特許第6158798号(P6158798)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6158798
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】ナノ構造を含む装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01J 9/02 20060101AFI20170626BHJP
   H01J 1/304 20060101ALI20170626BHJP
   B82Y 40/00 20110101ALI20170626BHJP
【FI】
   H01J9/02 B
   H01J1/304
   B82Y40/00
【請求項の数】16
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-517742(P2014-517742)
(86)(22)【出願日】2012年6月29日
(65)【公表番号】特表2014-523616(P2014-523616A)
(43)【公表日】2014年9月11日
(86)【国際出願番号】EP2012062744
(87)【国際公開番号】WO2013001076
(87)【国際公開日】20130103
【審査請求日】2015年6月26日
(31)【優先権主張番号】11171883.9
(32)【優先日】2011年6月29日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】61/502,341
(32)【優先日】2011年6月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513324974
【氏名又は名称】ワカス カリッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100191444
【弁理士】
【氏名又は名称】明石 尚久
(72)【発明者】
【氏名】ワカス カリッド
【審査官】 杉田 翠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−162600(JP,A)
【文献】 特表2008−538854(JP,A)
【文献】 特開平05−067426(JP,A)
【文献】 特開昭63−216233(JP,A)
【文献】 特開2005−324325(JP,A)
【文献】 特開2006−255817(JP,A)
【文献】 特表2011−517366(JP,A)
【文献】 特表2008−546146(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0169464(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 1/30
9/02
B82Y40/00
C01B31/00−31/36
H01L21/28−21/288
21/329
21/44−21/445
29/40−29/49
29/872
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
Google Scholar
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の基材(20)上に配置された複数のナノ構造の集合(207)を含む前記第一の基材を含む装置(300、410〜412)の製造方法であって、前記ナノ構造の集合のそれぞれは、個々に電気的にアドレス指定可能であり、前記方法は:
第一の表面(202)を有する基材(200)を提供する工程(101)であって、前記基材は、前記基材の前記第一の表面(202)の上に配置され、縁層と前記基材との間の界面(203)を形成している絶縁性材料を含む絶縁層(201)を有する、工程と;
前記第一の基材上に複数の積層体(204)を提供する工程(102)であって、前記積層体は互いに間隔を開けて離れており、前記積層体のそれぞれは、第一の導電性材料を含む第一の導電層(205)と、前記第一の材料とは異なる第二の導電性材料を含む第二の導電層(206)とを含んでおり、前記第二の導電層は、ナノ構造の成長を触媒するために前記第一の導電層上に配置されている、工程と;
前記第一の基材上に配置された前記複数の積層体(204)を有する前記第一の基材を、前記第二の導電性材料上にナノ構造を形成可能な還元性雰囲気中で加熱する工程(103)と;
含んでおり、
前記加熱する工程の間に、前記第一の導電性材料が前記絶縁性材料と相互作用して、前記積層体(204)のそれぞれの下の前記絶縁層(201)内に導電性部分(208)を形成するように、前記絶縁性材料及び前記第一の導電性材料が選択され、
前記導電性部分は、前記第一の導電性材料、及び前記絶縁性材料、並びに/又はこれらの反応付加体の混合物を含む、
方法。
【請求項2】
前記第一の基材上に配置された前記積層体(204)を有する前記第一の基材を、500℃〜1000℃の温度範囲内に加熱することによって、前記第一の基材(20)内への前記第一の材料の拡散、及び/又は前記第一の材料と前記絶縁性材料との間の化学反応を得ることができるように、前記第一の材料及び/又は前記絶縁性材料が選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第一の基材上に配置された前記積層体(204)を有する前記第一の基材を、700℃〜900℃の温度範囲内に加熱することによって、前記第一の基材(20)内への前記第一の材料の拡散、及び/又は前記第一の材料と前記絶縁性材料との間の化学反応を得ることができるように、前記第一の材料及び/又は前記絶縁性材料が選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第一の基材上に配置された前記積層体(204)を有する前記第一の基材を750℃〜800℃の温度範囲内に加熱することによって、前記第一の基材(20)内への前記第一の材料の拡散、及び/又は前記第一の材料と前記絶縁性材料との間の化学反応を得ることができるように、前記第一の材料及び/又は前記絶縁性材料が選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ナノ構造の集合(207)のそれぞれが、電気的接続接合のそれぞれによって電気的に接続可能であるように、前記導電性部分(208)が、前記絶縁層(201)を通って形成された経路である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記方法が、前記導電性部分(208)の一つひとつによって、前記ナノ構造の集合(207)のそれぞれに第一の電気的接続を提供するよう構成された、接続構造体(210)を提供する工程を更に含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記積層体が、前記第二の層と前記第一の層との間に配置された中間層を含んでおり、前記中間層は導電性材料及び/又は半導性材料を含んでおり、前記中間層のそれぞれは電源又は検出装置へと電気的に接続可能であり、それによって、ナノ構造の集合のそれぞれに、第二の個々にアドレス指定可能な電気的接続を提供する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第一の導電性材料が、Al又はAuを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
個々にアドレス指定可能なナノ構造の集合(207)を有する装置(300、410〜412)であって、
第一の表面(202)と、絶縁性材料を含み、基材の前記第一の表面(202)上に配置された絶縁層(201)とを有する基材(200)と;
絶縁層内の、絶縁性材料と導電性材料とを含む複数の導電性部分(208)であって、互いに間隔を開けて離れている複数の導電性部分と;
導電性部分(208)のそれぞれが、ナノ構造の集合の一つひとつと電気的に接続するように、導電性部分のそれぞれの上に配置された、ナノ構造の集合と;
絶縁層の下にある接続構造体(210)であって、電源又は検出装置へと接続可能であり、前記導電性部分のそれぞれに第一の電気的接続を提供するよう構成されており、これによって、ナノ構造の集合のそれぞれを個々にアドレス指定可能にしている、接続構造体と、
を含み、
前記導電性部分が、前記第一の基材(200)と前記絶縁層(201)との間の界面(203)から分離するように、前記導電性部分(208)が、前記第一の表面(202)から所望の深さまで、前記第一の基材(200)内へと延在しており、これによって、前記導電性部分のそれぞれへの前記第一の電気的接続が、容量性及び/又は誘導性の電気的接続に相当する、装置。
【請求項10】
前記接続構造体が、導電性材料及び/又は半導性材料を含む複数の電気的接続(210)を含んでおり、前記電気的接続は電源又は検出装置へと電気的に接続可能であり、前記電気的接続のそれぞれは、前記導電性部分のそれぞれに前記第一の電気的接続を提供する、請求項9に記載の装置(300、410〜412)。
【請求項11】
前記装置が、前記ナノ構造の集合(207)と前記導電性部分(208)との間に、導電性及び/又は半導性の中間層(402、403)を含んでおり、ナノ構造の集合のそれぞれに、第二の個々にアドレス指定可能な電気的接続を提供している、請求項9〜10のいずれか一項に記載の装置(300、410〜412)。
【請求項12】
前記装置が、前記導電性部分(208)から直流的に絶縁しており、前記導電性部分に容量接続を提供している、導電性及び/又は半導性の、第二の中間層を含む、請求項9〜11のいずれか一項に記載の装置(300、410〜412)。
【請求項13】
前記ナノ構造が、第一の基材(200)に対して実質的に垂直に整列した、請求項9〜12のいずれか一項に記載の装置(300、410〜412)。
【請求項14】
前記導電性材料が、Al又はAuを含む、請求項9〜13のいずれか一項に記載の装置(300、410〜412)。
【請求項15】
前記導電性材料がAlを含み、前記絶縁性材料がSiOを含む、請求項9〜14のいずれか一項に記載の装置(300、410〜412)。
【請求項16】
前記導電性部分が、少なくとも一つの整流接合を含む、請求項9〜15のいずれか一項に記載の装置(300、410〜412)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個々にアドレス指定可能なナノ構造の束を含む電気的装置、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブ(CNT)は、ナノメートルの範囲の直径、及びナノメートルからセンチメートルの範囲の長さを有する筒状に巻かれた、炭素原子のグラフェンシートから成る。CNTは、単一のグラフェンシートの均一な筒状の構造を有する、いわゆるシングルウォールナノチューブ(SWNT)でもよい。代替として、CNTは、異なる直径を有する複数のSWNTから成り、互いの中に配置されているか、又は自身の周りに数回巻かれて多層になっている単一のグラフェンシートである、いわゆるマルチウォールナノチューブ(MWNT)でもよい。
【0003】
CNTを製造するいくつかの方法が知られており、例えば、アーク放電、レーザーアブレーション、及び化学蒸着(CVD)が挙げられ、後者はCNTの商業的製造にとって最も一般的であり、金属触媒、例えば鉄、コバルト、又はニッケルを用いて基材を調製することと、次いでプロセス気体、例えばアンモニア、窒素、又は水素、及び炭素源、例えばアセチレン、エチレン、又はアルコールを含む気体を含む雰囲気中で、基材を加熱することとを典型的に含んでいる。このようにして、金属触媒の表面でCNTを成長させる。垂直状に整列したCNTが製造される、すなわち金属触媒の表面に垂直状に伸びたCNTが製造されるような反応条件を適応することによって、金属触媒上のCNTの配向を制御してもよい。
【0004】
CNTは高い機械的強度、並びに高い熱伝導性及び電気伝導性を有するため、CNTについて多くの潜在的な用途が提案されており、例えば、その中でも、センサ、水素貯蔵媒体、プローブ、半導体装置、フィールドエミッション装置、並びに伝導性材料及び高強度複合材料が挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
CNTについて存在する従来の製造方法に関連する課題は、基材上の特定の位置における所定の配向及び配置のCNTの成長、並びに金属電極などの他の材料との界面の両方を制御することが困難であるということである。
【0006】
米国特許第6,900,580号明細書は、フィールドエミッション装置、及びそのような装置の製造を開示しており、ここでは、装置は基材上に整列した平行なCNTの束を有しており、束は触媒材料によってパターン化された基材の領域のみから伸びており、したがって、基材表面上の束のサイズ、形状、及び分布の精密な制御を提供しており、更に、これによって、束のそれぞれは、パターン化されたメタライゼーションラインを束に接続することによって、個々に制御することができる。
【0007】
しかしながら、米国特許第6,900,580号明細書によるCNTの製造方法は、手間がかかり、おそらくあまり費用効果的ではない。
【0008】
したがって、本技術分野において、電気的装置に使用するためのCNTの製造を促進する必要性がある。
【0009】
従来技術の上述の課題及び他の課題に鑑み、本発明の全般的な目的は、ナノ構造を含む装置、特に個々に電気的にアドレス指定可能なナノ構造の集合を有する装置を製造するための、改善された方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、第一の基材上に配置された複数のナノ構造の集合を含む上記第一の基材を含む装置の製造方法であって、上記ナノ構造の集合のそれぞれは、個々に電気的にアドレス指定可能であり、上記方法は:第一の表面を有する基材を提供する工程であって、上記基材は、上記基材の上記第一の表面上に配置され、上記絶縁層と上記基材との間の界面を形成している絶縁性材料を含む絶縁層を有する、工程と;第一の基材上に複数の積層体を提供する工程であって、上記積層体は互いに間隔を開けて離れており、上記積層体のそれぞれは、第一の導電性材料を含む第一の導電層と、上記第一の材料とは異なる第二の導電性材料を含む第二の導電層とを含んでおり、上記第二の導電層は、ナノ構造の成長を触媒するために上記第一の導電層上に配置されている、工程と;上記第一の基材上に配置された上記複数の積層体を有する上記第一の基材を、上記第二の導電性材料の上にナノ構造を形成可能な還元性雰囲気中で、加熱する工程と;上記第一の基材上に配置された上記複数の積層体を有する上記第一の基材を、上記第二の層の上にナノ構造が形成されるような雰囲気中で、加熱する工程と;を含んでおり、上記加熱する工程の間に、上記第一の導電性材料が上記絶縁性材料と相互作用して、上記積層体のそれぞれの下の上記絶縁層内に導電性部分を形成するように、上記絶縁性材料及び上記第一の導電性材料が選択され、上記導電性部分は、上記第一の導電性材料、及び上記絶縁性材料、並びに/又はこれらの反応付加体の混合物を含む、方法が提供される。
【0011】
本発明は、それぞれ第一の材料及び第二の材料を含む、少なくとも第一の層及び第二の層の積層体であって、第二の層は絶縁層上に配置された第一の層の上に配置されている、積層体を、絶縁層上に提供することによって、絶縁層内に、個々のナノ構造の集合のそれぞれを電気的に接続する導電性部分を形成する加熱サイクルと同じ間に、絶縁性材料を含む絶縁層を有する基材上にナノ構造の集合が成長しうることを実現したことに基づいている。第二の材料は、高温でナノ構造の成長を触媒するように選択し、第一の材料及び絶縁性材料は、第一の材料が導電性であって、加熱すると、絶縁性材料に混合若しくは拡散して、及び/又は絶縁性材料と反応して、結果として導電性及び/又は半導性の混合物となりうるように選択する。このように、基材の上に配置されたそのような積層体を有する基材を加熱することによって、複数のナノ構造の集合を製造してもよく、ナノ構造の集合の下にある絶縁層の部分は、導電性材料及び/又は半導性材料を含む。これによって、ナノ構造の集合のそれぞれが、個々に電気的に接続可能であってよい。
【0012】
用語「ナノ構造」は、本文脈において、ナノメートルの範囲の直径又は幅を有する任意の構造として理解すべきである。そのようなナノ構造の例としては、限定されないが、カーボンナノチューブ、ZnOなどの様々な材料のナノワイヤ及びナノロッド、並びにカーボンナノファイバーが挙げられる。
【0013】
用語「ナノ構造の集合」は、本発明の文脈において、基材の部分の上に、互いの近傍(例えばマイクロメートル〜サブマイクロメートル)に配置された複数のナノ構造であって、当該部分はナノ構造を含む基材の他の部分から分離しており、当該部分はナノ構造の集合の下にある導電性部分を含んでいる、複数のナノ構造として理解すべきである。ナノ構造の集合としては、束状に配置された複数のナノ構造を挙げることができる。ナノ構造の集合は、ナノメートルからマイクロメートルの範囲の長さ及び幅を有する基材の一部に対応してもよい。更に、ナノ構造の集合が個々にアドレス指定される場合、典型的に、そのような集合に含まれる全てのナノ構造がアドレス指定される。
【0014】
本発明の実施形態において、第一の材料は、導電性であってもよく、半導性であってもよい。これによって、第一の基材内への第一の材料の拡散を通して、導電性又は半導性の導電性部分を得てもよい。
【0015】
本発明の実施形態において、第一の層の第一の材料、及び絶縁層の絶縁性材料は、これらの間の化学反応によって導電性材料又は半導性材料が得られるように、選択してもよい。
【0016】
基材の絶縁層上に配置された積層体を有する基材を加熱することで、第一の積層体層の第一の材料の、下にある第一の基材の絶縁性材料の部分への拡散又は混合を引き起こしてもよく、その結果、第一の材料の電気特性によって、これらの部分を導電性又は半導性にしてもよい。更に又は代替的に、基材の絶縁層上に配置された第一の材料を有する基材を加熱することで、第一の材料と、下にある第一の基材の絶縁性材料の部分との反応を引き起こし、導電性及び/又は半導性であることがある一以上の反応生成物を得てもよく、この場合、第一の材料は、必ずしも、導電性又は半導性の部分を得るために導電性又は半導性である必要はない。
【0017】
本発明の実施形態において、基材上に配置された積層体を有する第一の基材を100℃〜1000℃の好ましい温度範囲内に加熱することによって、第一の基材内への第一の材料の拡散、及び/又は第一の材料と絶縁性材料との間の反応が得られるように、第一の材料及び絶縁性材料を選択する。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、温度範囲は、好ましくは500℃〜1000℃、より好ましくは700℃〜900℃、及び最も好ましくは750℃〜800℃である。
【0019】
本発明の実施形態において、第一の材料と絶縁性材料との間の熱反応は、例えば、第一の材料が酸化され、絶縁性材料が還元される、酸化還元反応であってよい。したがって、得られる反応混合物は、酸化した第一の材料、及び酸化されていない第一の材料、並びに還元された絶縁性材料、及び還元されていない絶縁性材料を含んでもよい。
【0020】
本発明の実施形態において、第一の材料は、金属、及び/又はその酸化物若しくは窒化物を含んでもよい。例えば、第一の材料は、アルミニウムでもよい。
【0021】
本発明の実施形態において、絶縁性材料は、メタロイド(又は半金属)の酸化物、例えば二酸化ケイ素でもよい。
【0022】
第一の材料及び/又は絶縁性材料の選択によって、導電性部分の電気特性を制御してもよい。したがって、加熱すると導電性及び/又は半導性の混合物が得られるように、第一の材料を、絶縁性材料に対して有利に選択してもよく、その逆もまた同様である。
【0023】
例示的な実施形態において、第一の材料はアルミニウム(Al)であってよく、絶縁性材料は二酸化ケイ素(SiO)であってよく、この場合、これらの間の対応する反応混合物は、Al、Al、SiO、Al(SiO、及びSiを含んでもよく、導電性(すなわちAl)、及び半導性(すなわちSi)の両方の電気特性を有する反応混合物が得られることがある。同様に、金(Au)を用いて、絶縁性材料内に導電性部分を形成してもよい。
【0024】
更に、導電性部分の所望の電気特性を得るために、当然に、加熱温度及び/又は定温時間を変化させてもよい。例えば、温度を変化させることによって、反応及び/又は拡散の速度を制御してもよく、反応時間を変化させることによって、反応及び/又は拡散の程度を制御してもよい。
【0025】
第一の基材内の導電性部分のそれぞれの深さは、絶縁層内への第一の材料の拡散若しくは混合に、及び/又は第一の材料と絶縁層の絶縁性材料との反応に起因する、絶縁層内への第一の材料の浸透の深さに関係しており、従って、例えば、第一の材料を含む第一の層の厚み及び/若しくは絶縁層の厚みを変化させること、基材を加熱する温度を変化させること、又は加熱の時間を変化させることによって、制御することができる。
【0026】
これによって、導電性部分の広がり及び構造を制御して、所定の所望の用途に合わせてもよい。
【0027】
本発明の実施形態において、導電性部分は絶縁層を通って形成された経路であってよく、それによって、ナノ構造の集合のそれぞれが、電気的接続接合のそれぞれによって電気的に接続可能となるように、絶縁層と下にある基材との間の界面に、電気的接続接合を形成してもよい。
【0028】
代替として、本発明の実施形態において、導電性部分が絶縁層を貫通しておらず、したがって導電性部分のそれぞれが基材から絶縁されており、これによって、それぞれの導電性部分への、容量性及び/又は誘導性の電気的接続に相当する電気的接続接合が得られることがあるような、第一の基材内の導電性部分の深さとなるように、導電性部分の構造を制御してもよい。
【0029】
ナノ構造の成長を触媒する第二の層の第二の材料は、有利に、導電性であってよく、半導性であってもよい。そのような触媒材料の例としては、限定されないが、Fe、Co、及びNiが挙げられる。
【0030】
本発明の実施形態において、積層体は、第二の層と第一の層との間に配置された中間層を含んでもよく、中間層は導電性材料及び/又は半導性材料を含んでもよく、それぞれの中間層は、例えば基材の第一の表面上の接続構造体を通して、電源へと電気的に接続可能であってよく、それによって、ナノ構造の集合のそれぞれに、第二の個々にアドレス指定可能な電気的接続を提供してもよい。
【0031】
例えば、中間層の導電性材料及び/又は半導性材料は、例えば、モリブデン及び/若しくはチタン、又はモリブデン及び/若しくはチタンの独立層、又は任意の他の適切な金属、メタロイド、若しくはその酸化物、又は例えばPt、Ti、Au、Mo、Pd、及びWの合金を含んでもよい。
【0032】
本発明の実施形態において、方法は、本発明の方法によって形成された導電性部分の一つひとつによって、ナノ構造の集合のそれぞれに、第一の電気的接続を提供するよう構成された、絶縁層の下にある接続構造体を提供する工程を更に含んでもよい。接続構造体は、電源又は検出装置へと接続可能であってよく、それによって、絶縁層の導電性部分を、電源又は検出装置へと電気的に接続可能にしてもよい。
【0033】
本発明の実施形態において、接続構造体を含む第二の基材を提供する工程によって、接続構造体を提供してもよい。接続構造体は、例えば、導電性材料及び/又は半導性材料を含む複数のウェルを含んでもよい。
【0034】
第二の基材は、上記の加熱工程の前に提供してもよい点に留意されたい。
【0035】
本発明の第二の側面によれば、第一の表面と、絶縁性材料を含み、基材の第一の表面上に配置された絶縁層とを有する基材と;絶縁層内の、絶縁性材料と導電性材料との間の反応によって形成した複数の導電性部分であって、互いに間隔を開けて離れている複数の導電性部分と;導電性部分のそれぞれが、ナノ構造の集合の一つひとつと電気的に接続するように、導電性部分のそれぞれの上に配置された、ナノ構造の集合と;絶縁層の下にある接続構造体であって、電源又は検出装置へと接続可能であり、導電性部分のそれぞれに第一の電気的接続を提供するよう構成されており、これによって、ナノ構造の集合のそれぞれを個々にアドレス指定可能にしている、接続構造体と、を含む、個々にアドレス指定可能なナノ構造の集合を有するものによって、上述の目的及び他の目的が達成される。
【0036】
電源は、装置の所望の用途に応じて、例えば、従来のAC電源又はDC電源、電池、コンデンサ系であってよく、検出装置は、例えば、マルチメーター、又は均等物であってよい。
【0037】
本発明の実施形態において、装置は、第一の基材の下にある第二の基材であって、上述の接続構造体を含む、第二の基材を含んでもよい。
【0038】
本発明の実施形態において、接続構造体は、それぞれ導電性材料及び/又は半導性材料を含み、電源へと電気的に接続可能である複数のウェルを含んでもよく、ウェルのそれぞれは、導電性部分のそれぞれに第一の電気的接続を提供する。
【0039】
本発明の実施形態において、導電性部分は、絶縁層を通って伸びた経路であってよく、これによって、電気的接続は、導電性部分と接続構造体との間の、直接の電気的接続であってもよい。
【0040】
本発明の実施形態において、導電性部分が基材から分離するように、導電性部分は、所望の深さまで絶縁層内に延在してもよく、これによって、第二の基材の接続構造体と、導電性部分のそれぞれとの間の電気的接続は、容量性又は誘導性の電気的接続に相当してもよい。
【0041】
上記に開示したようなナノ構造の集合の、個々のアドレス指定可能性を前提として、本発明による装置の多くの用途、例えばその中でも、センサ、静電アクチュエータ、太陽電池、ヒートシンク、ナノアンテナ、フィールドエミッションによる電子エミッタ、超コンデンサ、電子放出装置、高周波アクチュエータ、回折光学素子、及びピンチウェーブ(pinch-wave)ピンセットが可能である。
【0042】
本発明の実施形態において、装置は、ナノ構造の集合と導電性部分との間に、導電層及び/又は半導性層を含んで、ナノ構造の集合のそれぞれに、第二の個々にアドレス指定可能な電気的接続を提供してもよい。
【0043】
第一及び第二の個々にアドレス指定可能な電気的接続を有することは、電子ビームリソグラフィツールのプログラム可能アレイ、又は調整可能な送信機、若しくはプログラム可能な補償光学装置などの用途にとって、有利であることがある。
【0044】
本発明の一実施形態によれば、装置は、導電性部分から直流的に絶縁しており、導電性部分に容量接続を提供する、導電性及び/又は半導性の、第二の中間層を含んでもよい。絶縁層内に、導電性部分から直流的に絶縁した更なる接点を形成することによって、容量結合を通して、流れる電荷キャリアを制御してもよい。これによって、トランジスタのような3端子装置を形成してもよい。上部の接点と導電性部分との間の界面を制御するために、そのような接点を形成する第二の導電層を、絶縁層の表面のいずれかに配置してもよい。代替として、接点を絶縁層内に一体化して、導電性部分の容量制御を提供してもよい。例えば、SOI(絶縁体上のシリコン(silicon on insulator))ウェハー上に装置を置くこと、及び残りの装置を処理する前にSi層上に接点を形成することによって、絶縁層内の接点を形成してもよい。
【0045】
本発明の実施形態において、ナノ構造は、基材に対して実質的に垂直に整列する。ナノ構造は、ナノメートルからセンチメートルの範囲の長さを有してもよい。しかしながら、ナノ構造は、典型的に、ナノメートルからマイクロメートルの範囲の長さを有してもよい。ナノ構造の所望の長さは、装置の所望の用途によって当然に変化し、ナノ構造の長さは、装置の所望の用途に合うものへと有利に調節してもよい。
【0046】
本発明の実施形態において、ナノ構造は、束状に配置されたマルチウォールカーボンナノチューブである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
以下、本発明のこれらの及び他の側面を、本発明の例示的な実施形態を示す添付の図面を参照しながら、更に詳細に記載する。
図1図1は、ナノ構造の集合を含む、本発明の一実施形態による装置の製造方法を、図式的に説明するフローチャートである。
図2a図2aは、図1の方法による製造方法の工程に対応する装置の、拡大した断面図である。
図2b図2bは、図1の方法による製造方法の工程に対応する装置の、拡大した断面図である。
図2c図2cは、図1の方法による製造方法の工程に対応する装置の、拡大した断面図である。
図2d図2dは、図1の方法による製造方法の工程に対応する装置の、拡大した断面図である。
図3図3は、本発明による装置の実施形態の斜視図を示す。
図4a図4aは、本発明による装置の例示的な実施形態の断面側面図を示す。
図4b図4bは、本発明による装置の例示的な実施形態の断面側面図を示す。
図4c図4cは、本発明による装置の例示的な実施形態の断面側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下の記載では、第一の基材上に配置された複数のナノ構造の集合を含む第一の基材を含む装置の製造方法であって、ナノ構造の集合のそれぞれが個々に電気的に制御可能である方法に関する、本発明を記載する。
【0049】
本発明者は、絶縁性材料を含む絶縁層の上にナノ構造の集合を成長させ、同じ加熱サイクルの間に、絶縁層内に、ナノ構造の集合のそれぞれに、個々にアドレス指定可能な電気的接続を形成する方法を見いだした。
【0050】
以下、独創的な方法の一実施形態に従う工程101〜104について図式的に説明する図1、及びこれらの工程のそれぞれの後に得られる装置を示す図2a〜dを参照しながら、本発明の方法による実施形態を、詳細に記載する。
【0051】
第一の工程101は、絶縁性材料を含む絶縁層を有する第一の基材200を提供することを含む。絶縁性材料は、例えば、SiO、又はSiの1つであってよい。基材は、半導体処理において一般的に用いられる、絶縁性基材又は半導性基材の任意の種類、例えばSi、SiO、石英、又はこれらと同種のものであってよい。
【0052】
第二の工程102は、絶縁層の第一の表面202の上に、複数の積層体204を提供することを含む。図2bに示すように、積層体は、それらが互いに分離するように、第一の表面202の上に配置する。積層体204は、典型的に、ナノメートルからマイクロメートルの範囲の長さ及び/又は幅(若しくは直径)を有してもよい。さらに、それぞれの積層体は、絶縁層201と直接接触して配置された、第一の導電性材料を含む第一の層205、及び第一の層上に配置された、第二の材料を含む第二の層206を含む。第一の材料は、第二の材料とは典型的に異なっており、第二の材料はナノ構造の形成を触媒する。
【0053】
ナノ構造の触媒活性を有する第二の材料の例としては、限定されないが、Fe、Ni、及びCoが挙げられる。
【0054】
本発明の一実施形態において、積層体204のそれぞれは、まず、第一の基材上に第一の層205を堆積し、次いで、その上に第二の層206を堆積することによって、第一の基材の第一の表面202上に提供する。代替として、本発明の他の実施形態において、まず、第二の層206を第一の層205の上に堆積して、次いで、得られた第一の層205及び第二の層206を含む積層体204を、第一の基材201の上へと堆積する。積層体のパターンは、例えば、フォトリソグラフィー、及びその後のエッチングによって定めてもよい。代替として、シャドウマスクを用いて、第一の層及び第二の層を堆積してもよい。
【0055】
第三の工程103は、図2cに示すようなナノ構造の集合207が第二の層206上に形成されるような雰囲気、並びに第一の導電層205の第一の材料が絶縁層201内に拡散し、及び/又は絶縁層201の絶縁性材料と反応して、ナノ構造の集合207のそれぞれの下の絶縁層201内に導電性部分208が形成されるような雰囲気で、基材200上に配置された複数の積層体を有する基材200を加熱することを含んでおり、導電性部分は導電性及び/又は半導性であって、第一の材料、及び絶縁性材料、及び/又はこれらの反応付加体の混合物を含んでおり、これによって、導電性部分208のそれぞれは、ナノ構造の集合207の一つひとつを、個々に電気的に制御可能にしている。
【0056】
絶縁層上の積層体204を互いに分離させることによって、その上にナノ構造の集合を得てもよく、ナノ構造の集合207のそれぞれは、積層体204のそれぞれの上に成長するナノ構造に対応する。
【0057】
したがって、導電性部分208は、下にある絶縁性材料の中に拡散した導電性及び/又は半導性の第一の材料の存在に起因して、導電性及び/又は半導性であってよい。更に又は代替的に、第一の材料が絶縁性材料と反応して、導電性及び/又は半導性であることがある反応生成物を得てもよく、この場合、第一の材料は、導電性及び/又は半導性の導電性部分を得るために、それ自身が導電性及び/又は半導性である必要はない。
【0058】
例示的な実施形態において、第一の材料はAlであり、絶縁性材料はSiOであり、この場合、これらの間の熱的な反応は、典型的に、絶縁特性を有するAl、及び半導性特性を有するSiを生ずる。したがって、このような場合、導電性部分は、Al、Si、SiO、Al(SiO、及びAlの混合物を含んでもよい。
【0059】
しかしながら、強調すべきことに、導電材及び絶縁性材料の、多くの他の材料の組合せが、所望の導電性部分を提供することができることが予想される。当業者であれば、過度の負担なく、見出し「製造方法の例」の下に記載するものと同様の方法によって、そのような導電性部分が形成されるか否かを決定することが可能である。
【0060】
したがって、導電性部分の電気特性は、第一の導電性材料及び絶縁性材料、絶縁層の厚み及び第一の層の厚み、拡散/反応温度、並びに加熱時間の選択によって容易に構成して、例えば、所望の用途に合わせることができる。
【0061】
同様に、例えば、第一の層205及び絶縁層201の厚み、及び/又は拡散温度/反応温度、並びに加熱時間を変更することによって導電性部分の形状を制御し、これによって形状を構成して、所定の用途に合わせてもよい。例えば、本発明の一実施形態によれば、図2cに例示するように、導電性部分208は、絶縁層から延在する経路である。これによって、導電性部分のそれぞれは、絶縁層と基材との間の界面203において、直接に電気的にアドレス指定可能である。代替として、本発明の他の実施形態において(図2cに示していない)、導電性部分のそれぞれが基材から電気的に絶縁され、これによって、絶縁層と基材との間の界面に、導電性部分への容量性及び/又は誘導性の電気的接続が得られるように、導電性部分が絶縁層を通って延在しないように構成してもよい。
【0062】
本発明は、ナノ構造を成長させるいかなる具体的方法にも限定されず、したがって、成長工程における雰囲気の組成物は、成長するナノ構造の種類に依存してもよい(例えばカーボンナノチューブ、シングルウォール又はマルチウォールの、カーボンナノファイバー、ZnOナノワイヤ、等)。化学的蒸着、プラズマ強化化学蒸着、アーク放電、レーザーアブレーション等の方法、又は任意の他の当業者に知られている好適な方法を典型的に用いてもよい。したがって、雰囲気は、典型的に、(カーボンナノチューブの成長のため、)エチレン、アルゴン、プラズマ、水素、窒素、及びアンモニアの少なくとも一つを含んでもよい。
【0063】
ナノ構造は有利にカーボンナノチューブであってよく、特に、所望の用途に応じて、ナノメートルからマイクロメートルの範囲の長さを有する、束状に配置されたマルチウォールカーボンナノチューブであってよい。
【0064】
有利には、基材上に配置された積層体を有する上記第一の基材を、100℃〜1000℃、好ましくは500℃〜1000℃、より好ましくは700℃〜900℃、及び最も好ましくは750℃〜800℃の好ましい温度範囲内に加熱することによって、第一の基材内への第一の材料の拡散、及び/又は第一の材料と絶縁性材料との間の反応が得られるように、第一の材料及び/又は絶縁性材料を選択してもよい。選択温度は、所望の特定のナノ構造の成長に要求されるパラメータ、及び所定の材料の組合せについて導電性部分を得るために要求される温度に依存する。
【0065】
本発明の一実施形態によれば、方法は、図2dに示すように、絶縁層201の下の第二の基材209を提供することを含む第四の工程104を更に含んでおり、第二の基材209は、導電性部分208の一つひとつによって、ナノ構造の集合207のそれぞれに、第一の電気的接続を提供するよう構成された接続構造体210を含む。
【0066】
例えば、図2dに図示するように、接続構造体は、導電性材料又は半導性材料を含む複数のウェル210として実施してもよく、ウェル210のそれぞれは、電源又は検出装置へと電気的に接続可能であり、したがって、個々にアドレス指定可能である。
【0067】
代替として、本発明による方法の他の実施形態において、第二の基材209を、加熱する工程103の前の任意の工程において、例えば第一の工程において提供してもよく、これによって、加熱の直後に、接続構造体210を通じた第一の電気的接続を得てもよい。さらに、同様の接続構造体を第一の基材の中に取り入れてもよい。
【0068】
強調すべきことに、本発明による方法の実施形態において、ナノ構造の集合のそれぞれへの、第二の個々にアドレス指定可能な電気的接続を、導電性材料及び/又は半導性材料を含む中間層であって、例えば絶縁層上の接続構造体を通して電源へと電気的に接続可能である中間層(図2a〜dに示していない)を、積層体のそれぞれの、第一の層と第二の層との間に提供することにより設けてもよい。
【0069】
図3は、第一の表面202、及び第二の表面203を有する絶縁層201であって、絶縁性材料を含む絶縁層201を含む、本発明による装置300の実施形態の斜視図を示す。複数のナノ構造の集合207は、基材の第一の表面202上に含まれ、図3に示すように、ナノ構造の集合207は、互いに間隔を開けて離れている。更に、絶縁層201は、複数の導電性部分208を含んでおり、導電性部分208のそれぞれは、導電性部分208のそれぞれがナノ構造の集合207の一つひとつと電気的に接続するように、ナノ構造の集合207の一つひとつの下にある。導電性部分208は、導電性及び/又は半導性である。
【0070】
本発明による装置の実施形態において、図3に示すように、装置は、絶縁層201の下に基材209を更に含んでおり、基材209は、電源又は検出装置へと接続可能であり、導電性部分208のそれぞれに第一の電気的接続を提供するよう構成され、それによって、ナノ構造の集合207のそれぞれを個々にアドレス指定可能にしている、接続構造体を含む。例えば、電源としては、装置の所望の用途に応じて、従来のAC電源又はDC電源、電池、コンデンサ系が挙げられ、検出装置は、例えば、マルチメーター、又は均等物(例えば電圧計若しくは電流計)でもよい。
【0071】
装置の実施形態において、ナノ構造の集合は、有利に、基材に対して実質的に垂直に整列してもよい。
【0072】
典型的に、ナノ構造の集合は、ナノメートルからマイクロメートルの範囲の長さ、及び/又は幅(若しくは直径)に対応する。
【0073】
装置の実施形態において、ナノ構造の集合は、束状に配置されたマルチウォールカーボンナノチューブを含んでもよい。
【0074】
図4a〜cは、本発明による装置の実施形態の断面側面図を示す。図4a〜cに図示するように、接続構造体210は、導電性材料及び/又は半導性材料を含む複数のウェル210であって、電源へと電気的に接続可能なウェルを含む。これによって、ウェルのそれぞれは、導電性部分208のそれぞれに、第一の電気的接続を提供する。
【0075】
本発明による装置410の実施形態において、図4aに示すように、導電性部分は、絶縁層の第一の表面202から、絶縁層と基材との間の界面203まで延在する経路として実施してもよく、これによって、第一の電気的接続は、導電性部分208と接続構造体210との間の直接の電気的接続であってよい。
【0076】
本発明による装置411の実施形態において、図4bに示すように、導電性部分は、導電性部分が、絶縁層と基材との間の界面203から分離するように、第一の表面202から所望の深さまで、絶縁層201の中へと延在しており、これによって、導電性部分208のそれぞれへの第一の電気的接続が、容量性の電気的接続に相当する。
【0077】
図4cに示すように、本発明による装置412は、絶縁層の第一の表面202の上に配置された導電性及び/又は半導性の中間層402を、ナノ構造の集合207のそれぞれと、下の導電性部分208との間に含んでもよく、中間層のそれぞれは、絶縁層201の第一の表面202上の接続構造体403を通して電気的に接続可能であってよく、このようにして、ナノ構造の集合207のそれぞれに、第二の個々にアドレス指定可能な電気的接続を提供してもよい。
【0078】
本発明の様々な実施形態において、導電経路は、選択した材料に基づく所望の特徴を示すよう調整してもよい整流接合の少なくとも一つを含んでもよく、これによって、太陽電池、及びトランジスタ、及び超コンデンサなどの装置の製造を可能にしてもよい。例えば、第一の導電層の材料が絶縁層へと達して導電性部分を形成することがある限り、第一の導電層と絶縁層との間に、更なる導電層を配置してもよい。例えば、第一の導電層は、拡散によって、又は化学反応を通して、そのような中間の導電層と相互作用してもよい。したがって、絶縁層内での異なる拡散特性/反応特性を有する異なる材料として、導電性部分内に整流接合を形成してもよい。更に、層の厚さを選択することによって、そのような整流接合の位置を制御してもよい。導電性部分における整流接合の位置及び特性を制御することによって、様々な装置、例えばトランジスタ、及び光起電装置を形成してもよい。
【0079】
更に、図面、本開示、及び添付の特許請求の範囲の研究から、請求項に係る発明を実施する当業者であれば、開示した実施形態に対する変形を理解することができ、及び行うことができる。例えば、絶縁層の表面をエッチングしてもよく、エッチングした表面上に積層体を配置してもよく、このようにして、得られるナノ構造は、エッチングした表面上に実質的に整列していてもよい。更に、積層体の第一の層上に配置された積層体の第二の層は、第一の層の一部のみを覆っていてもよい。
【0080】
請求項において、用語「含む」は、他の要素又は工程を除外するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は、複数形を除外するものではない。単一の処理装置、又は他の単位が、請求項に記載するいくつかの項目の機能を果たすことがある。相互に異なる従属クレーム中に特定の測定が記載されているという単なる事実は、測定されたこれらの組合せを有効に使用することができないことを示すものではない。
【実施例】
【0081】
《製造方法の例》
〈導電性カーボンナノチューブフォレストの成長〉
0.5μmの酸化物層を有するシリコンウェハーを使用して、装置を組み立てた。金属、及び触媒(300nmのアルミニウム、及び1nmの鉄)を、フォトリソグラフィー、金属蒸着、及びリフトオフを使用して、パターン化した。触媒を、100sccm(標準状態において100mL/分)の水素、及び400sccm(標準状態において400mL/分)のヘリウムの流れの下、20分間、775℃でアニーリングして、触媒材料を活性化した。アニーリングの直後、サンプルを冷やす前に、同じ温度を維持しつつ、100sccm(標準状態において100mL/分)のエチレンを、30分間、石英管に導入することによって、カーボンナノチューブを成長させた。ナノ構造を成長させるために用いた処方を表1にまとめる。
【0082】
【表1】
【0083】
ここで、時間は分であり、気体はsccmであり、温度は摂氏度である。工程の温度が前工程の温度と異なる場合、温度をしだいに変更したことを意味する。例えば、工程3は、10分かけて、25℃から775℃へと温度を逓増することを含んだ。更に、工程5はナノ構造を成長させる工程であった。したがって、成長時間は30分であった。AlがSiOを還元して導電性材料を形成することがあることは、Dadabhaiらの応用物理学会誌(Journal of Applied Physics)80(11)6505〜6509頁(1996)に示されており、引用により本願明細書中に含まれる。当業者によって容易に理解されるように、本発明の範囲内であれば、上述のパラメータ値を変更してもよい。例えば、ヘリウムを、Ar又はNのような他の不活性気体に置き換えてもよく、温度勾配を変更してもよく、成長温度を変更する等してもよい。特に、ナノ構造が成長する工程、すなわち表1の工程4としては、例えば、
―30分間、750℃において、200sccm(標準状態において200mL/分)のエチレン、80sccm(標準状態において80mL/分)の水素、150sccm(標準状態において150mL/分)のアルゴン、
―30分間、700℃において、150sccm(標準状態において150mL/分)のエチレン、400sccm(標準状態において400mL/分)の水素、200sccm(標準状態において200mL/分)のアルゴン、
―30分間、700℃において、200sccm(標準状態において200mL/分)のアセチレン、200sccm(標準状態において200mL/分)の水素、
が挙げられる。
更に、選択した材料の組合せに応じて、工程3及び4の温度を変更してもよい。
本発明の実施形態を以下の項目1〜22に列記する。
[1]
第一の基材(201)上に配置された複数のナノ構造の集合(207)を含む前記第一の基材を含む装置(300、410〜412)の製造方法であって、前記ナノ構造の集合のそれぞれは、個々に電気的にアドレス指定可能であり、前記方法は:
第一の表面(202)を有する基材(200)を提供する工程(101)であって、前記基材は、前記基材の前記第一の表面(202)の上に配置され、前記絶縁層と前記基材との間の界面(203)を形成している絶縁性材料を含む絶縁層(210)を有する、工程と;
前記第一の基材上に複数の積層体(204)を提供する工程(102)であって、前記積層体は互いに間隔を開けて離れており、前記積層体のそれぞれは、第一の導電性材料を含む第一の導電層(205)と、前記第一の材料とは異なる第二の導電性材料を含む第二の導電層(206)とを含んでおり、前記第二の導電層は、ナノ構造の成長を触媒するために前記第一の導電層上に配置されている、工程と;
前記第一の基材上に配置された前記複数の積層体(204)を有する前記第一の基材を、前記第二の導電性材料上にナノ構造を形成可能な還元性雰囲気中で加熱する工程(103)と;
前記第一の基材上に配置された前記複数の積層体を有する前記第一の基材を、前記第二の層(206)の上にナノ構造(207)が形成されるような雰囲気中で、加熱する工程(103)と;
を含んでおり、
前記加熱する工程の間に、前記第一の導電性材料が前記絶縁性材料と相互作用して、前記積層体(204)のそれぞれの下の前記絶縁層(201)内に導電性部分(208)を形成するように、前記絶縁性材料及び前記第一の導電性材料が選択され、
前記導電性部分は、前記第一の導電性材料、及び前記絶縁性材料、並びに/又はこれらの反応付加体の混合物を含む、
方法。
[2]
前記第一の基材上に配置された前記積層体(204)を有する前記第一の基材を100℃〜1000℃の温度範囲内に加熱することによって、前記第一の基材(201)内への前記第一の材料の拡散、及び/又は前記第一の材料と前記絶縁性材料との間の化学反応を得ることができるように、前記第一の材料及び/又は前記絶縁性材料が選択される、項目1に記載の方法。
[3]
前記温度範囲が、好ましくは500℃〜1000℃、より好ましくは700℃〜900℃、及び最も好ましくは750℃〜800℃である、項目2に記載の方法。
[4]
前記ナノ構造の集合(207)のそれぞれが、電気的接続接合のそれぞれによって電気的に接続可能であるように、前記導電性部分(208)が、前記絶縁層(201)を通って形成された経路である、項目1〜3のいずれか一項に記載の方法。
[5]
前記方法が、前記導電性部分(208)の一つひとつによって、前記ナノ構造の集合(207)のそれぞれに第一の電気的接続を提供するよう構成された、接続構造体(210)を提供する工程を更に含む、項目1〜4のいずれか一項に記載の方法。
[6]
前記方法が、前記導電性部分(208)の一つひとつによって、前記ナノ構造の集合(207)のそれぞれに第一の電気的接続を提供するよう構成された、接続構造体(210)を含む第二の基材(209)を提供する工程(104)を更に含む、項目1〜4のいずれか一項に記載の方法。
[7]
前記積層体が、前記第二の層と前記第一の層との間に配置された中間層を含んでおり、前記中間層は導電性材料及び/又は半導性材料を含んでおり、前記中間層のそれぞれは電源又は検出装置へと電気的に接続可能であり、それによって、ナノ構造の集合のそれぞれに、第二の個々にアドレス指定可能な電気的接続を提供する、項目1〜6のいずれか一項に記載の方法。
[8]
前記第一の導電性材料が金属を含む、項目1〜7のいずれか一項に記載の方法。
[9]
前記第一の導電性材料が、Al又はAuを含む、項目1〜8のいずれか一項に記載の方法。
[10]
前記絶縁性材料が、SiO、Si、及び石英の少なくとも一つを含む、項目1〜9のいずれか一項に記載の方法。
[11]
個々にアドレス指定可能なナノ構造の集合(207)を有する装置(300、410〜412)であって、
第一の表面(202)と、絶縁性材料を含み、基材の前記第一の表面(202)上に配置された絶縁層(201)とを有する基材(200)と;
絶縁層内の、絶縁性材料と導電性材料との間の反応によって形成された複数の導電性部分(208)であって、互いに間隔を開けて離れている複数の導電性部分と;
導電性部分(208)のそれぞれが、ナノ構造の集合の一つひとつと電気的に接続するように、導電性部分のそれぞれの上に配置された、ナノ構造の集合と;
絶縁層の下にある接続構造体(210)であって、電源又は検出装置へと接続可能であり、前記導電性部分のそれぞれに第一の電気的接続を提供するよう構成されており、これによって、ナノ構造の集合のそれぞれを個々にアドレス指定可能にしている、接続構造体と、
を含む装置。
[12]
前記装置が、前記第一の基材(200)の下に第二の基材(209)を含んでおり、前記第二の基材は、前記接続構造体(210)を含む、項目11に記載の装置(300、410〜412)。
[13]
前記接続構造体が、導電性材料及び/又は半導性材料を含む複数のウェル(210)を含んでおり、前記ウェルは電源又は検出装置へと電気的に接続可能であり、ウェルのそれぞれは、前記導電性部分のそれぞれに前記第一の電気的接続を提供する、項目11又は12のいずれかに記載の装置(300、410〜412)。
[14]
前記導電性部分が、前記第一の基材の前記第一の表面から第二の表面まで延在する経路であって、これによって、前記第一の電気的接続が、前記導電性部分と前記接続構造体との間の直接の電気的接続である、項目11〜13のいずれか一項に記載の装置(300、410〜412)。
[15]
前記導電性部分が、前記第一の基材(200)と前記絶縁層(201)との間の界面(203)から分離するように、前記導電性部分(208)が、前記第一の表面(202)から所望の深さまで、前記第一の基材(200)内へと延在しており、これによって、前記導電性部分のそれぞれへの前記第一の電気的接続が、容量性及び/又は誘導性の電気的接続に相当する、項目11〜13のいずれか一項に記載の装置(300、410〜412)。
[16]
前記装置が、前記ナノ構造の集合(207)と前記導電性部分(208)との間に、導電性及び/又は半導性の中間層(402、403)を含んでおり、ナノ構造の集合のそれぞれに、第二の個々にアドレス指定可能な電気的接続を提供している、項目11〜15のいずれか一項に記載の装置(300、410〜412)。
[17]
前記装置が、前記導電性部分(208)から直流的に絶縁しており、前記導電性部分に容量接続を提供している、導電性及び/又は半導性の、第二の中間層を含む、項目11〜16のいずれか一項に記載の装置(300、410〜412)。
[18]
前記ナノ構造が、第一の基材(200)に対して実質的に垂直に整列した、項目11〜17のいずれか一項に記載の装置(300、410〜412)。
[19]
前記絶縁性材料が、SiO、又はSiの少なくとも一つを含む、項目11〜18のいずれか一項に記載の装置(300、410〜412)。
[20]
前記導電性材料が、Al又はAuを含む、項目11〜19のいずれか一項に記載の装置(300、410〜412)。
[21]
前記導電性材料がAlを含み、前記絶縁性材料がSiOを含む、項目11〜20のいずれか一項に記載の装置(300、410〜412)。
[22]
前記導電性部分が、少なくとも一つの整流接合を含む、項目11〜20のいずれか一項に記載の装置(300、410〜412)。
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図3
図4a
図4b
図4c