(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6159039
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】歯磨き液受け具およびこれを有する歯ブラシ
(51)【国際特許分類】
A46B 17/08 20060101AFI20170626BHJP
【FI】
A46B17/08
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-12474(P2017-12474)
(22)【出願日】2017年1月26日
【審査請求日】2017年2月2日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517028797
【氏名又は名称】佐田 恵一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100121418
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 修
(72)【発明者】
【氏名】佐田 恵一朗
【審査官】
大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭60−14735(JP,U)
【文献】
実開平2−130234(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3132573(JP,U)
【文献】
実開平2−130235(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A46B 15/00−17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の受け具本体と受け具本体の一端に着脱自在に装着され、内部に歯磨き液を溜める歯磨き液貯留部が形成された液溜めキャップを有し、受け具本体は、歯ブラシの把柄部が嵌め入れ自在であり、且つ該把柄部と受け具本体内面との間に歯磨き液を前記液溜めキャップへ流入させる液流入路が設けられており、前記液溜めキャップが受け具本体よりも太い所定長さの有底筒状であって、その端部開口から内方へ受け具本体が嵌め入れられ、且つ液溜めキャップの底部側外面が凸弧状となされている、歯磨き液受け具。
【請求項2】
受け具本体の内面または該内面に対向する歯ブラシの把柄部外面に間隔をあけて軸方向に伸びる複数の凸条が形成され、受け具本体内に歯ブラシの把柄部を挿入することで該把柄部の外面または受け具本体の内面が前記凸条に圧接して把柄部が受け具本体に固定されると共に、隣り合う凸条間にそれぞれ液流入路が形成されることを特徴とする、請求項1記載の歯磨き液受け具。
【請求項3】
液溜めキャップと受け具本体がともに円筒状である、請求項1または請求項2記載の歯磨き液受け具。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のうちのいずれか一項記載の歯磨き液受け具の本体に把柄部が嵌め入れられている、歯磨き液受け具付き歯ブラシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯磨きを行う際に、歯ブラシから歯磨き剤と唾液が混ざった歯磨き液が流れ落ちないようにするための歯磨き液受け具およびこれを有する歯ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
歯磨きには、歯と歯茎の境界部分に斜め(約45度の角度)に歯ブラシを当てて、左右に振動させるバス法や歯ブラシを軽く歯に当てて、細かく振動させることによって、歯の隙間の汚れを落とすスクラッビング法、或いは歯ブラシを歯茎から歯に向かって回転させるように動かすローリング法等、種々の磨き方があり、また使用する歯ブラシは通常、先端から植毛部(ヘッド)、頸部(ネック)、把柄部(ハンドル)の3つの部分で構成されている。
【0003】
そして、歯磨きを行う場合、一般に予め歯ブラシの前記植毛部にペースト状の歯磨き剤を付けて、前記把柄部を手で握って前述した種々の歯磨き法を用いて歯のブラッシングを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−192606号公報
【特許文献2】特開2012−245314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した要領で歯磨きを行っていると、口腔内で歯磨き剤と唾液とが混ざった歯磨き液が溜まると共に該歯磨き液が歯ブラシの植毛部から頸部、更には把柄部へと流れ落ちる。そして、この際、歯ブラシを持っている手よりも肘を上げていないと前記液状の歯磨き剤が手から前腕へと流れ落ち、また更には歯磨きを行っている人が着用しているパジャマ等の衣服にも流下して該衣服を汚してしまうという不都合がある。また、歯磨き液が流れ落ちた前述の前腕には歯磨き液の白い筋状の汚れが付着することから、歯磨き後においては手や前腕を水やお湯で洗浄して前記汚れを洗い落さければならず、このような不都合によって歯磨きに煩わしさを感ずることも少なくないのが実情である。
【0006】
また、前述したような問題に対処するために、歯ブラシの頸部(ネック)部分等に小さな容器状のものを取り付けて、植毛部(ヘッド)から流れ落ちる歯磨き液を受けることも考えられているが、これは歯磨き液を受けるためだけのものであって、歯磨きの際のブラッシングを補助するような機能は全くなかった。
【0007】
本発明の目的は、歯磨き中に歯ブラシの植毛部から流れ落ちる歯磨き液を受けると共に、歯磨きの際のブラッシングを容易に行うことができる、歯磨き液受け具およびこれを有する歯ブラシを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の本発明は、筒状の受け具本体と受け具本体の一端に着脱自在に装着され、内部に歯磨き液を溜める歯磨き液貯留部が形成された液溜めキャップを有し、受け具本体は、歯ブラシの把柄部が嵌め入れ自在であり、且つ該把柄部と受け具本体内面との間に歯磨き液を前記液溜めキャップへ流入させる液流入路が設けられており、
前記液溜めキャップが受け具本体よりも太い所定長さの有底筒状であって、その端部開口から内方へ受け具本体が嵌め入れられ、
且つ液溜めキャップの底部側外面が凸弧状となされている歯磨き液受け具である。
なお、前記受け具本体の外形は、後述する円筒状の他、角筒状等、種々のものが含まれる。
【0009】
受け具本体に対する液溜めキャップの装着手段は特に限定されないが、例えば凹凸嵌合やネジ嵌合等が挙げられる。
【0010】
請求項2記載の本発明は、前記請求項1記載の歯磨き液受け具について、受け具本体の内面または該内面に対向する歯ブラシの把柄部外面に間隔をあけて軸方向に伸びる複数の凸条が形成され、受け具本体内に歯ブラシの把柄部を挿入することで該把柄部の外面または受け具本体の内面が前記凸条に圧接して把柄部が受け具本体に固定されると共に、隣り合う凸条間にそれぞれ液流入路が形成されることを特徴とするものである。
【0011】
請求項3記載の本発明は、前記
請求項1または請求項2記載の歯磨き液受け具について、液溜めキャップと受け具本体がともに円筒状であることを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の本発明は、前記請求項1〜
請求項3のうちのいずれか一項記載の歯磨き液受け具の本体に把柄部が嵌め入れられている歯磨き液受け具付き歯ブラシである。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る歯磨き液受け具は、その受け具本体内に市販の歯ブラシの把柄部を挿入するだけで該歯ブラシに容易に装着することができ、そして、該歯ブラシの植毛部に通常と同様に、歯磨き剤を付けて歯磨きを行えば、使用者の口腔内の唾液と混ざって液状となった歯磨き液が前記歯ブラシの植毛部から流れ落ちても該歯磨き液は当該受け具の本体内面に設けられた液流入路を通って液溜めキャップ内へ流入して、その液貯留部に溜められるため、使用者の手や前腕、或いは衣服が歯磨き液によって汚れることがない。
【0014】
そのため、従来のように、使用者の手や前腕、或いは衣服が歯磨き液によって汚れるのを防止するために、歯ブラシを持っている手よりも肘を上げながら歯磨きを行う必要がなくなる。更に、本発明の歯磨き液受け具の使用者は、歯ブラシの細い把柄部を握らず、これよりも太い受け具本体および液溜めキャップを握って歯のブラッシングを行なえるため、前述した汚れ防止効果と相俟って歯磨きの煩わしさが一挙に解消されるという格別の利点を有する。
【0015】
また、本発明に係る歯磨き液受け具によれば、前述した歯のブラッシング後に液溜めキャップに溜まった歯磨き液は、当該キャップを受け具本体から外して傾けるだけで簡単に排出でき、更に当該キャップと受け具本体はそれぞれ水道の蛇口から吐出する水で容易に洗浄することができるため、メンテナンスも簡便である。
【0016】
この他、請求項2記載の歯磨き液受け具によれば、前述した種々の効果に加えて、複雑な嵌合構造を用いることなく、受け具本体内に歯ブラシの把柄部を挿入だけで当該受け具を歯ブラシに簡単に装着することができる。
【0017】
更に、本発明に係る歯磨き液受け具は、液溜めキャップが受け具本体よりも太い有底筒状であって、その端部開口から内方へ前記液溜めキャップよりも細い受け具本体が嵌め入れられている構造であるため、使用の際に当該受け具を手で握れば、その小指と薬指で太い液溜めキャップ部分を把持することとなる結果、当該受け具の基端部分に相当する液溜めキャップの底部が手のひらに安定的に固定され得ると共に、液溜めキャップよりも細い受け具本体を親指、人差し指および中指の三本で把持することとなるため、当該歯磨き液受け具を安定して楽に持つことができ、その結果、手が疲れずに歯のブラッシングが行えるという利点がある。
【0018】
また、前記液溜めキャップと受け具本体がともに円筒状である
請求項3記載の歯磨き液受け具および液溜めキャップの底部側外面が凸弧状となされている
前記請求項1記載の歯磨き液受け具では、手への馴染み性が更に向上することから、前述した種々の利点・効果が更に高められ得る。
【0019】
更に、本発明の歯磨き液受け具は、安価に製造することができ、本願の
請求項4記載の歯ブラシと一体に製造・販売することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係る歯磨き液受け具およびこれを装着した歯ブラシの斜視図である。
【
図2】
図1における歯磨き液受け具を断面した図である。
【
図4】本発明の他の実施形態に係る歯磨き液受け具を断面した図である。
【
図5】本発明に係る歯磨き液受け具を手で握った状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の実施形態を図面にしたがって説明するが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。
【0022】
図1〜
図3に示すように、本実施形態に係る歯磨き液受け具1は、筒状の受け具本体2と受け具本体2の一端に着脱自在に装着され、内部に歯磨き液をL溜める歯磨き液貯留部4が形成された液溜めキャップ3を有し、受け具本体2は、歯ブラシ5の把柄部6が嵌め入れ自在であり、且つ該把柄部6と当該受け具本体2内面との間に歯磨き液を前記液溜めキャップ3へ流入させる液流入路7を有するものである。
【0023】
本実施形態では、受け具本体2の内面に、周方向に間隔をあけて且つ軸方向に伸びる複数の凸条8が形成され、受け具本体2内に歯ブラシ5の把柄部6を挿入することで該把柄部6の外面が前記凸条8に圧接して把柄部6が受け具本体2内に固定されると共に、隣り合う凸条8間にそれぞれ液流入路7が形成されるようになされている。
【0024】
なお、本実施形態では、前述した通り、受け具本体2の内面に間隔をあけて軸方向に伸びる複数の凸条8を形成したが、該凸条8は歯ブラシ5の把柄部6の外面に形成しても良い。
【0025】
また、本実施形態では、液溜めキャップ3が受け具本体2よりも太い有底筒状であって、その端部開口3aから内方へ受け具本体2の基端部2aが嵌め入れられており、更に、本実施形態では液溜めキャップ3と受け具本体2をともに円筒状とし、また、液溜めキャップ3の底部側外面3bは本実施形態では凸弧状となされている。
【0026】
前記受け具本体2に対する液溜めキャップ3の装着構造は、本実施形態では、液溜めキャップ3の内径を受け具本体2の外径と対応させ、且つ液溜めキャップ3の内底部3c附近を若干狭くすることで、受け具本体2の基端部2aを液溜めキャップ3内に挿入すれば、その内底部3c附近で受け具本体2の基端部2aが液溜めキャップ3内に当接して固定されるようになされている。
【0027】
また、
図4に示すように、前述した受け具本体2と液溜めキャップ3との嵌め込み嵌合以外に、受け具本体2の基端部に雄ネジ10Aを形成する一方、液溜めキャップ3の内面に雌ネジ10Bを形成してネジ嵌合を行なう場合もある。
【0028】
次に、
図1〜
図4に示すように、本実施形態に係る歯磨き液受け具1の使用方法について説明すると、予め上述した要領で受け具本体2の基端部2aに液溜めキャップ3を装着しておき、次に受け具本体2の先端開口部2bから歯ブラシ5の把柄部6を差し込むだけで該把柄部6が受け具本体2内の凸条8に当接して当該受け具本体2内に固定され、その結果、歯ブラシ5に対する歯磨き液受け具1の装着が完了する。
【0029】
そして、
図5に示すように、歯のブラッシングを行なうにあたっては、当該歯磨き液受け具1を手Hで持って、通常と同様に歯ブラシ5を動かせば良い。
【0030】
この際、
図5に示すように、当該歯磨き液受け具1を手Hで持った場合、小指1Fと薬指2Fで太い液溜めキャップ3部分を把持することとなる結果、当該受け具1の基端部分に相当する液溜めキャップ3の底部側外面3bが手のひら面HFに安定的に固定され得ると共に、液溜めキャップ3よりも細い受け具本体2を手Hの親指3F、人差し指4Fおよび中指5Fの三本で把持することとなるため、当該歯磨き液受け具1を安定して楽に保持することができ、その結果、手Hが疲れずに歯のブラッシングが行える。
【0031】
また、本実施形態では、液溜めキャップ3と受け具本体2がともに円筒状であり、且つ液溜めキャップ3の底部側外面3bが凸弧状となされているため、手Hへの馴染み性が更に向上する。
【0032】
そして、当該歯磨き液受け具1の使用後において、前述した歯のブラッシングによって液溜めキャップ3の歯磨き液貯留部4に溜まった歯磨き液Lは、当該キャップ3を受け具本体2から外して傾けるだけで簡単に排出でき、更に液溜めキャップ3と受け具本体2はそれぞれ水道の蛇口から吐出する水で容易に洗浄することができる。
【0033】
なお、前述した実施形態においては、歯ブラシ5は、その把柄部6を通常の市販歯ブラシと同様に、長尺の長さとしたが、本発明はこれに限定されず、歯ブラシ5の頸部(ネック)の下側に短尺の把柄部を形成し、該部分と受け具本体2内に嵌め入れる構造としても良い。また、その場合も短尺の把柄部と受け具本体2との間に液流入路7形成される。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明に係る歯磨き液受け具は、安価に製造することができ、しかも市販の歯ブラシに容易に装着することができ、そして、歯のブラッジング時における歯磨き液を確実に受けると共に、前記ブラッシング動作を容易に行い得るため、衛生日用品の分野で幅広い利用が期待できる。
【符号の説明】
【0035】
1 歯磨き液受け具
2 受け具本体
2a 受け具本体基端部
2b 受け具本体先端開口部
3 液溜めキャップ
3a 液溜めキャップ端部開口
3b 液溜めキャップ底部側外面
4 歯磨き液貯留部
5 歯ブラシ
6 把柄部
7 液流入路
8 凸条
【要約】
【課題】 歯磨き中に歯ブラシの植毛部から流れ落ちる歯磨き液を受けると共に、歯磨きの際のブラッシングを容易に行うことができるようにする。
【解決手段】 筒状の受け具本体2と受け具本体2の一端に着脱自在に装着され、内部に歯磨き液を溜める歯磨き液貯留部4が形成された液溜めキャップ3を有する歯磨き液受け具1であって、受け具本体2は、歯ブラシの把柄部6が嵌め入れ自在であり、且つ該把柄部6と受け具本体2内面との間に歯磨き液を前記液溜めキャップ3へ流入させる液流入路7が設けられている。
【選択図】
図2