(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記負圧発生構造は、前記第2通気経路を経由して前記第2の通気路に入り込む流路抵抗を、前記第1通気経路を経由して前記第1の通気路に入り込む流路抵抗よりも大きくすることを含む、請求項1に記載の外壁換気構造。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0018】
本実施の形態に係る外壁換気構造の説明に先立ち、外壁部材の下端部と基礎部材との間に取付けられ、異なる2つの通気路に外気を送り込む換気部材を備えた公知の外壁換気構造について簡単に説明する。なお、本実施の形態において、「基礎部材」とは、建築用語上の「基礎」に限定されず、外壁部材の下部または周辺において空間を有して存在する部材をいう。
【0019】
図11は、公知の外壁換気構造の一例を示す断面図である。
図12は、
図11に示した外壁換気構造における、強風時の空気の流れを示す図である。
【0020】
図11に示した外壁換気構造は、基礎部材1と、基礎部材1上に間隔をあけて取付けられる外壁パネル10と、外壁パネル10の下端部と基礎部材1との間に取付けられる換気部材120とを備えている。外壁パネル10には、外部空間側から、第1の壁材11、第2の壁材12、および、断熱材14が含まれる。断熱材14は、パネルフレーム15内に配置されている。
【0021】
外壁パネル10の第1の壁材11と第2の壁材12との間には、防湿のために第1の通気路31が形成されている。また、パネルフレーム15の下端面と基礎部材1の上端面との間に、複数の土台(図示せず)が間隔をおいて配置されることによって、基礎部材1と外壁パネル10との間に、床下へ続く第2の通気路32が形成されている。
【0022】
図11に示されるような公知例の外壁換気構造では、第2の通気路32の入口寸法L102は、第1の通気路31の入口寸法L101以上とされている。つまり、第1の通気路31の入口開口面積よりも、第2の通気路32の入口開口面積の方が大きい。なお、具体的には、寸法L101は、第1の通気路31の厚み、すなわち、第1の壁材11と第2の壁材12との間隔を示している。また、寸法L102は、換気部材120における内部空間側の側壁122の上端部と、その直上に位置する外壁パネル10(第2の壁材12)の下端部との間隔を示している。
【0023】
換気部材120は、第1の通気路31および第2の通気路32の両方に外気を送り込む。したがって、換気部材120は、下方より外気を取入れる外気取入口121と、外気取入口121から第1の通気路31にまで至る第1通気経路141と、外気取入口121から第2の通気路32にまで至る第2通気経路142とを有している。
【0024】
このような外壁換気構造では、通常、外気は、矢印F101に示されるような流れで第1の通気路31および第2の通気路32の両方に送り込まれる。つまり、外気取入口121から取入れられた外気は、一旦、斜め側方方向に曲折し、その後、上方へ向かう第1通気経路141と、側方方向へ向かう第2通気経路142とに枝分かれする。このように、外気取入口121において下方より外気が取入れられるため、通常は、雨水が第1の通気路31および第2の通気路32まで達することはない。
【0025】
ここで、
図12を参照して、このような外壁換気構造を有する建物の付近に、台風並みの強風が吹いたとする。その場合も、強風は、矢印F102に示されるような流れで第1の通気路31および第2の通気路32の両方に送り込まれる。つまり、公知例の外壁換気構造では、強風時においても、外気は上記通常時と同様の通気経路をたどる。したがって、強風かつ雨降りの場合には、雨水を含んだ外気が、第1の通気路31および第2の通気路32の両方に送り込まれることになる。第1の通気路31内に雨水が入り込んだとしても、第1の通気路31の下端から雨水は落下するため、第1の通気路31に雨水が留まることはない。しかしながら、第2の通気路32に雨水が入り込んだ場合、雨水が床下に侵入してしまい、床下に雨水が留まる恐れがある。
【0026】
これに対し、本実施の形態に係る外壁換気構造においては、強風かつ雨降りの場合でも、第2の通気路32へ雨水が入り込むことが抑制される。以下に、本発明の外壁換気構造の各実施の形態について詳細に説明する。なお、本実施の形態では、風速が所定値以上であるときを「強風時」といい、それ以外を「通常時」というものとする。
【0027】
<実施の形態1>
はじめに、本発明の実施の形態1に係る外壁換気構造について説明する。
【0028】
図1は、本発明の実施の形態1に係る外壁換気構造を示す断面図である。
図2は、本発明の実施の形態1に係る外壁換気構造における外気の流れを部分的に示す図である。なお、
図1では、上述の公知例の外壁換気構造と同一または相当する構成については、
図11に示した符号と同じ符号を付してある。
【0029】
図1を参照して、本実施の形態に係る外壁換気構造は、基礎部材1と、基礎部材1上に間隔をあけて取付けられる外壁パネル10と、外壁パネル10の下端部と基礎部材1との間に取付けられる換気部材20とを備えている。
【0030】
外壁パネル10は、たとえば、上記公知例の外壁換気構造と同様に、外部空間側から、第1の壁材11、第2の壁材12、および、パネルフレーム15内に配置される断熱材14を含む。断熱材14よりも内部空間側には、柱(図示せず)が配置されている。
【0031】
この第1の壁材11と第2の壁材12の間には、第1の通気路31が形成されている。
図2に示されるように、第1の通気路31は、第1の壁材11と第2の壁材12との間に所定ピッチで配置される複数の縦桟材13により区切られる空間である。また、基礎部材1と外壁パネル10との間に、床下へ続く第2の通気路32が形成されている。
【0032】
なお、本実施の形態では、第1の通気路31は、最も外側に配置される第1の壁材11の裏側に形成されることとしたが、外壁部材に含まれる2つの壁材(面材)の間に形成されていれば、その位置は限定されない。
【0033】
換気部材20は、通常時において、第1の通気路31および第2の通気路32の両方に外気を送り込む。したがって、換気部材20は、下方より外気を取入れる外気取入口21と、外気取入口21から第1の通気路31にまで至る第1通気経路41と、外気取入口21から第2の通気路32にまで至る第2通気経路42とを有している。
【0034】
換気部材20の形状について、
図3および
図4を用いて説明する。
【0035】
図3は、本発明の実施の形態1における換気部材20の形状を示す斜視図である。
図4は、
図3のIV−IV線で切断した場合の換気部材20の断面図である。
【0036】
換気部材20は、たとえば、
図3に示すような換気部品を長手方向に並べることによって形成される。本実施の形態では、換気部材20の底面23に、複数の矩形形状の外気取入れ口21が形成されている。本実施の形態では、外気取入れ口21はメッシュ材で覆われている。
【0037】
図3および
図4を参照して、換気部材20は、下端において底面23と接続され、かつ、上方向に延びる2つの側壁22,24を有している。側壁22の方が、側壁24よりも高い。側壁24の上端部分には、対向する側壁22側へ傾いた傾斜部24aが設けられている。側壁22から下方向に延びるように、取付け面25が設けられている。取付け面25の長手方向一端側および他端側にはそれぞれ孔部25aが設けられている。
図1および
図3を参照して、これらの孔部25aにビス51が差し込まれることで、固定金物50に換気部材20が取付けられる。固定金物50は、パネル枠15の下端に固定されている。
【0038】
ここで、本実施の形態に係る外壁換気構造は、負圧発生構造を有している。「負圧発生構造」とは、外壁パネル10近傍の風速が所定値以上になったときに、外気取入口21から取入れた外気を、第1通気経路41を経由して第1の通気路31に優先的に送り込み、第2の通気経路42内の空気を第1通気経路41側に向かわせる負圧を発生させる構造をいう。負圧発生構造は、風速10m/sのときに負圧を発生していることが望ましいが、少なくとも風速15m/sのときに負圧を発生していればよい。
【0039】
具体的には、換気部材20の配置位置および形状が次のように定められていることで、本実施の形態に係る外壁換気構造が負圧発生構造を有することになる。
【0040】
すなわち、
図1を参照して、外気取入口21から第1の通気路31まで至る第1通気経路41がほぼ直線的な主経路とし、外気取入口21から第2の通気路32まで至る第2通気経路42が側方に分岐する分岐経路となるよう、換気部材20が配置されている(以下「第1の負圧発生構造」という)。具体的には、
図1に示されるように、外気取入口21が第1の通気路31のほぼ真下に配置されることで、第1通気経路41が主経路とされている。これにより、本実施の形態では、通常時において、外気取入口21から取入れられた外気は、ほぼ直線状に上方に位置する第1通気経路41に向かい、途中で、第2通気経路42に分岐する。
【0041】
なお、本実施の形態では、換気部材20は、反時計方向に所定角度傾斜させて取付けられている。このとき、
図3および4に示した換気部材20の傾斜部24aが、第1の壁材11の裏面(内部空間側の面)と面接触する。
【0042】
また、第1の通気路31の入口開口面積よりも、第2の通気路32の入口開口面積の方が小さくなるように、換気部材20が配置されている(以下「第2の負圧発生構造」という)。これにより、第1の通気路31側へ流れる風量が、第2の通気路32側へ流れる風量よりも多くなる。具体的には、
図1に示した第1の通気路31の入口寸法L1よりも第2の通気路32の入口寸法L2の方が小さくなるように、換気部材20が配置されている。本実施の形態では、寸法L1は、第1の通気路31の厚み、すなわち、第1の壁材11と第2の壁材12との間隔を示しており、寸法L2は、換気部材20における内部空間側の側壁22の上端部と、その直上に位置する外壁パネル10(第2の壁材12)の下端部との間隔を示している。なお、第2の通気路32の入口寸法L2は、通常時における所定の換気量を確保するための下限値以上とされているものとする。
【0043】
さらに、第2通気経路42への外気の流れに対して抵抗を与える衝立壁を兼ねるように、換気部材20の側壁22が配置されている(以下「第3の負圧発生構造」という)。つまり、換気部材20の側壁22が、第2通気経路42への外気の流れに対し、角度をもって存在することで、衝立壁としての役割を果たすことができる。なお、本実施の形態では、側壁22が衝立壁を兼ねる構成としたが、たとえば側壁22よりも外部空間側に、専用の衝立壁が設けられてもよい。
【0044】
本実施の形態では、上記第1〜第3の負圧発生構造を採用することで、強風時においても、第2の通気路32へ雨水が入り込むことを抑制することができる。
【0045】
図5は、本発明の実施の形態1に係る外壁換気構造における、強風時の空気の流れを示す図である。
【0046】
図5を参照して、本実施の形態に係る外壁換気構造を有する建物の近傍の天候が、強風かつ雨降りであるとする。その場合、雨水を含んだ強風は、矢印F2に示されるような流れで、第1通気経路41を経由して第1の通気路31に送り込まれる。一方、第2の通気路32側には負圧が発生されるため、第2通気経路42内の空気は、矢印F3に示されるような流れで、第1通気経路41側に送り込まれる。第1通気経路41側に送り込まれた第2通気経路42内の空気は、外気取入口21から取入れられた外気(雨水を含んだ強風)とともに第1の通気路31内に引き込まれる。したがって、第2の通気路32への雨水の流入は阻止される。
【0047】
なお、強風時においても第2の通気路32への雨水の流入が阻止されることは、以下に示す防水試験により検証済である。
【0048】
(防水試験について)
図1および
図2に示した外壁換気構造を試験体とし、局所風雨試験機を用いて防水試験を行った。
図2において、試験機80が概念的に示されている。
【0049】
試験機80の吹き出し口81と外壁パネル10の下端との水平方向の距離は、約1メートルである。散水量は1m
2当たり約4リットル/分で、試験時間は10分である。このような条件の下、風速を15m/sおよび20m/sの2段階として、防水試験を行った。
【0050】
試験の結果、いずれの風速においても、第2の通気路32側に負圧が発生したため、第2の通気路32への水の侵入は見られなかった。また、第2の通気路32内の粉塵は、第1の通気路32側へ吹き上げられることが確認された。
【0051】
上述のように、本実施の形態では、風速が所定値以上となった場合に、第2の通気路32側に負圧が発生する。そのため、換気部材20に防水用の別部材を取付けなくても、通常時における第2の通気路32への換気と、強風時における第2の通気路32への雨水の流入防止とを効率的に両立することができる。さらに、風速が所定値以上となった場合には、第2の通気路32へは外気の流入自体が抑制されるため、強風とともに粉塵が第2の通気路32へ入り込むことも防止することができる。
【0052】
なお、換気部材20の形状および配置位置は、
図1に示したような例に限定されない。他の形状および配置位置を採用する換気部材を備えた外壁換気構造の例を、実施の形態2として以下に説明する。
【0053】
<実施の形態2>
本発明の実施の形態2に係る外壁換気構造について、実施の形態1と異なる部分のみ詳細に説明する。
【0054】
図6は、本発明の実施の形態2に係る外壁換気構造を示す断面図である。
【0055】
図6を参照して、本実施の形態では、実施の形態1における換気部材20に代えて、換気部材20Aが設けられている。その他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0056】
換気部材20Aの形状について、
図7および
図8を用いて説明する。
【0057】
図7は、本発明の実施の形態2における換気部材20Aの構成を示す斜視図である。
図8は、
図7のVIII−VIII線で切断した場合の換気部材20Aの断面図である。
【0058】
図7を参照して、本実施の形態における換気部材20Aは、底面23Aを挟み上方向に延びる側面22A,24Aを含む。本実施の形態では、側面22Aに、複数の矩形形状の外気取入口21が形成されている。側面22Aと取付け面25とは、底面23Aと平行な上端面26によって接続されている。
【0059】
図6および
図7を参照して、本実施の形態においても、取付け面25の長手方向一端側および他端側に設けられた孔部(図示せず)にビス51が差し込まれて、固定金物50Aに取付けられる。
【0060】
ここで、本実施の形態においても、換気部材20Aの配置位置および形状が次のように定められていることで、外壁換気構造は、上記第1〜第3の負圧発生構造を有している。
【0061】
すなわち、第1の負圧発生構造として、
図6に示されるように、換気部材20Aの外気取入口21が、第2の壁材12の外部空間側の面のほぼ真下に、縦に配置されている。つまり、
図7および
図8に示した換気部材20Aの底面23Aおよび上端面26が、基礎部材1の上端面と平行となるように取付けられている。これにより、本実施の形態においても、第1通気経路41が主経路とされている。したがって、
図6の矢印F11に示されるように、通常時において、外気取入口21から取入れられた外気は、ほぼ直線状に上方に位置する第1通気経路41に向かい、途中で、第2通気経路42に分岐する。
【0062】
また、第2の負圧発生構造として、
図6に示されるように、第1の通気路31の入口寸法L1よりも第2の通気路32の入口寸法L3の方が小さくなるように、換気部材20Aが配置されている。本実施の形態において、寸法L3は、換気部材20Aにおける上端面26と、その直上に位置する外壁パネル10(第2の壁材12)の下端部との間隔を示している。なお、本実施の形態における第2の通気路32の入口寸法L3も、通常時における所定の換気量を確保するための下限値以上とされているものとする。
【0063】
また、第3の負圧発生構造として、第2通気経路42への外気の流れに対して抵抗を与える衝立壁を兼ねるように、換気部材20Aの側壁22Aの形状および配置位置とされている。具体的には、
図7および
図8に示されるように、外気取入口21は、側壁22Aの上側の一部(以下「上側側面」という)を除外して形成されており、当該上側側面が、第2通気経路42への外気の流れに対し、角度をもって存在することで、衝立壁としての役割を果たすことができる。
【0064】
本実施の形態でも、上記第1〜第3の負圧発生構造を採用することで、強風時においても、第2の通気路32へ雨水が入り込むことを抑制することができる。
【0065】
図9は、本発明の実施の形態2に係る外壁換気構造における、強風時の空気の流れを示す図である。
【0066】
図9を参照して、本実施の形態に係る外壁換気構造を有する建物の近傍の天候が、強風かつ雨降りであるとする。その場合、実施の形態1と同様に、雨水を含んだ強風は、矢印F12に示されるような流れで、第1通気経路41を経由して第1の通気路31に送り込まれる。また、第2の通気路32側には負圧が発生されるため、第2通気経路42内の空気は、矢印F13に示されるような流れで、第1通気経路41側に送り込まれる。第1通気経路41側に送り込まれた第2通気経路42内の空気は、外気取入口21から取入れられた外気(雨水を含んだ強風)とともに第1の通気路31内に引き込まれる。したがって、第2の通気路32への雨水の流入は阻止される。
【0067】
なお、実施の形態1,2に係る外壁換気構造では、上記第1〜第3の負圧発生構造を採用した。しかしながら、これらの全てを採用する必要はなく、少なくとも風速10m/sのときに第2の通気路32側に負圧が発生していれば、これらのうちいずれか1つだけを採用してもよい。
【0068】
また、上記第1〜第3の負圧発生構造に限定されず、さらに他の負圧発生構造を採用してもよい。たとえば、第2通気経路42を経由して第2の通気路32に入り込む流路抵抗を、第1通気経路41を経由して第1の通気路31に入り込む流路抵抗よりも大きくすることとしてもよい。具体的には、第2の通気路32の入口付近、すなわち、
図1および
図6にそれぞれ寸法L2,L3で示される隙間の全体または一部分に、メッシュ材等を配置してもよい。
【0069】
また、上記実施の形態1,2においては、第2の通気路32は、建物の床下へ続く床下換気口であるとして説明したが、換気を必要とし、かつ、雨水の流入を阻止すべき箇所であれば、他の箇所であってもよい。たとえば、外壁換気構造は、建物のバルコニー部分にも適用可能である。この場合の外壁換気構造の例について、実施の形態3として以下に説明する。
【0070】
<実施の形態3>
本発明の実施の形態3に係る外壁換気構造について、実施の形態1と異なる部分のみ詳細に説明する。
【0071】
図10は、本発明の実施の形態3に係る外壁換気構造を示す図である。
図10には、強風時における空気の流れが、矢印F22,F23で示されている。
【0072】
図10を参照して、本実施の形態では、実施の形態1における外壁パネル10および換気部材20に代えて、それぞれ、外壁パネル10Aおよび換気部材20Bが設けられている。
【0073】
外壁パネル10Aは、実施の形態1と同様に、外部空間側から、第1の壁材11、第2の壁材12、および、断熱材14が配置されているが、第2の壁材12の背面側(内部空間側)の下端部には、切欠き部12aが設けられている。なお、本実施の形態では、断熱材14は、第1の壁材11および第2の壁材12よりも下方方向に長い。また、本実施の形態では、外壁パネル10Aの一部(第1の壁材11および第2の壁材12を含む部分)が、バルコニーの基礎部材2上に間隔をあけて配置されている。
【0074】
基礎部材2の露出面には、防水シート3等が貼り付けられる。防水シート3は、断熱材14の外部空間側の面にも貼り付けられている。なお、本実施の形態では、防水シート3は、基礎部材2の構成部材の一部であることとする。
【0075】
換気部材20Bは、上端面26Aに外気取入口21を有しており、上端面26Aを挟んで下方向に延びる2つの側壁を有している。換気部材20Bは、通常時において、第1の通気路31、および、第2の通気路32Aの両方に外気を送り込む。第2の通気路32Aは、切欠き部12a内における、防水シート3(基礎部材2)と第2の壁材12とに挟まれる空間(隙間)を表わす。
【0076】
ここで、本実施の形態における外壁換気構造は、上記第1および第2の負圧発生構造を採用している。
【0077】
すなわち、第1の負圧発生構造として、
図10に示されるように、換気部材20Bは、上端面26Aが水平に取付けられ、外気取入口21が、第1の通気路31のほぼ真下に配置されている。これにより、第1通気経路41が主経路とされている。この場合においても、通常時は、外気取入口21から取入れられた外気は、ほぼ直線状に上方に位置する第1通気経路41に向かい、途中で、第2通気経路42に分岐する。分岐した外気は、第2通気経路42を経由して、切欠き部12a内の第2の通気路32Aに送り込まれる。
【0078】
また、第2の負圧発生構造として、第1の通気路31の入口寸法(
図1における寸法L1と同等)よりも第2の通気路32の入口寸法の方が小さくなるように、換気部材20Bが配置されている。本実施の形態において、第2の通気路32の入口寸法は、換気部材20Bにおける上端面26Aと、その直上に位置する外壁パネル10A(第2の壁材12)の下端部との間隔を示している。
【0079】
このように、建物のバルコニー部分にも負圧発生構造を採用することで、切欠き部12a内への水の侵入を抑制できる。したがって、切欠き部12a内の防水シート3が貼られていない箇所にまで雨水が入り込んでしまうことを避けることができる。その結果、断熱材14などの躯体の劣化を防止することができる。
【0080】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。