特許第6159104号(P6159104)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6159104
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】部品観察装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/84 20060101AFI20170626BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20170626BHJP
   G03B 15/00 20060101ALI20170626BHJP
   G03B 11/00 20060101ALI20170626BHJP
   G03B 17/56 20060101ALI20170626BHJP
   G03B 15/02 20060101ALI20170626BHJP
   G01N 21/956 20060101ALI20170626BHJP
【FI】
   G01N21/84 E
   G01B11/00 H
   G03B15/00 T
   G03B11/00
   G03B17/56 E
   G03B15/02 F
   G01N21/956 B
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-43390(P2013-43390)
(22)【出願日】2013年3月5日
(65)【公開番号】特開2014-169984(P2014-169984A)
(43)【公開日】2014年9月18日
【審査請求日】2016年1月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】500548884
【氏名又は名称】ハンファテクウィン株式会社
【氏名又は名称原語表記】HANWHA TECHWIN CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001601
【氏名又は名称】特許業務法人英和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】畑瀬 貴之
【審査官】 佐々木 龍
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−124700(JP,A)
【文献】 米国特許第05214841(US,A)
【文献】 特開2001−015993(JP,A)
【文献】 特開2003−168897(JP,A)
【文献】 特開平11−097900(JP,A)
【文献】 特開平02−224951(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84−21/958
G01B 11/00−11/30
G03B 11/00−11/06
G03B 15/00−15/035
G03B 15/06−15/16
G03B 17/56−15/58
H05K 3/30
H05K 13/00−13/08
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品保持具の先端に保持された部品を観察する部品観察装置であって、
波長400nm以上の可視光を前記部品の正面側に向けて複数方向から直接照射する第1の光源と、
波長400nm未満のUV光を前記部品の正面側に向けて複数方向から直接照射する第2の光源と、
前記部品の背面側に配置され、前記UV光が入射したときは可視域の蛍光を放射し、前記可視光が入射したときは蛍光を放射することなく前記可視光を透過する蛍光体と、
前記蛍光体が放射する蛍光及び前記部品で反射された前記可視光が入射するカメラと、
前記カメラへの入射光路の途中であってかつ前記第1及び第2の各光源から前記部品の正面側に向かう照射光路外に配置され、前記可視光及び前記蛍光は透過するが前記UV光は透過しないフィルタと、
前記蛍光体の背面側に積層され、前記蛍光体を透過した前記可視光を吸収する性質を有する艶消し黒色塗装材からなる背面体とを有する部品観察装置。
【請求項2】
前記第1の光源が、波長400nm以上の白色光を放射する白色LEDである請求項1に記載の部品観察装置。
【請求項3】
前記部品保持具の先端部分は先細り状の形状を有し、前記蛍光体は、前記先細り状の先端部分より基端側において前記部品保持具の外周を取り囲むように配置され、前記先細り状の先端部分の外周面を覆うように、前記蛍光体と同じ特性を有する補助蛍光体が配置されている請求項1又は2に記載の部品観察装置。
【請求項4】
前記蛍光体の正面が保護膜で覆われており、前記保護膜は、前記蛍光及び前記可視光を透過する透明材料からなる請求項1から請求項3のいずれかに記載の部品観察装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICチップ等の部品を基板上に実装する表面実装機において、その部品保持具の先端に保持された部品を観察する部品観察装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表面実装機は、ノズル等の部品保持具を有する部品保持ヘッドにより、部品を部品供給部からピックアップし、そのまま部品を保持して基板上に移送し、基板上の所定位置に実装するように構成されている。このとき、部品は基板上の所定位置に正しい姿勢で実装する必要があることから、部品保持ヘッドが部品を基板上に移送する途中において、部品保持具の先端に保持された部品をカメラにより観察して部品の位置ずれを補正したうえで、基板に実装するようにしている。
【0003】
このような部品観察装置としては、例えば特許文献1に開示されているように、移載ヘッド(部品保持ヘッド)の下部に白色のアクリル樹脂板のような光拡散板を設け、この光拡散板に向かって下方から光を照射し、その反射光を下方のカメラで受光する装置が知られており、この装置によれば明るい背景の中に部品を暗く観察することができる。また、これとは反対に、部品保持ヘッドの下部に暗色の光吸収板を設け、部品保持具の先端に保持された部品に向かって下方から光を照射して、下方のカメラで観察することにより、暗い背景の中に部品を明るく観察する装置も知られている。
【0004】
ここで、部品保持ヘッドは、様々な種類の部品を保持して基板上に移送するものであり、部品の種類に応じて、上述の2つの明暗態様、すなわち明るい背景の中に部品を暗く観察する態様と、暗い背景の中に部品を明るく観察する態様のいずれかを選択して部品を観察できるようにすることが望ましい。
【0005】
この2つの明暗態様による部品の観察を可能とした部品観察装置としては、従来、特許文献2に開示されたものが知られている。この特許文献2の部品観察装置は、図5に示すように、部品保持具20の先端に保持された部品Pに向かって光を照射する第1の光源21及び第2の光源22と、部品保持ヘッド23の下部に積層して設けられた光拡散板24及びフィルタ25とを有し、第1の光源21と第2の光源22のフィルタ25に対する分光特性を異ならせたものである。これにより、光源を切り替えれば背景を明るくしたり、暗くしたりすることができる。具体的には、第1の光源21からの光はフィルタ25で吸収されるので、第1の光源21を点灯すると暗い背景の中に部品を明るく観察することができる。また、第2の光源22からの光はフィルタ25を透過し光拡散板24で反射されるので、第2の光源22を点灯すると明るい背景の中に部品を暗く観察することができる。
【0006】
しかしながら、図5において単純に第2の光源22を点灯すると部品Pと光拡散板24の両方に光が当たる。背景は明るくなるが、部品Pに当たった光により部品Pの一部が光ることが生じる。特に部品Pには金属の電極が必ず存在するため、その種類によっては部品Pの電極が激しく光る場合がある。そのため本来暗く見えるべき部品Pの一部が明るくなってしまい、明るい背景と区別がつかなくなってしまう。そのため、実際の運用においては、特許文献3の図2に示されているように、第1の光源と第2の光源との間に、第2の光源から部品へ照射される光を遮光する遮光板を設けている。しかし、光源間に遮光板を設けるとなると、その光源の配置に制限が生じ、部品保持具の配置にも制限が生じる。また、遮光板が存在することにより、価格の上昇や重量の上昇をも招来する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平2−99000号公報
【特許文献2】特開平5−332738号公報
【特許文献3】特開2000−241119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、光源間に遮光板を設けることなく、明るい背景の中に部品を暗く観察する態様と、暗い背景の中に部品を明るく観察する態様との2つの明暗態様で、部品を明瞭に観察することができる部品観察装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一観点によれば、部品保持具の先端に保持された部品を観察する部品観察装置であって、波長400nm以上の可視光を前記部品の正面側に向けて複数方向から直接照射する第1の光源と、波長400nm未満のUV光を前記部品の正面側に向けて複数方向から直接照射する第2の光源と、前記部品の背面側に配置され、前記UV光が入射したときは可視域の蛍光を放射し、前記可視光が入射したときは蛍光を放射することなく前記可視光を透過する蛍光体と、前記蛍光体が放射する蛍光及び前記部品で反射された前記可視光が入射するカメラと、前記カメラへの入射光路の途中であってかつ前記第1及び第2の各光源から前記部品の正面側に向かう照射光路外に配置され、前記可視光及び前記蛍光は透過するが前記UV光は透過しないフィルタと、前記蛍光体の背面側に積層され、前記蛍光体を透過した前記可視光を吸収する性質を有する艶消し黒色塗装材からなる背面体とを有する部品観察装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の部品観察装置において、第1の光源からの可視光は蛍光体を透過し、背面体によって吸収又はカメラへの入射光路外に反射されるので、暗い背景の中に部品を明るく観察することができる。一方、第2の光源からのUV光が蛍光体に入射すると蛍光体から可視域の蛍光が放射されるので、明るい背景の中に部品を暗く観察することができる。このとき、UV光が部品に当たって反射したとしてもフィルタによって遮断され、カメラに到達することはない。したがって、第2の光源から部品へ照射されるUVを遮光する遮光板を設けなくとも、本来暗く見えるべき部品の一部が明るくなってしまうようなことは生じない。
【0011】
すなわち本発明によれば、光源間に遮光板を設けることなく、明るい背景の中に部品を暗く観察する態様と、暗い背景の中に部品を明るく観察する態様との2つの明暗態様で、部品を明瞭に観察することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の部品観察装置の構成を示す概念図で、(a)は第1の光源が点灯した状態、(b)は第2の光源が点灯した状態を示す。
図2】本発明の部品観察装置の一実施例を示す概略縦断面図である。
図3図2の実施例で使用した蛍光体を示し、(a)は正面図、(b)は平面図である。
図4図2の実施例の改良形態を示す概念図である。
図5】従来の部品観察装置の構成を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態を説明する。
【0014】
図1は、本発明の部品観察装置の構成を示す概念図で、(a)は第1の光源が点灯した状態、(b)は第2の光源が点灯した状態を示す。なお、図1(a)では第2の光源を省略し、図1(b)では第1の光源を省略して示している。
【0015】
図1に示す部品観察装置は、第1の光源1、第2の光源2、蛍光体3、保護膜4、背面体5、フィルタ6、レンズ7及びカメラ8を備えてなる。
【0016】
第1の光源1は白色LEDからなり、仮想的に示す部品保持具9の先端に保持された部品P及び蛍光体3の正面側に向けて波長400nm以上の白色光(可視光)を照射する。第2の光源2はUV−LEDからなり、部品P及び蛍光体3の正面側に向けて波長400nm未満のUV光を照射する。
【0017】
蛍光体3は部品Pの背面側に配置され、第2の光源2からのUV光が入射したときは可視域の蛍光(例えば緑色又は赤色光)を放射し、第1の光源1からの可視光が入射したときは蛍光を放射することなくその可視光を透過する性質を有する。このような蛍光体3は、第1の光源1からの可視光では蛍光を放射せず、第2の光源2からのUV光によってのみ蛍光を放射する蛍光物質を混合した透明な樹脂や塗料で構成できる。
【0018】
保護膜4は蛍光体3を保護するために蛍光体3の正面側に積層されている。保護膜4は、第1の光源1からの可視光及び第2の光源2からのUV光を透過する透明材料、例えばUV硬化型の防汚ハードコート材からなる。
【0019】
背面体5は蛍光体3の背面側に積層されている。背面体5は蛍光体3を透過した第1の光源1からの可視光を吸収する性質を有する。このような背面体5は、例えば艶消し黒色塗装材で構成できる。
【0020】
フィルタ6は、レンズ7等によって形成されるカメラ8への入射光路の途中に配置されている。フィルタ6は、第1の光源1からの可視光及び蛍光体3からの蛍光は透過するが、第2の光源2からのUV光は透過しない分光特性を有する。
【0021】
以上の構成において、図1(a)に示すように第1の光源1を点灯すると、第1の光源1からの可視光のうち蛍光体3に入射した可視光は蛍光体3を透過し、背面体5によって吸収される。また、部品Pに当たってカメラ8への入射光路側に反射された可視光は、フィルタ6及びレンズ7を透過してカメラ8で受光される。したがって、暗い背景の中に部品Pを明るく観察することができる。
【0022】
一方、図1(b)に示すように第2の光源2を点灯すると、第2の光源2からのUV光が蛍光体3に入射すると蛍光体3から可視域の蛍光が放射される。この蛍光はフィルタ6及びレンズ7を透過してカメラ8で受光される。また、第2の光源2からのUV光が部品Pに当たってカメラ8への入射光路側に反射されたとしても、そのUV光はフィルタ6によって遮断される。したがって、明るい背景の中に部品Pを暗く観察することができる。
【0023】
なお、図1の例では、第1の光源1として白色LEDを使用したが、波長400nm以上の可視光を放射する光源であれば、白色LEDには限定されない。ただし、近年白色LEDは、その普及に伴い高輝度化が著しく進んでおり、図1(a)の状態において暗い背景の中に部品Pをより明るく観察できるようにする点から、第1の光源1としては白色LEDを使用することが好ましい。
【0024】
また、図1の例では、図1(a)の状態において蛍光体3を透過した第1の光源1からの可視光を背面体6で吸収することで背景を暗くするようにしたが、背面体6によって前記可視光をカメラへの入射光路外に反射することによっても背景を暗くすることができる。
【実施例】
【0025】
図2は、本発明の部品観察装置の一実施例を示す概略縦断面図である。図2において図1の概念図における構成と同一の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0026】
図2の実施例では、第1の光源1として上3段と下1段の合計4段の白色LEDが配置され、第2の光源2として、上3段の白色LEDの下に1段のUV−LEDが配置されている。これらの第1の光源1(白色LED)及び第2の光源2(UV−LED)は照明制御部10によって制御される。すなわち、照明制御部10は、第1の光源1及び第2の光源2の切り替えを行い、また、第1の光源1を使用する際は、観察する部品Pの種類に応じて第1の光源1を構成する4段の白色LEDの一部又は全部を点灯させる。
【0027】
蛍光体3は、部品Pの背面側において部品保持具9の外周を取り囲むように配置されている。具体的には、蛍光体3は図3に示すように中心に孔3aを有しており、この孔3aに部品保持具9の先端を貫通させることで、蛍光体3が保護膜4及び背面体5と共に部品保持具9の外周を取り囲むように嵌め込まれている。
【0028】
本実施例において、カメラ8への入射光路には図1で説明したフィルタ6及びレンズ7に加えて反射板11が配置されている。カメラ8はカメラ制御部12によって制御される。カメラ制御部12は、照明制御部10と連携しつつカメラ8を制御し、図1(a)及び図1(b)で説明した要領で部品Pを観察し、それぞれ図1(a)及び図1(b)に示したカメラ画像を取得する。
【0029】
なお、本実施例においてフィルタ6はレンズ7の後方に配置したが、図1に示したようにレンズ7の前方に配置してよく、要するにカメラ8への入射光路の途中に配置すればよい。このとき、第2の光源2から照射されるUV光の光路に重ならないようにフィルタ7を配置するのは当然である。
【0030】
図4は、図2の実施例の改良形態を示す概念図である。図4に示すように部品保持具9の先端部分は、通常先細り状の形状を有し、その先端に部品Pが吸着される。一方、蛍光体3はこの先細り状の先端部分の上方(基端側)に配置される。このような構成において図4に示すように部品Pの外形が部品保持具9の基端側の外形より小さい場合、部品Pは蛍光体3からの蛍光の死角となり、部品Pを明瞭に観察することができない。
【0031】
そこで、図4では、部品保持具9の先細り状の先端部分の外周面を覆うように、蛍光体3と同じ特性、すなわち第2の光源からのUV光が入射したときは可視域の蛍光を放射し、第1の光源からの可視光が入射したときは蛍光を放射することなくその可視光を透過する特性を有する補助蛍光体13を配置している。具体的には、逆円錐型の補助蛍光体13を部品保持具9の先細り状の先端部分に嵌め込んでいる。これにより、部品Pの外形が部品保持具9の基端側の外形より小さい場合であっても、補助蛍光体13からの蛍光が部品Pに当たるので、部品Pを明瞭に観察することができる。
【0032】
なお、図4では、逆円錐型の補助蛍光体13を部品保持具9の先細り状の先端部分に嵌め込むことで、部品保持具9の先細り状の先端部分の外周面を覆うように補助蛍光体3aを配置したが、補助蛍光体3aの材料を先細り状の先端部分の外周面に塗布することにより補助蛍光体3aを配置してもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 第1の光源
2 第2の光源
3 蛍光体
3a 孔
4 保護膜
5 背面体
6 フィルタ
7 レンズ
8 カメラ
9 部品保持具
10 照明制御部
11 反射板
12 カメラ制御部
13 補助蛍光体
図1
図2
図3
図4
図5