【文献】
3rd Generation Partnership Project,Technical Specification Group Radio Access Network; Multiplexing and channel coding (FDD) (Release 11),3GPP TS 25.212 V11.7.0 (2014-03),2014年 3月21日,144−147ページ
【文献】
Ericsson, ST-Ericsson,Per-HARQ process activation in CELL_FACH and Idle Mode state[online],3GPP TSG-RAN WG2#78 R2-122719,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_78/Docs/R2-122719.zip>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ネットワークノード(100)は、拡張専用チャネル(E−DCH)絶対許可チャネル(E−AGCH)において前記AGSビットをシグナリングする、請求項1に記載の方法。
前記ネットワークノード(100)は、前記AGSビットをシグナリングして、高ビットレート送信に専用のクリーンキャリア上での前記ワイヤレスデバイス(102)からのアップリンク送信を許可する、請求項1又は請求項2に記載の方法。
ワイヤレスネットワークのネットワークノード(100,700)であって、前記ネットワークノード(100,700)は、ワイヤレスデバイス(102,702)からのアップリンク送信を制御するように構成され、前記ネットワークノード(100,700)は、前記ワイヤレスデバイス(102,702)へ絶対許可スコープ(AGS)ビットをシグナリングするように構成される手段を備え、
前記AGSビットは、
−前記ワイヤレスデバイス(102,702)へ次の許可がシグナリングされるまで前記ワイヤレスデバイス(102,702)がアップリンク送信(206)について許可されること、
を示す、ネットワークノード(100,700)。
前記ネットワークノード(100,700)は、拡張専用チャネル(E−DCH)絶対許可チャネル(E−AGCH)において前記AGSビットをシグナリングする、ように構成される手段を備える、請求項4に記載のネットワークノード(100,700)。
前記ネットワークノード(100,700)は、前記AGSビットをシグナリングして、高ビットレート送信に専用のクリーンキャリア上での前記ワイヤレスデバイス(102,702)からのアップリンク送信を許可する、ように構成される手段を備える、請求項4又は請求項5に記載のネットワークノード(100,700)。
ワイヤレスネットワークのネットワークノード(100)によりサービスされるワイヤレスデバイス(102)により実行される、アップリンク送信を制御するための方法であって、
前記ネットワークノード(100)から、絶対許可スコープ(AGS)ビットを伴うシグナリングを受信すること、を含み、
前記AGSビットは、
−前記ワイヤレスデバイス(102)へ次の許可がシグナリングされるまで前記ワイヤレスデバイス(102)がアップリンク送信(206)について許可されること、
を示す、方法。
前記ワイヤレスデバイス(102)は、前記ネットワークノード(100)から、拡張専用チャネル(E−DCH)絶対許可チャネル(E−AGCH)において前記AGSビットを受信する、請求項7に記載の方法。
ワイヤレスネットワークのネットワークノード(100,700)によりサービスされる際にアップリンク送信を制御するように構成されるワイヤレスデバイス(102,702)であって、
前記ネットワークノード(100,700)から、絶対許可スコープ(AGS)ビットを伴うシグナリングを受信するように構成される手段、を備え、
前記AGSビットは、
−前記ワイヤレスデバイスへ次の許可がシグナリングされるまで前記ワイヤレスデバイス(102,702)がアップリンク送信について許可されること、
を示す、ワイヤレスデバイス(102,702)。
前記ワイヤレスデバイス(102)は、前記ネットワークノード(100)から、拡張専用チャネル(E−DCH)絶対許可チャネル(E−AGCH)において前記AGSビットを受信する、ように構成される手段を備える、請求項10に記載のワイヤレスデバイス(102,702)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示では、TDM方式におけるワイヤレスデバイスからのアップリンク送信のための無線リソースの効率的な使用を可能とする解決策が提示される。上で言及したように、TDM方式では、アップリンク送信を制御するためにワイヤレスデバイスとネットワークノードとの間で相当な量のシグナリングを要し、特に共有される送信周波数上のデバイス間のスイッチングについてはそうである。この文脈において、ネットワークノードは、通常、ワイヤレスデバイスに何らかのTTIの期間中に送信が許容されるかを実質的に通知するメッセージである、“許可(grant)”というシグナリングメッセージをワイヤレスデバイスへ送信する。そのようにして、ネットワークノードは、送信を行うニーズに依存し及びどの無線リソースが利用可能であるかにも依存して、様々なTTIを割り当てて、ある周波数上で様々なワイヤレスデバイスが送信を行うことを可能とする。本開示を通して、TTIとの用語は、送信のために使用される任意の時間インターバルを表すために使用され、本開示はTTIのいかなる具体的な定義にも限定されない。
【0017】
旧来の解決策において、ネットワークノードは、アップリンク送信の開始又は終了のいずれかをワイヤレスデバイスに指示するために、当該デバイスへ許可をシグナリングし得る。ワイヤレス通信の分野において一般に使用される専門用語によれば、いわゆる“絶対許可(Absolute Grant)”(AG)は、ワイヤレスデバイスに割り当てられる何らかのTTIにおいて当該デバイスがアップリンク送信を行うことが許容されることを示し、一方で、ワイヤレスデバイスが自身のアップリンク送信を停止しなければならないことを示すために、いわゆる“ゼロ許可(Zero Grant)”が使用される。そうした許可メッセージは、拡張専用チャネル(E−DCH)絶対許可チャネル(E−AGCH)といった制御チャネル上でシグナリングされてよく、E−AGCHは、UTRAN(Universal Terrestrial Radio Access Network)及びHSPA(High Speed Downlink Packet Access)において一般に使用される。
【0018】
しかしながら、上述した旧来のシグナリング方式は、アップリンク送信が1つのワイヤレスデバイスから他へと切り替わる際にいくつかのTTIが未使用のまま残される結果をもたらし得る。例えば、ある時点で送信を行っているデバイスは、次のデバイスが送信を開始可能となる前にゼロ許可を受信しなければならず、ネットワークは、双方のユーザが同じE−AGCHをモニタリングするように構成されている場合、それらへ同時にゼロ許可及び新たな許可を送信できない。これが典型的に、送信の無い少なくとも1つの空のTTIを残す。本解決策及びここで説明されるその実施形態は、そうした未使用のTTIを回避するために使用されてよく、それにより、特にいくつものワイヤレスデバイスが例えばラウンドロビンの形で1度に1回ずつ順に送信を行わなければならないようなシナリオにおいて、利用可能な無線リソースの利用率が増加するであろう。デバイスが短い断続的なアップリンク送信を頻繁に要することもあり得る。
【0019】
ネットワークノードからワイヤレスデバイスへとシグナリングされる絶対許可は、典型的には絶対許可値(AGV)を含み、AGVは、基本的には、ワイヤレスデバイスがどのように送信を行うものとされるか、即ちどういったビットレートかを定義する。許可のAGVは、典型的には、複数のビットを含み、例えば5ビットであればx
AGV,1,x
AGV,2,…,x
AGV,5と表記され得る。いくつかの応用例において、ネットワークノードは、AGVに絶対許可スコープ(AGS)をも追加する。AGSは、当該許可がどのハイブリッド自動再送要求(HARQ)プロセスについて有効であるかを示すための、x
AGS,1と表記される単一のビットを含む。
【0020】
HARQプロセスは、当分野においてよく知られており、基本的には、正確に受信されなかったデータの再送を制御するために使用される。不定期の再送の必要性に起因するブロッキングを回避する目的で、複数の送信ストリームをセットアップするために、基本的には複数のHARQプロセスが使用されてよい。例えば、AGSビットがゼロに設定される場合、許可は特定のHARQプロセスについて有効であり、即ちHARQプロセスに対して有効ある。AGSビットが1に設定される場合、許可は全てのあり得るHARQプロセスについて有効である。これが、3GPP(Third Generation Partnership Project)の文書TS25.212において定義されている現行の手続によるところのAGSビットの旧来の用法である。
【0021】
一方、本解決策では、上述したAGSビットが、むしろ採用すべき許可方式をワイヤレスデバイスへ指し示すための新規な手法で利用され得る。この場合、AGSビットは、許可が“永続的”、即ちさらなる通知まで有効であるか、又は許可が単一のTTIについてのみ有効であるかのいずれかを指し示す。単一のAGSビットの2つの候補値によってこの許可方式の標識を達成することができ、ゼロ又は1である第1の値が、任意の数のTTIの期間中の永続的な、即ちさらなる通知までのアップリンク送信についての許可を示し、及び、1又はゼロである別の第2の値が、単一のTTIの期間中のアップリンク送信についての許可を示す。それにより、アップリンク送信を、未使用のTTIを生じさせることなくワイヤレスデバイスの間で切り替えることができ、いくつかのケースではシグナリング量の低減もまた達成され得る。これらが以下により詳細に説明されるであろう。
【0022】
端的に説明した通り、第1のワイヤレスデバイスが永続的な通信、即ちさらなる通知までの通信を行っている場合、サービングネットワークノードは、当該第1のデバイスへ、許可及びAGSビットをシグナリングしてよく、AGSビットは、第1のデバイスがその最後のTTIにおいて送信を行ってからその送信を停止するように、単一のTTIについてのみ許可が有効であることを示す。サービングネットワークノードは、別の第2のワイヤレスデバイスにも許可をシグナリングする場合、当該第2のデバイスは、第1のデバイスにより使用される最後のTTIに続くTTIにおいてアップリンク送信を開始することができ、よってその間に未使用のTTIは無くなる。その上、単一のTTIについて許可が有効であることを示すAGSビットがデバイスへとシグナリングされる場合、そのデバイスに送信を停止させるための別個のゼロ許可をシグナリングすることが不要であり、これはデバイスがアップリンク送信のために1つのTTIのみを必要としている場合に特に有益であり得る。このようにして、このケースでは2つではなく1つのみの制御メッセージが必要とされる。
【0023】
結果として、利用可能な無線リソースを、ネットワークにおいてキャパシティ及び性能が改善されるようにより効率的に利用することができる。このように、これはAGSビットの新たな解釈であり、ネットワークは、例えば上位レイヤシグナリングによって、HARQプロセスに関する旧来の手法か又は許可方式に関する新規な手法かのいずれかであるAGSビットを解釈するためのやり方を、ワイヤレスデバイスに構成し得る。
【0024】
ここで説明される実施形態は、測定レポート、リクエスト、確認応答などといった任意のデータ及び多様なタイプの制御メッセージを含む、いかなる種類の情報のアップリンク送信にも適用可能である。よって、本解決策は、いかなる具体的なアップリンク送信にも限定されない。
【0025】
まず
図1に示した通信シナリオを参照して、本解決策について説明する。このシナリオでは、ネットワークノード100がワイヤレスデバイス102にサービスしており、これは、例えば時間分割多重方式でのワイヤレスデバイス102からのアップリンク送信を制御するための許可の送信を含む。最初のアクション1:1は、ネットワークノード100が、許可によって永続的な送信又は単一TTI内での送信のいずれかが許されることを指し示すものとして当該許可内のAGSビットを解釈するように実質的にデバイス102に指示する構成メッセージを、ワイヤレスデバイス102へ送信することを示している。この構成メッセージは、オプションとして、アクション1:1aにより示されているように、ネットワークノード100及びワイヤレスデバイス102の動作の制御に基本的に責任を有する例えば無線ネットワークコントローラ(RNC)といった、ネットワーク内の制御ノードから発せられてもよい。
【0026】
ワイヤレスデバイス102は、許可内のAGSビットをいかに解釈すべきかを今や知得しており、許可がどのように有効であるかを判定する。他のアクション1:2において、ネットワークノード100は、ワイヤレスデバイス102へAGSビットを伴う許可をシグナリングする。上述したように、アップリンク送信についての許可は、5ビットのAGV及び1ビットのAGSを含んでよく、AGVは実質的に送信のためのビットレートを特定する。代替的に、許可はその許可においてAGV部分を省略してAGSビットを含んでもよく、ワイヤレスデバイスはデフォルトのビットレートなどで送信を行うように構成されてもよい。このケースでは、AGVは、予め事前に定義され、許可には必ずしも含められない。また、ワイヤレスデバイスがいかなるビットレートを用いることも現実的に自由であって、ネットワークノードはビットレートの要件を有しないということも可能であり、このケースでもAGVを必ずしも許可に含めなくてよい。
【0027】
アクション1:3は、ワイヤレスデバイス102がシグナリングされたAGSビットを永続的な送信又は単一TTI送信のいずれかを示すものとして解釈することを概略的に示している。前者の場合、AGSビットは、ワイヤレスデバイス102に次の許可がシグナリングされるまでアップリンク送信についてワイヤレスデバイス102が許可されることを示し、後者の場合、AGSビットは、単一のTTIの期間中のアップリンク送信についてワイヤレスデバイス102が許可されることを示す。そして、ワイヤレスデバイスは、それに応じて、最後のアクション1:4においてアップリンク送信を実行する。
【0028】
オプションとしてのアクション1:2aは、ワイヤレスデバイスがその時点で永続的な送信を適用している場合に、ネットワークノード100が代替的に他のワイヤレスデバイス106へAGSビットを伴う許可をシグナリングし得ることを示している。デバイス102は、そのAGSビットを、送信を停止せよとの指示として暗黙的に解釈し得る。それにより、デバイス102への別個のメッセージを要しないことになる。言い換えれば、ネットワークノード100は、このケースでは、他のワイヤレスデバイス106がアップリンク送信について許可されたことを示すようにAGSビットをシグナリングすることにより、ワイヤレスデバイス102が自身のアップリンク送信を終了すべきであることを暗黙的に示す可能性を有する。例えば、AGSビットは、単一のTTIにおけるアップリンク送信について新たなデバイス106が許可されたことを示してもよく、そのTTIの後で、以前のデバイス102はアップリンク送信を再開することができる。1つのデバイスの永続的な送信を、途中での他のデバイスの送信を可能とする単一TTIのためにどのように一時的に中断させることができるかが、以下にさらに説明されるであろう。
【0029】
本解決策が採用される場合のワイヤレスネットワークのネットワークノードにより実行される手続の一例を、
図2のフローチャートを参照しながら次に説明する。この手続において、ネットワークノードは、例えば時間分割多重方式で、ワイヤレスデバイスからのアップリンク送信を制御するために動作可能である。よって、当該手続には、ネットワークノード及びワイヤレスデバイスが関与し、それらはそれぞれ上述したネットワークノード100及びワイヤレスデバイス102であってよい。
【0030】
第1のアクション200は、ネットワークノードがワイヤレスデバイスへ絶対許可スコープ(AGS)ビットをシグナリングすることを示す。他の“アクション”202は、AGSビットが1及びゼロという2つの候補値のうちの1つであり得ることを概略的に示す。AGSビットは、アクション204として示されている1(又はゼロ)という第1の値を有するケースでは、単一のTTIの期間中のアップリンク送信についてワイヤレスデバイスが許可されることを示す。代替的に、AGSビットが他のアクション206として示されている別の第2の値ゼロ(又は1)を有するケースでは、次の許可がワイヤレスデバイスへシグナリングされるまで、ワイヤレスデバイスはアップリンク送信について許可される。このように、AGSビットの第2の値は第1の値とは異なる。
【0031】
ネットワークノードにおける上の手続は、
図1をさらに参照しながら、次のように記述されてもよい。
【0032】
ワイヤレスネットワークのネットワークノード100により実行される、例えば時間分割多重方式でのワイヤレスデバイス102からのアップリンク送信を制御するための方法であって、当該方法は、アップリンク送信についての許可と絶対許可スコープ(AGS)ビットとを上記ワイヤレスデバイスへシグナリングすること1:2,200、を含み、上記AGSビットは:
−上記許可が上記ワイヤレスデバイス102に単一の送信時間インターバル(TTI)の期間中のアップリンク送信204を許すこと、及び
−上記許可が上記ワイヤレスデバイス102へ次の許可がシグナリングされるまで上記ワイヤレスデバイス102にアップリンク送信206を許すこと、
のうちの1つを示す。
【0033】
図3のフローチャートを参照しながら、本解決策が採用される場合にワイヤレスデバイスにより実行される手続の他の例を次に説明する。この手続では、ワイヤレスデバイスが、例えば時間分割多重方式でのアップリンク送信を制御するために、ワイヤレスネットワークのネットワークノードによりサービスされている。よって、当該手続には、ワイヤレスデバイス及びネットワークノードが関与し、それらはそれぞれ上述したワイヤレスデバイス102及びネットワークノード100であってよい。第1のアクション300は、ワイヤレスデバイスがネットワークノードから絶対許可スコープ(AGS)ビットを伴うシグナリングを受信することを示す。
図2と同様に、他の“アクション”302は、1及びゼロという2つの候補値のうちの1つであり得ることを概略的に示す。ワイヤレスデバイスは、アクション304として示されているAGSビットが1(又はゼロ)という第1の値を有するケースでは、単一のTTIの期間中のアップリンク送信について当該ワイヤレスデバイスが許可されることを示すものとして、AGSビットを解釈し得る。代替的に、ワイヤレスデバイスは、他のアクション306として示されているAGSビットが別の第2の値ゼロ(又は1)を有するケースでは、次の許可がワイヤレスデバイスへシグナリングされるまでワイヤレスデバイスがアップリンク送信について許可されること(即ち、永続的送信)を示すものとして、AGSビットを解釈する。
【0034】
ワイヤレスデバイスにおける上の手続は、
図1をさらに参照しながら、次のように記述されてもよい。
【0035】
ワイヤレスネットワークのネットワークノード100によりサービスされるワイヤレスデバイス102により実行される、例えば時間分割多重方式におけるアップリンク送信を制御するための方法であって、当該方法は、上記ネットワークノード(100)から、アップリンク送信についての許可と絶対許可スコープ(AGS)ビットとを受信すること1:2,300、を含み、上記AGSビットは、
−上記許可が上記ワイヤレスデバイス102に単一の送信時間インターバルTTIの期間中のアップリンク送信204を許すこと、及び
−上記許可が上記ワイヤレスデバイス102へ次の許可がシグナリングされるまで上記ワイヤレスデバイス102にアップリンク送信206を許すこと、
のうちの1つを示す。
【0036】
次に、ネットワークノードのため及びワイヤレスデバイスのために使用され得るいくつかの限定ではなくオプション的な実施形態を説明する。あり得る実施形態において、ネットワークノードは、拡張専用チャネル(E−DCH)絶対許可チャネル(E−AGCH)においてAGSビットをシグナリングしてもよい。対応して、ワイヤレスデバイスは、ネットワークノードから、E−AGCHにおいてAGSビットを受信してもよい。他のあり得る実施形態において、ネットワークノードは、AGSビットをシグナリングして、高ビットレート送信に専用のクリーンキャリア上でのワイヤレスデバイスからのアップリンク送信を許可してもよい。対応して、ワイヤレスデバイスによりネットワークノードから受信されるAGSビットは、高ビットレート送信に専用のクリーンキャリア上でのアップリンク送信を許可し得る。
【0037】
さらなるあり得る実施形態において、ネットワークノードは、AGSビットをシグナリングして、任意の数のTTIの期間中の永続的なアップリンク送信についてワイヤレスデバイスが許可されることを示すことにより、ワイヤレスデバイスからのアップリンク送信をトリガしてもよく、そして、ネットワークノードは、AGSビットをシグナリングして、ワイヤレスデバイスが最後の単一TTIの後にそのアップリンク送信を終了すべきであることを示すことにより、ワイヤレスデバイスからのアップリンク送信を停止してもよい。対応して、ワイヤレスデバイスは、任意の数のTTIの期間中の永続的なアップリンク送信についてワイヤレスデバイスが許可されることをAGSビットが示す場合に、アップリンク送信を実行してもよく、ワイヤレスデバイスは、ワイヤレスデバイスが最後の単一TTIの後にそのアップリンク送信を終了すべきであることをAGSビットが示す場合に、アップリンク送信を停止してもよい。この一例が、以下に
図6を参照しながらあらためて説明されるであろう。
【0038】
他のあり得る実施形態において、ネットワークノードは、AGSビットをシグナリングして、上述した最後の単一TTIの後の単一TTIの期間中のアップリンク送信について他のワイヤレスデバイスが許可されることを示してもよい。上で説明したように、ワイヤレスデバイスは、他のワイヤレスデバイスを主として対象にするAGSビットの暗黙的なシグナリングによって、自身の送信を停止せよとネットワークノードにより実質的に命令され得る。対応して、ワイヤレスデバイスは、最後の単一TTIの後の単一TTIの期間中のアップリンク送信について他のワイヤレスデバイスが許可されることをAGSビットが示す場合に、自身のアップリンク送信を終了させてよい。
【0039】
他のあり得る実施形態において、AGSビットの第1の値(0又は1)は、任意の数のTTIの期間中の永続的なアップリンク送信についての許可を示してよく、AGSビットの別の第2の値(1又は0)は、単一TTIの期間中のアップリンク送信についての許可を示してよい。対応して、ワイヤレスデバイスは、AGSビットの第1の値(0又は1)を、任意の数のTTIの期間中の永続的なアップリンク送信についての許可を示すものとして、及び、AGSビットの別の第2の値(1又は0)を、単一TTIの期間中のアップリンク送信についての許可を示すものとして解釈してよい。
【0040】
他のあり得る実施形態において、ネットワークノードは、例えばアクション1:1について上述したように、上位レイヤシグナリングによって、AGSビットを解釈するようにワイヤレスデバイスを構成してもよい。対応して、ワイヤレスデバイスは、AGSビットを解釈するように上位レイヤシグナリングによって構成されてもよい。他のあり得る実施形態において、ネットワークノードは、対TTIの許可又は対ハイブリッド自動再送要求(HARQ)プロセスの許可のいずれかを示すものとしてAGSビットを解釈するように、ワイヤレスデバイスを構成してもよい。対応して、ワイヤレスデバイスは、対TTIの許可又は対ハイブリッド自動再送要求(HARQ)プロセスの許可のいずれかを示すものとしてAGSビットを解釈するように、ネットワークノードにより構成されてもよい。
【0041】
他のあり得る実施形態において、ネットワークノードは、シグナリングされる特定の絶対許可値(AGV)との組合せで、AGSビットをシグナリングしてもよい。このケースでは、AGV及びAGSが許可に含まれる。対応して、ワイヤレスデバイスは、ネットワークノードから、シグナリングされるAGVとの組合せで、AGSビットを受信してもよい。
【0042】
旧来の手続においてAGV及びAGSが典型的にはE−AGCH上でシグナリングされることに上で言及したが、これはここで説明した実施形態が使用される場合にも当てはまり得る。
図4は、ネットワークノードがワイヤレスデバイスへ送信する許可メッセージを生成する際にAGV及びAGSをどのように符号化し得るかを示している。よって、これはE−AGCH上での送信についての“符号化チェーン”である。この手続は、ステップ400において、AGVビットx
AGV,1,x
AGV,2,…,x
AGV,5及びAGSビットx
AGS,1を多重化することと、ステップ402において、アイデンティティ固有の巡回冗長検査(CRC)の付加を行うことと、ステップ404において、チャネル符号化を行うことと、ステップ406において、レートマッチングを行うことと、最後にステップ408において、物理チャネルマッピングを行うことと、を含む。これらステップは、当分野においてよく知られており、ここでの実施形態の理解のために詳細にここで説明する必要は無い。但し、留意すべきこととして、ステップ402におけるID固有のCRCは、基本的に、各デバイスがE−AGCH上で送信されるAGが当該デバイス宛てであるのか否かを検出することを可能とする。E−AGCHは、全てのデバイスがモニタリング、即ちリッスンするいわゆる“共通チャネル”である。従って、ネットワークは、2つのデバイスへ同時にAGを送信することができず、これは転じて上述した未使用のTTIの問題をもたらす。
【0043】
次に、TDM方式においてアップリンク送信を許可する際にここでの実施形態を採用することにより、無線リソースの利用率及びシグナリング効率がいかに改善されるかについて、
図5及び
図6に示したいくつかの例を参照しながら説明する。
図5は、“レガシー許可”として言及される、アップリンク送信を許可するための旧来の手続が使用される例を示している。
図5において、UE1と表記される第1のワイヤレスデバイスは、拡張専用物理データチャネル(E−DPDCH)と呼ばれるチャネル上で、より多量なデータを送信しており、その送信は複数のTTIにまたがる。UE1からの永続的な送信は、E−DPDCH上で単一TTI内で少量のデータを送信する必要のあるUE2と表記される第2のワイヤレスデバイスにより中断される。よって、次のようなE−AGCH上でのシグナリグの手段によって、データのアップリンク送信が単一TTIのためにUE1からUE2へと切り替えられ、次いでUE1へと戻されることになる。ネットワークノードによりUE1及びUE2がサービスされているものとする。
【0044】
この旧来の手続では、“AG”と表記される絶対許可(Absolute Grant)及び“ZG”と表記されるゼロ許可(Zero-Grant)という上述したメッセージが、デバイスを制御するために利用可能であり、4つのメッセージを要する。よって、当初、複数のTTIにおいてE−DPDCH上でUE1からの進行中のデータ送信が存在する(1でマーク)。第一に、ネットワークノードは、ステップ500において、UE1へZGをシグナリングして、UE1にその送信を停止させ、あるTTI(黒でマーク)におけるデータ送信を無しにする。第二に、ネットワークノードは、ステップ502において、UE2へAGをシグナリングして、あるTTI(2でマーク)においてUE2からデータ送信を行わせる。第三に、ネットワークノードは、ステップ504において、UE2へZGをシグナリングして、UE2にその送信を停止させ、別のTTI(黒でマーク)におけるデータ送信を無しにする。第四に、ネットワークノードは、ステップ506において、UE1へAGをシグナリングして、さらなるTTI(1でマーク)においてUE1からのデータ送信を再開させる。
【0045】
図5で見たように、UE1とUE2との間でUE送信を切り替える期間中に、許可を終了させ及びアクティブ化するレガシーの許可動作に起因して、2つのTTIが浪費され、即ち未使用となる。
【0046】
図6は、本解決策に従って改善された許可方式を用いて同じ動作をどのように達成することができるかを示している。
図6において、UE1は、UE2が単一TTIで送信をスケジューリングされる前に、ステップ600において、第1の許可メッセージ内のAGSビットにより示される通りの、最終TTIにおける送信についての“単一TTI(Single TTI)”許可を受信する。これは、“単一TTI”許可の受信後に自身の送信を終了せよとUE1へ指示するためのものである。
【0047】
次に、ステップ602において、第2の許可メッセージ内のAGSビットにより示される通りの“単一TTI”許可がUE2へシグナリングされ、UE2は、単一のTTI(2でマーク)において自身の少ないデータ量を送信する。そして、UE1は、ステップ604において、第3の許可メッセージ内のAGSビットにより示される通りの通常の永続的な許可を再び認められることができ、自身のデータバッファを空にしようとデータ送信を続行する。よって、
図6において理解し得ることとして、UEの移行において無駄なTTIが回避されるのみならず、所要の許可メッセージが1つ少なく、即ち、
図5における4つのシグナリングメッセージの代わりに、
図6で要するのは3つのシグナリングメッセージである。UEにより送信されるべきデータが再送であり、再送のために許可は不要であるとの合意がある場合、UE2への“単一TTI”許可のシグナリングすら不必要である。一方、“クリーンキャリア”動作において再送が許可の対象であると合意されていれば、
図6において“単一TTI”許可が必要とされる。
【0048】
図7のブロック図は、上述した解決策及びそれらの実施形態を取り入れるためにネットワークノード700及びワイヤレスデバイス702をどのような構造にし得るかの詳細ではあるが非限定的な例を示している。この図において、ネットワークノード700及びワイヤレスデバイス702は、以下の通り、適切であれば、上述した通りの解決策を採用したいずれの例及び実施形態に従って動作するように構成されてもよい。ネットワークノード700及びワイヤレスデバイス702の各々は、ここで説明したやり方で情報を伴う信号を送受信するために適した機器と共に、プロセッサ“P”、メモリ“M”、及び通信回路“C”を備える。
【0049】
よって、ネットワークノード700及びワイヤレスデバイス702の各々の中の通信回路Cは、実装に依存して、無線通信のために適したプロトコルを用いて無線インタフェース上で互いに通信するために構成される機器を備える。
【0050】
ネットワークノード700は、上述したやり方で
図2のフローチャートにおけるアクション200〜206に従って手続を実行するように構成され又は配置される手段を備える。さらに、ワイヤレスデバイス702は、上述したやり方で
図3のフローチャートにおけるアクション300〜306に従って手続を実行するように構成され又は配置される手段を備える。それらアクションは、ネットワークノード700及びワイヤレスデバイス702内のそれぞれのプロセッサPにおける機能モジュールの手段によって、次の通り実行され得る。
【0051】
ネットワークノード700は、例えば時間分割多重方式において、デバイス702などのワイヤレスデバイスからのアップリンク送信を制御するために構成される。ネットワークノードは、ワイヤレスデバイス702へ絶対許可スコープ(AGS)ビットをシグナリングするように構成される手段を備え、AGSビットは、
−ワイヤレスデバイス702が単一の送信時間インターバル(TTI)の期間中のアップリンク送信について許可されること、及び
−ワイヤレスデバイス702へ次の許可がシグナリングされるまでワイヤレスデバイス702がアップリンク送信について許可されること、
のうちの1つを示す。
【0052】
このシグナリングアクティビティは、例えば上のアクション300〜306について説明したやり方で、ネットワークノード700内のシグナリングモジュール700aにより実行されてもよい。
【0053】
上のネットワークノードは、次のように記述されてもよい。
【0054】
例えば時間分割多重方式において、ワイヤレスデバイス702からのアップリンク送信を制御するように構成されるワイヤレスネットワークのネットワークノード700であって、ネットワークノード700は、ワイヤレスデバイス(702へアップリンク送信についての許可及び絶対許可スコープ(AGS)ビットをシグナリングするように構成される手段を備え、AGSビットは、
−上記許可がワイヤレスデバイス702に単一の送信時間インターバル(TTI)の期間中のアップリンク送信を許すこと、及び
−上記許可がワイヤレスデバイス702へ次の許可がシグナリングされるまでワイヤレスデバイス702にアップリンク送信を許すこと、
のうちの1つを示す。
【0055】
ワイヤレスデバイス702は、例えば時間分割多重方式において、ワイヤレスネットワークのネットワークノード700などのネットワークノードによりサービスされる際に、アップリンク送信を制御するように構成される。ワイヤレスデバイス702は、ネットワークノード700から、絶対許可スコープ(AGS)ビットを伴うシグナリングを受信するように構成される手段、を備え、AGSビットは、
−ワイヤレスデバイス702が単一の送信時間インターバル(TTI)の期間中のアップリンク送信について許可されること、及び
−ワイヤレスデバイスへ次の許可がシグナリングされるまでワイヤレスデバイス702がアップリンク送信について許可されること、
のうちの1つを示す。
【0056】
この受信アクティビティは、例えば上のアクション400〜406について説明したやり方で、ワイヤレスデバイス702内の受信モジュール702aにより実行されてもよい。
【0057】
上のワイヤレスデバイスは、次のように記述されてもよい。
【0058】
例えば時間分割多重方式において、ワイヤレスネットワークのネットワークノード700によりサービスされる際に、アップリンク送信を制御するように構成されるワイヤレスデバイス702であって、ワイヤレスデバイス702は、ネットワークノード700から、アップリンク送信についての許可及び絶対許可スコープ(AGS)ビットを受信するように構成される手段、を備え、AGSビットは、
−上記許可がワイヤレスデバイス702に単一の送信時間インターバル(TTI)の期間中のアップリンク送信を許すこと、及び
−上記許可がワイヤレスデバイス702へ次の許可がシグナリングされるまでワイヤレスデバイス702にアップリンク送信を許すこと、
のうちの1つを示す。
【0059】
留意すべきこととして、
図7は、ネットワークノード700及びワイヤレスデバイス702内のそれぞれの多様な機能モジュールを示しており、当業者は、それら機能モジュールを、実践において適したソフトウェア及びハードウェアを用いて実装することができる。よって、本解決策は、概してネットワークノード700及びワイヤレスデバイス702の図示された構造には限定されず、図中の機能モジュール700a及び700bは、適切であれば、本開示において説明したいかなる特徴及び実施形態に従って動作するように構成されてもよい。
【0060】
上述した機能モジュール700a及び702aは、それぞれネットワークノード700及びワイヤレスデバイス702において、それぞれのコンピュータプログラムのプログラムモジュールの手段によって実装されることができ、コンピュータプログラムは、プロセッサPにより実行された場合に、ネットワークノード700及びワイヤレスデバイス702のそれぞれに上述したアクション及び手続を実行させる。各プロセッサPが単一のCPU(Central Processing Unit)を含んでもよく、又はクラウドが2つ以上の処理ユニットを含む。例えば、各プロセッサPは、汎用マイクロプロセッサ、命令セットプロセッサ及び/若しくは関連するチップセット、並びに/又は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの特殊目的マイクロプロセッサを含んでもよい。各プロセッサPは、キャッシュ目的のためのストレージを含んでもよい。
【0061】
各コンピュータプログラムは、ネットワークノード700及びワイヤレスデバイス702の各々において、コンピュータ読取可能な媒体を有するメモリの形式の、プロセッサPへと接続されるコンピュータプログラムプロダクトにより担持されてよい。ネットワークノード700及びワイヤレスデバイス702の各々の中のコンピュータプログラムプロダクト又はメモリMは、よって、コンピュータ読取可能な媒体を含み、コンピュータ読取可能な媒体上にコンピュータプログラムが例えばコンピュータプログラムモジュールなどの形式で記憶される。例えば、各ノード内のメモリMは、フラッシュメモリ、RAM(Random-Access Memory)、ROM(Read-Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)であってもよく、代替的な実施形態では、ネットワークノード700及びワイヤレスデバイス702のそれぞれの内部のメモリの形式の、異なる複数のコンピュータプログラムプロダクトへ分散されるプログラムモジュールクラウドであってもよい。
【0062】
ここで説明した本解決策は、ネットワークノード700及びワイヤレスデバイス702の各々において、コンピュータプログラムによって実装されてもよく、コンピュータプログラムは、少なくとも1つのプロセッサ上で実行された場合に、適切であれば、当該少なくとも1つのプロセッサに上の実施形態のいずれかに係るアクションを実行させる。また、本解決策は、ネットワークノード700及びワイヤレスデバイス702の各々において、上のコンピュータプログラムを含む担体で実装されてもよく、その担体とは、電子信号、光信号、無線信号、又はコンピュータ読取可能な記憶媒体、のうちの1つである。
【0063】
次に、本解決策及びその実施形態のさらなる特徴及び詳細が説明されるであろう。
【0064】
ここ数年の間に、モバイル事業者は、例えばWCDMA(Wideband Code Division Multiple Access)などの3GPPに基づくモバイルブロードバンドを開始した。さらに、データアプリケーション向けに設計される新たなデバイスを原動力として、エンドユーザの性能要件は、着実に増加している。そのうえ、モバイルブロードバンドの大規模な取り入れの結果、HSPAを可能とするWCDMAネットワークにより扱われなければならないトラフィックボリュームが顕著に拡大した。
【0065】
HSPAアップリンク性能を改善する目的で、3GPPリリース7あるいはRel7において、拡張アップリンク(EUL)が導入された。アップリンクは設計として非直交的であり、即ち1回のアップリンク送信が他のアップリンク送信と干渉し得ることから、高速な閉ループ電力制御などの厳密な電力制御が、“近い”送信が“遠い”送信よりもかなり低い電力しか要しないという遠近(near-far)問題を解決するために必要とされる。ノードBあるいは基地局は、UEからの送信信号の受信SIRを測定し、ダウンリンクにおいてUEへ電力制御コマンドを送信して、送信電力を調整する。電力制御コマンドは、専用物理チャネル(DPCH)を用いて送信されることができ、又は、チャネライゼーションコードを節約するために、F−DPCH(Fractional DPCH)を用いて送信されることができる。異なる複数のUEの間の非直交性は、UE間の干渉漏洩を引き起こし、アップリンクのスループットは、マルチUEのシナリオにおいて、しばしば2〜3Mbps(メガビット毎秒)へと制限される。
【0066】
リアルネットワーク環境における高ビットレート動作を可能とするために、高ビットレート(高RX電力)UEを、ノードBにおいて相当に低いRX電力しか要しない音声ユーザなど、高ビットレートUEにより生成される高い干渉に対し脆弱なUEから隔離する必要がある。現行のHSPA技術の範囲内でこれを達成するための自然な手法は、“クリーンキャリア”の概念の活用である。手短に言うと、この概念では、複数のキャリアが通常のキャリア及びクリーンキャリアへと分けられる。通常のキャリアは、UEの基本的なニーズを提供する。クリーンキャリアは、排他的に高ビットレート送信に専用とされる。クリーンキャリア上では、UEは、相互の干渉を回避する目的で、例えばTDM方式に従って、一度に1つが送信を行うようにネットワークによりスケジューリングされる。
【0067】
現行のRel12以前の3GPP標準を用いてこれを達成するために様々な方法が存在する。1つの方法は、インター周波数ハンドオーバ(IFHO)手続の活用であり、他の方法は、デュアルセルE−DCH動作としても知られる、3GPP Rel9のデュアルキャリアHSUPA(High-Speed Uplink Packet Access)の特徴の活用である。但し、上述した方法を用いて“クリーンキャリア”を動作させることは、レイテンシの課題及び制御チャネルオーバヘッドの課題などのいくつかの欠点を伴い得る。3GPP Rel12の「さらなるEUL拡張(Further EUL Enhancements)」という作業項目RP−132078では、HSPA性能を改善可能な多様なアップリンクの改善法が標準化される。シングルキャリア及びマルチキャリアのアップリンク混成トラフィックのシナリオにおいて高ユーザビットレートを可能とするサブトピックの1つは、より効率的な“クリーンキャリア”動作のための、既存のRel7 CPC及びRel9デュアルキャリアHSUPAの特徴についての拡張を取り入れる。
【0068】
作業項目「さらなるEUL拡張」において議論された拡張のうちの1つは、“クリーンキャリア”上のユーザデータ送信を許可するための改善された方法である。許可ハンドリングの拡張を取り入れる動機は、レガシーのE−AGCHチャネルを用いてバースト的な高データレートトラフィックを動作させることに伴う欠点を回避することである。主要な欠点は次の通りである:
・データ送信を開始するために1つ、データ送信を停止するために1つという、E−AGCH上で2つのメッセージをシグナリングする必要性。これは後に詳細に説明される
・許可の終了の検出失敗についての重大な帰結
・例えばユーザ間にTTIギャップ無しで動作する能力といった、柔軟性
【0069】
現在動いているシステムにおいて、TDMスケジューリングを実現することができる。TDMモードにおいて、ノードBは、次のピリオドについて送信を行う1つのUEを指定しなければならず、一方、前のピリオドで送信を行っているUEは、その送信を停止しなければならないことを通知されなければならない。その動作のために、2つの許可コマンドが発行されなければならない:
・ZERO又はINACTIVEのいずれかを伴うE−AGCH(あるUEについての送信停止用)
・絶対許可値を伴うE−AGCH(あるUEについての送信開始用)
【0070】
このアプローチの不利な点は、UE間のシームレスな切替えのためには、双方のコマンドが理想的には一度に送信される必要があることである。通常は1つのE−AGCHチャネルのみが使用されることから、これは不可能である。レガシーの許可を用いてUEを切り替える場合、いずれか1つのTTIが失われることになり(UE送信の間の1つのTTIにおいて高ビットレートで送信を行うUEがいない)、さもなければ、2つのUEが1つのTTIについて高グラントで同時に送信を行うことになる。これは、未使用のTTI、又は双方の送信で重複するTTIについての非常に高い干渉を引き起こすはずである。
【0071】
下の表1は、3GPPにおいて現在議論されている許可方法の比較を示しており、次を含む:
・ゼロ許可用の新たなタイミング
・許可検出
・時間制限のある許可
【0072】
表1に見られるように、それら方式の各々1つに少なくとも1つの欠点がある。
【0074】
「さらなるEUL拡張」の作業項目説明において、“シングルキャリア及びマルチキャリアのアップリンク混成トラフィックシナリオにおける高ユーザビットレートの可能化”のサブトピックのスコープは、次のように定義されている:
a)DTX/DRX拡張(例えば、プライマリキャリア及びセカンダリキャリアの間のDRX/DTXパラメータの分離、DTXサイクルの増加、DRXサイクルの増加、独立DTXパラメータ化)
b)改善された許可法:セカンダリキャリア及びTDM動作についての改善された許可法
c)長いデータ中断に起因する性能の課題が見出される場合、セカンダリアップリンク周波数上の長いDTXギャップ後の改善された電力制御
【0075】
改善された許可法に関して、レガシーの許可法を改善するために、作業項目「さらなるEUL拡張」において様々な改善が提案されてきている。提案された解決策のいずれも、前に言及したレガシーの許可法の課題の全てを完全には解決できないことから、このトピックについて合意はなされていない。
【0076】
“ゼロ許可用の新たなタイミング(New timing for zero-grant)”という解決策の主な欠点は、タイミングの変化に起因するゼロ許可を復号するための低下した遅延バジェット、及び単一TTI(例えば、再送)を送信するためのケイパビリティの欠如である。
【0077】
“許可検出(Grant Detection)”方式の主な欠点は、それが様々な形でシステムをより複雑にすることである。UEは、許可検出閾値の実装を要することになり、全てのユーザが終了用許可を受信したか否かについていくらかの不確かさが引き起こされ得る。本方式は、E−AGCHチャネルの電力制御にも影響する。他の1つの問題は、複数のUEをスケジューリングすることが、追加的なレガシーE−AGCHの使用を要すること、及び新たなUEが新しいE−AGCH及びレガシーE−AGCHの双方をモニタリングする必要があるであろうことである。
【0078】
“時間制限のある許可(Time Limited Grants)”方式の主な欠点は、持続するトラフィックのために許可の繰り返しが必要とされることである。
【0079】
ここでの実施形態に係る改善された許可方式は、TDM動作において高ビットレートユーザに許可を与えるために使用され得る。本方式は、レガシーのE−AGCH許可法に基づいているが、絶対許可スコープビットあるいは略してAGSビットの解釈が、許可は“対HARQプロセス(Per HARQ process)”の許可であるという解釈から、許可は時間制限のある“単一TTI”許可であるという解釈へと変更される。UEが“単一TTI許可”でスケジューリングされる場合、その許可は、1TTIのデータ送信の後に無効となる。AGSビットの解釈は、上位レイヤにより構成可能である。即ち、UEは、例えばRNCから、AGSビットが“対HARQプロセス”の許可を示すのか又は“対単一TTI”の許可を示すのかを構成される。“単一TTI”の許可をAGSビットが示すように構成されたUEは、“対HARQプロセス”の許可法を用いて送信を行うことができなくなるが、例えば専用の高ビットレートキャリアである“クリーンキャリア”での動作の文脈においては、これは大きな課題ではない。
【0080】
提案した“単一TTI”許可方法は、頻繁なスマートフォンのトラフィック向けの、又は上述したような“シングルキャリア及びマルチキャリアのアップリンク混成トラフィックのシナリオ”向けの改善された許可ケイパビリティを与える。提案した“単一TTI”許可方法の使用は、レガシーのE−AGCH許可法を用いる場合よりも、TDMスケジューリングをより大幅に柔軟にする。
【0081】
ここで説明した実施形態を用いることにより、例えばTDM動作において高ビットレートユーザに許可を与えるための改善された柔軟な許可方式が達成され得る。本方式は、以下に説明されるレガシーのE−AGCH許可法に基づいている。
【0082】
3GPP TS25.212“Multiplexing and channel coding (FDD)”(V11.7.0 [3GPP TS25.212])において仕様化されているように、絶対許可チャネルE−AGCHは、6つの情報ビットを含む:
・絶対許可値(Absolute Grant Value):x
AGV,1,x
AGV,2,…,x
AGV,5
・絶対許可スコープ(Absolute Grant Scope):x
AGS,1
【0083】
E−AGCHについての全体的な符号化チェーンは、
図3に示されている。
【0084】
E−AGCHにおいて送信される情報ビットx
AGV,1,x
AGV,2,…,x
AGV,5は、UEへ絶対許可値をシグナリングするために使用される。これらビットは、提案した許可方式においては変更されず、レガシーの通りに機能する。
【0085】
絶対許可スコープビットx
AGS,1は、レガシーのE−AGCHにおいて、送信された許可が“対HARQプロセス”の許可であるか否かを示すために使用される。即ち、単一のHARQプロセスのみにE−AGCHにおいて送信された許可値が適用されるのか、又はそれが全てのHARQプロセスに適用されるのか、である。提案した改善される許可方式について、絶対許可スコープビットの解釈は、許可は“対HARQプロセス(Per HARQ process)”の許可であるか、から、許可は時間制限のある“単一TTI”許可であるか、へと変更される。“単一TTI”許可の意味は、UEが1つのTTIのデータ送信のみについてスケジューリングされ、データ送信の後にその許可が無効になるということである。
【0086】
絶対許可スコープの情報フィールドマッピングは、現行の標準[3GPP TS25.212]において次のように定義されている:
【0087】
4.10.1A.2 絶対許可スコープの情報フィールドマッピング
x
AGS,1の値は、表16Cにおいて仕様化されている通りに設定される。
【0089】
本開示において説明した解決策及び実施形態が3GPPに取り入れられる場合、仕様書内に次のように更新されたサブチャプターが生成され得る:
【0090】
4.10.1A.2 絶対許可スコープの情報フィールドマッピング
IMPROVED_GRANTINGが有効化されない場合、x
AGS,1の値は、表16C.1において仕様化されている通りに設定される。
【0092】
IMPROVED_GRANTINGが有効化される場合、x
AGS,1の値は、表16C.2において仕様化されている通りに設定される。
【0094】
ここで、IMPROVED_GRANTINGは、改善された許可方式を有効化し及び無効化するための構成可能なパラメータである。
【0095】
上述したように、AGSビットの解釈は、上位レイヤシグナリングにより構成可能であってよい。即ち、UEは、例えばRNCから、AGSビットを、それが“対HARQプロセス”若しくは“全てのHARQプロセス”を示すものとして、又は“永続的な許可”若しくは“単一TTI”の許可を示すものとして解釈するように構成される。その構成は、詳細化された機能レベルでなされてもよく、より正確にはパラメータが“単一TTI”許可法をターンオンし及びターンオフする。他の手法は、“単一TTI”許可法の機能性を、例えば“さらなるEUL拡張”又は“より高速なビットレートの可能化”といった特徴パラメータなどの単一のパラメータによりターンオン及びターンオフされる改善機能のセットの一部とすることであり得る。
【0096】
“単一TTI”許可を示すAGSビットで構成されたUEは、レガシーの通りの“対HARQ”の許可法を用いて送信を行うことができなくなるが、例えば専用の高ビットレートキャリアである“クリーンキャリア”での動作の文脈においては、これは大きな課題ではない。但し、本解決策のスコープは、“クリーンキャリア”動作のみには限定されず、任意のアップリンク送信を制御するために使用されることができる。
【0097】
[略語]
3GPP Third Generation Partnership Project
CRC Cyclic redundancy check
DL Downlink
DPCH Dedicated Physical Channel
E−AGCH Enhanced dedicated channel Absolute Grant Channel
E−DCH Enhanced Dedicated Channel
E−DPDCH Enhanced Dedicated Physical Data Channel
EUL Enhanced uplink
F−DPCH Fractional Dedicated Physical Channel
HARQ Hybrid Automatic Repeat Request
HSUPA High-Speed Uplink Packet Access
IFHO Inter-Frequency Handover
SIR Signal-to-Interference Ratio
TDM Time Division Multiplexing
TTI Transmit Time Interval
UE User Equipment
UL Uplink
WCDMA Wideband Code Division Multiple Access
【0098】
具体的で例示的な実施形態を参照しながら本解決策について説明したが、概してその説明は発明の概念をただ例示することを意図されており、本解決策のスコープを限定するものとして受け取られるべきではない。例えば、“ネットワークノード”、“ワイヤレスデバイス”、“絶対許可スコープ(AGS)ビット”、“送信時間インターバル(TTI)”、“クリーンキャリア”及び“永続的なアップリンク送信”といった用語が本開示を通じて使用されているものの、ここで説明した特徴及び特性を有する他のいかなる対応するエンティティ、機能、及び/又はパラメータが使用されてもよい。本解決策は、添付の特許請求の範囲によって定義される。