(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基板は、可撓性電気絶縁体であり、ほぼ平面的な表面を含み、前記複数の電極、前記回路、および前記送信機は、前記ほぼ平面的な表面に沿って同一平面的な関係で配置される、請求項1に記載の液体センサ。
前記基板は、縦方向に沿って細長く、第1の電極が、前記縦方向に沿って延びる第1の導電性配線を含み、第2の電極が、前記縦方向に沿って延びる第2の導電性配線を含む、請求項1に記載の液体センサ。
液体が前記電極と接触する場合に濡れ事象が発生し、センサ使用者のため前記電子データベースに記憶された濡れ事象履歴データに基づいて前記センサ使用者の未来の濡れ事象を予測するために機械読み取り可能なプログラム命令を実行するように構成されたコンピュータプロセッサをさらに含む、請求項11に記載の濡れ検出システム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上記概要および好ましい実施形態の詳細な説明では、本発明の(方法ステップを含む)特有の特徴を参照する。特有の特徴が本発明の特有の態様または実施形態との関連で開示されているが、この特徴は、本発明の他の特有の態様および実施形態との組み合わせで、および/または、関連で、そして、本発明全般において、可能な範囲で、同様に使用できる。
【0012】
用語「〜を含む(comprises)」は、他の構成要素、特徴、ステップなどが場合によっては存在することを意味するために本明細書で使用される。2つ以上の規定されたステップを含む方法が本明細書で参照されるとき、これらのステップは、(文脈がこの可能性を除外しなければ)いかなる順序でも、または、同時に実行でき、この方法は、規定されたステップのどれよりも前に実行される1つ以上のステップを(文脈がこの可能性を除外しなければ)規定された2つのステップの間に、または、全ての規定されたステップの後に含むことができる。
【0013】
本明細書では、いくつかの好ましい実施形態を参照して本発明をさらに十分に説明する。本発明は、しかし、様々な形式で具現化されることがあり、本明細書に記載された実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が本発明の好ましい実施形態を当業者に伝えるために提供される。
【0014】
本発明の具体的な態様および好ましい実施形態について詳細に説明する前に、本発明に関連する一般的な原理の一部を最初に検討する。本発明の特有の重要な態様は、おむつまたはブリーフのような下着の内側にこの中の濡れを検出するために設置できる挿入物に組み込まれることがある小型電源内蔵式濡れセンサである。センサは、代替的に下着と統合されることがある。
【0015】
病院または病後診療所のような施設環境では、センサは、たとえば、濡れたおむつが、患者の介護人によって素早く対処され得るように、失禁に苦しむ患者に装着されることがある。このような環境では、電子トランシーバが、監視されている各センサに、または、特定の場所もしくは部屋に割り当てられることがある。トランシーバは、ワイヤレスの受信および送信電子部品を収容し、バッテリ給電式である。トランシーバは、患者から遠く離れて設置されることがあり、または、患者に装着されることがある。トランシーバが患者に装着された場合、患者の動きおよび姿勢を検出するために、温度センサ、加速度計、GPS受信機または他の地理的測位ユニットを含むことが望ましい場合がある。単一のトランシーバが好ましくは複数台のセンサと通信できる。
【0016】
トランシーバは、さらに、標準的なワイヤレスプロトコルを介してコンピュータデータベースと通信することができ、そして、コンピュータデータベースの位置と監視すべきアイテムとを識別することができる。データベースと関連付けられたコンピュータシステムは、送信に肯定応答し、このアイテムに専用のデータファイルを確立するか、または、再開する。データファイルは、各送信の目的と、送信の日時とを含む。「送信目的」の例は、これらに限定されないが、センサが取り付けられたこと、受信機バッテリ低下、加速度計無作動、過剰なまたは予期せぬ加速度計の運動、濡れの度合い、「濡れ閾値到達」警報、センサからの最後の送信、センサからの最初の送信、患者位置情報、許容範囲外の動き、および/または、患者が支援を必要とすることを含む。この情報を、その後、上記データへのアクセスの権限をもつどの装置によっても電子的に精査するため利用できるようにしてよい。
【0017】
監視すべきアイテムが液体の侵襲(insult)を受けるとき、センサのガルバニ電池が液体によって作動され、それによって、電力をセンサの電子部品に供給する。センサ安定化および電力統合の遅延の後、センサは、検知されている濡れに比例する時限間隔でデータパケットを送信し始めるか、または、限定されることはないが、電圧、アンペア数、インピーダンス、または容量を含むガルバニ電池の濡れ依存アナログ出力に関する情報を送信する。データバーストは、適用できる場合、センサ識別表示コードを含むことがある。このセンサに事前に割り当てられたトランシーバは、データバーストを受信し、センサを識別し、ローカル・データ・テーブルを開始し、液体検出の実際の最初の瞬間をデータベースに記録する。
【0018】
トランシーバは、その後、この情報をこのアイテムに割り当てられたデータベースにワイヤレス中継することを試みる。トランシーバが通信ネットワークの範囲内にない場合、トランシーバは、肯定応答をコンピュータシステムから受信するまで、データを定期的に再送信するものである。新しい事象データは、トランシーバが付加データを送信する原因になるものである。データは、漏れた流体の量、漏れた流体の一般的なタイプ、および発生回数を含むことがある。
【0019】
その一方で、センサは、引き続きデータパケットを定期的に送信し、センサ濡れ情報を繰り返す。センサから情報を送信するいくつかの方法が実現可能である。一実施形態では、センサに関連する情報は、パルス間タイミングによって送信される。パルスレートは、より多くの液体が検出されたとき、速くなるものである。たとえば、センサがさらなる液体侵襲を受ける場合、バースト間の期間は、短縮され、トランシーバは、付加的な濡れ事象としてこれを記録する。トランシーバは、その後、この新しいデータをデータベースに送信する。別の実施形態では、センサから受信された濡れの度合いに対応するアナログ値は、トランシーバにデジタル的に送信される。多くの異なるプロトコルまたは送信方法がセンサとトランシーバとの間で可能である。センサは、RF送信または流体導電によってデータを送信する。導電メカニズムは、センサと同じ流体に接触した導電性パッドを用いて検出器によって読むことができる小さな振幅の電気的なバーストの使用を通じて動作する。
【0020】
送信された情報は、典型的に非常に小さいため、非常に素早く、たとえば、マイクロ秒単位で送信できる。一実施形態では、複数台のセンサが衝突防止プロトコルを介して通信スロットを用いて同時に通信する。トランシーバは、第1のスロットの開始を示す周期的情報と共にクロック信号を送信する。このタイミング情報を検出する各センサは、スロットをランダムに選択し、このタイミング中に情報を通信する。スロットの数は非常に大きくなる(効率的な通信スループットを維持した状態で容易に1000となる)可能性があるので、どれか2台のセンサが同じスロットを選択するランダムな可能性は、本質的に零である。通信が受信機によって適切に受信されたとき、受信機は、情報が適切に受信されたことを示す情報をセンサに送信できる。センサがこのハンドシェークを受信しない場合、センサは、別のセンサと衝突している可能性があり、別のスロットをランダムに選択してよい。当分野において周知のように、情報の複数の発信元の通信を可能にするために双方向通信を使用する多くの他の方法が可能である。
【0021】
積分発火通信が利用されるとき、システムは、送信するため利用できる総時間に対して相対的な小さいバーストサイズを活用する。一方向通信シナリオでは、センサは、ランダムな開始時刻にデータパケットを送出し、受信機は、様々なアルゴリズムを用いてパルス列を区分化する。「独立成分分析」と呼ばれる1つのこのような適切なアルゴリズムは、信号の反復性の中でパターンを探索し、原因の数または原因の正体についての知識がなくても独立した原因を見つける。双方向通信および積分発火通信を用いて、データパケットを、トランシーバのクロック信号によって定義されたスロットに同期させることができる。データパケットは、閾値に到達するまで積分され、その後、送信の(ランダムにまたは主受信機によって)割り当てられたスロットが次に達した場合にのみ送信が行われる。
【0022】
センサは、好ましくは、ほぼ平面的なフォームファクタを有し、小さい3D形態がメタライゼーション領域、電子バースト化回路、様々なコーティングなどのセンサ回路を画定する。ほぼ平面的な幾何学的性質は、システムが本明細書に記載された用途のような多数の用途使用されることを可能にする。センサは、信号方向性を容易にするのを助けるため、流体管理構造を可能にするため、または、より適切な配置を可能にするために、完全に3次元であってよい。
【0023】
本発明の様々な態様および実施形態は、多くの利点を有している。これらの利点のうちの全部ではないが一部についてここで説明する。本発明の全ての態様および/または実施形態がこれらの利点の全てを実現するために必要とされるわけではない。
【0024】
濡れセンサ自体は、多くの利点を有している。濡れセンサは、液体接触によらない限り作動されないので、ほぼ無限の寿命を有している。センサのいくつかの実施形態は、小型、可撓性、および使い捨てである。
【0025】
センサ組立体のある種の実施形態で使用される液体流制御技術は、必要に応じてセンサへのまたはセンサからの液体の流れを方向付けるために、標準的なおむつ材料の一意的な組み合わせを使用する。これは、大きな領域が最小の台数のセンサを用いて監視されることを可能にする。
【0026】
積分発火RF技術は、拡張された範囲の検出を可能にしながら、無バッテリ動作(エネルギーハーベスティング)を可能にする。これは、データストリームのパルスタイミングの中に情報を組み込むことにより拡張データ送信をさらに提供する。
【0027】
センサを製作する費用は、ことのほか安価であり、このことは、使用後にセンサを処分され易くする。
【0028】
本発明のこれらの態様および実施形態のより詳細な説明について次に検討する。
【0029】
A.濡れセンサ
最初に
図1を参照すると、本発明の一実施形態による電源内蔵式濡れセンサ10aは、導電性液体Lと接触した場合、その回路を動作させるために必要とされる電力を自然発生する。センサの回路は、電磁信号12を遠隔電磁検出器14に送信するためにこの電力を使用する。信号12は、導電性液体Lを発生させた濡れ事象に関する情報を含む。センサ10aのさらなる詳細およびセンサ10aの代替的な実施形態について
図2〜5に関連して次に説明する。
【0030】
図2および
図3において具現化された濡れセンサ10aは、センサ電子部品22が上に置かれている基板20を含む。センサ電子部品22は、第1の導電性リード線26および第2の導電性リード線28を備えた電池又はガルバニ電池24(galvanic cell)を含む。ガルバニ電池24の導電性リード線26、28は集積回路30と電気的に接触しており、集積回路30はアンテナ32と電気的に接触している。電気的絶縁層34がセンサ電子部品22の上に設置されているが、ガルバニ電池24を露出させたままである。いつも必要とはされないが、
図2に表現されているように、センサ10aを所望の表面に取り付けるアタッチメント部材36を、センサ10aの、センサ回路22とは反対側の面に設置してよい。適切なアタッチメント部材36には、接着剤、接着テープ、フックおよびループ型留め具などを含む。
【0031】
センサ10aを、所望されることに依存して、非常に小型にまたは非常に大型に構築してよい。多くの用途に対して、センチメートルからミリメートルのオーダの寸法を有する非常に小型のセンサを使用することが望ましい。好ましい実施形態では、センサ10aは、縦方向に約2cmであり、厚さが約1mmである。
【0032】
次に
図4および5を参照すると、本発明の一実施形態による増大した濡れ検出領域Aを有しているセンサ10bが、基板20と、センサ回路22と、第1の導電性リード線26および第2の導電性リード線28を備えたガルバニ電池24と、集積回路30と、アンテナ32と、電気的絶縁層34とを含み、これらの全てが同じ方法で動作するように構成されている。しかしながら、基板20は、複数の導電性リード線延長部40を収容するために細長い。導電性リード線延長部40は、上記リード線延長部40が導電性液体と接触した場合にガルバニ電池24が電気を発生させるように、リード線26、28と電気的に接触している。
【0033】
基板は、好ましくは、様々なポリマー類を含む薄い可撓性材料で作られる。適切な材料の例は、これらに限定されないが、ポリエステル類、ポリオレフィン類、ポリイミド類、アクリル類、ビニール類、および紙類を含む。
【0034】
電気絶縁層は、好ましくは、様々なポリマー類を含む薄い可撓性材料で作られる。適切な材料の例は、これらに限定されないが、エチルセルロース、エポキシ類、シリコン、およびPETE(テフロン(登録商標))を含む。
【0035】
センサ10a、bのどちらの実施形態でも、ガルバニ電池24は、センサが、たとえば、尿、血液、または何らかの他のイオン含有液体のような体液を含むことがある導電性液体で濡れた場合、センサ10a、bを自己給電する。なぜなら導電性液体が導電性リード線26、28の間に電気的な接触を形成するからである。
【0036】
好ましい実施形態では、ガルバニ電池24bは、様々な濡れ状況において電流、電圧、または抵抗などの測定可能なアナログ出力を作り出す。濡れた場合、ガルバニ電池24は、電力をセンサ10a、bに供給する。ガルバニ電池24は、濡れると直ぐに、集積回路30に給電し始めるものである。これが、今度は、電磁信号検出器14によって読むことができる電磁信号12を送信するアンテナ32を作動させる。
【0037】
導電性リード線26、28は、好ましくは、バッテリのアノードおよびカソードに類似する種々の還元/酸化電位を有する種々の金属または化合物で作られる。導電性リード線26、28が導電性液体の中に置かれると、電圧および電流が発生する。リード線26、28を作るために使用する材料は、いかなる数の金属、および/または導電性カーボンベースのインクからも選んでよい。好ましい第1の導電性リード線26/第2の導電性リード線28の組み合わせは、カーボンベースのインク/亜鉛、銀/亜鉛、銅/亜鉛、銀/マグネシウム、銅/マグネシウム、またはこれらの様々な塩(たとえば、塩化銀またはリン酸銀)を含む。
【0038】
必要に応じて、リード線26、28のために使用する金属を、新しい化学化合物または材料状態/特性(相、結晶性、表面テクスチャ)を生成するために、複数の化学反応または物理反応によって変換してよい。一例として、銀を、リン酸イオンの存在下で正電圧を銀膜に静電印加することによって、リン酸銀に変換してよい。このようにして、リン酸銀カソードを亜鉛アノードと共に使用して、ガルバニ電池を形成してよい。新しい化合物は、変換されていない電極と比べて、差動電圧における変化をもたらす。マグネシウムおよび亜鉛は、マグネシウム/亜鉛アノードを作り出すために蒸着または他の方法によって合成できる。リード線106、108における他の変化を巧く利用することも同様に考慮される。これらの変化には、ガルバニ電池の電気出力における変化を引き起こす相転移、状態遷移、構造変化、および他の材料転移を含む。変換は、ガルバニ電池のアノードまたはカソードで起こる可能性がある。
【0039】
高ピーク電流負荷に対して、さらなる容量をセンサ回路22に追加してよい。容量は、集積回路30、センサ10a、b自体、または基板20に追加することができる。たとえば、ガルバニ電池24と集積回路30との間のプリント・トレーシングが、誘電体によって分離された2つのプリント金属板を収容してよく、上記誘電体は、ピーク電流負荷に対処するために十分な電荷を蓄積することになる容量を生成する。容量を追加する他の方法が同様に考えられる。
【0040】
ガルバニ電池24のソース抵抗または電圧を、センサ10a、bの付近での濡れの量の尺度として使用してよい。電流の流れは、2つのシナリオにおいて、ガルバニ電池24の電圧をピーク動作電圧より引き下げ始めることになる。上記2つのシナリオとは、(1)ガルバニ電池(24)が集積回路30においてガルバニ電池の出力で負荷を与えられている場合、および/または(2)導電性液体の量がリード線26、28の間で電気化学反応を維持するのに不十分である場合、である。これらのシナリオの一方または両方は、センサ10a、bに与えられた液体の量に伴って変動する、出力電圧、従って、決定されたソース抵抗をもたらすことになる。電池電圧は、イオン流体の性質とリード線26、28を接続する濡れの度合いとの関数である。あらゆる瞬時的な濡れに加えて、液体流制御の使用によって、リード線26、28を接続する液体の量は、時間と共に消失させられる可能性がある。ガルバニ電池24の周囲環境の濡れの度合いは、液体がガルバニ電池24のすぐそばの領域で消失する速度に影響を与える場合がある。液体が消失するのにつれて、ガルバニ電池24の内部抵抗が増加し、上記内部抵抗を濡れの指標として使用してよい。濡れの程度および消失現象は、送信されるデータパケットの比例的な時間間隔の開きに変換される。
【0041】
ガルバニ電池24によって生成される電圧は、ガルバニ電池24の幾何学的性質による影響も受けることがある。たとえば、細長い平行した電池リード線26、28は、導電性液体に晒された場合、ガルバニ電池24に紛れもない抵抗変化を生成する。液体がセンサ10a、bと接触すると、リード線26、28は、徐々に濡れ、電流を生成する能力をもつことになる。所定の濡れた領域での電流または電圧は、その後、測定できる。ガルバニ電池24の出力電圧は、その後、集積回路30によって測定される。
【0042】
その結果、ガルバニ電池24の電圧、電流、および/または抵抗は、センサ10a、bの付近で濡れの度合いを推定するために使用できる有用なデータ点を提供する。しかし、役立てるために、これらのデータは、好ましくは、アンテナ32から検出器14に送信される。実際には、集積回路30は、所定の時間でデータバーストを使用してアンテナ32を介してこの情報を検出器に送信する。データパケットの特性は、ガルバニ電池24からの入力電圧に依存する。センサ10a、bから検出器14にこのデータを通信する他の適切な方法には、デジタルの方法と、周波数または振幅を変える従来どおりの方法とを含む。
【0043】
化学的または物理的に変更されたリード線26、28を、異なる導電性液体を区別するために使用してもよい。イオン濃度および/または原子組成(の違い)によって異なる濡れ液体は、ガルバニ電池24の出力電気特性を変更する場合がある。たとえば、尿の存在している所でのガルバニ電池24は、1Vしか生成しない可能性があるが、こぼれたジュースが存在している所では、ガルバニ電池は、1.4Vを生成する可能性がある。同様に、ガルバニ電池24の電流または内部抵抗は、濡れのタイプに依存して変化することがある。
【0044】
これに関連して、センサ10a、bの特に有利な使用は、おむつ濡れセンサとしてのものである。この場合、ガルバニ電池24は、尿とこぼれた飲料とを区別し、尿だけに応答して信号を検出器14に送信するために使用することができる。
【0045】
集積回路30は、リード線26、28の間の電圧を測定し、対象の電子的な読み取りに濡れ原因の付近で到達した場合および/または時、検出器14に送信される信号12を発生させる。センサ10a、bが濡れ原因に十分に近接していない場合、化学的な変換は進行しなくなるため、電圧が目立って変化することはなくなる。このようにして、電圧を、検出された液体が重要なものであることを確認するために、センサ10a、bを介して検出器14に伝達してよい。
【0046】
従来どおりの濡れセンサは、検体特異性を対象として設計する場合には典型的に非常に複雑になり、あるいは、非常に簡単すぎるために検体特異的ではなくなる。リード線26、28の材料変換は、特に、典型的に人体で見つけられる、限定された化学物質の範囲に対して、特異性の増大を可能にする。その上、多くのpHセンサ、電位差センサ、作動センサ、光/蛍光センサ、またはその他のものは、入力信号を分析するために電力を必要とする。入力エネルギーを必要としない(そして、実際には、電池それ自体に給電できる)システムであるので、本発明の材料変換濡れセンサは、部品および設計複雑さを最低限の状態に保つ。付加的な能力に関して、数マイクロアンペアの電流しかを必要としないセンサは、ガルバニ電池24a、bから電力を導出できるので、同様に適切である。
【0047】
センサ10a、bは、抵抗もしくは容量を測定する方法でガルバニ電池24を使用すること、または簡単なコーティングを使用して様々な種類を試験することを可能にする、エネルギーを蓄積する。センサ10a、bを、イオン、分子、電位差、極性、電荷、または溶媒に選択性がある1つ以上のコーティングで被覆してよい。例示的な実施形態では、塩化物イオンに対して選択性があるポリウレタンコーティングがリード線26、28に被覆され、センサ10a、bが失禁事象で見られる塩類のような塩類の存在、または飲料水中の不純物をチェックするため使用できるようにする。
【0048】
ウレアーゼは、様々な電界効果トランジスタ(FET)と併せて使用される場合に尿中の尿素の存在下でさらなる電気インパルスを生成するために、検体選択性電気化学センサとして使用されることがある。
【0049】
さらに別の例示的な実施形態では、リード線26、28は、ある所望の液体の存在下に限り溶解する材料で被覆される。
【0050】
図25を参照すると、センサ10aは、リード線26、28の上に置かれたコーティング412を含む。
【0051】
ガルバニ電池24の電圧出力は、集積回路30によって測定でき、触れた液体のタイプおよび/または濡れの度合いを示すデータパケットの一部として検出器14に送信できる。
【0052】
集積回路30は、低電圧(最大で1V)および低電力(最大で10μW)を必要とする、非常に低電力の低帯域幅通信回路を実施する。入力電力は、種々のエネルギーハーベスティング手法によって供給できる。
【0053】
いくつかの例では、ガルバニ電池24の電圧レベルは、正確なセンサ情報(たとえば、濡れ)を決定するために十分なダイナミックレンジを有していないことがある。センサ回路22の内側または外側に抵抗性負荷を置くことにより、電圧レベルを修正して、センサ10a、bからより優れた情報を提供することができる。いくつかの例では、通常動作中に電力がセンサ回路22に自由に流れるが、電圧レベルが測定されているときに限り抵抗性負荷を追加することを可能にするために、抵抗性負荷をオンおよびオフに切り替えることが望ましいことがある。
【0054】
非常に小型のガルバニ電池24を使用する欠点は、定常状態の電圧および電流を取得するのに著しい制限があることである。この欠点を克服するために、「積分発火(integrate and fire)」と称されるエネルギーハーベスティング手法が好ましいシグナリング方法として本発明者らによって選ばれている。従来どおりのRF出力シグナリングは、小型ガルバニ電池が発生できる電力より著しく多量の電力を必要とするが、送信されるべき情報の量は、非常に短時間に、典型的に、マイクロ秒の範囲内で送信することができる。積分発火手法を使用して達成された設計目的は、送信バースト出力電力において1000対1の利得を可能にする。
【0055】
ガルバニ電池24の電圧出力は、検出器に送信される信号を直接的に変調または修正するためにも使用できる。好ましい実施形態では、「積分発火」方法を使用して、センサ10a、bのバーストレートは、ガルバニ電池24の電圧レベルによって修正される。抵抗器、コンデンサ、およびトランジスタを含むアナログ回路が、ガルバニ電池24によって発生させられた電力を閾値に達するまで蓄積するために使用される。いったん閾値に達すると、上記電力は、センサ回路22に給電し、それによって信号バーストを送信するために、放出される。積分発火手法は、有用な情報が送信されるデータストリームの構成の中に組み込まれることを可能にしながら、超低電力送信の能力を容易にする。積分発火手法は、超低電力消費、低コスト、および超小型のフォームファクタを有するセンサ10a、bを提供することを含む、複数の目的を有している。
【0056】
本明細書で利用される「積分発火」送信手法は、比較的高いRF雑音環境において超低電力送信を達成する。この手法は、送信されるデータの量がこれを送信するために利用できる時間が比較的長いけれども比較的少量であるので、実際的である。実際上、ガルバニ電池24の電圧出力は、集積回路30に給電し、さらに、電荷積分用コンデンサを充電する。集積回路30が電気的活性を管理している間に、積分用コンデンサは充電中である。電圧閾値に達した場合の集積回路30からの命令で、充電されたコンデンサは、充電時間より数桁短い出力パルス間隔でアンテナ32を駆動する電圧乗算回路に接続される。送信されるパルスにおいて利用可能なRF電力は、電圧乗算器に送信機回路を加えた効率が乗じられた放電時間に対する充電時間の相対間隔の関数である。
【0057】
パルスの間の時間間隔を監視することにより、電荷蓄積コンデンサの充電率を決定できる。電気化学電池が低い濡れの度合いを表す高いソースインピーダンスを有する場合、コンデンサは、充電するためにより長い時間を要する。続いて起こるRF送信バーストの間の時間は、その結果、センサ10a、bが検出している濡れの度合いの指標である。送信されたアナログデータの指標として時間領域を利用し制御することにより、高いRF雑音環境における超低電力送信の著しい改善が実現される。
【0058】
センサ10a、bは、非常に低電力で動作できるので、濡れがガルバニ電池24を作動させる間は長期間に亘ってホストシステムの中に埋め込むことができ、受動RFIDシステムが達成できる範囲を遥かに超える範囲でセンサにRF信号を送信させることができる。
【0059】
本明細書において採用された積分発火の概念の第2の目的は、監視される入力信号の値の指標としての送信バーストの間の時間間隔を制御することである。
【0060】
鉛−液体の組み合わせの異なった電圧または電流の能力は、異なった信号バーストレートを生成する。同様に、異なるバースト長さ、振幅、または周波数を、鉛−液体の組み合わせの電圧または電流に基づいて作り出すことができる。これらの方法は、遠隔検出器へのセンサ値の電源内蔵式送信を実現する。これらのシグナリング方法は、好ましくは、集積回路30に組み込まれる。好ましくは、集積回路30は、可撓性基板に印刷され、非常に小型、可撓性、かつ実質的に平面的なセンサ送信システムを生成する回路電子部品である。
【0061】
センサ10a、bに自己給電する代替的なアプローチは、注液型の(water-activated)、RFIDタグに埋め込むことができるバッテリである。このようなバッテリの実施例は、海上のソノブイに役立つ一次予備バッテリを開示する米国特許第5,395,707号に記載されている。バッテリは、従来の塩化鉛バッテリと同等な電圧、アンペア数、および動作時間を与えるために、アレイ内でカソードとしてヨウ化銅、そして、アノードとしてマグネシウムを使用する。ソノブイが環境内での劣化によりもはや役立たなくなると、鉛が海中に出されることはなくなる。構造的なフレーム部材が堅固なアレイの中で壊れ易いヨウ化銅を保護し、バッテリの効率的な動作を確実にするためにガスおよびスラッジ物の適切な通気を行う。
【0062】
水のような他の液体によって作動される他の種類のバッテリを、文献で見つけることができる。たとえば、米国特許第4,185,143号は、アノードおよびカソードが平面的な部材として形成され、多孔性絶縁体が間に介挿されている金属/有機ハロゲンの対を使用する注液型バッテリを開示する。電池全体を通じて電解液へのアクセスを可能にするためにチャネルが設けられている。チャネルは、カソードにおいて切断されることがあり、または、カソードは、電流コレクタバッキングプレートに堆積したカソード反応材料の離散的な部分として形成されることがある。米国特許第5,395,707号および第4,185,143号の中でこれらのそれぞれのバッテリについて説明する部分を、参照により本明細書に援用する。
【0063】
ガルバニ電池24を除いて液体の存在を検知する代替的な手段がさらに存在する。たとえば、ガルバニ電池24の他に1台以上の低電力センサを使用してよい。たとえば、検体選択的であるが電力の大部分を供給する責任を担うアノードまたはカソードを使用することが可能である。
【0064】
B.濡れセンサ組立体
本発明のさらに別の態様では、センサ10a、bは、センサ10a、bの付近で液体の運動を管理するために設計された構成要素を有するセンサ組立体に組み込まれる。
【0065】
本発明の態様により製作されるセンサ組立体は、液体管理のために一意的な、しかし簡易な物理メカニズムを利用し、安価な材料を使用して液体レベルを測定し、所望のとおりセンサ10a、bへの液体流を制御する。
【0066】
センサ10a、bを本発明のセンサ組立体の中に入れることにより、迷惑な濡れ(汗、滴、結露)に起因する誤った警報を防止する簡単な解決法が得られる。
【0067】
センサ組立体は、センサ10a、bへの液体の流れを制御するように適合された複数の材料層を含む。これらの材料には、親水性最上層と、獲得および分配層と、吸収層と、非吸収バッキング層とを含みうる。センサ組立体は、下着もしくはおむつのための、または、女性用衛生パッドとして、挿入物にされることがある。代替的に、センサ組立体は、所望のとおりに、おむつの中またはおむつ以外のものの中のいずれかでおむつの製造工程に組み込まれることがある。
【0068】
センサ組立体は、女性用衛生パッドを製造するために使用されるものと類似する製造手法および層化を使用して構築される。
【0069】
材料層は、シート、膜、多孔性繊維、コーティング、ゲルなどであってよい。一実施形態では、液体管理層および吸収層を含む2つの材料シートは、センサの反対側に貼られる。層材料は、ポリマー、ワックス、ゼラチンおよび繊維を含むいかなる数の材料からも選んでよい。
【0070】
図6を参照すると、本発明の一実施形態によるセンサ組立体60aは、複数の材料層の間に位置するセンサ10aを含む。矢印は、濡れ原因からセンサ組立体60aに向かう濡れ流れの方向を示す。センサ組立体60aは、最上層62と、液体管理層64と、吸収層66と、最下層68とを含む。
【0071】
使用において、最上層62は、濡れ原因に最も近接して置かれることになる。最上層62は、好ましくはスパンボンドポリエステルで作られ、尿のような導電性液体を使用者の皮膚から分離しながら液体が下にある材料層まで通過することを可能にする。最上層62は、センサ組立体60aの最上面および全体形状をもたらす。スパンボンドポリエステル材料は、おむつにおいて最上層として広く使用される。
【0072】
液体管理層64は、センサ10aが使用者からの水分、湿気、尿滴、または汗のような「迷惑な事象」によって始動させられることを防止するように適合されているので、特に有利である。液体管理層64は、好ましくは、ポリエチレンまたは類似する防水性ポリマーのような不透水性材料で作られる。
図6に示された実施形態では、液体管理層64は、液体が吸収層68まで動くことを可能にするために最上層62および吸収層68より小さい。
【0073】
前述のとおり、液体管理層64は、センサ組立体60aのより優れた機能性を可能にする。液体管理層は、センサ10aが直接濡れることを防止するので、迷惑なまたは少量の濡れ事象に起因する誤った警報の予防を可能にする。
【0074】
その上、液体管理層64は、液体検知において程度の制御も行う。吸収層66と併せて、液体管理層64は、センサ10aを始動させるために必要とされる液体の量を制御して、濡れ事象を報告する信号12を送出することを可能にする。センサ10aが液体管理層64と吸収層66との間に介挿される実施形態では、センサ10aを始動させて信号12を送出するために必要な液体の量は、液体管理層64のサイズに関連している。より小さい液体管理層64は、より大きい層よりも、液体がセンサ10aにより近接した位置で吸収層66に到達することを可能にする。
【0075】
液体管理層64は、液体検知制御の程度を高めることができる複数の形状、幾何学的性質、およびパターンからなってよい。液体管理層64を、使用者の空間姿勢と無関係に液体をセンサ10aの方へ案内するのに役立つように成形してよい。たとえば、液体管理層は、特に、吸収層66aが液体をセンサ10aに分配することを妨げられることがある場合、液体吸収のための入口としての機能を果たすためにセンサにより近接した複数の開口区域を有してよい。このようにして、特に男性使用者について、液体侵襲がセンサ10aから遠く離れて起こる場合、液体管理層64は、液体をセンサ10aに向かって排出する。
【0076】
液体管理層64を、液体流を大幅に制限し、吸収層が滴または少量の排尿のような迷惑な濡れ事象で飽和することを妨げ、または遅らせる、半透性材料で構成してよい。代替的に、液体管理層は、濡れを吸収するがセンサ10aの直接的な濡れを防止するように、吸収材料の層と液体不浸透性材料の層との組み合わせでもよい。液体管理層64は、好ましくは、ポリエステル類、ポリエチレン類、ポリプロピレン類、ポリスチレン類、アクリレート類、または他の不透水性材料から選択された1つ以上のポリマー類で作られる。
【0077】
特定の層のサイズは、検出される濡れの量、濡れ領域、および層が作られている材料を条件とする。一般に、液体管理層64は、吸収層66より小さいがセンサ10aより大きいか、または、特定の部位で吸収層66を濡らすために液体を方向付ける多孔性もしくは開口構造体を有しているかのいずれかである。液体管理層64の頂部で直接的に濡らされた液体は、液体管理層64の表面を横切り、下にある吸収層66を濡らし、この吸収層が続いてセンサ10aを濡らす。液体管理層64は、センサ10aと液体との直接的な濡れを防止するためだけに使用してもよいが、そうではない場合、吸収層66が最初に濡れることを可能にする。
【0078】
液体管理層64は、導電性液体の大部分が上記液体管理層の中を流れることを可能にするために上記液体管理層の中に孔を有してよく、流体を収集するために本質的に材料のメッシュだけをそのままにしておく。これは、流体がセンサ10aに蓄積されることを妨げる。
【0079】
液体管理層64は、大きな領域から流体を収集し、この流体をセンサ10aの方へ汲み上げる流体ウィッキング・アーム/スレッド/チューブを有してよい。
【0080】
本実施形態では、センサ10aは、液体管理層64と吸収層66との間に位置している。センサ10aは、液体管理層66に接触している基板20の裏面と方向を合わされている。センサ回路が位置しているセンサ10aの面は、吸収層66と接する。この方向は、リード線26、28が吸収層66の中の導電性液体によって濡れることを可能にする。
【0081】
本実施形態では、基板20は、好ましくは、面積200mm
2未満である。リード線26、28は、それぞれ、リン酸銀およびマグネシウムから作られる。リード線26、28は、好ましくは、9mm
2未満の面積と0.25mm未満の厚さとを有する。アンテナ32は、好ましくは、ポリエステル基板に印刷された銀粒子インクから作られる。
【0082】
吸収層66は、好ましくは、従来どおりのおむつで使用されるハイドロコロイド材料のような、水を吸収する場合に膨らむハイドロコロイドタイプの材料で作られる。この機能を実現する能力をもつ適切な材料には、セルロース材料を含む。吸収層66は、センサ10aに向かって導電性液体を吸い上げる(wick)。
【0083】
吸収層66は、単一の小型センサ10aを使用して広い領域の検知を可能にする。吸収層66は、センサ組立体60aの遠隔領域からセンサ10aに液体を輸送するために効果的に作用する。ラテラル・フロー・ストリップ材料のような急速な吸い上げまたは毛細管特性をもつ材料は、本実施形態のため理想的である。これは、通常利用可能であるより長い距離の検知を可能にさせる。
【0084】
乾燥センサは、一杯になるよりもむしろ空になる袋で使用できる。ウィッキング剤は、貯蔵庫またはさらなる吸収層への液体の連続的な輸送を可能にする。液体がもはや利用できない場合、ウィッキング材料が空になり、これ以上この部位で液体をシグナル通知しない。
【0085】
吸収層66を、長時間に亘る少量の液体および水分の収集を可能にする液体保持材料で作成してよい。液体は、さらなる液体が収集されるにつれて、センサ10aに向かって連続的に移動する。十分な液体が収集された場合、センサ10aが始動され、信号12が検出器14に送信される。このようにして、遺尿が軽微な濡れ事象の形の使用者が、個々の濡れ事象が信号を始動させるのに十分でない場合でさえも、十分な濡れ事象の後に濡れ信号を始動させることがさらに可能となる。
【0086】
最下層68は、好ましくは、最上層62と同じ材料で作られ、最上層62と同じサイズである。最下層68は、液体が下にある下着まで通過することを可能にし、センサ組立体60aの最下面をもたらす。必要に応じて、センサ組立体60をおむつのような下着72に貼り付けるため接着剤70を最下層68に塗布してよい。センサ組立体が標準的なおむつと共に使用される場合、最下層68は、好ましくは、親水性特性をもつスパンボンドポリエステルで作られる。しかし、センサ組立体60aが下着挿入物のような独立型の液体吸収製品と共に使用される場合、最下層68は、好ましくは、表面界面活性剤が添加されていないプロピレン樹脂で作られる。この布のような膜は、センサ組立体60aからの漏れを防止する。
【0087】
センサ組立体の他の構成体がさらに可能である。
図7を参照すると、センサ組立体60bの代替的な実施形態では、センサ10aは、吸収層66に組み込まれ、液体管理層64は、吸収層66bの頂部に置かれる。最下層68は、液体管理層64の反対側である吸収層66の面に位置している。
【0088】
図8を参照すると、センサ組立体60cの別の代替的な実施形態では、液体管理層64は、センサ10aおよび吸収層66を取り囲む。本実施形態では、液体管理層64は、好ましくは、最低限の多孔性の、膨脹可能な、もしくは、徐々に劣化/分解する材料、または、液体の流れを完全に阻止することなく液体の流れを遅らせる何らかの別の材料を含む。代替的に、液体吸収層66は、液体が液体管理層64の上に溜まることを防止するために液体管理層64を取り囲んでもよい。
【0089】
図9および
図10に示されたセンサ組立体60dのさらに別の好ましい実施形態では、液体管理層64は、吸収層66に重なるが、上記吸収層のおおよその形状および輪郭に追従する。液体が液体管理層64を通ってセンサ10aの付近で吸収層66に向かって流出することを可能にするため、複数の穿孔90が液体管理層64を貫通する。
図10の穿孔90における矢印は、液体流の方向を図示する。
図9において、液体管理層64は、センサ10aが位置している場所の理解をもたらすために透明であるとして図示される。
【0090】
センサ組立体で使用されるセンサ10aの寸法を、所望どおりに調整してよい。
図11を参照すると、本発明の代替的な実施形態によるセンサ組立体60eは、細長いセンサ10bと、最上層62と、液体管理層64と、吸収層66と、最下層68とを含む。この構成は、濡れ領域が広く、そして、センサ組立体60eが女性用衛生パッドを置き換えるか、または、男性もしくは子供のおむつもしくはパンティのための挿入物として機能する場合に有用である。
【0091】
センサ組立体の様々な実施形態は、大人用または赤ちゃん用のおむつまたはブリーフを含む下着のための濡れ検出挿入物として特に有用である。
図12は、センサ組立体60を含むおむつ100を示し、上記センサ組立体は、本明細書に記載されたセンサ組立体60a〜fのうちのいずれでもよく、おむつ100の内側でおむつの股部位に位置している。センサ組立体60は、前述されたようなアタッチメントメカニズム36を使用しておむつ100に装着されることがある。
【0092】
図13に図示されているのは、2台のセンサ組立体60が股部位に位置しているおむつ100である。この構成は、大型の大人男性用おむつのような大型のおむつにおいて利用されると有利であるかもしれない。
図13に示された実施例では、センサ組立体60は好ましくは、
図11に関連して説明された細長いセンサ組立体60e、または以下で
図14に関連して説明されるセンサ組立体である。
【0093】
図14は、濡れ検知領域が非常に広くなることを可能にするのでこの状況において特に有用であるセンサ組立体60fの実施形態を示す。例示的な実施形態では、濡れ検知領域は、縦約30cmかつ幅約10cmである。センサ組立体60fの構造は、
図11に関連して説明された実施形態に類似するが、所望どおりにセンサもしくはセンサ群への、または、センサもしくはセンサ群からの液体の流れを制御するために獲得および分配(ADL)層110が追加されている。ADL層110は、多くのおむつ設計において従来から使用されている。ADL層110は、漏れを回避するように液体を移動させるために吸収層66fの上に位置している。おむつの前方から来る侵襲とおむつの後方から来る侵襲とを区別することが望ましい事例では、複数のセンサ10bを使用してよく、ADL層110は、これらの液体を分離した状態に保つために役立つ。
【0094】
C.下着に統合される濡れセンサ
図15を参照すると、本発明の別の態様は、1台以上のセンサ10が中に統合されているおむつまたはブリーフのような下着120である。センサ10がどのようにして中に統合されているかを示すこの下着120の構造の典型的な実施例は、
図16の下着120aの切取図において最も良く分かる。センサ10は、本明細書に記載されたセンサ実施形態のうちのいずれでもよい。下着120aは、センサ組立体に関連して説明された複数の同じ材料層を含む。下着120aは、使用者の皮膚から液体を遠ざけ、この液体を吸収材料の中に蓄積するためにおむつのように機能する。その結果、このような実施形態では、センサ10bは、下着120aを製作するために使用された材料層の中に統合される。その結果、センサ組立体のような下着120a挿入物ではなく、下着120aは、センサ10bが内蔵されている。
【0095】
下着120aは、最上層62と、ADL層110と、吸収コア122と、流体管理層64と、センサ10bと、吸収層66とを含む。最上層62は、好ましくは、親水性不織ポリプロピレン材料で作られる。これは、使用者に乾燥した感覚を与えながら、水分が下にある層まで中を進むことを可能にする。ADL層110は、典型的に、尿が付着している可能性が最も高い濡れ原因の近くに位置している。ADL層110は、液体を吸収層66の中に非常に素早く広げ、および/または移動させ、漏れの可能性を低下させるパッチの形式をしている。ADL層110で使用される材料の使用および/または選択は、吸収層66のため選択された材料に依存する。典型的なADL形成材料は、樹脂接着不織布、エアーボンド(air bond)不織布、有孔プラスチックで作られたアパーチャ膜のようなある種の「ハイロフト」構造で見られる「カールした」繊維である。この層は、典型的に、現行のおむつ/ブリーフ製造において使用される場合青色を有している。
【0096】
吸収コア122は、好ましくは、松の木に由来するセルロースパルプまたはポリプロピレンベースの合成繊維で作られる。吸収コアには、しばしば、付加的な液体吸収のため超吸収ポリマー(SAP)が分散させられる。吸収コア122が薄いほど、ADL層110は、吸収コア122の目詰まりを回避するために表面領域全域に水分を分布させるためより重要になる。本構成体では、センサ10bは、好ましくは、リード線26、28が流体管理層64と直接的に接触するように方向を合わされる。基板20は、好ましくは、少量の液体がセンサ10bに達することを遮るように設計された半透性材料である。これは、汗または軽微な濡れ事象に起因する誤った警報信号を削減する。液体管理層64は、液体がリード線26、28と接触する前に、液体を液体管理層64の周囲を越えて吸収層66まで強制的に移動させるように、センサ10bに重なる。流体管理層64は、その後、最終的にリード線26、28に達する液体の速度および量を制御する。
【0097】
図17は、下着120bという別の実施形態の切取図であり、下着120bは夜間を通じてずっと着用するという用途のために構成されたもので、したがって複数回の尿侵襲に晒されることになるという予想をもたらす。本実施形態は、液体蓄積および放出のためのメカニズムを含み、それによって複数回の侵襲を1つのセンサから監視することを可能にする。下着120bが濡れた場合、液体は、最初に、吸収層66に放出できるまで、1つ以上の液体保持ゾーン(チャンバなど)に蓄積される。センサ10bは、この液体保持ゾーンと接触し、侵襲をシグナル通知する。全ての流体がチャンバから取り除かれると、センサ10bは、信号送信を停止する。再び濡れると、センサ10bは、濡れ事象信号をもう一度送信する。この工程は、センサ10bが濡れゾーンから取り外されるまで繰り返される。
【0098】
図17の下着120bの実施形態は、流体蓄積および放出メカニズムを構成する複数の層を利用する。これは、最上層62と、ADL層110と、液体保持層124と、センサ10bと、吸収層66とを含む。最上層62は、液体が浸透することを可能にし、それによって乾燥の感覚を個人に与える。液体は、その後、ADL層110に移動し、そこで、液体は、液体侵入点の直ぐ下で吸収層66を目詰まりさせることを回避するために広い領域に分布させられる。ADL層110を通過した後、液体は、液体保持層124に浸透する。
【0099】
液体保持層124は、好ましくは、複数のアパーチャ126が中に形成されているプラスチック膜から作られる。センサ10bは、ガルバニ電池24が液体保持層124と直接的に当接するように方向を合わされる。アパーチャ126を囲む空隙は、液体がセンサ10bの下に位置している吸収層66によって吸収され得るまで、大量の液体を捕集する。液体がリード線26、28と接触する場合、ガルバニ電池24は、濡れ警報信号を検出器14に送出する電気を発生させる。液体の量が十分である場合、センサ10bは、濡れ警報信号を送出する。液体が吸収層66によって最終的に吸収された場合、ガルバニ電池24は、後に続く侵襲からの液体によって接触されるまで不活性になる。
【0100】
ガルバニ電池24の電圧および/または電流出力を増加させるために、濡れ液体の中のイオン種の濃度は、陽イオン塩および/または陰イオン塩を下着またはセンサ組立体の材料層のうち1つ以上に組み込むことにより増加させることができる。陽イオン塩は、これらに限定されないが、Na、K、Al、Fe、Ca、Auおよび/またはAg塩を含んでよい。陰イオン塩は、これらに限定されないが、Cl、F、Br、硫酸、リン酸および/または硝酸塩を含んでよい。好ましい実施形態では、1つ以上の塩がセンサ10a、bの付近で吸収層66に組み込まれる。代替案では、1つ以上の塩が液体の存在下で濡れる可能性がある接着マトリックスの中でガルバニ電池24の直ぐ隣に添加される。
【0101】
センサ10a、bを、おむつ製造工程中におむつの内側に設けてよい。たとえば、センサ10a、bは、おむつの不透水性裏地に、または、浸透性流体通過層の頂部に付加されることがある。吸収層によって吸収されない過剰な流体は、浸透性層に移り、おむつ濡れ制御システムに入る。
【0102】
さらに、新しい電子印刷技術を使用して、センサ10a、bを、おむつ製造中におむつの上または中に印刷してよい。
【0103】
サイズと濡れに関する所望の対象領域とに依存して、2台以上のセンサおよび/またはセンサ組立体を使用してよい。
【0104】
D.コンピュータベースの濡れ監視システム
前述のセンサ、センサ組立体、およびセンサ統合型下着は、コンピュータベースの濡れ監視システムにおいて利用される場合に特に役立つ。たとえば、子供または患者の濡れを監視するために介護者のような監視人によって使用されることがあるコンピュータベースの濡れ監視システムを、本発明者らは開発した。好ましいシステムは、本発明の態様によれば、排尿または排便のような濡れ事象が起こった場合、介護者が警報信号を受信し、それによって介護者が上記事象に素早く応答することを可能にさせる。以下詳述されるように、1台以上の濡れセンサは、この1台以上のセンサが検出対象液体で侵襲されることを可能にするような位置において、監視すべきアイテムに貼られる。濡れセンサからの電磁信号を検出するために割り当てられた受信機−送信機(トランシーバ)は、濡れセンサから送信されたRF信号の検出範囲内に位置する。トランシーバは、監視すべきアイテムに固有の情報を用いてプログラムされている。濡れセンサが侵襲される場合、ガルバニ電池は、センサに給電し、センサは、引き続いて一連のデータをトランシーバに送信する。データには、侵襲された濡れセンサに固有のコードと、センサから受信した状態または値を表現するデータと、利用できる場合の位置または姿勢情報と、濡れセンサに関連付けられた他のデータとを含んでよい。トランシーバは、このデータをトランシーバの識別表示と共に遠隔データベースに渡す。システムは、その後、初期化され、次の濡れ事象に対する準備ができるか、または、濡れセンサもしくは監視される装置(たとえば、おむつ)が再初期化前に交換されるまで待機する。トランシーバは、使用者によって着用されること、および、使用者から遠く離れて設置されることがある。
【0105】
図18を参照すると、本発明の態様による濡れ監視システム200は、濡れセンサ10と、トランシーバ202と、制御コンピュータシステム206とを含む。
【0106】
センサ10が濡れ事象を検出した場合、センサ10は、時間間隔Tによって分離され、濡れ事象に関するデータを格納しているデータパケット208を発生させ、トランシーバ202に送信する。トランシーバ202は、トランシーバ信号210をセンサ10に送出する能力もある。濡れ監視システム200の多くの実装において、センサ200は、使用者によって着用された下着220と関連付けられる。
【0107】
トランシーバ202と制御コンピュータシステム206とは、ネットワーク204を介して双方向にデータを通信することが可能である。ネットワーク204は、たとえば、インターネットネットワークおよび/またはイーサネット(登録商標)ネットワークでもよい。
【0108】
監視人205は、ネットワーク204を介して制御コンピュータシステム206と通信する能力がある。これは、監視人205が制御コンピュータシステム206から濡れ事象警報を受信することを可能にする。監視人205には、これらに限定されないが、医療従事者または両親のような患者または子供の介護人と、センサが作動されたときに警報を受信することに関心をもっている他の関係者を含む。
【0109】
制御コンピュータシステム206は、インターフェース212と、機械読み取り可能なメモリ214と、データベース216とを含む。制御コンピュータシステム206と、これのインターフェース212およびデータベース216とは、機械読み取り可能なメモリ214に記憶されたプログラム命令を実行する少なくとも1台のプロセッサ218によって実現される。システム200は、いかなる特定の台数、タイプ、または構成のプロセッサ218にも限定されることなく、いかなる特定のプログラミング言語、メモリ記憶フォーマット、または、メモリ記憶媒体にも限定されることがない。
【0110】
制御コンピュータ206の実施では、濡れ監視システム200は、プロセッサおよび/または記憶媒体がインターフェース212およびデータベース216を実行するために協働する能力をもっているならば、必ずしもプロセッサおよび/または記憶媒体の何らかの地理的位置、または、ネットワーキングもしくは接続に限定されない。プロセッサおよび/または記憶媒体が共有されること、または、制御されることが必要とされることはない。付加的に、データベース216は、ここでは、単一のデータベースとして言及されるが、データベースは、必ずしも単一のメモリ媒体ユニットまたは単一の物理的位置に置かれていなくてもよい。データベース216は、必要に応じて情報を分類するサブデータベースに分割されてもよい。
【0111】
データベース216は、たとえば、使用者の識別表示、バイタル値、および濡れ事象履歴のような使用者に関する情報を含む。これは、センサ10によって登録された濡れ事象に関してセンサ10からトランシーバ202に送信された情報をさらに含む。データは、コンピュータ、タブレットコンピュータ、個人情報端末、携帯電話機などのようなネットワーク接続可能な電子機器であるインターフェース212を介してデータベース216に手入力されることがある。
【0112】
図19を参照すると、システム200は、開始プロトコル228を介して開始される。ブロック230で、トランシーバ202は、使用者と、使用者によって着用されている特定のセンサ10またはセンサのグループとに関連付けられる。これは、制御コンピュータシステム206がデータベース216の中の使用者データファイルを開くことを可能にする。ユーザによって着用されたセンサ10からトランシーバ202に送信されたデータは、この特定の使用者のデータファイルに記憶される。
【0113】
一例として、これは、施設における使用者の識別表示および部屋番号または位置を含む使用者に関する情報をインターフェース212によって手入力することにより施設設置環境で実施されることがある。使用者は、その後、使用者によって着用されたセンサ10と通信するように構成されているトランシーバ202を割り当てられる。
【0114】
ブロック232で、トランシーバ202は、使用者の居室に設置され、トランシーバ202とデータベース216との間のネットワーク通信がトランシーバ202上のボタンを押下することにより確認される。
【0115】
ブロック234で、リーダすなわちトランシーバ202は、施設における他の使用者に割り当てられた様々なトランシーバ202の全てからのデータ送信を検出するために施設全体に設置されたワイヤレスリピータを介してデータをデータベース216に通信する。トランシーバ202からデータベース216への初期データストリームは、これが初期化データ送信であるという事実を反映する。初期データストリームは、トランシーバ202のバッテリ状態を報告することもある。ブロック236で、制御コンピュータシステム206は、ACK応答をトランシーバ202に送出する。
【0116】
施設全体に様々なトランシーバ202を設置する付加的な利益は、使用者が施設内の異なる場所に移動した場合、代わりのトランシーバ202が使用者の移動を検出し、施設内での一種の使用者ジオトラッキングを提供することもある、という点である。複数のセンサ10が共通のトランシーバを介してデータを同時に送信している場合、または、複数のトランシーバが極めて接近して動作している場合、データ送信は、衝突防止RFプロトコルを使用して実現される。
【0117】
今度は
図20に進むと、濡れ監視システム200の態様による使用者準備プロトコル237がブロック238で始まり、センサ10が使用者の下着220に装着された個別のセンサ、使用者の下着の中に置かれたセンサ組立体60、またはセンサ10が中に統合されている下着120の形式で使用者に装着される。ブロック240で、トランシーバは、電源がオンにされ、データベース216と通信を始める。ブロック244で、トランシーバ202は、トランシーバIDすなわちトランシーバ識別表示の信号をデータベース216に送信し、制御コンピュータシステム206が適切な使用者データファイルを識別できるようにする。制御コンピュータシステム206は、引き続いて識別表示、日付、時間および送信の理由を使用者データファイルに記録し(ブロック246)、トランシーバは、ACK応答を受信する(ブロック248)。トランシーバ202は、その後、スタンバイモードに入り、その間にセンサ10からの信号を待ち受ける。
【0118】
図21は、濡れ監視システム200の別の態様による濡れ検出および報告プロトコル252の概要を表す。使用者が排尿または排便する場合、濡れ事象が発生し(ブロック254)、液体が最終的にガルバニ電池24と接触し(ブロック256)、これがセンサ10に給電する(ブロック258)。センサ10は、濡れ事象信号をトランシーバ202に送信し(ブロック260)、トランシーバ202は、引き続いてこの信号を受信する(ブロック262)。トランシーバ202は、その後、濡れをデータベース216に通信し(ブロック264)、制御コンピュータシステム206からデータがデータベース216によって受信されたことを肯定応答するACK応答を受信する(ブロック268)。データベース216に記録された濡れ事象に関するデータは、日付、時間、および濡れ事象に関する情報を含む。トランシーバは、スタンバイに戻る(ブロック270)。別の濡れ事象が起こった場合、検出および報告プロトコル252が繰り返される。
【0119】
濡れ監視システム200のさらに別の態様では、濡れ事象の後、
図22の濡れ警報プロトコル272が開始してよい。警報プロトコル272では、1人以上の監視人が警報指示を受信する(ブロック274)。警報指示は、制御コンピュータシステム206によって監視人のネットワーク接続可能な電子機器に送信された電子メールまたはSMSメッセージのような電子メッセージ、および/または、可聴警報の形式をしていることがある。監視人は、その後、使用者のために従事し、汚れた下着を取り外し、汚れた下着をセンサ付きの新しい下着と交換することにより、センサ10の使用者のために働くことがある(ブロック276)。監視人は、その後、たとえば、トランシーバ202上のリセットボタンを押下することによりトランシーバ202をリセットする(ブロック278)。トランシーバ202は、引き続いて、是正処置が講じられたことを制御コンピュータシステム206に報告し(ブロック280)、制御コンピュータシステム206から、データがデータベース216によって受信されたことを肯定応答するACK応答を受信する(ブロック300)。新しいセンサ10が使用者に装着された場合、システム200は、その後、開始プロトコル228に戻る。
【0120】
トランシーバ202は、警報指示が送信される前に、発生するはずの濡れ事象の回数および/または始動されなければならないセンサの台数を定義するために予めプログラムされていることがある。これは、監視人が選ぶとおりの監視人自身の特定のアプリケーションを構成できるようにする。
【0121】
トランシーバ202にGPSユニット132、加速度計134、および/または、温度センサのような他の電子部品が装備されている場合、トランシーバ202は、位置、加速度計、および/または温度データをトランシーバ制御コンピュータシステム206に送信することがある。好ましくは、誤った警報を回避するために、トランシーバは、データがある種の異常なパラメータから外れているときに、このようなデータを制御コンピュータシステム206に送出するために限って予めプログラムされる。しかし、異常な読み取りが発生した場合、トランシーバ202は、トランシーバ202の識別表示および送信の理由を指示する信号を制御コンピュータシステム206に送信する。送信は、その後、データベース216に記録される。制御コンピュータシステム206は、引き続いて警報指示を監視人に送出することがある。
【0122】
加速度計134に関して、使用者は、典型的に、目が覚めている期間には頻繁に動き回り、睡眠中にはめったに動き回ることがないので、加速度計134の運動は、使用者の運動履歴に基づいてより予測可能になるものである。加速度計134を装備したトランシーバ202が落下または突然の振動のような異常な運動を制御コンピュータシステム206に送信する場合、制御コンピュータシステム206は、送信された情報を使用者データファイルに記憶する。その上、使用者の通常の夜間運動は、典型的に通常の睡眠パターンを表す。これらの運動が所定の閾値を超えて変化する場合、これは、使用者が体験しているが、監視人に知られていない問題を示す可能性がある。夢中歩行、および、ベッドからの落下、または、就寝中の連続的な運動のような事象は、応急手当の必要性の指示として加速度計134によって検出できる。
【0123】
データベース216は、使用者の以前の濡れ事象に基づいて引き続く濡れ事象を予測するために設計された1つ以上の予測アルゴリズムを含むことがある。この事例では、制御コンピュータシステム206は、事前に是正処置を講じることにより上記事象を防止する可能性があるならば、差し迫った濡れ事象の可能性について監視人に警報を発する警報指示を監視人に送信することがある。予測アルゴリズムは、データベース216に記憶されうる対象者の排泄および濡れ履歴と、対象者の最新活動レベル(たとえば、睡眠、目覚め、活動中)と、最新の対象者の位置(たとえば、カフェテリア、ベッド、コーヒー店)と、対象者の姿勢と、対象者固有履歴および物理情報とを含む種々の情報を利用してよい。
【0124】
E.臭気物質検知
本発明の別の態様では、濡れセンサは、臭気センサと置き換えられる。この態様において、前述のセンサ組立体の配置、センサと統合された下着、および濡れ検出システムの動作は、信号が濡れではなく臭気に応答して検出器に送信される点を除いて同じである。臭気物質(濡れ吸収品に付加された化学的タグ)には、アルコール類、ケトン類、チオール類、エステル類などを含む複数の香料入りまたは無香料の揮発性化学物質を含んでよい。臭気物質は、選ばれたセンサを使用して検出され、上記センサを、表面音響波(SAW)センサ、金属−有機半導体(MOS)センサ、電界効果トランジスタ(FET)、または化学抵抗センサから選択してよい。臭気物質は、センサ読み取り装置によって電気的に読み取られ、解釈できるセンサの物理的または化学的状態の変化を引き起こす。センサ装置は、検出対象である所定の化学物質に選択的である臭気物質フィルタを有してよい。臭気物質は、偽陽性を防止するために、健康施設で検出される可能性が最も低い臭気物質の中から選ばれることがある。
【0125】
選ばれた侵襲と相互作用する臭気物質が最初に濡れ吸収物品に塗布される。MOSセンサのような外部臭気物質センサが給電され、検出モードに設定される。流体が濡れ吸収物品に排出されるにつれて、流体は、(化学反応、保護コーティングの溶解、エアゾール化などを介して)臭気物質ガスを周囲物品の空間に放出する。ガスが物品から逃れる場合、外部センサが所定の空気中濃度で始動され、侵襲の存在をシグナル通知し、物品が交換されるか、または、付けられるべきことを示す。
【0126】
一実施形態では、臭気物質は、水溶性マトリックスの内部に溜め込まれたアルコール類を含む。尿が失禁事象に起因してマトリックスを通り過ぎるにつれて、アルコールが大気中に放出される。おむつ上で患者によって着用されるセンサ−トランシーバは、周辺におけるアルコール類の存在によってアクティブなシグナリング状態に引き込まれ、濡れ事象が起こったことを検出器にシグナル通知する。
【0127】
アンモニア類のような尿の分解生成物は、臭気物質として選ばれることがある。このような分解生成物の生成を加速する様々な化学物質は、センサでの臭気物質の濃度を増加させるために使用されることもある。バクテリアのような、生物学的分解因子からの尿の分解生成物は、同様に臭気物質として使用できる。
【0128】
臭気物質は、裏地から最上層まで、おむつのような下着の内部のどこかに組み込まれることがある。臭気物質は、濡れパターンを反映するために衣服の中に戦略的に置かれることがある。おむつの事例では、介護者が一杯になったおむつのみを交換することを望む場合、臭気物質は、物品の胴部に、または、エッジに沿うようなおむつ幾何形状の極端部だけに置かれることがある。このようにして、初期流体は、おむつの中心吸収層において吸収されることになる。おむつが一杯に達すると、流体は、臭気物質がある衣服のエッジへ強制的に分布させられるものであり、かくして、臭気物質センサを始動させ、本明細書に記載されているように濡れ事象を送信する。
【0129】
複数の臭気物質または標識物質(taggant)がおむつの位置および/または飽和レベルを決定するために利用されることがある。この情報は、失禁事象が起こる度におむつの中に既に吸収された相対的な量と共に情報を提供することになるので、失禁事象を予測するのに役立つことがある。付加的に、センサで検出された標識物質の量は、流れまたは体積情報を提供することがある。
【0130】
化学センサは、標識物質または臭気物質をおむつに添加する必要なしに、事象(尿または糞便)からの臭気、臭気分類、または、おむつと相互作用する事象の副生成物を直接的に検出するできることもある。
【0131】
臭気物質は、多くのセンサで検出される典型的な電子的変化の他に物理的な変化を引き起こすことがある。一実施形態では、センサは、色/パターン変化材料と光検出器とから構成される。色変化は、ある色相/彩度/明度から別の色相/彩度/明度にわたることがあり、または、色は、バーコードと同様に読むことができるパターンで現れることがある。色変化材料は、永久不変の状態(入れ替え可能)でもよく、選択された持続期間に亘って持続してもよく、または、介護人が電圧、電流、化学物質、物理的圧力、磁化、またはその他の手段の印加を介して色/パターン変化をリセットさせることができる可逆でもよい。
【0132】
光検出器は、比色計、分光光度計、紫外−可視分光計、光イメージャ、パターン検出器、バーコードスキャナなどでもよい。光検出器は、バッテリ電源を節約するために色/パターン変化材料を定期的に走査する。光検出器は、濡れた物品から切り離されることがあり、または、物品表面に貼り付けられることがある。一実施形態では、光検出器は、使い捨て物品の背部に装着され、色変化が物品から直接的に測定される。監視人は、電子メカニズムと一緒に、濡れを識別する光メカニズムがさらに与えられる。
【0133】
F.液体収集袋の中のセンサ
センサ10a、bを、袋の中の流体の存在を示すために、尿または他の廃棄物収集袋のような液体収集袋、または、流体供給袋の中に入れてよい。このセンサは、袋が一杯または空であるときを決定するために使用できる。袋に内蔵された複数のセンサ10a、10bは、センサ10a、bの起動(firing)のタイミングに基づいて充填の速度または充填の割合を決定するために使用できる。さらに、ある程度の濡れ検出モードをもつ単一のセンサ10a、bが同様に使用できる。
【0134】
図23を参照すると、本発明の一態様による液体収集袋400が、複数の袋内部壁404によって画定された袋内部402を含む。3台の濡れセンサ10が袋400の中の液体408のレベルを検出するため内部壁404のうちの1つに沿って垂直方向に離間している。
【0135】
収集袋の中で実施されるセンサ10a、bの構成は、流体管理層64および吸収層66を利用できる。入ってくる流体滴または飛沫がセンサ10a、bを濡らすことを回避するために、流体管理層64および吸収層66は、複数の構成をもつことがある。一実施形態では、吸収層66は、収集袋の全長に広がる薄膜であり、一方、流体管理層64は、センサを囲む鞘である。吸収層66は、袋の中の所定の流体高さでセンサ10a、bを始動させ、満杯をシグナル通知させるために十分な流体を吸収する。潤滑剤、流体、および、血液または点滴流体のための流体容器は、この概念のための数多くの用途のうちに入る。
【0136】
センサ10a、bは、安価であり、かつ、ガルバニ電池24の寿命は、非常に長いので、センサ10a、bは、袋に内蔵でき、濡れるまで動作しないままとすることができる。トランシーバ202を、問題または保守要求(たとえば、袋の交換)を示すため他の電子機器との通信を容易にするように枕元の柱または他の場所に装着してよい。トランシーバ202は、Philips Intellivueシステムと同等の統合型患者モニターのような既存のモニターに内蔵されることもある。
【0137】
G.創部ケア
おむつの中の濡れ検出と類似して、創傷包帯の中の水分の検出は、同様に重要である。本発明の別の態様では、濡れセンサ10a、bのうち1つ又は複数は、水分の存在、または、包帯の下もしくは中に存在する水分の量を示すために創傷包帯に埋め込まれるか、または、装着される。センサ10a、bは、前述のとおり、データベース216と通信するトランシーバ202と通信することがある。創部ケアの用途では、たとえば、血液、汗、または膿のような異なる流体タイプの間の区別は、創傷の状態に関する付加情報(たとえば、感染、健康、激しい出血)を提供することがある。
【0138】
図24を参照すると、本発明の一態様による創傷包帯410は、これに装着された濡れセンサ10を含む。
【0139】
PVCまたはポリウレタンのようなポリマー類を利用するイオン選択性電極は、複数の陽イオンおよび陰イオンを検出できる。さらに、選択性酵素コーティングを、感染に起因する壊死をシグナル通知することがあるジアミノブタンおよび他の化学物質類を選択的に検知するために、塗布してよい。このようなセンサは、創傷包帯として、または、より簡単なテストストリップとして着用されることがある。
【0140】
病原菌または他の感染性因子は、それ自体でコーティング、膜、または抗体/抗原経路の使用を通じて検知される可能性がある。このようなシステムにおける微生物応答は、電極組立体の中で選択性とソース抵抗の減少とを可能にさせる二重層脂質膜被覆固体電極(bilayer lipid membrane-coated solid state electrode)を介してイオン輸送によってテストされ、その後、センサ電子部品によって捕捉され、データストリームまたはバーストタイミングの中で送信される。他の実施形態は、受容体類、核酸類、および適切な形質転換体付きの抗体類のような生物学的認識構成要素を使用することを含む。電位差設計および電流設計が同様に実施してもよい。
【0141】
H.ラテラル液体フロー・テスト・ストリップ
濡れセンサ10a、bは、被検流体の存在を検出するためにラテラル・フロー・テスト・ストリップまたは免疫学的検定に組み込まれることがある。この同じセンサを、検定の結果を検出し、トランシーバ202とデータベース216とに送信するように構成してよい。
【0142】
I.温度検知
様々な固体−液体転移温度をもつ材料を、温度検知を可能にするために濡れセンサ10a、bに、または、濡れセンサ10a、bと共に設置してよい。材料がその融解温度に達した場合、上記材料は液体に変化し、この液体がセンサ10a、bを作動させる。前述のとおり、センサ10a、bは、その後、信号をトランシーバに送信する。
【0143】
材料組成に依存して調節可能な固体−液体転移温度をもつ材料、混合物、および化合物を含む適切な材料が、共晶、包晶、または感圧相転移材料であってよい。
【0144】
本発明のこの態様は、ボックス、木箱、装置、または物が一定の温度を超えた場合を決定するために使用されることがある。これは、食品貯蔵、移植臓器の貯蔵、および検査用の有機もしくは他の標本の貯蔵のような非常に注意深い温度制御を必要とする用途のため有用であることがある。
【0145】
J.材料または空気中の水分検知
複数の乾燥剤および他の吸湿性材料が、湿気を吸収する。たとえば、ある種のゲル類、ゼラチン類、アクリル類、および他の材料は、水分を容易に吸収する。センサ10a、bは、非常に低い電力を使用して機能するので、これは、吸湿性材料または水分吸収材料を通る導電性経路が利用可能である場合、センサ10a、bが部分的に濡れた環境であっても電圧および電流を発生させることを可能にする。
【0146】
これは、何日間にも亘って堆積することがある凝結を検査するためにも有用である。センサ10a、bは、高湿度センサとして、気密容器における空気漏れセンサとして、または多くの他の目的のため機能を果たすことがある。
【0147】
K.圧力検知
圧力センサは、圧力がパケットに加えられた場合に放出されるように構成された液体の小さいパケットで濡れセンサを膨らませる(augmenting)ことにより作り出すことができる。このパケットは、塩水を収容することがあり、所望の圧力が得られた場合にセンサを最適に始動させるために種々の材料および構成で作られることがある。
【0148】
付加的に、この構成は、手動でまたは機械的装置を使ってパケットを単に圧迫することにより、「要求があり次第」センサを作動させるために使用されることがある。液体の放出は、センサ10a、bが何時間も濡れた状態を維持することを可能にさせ、センサ10a、bがデータをトランシーバ202に送信する能力を引き延ばす。たとえば、センサ/液体−パケットの組み合わせは、パケットが使用直前に壊されることを可能にするため外科スポンジの上に置かれることがある。スポンジ上のセンサ10a、bは、使用中にデータを連続的に送信することになる。スポンジは、その後、身体からの取り外し時に送信を「止める」ために金属容器の中に入れられることがある。付加的に、液体は、第2の工程(乾燥、除去、または吸収のいずれか)によって取り除かれ、それ故に、センサ10a、bを使用不能状態にすることがある。
【0149】
L.手の衛生監視
センサ10a、bの別の有用なアプリケーションは、手の衛生監視に属する。本実施例では、センサ10a、bは、(包帯、リストストラップ、または指輪のように)手、手首、または指の上に置かれることがある。センサ10a、bは、手が石鹸または他の流体と接触する度に信号を始動させ、送信することになる。この信号は、手の衛生プロトコルとの整合性を監視するため様々な場所(石鹸取り出し容器、患者ベッド受信機、中央局)にあるトランシーバ202に送信される。
【0150】
本発明は、好ましい実施形態に関連して前述された。特に断らない限り、本明細書において使用された全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野において、かつ、本願の出願時に広く理解されている意味と同じ意味を有することが意図されている。本明細書に記載された方法および材料と類似するまたは等価である様々な方法および材料が本発明の実施または試験において使用できるが、適当な方法および材料について説明した。しかし、当業者は、使用され、説明された方法および材料が実施例であり、本発明での使用のみに当てはまる実施例ではないであろうことを理解すべきである。
【0151】
その結果、本発明は、多くの異なる形式で具現化されることがあり、本明細書に記載された実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。それどころか、これらの実施形態は、本開示が徹底的であり、完全であり、そして、本発明の範囲を当業者に完全に伝達するように規定されている。したがって、上記明細書では、典型的な本発明の好ましい実施形態が開示され、そして、特定の用語が利用されているが、これらの用語は、記述的な意味だけで使用され、限定の目的のためではない。本発明は、ある程度詳細に記載されているが、様々な変形および変更が上記明細書および添付の請求項に記載されているような本発明の趣旨および範囲内で行えることは、明白であろう。
【0152】
関連出願の相互参照
本願は、2011年7月20日付けで出願された、「A Self−Powered Disposable Wetness Sensor and Response System and Related Methods」と題する米国仮出願第61/509,774号、および2011年7月27日付けで出願された、「A Self−Powered Disposable Wetness Sensor and Response System and Related Methods」と題する米国仮出願第61/512,071号への優先権を主張し、これらの両方の内容全体を参照によって本明細書に援用する。