【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、第一の基材上に配置された複数のナノ構造の集合を含む上記第一の基材を含む装置の製造方法であって、上記ナノ構造の集合のそれぞれは、個々に電気的にアドレス指定可能であり、上記方法は:第一の表面を有する基材を提供する工程であって、上記基材は、上記基材の上記第一の表面上に配置され、上記絶縁層と上記基材との間の界面を形成している絶縁性材料を含む絶縁層を有する、工程と;第一の基材上に複数の積層体を提供する工程であって、上記積層体は互いに間隔を開けて離れており、上記積層体のそれぞれは、第一の導電性材料を含む第一の導電層と、上記第一の材料とは異なる第二の導電性材料を含む第二の導電層とを含んでおり、上記第二の導電層は、ナノ構造の成長を触媒するために上記第一の導電層上に配置されている、工程と;上記第一の基材上に配置された上記複数の積層体を有する上記第一の基材を、上記第二の導電性材料の上にナノ構造を形成可能な還元性雰囲気中で、加熱する工程と;上記第一の基材上に配置された上記複数の積層体を有する上記第一の基材を、上記第二の層の上にナノ構造が形成されるような雰囲気中で、加熱する工程と;を含んでおり、上記加熱する工程の間に、上記第一の導電性材料が上記絶縁性材料と相互作用して、上記積層体のそれぞれの下の上記絶縁層内に導電性部分を形成するように、上記絶縁性材料及び上記第一の導電性材料が選択され、上記導電性部分は、上記第一の導電性材料、及び上記絶縁性材料、並びに/又はこれらの反応付加体の混合物を含む、方法が提供される。
【0011】
本発明は、それぞれ第一の材料及び第二の材料を含む、少なくとも第一の層及び第二の層の積層体であって、第二の層は絶縁層上に配置された第一の層の上に配置されている、積層体を、絶縁層上に提供することによって、絶縁層内に、個々のナノ構造の集合のそれぞれを電気的に接続する導電性部分を形成する加熱サイクルと同じ間に、絶縁性材料を含む絶縁層を有する基材上にナノ構造の集合が成長しうることを実現したことに基づいている。第二の材料は、高温でナノ構造の成長を触媒するように選択し、第一の材料及び絶縁性材料は、第一の材料が導電性であって、加熱すると、絶縁性材料に混合若しくは拡散して、及び/又は絶縁性材料と反応して、結果として導電性及び/又は半導性の混合物となりうるように選択する。このように、基材の上に配置されたそのような積層体を有する基材を加熱することによって、複数のナノ構造の集合を製造してもよく、ナノ構造の集合の下にある絶縁層の部分は、導電性材料及び/又は半導性材料を含む。これによって、ナノ構造の集合のそれぞれが、個々に電気的に接続可能であってよい。
【0012】
用語「ナノ構造」は、本文脈において、ナノメートルの範囲の直径又は幅を有する任意の構造として理解すべきである。そのようなナノ構造の例としては、限定されないが、カーボンナノチューブ、ZnOなどの様々な材料のナノワイヤ及びナノロッド、並びにカーボンナノファイバーが挙げられる。
【0013】
用語「ナノ構造の集合」は、本発明の文脈において、基材の部分の上に、互いの近傍(例えばマイクロメートル〜サブマイクロメートル)に配置された複数のナノ構造であって、当該部分はナノ構造を含む基材の他の部分から分離しており、当該部分はナノ構造の集合の下にある導電性部分を含んでいる、複数のナノ構造として理解すべきである。ナノ構造の集合としては、束状に配置された複数のナノ構造を挙げることができる。ナノ構造の集合は、ナノメートルからマイクロメートルの範囲の長さ及び幅を有する基材の一部に対応してもよい。更に、ナノ構造の集合が個々にアドレス指定される場合、典型的に、そのような集合に含まれる全てのナノ構造がアドレス指定される。
【0014】
本発明の実施形態において、第一の材料は、導電性であってもよく、半導性であってもよい。これによって、第一の基材内への第一の材料の拡散を通して、導電性又は半導性の導電性部分を得てもよい。
【0015】
本発明の実施形態において、第一の層の第一の材料、及び絶縁層の絶縁性材料は、これらの間の化学反応によって導電性材料又は半導性材料が得られるように、選択してもよい。
【0016】
基材の絶縁層上に配置された積層体を有する基材を加熱することで、第一の積層体層の第一の材料の、下にある第一の基材の絶縁性材料の部分への拡散又は混合を引き起こしてもよく、その結果、第一の材料の電気特性によって、これらの部分を導電性又は半導性にしてもよい。更に又は代替的に、基材の絶縁層上に配置された第一の材料を有する基材を加熱することで、第一の材料と、下にある第一の基材の絶縁性材料の部分との反応を引き起こし、導電性及び/又は半導性であることがある一以上の反応生成物を得てもよく、この場合、第一の材料は、必ずしも、導電性又は半導性の部分を得るために導電性又は半導性である必要はない。
【0017】
本発明の実施形態において、基材上に配置された積層体を有する第一の基材を100℃〜1000℃の好ましい温度範囲内に加熱することによって、第一の基材内への第一の材料の拡散、及び/又は第一の材料と絶縁性材料との間の反応が得られるように、第一の材料及び絶縁性材料を選択する。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、温度範囲は、好ましくは500℃〜1000℃、より好ましくは700℃〜900℃、及び最も好ましくは750℃〜800℃である。
【0019】
本発明の実施形態において、第一の材料と絶縁性材料との間の熱反応は、例えば、第一の材料が酸化され、絶縁性材料が還元される、酸化還元反応であってよい。したがって、得られる反応混合物は、酸化した第一の材料、及び酸化されていない第一の材料、並びに還元された絶縁性材料、及び還元されていない絶縁性材料を含んでもよい。
【0020】
本発明の実施形態において、第一の材料は、金属、及び/又はその酸化物若しくは窒化物を含んでもよい。例えば、第一の材料は、アルミニウムでもよい。
【0021】
本発明の実施形態において、絶縁性材料は、メタロイド(又は半金属)の酸化物、例えば二酸化ケイ素でもよい。
【0022】
第一の材料及び/又は絶縁性材料の選択によって、導電性部分の電気特性を制御してもよい。したがって、加熱すると導電性及び/又は半導性の混合物が得られるように、第一の材料を、絶縁性材料に対して有利に選択してもよく、その逆もまた同様である。
【0023】
例示的な実施形態において、第一の材料はアルミニウム(Al)であってよく、絶縁性材料は二酸化ケイ素(SiO
2)であってよく、この場合、これらの間の対応する反応混合物は、Al、Al
xO
y、SiO
2、Al
x(SiO
2)
y、及びSiを含んでもよく、導電性(すなわちAl)、及び半導性(すなわちSi)の両方の電気特性を有する反応混合物が得られることがある。同様に、金(Au)を用いて、絶縁性材料内に導電性部分を形成してもよい。
【0024】
更に、導電性部分の所望の電気特性を得るために、当然に、加熱温度及び/又は定温時間を変化させてもよい。例えば、温度を変化させることによって、反応及び/又は拡散の速度を制御してもよく、反応時間を変化させることによって、反応及び/又は拡散の程度を制御してもよい。
【0025】
第一の基材内の導電性部分のそれぞれの深さは、絶縁層内への第一の材料の拡散若しくは混合に、及び/又は第一の材料と絶縁層の絶縁性材料との反応に起因する、絶縁層内への第一の材料の浸透の深さに関係しており、従って、例えば、第一の材料を含む第一の層の厚み及び/若しくは絶縁層の厚みを変化させること、基材を加熱する温度を変化させること、又は加熱の時間を変化させることによって、制御することができる。
【0026】
これによって、導電性部分の広がり及び構造を制御して、所定の所望の用途に合わせてもよい。
【0027】
本発明の実施形態において、導電性部分は絶縁層を通って形成された経路であってよく、それによって、ナノ構造の集合のそれぞれが、電気的接続接合のそれぞれによって電気的に接続可能となるように、絶縁層と下にある基材との間の界面に、電気的接続接合を形成してもよい。
【0028】
代替として、本発明の実施形態において、導電性部分が絶縁層を貫通しておらず、したがって導電性部分のそれぞれが基材から絶縁されており、これによって、それぞれの導電性部分への、容量性及び/又は誘導性の電気的接続に相当する電気的接続接合が得られることがあるような、第一の基材内の導電性部分の深さとなるように、導電性部分の構造を制御してもよい。
【0029】
ナノ構造の成長を触媒する第二の層の第二の材料は、有利に、導電性であってよく、半導性であってもよい。そのような触媒材料の例としては、限定されないが、Fe、Co、及びNiが挙げられる。
【0030】
本発明の実施形態において、積層体は、第二の層と第一の層との間に配置された中間層を含んでもよく、中間層は導電性材料及び/又は半導性材料を含んでもよく、それぞれの中間層は、例えば基材の第一の表面上の接続構造体を通して、電源へと電気的に接続可能であってよく、それによって、ナノ構造の集合のそれぞれに、第二の個々にアドレス指定可能な電気的接続を提供してもよい。
【0031】
例えば、中間層の導電性材料及び/又は半導性材料は、例えば、モリブデン及び/若しくはチタン、又はモリブデン及び/若しくはチタンの独立層、又は任意の他の適切な金属、メタロイド、若しくはその酸化物、又は例えばPt、Ti、Au、Mo、Pd、及びWの合金を含んでもよい。
【0032】
本発明の実施形態において、方法は、本発明の方法によって形成された導電性部分の一つひとつによって、ナノ構造の集合のそれぞれに、第一の電気的接続を提供するよう構成された、絶縁層の下にある接続構造体を提供する工程を更に含んでもよい。接続構造体は、電源又は検出装置へと接続可能であってよく、それによって、絶縁層の導電性部分を、電源又は検出装置へと電気的に接続可能にしてもよい。
【0033】
本発明の実施形態において、接続構造体を含む第二の基材を提供する工程によって、接続構造体を提供してもよい。接続構造体は、例えば、導電性材料及び/又は半導性材料を含む複数のウェルを含んでもよい。
【0034】
第二の基材は、上記の加熱工程の前に提供してもよい点に留意されたい。
【0035】
本発明の第二の側面によれば、第一の表面と、絶縁性材料を含み、基材の第一の表面上に配置された絶縁層とを有する基材と;絶縁層内の、絶縁性材料と導電性材料との間の反応によって形成した複数の導電性部分であって、互いに間隔を開けて離れている複数の導電性部分と;導電性部分のそれぞれが、ナノ構造の集合の一つひとつと電気的に接続するように、導電性部分のそれぞれの上に配置された、ナノ構造の集合と;絶縁層の下にある接続構造体であって、電源又は検出装置へと接続可能であり、導電性部分のそれぞれに第一の電気的接続を提供するよう構成されており、これによって、ナノ構造の集合のそれぞれを個々にアドレス指定可能にしている、接続構造体と、を含む、個々にアドレス指定可能なナノ構造の集合を有するものによって、上述の目的及び他の目的が達成される。
【0036】
電源は、装置の所望の用途に応じて、例えば、従来のAC電源又はDC電源、電池、コンデンサ系であってよく、検出装置は、例えば、マルチメーター、又は均等物であってよい。
【0037】
本発明の実施形態において、装置は、第一の基材の下にある第二の基材であって、上述の接続構造体を含む、第二の基材を含んでもよい。
【0038】
本発明の実施形態において、接続構造体は、それぞれ導電性材料及び/又は半導性材料を含み、電源へと電気的に接続可能である複数のウェルを含んでもよく、ウェルのそれぞれは、導電性部分のそれぞれに第一の電気的接続を提供する。
【0039】
本発明の実施形態において、導電性部分は、絶縁層を通って伸びた経路であってよく、これによって、電気的接続は、導電性部分と接続構造体との間の、直接の電気的接続であってもよい。
【0040】
本発明の実施形態において、導電性部分が基材から分離するように、導電性部分は、所望の深さまで絶縁層内に延在してもよく、これによって、第二の基材の接続構造体と、導電性部分のそれぞれとの間の電気的接続は、容量性又は誘導性の電気的接続に相当してもよい。
【0041】
上記に開示したようなナノ構造の集合の、個々のアドレス指定可能性を前提として、本発明による装置の多くの用途、例えばその中でも、センサ、静電アクチュエータ、太陽電池、ヒートシンク、ナノアンテナ、フィールドエミッションによる電子エミッタ、超コンデンサ、電子放出装置、高周波アクチュエータ、回折光学素子、及びピンチウェーブ(pinch-wave)ピンセットが可能である。
【0042】
本発明の実施形態において、装置は、ナノ構造の集合と導電性部分との間に、導電層及び/又は半導性層を含んで、ナノ構造の集合のそれぞれに、第二の個々にアドレス指定可能な電気的接続を提供してもよい。
【0043】
第一及び第二の個々にアドレス指定可能な電気的接続を有することは、電子ビームリソグラフィツールのプログラム可能アレイ、又は調整可能な送信機、若しくはプログラム可能な補償光学装置などの用途にとって、有利であることがある。
【0044】
本発明の一実施形態によれば、装置は、導電性部分から直流的に絶縁しており、導電性部分に容量接続を提供する、導電性及び/又は半導性の、第二の中間層を含んでもよい。絶縁層内に、導電性部分から直流的に絶縁した更なる接点を形成することによって、容量結合を通して、流れる電荷キャリアを制御してもよい。これによって、トランジスタのような3端子装置を形成してもよい。上部の接点と導電性部分との間の界面を制御するために、そのような接点を形成する第二の導電層を、絶縁層の表面のいずれかに配置してもよい。代替として、接点を絶縁層内に一体化して、導電性部分の容量制御を提供してもよい。例えば、SOI(絶縁体上のシリコン(silicon on insulator))ウェハー上に装置を置くこと、及び残りの装置を処理する前にSi層上に接点を形成することによって、絶縁層内の接点を形成してもよい。
【0045】
本発明の実施形態において、ナノ構造は、基材に対して実質的に垂直に整列する。ナノ構造は、ナノメートルからセンチメートルの範囲の長さを有してもよい。しかしながら、ナノ構造は、典型的に、ナノメートルからマイクロメートルの範囲の長さを有してもよい。ナノ構造の所望の長さは、装置の所望の用途によって当然に変化し、ナノ構造の長さは、装置の所望の用途に合うものへと有利に調節してもよい。
【0046】
本発明の実施形態において、ナノ構造は、束状に配置されたマルチウォールカーボンナノチューブである。