンドルが取り外し可能に装着される付加ハンドル装着部が形成されていることを特徴とする作業工具。
【請求項12】
請求項11に記載の作業工具であって、
前記メインハンドルは、前記駆動軸が延在する第1方向に交差する第2方向に対して平行に延在するメイングリップを有し、
前記付加ハンドル装着部は、
前記付加ハンドルの前記把持部が、前記第1方向および前記第2方向の両方向に交差する第3方向に延在するように、当該付加ハンドル装着部に装着されるように構成されていることを特徴とする作業工具。
【請求項13】
所定の駆動軸を有する先端工具を駆動して所定の作業を行う作業工具であって、
請求項10に記載の付加ハンドルが取り外し可能に装着される付加ハンドル装着部を有し、
前記付加ハンドル装着部は、円筒状に形成されており、前記駆動軸と同軸状に配置されており、
前記本体側係合部は、前記駆動軸周りの周方向に関して、複数の位置にそれぞれ形成された本体側凸部で構成されており、
前記ハンドル側係合部は、前記第1クランプ部材または前記第2クランプ部材に形成されたハンドル側凹部で構成されており、
前記ハンドル側凹部が、複数の前記本体側凸部のうちの1つの前記本体側凸部に選択的に係合されて、前記駆動軸周りの周方向に関する前記付加ハンドルの前記工具本体に対する相対回転が規制されるように構成されていることを特徴とする作業工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業工具に付加的に装着される付加ハンドル、および当該付加ハンドルを有する作業工具に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許出願公開第2011/0120741号公報には、作業工具に装着される補助ハンドルが記載されている。この補助ハンドルは、第1クランプ部材、第2クランプ部材、ロッド、グリップを有している。そして、第1クランプ部材と第2クランプ部材が作業工具のギアハウジングを挟持することで、補助ハンドルが作業工具に装着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2011/0120741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記補助ハンドルを作業工具に装着する際には、第1クランプ部材がロッドの先端に固定されている。すなわち、第1クランプ部材がロッドの先端に固定された状態で、第2クランプ部材を第1クランプ部材の方向に移動させることで、第1クランプ部材と第2クランプ部材でギアハウジングを挟持する。しかしながら、2つのクランプ部材のうち一方のクランプ部材がロッドに対して固定されているため、一方のクランプ部材とギアハウジングとの係合を保持した状態で、他方のクランプ部材を移動させる必要がある。すなわち、補助ハンドルの装着に時間がかかるため、補助ハンドルの装着に関して、改善の余地がある。そこで、本発明は、上記問題を鑑み、作業工具に対して付加的に装着される付加ハンドルの装着構造に関する改良技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る付加ハンドルの好ましい形態によれば、メインハンドルを有する作業工具の工具本体に対してさらに付加的に装着され、作業者の選択により工具本体から取り外し可能な付加ハンドルが構成される。この付加ハンドルは、作業者に保持される把持部と、第1クランプ部を有する第1クランプ部材と、第2クランプ部を有する第2クランプ部材と、第1クランプ部材および第2クランプ部材を移動させるために、作業者によって操作される単一の操作部材と、を有する。なお、操作部材は、作業者によって手動で直接的に操作されてもよく、他の部材を介して間接的に操作されてもよい。
なお操作部材は、所定の軸方向に延在する長尺状部材である。操作部材の一端側には、第1クランプ部材と第2クランプ部材を保持するクランプ部材保持部が形成されており、操作部材の他端側には、把持部が連接されている。クランプ部材保持部は、左ネジが形成されるとともに第1クランプ部材に螺合される第1ネジ部と、右ネジが形成されるとともに第2クランプ部材と螺合される第2ネジ部が形成されている。そして、付加ハンドルを工具本体に装着する際の作業者の装着動作によって、操作部材と連動してクランプ部材保持部が軸方向周りの周方向に回動されることで、第1クランプ部材と第2クランプ部材が同時に軸方向に関して互いに近接するように移動される。その結果、第1クランプ部と第2クランプ部が工具本体を挟持することで、付加ハンドルが工具本体に装着される。
すなわち、第1クランプ部と第2クランプ部の協働により、第1クランプ部と第2クランプ部の間に工具本体が挟持される。なお、工具本体は少なくとも2つのクランプ部材によって挟持されるため、本発明の付加ハンドルは、3つ以上のクランプ部材を備えていてもよい。この場合には、単一の操作部材が操作されて、3つ以上のクランプ部材が、同時に互いに近接するように移動されることで、3つ以上のクランプ部材が工具本体を挟持する。
なお、付加ハンドルが工具本体から取り外される際には、操作部材が装着時とは逆方向に回動されることによって、第1クランプ部材と第2クランプ部材が同時に、軸方向に関して互いに離間するように移動される。なお、右ねじのピッチと左ネジのピッチは、同一でもよく、また一方で、互いに異なっていてもよい。なお、典型的には、クランプ部材保持部の延在方向は、操作部材の軸方向に一致することが好ましい。
【0006】
本発明によれば、単一の操作部材に対する作業者の操作によって、第1クランプ部材と第2クランプ部材が同時に互いに近接するように移動する。したがって、操作部材の対する操作によって、いずれか一方のクランプ部材のみが移動するような本発明とは異なる構成に比べて、第1クランプ部材と第2クランプ部材の間の距離の変化量が大きくなる。すなわち、作業者による操作部材に対する単位当たりの操作量に対して、第1クランプ部材と第2クランプ部材の相対移動量を大きくすることができる。なお、単位当たりの操作量とは、回転操作の場合には1回転として定義され、直線操作の場合には長さ(例えば、1mm)として定義される。以上の構成により、付加ハンドルを素早く工具本体に対して装着することができる。換言すると、作業者の少ない操作量で、付加ハンドルが確実に工具本体に装着される。
【0007】
本発明に係る付加ハンドルの更なる形態によれば、第1クランプ部材は、第1ネジ部と螺合する第3ネジ部を有しており、第2クランプ部材は、第2ネジ部と螺合する第4ネジ部を有している。そして、付加ハンドルを工具本体に装着する際の作業者の装着動作によって、操作部材と連動してクランプ部材保持部が軸方向周りの周方向に回動されて、第1ネジ部と第3ネジ部が螺合すると同時に、第2ネジ部が第4ネジ部に螺合する。したがって、第1クランプ部材と第2クランプ部材が、軸方向に関して互いに近接するように移動される。その結果、第1クランプ部と第2クランプ部が工具本体を挟持することで、付加ハンドルが工具本体に装着される。
【0008】
本形態によれば、操作部材のクランプ部材保持部が第1クランプ部材に設けられた左ネジと第2クランプ部材に設けられた右ネジにそれぞれ螺合する。したがって、操作部材(クランプ部材保持部)が回動されたときに、第1クランプ部材と第2クランプ部材が同時に互いに近接するように移動される。その結果、第1クランプ部材と第2クランプ部材の間の距離の変化量が多くなる。
【0009】
本発明に係る付加ハンドルの更なる形態によれば、クランプ部材保持部は、操作部材の軸方向に延在している。そして、第1クランプ部材は、操作部材の軸方向に交差する交差方向に延在する第1アームを有する。この第1アームには、第1クランプ部が形成されている。一方、第2クランプ部材は、前記交差方向に延在する第2アームを有する。この第2アームには、第2クランプ部が形成されている。第1クランプ部材は、前記軸方向に関して、操作部材の第2クランプ部材よりも把持部が連接された基端側に配置されている。したがって、付加ハンドルを工具本体に装着する際の作業者の装着動作によって、操作部材が前記軸方向周りの周方向に回動されることで、第1クランプ部材が操作部材の基端側とは反対側の先端側に向かって移動すると同時に、第2クランプ部材が操作部材の基端側に向かって移動することで、第1アームに形成された第1クランプ部と第2アームに形成された第2クランプ部が工具本体を挟持する。
【0010】
本形態によれば、左ネジが形成された第1クランプ部材が操作部材の基端側に配置されているため、操作部材が右回転されることで、第1クランプ部材が先端側に向かって移動する。一方、右ネジが形成された第2クランプ部材が操作部材の先端側に配置されているため、操作部材が右回転されることで、第2クランプ部材が基端側に向かって移動する。一般的に、ネジを介した締め付け作業や装着作業においては、所定の治具や部材を右回転させることで達成される。そのため、本形態においては、操作部材の右回転によって、第1アームと第2アームが工具本体を挟持して、付加ハンドルが作業工具に装着される。すなわち、一般的な締め付け作業と同様の操作によって、付加ハンドルが作業工具に装着されるため、合理的である。
【0011】
本発明に係る付加ハンドルの更なる形態によれば、工具本体の付加ハンドルが装着される装着領域は、円形断面を有している。そして、第1クランプ部は、工具本体の外周と係合する第1円弧部を形成する。一方、第2クランプ部は、工具本体の外周と係合する第2円弧部を形成する。そして、付加ハンドルが工具本体に装着された状態において、第1円弧部と第2円弧部が連続する所定の円弧を形成する。すなわち、第1円弧部の中心と第2円弧部の中心が一致する。さらに、第1円弧部と第2円弧部が形成する所定の円弧の中心角が180度を超えるように形成されている。
【0012】
本形態によれば、第1円弧部と第2円弧部によって形成される円弧の中心角が180度を超える。したがって、工具本体を挟持する第1クランプ部と第2クランプ部のクランプ力が小さい場合であっても、第1クランプ部材と第2クランプ部材が工具本体から外れることが防止される。
【0013】
本発明に係る付加ハンドルの更なる形態によれば、クランプ部材保持部周りに関する第1クランプ部材と第2クランプ部材の互いの相対回転を規制する相対回転規制機構を有する。換言すると、第1クランプ部材の第2クランプ部材に対する相対回転が規制される。典型的には、相対回転規制機構は、第1クランプ部材と第2クランプ部材のうち一方のクランプ部材に形成された、クランプ部材保持部の軸方向に延在する凸部と、他方のクランプ部材に形成された、クランプ部材保持部の軸方向に延在する凹部によって構成される。また、相対回転規制機構を構成する凸部と凹部は、第1アーム(第2アーム)および第2アーム(第1アーム)のそれぞれの側部に形成されていることが好ましい。なお、典型的には、第1アームと第2アームの側部は、第1アームと第2アームが延在する方向にほぼ平行な側面よりも外側領域として定義される。換言すると、相対回転規制機構は、第1アームおよび第2アームの側面から突出するように形成される。
【0014】
本形態によれば、相対回転規制機構によって第1クランプ部材と第2クランプ部材の互いの相対回転が規制される。したがって、付加ハンドルの工具本体に対する装着が効率的に行われる。また、相対回動規制機構は、第1アームおよび第2アームのそれぞれの側部に形成されているため、付加ハンドルが装着された作業工具による作業時に、相対回動規制機構によって作業が阻害されない。
【0015】
本発明に係る付加ハンドルの更なる形態によれば、第1ネジ部のネジ径が第2ネジ部のネジ径よりも大きい。典型的には、クランプ部材保持部は、円筒状に形成されており、第1ネジ部は、クランプ部材保持部の外周に形成された雄ネジで構成されており、第2ネジ部は、クランプ部材保持部の内周に形成された雌ネジで構成されている。なお、第1ネジ部と第2ネジ部は、クランプ部材保持部の軸方向に関して、オーバーラップするように設けられていることが好ましい。
【0016】
本形態によれば、第1ネジ部と第2ネジ部のネジ径が互いに異なる。したがって、第1ネジ部と第2ネジ部を単一の部材の径が異なる部分にそれぞれ形成することができる。特に、クランプ部材保持部が円筒状に形成されている場合には、クランプ部材保持部の外周と内周に第1ネジ部と第2ネジ部が合理的に形成される。さらに、第1ネジ部と第2ネジ部がクランプ部材保持部の軸方向に関してオーバーラップするため、クランプ部材保持部の軸方向の長さを短くすることができる。
【0017】
本発明に係る付加ハンドルの更なる形態によれば、第1クランプ部材と第2クランプ部材のうちの一方のクランプ部材は、工具本体に形成された本体側係合部と係合するハンドル側係合部を有する。そして、付加ハンドルが工具本体に装着された状態において、ハンドル側係合部が本体側係合部と係合して、付加ハンドルの工具本体に対する相対移動が規制される。
【0018】
本形態によれば、ハンドル側係合部と本体側係合部によって、付加ハンドルの工具本体に対する相対移動が規制される。付加ハンドルの工具本体に対する相対移動は、例えば、作業工具の先端工具の駆動軸に平行な方向の直線移動や、駆動軸周りの周方向の回転移動を好適に包含する。
【0019】
本発明に係る作業工具の好ましい形態によれば、上記の付加ハンドルを備えた作業工具が構成される。当該作業工具は、所定の駆動軸を有する先端工具を駆動して所定の作業を行うように構成されている。この作業工具は、付加ハンドルが装着される工具本体と、工具本体と一体に形成されたメインハンドルと、を有する。そして、工具本体には、付加ハンドルが取り外し可能に装着される付加ハンドル装着部が形成されている。また、メインハンドルは、駆動軸が延在する第1方向に交差する第2方向に対して平行に延在するメイングリップを有する。付加ハンドル装着部は、付加ハンドルの把持部が、第1方向および第2方向の両方向に交差する第3方向に延在するように、当該付加ハンドル装着部に装着されるように構成されている。これにより、メインハンドルのグリップと付加ハンドルの把持部が交差するため、作業者が把持しやすい作業工具が構成される。
【0020】
本発明に係る作業工具の好ましい形態によれば、所定の駆動軸を有する先端工具を駆動して所定の作業を行う作業工具が構成される。作業工具は、付加ハンドルが取り外し可能に装着される付加ハンドル装着部を有する。この付加ハンドル装着部は、円筒状に形成されており、駆動軸と同軸状に配置されている。工具本体に形成された本体側係合部は、駆動軸の軸方向周りの周方向に関して、複数の位置にそれぞれ形成された本体側凸部で構成されている。一方、付加ハンドルに形成されたハンドル側係合部は、第1クランプ部材または第2クランプ部材に形成されたハンドル側凹部で構成されている。そして、ハンドル側凹部が、複数の本体側凸部のうちの1つの本体側凸部に選択的に係合されて、駆動軸周りの周方向に関する付加ハンドルの工具本体に対する相対移動が規制される。すなわち、付加ハンドルの工具本体に対する相対回動が規制される。
【0021】
本発明によれば、付加ハンドルは、本体側凹部と選択的に係合されることで、作業工具に対する複数の装着態様が実現される。したがって、作業者が、作業態様に応じて、付加ハンドルの装着態様を変更することができる。さらに、選択された装着態様において、付加ハンドルの工具本体に対する相対回動が規制される。その結果、工具本体に対して、付加ハンドルが合理的に装着される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、作業工具に対する付加ハンドルの装着構造に関する改良技術を提供される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の代表的な実施形態に係るスクリュードライバおよび補助ハンドルの全体構成を示す斜視図である。
図2図1のII−II線における断面図である。
図3】補助ハンドルを示す斜視図である。
図4図3の補助ハンドルの分解斜視図である。
図5図3のV−V線における断面図である。
図6図5のVI−VI線における断面図である。
図7】補助ハンドルを第1保持部材と第2保持部材が離間して配置された状態を示す図3相当の斜視図である。
図8図7のVIII−VIII線における断面図である。
図9図8のIX−IX線における断面図である。
図10図1のX−X線における断面図である。
図11】スクリュードライバの後方立面図である。
図12】右側ハウジングを示す平面図である。
図13】右側ハウジングの後方立面図である。
図14】左側ハウジングを示す平面図である。
図15】左側ハウジングの後方立面図である。
図16】リアカバーを示す平面図である。
図17】ギアハウジングを示す斜視図である。
図18】ギアハウジングの上面図である。
図19】ギアハウジングの側面図である。
図20図18のXX−XX線における断面図である。
図21図10のXXI−XXI線における断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の代表的な実施形態について、図1図21を参照して説明する。図1に示すように、補助ハンドル10は、作業工具の一例として、石膏ボードなどの被加工材に対してねじ締め作業を行うスクリュードライバ100に対して取り外し可能に装着される。この補助ハンドル10が、本発明における「付加ハンドル」に対応する実施構成例である。
【0025】
[補助ハンドルの構成]
図2および図3に示すように、補助ハンドル10は、クランプ機構20、操作ロッド40、グリップ50を主体として構成されている。クランプ機構20は、第1クランプ部材21と第2クランプ部材31を主体として構成されている。クランプ機構20がスクリュードライバ100のギアハウジング104を半周以上覆うように配置されることで、クランプ機構20がギアハウジング104を挟持する。これにより、補助ハンドル10がスクリュードライバ100に装着される。
【0026】
図4図6に示すように、第1クランプ部材21は、第1係合部22、第1ネジ部23、係合凹部24、ピン摺動部25、およびストッパポール装着部26を有する。第1係合部22の第2クランプ部材31と対向する部分は、円弧状に形成されている。この円弧状部分には、スクリュードライバ100の本体部に形成された回転規制部143(図2参照)と係合する係合凹部24が形成されている。また、第1係合部22には、当該第1係合部22を貫通するようにロッド係合孔22aが形成されている。ロッド係合孔22には、左ネジの雌ネジで構成された第1雌ネジ部23が形成されている。この第1クランプ部材21が、本発明における「第1クランプ部材」に対応する実施構成例である。また、第1係合部22および第1雌ネジ部23がそれぞれ、本発明における「第1アーム」および「第3ネジ部」に対応する実施構成例である。また、第1係合部22の円弧状部分が、本発明における「第1クランプ部」に対応する実施構成例である。
【0027】
ピン摺動部25は、ロッド係合孔22aと平行に延在する貫通孔で構成されている。このピン摺動部25の貫通孔に第2クランプ部材31のピン36が挿入される。このピン摺動部25は、第1係合部22の側面に形成されている。
【0028】
ストッパポール装着部26は、ボルト27、ナット28、およびストッパポール係合孔29を主体として構成されている。ストッパポール係合孔29は、ロッド係合孔22とは直交するように、第1係合部22を貫通するように形成されている。ストッパポール係合孔29にストッパポール(図示省略)が挿入された状態で、ボルト27をナット28に螺合させることで、ボルト27の先端部がストッパポールに当接して、ストッパポールを保持する。
【0029】
図4図6に示すように、第2クランプ部材31は、第2係合部32、ロッド係合ボルト33、サークリップ34およびピン36を主体として構成されている。第2係合部32の第1クランプ部材21と対向する部分は、円弧状に形成されている。この第2係合部32には、当該第2係合部32を貫通するようにボルト係合孔32aが形成されている。ボルト係合孔32aの先端部は、六角形状の断面を有しており、ロッド係合ボルト33の頭部と係合する。ロッド係合ボルト33は、ボルト係合孔32aに挿通され、サークリップ34によって抜け止めされている。ロッド係合ボルト33には、右ネジの雄ネジで構成された第2雄ネジ部35が形成されている。この第2クランプ部材31が、本発明における「第2クランプ部材」に対応する実施構成例である。また、第2係合部32および第2雄ネジ部35がそれぞれ、本発明における「第2アーム」および「第4ネジ部」に対応する実施構成例である。また、第2係合部32の円弧状部分が、本発明における「第2クランプ部」に対応する実施構成例である。
【0030】
ピン36は、第2係合部32の外側に、当該第2係合部32と一体に固定されている。このピン36は、ロッド係合ボルト33と平行に配置されている。そして、ピン36がピン摺動部25の貫通孔に挿入されるように、第1クランプ部材21および第2クランプ部材31が配置されて組み付けられる。
【0031】
図4図6に示すように、操作ロッド40は、クランプ機構20とグリップ50を連結する部材である。操作ロッド40は、ロッド部材41およびネジ部材42を主体として構成されている。ロッド部材41の一端には、ネジ部材42が連結され、ロッド部材41の他端には、グリップ50が連結されている。これにより、ロッド部材41、ネジ部材42およびグリップ50は、一体状に構成される。この操作ロッド40およびネジ部材42が、本発明における「操作部材」および「クランプ部材保持部」に対応する実施構成例である。
【0032】
図4図6に示すように、ネジ部材42は、円柱状の連結部43と円筒状の操作ネジ部44を主体として構成されている。連結部43は、ロッド部材41に篏合し、ネジ部材42とロッド部材41が連結される。操作ネジ部44の外周部には、第1雌ネジ部23の雌ネジと螺合する雄ネジが形成された第1雄ネジ部45が形成されている。また、操作ネジ部44の内周部には、第2雄ネジ部35の雄ネジと螺合する雌ネジが形成された第2雌ネジ部46が形成されている。したがって、第1雄ネジ部45のネジ径は、第2雌ネジ部46のネジ径よりも大きい。さらに、ネジ部材42の長軸方向に関して、第1雄ネジ部45と第2雌ネジ部46は少なくとも一部が重なるように形成されている。この第1雄ネジ部45および第2雌ネジ部46がそれぞれ、本発明における「第1ネジ部」および「第2ネジ部」に対応する実施構成例である。
【0033】
図4図6に示すように、グリップ50は、作業者が把持するグリップを構成する。このグリップ50は、操作ロッド40のクランプ機構20とは反対側の端部に連接されている。グリップ部50と操作ロッド40は、当該グリップ部50の長軸方向(補助ハンドル10の長軸方向)周りの周方向に一体に回転するように構成されている。グリップ50は、円筒状の樹脂部材であり、操作ロッド40側に鍔部50aを有している。このグリップ50が、本発明における「把持部」に対応する実施構成例である。
【0034】
[補助ハンドルの動き]
補助ハンドル10は、グリップ50が回動されることによって、操作ロッド41がクランプ機構20を操作する。具体的には、図7図9に示すように、補助ハンドル10の基端側(グリップ50側)に配置された第1クランプ部材21と補助ハンドル10の先端側に配置された第2クランプ部材31が離間した状態において、図7の矢印Aで示される右回り(以下、A方向)にグリップ50を回動させることで、操作ロッド40によって、第1クランプ部材21および第2クランプ部材31が操作される。すなわち、グリップ50のA方向の回動により、左ネジが形成された操作ロッド40の第1雄ネジ部45と第1クランプ部材21の第1雌ネジ部23が螺合して、第1クランプ部材21がグリップ50から離れるように、操作ロッド40の先端側に向かって移動する。換言すると、第1クランプ部材21が操作ロッド40に対して相対移動される。
【0035】
一方、グリップ50のA方向の回動により、右ネジが形成された操作ロッド40の第2雌ネジ部46と第2クランプ部材31の第2雄ネジ部35が螺合して、第2クランプ部材31がグリップ50に近づくように、操作ロッド40の基端側に向かって移動する。換言すると、第2クランプ部材31が操作ロッド40に対して相対移動される。以上の通り、グリップ50のA方向の回動により、第1クランプ部材21と第2クランプ部材31が互いに近接するように移動される。第1クランプ部材21と第2クランプ部材31のそれぞれの対向面が互いに当接して、第1クランプ部材21と第2クランプ部材31の移動が規制され、これにより、第1クランプ部材21と第2クランプ部材31が図5に示される位置(ホールド位置)に配置される。その結果、図2に示すように、第1クランプ部材21と第2クランプ部材31がスクリュードライバ100のギアハウジング104を挟持する。これにより、補助ハンドル10がスクリュードライバ100に装着される。
【0036】
操作ロッド40の長軸方向に関して、第1クランプ部材21と第2クランプ部材31が互いに相対移動する際に、ピン36は、ピン摺動部25内を摺動する。したがって、ピン36とピン摺動部25の貫通孔の係合により、操作ロッド40の長軸方向周りの周方向に関して、第1クランプ部材21と第2クランプ部材31の相対回転が規制される。このピン36およびピン摺動部25がそれぞれ、本発明における「凸部」および「凹部」に対応する実施構成例である。したがって、ピン36とピン摺動部25によって、本発明における「相対回転規制機構」が構成される。
【0037】
図2に示すように、補助ハンドル10がギアハウジング104に装着された状態において、第1クランプ部材21と第2クランプ部材31の先端部は、操作ロッド40が延在する方向に直交する方向(図2の上下方向)に関して、ギアハウジング104の中心を超えるように配置される。すなわち、円形断面を有するギアハウジング104の中心に関して、第1係合部22および第2係合部32が形成する円弧の中心角が180度を超えるように設定されている。また、補助ハンドル10がギアハウジング104に装着された状態において、第1クランプ部材21の係合凹部24は、ギアハウジング104の回転規制部143と係合する。これにより、ギアハウジング104周りの周方向に関して、ギアハウジング104に装着された補助ハンドル10の回動が規制される。この係合凹部24が、本発明における「ハンドル側係合部」、「ハンドル側凹部」に対応する実施構成例である。また、回転規制部143が、本発明における「本体側係合部」、「本体側凸部」に対応する実施構成例である。
【0038】
また、図3図5および図6に示すように、第1クランプ部材21と第2クランプ部材31が近接した状態において、図3の矢印Bで示される左回り(以下、B方向)にグリップ50を回動させることで、操作ロッド40によって、第1クランプ部材21および第2クランプ部材31が操作される。すなわち、グリップ50のB方向の回動により、左ネジが形成された操作ロッド40の第1雄ネジ部45と第1クランプ部材21の第1雌ネジ部23が螺合して、第1クランプ部材21がグリップ50に近づくように、操作ロッド40の基端側に向かって移動する。一方、グリップ50のB方向の回動により、右ネジが形成された操作ロッド40の第2雌ネジ部46と第2クランプ部材31の第2雄ネジ部35が螺合して、第2クランプ部材31がグリップ50から離れるように、操作ロッド40の先端側に向かって移動する。
【0039】
したがって、グリップ50のB方向の回動により、第1クランプ部材21と第2クランプ部材31が互いに離間するように移動される。これにより、第1クランプ部材21と第2クランプ部材31が図8に示される位置(リリース位置)に配置される。その結果、図2に示すようにスクリュードライバ100に装着された補助ハンドル10が、スクリュードライバ100から取り外される。
【0040】
[スクリュードライバの構成]
図10に示すように、スクリュードライバ100は、本体部101を主体として構成されている。本体部101は、本体ハウジング103、ギアハウジング104、ツールホルダ130を主体として構成されている。
【0041】
図11図16に示すように、本体ハウジング103は、樹脂部品である右側ハウジング103a、左側ハウジング103bおよびリアカバー103cで構成されている。図10に示すように、右側ハウジング103aと左側ハウジング103bが連結されて、本体ハウジング103の内部空間が形成される。本体ハウジング103の内部空間には、ブラシレスモータ110、ファン111、および駆動機構120の後方部分が配置されている。右側ハウジング103aおよび左側ハウジング103bには、作業者が把持するための断面が略楕円形状のグリップ107が形成されている。また、図12に示すように、右側ハウジング103aおよび左側ハウジング103bのそれぞれの側面には、空気流入口105a,105bが形成されている。
【0042】
図10に示すように、グリップ107は、ブラシレスモータ110に近接した基端部から、ブラシレスモータ110の回転軸に交差する方向に延在するように形成されている。グリップ107の基端部には、作業者が操作するトリガ107aが設けられている。また、グリップ107の先端部には、バッテリ装着部108が形成されている。バッテリ装着部108には、バッテリパック190が取り外し可能に装着される。
【0043】
トリガ107aよりも基端部側(図10の上側)には、作業時に被加工材の加工領域を照射する2つのLED180が設けられている。図12および図14に示すように、右側ハウジング103aおよび左側ハウジング103bには、LED180を保持するためのライト保持部109a,109bがそれぞれ形成されている。このライト保持部109a,109bは、トリガ107aよりも前方(図10の右側)に突出するように形成されている。
【0044】
図10に示すように、リアカバー103cは、ブラシレスモータ110の回転軸を支持するための後方のベアリングを保持する部材として設けられている。なお、ベアリングは、スクリュードライバ100の前後方向に関して、ファン111とオーバーラップするように設けられている。これにより、スクリュードライバ110の前後方向の全長が短縮される。
【0045】
また、図11および図16に示すように、リアカバー103cはスクリュードライバ100を保護するためのエラストマ115を有している。さらに、リアカバー103cには、エラストマ115およびリアカバー103cの樹脂部分を貫通する4つの空気排出口116が形成されている。ファン111の駆動によって、右側ハウジング103aおよび左側ハウジング103bに形成された空気流入口105a,105bから本体ハウジング103内に空気が流入する。本体ハウジング103内に流入した空気は、ブラシレスモータ110の外側と通過して、ブラシレスモータ110の前方に流れ、その後、ブラシレスモータ110の内側およびファン111を通過して、空気流出口116から排出される。これにより、ブラシレスモータ110が冷却される。
【0046】
図13に示すように、右側ハウジング103aには、ボス穴106aが形成されている。さらに、図15に示すように、左側ハウジング103bには、ボス穴106bが形成されている。これらのボス穴106a,106bは、右側ハウジング103aと左側ハウジング103bが互いに対向する面上に形成されている。すなわち、ボス穴106a,106bは、工具ビット135およびスクリュードライバ100の重心を通るスクリュードライバ100の中心面上に設けられている。
【0047】
一方、図16に示すように、リアカバー103cには、上部と下部に2つのネジ穴117が形成されている。上部のネジ穴117は、右側ハウジング103aのボス穴106aに対応し、下部のネジ穴117は、左側ハウジング103bのボス穴106bに対応する。このリアカバー103cは、図11に示すように、2本のネジ118によって、右側ハウジング103aおよび左側ハウジング103bにそれぞれ固定される。ボス穴106a,106bがスクリュードライバ100の中心面上に配置されているため、リアカバー103cは、右側ハウジング103aおよび左側ハウジング103bに安定的に保持される。
【0048】
図10に示すように、本体ハウジング103の前側(図10の右側)には、ギアハウジング104が設けられている。ギアハウジング104には、遊星歯車機構によって構成される駆動機構120の前方部分が収容されている。駆動機構120は、3つの遊星歯車機構によって構成されている。具体的には、3つの遊星歯車機構のうち、2つの遊星歯車機構を利用して、ブラシレスモータ110のトルクが工具ビット135に伝達されるように構成されている。そのため、切替レバー125によって、トルク伝達に使用される2つの遊星歯車機構を選択的に切り替えることで、駆動機構120から出力されるトルク(回転数)が切り替えられる。この駆動機構120は、ブラシレスモータ110によって駆動される。なお、トリガ107aが操作されることで、ブラシレスモータ110が駆動される。
【0049】
図1に示すように、ギアハウジング104は、補助ハンドル10が装着される補助ハンドル装着部を構成している。図17図20に示すように、ギアハウジング104は、補助ハンドル装着部140、ツールホルダ保持部145、ハウジング係合爪147、切替レバー保持部149を有する。このギアハウジング104はアルミニウムによって形成されている。
【0050】
補助ハンドル装着部140は、補助ハンドル係合溝141、フランジ部142、回転規制部143を主体として構成されている。補助ハンドル係合溝141には、補助ハンドル10の第1クランプ部材21および第2クランプ部材31がそれぞれ係合する。フランジ部142は、補助ハンドル係合溝141の側壁を構成し、補助ハンドル係合溝141に係合した第1クランプ部材21および第2クランプ部材31と当接する。これにより、補助ハンドル装着部140に装着された補助ハンドル10のスクリュードライバ100の前方(工具ビット135側)への移動が規制される。すなわち、フランジ部142が、工具ビット135の長軸方向(図10の左右方向)に関する補助ハンドル10の移動を規制するストッパとして機能する。
【0051】
また、回転規制部143は、補助ハンドル係合溝141内に形成された凸部である。この回転規制部143は、ギアハウジング104の周方向に関して、対向する2箇所に設けられている。すなわち、図20に示すように、2つの回転規制部143は、ギアハウジング104の中心を挟んで、互いに対向するように設けられている。それぞれの回転規制部143は、補助ハンドル10の第1クランプ部材21の係合凹部24と係合可能である。したがって、図2に示すように、補助ハンドル装着部140に装着された補助ハンドル10の係合凹部24が、いずれか一方の回転規制部143と係合する。すなわち、図1に示すように、グリップ50が左側ハウジング103b側に位置するように補助ハンドル10が補助ハンドル装着部140に装着される態様と、図1とは逆に、グリップ50が右側ハウジング103a側に位置するように補助ハンドル10が補助ハンドル装着部140に装着される態様が、作業態様に応じて選択される。そして、係合凹部24と回転規制部143の係合によって、補助ハンドル装着部140に装着された補助ハンドル10のスクリュードライバ100の周方向(ギアハウジング104の周方向)に関する移動が規制される。すなわち、回転規制部143が補助ハンドル10の回転を規制する。この補助ハンドル装着部140が、本発明における「付加ハンドル装着部」に対応する実施構成例である。
【0052】
図17図20に示すように、ツールホルダ保持部145は、円筒状に形成されている。そして、図10に示すように、ツールホルダ保持部145がツールホルダ130を保持する。トリガ107aが操作されることで、ブラシレスモータ110が駆動機構120を介してツールホルダ130を駆動する。これにより、工具ビット135が、当該工具ビット135の長軸方向(図10の左右方向)周りに回転され、ネジ締め作業が行われる。この工具ビット135が、本発明における「先端工具」に対応する実施構成例である。なお、図10に示される軸Dが工具ビット135の駆動軸を表す。
【0053】
また、図19に示すように、ギアハウジング104の下端部には、ハウジング係合爪147が形成されている。ハウジング係合爪147は、右側ハウジング103aおよび左側ハウジング103bに対応して、2箇所に形成されている。それぞれのハウジング係合爪147は、スクリュードライバ100の中心から外側に向かって延在するように形成されている。2つのハウジング係合爪147は、図12および図14に示される、右側ハウジング103aおよび左側ハウジング103bのライト保持部109a,109bにそれぞれ係合する。これにより、片持ち梁状に形成されたライト保持部109a,109bが、ギアハウジング104によって安定的に保持される。
【0054】
さらに、図10図17図19に示すように、ギアハウジング104の上端部には、切替レバー保持部149が形成されている。具体的には、図21に示すように、本体ハウジング103およびギアハウジング104の上部には、スクリュードライバ100の前後方向に摺動可能な切替レバー125が設けられている。この切替レバー125によって、駆動機構120において、トルク伝達に使用される遊星歯車機構が切り替えられる。切替レバー保持部149は、ガイド部149aとカバー部149bで構成されている。平板状のガイド部149aの上面に切替レバー125が配置され、これにより、ガイド部149aが切替レバー125の摺動をガイドする。一方、カバー部149bは、切替レバー125の上方に設けられている。ギアハウジング104は、アルミニウム製であるため、カバー部149によって切替レバー125が外力から保護される。
【0055】
以上の本実施形態によれば、補助ハンドル10をスクリュードライバ100に装着する際に、操作ロッド40の回動によって、第1クランプ部材21と第2クランプ部材31が互いに近接するように移動する。また、第1クランプ部材21と第2クランプ部材31は、操作ロッド40に対してそれぞれ相対移動する。したがって、操作ロッド40の一回転に対して、第1クランプ部材21と第2クランプ部材31が近接する相対移動量が多い。そのため、補助ハンドル10がスクリュードライバ100に素早く装着される。なお、補助ハンドル10をスクリュードライバ100から取り外す際も同様である。
【0056】
また、本実施形態によれば、第1係合部22と第2係合部32によって形成される円弧の中心角が180度を超える。したがって、ギアハウジング104を挟持する第1クランプ部材21と第2クランプ部材31のクランプ力が小さい場合であっても、第1クランプ部材21および第2クランプ部材31がギアハウジング104から外れることが防止される。すなわち、第1クランプ部材21および第2クランプ部材31によって確実にギアハウジング104が保持される。
【0057】
また、本実施形態によれば、ピン36とピン摺動部25によって、操作ロッド40の長軸方向周りに関して、第1クランプ部材21と第2クランプ部材31の相対回転が規制される。したがって、第1クランプ部材21および第2クランプ部材31を移動させる補助ハンドル10の着脱動作が効率的に行われる。
【0058】
また、本実施形態によれば、相対回動規制機構としてのピン摺動部25およびピン36は、第1クランプ部材21および第2クランプ部材31の側部に形成されている。第1クランプ部材21および第2クランプ部材31の上部に相対回動規制機構が形成されている場合には、補助ハンドル10が装着されたスクリュードライバ100の高さが高くなる。すなわち、相対回動規制機構が邪魔となり、作業に支障をきたす可能性がある。しかしながら、本実施形態においては、相対回転規制機構が作業の邪魔にならない第1クランプ部材21および第2クランプ部材31の側部に形成されているため、相対回動規制機構によって作業が阻害されない。
【0059】
また、本実施形態によれば、第1雄ネジ部45と第2雌ネジ部46のネジ径が互いに異なる。したがって、第1雄ネジ部45と第2雌ネジ部46を単一の部材に形成することができる。また、ネジ部材42の外周と内周に第1雄ネジ部45と第2雌ネジ部46が合理的に形成される。また、第1雄ネジ部45と第2雌ネジ部46が操作ロッド40の長軸方向に関してオーバーラップするように形成されている。したがって、操作ロッド40の長軸方向の長さを短くすることができる。
【0060】
なお、以上の実施形態においては、円筒状のネジ部材42の外周と内周にネジ部が形成されていたが、これには限られない。例えば、ネジ部材として、小径部と大径部を有する段付き部材として形成され、小径部と大径部にそれぞれ雄ネジが形成されていてもよい。この場合、第1クランプ部材21と第2クランプ部材31には、大径部と小径部の雄ネジにそれぞれ対応した雌ネジが形成される。
【0061】
まあ、以上の実施形態においては、補助ハンドル10は、2つのクランプ部材21,31を有していたが、これには限られない。例えば、補助ハンドル10は、3つ以上のクランプ部材を有していてもよい。この場合、3つ以上のクランプ部材は、同一円周上に配置され、単一の操作部材が操作されることで、円の中心に向かって同時に移動することで、互いに近接するように構成される。その結果、3つ以上のクランプ部材によって、ギアハウジング104が挟持される。なお、複数のクランプ部材をそれぞれ個別に操作する複数の操作部材が設けられていてもよい。
【0062】
また、以上の実施形態においては、スクリュードライバ100を作業工具の一例として説明したが、これには限られない。補助ハンドル10が装着される作業工具であれば、例えば、ハンマ、ハンマドリル、マルチツール等に対して本発明が適用される。
【0063】
上記発明の趣旨に鑑み、本発明に係る付加ハンドルおよび作業工具に関しては、下記の態様が構成可能である。
(態様1)
前記付加ハンドルを前記工具本体に取り外す際の作業者の取り外し動作によって、前記操作部材が操作されて、前記第1クランプ部材と前記第2クランプ部材が同時に互いに離間するように移動して、前記第1クランプ部と前記第2クランプ部による前記工具本体の挟持が解除されるように構成されていることを特徴とする付加ハンドル。
(態様2)
所定の駆動軸を有する先端工具を駆動して所定の作業を行う作業工具であって、
付加ハンドルが取り外し可能に装着される付加ハンドル装着部と、
前記駆動軸の軸方向に関して、前記付加ハンドル装着部に隣接して形成されたストッパを有し、
前記ストッパが前記第1クランプ部材と前記第2クランプ部材の少なくともいずれか一方と当接して、前記軸方向に関する前記付加ハンドルの前記付加ハンドル装着部に対する相対移動が規制されるように構成されていることを特徴とする作業工具。
【0064】
(本実施形態の各構成要素と本発明の各構成要素の対応関係)
本実施形態の各構成要素と本発明の各構成要素の対応関係を以下の通り示す。なお、本実施形態は、本発明を実施するための形態の一例を示すものであり、本発明は、本実施形態の構成に限定されるものではない。
補助ハンドル10が、本発明の「付加ハンドル」に対応する構成の一例である。
第1クランプ部材21が、本発明の「第1クランプ部材」に対応する構成の一例である。
第1係合部22が、本発明の「第1アーム」に対応する構成の一例である。
第2クランプ部材31が、本発明の「第2クランプ部材」に対応する構成の一例である。
第2係合部32が、本発明の「第2アーム」に対応する構成の一例である。
第1雄ネジ部45が、本発明の「第1ネジ部」に対応する構成の一例である。
第2雌ネジ部46が、本発明の「第2ネジ部」に対応する構成の一例である。
第1雌ネジ部23が、本発明の「第3ネジ部」に対応する構成の一例である。
第2雄ネジ部35が、本発明の「第4ネジ部」に対応する構成の一例である。
操作ロッド40が、本発明の「操作部材」に対応する構成の一例である。
ネジ部材42が、本発明の「クランプ部材保持部」に対応する構成の一例である。
グリップ50が、本発明の「把持部」に対応する構成の一例である。
ピン摺動部25が、本発明の「相対回転規制機構」に対応する構成の一例である。
ピン摺動部25が、本発明の「凹部」に対応する構成の一例である。
ピン36が、本発明の「相対回転規制機構」に対応する構成の一例である。
ピン36が、本発明の「凸部」に対応する構成の一例である。
係合凹部24が、本発明の「ハンドル側係合部」に対応する構成の一例である。
係合凹部24が、本発明の「ハンドル側凹部」に対応する構成の一例である。
回転規制部143が、本発明の「本体側係合部」に対応する構成の一例である。
回転規制部143が、本発明の「本体側凸部」に対応する構成の一例である。
スクリュードライバ100が、本発明の「作業工具」に対応する構成の一例である。
補助ハンドル装着部140が、本発明の「付加ハンドル装着部」に対応する構成の一例である。
工具ビット135が、本発明の「先端工具」に対応する構成の一例である。
【符号の説明】
【0065】
10 補助ハンドル
20 保持機構
21 第1クランプ部材
22 第1係合部
22a ロッド係合孔
23 第1雌ネジ部
24 係合凹部
25 ピン摺動部
26 ストッパポール装着部
27 ボルト
28 ナット
29 ストッパポール係合孔
31 第2クランプ部材
32 第2係合部
32a ボルト係合孔
33 ロッド係合ボルト
34 サークリップ
35 第2雄ネジ部
36 ピン
40 操作ロッド
41 ロッド部材
42 ネジ部材
43 連結部
44 操作ネジ部
45 第1雄ネジ部
46 第2雌ネジ部
50 グリップ
50a 鍔部
100 スクリュードライバ
101 本体部
103 本体ハウジング
103a 右側ハウジング
103b 左側ハウジング
103c リアカバー
104 ギアハウジング
105a 空気流入口
105b 空気流入口
106a ボス穴
106b ボス穴
107 ハンドル
107a トリガ
108 バッテリ装着部
109a ライト保持部
109b ライト保持部
110 ブラシレスモータ
116 空気排出口
117 ネジ穴
118 ネジ
120 駆動機構
125 切替レバー
130 ツールホルダ
135 工具ビット
140 補助ハンドル装着部
141 補助ハンドル係合溝
142 フランジ部
143 回転規制部
145 ツールホルダ保持部
147 ハウジング係合爪
149 切替レバー保持部
180 LED
190 バッテリパック
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