特許第6158791号(P6158791)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6158791証明データ管理装置及び証明データ管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6158791
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】証明データ管理装置及び証明データ管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20170626BHJP
【FI】
   G06Q30/02 320
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-511156(P2014-511156)
(86)(22)【出願日】2013年4月1日
(86)【国際出願番号】JP2013059847
(87)【国際公開番号】WO2013157377
(87)【国際公開日】20131024
【審査請求日】2014年10月7日
【審判番号】不服2016-8498(P2016-8498/J1)
【審判請求日】2016年6月8日
(31)【優先権主張番号】特願2012-95135(P2012-95135)
(32)【優先日】2012年4月18日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000166247
【氏名又は名称】古野電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】特許業務法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 勉
(72)【発明者】
【氏名】岸田 昌巳
(72)【発明者】
【氏名】巽 正司
【合議体】
【審判長】 佐藤 智康
【審判官】 宇多川 勉
【審判官】 石川 正二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−366819号公報
【文献】 特開2006−293511号公報
【文献】 特開2004−326303号公報
【文献】 国際公開第2010/068389号
【文献】 特開2003−85431号公報
【文献】 特開2011−253293号公報
【文献】 特開2009−9350号公報
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-50/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
証明データ発行用ネットワーク名を用いた無線通信によって接続された通信端末のMACアドレスを前記通信端末から取得する通信部と、
所定の事項を証明する証明データを発行するデータ処理部と、
前記MACアドレスと、当該MACアドレスに対して発行された前記証明データと、を対応付けて記憶部に記憶する制御を行う記憶制御部と、
前記記憶部に記憶された情報に基づいて、前記証明データが発行されたことを示す確認用データを、前記証明データ発行用ネットワーク名を用いた無線通信によって前記通信端末へ送信する制御を行う通信制御部と、
を備え、
前記通信部は、インターネットへ接続されておらず、前記証明データ発行用ネットワーク名を含むネットワーク名を用いた無線通信のみを行う、
ことを特徴とする証明データ管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の証明データ管理装置であって、
前記証明データ発行用ネットワーク名とは異なる管理用ネットワーク名を有しており、
前記管理用ネットワーク名にはセキュリティ機能が設定されていることを特徴とする証明データ管理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の証明データ管理装置であって、
前記データ処理部は、前記証明データの削除又は変更を行うことを特徴とする証明データ管理装置。
【請求項4】
請求項1からまでの何れか一項に記載の証明データ管理装置であって、
前記通信端末と接続したときに当該通信端末に初めに表示させる情報と、当該通信端末の前記MACアドレスが前記記憶部に記憶されているか否かに応じて変化させることを特徴とする証明データ管理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の証明データ管理装置であって、
前記通信端末と接続したときに当該通信端末に表示させる情報を、当該通信端末の前記MACアドレスと対応付けて記憶されている前記証明データに応じて変化させることを特徴とする証明データ管理装置。
【請求項6】
請求項1からまでの何れか一項に記載の証明データ管理装置であって、
前記記憶部が取外し可能であることを特徴とする証明データ管理装置。
【請求項7】
請求項1からまでの何れか一項に記載の証明データ管理装置であって、
前記通信端末が接続された場合にその旨を表示する表示部を備えることを特徴とする証明データ管理装置。
【請求項8】
請求項1からまでの何れか一項に記載の証明データ管理装置であって、
前記記憶制御部は、前記証明データと対応付けられている前記MACアドレスを変更する又は追加する制御を行うことを特徴とする証明データ管理装置。
【請求項9】
請求項1からまでの何れか一項に記載の証明データ管理装置であって、
前記証明データは、所定のサービスを受ける権利があることを証明するデータであることを特徴とする証明データ管理装置。
【請求項10】
請求項9に記載の証明データ管理装置であって、
前記データ処理部は、前記証明データにより所定のサービスを受けた場合、又は、前記証明データの有効期限が切れた場合に、前記記憶部にその旨を登録する又は当該証明データを記憶部から削除することを特徴とする証明データ管理装置。
【請求項11】
請求項1から10までの何れか一項に記載の証明データ管理装置であって、
前記証明データは、前記通信端末が前記通信部の通信範囲内にあることを証明するデータであることを特徴とする証明データ管理装置。
【請求項12】
証明データ発行用ネットワーク名を用いた無線通信によって接続された通信端末のMACアドレスを前記通信端末から取得する通信部と、
所定の事項を証明する証明データを発行するデータ処理部と、
前記MACアドレスと、当該MACアドレスに対して発行された前記証明データと、を対応付けて記憶部に記憶する制御を行う記憶制御部と、
を備え、
前記通信部は、インターネットへ接続されておらず、前記証明データ発行用ネットワーク名を含むネットワーク名を用いた無線通信のみを行う、
ことを特徴とする証明データ管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主要には、電子クーポン等の証明データを発行可能な無線アクセスポイント装置や無線LANルータ等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ショッピングセンターや展示会等に設置され、クーポンや資料を無線で提供する情報提供装置が知られている。この情報提供装置は、例えば無線LAN機能を備えており、客や来場者の通信端末(携帯電話、タブレット端末、及びノートパソコン等)と接続することができる。そして、客や来場者は、ブラウザや専用のソフト等を利用することで、情報提供装置からクーポン等をダウンロードすることができる。特許文献1及び2は、この種の情報提供装置を開示する。
【0003】
特許文献1の情報提供装置は、ブラウザを利用してアクセスしてきた通信端末に対して、ブラウザで指定されたURLに関係なく所定のページを表示させる機能(リダイレクト機能)を開示する。
【0004】
特許文献2の情報提供装置(クーポンサーバ及び無線基地局)は、通信端末の端末IDを利用する構成を開示する。具体的には、クーポンサーバは、端末IDと対応付けて、ユーザがどの店のクーポンを望んでいるか等の情報を記憶している。そして、無線基地局の近傍に携帯電話等を置いて店員が所定の処理を行うことで、クーポンサーバが決定した電子クーポンが当該携帯電話へ送信される。なお、送信される電子クーポンには、コピーや改竄を防止するために、電子証明等の暗号技術が利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−253293号公報
【特許文献2】特開2001−216449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献2の構成は上述のように暗号化が必要となるため、各機器の処理量が増加するとともに、暗号化のシステムの導入コスト及び運用コストが掛かってしまう。また、この暗号化のシステムを導入する場合、携帯電話に専用のアプリケーションをインストールする必要性が生じる。そのため、特許文献2の構成は、コストの増加及びユーザの手間が大きいという課題が存在する。
【0007】
また、特許文献2の構成は、電子クーポンの情報が携帯電話側にあるため、電子クーポンの発行後に利用条件等を変更することが困難であった。具体的には、来客数や天候等に応じて電子クーポンの内容を変更する場合、その旨を告知して再び電子クーポンをダウンロードさせる必要があり、柔軟な対応ができなかった。
【0008】
また、一般的には携帯電話を使って端末の識別を行う場合、個体識別情報(UDID等)が利用されることがある。しかし、個体識別情報は、例えば料金の決済の際に利用されることもあり、慎重な取扱いが要求される。そのため、例えば個体識別情報の送信の際にはユーザの同意が必要な場合があり、この場合は電子クーポンをスムーズに利用することができなくなる。
【0009】
なお、上記の課題は、ショッピングセンター等で利用される電子クーポンのみならず、所定の事項を証明する証明データを扱う際に共通して生じる課題である。
【0010】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、コピーや改竄を防止しつつ管理者側で容易に編集可能な証明データを発行する証明データ管理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0011】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0012】
本発明の第1の観点によれば、以下の構成の証明データ管理装置が提供される。即ち、この証明データ管理装置は、通信部と、データ処理部と、記憶制御部と、通知制御部と、を備える。前記通信部は、通信端末と無線通信により直接的に接続可能であり、当該無線通信で用いるインタフェースIDを前記通信端末から取得する。前記データ処理部は、所定の事項を証明する証明データを発行する。前記記憶制御部は、前記インタフェースIDと、当該インタフェースIDに対して発行された前記証明データと、を対応付けて記憶部に記憶する制御を行う。前記通知制御部は、前記記憶部に記憶された情報に基づいて、前記証明データが発行されたことを示す確認用データを前記通信端末へ送信する制御を行う。
【0013】
これにより、証明データではなく確認用データを通信端末へ送信する構成であるため、通信端末の利用者側ではなく管理者側で証明データを管理することができる。従って、改竄やコピーへの対応コストを低減させることができる。また、インタフェースIDは、端末の固体識別番号(UDID等)と比較して漏洩時の影響が小さいため、情報の取扱性を向上させることができる。
【0014】
前記の証明データ管理装置においては、前記データ処理部は、前記証明データの削除又は変更を行うことが好ましい。
【0015】
このように本発明では証明データを通信端末ではなく管理側の機器(記憶部)に記憶するため、証明データを容易に編集することができる。従って、状況等に応じた柔軟な対応が可能となる。
【0016】
前記の証明データ管理装置においては、前記通信端末と接続したときに当該通信端末に初めに表示させる情報を、当該通信端末の前記インタフェースIDが前記記憶部に記憶されているか否かに応じて変化させることが好ましい。
【0017】
これにより、初めて接続してきた通信端末にはサービスの利用方法等を表示させる一方で、過去に接続してきたことがある通信端末にはサービスを提供する画面を表示することができる。従って、ユーザフレンドリーな構成が実現できる。
【0018】
前記の証明データ管理装置においては、前記通信端末と接続したときに当該通信端末に表示させる情報を、当該通信端末の前記インタフェースIDと対応付けて記憶されている前記証明データに応じて変化させることが好ましい。
【0019】
これにより、発行済みの証明データの一覧を表示させたり、有効期限が近い証明データがある場合にその旨を表示させたりすることができる。従って、一層柔軟で利便性の高い構成が実現できる。
【0020】
前記の証明データ管理装置においては、前記記憶部が取外し可能であることが好ましい。
【0021】
これにより、時間に応じて記憶部を切り替えて使用する場合等に容易に対応することができる。
【0022】
前記の証明データ管理装置においては、前記通信端末が接続された場合にその旨を表示する表示部を備えることが好ましい。
【0023】
これにより、ユーザは、通信端末が証明データ管理装置と接続されたことを視覚的に把握することができる。
【0024】
前記の証明データ管理装置においては、前記記憶制御部は、前記証明データと対応付けられている前記インタフェースIDを変更する又は追加する制御を行うことが好ましい。
【0025】
これにより、インタフェースIDが変更可能であるため、通信機器の買換え時等に証明データを引き継ぐことができる。また、インタフェースIDが追加可能であるため、例えば複数人で証明データを共有することができる。
【0026】
前記の証明データ管理装置においては、接続した前記通信端末に前記証明データを発行するためのネットワーク名と、自機を管理するためのネットワーク名と、を有していることが好ましい。
【0027】
これにより、無線通信で証明データ管理装置の設定等を変更することができる。従って、例えば証明データの発行を一時的に中止する等の処理を容易に行うことができる。
【0028】
前記の証明データ管理装置においては、前記証明データは、所定のサービスを受ける権利があることを証明するデータであることが好ましい。
【0029】
これにより、例えばショッピングセンターの電子クーポン等として本発明を利用することができる。
【0030】
前記の証明データ管理装置においては、前記データ処理部は、前記証明データにより所定のサービスを受けた場合、又は、前記証明データの有効期限が切れた場合に、前記記憶部にその旨を登録する又は当該証明データを記憶部から削除することが好ましい。
【0031】
これにより、記憶部側(管理者側)において、自動で電子クーポン等を消し込む構成が実現できる。
【0032】
前記の証明データ管理装置においては、前記証明データは、前記通信端末が前記通信部の通信範囲内にあることを証明するデータであることが好ましい。
【0033】
これにより、例えば出席の確認やスタンプラリー等に本発明を適用することができる。
【0034】
本発明の第2の観点によれば、以下の構成の証明データ管理方法が提供される。即ち、この証明データ管理方法は、取得工程と、発行工程と、記憶工程と、通知工程と、を含む。前記取得工程では、通信端末と無線通信により直接的に接続を行い、当該無線通信で用いるインタフェースIDを前記通信端末から取得する。前記発行工程では、所定の事項を証明する証明データを発行する。前記記憶工程では、前記インタフェースIDと、当該インタフェースIDに対して発行された前記証明データと、を対応付けて記憶部に記憶する。前記通知工程では、前記記憶部に記憶された情報に基づいて、前記証明データが発行されたことを示す確認用データを前記通信端末へ送信する。
【0035】
これにより、通信端末の利用者側ではなく管理者側で証明データを管理することができる。従って、改竄やコピーへの対応コストを低減させることができる。また、インタフェースIDは、端末の固体識別番号(UDID等)と比較して漏洩時の影響が小さいため、情報の取扱性を向上させることができる。
【0036】
本発明の第3の観点によれば、以下の構成の証明データ管理装置が提供される。即ち、この証明データ管理装置は、通信部と、データ処理部と、記憶制御部と、を備える。前記通信部は、通信端末と無線通信により直接的に接続可能であり、当該無線通信で用いるインタフェースIDを前記通信端末から取得する。前記データ処理部は、所定の事項を証明する証明データを発行する。前記記憶制御部は、前記インタフェースIDと、当該インタフェースIDに対して発行された前記証明データと、を対応付けて記憶部に記憶する制御を行う。
【0037】
これにより、通信端末の利用者側ではなく管理者側で証明データを管理することができる。従って、改竄やコピーへの対応コストを低減させることができる。また、インタフェースIDは、端末の固体識別番号(UDID等)と比較して漏洩時の影響が小さいため、情報の取扱性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明の一実施形態に係るアクセスポイント装置の全体的な構成を示すブロック図。
図2】フラッシュメモリの記憶内容を説明する図。
図3】電子クーポンの取得及び使用の流れを説明するシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0039】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るアクセスポイント装置10の全体的な構成を示すブロック図である。図2は、フラッシュメモリの記憶内容を説明する図である。
【0040】
初めに、アクセスポイント装置10の概要について説明する。本実施形態のアクセスポイント装置10は、ショッピングセンターに設置されている。アクセスポイント装置10は、客が持つ通信端末40(具体的にはスマートフォンやタブレット端末等)と無線LANによる接続が可能であり、接続した通信端末40に対して電子クーポンを発行することができる。
【0041】
客は、この電子クーポンを使用することで、ショッピングセンター内の店舗において所定のサービスや割引等を受けることができる。なお、本実施形態のアクセスポイント装置10は、客にインターネット接続を提供するためのものではないため、インターネットに接続されていない。
【0042】
以下、アクセスポイント装置10の構成について具体的に説明する。アクセスポイント装置10は、図1に示すように、通信部11と、制御部12と、表示部13と、USB端子14と、を備える。また、アクセスポイント装置10には、前述のように複数の通信端末40が接続される。
【0043】
通信部11は、無線LANの親機としての機能を発揮することができる。即ち、アクセスポイント装置10には、2つのSSIDが設定されている。一方のSSIDは、客が使用するためのものであり、ショッピングセンター内の各所に表示されている。客は通信端末40を操作して、ネットワークの設定画面等を表示させて、アクセスポイント装置10のSSIDを選択することで、通信端末40をアクセスポイント装置10に接続することができる。また、通信部11は通信端末40との接続時に、当該通信端末40のMACアドレス(インタフェースID)を取得する。本実施形態では、このMACアドレスに基づいて客が判別される。
【0044】
また、もう一方のSSIDは、ショッピングセンターの管理者(運営者)が接続してアクセスポイント装置10の管理を行うためのものである。従って、このSSIDによる接続は、パスワード、ステルス、MACアドレスフィルタリング等のセキュリティ機能が設定されている。このSSIDでアクセスポイント装置10に接続することにより、管理者は、客の情報や電子クーポンの設定等を変更することができる。
【0045】
制御部12は、アクセスポイント装置10の様々な制御を行うものであり、CPU、RAM、及びROM等から構成されている。制御部12は、具体的には、データ処理部21と、記憶制御部22と、通知制御部23と、を備える。
【0046】
データ処理部21は、客の指示等に基づいて、当該客に対して電子クーポンを発行する。記憶制御部22は、データ処理部21が発行した電子クーポンをMACアドレスと対応付けて後述のフラッシュメモリ30に記憶する制御を行う。通知制御部23は、電子クーポンが発行されたことを示すデータ(発行済みの電子クーポンの一覧や店員に見せるための電子クーポン画像)を通信端末40へ送信する。
【0047】
表示部13は、アクセスポイント装置10の表面に配置されたディスプレイである。表示部13には様々な情報を表示することができる。例えば、通信端末40からの接続が成功したときにその旨を表示したり、現時点で提供可能な電子クーポンの名称を表示したり、アクセスポイント装置10のSSIDを表示したりすることができる。なお、表示部13は、ディスプレイに限られず、例えば複数のランプで構成され、通信端末40からの接続が成功したときに所定の態様で点灯する構成であっても良い。
【0048】
USB端子14は、USB端子を有するフラッシュメモリ30を取付可能に構成されている。また、USB端子14に代えて、メモリカード等が挿入可能なスロットやDVD等のディスクが読取可能なドライブを採用することもできる。また、ハードディスクやSSD(ソリッドステートドライブ)であっても良い。
【0049】
フラッシュメモリ30は、客に関する情報であるID関連情報と、電子クーポンに関する情報であるクーポン関連情報を記憶している。なお、記憶する情報の分け方は一例であり、これらの情報が一体的に管理される構成であっても良い。
【0050】
図2(a)に示すように、ID関連情報は、MACアドレスと、当該MACアドレスの通信端末40に対して発行可能な電子クーポンと、既に発行した電子クーポンと、使用済みの電子クーポンと、期限切れの電子クーポンと、クラスと、を対応付けた情報である。「クラス」とは、客のランクを示し、例えば有料会員か否か、使用した電子クーポンが所定枚数以上か否か、等によって定められている。本実施形態では、このクラスによって発行可能な電子クーポンを異ならせている。
【0051】
図2(b)に示すように、クーポン関連情報は、電子クーポンのIDと、有効期限と、現在の発行枚数及び発行枚数の上限と、使用された回数と、発行可能なクラスと、を対応付けて記憶している。従って、例えばクーポンIDがC11の電子クーポンは、有効期限が2012年4月16日で、発行枚数の上限が70枚で現在23枚発行されており、現時点で12枚使用されており、クラスがAであれば発行可能であることが分かる。
【0052】
ID関連情報とクーポン関連情報は一例であり、様々な項目を追加及び変更することができる。例えば、電子クーポンが1回使っただけで回収されず、複数回使用可能な場合は、クーポン関連情報に「使用可能回数」等の項目を設けることができる。また、複数のMACアドレスと電子クーポンの情報とを対応付けて、複数人(又は複数の端末)で同一の電子クーポンが使用可能な構成であっても良い。
【0053】
ショッピングセンターの管理者は、前述の管理用のSSIDを利用することで、これらの情報の削除、追加、書換え等を行うことができる。従って、管理者は、当日の来客数等に応じて電子クーポンの上限の発行枚数を設定したり、一定の時間だけ割引率を変更したりすることができる。また、客が通信端末40を買い換えたときは、MACアドレスを書き換えることで、電子クーポンの情報を引き継ぐこともできる。これらは、電子クーポンの本体が管理者側のフラッシュメモリ30に記憶されていることから実現できる機能であり、従来のように電子クーポンの本体を携帯電話に送信してしまう構成では容易に実現できない。
【0054】
なお、本実施形態では、フラッシュメモリ30は容易に取外し可能なため、フラッシュメモリ30を抜いてPC等に差し、上記の情報を変更やバックアップを作成することも容易である。
【0055】
次に、客がアクセスポイント装置10から電子クーポンを取得して使用する際の流れについて説明する。図3は、電子クーポンを利用する際の流れを説明するシーケンス図である。
【0056】
アクセスポイント装置10のSSIDは、ショッピングセンター内の各所に表示されている。客は、例えば通信端末40のネットワーク設定等の画面を表示して、接続先として上記SSIDを選択する。これにより、通信端末40は、アクセスポイント装置10へ接続を要求する(シーケンス番号S1)。
【0057】
アクセスポイント装置10は、この要求を受け付けるとともに通信端末40のMACアドレス(インタフェースID)を取得する(シーケンス番号S2)。上述のように本実施形態では、このMACアドレスを通信端末40のIDとして用いる。このMACアドレスは、通信端末40の固体識別番号(UDID等)と比較して漏洩時の影響が小さいため、情報の取扱性を向上させることができる。特に、本実施形態ではアクセスポイント装置10がインターネットに接続されていないため、インターネットを介した不正アクセスの危険性がないため、漏洩自体も起こりにくい。
【0058】
そして、通信端末40とアクセスポイント装置10は接続処理を行う。次に、客の操作により、通信端末40はWebブラウザを起動する(シーケンス番号S3)。通信端末40は、客によって指示されたURL(任意のURLで良い)をアクセスポイント装置10へ送信する(シーケンス番号S4)。
【0059】
アクセスポイント装置10は、リダイレクト機能を有しており、客によって指示されたURLによらないで、自身のコンテンツを通信端末40に表示させることができる。このとき、アクセスポイント装置10は、ID関連情報に基づいて、通信端末40に表示させる情報を異ならせる。
【0060】
具体的には、アクセスポイント装置10は、シーケンス番号S2で取得したMACアドレスがID関連情報に登録されているか否かを判断する(シーケンス番号S5)。アクセスポイント装置10は、MACアドレスがID関連情報に登録されていない場合、例えば利用案内等を通信端末40に表示する。一方、アクセスポイント装置10は、MACアドレスがID関連情報に登録されていた場合、発行可能なクラス等に基づいて、この通信端末40に発行可能な電子クーポンの一覧を通知する(シーケンス番号S6)。
【0061】
通信端末40は、この通知を受けて、発行可能な電子クーポンの一覧を通信端末40のディスプレイに表示する(シーケンス番号S7)。なお、既に発行済みの電子クーポンがある場合は、発行可能な電子クーポンに代えて又は加えて、発行済みの電子クーポンを表示する構成であっても良い。
【0062】
通信端末40に表示された「発行可能な電子クーポンの一覧」には、電子クーポンの内容及び有効期限等の説明が記載されている。客は、この説明に基づいて発行を希望する電子クーポンを選択する。これにより、通信端末40は、電子クーポンの発行をアクセスポイント装置10に要求する(シーケンス番号S8)。
【0063】
アクセスポイント装置10は、この要求を受けて電子クーポンを発行し、その旨をID関連情報に登録する(シーケンス番号S9)。電子クーポンの発行は、以上のように行われる。
【0064】
次に、発行した電子クーポンを使用するときの流れについて説明する。
【0065】
通信端末40は、客からの指示に基づいて、発行済みの電子クーポンの一覧をアクセスポイント装置10へ要求する(シーケンス番号S10)。アクセスポイント装置10は、この要求を受けてID関連情報にアクセスして、該当する電子クーポンを読み出す(シーケンス番号S11)。そして、発行済みの電子クーポンの一覧を通信端末40へ通知する(シーケンス番号S12)。そして、通信端末40は、発行済みの電子クーポンの一覧をディスプレイに表示する(シーケンス番号S13)。
【0066】
客は、この電子クーポンの一覧から使用する電子クーポンを選択する。これにより、通信端末40は、使用する電子クーポンをアクセスポイント装置10へ通知する(シーケンス番号S14)。
【0067】
アクセスポイント装置10は、この通知を受けて、通知された電子クーポンの画像を通信端末40へ送信する(シーケンス番号S15)。この画像は、電子クーポンそのものではなく、電子クーポンが発行されたことを示す画像(確認データ)である。店員はこの画像を見て割引処理等を行う。
【0068】
なお、この画像がコピーされて使用されるのを防ぐために、例えば日や時刻に応じて画像を変更したり、画像を保存しただけでは保存されない情報(有効期限をカウントダウンする表示等)を付加したりすることができる。本実施形態では、電子クーポンの画像は管理者側に保存されるため、これらの処理を容易に行うことができる。
【0069】
そして、アクセスポイント装置10は、使用した電子クーポンをID関連情報の「発行済みの電子クーポン」から削除するとともに、「使用済みの電子クーポン」に追加する(シーケンス番号S16)。以上のようにして、電子クーポンの発行及び削除が行われる。
【0070】
また、アクセスポイント装置10は、定期的に電子クーポンの有効期限をチェックする。そして、アクセスポイント装置10は、有効期限が経過した電子クーポンをID関連情報の「期限切れの電子クーポン」に追加する。
【0071】
以上に説明したように、アクセスポイント装置10は、通信部11と、データ処理部21と、記憶制御部22と、通知制御部23と、を備える。通信部11は、通信端末40と無線通信により直接的に接続可能であり、当該無線通信で用いるインタフェースID(MACアドレス)を通信端末40から取得する。データ処理部21は、所定の事項を証明する証明データ(電子クーポン)を発行する。記憶制御部22は、インタフェースIDと、当該インタフェースIDに対して発行された証明データと、を対応付けてフラッシュメモリ30に記憶する制御を行う。通知制御部23は、フラッシュメモリ30に記憶された情報に基づいて、証明データが発行されたことを示す確認用データ(電子クーポンの画像)を通信端末40へ送信する制御を行う。
【0072】
これにより、証明データではなく確認用データを通信端末40へ送信する構成であるため、通信端末40の利用者側ではなく管理者側で証明データを管理することができる。従って、改竄やコピーへの対応コストを低減させることができる。また、インタフェースIDは、端末の固体識別番号(UDID等)と比較して漏洩時の影響が小さいため、情報の取扱性を向上させることができる。
【0073】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0074】
上記では、電子クーポンに本発明を適用する例を説明したが、これに代えて、例えばスタンプラリー、出席の確認、商品の予約の確認、テーマパーク等での並び順の管理等に適用することができる。例えば、スタンプラリーや出席の確認においては、アクセスポイント装置10の近傍にいたことを証明する証明データが発行され、証明されたことを示す確認データが利用者へ通知される。
【0075】
アクセスポイント装置10及び通信端末40を接続する方法(規格)は、無線LANに限られない。
【0076】
上記では、証明データ管理装置を適用する例としてアクセスポイント装置を挙げたが、同等の機能を有する構成であれば、サーバやタブレット端末にも本発明を適用することができる。
【0077】
上記の構成に代えて、証明データ管理装置の一部が無線又は有線によって離れた位置に配置される構成であっても良い。例えば、アクセスポイント装置10から離れた位置に制御部12や記憶部を配置することができる。本願では、このように物理的に離れた位置に配置された構成であっても「証明データ管理装置」に該当するものとする。
【符号の説明】
【0078】
10 アクセスポイント装置(証明データ管理装置)
11 通信部
12 制御部
13 表示部
14 USB端子
30 フラッシュメモリ(記憶部)
40 通信端末
図1
図2
図3