(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6158710
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】自動ライセンスプレート読み取りシステムの読み取り精度を高めるための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G06K 7/12 20060101AFI20170626BHJP
G06K 7/14 20060101ALI20170626BHJP
G06K 19/08 20060101ALI20170626BHJP
G08G 1/017 20060101ALI20170626BHJP
【FI】
G06K7/12
G06K7/14 060
G06K19/08
G08G1/017
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-541968(P2013-541968)
(86)(22)【出願日】2010年12月2日
(65)【公表番号】特表2014-507694(P2014-507694A)
(43)【公表日】2014年3月27日
(86)【国際出願番号】US2010058643
(87)【国際公開番号】WO2012074526
(87)【国際公開日】20120607
【審査請求日】2013年10月30日
【審判番号】不服2015-11453(P2015-11453/J1)
【審判請求日】2015年6月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100098486
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 憲一
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルド エル.カレル
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ジェイ.ダーリン
(72)【発明者】
【氏名】パトリック アール.フレミング
【合議体】
【審判長】
高木 進
【審判官】
辻本 泰隆
【審判官】
須田 勝巳
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭62−177684(JP,A)
【文献】
特開2002−15277(JP,A)
【文献】
特開2007−142990(JP,A)
【文献】
特開2004−341146(JP,A)
【文献】
特開2004−139016(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K7/00-7/14
G06K19/00-19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライセンスプレート及びライセンスプレートフレームのうちの少なくとも1つに取り付けることが可能なステッカーであって、該ステッカーが、
第1のチャネルを通じてアクセス可能な、車両を一意的に識別するための有用情報、及び
前記有用情報を複製又は再現せずに前記有用情報の伝達の精度を検証するためのみの、第2のチャネルを通じてアクセス可能な、確認情報
を含んだ機械読み取り可能な情報を含む、機械読み取り可能な要素を備え、
前記第2のチャネルが前記確認情報の伝達専用であり、且つ前記第1のチャネルと前記第2のチャネルが波長、時間、位置及び媒体の少なくとも一つによって分けられてなるものである、
ステッカー。
【請求項2】
前記確認情報がバーコードにコード化される、請求項1に記載のステッカー。
【請求項3】
前記バーコードが2Dバーコードである、請求項2に記載のステッカー。
【請求項4】
車両を一意的に識別するための有用情報、及び確認情報を含み、ライセンスプレート及びライセンスプレートフレームのうちの少なくとも1つに取り付けられた、ステッカーの読み取り精度を向上する方法であって、
第1のチャネルを通じて前記有用情報を読み取ることと、
前記第1のチャネルと異なる第2のチャネルを通じて前記確認情報を読み取ることと、
前記有用情報を複製又は再現すること無しで、前記確認情報を使用して前記有用情報の前記読み取りの精度を検証して、正確に読み取られた有用情報を得ること、
を含み、
前記第1のチャネルと前記第2のチャネルが波長、時間、位置及び媒体の少なくとも一つによって分けられてなる、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、広くは、自動ライセンスプレート読み取りシステムの読み取り精度を高めるための方法、装置、及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車両認識(AVR)は、電子システムによる車両の検出及び認識に適用される用語である。例えば、電子料金支払システム、信号無視検知システム、スピード取締りシステム、及びアクセスコントロールシステムを含むAVRシステムが普及してきている。理想的なAVRシステムは、100%の精度で全ての車両を読み取ることができる。今日使用されているAVRシステムの主な2つのタイプは、(1)車両に取り付けられたRFIDタグを読み取るためにRFID技術を用いるシステム、及び(2)車両に取り付けられた機械読み取り可能なコードを読み取るために機械又は装置を使用するシステムである。
【0003】
RFIDシステムの1つの利点は、RFIDタグに含まれているエラー検出及び補正情報によって達成される高い精度である。読み取りが正確である(又は不正確である)確率は、周知の数学的技法(例えば巡回冗長検査、すなわちCRC)を用いて決定され得る。しかし、RFIDシステムは、全ての車両がRFIDタグを有しているとは限らないことを含むいくつかの欠点を有する。また、既存の「受動的」RFIDシステム(無電源のRFIDタグと読み取り機)は、タグ付けされた物体の正確な場所を特定することができない。むしろ、それらは単純に、それらの感知場におけるタグの有無を報告する。更には、多くの受動的RFIDシステムは、短い範囲でのみ動作し、金属の存在下で不十分に機能し、多くのタグ付き対象物が存在するときには、干渉によって遮断される。これらの問題のいくつかは、能動的RFID技術又は同様の方法を使用することにより克服できる。しかし、これらの技術は、高価な、電力を消費する電子機器及び電池を必要とし、高密度の物体又は金属物に取り付けられたときには、それでもなお正確に位置決めできない場合がある。
【0004】
マシンビジョンシステム(自動化ライセンスプレート読み取り機又はALPRシステムと呼ばれることが多い)は、車両に取り付けられた機械読み取り可能なコードを読み取るために機械又は装置を使用する。多くの実施形態で、機械読み取り可能なコードはライセンスプレートに取り付けられるか、印刷されるか、又は隣接して置かれる。最適なALPRシステムは、システムを通過することができる全てのライセンスプレートを正確に読み取ることができなくてはならない。ALPRシステムの1つの利点は、視覚的に識別可能な情報を表示するナンバープレートを備えることが世界のほぼ全域で車両に要求されているために、このシステムをほぼ全世界で使用できることである。しかし、視覚的タグを認識するという作業は、複雑になり得る。例えば、ALPRシステムの読み取り精度は、読み取り機によって評価される取得画像の質に大きく依存する。車両のライセンスプレートの正確な読み取りは、様々な理由からますます難しくなっており、その理由の一つは、今日の路上のライセンスプレートの広範な種類である。
【0005】
多くのライセンス発行当局が「スペシャルティ」ライセンスプレートを提供している。そのようなプレートでは、運転者が魅力的な又は意義のあるデザインを選ぶことが可能であり、それをライセンスプレートに印刷することになる。そのような「スペシャルティ」ライセンスプレートの生産によって、それぞれの州は数多くの異なるライセンスプレートのデザインをその州の住民に提供するようになっている。例えば、オレゴン州は、木、鮭、クレーター湖、文化信託(cultural trust)、アマチュア無線技士(ハム)、アンティーク車両、及び特別な関心対象物という7通りの異なるライセンスプレートデザインオプションを標準車両運転者に提供している。また、同州は、Lions Club、Oregon Masonic Family、Oregon Professional Firefighters、Oregon State Elks、Share the Road、及びSupport Our Troopsという6種類の非営利プレートも標準車両運転者に提供している。加えて、同州は、Eastern Oregon University、Oregon State University、Portland State University、University of Oregon、University of Portland、及びWillamette Universityという6種類の高等教育機関プレートも標準車両運転者に提供している。更に、同州は、Congressional Medal of Honor、Disabled Veteran、Ex−POW、First Marine Division、Gold Star Family、National Guard、Non−Commission Officers Association、Purple Heart、Veterans Recognition、及びVietnam Veteransという10通りの退役軍人及び軍務関連プレートを標準車両運転者に提供している。このように、単独の州に標準車両用の合計33通りの異なるパーソナルプレートのオプションがある。50州のそれぞれ及びカナダの10州のそれぞれがほぼ同数のオプションを標準車両に提供したならば、ライセンスプレート用としてほぼ2000通りの異なるデザインオプションが利用可能になるであろう。しかもこれには、モーター付き自転車、オートバイ、キャンピングカー、トレーラー、トラック、商用車、政府車両、ディーラ車両、及びモーターホームのためのライセンスプレートのオプションは考慮されていない。また、それぞれのライセンスプレートのタイプが異なるフォントを使用することも可能であり、フォントの読み間違えはALPRシステムでよくあるエラーである。
【0006】
正確なライセンスプレートの読み取りが困難である別の理由は、ライセンスプレートが自然に汚れることである。ALPRシステムは、ライセンスプレートを正確に読み取るために、ライセンスプレートの英数字の光学的識別に依存することが多い。これらの英数字は汚れていると曖昧になり、判読性及び明瞭性がかなり下がり、結果的にライセンスプレートの不正確な読み取りにつながることが多い。更に、既存のALPRシステムは、機械読み取り可能なコードを複雑な背景から及び可変な照明条件において区別することが困難である。
【0007】
1つの代表的なALPRシステムは、Retainagroup LtdへのPCT公開特許第2008/007076号に記載されているような「車両に関する情報を提供する識別コード」を含むバーコードを含む。いくつかの出版物(例えば、欧州公開特許第0416742号及び米国特許第6,832,728号)は、ライセンスプレートの機械読み取り可能な部分の所有者情報、シリアル番号、車両タイプ、車両重量、プレート番号、州、プレートタイプ、及び郡の1つ以上を含めることを説明している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、物体を識別するための方法、装置、及びシステムの必要を認識した。本発明者らは、ALPRシステムの読み取り精度を高めるための方法、装置、及びシステムの必要もまた認識した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、確認情報の伝達専用の第2のチャネルを介してアクセス可能な確認情報を含めることによりライセンスプレートの読み取り精度が高められ得ることを認識した。本開示の一実施形態は、反射シートが取り付けられたライセンスプレートブランクと、第1のチャネルを通じてアクセス可能な有用情報及び第2のチャネルを通じてアクセス可能な確認情報を含む機械読み取り可能な要素と、を備え、第2のチャネルが確認情報の伝達専用である(例えば、有用情報を伝達しない)。
【0010】
本開示の一実施形態は、ライセンスプレート、車両、及びライセンスプレートフレームのうちの少なくとも1つに取り付けることが可能なステッカーであって、第1のチャネルを通じてアクセス可能な有用情報、及び第2のチャネルを通じてアクセス可能な確認情報を含む機械読み取り可能な要素を備え、第2のチャネルが確認情報の伝達専用である。
【0011】
本開示の一実施形態はALPRシステムであり、上述のライセンスプレートと、第1のチャネルを通じて有用情報を読み取ることが可能な装置と、第1のチャネルと異なる第2のチャネルを通じて機械読み取り可能な情報を読み取ることが可能な機械と、確認情報を処理し、確認情報を使用して有用情報の読み取りの精度を検証する処理ユニットと、を備える。
【0012】
本開示の一実施形態はALPRシステムであり、有用情報を含むライセンスプレートと、上述のステッカーと、第1のチャネルを通じて有用情報を読み取ることが可能な装置と、第1のチャネルと異なる第2のチャネルを通じて機械読み取り可能な情報を読み取ることが可能な機械と、確認情報を処理し、確認情報を使用して有用情報の読み取りの精度を検証する処理ユニットと、を備える。
【0013】
本開示の一実施形態はライセンスプレートの読み取りの精度を高める方法であり、有用情報を含むライセンスプレートを提供することと、確認情報を提供することと、第1のチャネルを通じて有用情報を読み取ることと、第1のチャネルと異なる第2のチャネルを通じて確認情報を読み取り、かつ確認情報を使用して有用情報の読み取りの精度を検証することと、を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、確認情報はライセンスプレートの少なくとも一部分に印刷されるか、接着されるか、又は隣接して配置される。いくつかの実施形態では、有用情報は1つ以上の英数字及びデザインを含み、確認情報はバーコードを含む。好ましいタイプのバーコードの一例は、2Dバーコードである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のシステム、方法、及び装置は、概ね、第1のチャネルを介してアクセス可能な有用情報、及び(すなわち、有用情報を一切伝達しない)確認情報の伝達専用の第2のチャネルを通じてアクセス可能な確認情報を含む識別子(例えば、ライセンスプレート、フレーム、又はステッカー)を含む車両(例えば、列車、飛行機、自動車、又はボート)を説明する。以下は、ライセンスプレート及びステッカーに関して説明するが、本開示はライセンスプレート及びステッカー以外の対象物も含むことを意図している。
【0016】
本開示の様々な実施形態の説明では、明瞭さのために特定の用語が使用される。しかし、本開示の範囲は、そのように選択された特定の用語に制限されることを意図するものではなく、また、そのように選択された各用語は、同様に機能する全ての技術的同等物を包含することを理解すべきである。
【0017】
抜粋用語集
「チャネル」は、情報が通過する又は伝達される経路を意味する。チャネルは、例えば、光学式、無線周波、音響式、音波式、触感式(例えば点字)であり得る。幾つかの例示のチャネル(例えば、音響式、光学式及び無線周波)は、波長(例えば、赤色光又は緑色光)、時間(例えば、セル式電話で使用される時分割多重化)、位置(例えば、サインの前側及び後側)、若しくは媒体(例えば、大気を介しての光か、光ファイバーを介しての光か)によって分けられる。いくつかの例示のチャネルは形式によって分けられる。例えば、英語とフランス語は異なるアルゴリズムを解釈する必要があるため、2つの別々の音響式、光学式又は視覚式チャネルとして使用することができる。
【0018】
「確認情報」は、有用情報の伝達の精度を検証すること以外に用途を有さない情報を意味する。確認情報は有用情報を複製又は再現することをしない。本開示の装置及びシステムと使用できる確認情報には少なくとも2つのタイプがあり、それらは、(1)計算されるもの(アルゴリズムは、伝達された有用データから確認情報を計算することを可能にし、伝達された有用情報の精度を検証するために、算出された確認情報を、格納されている確認データと比較する)、及び(2)ルックアップテーブルである。
【0019】
「ライセンスプレート番号」は、ライセンスプレートにエンボス加工又は印刷されている英数字の識別子を指すものとする。
【0020】
「機械読み取り可能な要素」は、機械で読み取ることができる別個の部分を意味するものとする。換言すれば、機械読み取り可能な要素は、機械で読み取ることができる任意の要素を意味するものとする。
【0021】
「読み取り」、「読み取ったもの」又は「読み取り精度」は、例えば、ライセンスプレート、ステッカー若しくはフレームのような対象物に含まれている有用情報又は確認情報の機械解釈を意味する。
【0022】
「有用情報」は、特定の車両を個別に識別するために使用される一式の情報又はデータにおける任意の情報片を意味する。例示の有用情報片としては、例えば、ライセンスプレート番号、州識別子、及びプレートのタイプが挙げられる。注意すべき点として、これらの情報片のいずれも単独ではライセンスプレートを一意的に識別しないが、有用情報の複数片は特定のライセンスプレートを一意的に識別することができる。例えば、英数字又は図形であり得る有用情報をライセンスプレートに形成すること、ライセンスプレートのシートに形成すること、ライセンスプレートに接着すること、ライセンスプレートに隣接したカバー又はフレームに形成すること、ライセンスプレートに隣接したカバー又はフレームに接着すること、若しくは他の何らかの方法でその対象物に取り付けることができる。
【0023】
現在入手可能なライセンスプレート及びALPRシステムとしては、少なくとも第1のチャネルを通じてアクセス可能な有用情報を有するライセンスプレートが挙げられる。このいくつかの例としては、ライセンスプレート番号及び州識別子を読み取ってライセンスプレート及び/又は車両を識別するOCRカメラが挙げられる。ライセンスプレート番号及び州識別子は、それぞれ、有用情報片である。OCRカメラ(及びその関連づけられた処理システム)がそのチャネルを形成する。
【0024】
先行技術の一例では、有用情報は、ライセンスプレートに印刷された文字数字及び画像の形態になっており、正常な昼光で人の目に見える。この例では、有用情報は、ライセンスプレートを見つけるパターン認識ソフトウェア及びライセンスプレート番号を識別する光学式文字認識ソフトウェアを有するカメラを使用して読み取られる。このカメラは、3色全てを検出するカラーカメラになり得るが、3色チャネルは、典型的には、例えば、全ての色のチャネルの値を合算することにより単一のチャネルにまとめられて、光学的文字認識ソフトウェアにより処理される。あるいは、カメラは、赤外線波長で画像を検出することができ、パターン検出及び光学式文字認識ソフトウェアはこの赤外線画像を使用してライセンスプレートを識別することができる。有用情報は、ライセンスプレートに印刷された図形の形態であってもよく、例えば、ミネソタの水潜り鳥ライセンスプレート上の水潜り鳥の画像が、そのライセンスプレートをミネソタの乗用車用水潜り鳥ライセンスプレートとして識別する。このグラフィックがライセンスプレート番号とともに車両を一意的に識別する。ミネソタの乗用車用水潜り鳥のライセンスプレートは、例えば、可視波長を感知できる白黒カメラで撮影することができる。水潜り鳥のグラフィックはパターン認識ソフトウェア(第1のチャネル)によって、プレート番号は光学式文字認識ソフトウェア(第2のチャネル)によって、識別され得る。これら2つの有用情報片のそれぞれはその独自のチャネルを介して伝達され、次いで、車両を一意的に識別するために使用され得る。
【0025】
場合によっては、背景技術の項に記載した理由の少なくともいくつかのために、ライセンスプレートの様々な有用情報片の1つ以上が正確に読み取られない、伝達されない、及び/又は処理されないことがある。先行技術のシステムは、有用情報を複製し、それを同じチャネル又は別のチャネルを介して伝達することによりこの問題に対処してきた。例えば、第2のチャネルを介して伝達されるバーコードは、第1のチャネルを介して伝達された同じライセンスプレート番号の少なくとも一部を含む可能性がある。それらの有用情報の2つのセットは比較され、それらが一致すれば、読み取りの信頼度は増す。このような実施形態は、ライセンスプレート上の又はライセンスプレートに隣接する有用情報の自己確認を確認情報が提供するので、ライセンスプレート情報が正確に読み取られる確率を有意に高めることを示すことができる。
【0026】
本願の発明者らは、有用情報(例えば、ライセンスプレートの州、ライセンスプレートのタイプ、ライセンスプレート番号、ライセンスプレートのグラフィック、ライセンスプレートの発行年及び/又は月など)の全てを再現及び/又は複製するために必要とされる機械読み取り可能なビットが多数であるために、有用情報の複製及び/又は再現は困難であり得ることを認識した。有用情報の複製のために利用可能なライセンスプレート上のスペースが限られているために、及びライセンスプレートが判読しやすく且つ見た目に美しいままであるようにライセンスプレートに記入し過ぎないことが望まれるために、情報の複製又は再現は困難であり得る。本開示の発明者らは、有用情報を複製又は再現せずにライセンスプレートの読み取りの精度を高めるために、装置、方法、及びシステムを発明した。
【0027】
本開示の装置、方法、及びシステムの一実施形態は、向上された又は高められた精度を有するライセンスプレート、ステッカー、又はALPRシステムである。ライセンスプレート、ステッカー、又はALPRシステムのうちの少なくとも1つは、第1のチャネルを介して伝達される有用情報及び第2のチャネルを介して伝達される確認情報を含む。第2のチャネルは確認情報の伝達専用である(例えば、第2のチャネルは有用情報を伝達しない)。換言すると、本開示のライセンスプレート、ステッカー、及びALPRシステムは、確認情報の伝達専用であるチャネルを少なくとも1つ含む。しかし、ライセンスプレート、ステッカー、又はALPRシステムは、有用情報又は確認情報(又はその組み合わせ)が伝達される1つ以上の追加のチャネルもまた含むことができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、第1及び第2のチャネルは同じタイプのチャネルであり、いくつかの実施形態では、第1及び第2のチャネルは異なるタイプのチャネルである。いくつかの実施形態は、確認情報の伝達専用のチャネルに加えて、有用情報が伝達される多数のチャネルを含む。いくつかの実施形態は、数々のタイプの確認情報を含み、それらのいくつかは、有用情報が伝達される1つ以上のチャネルに沿って伝達され、それらのいくつかは、確認情報の伝達専用のチャネルに沿って伝達される。
【0029】
確認情報は、例えば、機械又はコンピュータにより撮像、読み取り、及び/又はスキャンされ得る形態でコード化される又はそのような形態をもとに計算され、そのハードウェア及びソフトウェアにより解釈される情報であり得る。機械読み取り可能な情報は、機械読み取り可能な要素に含まれる。機械読み取り可能な情報の例示のタイプには、例えば、欧州公開特許第0416742号などに記載されているようなバーコード、2Dバーコード、幾何記号が挙げられる。あるいは、確認情報は、第2の光学式チャネルでのみ読み取られることができる英数字でコード化され得る。確認情報は、例えば、人間の目に可視であっても不可視であってもよい。確認情報は、例えば、波長変化、特定の照明条件の使用、IR吸収染料、多層光学フィルムなどによって人間の目に見えないように作られてもよい。確認情報は、車両に直接に形成されてもよく、ライセンスプレートに形成されてもよく、ライセンスプレートに接着されてもよく、ライセンスプレートに隣接したカバー又はフレームにされてもよく、ライセンスプレートに隣接したカバー又はフレームに接着されてもよく、若しくは他の何らかの方法でその対象物に取り付けられてもよい。
【0030】
一実施形態では、有用情報(例えば、ライセンスプレートの英数字)は第1のチャネル(例えば、カメラを使用してライセンスプレートが画像化され、その画像がOCRソフトウェアにより読み取られる光学式チャネル)を介して伝達される。確認情報は、2Dバーコードにコード化され、第2のチャネル(例えば、確認情報がカメラで読み取られた光学式チャネル)を介して伝達される。伝達された有用情報及び確認情報は、数字ビットの形態である。これらの数字ビットの受信の際、有用情報及び確認情報をそれらの意図された形態で組み立てるために、1つ以上のアルゴリズムが使用される。確認情報は、伝達された有用情報から更に計算される。それぞれが別々のチャネルを介して伝達された、伝達された確認情報と、伝達された有用情報から計算された確認情報との比較は、ライセンスプレートの読み取りの精度を高める。この例では、1)直接伝達された及び2)伝達された有用情報から算出された2つの異なるソースからの確認データの比較により精度(信頼度)が高められる。
【0031】
別の実施形態は、ライセンスプレートに印刷及び/又はエンボス加工された英数字識別子を有する再帰反射性ライセンスプレートを含む。英数字識別子は人間の目に見える。このライセンスプレートは、例えば、図形、州記号、又は別の識別子を含んでもよい。(例えば4平方インチ(25.8cm
2)未満又はより好ましくは2平方インチ(12.9cm
2)未満の)小さい再帰反射性ステッカーがライセンスプレートにある。いくつかの実施形態では、ステッカーは更新ステッカーである。そのような実施形態では、更新ステッカーは昼光で人間の目で単純に見ることができる更新情報を有することができる。この更新情報は、例えば、月及び/又は年の省略形であり得る。幾つかの実施形態では、ステッカーの色は更新周期に合わせて調整される。ステッカーは確認情報を含むコードを含む。幾つかの実施形態では、このコードは昼光で人間の目に単純に見えるものではないが、例えば、再帰反射性の光又は所与の波長の光(例えば赤外光)の下で画像化(例えば、検出)され得る。幾つかの実施形態では、このコードはバーコード、好ましくは2Dバーコードである。好ましいALPRシステムは、ライセンスプレートと、同じ画像内に識別子及び確認情報の両方を撮像できるカメラを含む。画像から識別子及び確認情報を抽出するには、別々のアルゴリズムが使用される。
【0032】
伝達された情報を使用してライセンスプレートの情報を検証するための別の方法は、第1のチャネルを介して伝達された有用情報と、ルックアップテーブルを介して第2のチャネルを介して伝達された確認情報とをつなげることである。例えば、ライセンスプレートに取り付けられたRFIDタグに含まれるシリアル番号を、ルックアップテーブルのそのプレートの番号と関連づけ、そのプレート番号の読み取りを検証することができる。
【0033】
確認情報は、例えば、バンパーステッカー、ライセンスプレート、ライセンスプレートフレームなどに配置することができる。あるいは、確認情報又は有用情報は、ライセンスプレート又は車両の別の部分に取り付けることができるステッカーに含めてもよい。有用情報又は確認情報をステッカーに含めることの1つの利点は、ステッカーのみを再発行することにより既存のライセンスプレートを更新することができ、したがって、ライセンスプレートの全てを再発行する費用及び面倒を避けることができることである。加えて、少なくとも幾つかの実施形態では、例えばステッカーが郵送中に盗まれて別のプレートに取り付けられた場合に作動しないように、確認情報はそれらのステッカーをプレート特定のステッカーにする。別の利点は、ライセンスプレートが確実に見た目に美しいものになり、既にいっぱいのライセンスプレートに更に詰め過ぎないように、ステッカーの寸法を決められることである。これは、ライセンスプレート番号を形成する大きい英数字、更新ステッカー、及び/又はプレートホルダー/カバー/フレームのためにライセンスプレートのほとんどが使われているために追加的なステッカーのための余裕がほとんどない米国のライセンスプレートでは特に有用である。加えて、ステッカーのバーコードの個々のピクセルは、バーコードを読み取る機械又は装置(例えばカメラ)による十分な解像を可能にする寸法でなくてはならない。典型的な市販のALPRシステムは約2000ピクセル/線を有するセンサを有するカメラを使用し、約15フィート(4.57m)の車線幅をカバーし、これは、言い換えれば、約133ピクセル/フィート(11ピクセル/インチ)(27.9ピクセル/cm)、又は約0.2インチ(約2個のカメラピクセル)(0.5cm)の検出可能な最低機能である。
【0034】
米国の典型的な登録ステッカーは、約1〜1.5インチ(6.45〜9.67cm
2)であり、すなわち、約35ビットを含むことができ、そのうち約16〜24ビットのデータはフレーミング又はタイミングデータではない(データの約12ビットがフレーミング及びタイミングに使用されると仮定すると、23ビットのデータをエラー検出及び/又は補正に使用することができる)。フレーミングビット、タイミングビット、エラー検出/訂正ビットのみを含む1インチ(2.54cm)のステッカーでは、プレート番号とバーコードの両方が正しく読み取られたとき、ライセンスプレートの読み取りの信頼水準は99.999%以上に改善され得る。現在の年更新ステッカーは、約1.5平方インチ(9.67cm
2)である。フレーミングビット、タイミングビット、エラー訂正/検出ビットのみを含む1.5インチ(9.67cm
2)のステッカーでは、プレート番号とバーコードの両方が正しく読み取られたとき、ライセンスプレートの読み取りの信頼水準は更に改善され得る。
【0035】
上述のライセンスプレート及び/又はステッカーは、ALPRシステムで使用することができる。そのようなALPRシステムの1つの例示的な実施は、上述のタイプのライセンスプレートと、第1のチャネルを通じて有用情報を読み取るための装置と、第2のチャネルを通じて確認情報を読み取ることができる機械と、有用情報を処理し、確認情報を使用して有用情報の読み取りの精度を検証する処理ユニットと、を含む。確認情報を読み取ることができるこの機械は、例えば、カメラであってよい。ALPRシステムで一般に使用される市販のカメラの一例は、Federal Signal Companyの事業部であるPIPS Technologyが販売しているSpike(商標)モデル383である。処理ユニットは、例えば、コンピュータ又はカメラ内のソフトウェアであってよい。当業者は、確認情報を検出、相関、及び処理するためにどのように処理ユニットのオペレーションのソフトウェアをプログラムするかを認識するであろう。本明細書に記載のデータ構造及びコードは、コンピュータシステムが使用するためのコード及び/又はデータを格納することができる任意のデバイス又は媒体であり得るコンピュータ読み取り可能な媒体に典型的に格納される。これには、ディスクドライブ、磁気テープ、CD(コンパクトディスク)、及びDVD(ディジタルバーサタイルディスク又はディジタルビデオディスク)のような磁気式及び光学式格納デバイスが含まれるが、これらに限定されない。
【0036】
端点による数値範囲全体の記載は、その範囲内に含まれる全ての数を含むものとする(すなわち、1〜10の範囲には、例えば、1、1.5、3.33、及び10が含まれる)。
【0037】
本出願では、以下の態様が提供される。
1. 反射シートが取り付けられたライセンスプレートブランクと、第1のチャネルを通じてアクセス可能な有用情報及び第2のチャネルを通じてアクセス可能な確認情報を含む機械読み取り可能な要素と、を備え、前記第2のチャネルが確認情報の伝達専用である、ライセンスプレート。
2. 前記確認情報が前記ライセンスプレートの少なくとも一部分に印刷されるか、接着されるか、又は隣接して配置される、態様1に記載のライセンスプレート。
3. 前記機械読み取り可能な要素がバーコードを含む、態様1又は2に記載のライセンスプレート。
4. 前記確認情報がバーコードの形態である、態様1〜3のいずれか一項に記載のライセンスプレート。
5. 前記バーコードが2Dバーコードである、態様3又は4に記載のライセンスプレート。
6. ライセンスプレート、車両、及びライセンスプレートフレームのうちの少なくとも1つに取り付けることが可能なステッカーであって、第1のチャネルを通じてアクセス可能な有用情報、及び第2のチャネルを通じてアクセス可能な確認情報を含む機械読み取り可能な要素を備え、前記第2のチャネルが確認情報の伝達専用である、ステッカー。
7. 前記確認情報がバーコードにコード化される、態様6に記載のステッカー。
8. 前記バーコードが2Dバーコードである、態様7に記載のステッカー。
9. ALPRシステムで使用するための、態様6に記載のステッカー。
10. 態様1〜5のいずれか一項に記載の前記ライセンスプレートと、第1のチャネルを通じて前記有用情報を読み取ることが可能な装置と、前記第1のチャネルと異なる第2のチャネルを通じて前記機械読み取り可能な情報を読み取ることが可能な機械と、前記有用情報を処理し、かつ前記確認情報を利用して、前記有用情報の読み取りの精度を検証する処理ユニットと、を備える、ALPRシステム。
11. 有用情報を含むライセンスプレートと、態様6〜9のいずれか一項に記載のステッカーと、第1のチャネルを通じて有用情報を読み取ることが可能な装置と、前記第1のチャネルと異なる第2のチャネルを通じて前記機械読み取り可能な情報を読み取ることが可能な機械と、前記有用情報を処理し、かつ前記確認情報を利用して、前記有用情報の読み取りの精度を検証する処理ユニットと、を備える、ALPRシステム。
12. 有用情報を含むライセンスプレートを提供することと、確認情報を提供することと、第1のチャネルを通じて前記有用情報を読み取ることと、前記第1のチャネルと異なる第2のチャネルを通じて前記確認情報を読み取り、前記確認情報を使用して前記有用情報の前記読み取りの精度を検証することと、を含む、ライセンスプレートの読み取り精度を向上する方法。
本発明の基本的な原理から逸脱することなく、上記の実施形態及び実施例の詳細に多くの変更を加えることができることは、当業者に明らかであろう。更に、記載の実施形態の様々な改良及び変更が本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに実施できることは、当業者には明らかであろう。複数の実施形態を例示し説明してきたが、同じ結果を達成するために計算された実体のない変更は、上記に開示した特定の実施形態及び工程で置き換えることができることは、関連技術の当業者には理解されるであろう。本願は、任意のそのような適合又はバリエーションをカバーすることを意図している。したがって、本出願の範囲は、以下の特許請求の範囲によってのみ定められるべきものである。