(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6158704
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】電磁流量計
(51)【国際特許分類】
G01F 1/60 20060101AFI20170626BHJP
G01F 1/58 20060101ALI20170626BHJP
【FI】
G01F1/60
G01F1/58 E
G01F1/58 A
【請求項の数】18
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-523323(P2013-523323)
(86)(22)【出願日】2011年8月3日
(65)【公表番号】特表2013-535685(P2013-535685A)
(43)【公表日】2013年9月12日
(86)【国際出願番号】US2011046510
(87)【国際公開番号】WO2012018962
(87)【国際公開日】20120209
【審査請求日】2014年7月28日
(31)【優先権主張番号】61/370,407
(32)【優先日】2010年8月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513025130
【氏名又は名称】グーウェン,リー
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 護
(74)【代理人】
【識別番号】100161665
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 知之
(74)【代理人】
【識別番号】100121153
【弁理士】
【氏名又は名称】守屋 嘉高
(74)【代理人】
【識別番号】100178445
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 淳二
(74)【代理人】
【識別番号】100133639
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 卓哉
(72)【発明者】
【氏名】グーウェン,リー
【審査官】
山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭56−117316(JP,U)
【文献】
特開2005−055276(JP,A)
【文献】
特開昭47−019858(JP,A)
【文献】
特表2006−510491(JP,A)
【文献】
米国特許第03191436(US,A)
【文献】
米国特許第04899592(US,A)
【文献】
特開平05−037122(JP,A)
【文献】
特開2001−226006(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/58 − 1/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部を流れる導電性流体を運ぶように構成される非磁性の導管と、
前記導管に近接して前記導管に平行になるように第1取付手段で固定され、前記導管に向けられたN極、または、前記導管から逆方向に向けられたN極のいずれかを有する直方体の第1磁石と、
前記第1磁石と同じ方向にN極を向けられて、前記第1磁石とは反対側の前記導管に近接して前記導管に平行になるように第2取付手段で固定される直方体の第2磁石と、
前記導電性流体が前記導管を流れる際に前記第1および第2磁石によって作られる磁力線の磁力の大きさを測定する第1および第2センサとを備え、
測定した磁力の大きさの測定値の変化により磁力線の歪曲を観測し、
前記第2磁石は、前記導管の長手方向の一方を前方とし他方を後方としたときに前方端および後方端を有し、
前記第1センサは、前記第2磁石の前記前方端と前記導管の間に、前記第2センサは、前記第2磁石の前記後方端と前記導管の間に、第1保持手段で固定され、
前記導管は、前記第1および第2磁石、ならびに、前記第1および第2センサに物理的に接触しないことを特徴とする流量計。
【請求項2】
前記導電性流体が静止しているときに、前記第1および第2センサによって観測される磁力の大きさの測定値の差分がゼロであることを特徴とする請求項1に記載の流量計。
【請求項3】
前記第1および第2磁石は希土類磁石であることを特徴とする請求項1または2に記載の流量計。
【請求項4】
前記希土類磁石は、ネオジム-鉄-ホウ素(Nd2Fe14B)磁石、サマリウム-コバルト(SmCo5)磁石、またはサマリウム-コバルト(SmCo17)磁石から選ばれることを特徴とする請求項3に記載の流量計。
【請求項5】
前記導管は、300系ステンレス鋼、セラミック、またはタンタルの材料から選ばれるパイプであることを特徴とする請求項1または2に記載の流量計。
【請求項6】
前記第1および第2センサが線形ホール効果センサであることを特徴とする請求項1または2に記載の流量計。
【請求項7】
回路ボードと、
前記回路ボードに取り付けられ、前記第1および第2センサである2つの線形ホール効果センサと、
制御手段とともに前記回路ボードに取り付けられ、前記線形ホール効果センサに5ボルトを供給するよう配線される電圧レギュレータとをさらに備え、
前記回路ボードは、前記第1磁石と前記導管の間に、前記導管に近接して保持手段で保持されることを特徴とする請求項1に記載の流量計。
【請求項8】
前記第1および第2センサは、第1および第2線形ホール効果センサからなることを特徴とする請求項1に記載の流量計。
【請求項9】
前記第1および第2線形ホール効果センサが、回路ボードに搭載されることを特徴とする請求項8に記載の流量計。
【請求項10】
前記第1および第2線形ホール効果センサが、前記回路ボードの反対端に搭載されることを特徴とする請求項9に記載の流量計。
【請求項11】
前記線形ホール効果センサが、前記線形ホール効果センサに5ボルトの定電圧を供給するよう制御手段とともに電圧レギュレータに配線されることを特徴とする請求項6に記載の流量計。
【請求項12】
前記パイプは、前記第1および第2センサが前記第1および第2磁石および前記第1および第2磁石によって出される磁力線を検知するように、前記第1および第2磁石および前記第1および第2センサが固定される位置に近接した平坦領域を有することを特徴とする請求項5に記載の流量計。
【請求項13】
ヒートシンクをさらに備え、
前記線形ホール効果センサは、前記ヒートシンクに取付手段で取り付けられることを特徴とする請求項6に記載の流量計。
【請求項14】
細孔絶縁体のパッケージをさらに備え、
前記線形ホール効果センサは、前記細孔絶縁体のパッケージ内に包まれることを特徴とする請求項6に記載の流量計。
【請求項15】
冷却ファンをさらに備え、
前記線形ホール効果センサは、冷却ファンが取付手段で取り付けられることを特徴とする請求項6に記載の流量計。
【請求項16】
細孔絶縁体のパッケージをさらに備え、
前記希土類磁石は、前記希土類磁石がキュリー点まで温度上昇するのを避けるために、前記細孔絶縁体のパッケージ内に包まれることを特徴とする請求項3に記載の流量計。
【請求項17】
前記第1および第2磁石を固定する前記第1および第2取付手段と、
前記第1および第2センサを固定する前記第1保持手段と、
前記前記第1および第2センサが取り付けられる回路ボードとを含む取付フレーム支持構造体を備え、
前記導管は、右側および左側下部導管クランプで、前記取付フレーム支持構造体に取り付けられた右側および左側導管支持溶接物に保持されることを特徴とする請求項1に記載の流量計。
【請求項18】
導電性流体が導管内を流れる結果として生じる磁力線の磁力の大きさの変化を測定する方法において、
磁界を発する直方体の第1および第2磁石を、前記導管に近接するが前記導管には接触しないように配置し、前記第1磁石は、前記導管に近接して前記導管に平行になるように第1取付手段で固定され、前記導管に向けられたN極、または、前記導管から逆方向に向けられたN極のいずれかを有し、前記第2磁石は、前記第1磁石と同じ方向にN極を向けられて、前記第1磁石とは反対側の前記導管に近接して前記導管に平行になるように第2取付手段で固定され、前記第2磁石は、前記導管の長手方向の一方を前方とし他方を後方としたときに前方端および後方端を有すること、
前記流体が前記導管内を流れる際に前記第1および第2磁石により作られる磁力線の磁力の大きさを測定するセンサを提供し、測定した磁力の大きさの測定値の変化を測定して磁力線の歪曲を観測すること、および、
前記センサに磁力線の磁力の大きさを測定させることを備え、
前記センサを、前記第2磁石の前記前方端と前記導管の間に固定する前記第1センサと、前記第2磁石の前記後方端と前記導管の間に固定する第2センサとで構成し、
前記導管は、前記第1および第2磁石、ならびに、前記第1および第2センサに物理的に接触しないように構成することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本願は、「電磁流量計」という名称で、2010年8月3日に出願され、参照することにより完全に組み込まれる、米国特許商標局特許仮出願第61/370,407号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、流量計に関し、特に、パイプやトラフのような導管内を流れる、高温流体、腐食性流体、導電性流体の流量を測定可能な電磁流量計に関する。
【背景技術】
【0003】
導管内の材料の流速の測定は、多くの産業プロセスで必須の活動である。ここで開示される発明は、鋳造の世界での研究結果である。この世界では、企業は、溶融されたマグネシウム、アルミニウム、その他の金属、および金属合金を使用して部品を鋳造する。企業は、どれだけの量の材料が、どれだけの速度で鋳型を満たすのか知るために、長い間信頼性のある流量計を探し求めてきた。測定しなければ、それを扱うことはできない、という公理は真実である。測定により、例えば、異なる充満速度で実験をし、どれがより良い鋳造結果となるかを調べることで、品質管理ループを閉じることができる。このような取り扱いは、管理者がシステム内の材料の流速を測定できなければ不可能である。
【0004】
浸食性が強い、または、温度が高い溶融金属の場合、適した流量計がなかった。これまでは、パイプ内の溶融金属の流量を測定しようとする者は、移動する材料に電極が接触する必要がある、線形環状誘導流量計または電磁流量計のどちらかを使用していた。このような電極は、電極が流れる材料との長期間の接触に耐えてしのぐことができる必要がある一方で、材料の選択および製造可能性の問題を起こす導管またはパイプから分離される必要があった。必要なことは、測定装置と測定される材料との間の物理的な接触を必要としない流量計である。本発明はその要求に応えるものである。
【0005】
その他の流量計が存在する。ある流量計は、羽根車を使用し、当該羽根車の速度または回転を数える。しかしながら、このようなシステムは、金属が溶融し、または、羽根車を汚す場所では機能しない。ソーナーベースのシステムもまた存在する。しかしながら、このようなシステムは、トランスデューサーを浸食する材料では動作しない。ドップラー流量計も存在するが、このような測定器は、流れの中に存在する不純物がなければ動作しない。
【0006】
電磁流量計は、ファラデーの法則を前提として動作する。電磁流量計にとって、導電性流体および磁力を放つものが必要である。磁力は、流れ内の荷電粒子を、正荷電粒子と負荷電粒子とに強制的に分離させる。磁界を通る導管内の導電性流体の流れは、電流を誘導する。速度vでの導電性液体の移動により、磁界B内で生成される誘導電圧Εは、次式で与えられる:
【数1】
ここで、lは電磁流量計内の電極間の距離である。
【0007】
典型的な電磁流量計では、導管には測定チューブの両側に界磁コイルが取り付けられる。チューブ内には2つの電極が界磁コイルに直角に取り付けられる。多くの場合、流体が運ばれる金属チューブへの電荷の伝達を避けるために、無極性の絶縁スリーブがチューブ内に取り付けられる。界磁コイルは、流れの方向に垂直な方向に、測定チューブを横切って磁力を加える。静止時に導電性流体内の正に帯電している粒子および負に帯電している粒子は、流体内に均一に分布する。流体が測定チューブ内を移動し始めると、正に帯電している粒子および負に帯電している粒子は、分離されて電極の1つの方に行く。2つの電極によって検出され測定される電圧が生じる。この電圧は、速度に正比例し、既知の測定チューブの直径と一緒にして、流速が計算されることができる。干渉電圧を除去するために、界磁コイルの極性は一定間隔で交互に入れ替わる。場合によっては、収集されるデータは、信号内のノイズを除去するために別な方法で取り扱われる。従来の電磁流量計には、界磁コイルのコスト、コイルを互い違いにする装置、時々採用される励磁機、収集されるデータから「ノイズ」を除去するために使用する装置を含む、多くの問題がある。採用した部品のために、あるものが故障する可能性が増加することに関連する信頼性の問題もまた存在する。流量測定に対するこのアプローチの態様は、多くの交付済み特許に見受けられる。
【0008】
発明者は、流量計分野の次の特許および公開を承知している:
1.米国特許第6505517、7343817、6505517、5544532、6611770、7503227、5578763、5551306、6865956、7421908、7509852、765318、7124645号、および、
2.米国特許公開第2002/0189337、2008/0296208、2005/0109120、2002/0190444号
【発明の概要】
【0009】
この開示される発明の核心は、導電性流体による誘導電流によって引き起こされる磁力線の歪曲を観測することで、導電性流体の流速を推定することができるので、誘導電流の測定が必要ないという所見である。発明者は、誘導電流を測定せず、むしろその電流の影響を測定するので、発明者は、導電性流体に直接物理的に接触する電極を必要としない。本発明は、磁界内の導体の移動によって引き起こされる磁界での歪曲の量を測定することにより動作する。効果は、特定の電気モータおよび発電機での、いわゆる「電機子反作用」と同様である。その代り、発明者は、磁力線を放出するもの(エミッタ)と、磁力線の歪曲を測定することができるセンサとを有することが必要である。そして発明者は、導電性流体を運ぶように構成される導管と、磁力線を放出するものとの間にセンサを入れる。導電性流体が導管内を流れるところで、流れは電流を誘導し、電流は磁力線を歪曲させ、センサがその歪曲を読み取る。測定値の精度は、センサを導電性流体にできるだけ接近させること、および、センサが動作環境内の他の磁力源からの磁力線を識別できるように十分な磁力を提供することによってもたらされる。測定器はパイプの外側に位置する。パイプを通る材料は、どのレベルの腐食性をも有することができ、それは流量計には影響しない。
【0010】
好適な実施形態では、発明者は、直径6インチ(1インチ=2.54センチメートル)以下の導管(パイプ等)、2つの希土類磁石(導管の両側に1つずつ)、および、2つのホール効果センサを取り付けた回路ボードを使用する。センサを有する回路ボードは、センサが熱で壊れない程度に導管に近づけて設けられる。回路ボードには、導管の軸に平行にセンサが設けられる。ヒートシンクおよび/または冷却ファンの組み合わせを設け、センサを細孔絶縁体で包むことにより、センサ温度は動作許容範囲内に維持されることができる。導管は典型的にはパイプである。パイプは、典型的には、パイプ内に置かれる導電性流体に適した実質的に非磁性の材料で作られる。導電性流体の温度が問題でなければ、300系ステンレス製のパイプが使用される。導電性流体が溶融アルミニウムである場合には、パイプは溶融アルミニウムの温度および腐食性に耐えるためにセラミックで構成される必要がある。流体が高圧(700p.s.i.(ポンド毎平方インチ:1 p.s.i.=6894.757Pa)等)に圧縮される場合には、パイプはタンタルで構成されるべきである。好適な実施形態では、導管は直径6インチ以下である。なぜなら、発明者は、その直径より大きいと、導管の反対側の磁石が、ホール効果センサによって観測される歪曲の品質にほとんど寄与しないことを見いだしたからである。発明者は線形ホール効果センサを使用する。発明者は、観測の精度を改善するため、2つのホール効果センサを有することを選択した。好適な実施形態では、回路ボード上の前方および後方ホール効果センサにより、発明者は、いずれの誘導電流により引き起こされる歪曲もより良く計算することができる。所定の位置に置かれた場合、棒磁石は、導電性流体が静止しているときに、前方および後方センサによって観測される歪曲において差分がゼロになるように、ホール効果センサおよび導管に対して導管の軸に沿って配置される。他の言い方をすると、発明者は、(ホールセンサαによって観測される歪曲)−(ホールセンサβによって観測される歪曲)=0となるように、電磁石の位置を合わせようとする。発明者は通常、ゼロ位置を達成するために、1/8インチよりも小さい範囲で、前方又は後方に磁石の位置を変える必要がある。次は説明図である:
【表1】
ここで「n」は棒磁石のN極であり、「s」は棒磁石のS極である。磁石は、N極を下に、S極を上にして、同じようにうまく配置されることができる。1つの磁石を導管の上方に、1つの磁石を導管の下方にした2−磁石システムを使用する場合、1つの磁石のN極が導管に面するなら他方の磁石のS極が磁石に面するように極を整列させる必要があり、逆の場合もあり得る。次は説明図である:
【表2】
ホール効果センサは+/−600ガウスの範囲の精度である。好適な実施形態では、発明者は2つの500ガウスの棒磁石を使用する。好適な実施形態では、導管は真っすぐであり、2つの棒磁石の間の距離をより減少するために、センサが置かれる平らな領域が存在するよう直径が減少される。導管内の流体が高圧であるところでは、導管は、測定ポイントにおいて平坦化されない。なぜなら、流体の圧力により、導管がたわんで平坦化の目論みが損なわれるからである。溶融アルミニウムの場合には、導管はセラミックであり、導管は、平坦化導管の鋳造が難しいために、平坦化されない。好適な実施形態では、流量計の構造は、導管が導管内の導電性流体に基づいて選択されなければならない場合を除いて、軟鋼で作られる。測定器は、流体の流れの方向が逆転したときは、反対の極性で動作する。
【0011】
別の実施形態では、磁界の変化は、磁石構造の力変換器または変位変換器の手段によっても同じような結果で測定されることができる。
【0012】
磁界の歪曲は、以下の要因で影響を受ける:(1)導管内の導電性流体の組成、(2)導管の直径、(3)導管内を流れる導電性流体の温度、(4)導電性流体の流速、(5)導電性流体の電気伝導度、および、(6)磁界の強さ。
【0013】
本発明の電磁流量計は、通常、渦流量計等の別な種類の流量計を使用して、導電性流体の種類、導電性流体の温度、および、感知された磁力線の歪曲を観測することによりキャリブレートされる。流量計はその後、観測された歪曲を他の流量計で示された流速に関連付ける表示手段およびゲージ手段を取り付けられる。アルミニウムまたはマグネシウム用に使用する開示された流量計をキャリブレートする際、そのような高い温度の適用をしのげる他の測定器は多くないので、処理過程を変更しなければならない。適切なキャリブレーションが、所定の速度で所定の時間の間だけ高温の導電性流体を流し、運ばれる金属の重さを量り、毎秒あたりの流量を得るために時間量で割り、リットル毎分等の適した工学単位に関連付けられて見積もられた出力信号を生成するための流動係数を出すために、その結果を発明の出力に相関させることにより達成されるべきである。
【0014】
好適な実施形態では、磁力線は希土類磁石または電磁石により提供されるが、希土類磁石はより小型なもので必要な磁力線を作り出すので、希土類磁石が好ましい。通常使用される2つの希土類磁石は、ネオジム-鉄-ホウ素(Nd
2Fe
14B)磁石およびサマリウム-コバルト(SmCo
5またはSmCo
17)磁石である。ネオジム-鉄-ホウ素磁石は、セ氏200度まで効果がある。サマリウム-コバルト磁石は、セ氏350度まで効果がある。磁石は、磁石の温度が最大有効限度より下の温度を維持するように選択されるべきである。希土類磁石が熱くなりすぎると、磁石は永久に磁性を失ってしまう。特有のタイプの希土類磁石がその磁性を失う温度を「キュリー点」という。好適な実施形態では、棒磁石は立方体または平たい四角であってよい。好適な実施形態では、磁石は、導管に平行に配置されるが、円形の磁石でも機能する。必要な磁界を作り出すために、コイルを使用することができる。
【0015】
アルミニウムが導電性流体である場合、流量計の組立は、センサを十分冷めた状態に維持するために、流れる導電性流体とホール効果センサとの間によりスペースが必要であることを除いて、他のどのような媒体とも全く変わらない。アルミニウムの温度はセ氏800度になり得る。ホール効果センサは、セ氏150度よりも熱くならないようにすべきである。高温の導電性流体を運ぶ導管と、ホール効果センサと、磁石との間に、上質の断熱材を使用することにより、ホール効果センサおよび磁石の温度は、安全な動作温度範囲内に良好に維持されることができる。磁石は、ホール効果センサよりも導電性流体から遠いので、ホール効果センサよりも低い温度にさらされることになる。
【0016】
流管は真っすぐである必要はなく、曲がってもよいが、そのような湾曲は測定器の感度を減少させる。しかしながら、それはある適用では有用であることが分かった。流管は一様な寸法である必要はない。大抵の流管は、測定点で流れの乱流を最小化するため、上流では管径10に等しく、下流では管径4に等しいパイプの直線部分を必要とする。この経験則の本発明への適用性は、今のところ未確認であるが、本発明では、センサは必ずしも流管、導管または測定管内の流動材料の進路内に置かれるものではないので、おそらく疑わしい。
【0017】
磁力線は磁石の終端に集中する傾向があり、これらの磁力線は磁石の表面に垂直に当該表面から出る。所定の磁極から出てくる磁力線は、同じ極性のため互いに反発する傾向があり、これにより磁力線は引き伸ばされたゴムバンドにやや似ているように振る舞う。他の力がない場合、磁石からの磁力線は、棒磁石の各終端から対称的な曲線形状に生じる。
【0018】
好適な実施形態では、導電性流体導管は、磁力線に対してほぼ垂直である。導電性流体が流れるとき、流体中に電流が誘導され、この誘導場が、磁石により生み出される磁界を曲げる自身の磁界を生み出す(磁界生成手段)。発明者は、磁石の終端近くの磁力線の自然な曲線が、磁力線の歪曲の測定値を改善することを見いだしたので、ホール効果センサは棒磁石の終端に近接して搭載される。
【0019】
好適な実施形態では、導電性流体が流量計に導入される前に導管が予熱されるように、トレースヒータが導管の周りを包む。トレースヒータは熱電対で制御される。熱電対に対する接続は流量計の裏面にある。好適な実施形態では、ホール効果センサが搭載される回路ボードには、制御システムから24ボルトを受け取り、電圧を下げて、ホール効果センサに5ボルトの定電圧を供給するのに使用される電圧レギュレータもまた取り付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】金属流入口、ハウジングおよび金属流出口を示す電磁流量計の平面図である。
【
図10】カバーなしの電磁流量計の右側面図である。
【
図11】カバーなしの後面斜視図で示した電磁流量計の概略図である。
【
図12】カバーなしの前面斜視図で示した電磁流量計の概略図である。
【
図12A】斜視図から上方および下方磁石アセンブリの概略を示す図である。
【
図13】材料がその中を動く電磁流量計内のパイプまたは導管の正面図である。
【
図14】材料がその中を動く電磁流量計内のパイプまたは導管の平面図である。
【
図15】材料がその中を動く電磁流量計内のパイプまたは導管の斜視図である。
【
図16】材料がその中を動く電磁流量計内のパイプまたは導管の端面図である。
【
図17】ホール効果センサ回路ボードの端面図である。
【
図18】ホール効果センサ回路ボードの上面図である。
【
図19】ホール効果センサ回路ボードの側面図である。
【
図20】ホール効果センサ回路ボードの底面図である。
【
図21】導管、磁石およびホール効果センサ回路ボードの等角図である。
【
図22】パイプの平坦部の上に磁石を設けたパイプの平坦部を示すパイプの平面図である。
【
図23】平坦部分および平坦部分の上方および下方に置かれた磁石を備え、下方磁石とパイプの平坦部分および任意の上方磁石との間にホール効果センサを備えるパイプの正面図である。
【
図24】パイプ、磁石およびホール効果センサの斜視図である。
【
図25】パイプ、パイプの平坦部分、パイプの上方および下方の磁石、および、下方磁石とパイプの平坦部分との間に搭載されたホール効果センサを示す断面図である。
【
図26】パイプおよびパイプの平坦部分の平面図である。
【
図27】パイプおよびパイプの平坦部分の正面図である。
【
図27A】平坦部分50がラッパ状に拡がるのを示す、
図27のパイプの端面図である。
【
図28】パイプの平坦部分を備えるパイプの斜視図である。
【
図29】非接触磁気流量計のための取付フレーム(ハウジング)の平面図である。
【
図30】非接触磁気流量計のための取付フレーム(ハウジング)の正面図である。
【
図31】非接触磁気流量計のための取付フレーム(ハウジング)の斜視図である。
【
図32】非接触磁気流量計のための取付フレーム(ハウジング)の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面の詳細な説明
図面は、外側のハウジングの詳細から、部品の詳細を示す分解斜視図まで、電磁流量計の全体のアセンブリを詳述する。
【0022】
図1〜
図4は、電磁流量計の外観を示す。外部シールド39は、流量計に入るパイプまたは導管1aと、流量計から出るパイプまたは導管1bとを除いて、電磁流量計を覆う。導電性流体は、パイプまたは導管1aを通って電磁流量計に入る。導電性流体は、同じパイプまたは導管1bを通って電磁流量計から出る。
図5〜
図10では、外部シールド39が取り除かれ、電磁流量計の内部を開示している。
【0023】
図11、12および12Aは、好適な実施形態がどのように組み立てられるか精密に示す電磁流量計の分解図である。
図29〜
図32は、電磁流量計の取付フレーム120および取付フレーム支持構造240の好適な実施形態の分解されていない図を示す。取付ベース10は第1磁石取付ベース13aにボルト5で留められる。第1磁石2bは第1磁石取付ベース13aの上に置かれる。第1磁石カバー7bは第1磁石2bの上にボルト8を使用して固定される。調整スペーサ34は第1磁石カバー7bに固定される。下部センサカバーは調整スペーサ34に固定される。センサ回路ボードアセンブリ18には、第1ホール効果センサ70、第2ホール効果センサ80および電圧レギュレータ90が取り付けられる。センサ回路ボードアセンブリは、センサ上部カバー14に覆われるセンサ下部カバー11内に存在する。ホール効果センサおよび電圧レギュレータの制御ケーブルが、センサ下部カバー11に設けられる経路を通り抜けることができるように、センサ下部カバー11およびセンサ上部カバー14はまとめられ、調整スペーサ34に締め具40を用いて留められる。クロスオーバー9はセンサ下部カバー11に取り付けられる。右側および左側パイプ支持溶接物3a、3bはクロスオーバー9にボルトで留められる。パイプまたは導管1は、ボルト6を使用した右側および左側下部パイプクランプ4a、4bで、右側および左側パイプ支持溶接物3a、3bに固く保持される。パイプ1は平坦部分50を有する。パイプ1は、パイプ1の平坦部分50が正しい方向に置かれ、第1磁石2bに平行となるように、右側および左側下部パイプクランプ4a、4bを用いて、右側および左側パイプ支持溶接物3a、3b内に置かれる。第2磁石カバー7aには、第2磁石2aが取り付けられ、締め具8を用いて第2磁石取付ベース13bに留められる。第2磁石取付ベース13bは、ボルト16を使用してクロスオーバー9に留められる。正しく組み立てられると、第1および第2磁石2aおよび2bは、両磁石がN極を上に、またはN極を下に置かれるようにして同じ極性(NまたはSのどちらか)に取り付けられ、ホール効果センサ70、80は、ホール効果センサ70が第1磁石2bの前端の上に、ホール効果センサ80が第1磁石2bの後端の上に、両センサがパイプ1の平坦部分50の下になるように、パイプ1の軸と一致して置かれる。
【0024】
図13〜
図16は、平坦領域50を有するパイプ1の追加の図である。
【0025】
図17〜
図20は、ホール効果センサ70および80を有する回路ボードアセンブリ18の詳細な図である。ねじ96およびナット95を使用して回路ボードアセンブリ18に留められる電圧レギュレータ90もまた示される。
【0026】
図21〜
図27aは、パイプ1の平坦部分50に最も近く近接する第1磁石2b、回路ボードアセンブリ18、ホール効果センサ70および80、パイプ1の平坦部分50の上方の第2磁石2aの好適な実施形態の構成を説明するパイプ1の図を示す。
【0027】
本開示で説明した実施形態は一例にすぎない。発明からそれることなく、本明細書で述べた具体的な実施形態から多くの逸脱がなされてもよい。したがって、発明の範囲は、具体的に述べた実施形態に限定されるというよりは、請求項によって決定されるべきである。