特許第6159256号(P6159256)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6159256膜結合レポーター分子および細胞ソーティングにおけるそれらの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6159256
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】膜結合レポーター分子および細胞ソーティングにおけるそれらの使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/09 20060101AFI20170626BHJP
   C12Q 1/02 20060101ALI20170626BHJP
   C07K 7/06 20060101ALN20170626BHJP
   C07K 14/705 20060101ALN20170626BHJP
   C12N 9/14 20060101ALN20170626BHJP
   C12N 9/12 20060101ALN20170626BHJP
【FI】
   C12N15/00 AZNA
   C12Q1/02
   !C07K7/06
   !C07K14/705
   !C12N9/14
   !C12N9/12
【請求項の数】25
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2013-543967(P2013-543967)
(86)(22)【出願日】2011年12月19日
(65)【公表番号】特表2014-507121(P2014-507121A)
(43)【公表日】2014年3月27日
(86)【国際出願番号】IL2011000956
(87)【国際公開番号】WO2012085911
(87)【国際公開日】20120628
【審査請求日】2014年12月8日
(31)【優先権主張番号】210093
(32)【優先日】2010年12月19日
(33)【優先権主張国】IL
(73)【特許権者】
【識別番号】508066979
【氏名又は名称】メルク セロノ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100098464
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 洌
(74)【代理人】
【識別番号】100149630
【弁理士】
【氏名又は名称】藤森 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100110984
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 敬子
(74)【代理人】
【識別番号】100111279
【弁理士】
【氏名又は名称】三嶋 眞弘
(72)【発明者】
【氏名】ヘルマン、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】トイスター−アチタブ、ミラ
(72)【発明者】
【氏名】バー−シモン、メイラブ
(72)【発明者】
【氏名】スモラルスキー、モーシェ
【審査官】 厚田 一拓
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2002/0142355(US,A1)
【文献】 特表2008−540569(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/120895(WO,A1)
【文献】 BMC Biotechnology [online],2008年,Vol.8, No.41,pp.1-11,<http://www.biomedcentral.com/content/pdf/1472-6750-8-41.pdf> [retrieved on 2015-11-25]
【文献】 MOLECULAR THERAPY,2005年,Vol.13, No.4,pp.814-822
【文献】 NATURE METHODS,2006年 5月,Vol.3, No.5,pp.391-396
【文献】 Biochemistry,1995年,Vol.34, No.47,pp.15430-15435
【文献】 Biol. Chem.,1997年,Vol.378, No.6,pp.509-515
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00 − 15/90
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)そのC末端で(b)に連結されたシグナルペプチドをコードする第1の核酸配列
(b)そのC末端で(c)に連結された、ビオチン模倣ペプチド(BMP)をコードする第2の核酸配列
(c)細胞膜にBMPを固定させるポリペプチドストレッチをコードする第3の核酸配列
を含む核酸分子であって、
BMPが配列番号5のアミノ酸配列を有する核酸分子。
【請求項2】
第1および第2の核酸配列および/または第2および第3の核酸配列が、リンカーペプチドをコードする核酸配列により連結されている請求項1記載の核酸分子。
【請求項3】
細胞膜にBMPを固定させるポリペプチドストレッチが、
(i)配列番号9のアミノ酸配列を有するCD59a;
(ii)配列番号3のアミノ酸配列を有するCD48−GPIに直接連結された配列番号1のアミノ酸配列を有する合成キャリアペプチド;および
(iii)配列番号2のアミノ酸配列を有する膜貫通ペプチドIGF−1R−TMに連結された配列番号1のアミノ酸配列を有する合成キャリアペプチド
からなる群より選択される
請求項1または2記載の核酸分子。
【請求項4】
シグナルペプチドが、ヒト成長ホルモンのシグナルペプチドまたはCD59のシグナルペプチドである請求項1〜3のいずれか1項に記載の核酸分子。
【請求項5】
細胞膜にBMPを固定させるポリペプチドストレッチが、選択耐性を付与するポリペプチドにそのC末端で連結される請求項1〜4のいずれか1項に記載の核酸分子。
【請求項6】
選択耐性を付与するポリペプチドが、抗生物質加水分解酵素、抗生物質捕捉タンパク質、代謝酵素および抗生物質修飾酵素からなる群より選択される請求項5記載の核酸分子。
【請求項7】
抗生物質加水分解酵素が、ピューロマイシンN−アセチルトランスフェラーゼ(PAC)などのピューロマイシン加水分解酵素、およびアミノグリコシド3’−ホスホトランスフェラーゼなどのアミノグリコシド加水分解酵素からなる群より選択され、抗生物質捕捉タンパク質がSh ble遺伝子産物であり、抗生物質修飾酵素がハイグロマイシンキナーゼである請求項6記載の核酸分子。
【請求項8】
リンカーペプチドが、イソロイシンおよびプロリンのアミノ酸配列からなる、または配列番号4のアミノ酸配列からなる請求項2記載の核酸分子。
【請求項9】
細胞膜にBMPを固定させるポリペプチドストレッチが、リンカーペプチドを介して選択耐性を付与するポリペプチドに連結している請求項5記載の核酸分子。
【請求項10】
(i)核酸分子の転写を駆動することのできるプロモーターに作動可能に連結されている、または
(ii)核酸分子の転写を駆動することのできるプロモーターに作動可能に連結され、かつEMCV IRES配列の上流に作動可能に連結されている
請求項1記載の核酸分子。
【請求項11】
プロモーターがhCMVである請求項10記載の核酸分子。
【請求項12】
さらに、
(i)配列番号2のアミノ酸配列を有する膜貫通ペプチドに直接連結された配列番号1のアミノ酸配列を有する合成キャリアペプチド、配列番号6のアミノ酸配列を有するCD59aのシグナルペプチド、および配列番号7のアミノ酸配列を有するPACをコードする核酸配列;
(ii)配列番号9のアミノ酸配列を有するマウスCD59a、および配列番号6のアミノ酸配列を有するCD59aのシグナルペプチドをコードする核酸配列;
(iii)配列番号2のアミノ酸配列を有する膜貫通ペプチドに直接連結された配列番号1のアミノ酸配列を有する合成キャリアペプチド、および配列番号6のアミノ酸配列を有するCD59aのシグナルペプチドをコードする核酸配列;または
(iv)配列番号3のアミノ酸配列を有するCD48−GPIアンカーペプチドに直接連結された配列番号1のアミノ酸配列を有する合成キャリアペプチド、および配列番号6のアミノ酸配列を有するCD59aのシグナルペプチドをコードする核酸配列
を含む請求項1〜11のいずれか1項に記載の核酸分子。
【請求項13】
前記核酸配列が、配列番号8、配列番号10、配列番号11および配列番号12からなる群より選択される請求項12記載の核酸分子。
【請求項14】
さらに目的のタンパク質(POI)コード核酸配列を含む請求項1〜13のいずれか1項に記載の核酸分子。
【請求項15】
POIコード核酸配列が、
(i)EMCV IRES配列の上流に作動可能に連結されているか、または核酸分子の転写を駆動することのできるプロモーターの下流に作動可能に連結されているか、またはその両方である;または
(ii)単一のポリペプチドをコードするPOIコード核酸配列である;または
(iii)POIの異なるサブユニットをコードする2つのPOIコード核酸配列を含む
ことを特徴とする請求項14記載の核酸分子。
【請求項16】
サブユニットが、抗体の軽鎖および重鎖である請求項15記載の核酸分子。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか1項に記載の核酸分子を含むベクター。
【請求項18】
細胞表面にBMPを提示する細胞を同定することを含む、目的のタンパク質(POI)を分泌する真核細胞の選択方法であって、細胞表面におけるBMP提示のレベルが分泌されたPOIの量と相関し、
(a)請求項14〜16のいずれか1項に記載の核酸分子を含むベクターで細胞をトランスフェクトし、
それによりBMPトランスフェクト細胞の安定なプールを確立する工程;
(b)BMPトランスフェクト細胞を検出可能なビオチン結合部分で標識する工程;および
(c)検出可能なビオチン結合部分で標識化されたトランスフェクト細胞を同定および単離する工程
を含み、該POIが分泌タンパク質であるか、または該核酸分子がさらに分泌シグナル配列を含む方法。
【請求項19】
さらに、単離された細胞を増殖させ、かつ(b)〜(c)工程を繰り返す請求項18記載の方法。
【請求項20】
さらに、検出可能なビオチン結合部分で標識化された単一細胞を単離し、かつその細胞を増殖させてクローンを形成することを含む請求項19記載の方法。
【請求項21】
さらに、分泌されたPOIを検出および定量し、それにより目的のタンパク質を分泌する真核細胞を選択することを含む請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記細胞がBMPをその細胞表面に提示する請求項18記載の方法。
【請求項23】
標識化された細胞が、FACSまたは電磁ビーズの手段により同定および単離される請求項18〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
選択された真核細胞が、安定なプールのトランスフェクトされた細胞よりも、より高い量のBMPをその表面に提示し、かつより多い量のPOIを分泌する請求項18〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
選択された真核細胞の表面上のBMPの量および選択された真核細胞により分泌されるPOIの量が、安定なプールのトランスフェクトされた細胞よりも少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14もしくは15倍く、または最高30倍までい請求項24記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜結合ビオチン模倣ペプチド(BMP)またはビオチンアクセプタペプチド(BAP)をコードする核酸配列を含む核酸分子に関する。本発明はまた、目的のタンパク質を分泌する高産生細胞の選択方法に関する。
【背景技術】
【0002】
組換えタンパク質の製造のための産生細胞の開発における主な課題の1つは、クローン開発の過程で作製された、種々の生産性レベルを有する非常に多くの細胞集団の中にある高産生細胞の選択である。高産生細胞の選択は、通常、集中力と時間のかかるものである。手動でスクリーニングできる細胞の数は限られ、そのため必要な生産性レベルのクローンを単離する確率も限定される。
【0003】
高産生細胞のスクリーニングには伝統的な方法が用いられている。普及している手動単一細胞クローニング技術の1つが、「限界希釈法」の手法である。手作業ピッキングやこの手法によるクローンの選択は、面倒で、労働集約的であり、また時間のかかる仕事である。ロボットシステムにより行われたとしてもスクリーニングできるクローンの数は限られている[1〜3]。また、統計的分析は、許容されるレベルにクローンを確保するためにクローニングサイクルの繰り返しが要求されることを示している[4、5]。したがって、細胞株選択とクローニングのより効率的な方法が必要とされている。
【0004】
フローサイトメトリー[6]は、蛍光レポーターで標識された細胞の選択に用いられている。あるフローサイトメトリー機器では、数秒以内に何千もの細胞をソーティングすることができ、全体の集団中において非常に低頻度(10-6程低い)の希少な細胞を選択することができる[7]。フローサイトメトリーのもう1つの利点は、いくつかの機器における、マイクロタイタープレートの個別のウェルに単一細胞を播く(細胞のクローンを作製する)その能力である[6、8]。
【0005】
しかしながら、フローサイトメトリーによる細胞ソーティングには蛍光シグナルが必要である。目的のタンパク質生成物はほとんどの場合蛍光を発しないので、蛍光性のレポーター遺伝子産物であって、その発現が目的の遺伝子(GOI)の発現に緊密にリンクされている蛍光性のレポーター遺伝子産物が必要である。
【0006】
レポーター遺伝子産物は、細胞質で発現するかもしれないし、または細胞表面に指向することもできる[8、9]。
【0007】
レポーター遺伝子は、GFPのように自然に蛍光を発するものでもよい[10]。あるいは、レポーター遺伝子は、蛍光メトトレキサート(F−MTX)[11]などの細胞に浸透する蛍光マーカーで特に染色することもでき、また細胞表面でそれに結合する蛍光マーカーで染色することもできる[8、9]。
【0008】
細胞培養において産生された抗体について興味深いケースが報告されている。分泌された抗体自身がレポーターとして使用でき、ハイブリドーマ細胞[12、13]およびCHO細胞[14]の膜上で検出できることが観察されている。蛍光標識された抗−抗体での染色が、細胞表面上の抗体を検出するために使用された。
【0009】
特定の所望の細胞の単離のための、さらなる既知の方法に、電磁ビーズに基づくものがある。細胞表面上の標的タンパク質に特異的に結合するタンパク質で被覆した電磁ビーズが既に報告されている[9]。
【0010】
分泌されたPOIの直接検出に基づく他の方法も発表された。これらの方法には、ゲルマイクロドロップ技術[15〜17]やマトリックスベースの分泌アッセイ[18、19]などがある。
【0011】
さらに、細胞選択のための自動化されたシステムも存在し、所望でない細胞を破壊するレーザー対応解析処理(LEAP)[20、21]および、ジェネティクス(Genetix)社のClonePixやアビソ(Aviso)社のCellCelector(商標)などの分泌レベルに応じて高産生細胞を直接選択する自動コロニーピッカーなどがある。
【0012】
それぞれの方法についての様々な賛否両論に加えて、スクリーニングできる細胞数に関するそれらの能力は限られており、たとえば、蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)により得られるものよりも有意に低い。
【発明の概要】
【0013】
本発明は、目的のタンパク質(POI)発現をビオチン模倣ペプチドまたはビオチンアクセプタペプチドで標識された細胞表面膜タンパク質/ペプチドマーカーの発現に結び付けることを含む。蛍光標識されたビオチン結合タンパク質による染色に続き、細胞を以下に述べるように適切な技術によってソートする。
【0014】
本発明は、1つの態様において、
(a)そのC末端で(b)に連結される、シグナルペプチドをコードする第1の核酸配列
(b)そのC末端で(c)に連結される、ビオチン模倣ペプチド(BMP)またはビオチンアクセプタペプチド(BAP)をコードする第2の核酸配列
(c)細胞膜にBMPまたはBAPを固定させるポリペプチドストレッチをコードする第3の核酸配列
を含む核酸分子に関する。
【0015】
関連する態様で、本発明は、前記で定義された核酸分子を含むベクターを提供する。
【0016】
本発明はまた、前記核酸分子によりコードされるタンパク質に関する。
【0017】
別の態様において、本発明は、細胞表面にBMPを提示する細胞を同定することを含む、目的のタンパク質(POI)を分泌する真核細胞の選択方法であって、細胞表面におけるBMP提示のレベルが分泌されたPOIの量と相関し、
(a)i.前述の第1、第2および第3の核酸配列を含む核酸分子およびPOIコード核酸配列を含む第2の核酸分子;または
ii.同じベクター上に両方の核酸分子を含む核酸分子
のいずれかを含むベクターで細胞をトランスフェクトし、それによりBMPトランスフェクト細胞の安定なプールを確立する工程;
(b)BMPトランスフェクト細胞を検出可能なビオチン結合部分で標識する工程;および
(c)検出可能なビオチン結合部分で標識化されたトランスフェクト細胞を同定および単離する工程
を含む方法に関する。
【0018】
別の態様においては、BAPがBMPの代りに用いられる。この場合、BirAおよびビオチンが、細胞の標識化の前に加えられる必要がある。
【0019】
上記システムの改良は、BMPレポーターを固定させるポリペプチドストレッチに選択耐性を付与するポリペプチドを融合することにより得られる。トランスフェクション後に選択圧をかけることは、耐性遺伝子を発現するトランスフェクト細胞を選択することとなる。選択耐性遺伝子は、BMPレポーター遺伝子と融合されるので、そのような選択の適用は、ソーティングがなされる前の初期段階での高BMP発現細胞に有効であり、集団における最も高いPOI産生細胞の選択についても同様に有効である場合がある。
【0020】
したがって、特定の実施態様において、BMPまたはBAPを細胞膜に固定させるポリペプチドストレッチは、そのカルボキシ末端で選択耐性を付与するポリペプチドに連結される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】FACSクローン開発のための新規なレポーター遺伝子を含むベクターを示す。ベクターは、FACS技術による新規なレポーター遺伝子の評価のために構築された。BMP −ビオチン模倣ペプチド;SP −シグナルペプチド;TM −膜貫通ドメイン;PAC −ピューロマイシン耐性遺伝子;C −ペプチドキャリアモチーフ;CD48−グリコシルホスファチジルイノシトール −CD48由来のGPI配列;hGH −ヒト成長ホルモン;mCD59a −マウスCD59a由来のGPI配列;hCMV −ヒトサイトメガロウイルス即時初期プロモーター;SV40 −シミアン空胞化ウイルス40プロモーター;IGF−1R −インスリン様成長因子−1受容体;EMCV −脳心筋炎ウイルス;IRES −内部リボソーム侵入部位;CD164−Fc −sCD164のFc融合;GCSF −顆粒球コロニー刺激因子;IL6 −インターロイキン6。
図2】細胞表面上のレポーター分子の構造を示す。細胞表面上の膜固定キャリアに融合されたビオチン模倣ペプチド(BMP、パネルA)およびビオチンアクセプタペプチド(BAP、パネルB)の説明図。膜への固定は、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)を介して、または膜貫通ペプチド(TM)により得られる。BMPは、蛍光ストレプトアビジン(F−SA)により直接染色されている。BAPは、まず、ビオチンタンパク質リガーゼ(BirA)によりビオチン化され、ついでF−SAにより染色されている。Cは、ビオチン模倣ペプチド(BMP)とピューロマイシンN−アセチルトランスフェラーゼ(PAC)融合タンパク質(BMP−PAC)を示す。膜への固定は、膜貫通ペプチド(TM)により得られている。PACは、ピューロマイシン選択のために用いられ、BMPは、FACS選択および解析のために蛍光ストレプトアビジン(F−SA)で直接染色されている。
図3】BMP−PACレポーター遺伝子(B)を含むBMP−PAC発現ベクター(A)の説明図である。ベクターは、FACS技術によるBMP−PACレポーター遺伝子の評価のために構築された。mCD59aSP −マウスCD59a由来のシグナルペプチド;BMP −ビオチン模倣ペプチド;合成キャリア −60アミノ酸のキャリアペプチド;IGF1−R−TMドメイン −IGF1受容体由来の膜貫通ドメイン;PAC −ピューロマイシンN−アセチルトランスフェラーゼ;mAb −モノクローナル抗体;LC −軽鎖;HC −重鎖;mCMVpr −マウス即時型CMV初期遺伝子プロモーター。
図4】FACSによる、蛍光ストレプトアビジン(F−SA)を有する細胞表面上のBAPの検出を示す。CHO−S細胞、非トランスフェクトおよび非染色(───、MFI−66)。CHO−S細胞、非トランスフェクト、BirAとインキュベート、およびF−SAで染色(・・・、MFI−69)。BAP−CD59aレポーター遺伝子を発現するプラスミドでトランスフェクトされたCHO−S、BirAでインキュベートせず、およびF−SAで染色(−−−、MFI−139)。BAP−CD59aレポーター遺伝子を発現するプラスミドでトランスフェクトされたCHO−S、BirAでインキュベート、およびF−SAで染色(−・−、MFI−24364)。
図5】FACSによるF−SAを有する細胞表面上のBMPの検出を示す。CHO−S細胞、非トランスフェクト(・・・、MFI−27)またはhCMVプロモーターの下流に直接BMP−CD59aを含むプラスミドでトランスフェクト(−・−、MFI−10516)およびF−SAで染色(A)。CHO−S細胞、非トランスフェクトおよび非染色(───、MFI−66)、非トランスフェクトおよびF−SAで染色(・・・、MFI−36)、EMCV IRESの下流にBMP−CD59aを含むプラスミドでトランスフェクトおよび非染色(−−−、MFI−63)もしくはF−SAで染色(−・−、MFI−1583)のいずれか(B)。
図6】BMP−CD59/F−SAシステムによるCHO−S産生細胞ソーティングを示す。sCD164−Fc(POI)およびBMP−CD59a(FACSソーティング用のレポーター遺伝子)を含むベクター(A)でトランスフェクトした安定細胞は、F−SAによって示されるそれらのBMPレベルにより連続的に3回ソートされた(B)、ラベルされておらずかつソートもされていない(───、MFI−102)、ソーティングの前にラベルされた(・・・、MFI−1734、PCD−1.59)、1回目のソートの後にラベルされた(−−−、MFI−8804、PCD−4.60)、2回目のソートの後にラベルされた(−・−、MFI−16691、PCD−5.79)、および3回目のソートの後にラベルされた(−‥−、MFI−18995、PCD−7.34)。蛍光と生産性の相関は(C)に示す。MFI:平均蛍光強度;PCD(比生産性):ピコグラム/細胞/日;EMCV:脳心筋炎ウイルス;IRES:内部リボソーム侵入部位;CD164−Fc、Fc領域に融合したCD164。
図7】BMP−CD59/F−SAシステムによるCHO−S産生細胞ソーティングを示す。GCSF(POI)およびBMP−CD59a(FACSソーティング用のレポーター遺伝子)を含むベクター(A)でトランスフェクトした安定細胞は、F−SAによって示されるそれらのBMPラベルにより連続的に3回ソートされた(B)。ラベルされておらずかつソートもされていない(───、MFI−104)、ソーティングの前にラベルされた(・・・、MFI−10406、PCD−3.83)、1回目のソートの後にラベルされた(−−−、MFI−16661、PCD−6.03)、2回目のソートの後にラベルされた(−・−、MFI−16983、PCD−6.67)、および3回目のソートの後にラベルされた(−‥−、MFI−17676、PCD−6.63)。蛍光と生産性の相関は(C)に示す。GCSF −顆粒球コロニー刺激因子(目的の遺伝子)。
図8】BMP−CD59/F−SAシステムによるCHO−S産生細胞ソーティングを示す。IL−6(POI)遺伝子およびBMP−CD59a(FACSソーティング用のレポーター遺伝子)を含むベクター(A)でトランスフェクトした安定細胞は、F−SAによって示されるそれらのBMPレベルにより連続的に3回ソートされた(B)。ラベルされておらずかつソートもされていない(───、MFI−33)、ソーティングの前にラベルされた(・・・、MFI−246、PCD−0.4)、1回目のソートの後にラベルされた(−−−、MFI−1473、PCD−1.2)、2回目のソートの後にラベルされた(−・−、MFI−2812、PCD−1.7)、および3回目のソートの後にラベルされた(−‥−、MFI−3642、PCD−1.8)。蛍光と生産性の相関は(C)に示す。IL−6−インターロイキン−6(目的の遺伝子)。
図9】BMP−P−GPI/F−SAシステムによるCHO−S産生細胞ソーティングを示す。CD164−Fc(POI)およびBMP−ペプチドキャリア(C)−GPI(FACSソーティング用のレポーター遺伝子)を含むベクター(A)でトランスフェクトした安定細胞は、F−SAによって示されるそれらのBMPレベルにより連続的に3回ソートされた(B)。ラベルされておらずかつソートもされていない(───、MFI−33)、ソーティングの前にラベルされた(・・・、MFI−773、PCD−0.8)、1回目のソートの後にラベルされた(−−−、MFI−9748、PCD−5.7)、2回目のソートの後にラベルされた(−・−、MFI−15492、PCD−9.5)、および3回目のソートの後にラベルされた(−‥−、MFI−20908、PCD−10.8)。蛍光と生産性の相関は(C)に示す。
図10】BMP−P−GPI/F−SAシステムによるCHO−S産生細胞ソーティングを示す。GCSF(POI)およびBMP−ペプチドキャリア(C)−GPI(FACSソーティング用のレポーター遺伝子)を含むベクター(A)でトランスフェクトした安定細胞は、F−SAによって示されるそれらのBMPレベルにより連続的に3回ソートされた(B)。ラベルされておらずかつソートもされていない(───、MFI−113)、ソーティングの前にラベルされた(・・・、MFI−2326、PCD−3.0)、1回目のソートの後にラベルされた(−−−、MFI−7866、PCD−7.1)、2回目のソートの後にラベルされた(−・−、MFI−17497、PCD−9.2)、および3回目のソートの後にラベルされた(−‥−、MFI−28679、PCD−13.0)。蛍光と生産性の相関は(C)に示す。
図11】BMP−P−IGF−IR−TM/F−SAシステムによるCHO−S産生細胞ソーティングを示す。CD164−Fc(POI)およびBMP−ペプチドキャリア(C)−TM(FACSソーティング用のレポーター遺伝子)を含むベクター(A)でトランスフェクトした安定細胞は、F−SAによって示されるそれらのBMPレベルにより連続的に3回ソートされた(B)。ラベルされておらずかつソートもされていない(───、MFI−33)、ソーティングの前にラベルされた(・・・、MFI−680、PCD−1.1)、1回目のソートの後にラベルされた(−−−、MFI−4719、PCD−7.0)、2回目のソートの後にラベルされた(−・−、MFI−7522、PCD−9.9)、および3回目のソートの後にラベルされた(−‥−、MFI−9113、PCD−12.0)。蛍光と生産性の相関は(C)に示す。TM−膜貫通ペプチド。
図12】BMP−P−IGF−IR−TM/F−SAシステムによるCHO−S産生細胞ソーティングを示す。GCSF(POI)およびBMP−ペプチドキャリア(C)−TM(FACSソーティング用のレポーター遺伝子)を含むベクター(A)でトランスフェクトした安定細胞は、F−SAによって示されるそれらのBMPレベルにより連続的に3回ソートされた(B)。ラベルされておらずかつソートもされていない(───、MFI−113)、ソーティングの前にラベルされた(・・・、MFI−4449、PCD−3.1)、1回目のソートの後にラベルされた(−−−、MFI−15764、PCD−7.1)、2回目のソートの後にラベルされた(−・−、MFI−26289、PCD−8.5)、および3回目のソートの後にラベルされた(−‥−、MFI−17367、PCD−12.0)。蛍光と生産性の相関は(C)に示す。TM−膜貫通ペプチド。
図13】BMP−PAC(FACSソーティング用のレポーター遺伝子)および抗−IL22RA mAb(POI)を含むプラスミドでトランスフェクトされたプールの生産性を示す。ProCHO5においてBMP−PACおよび抗−IL22RA mAbを含むベクターでトランスフェクトされたCHO−S細胞は、20μg/mlピューロマイシンおよび25μM MSXで選択された。サンプルを生産性測定のために採取した。
図14】BMP−PACによるCHO−S産生細胞ソーティングを示す。ProCHO5において抗−IL22RA(POI)mAbおよびBMP−PAC(FACSソーティング用のレポーター遺伝子)を含むベクターでトランスフェクトした安定細胞(3反復実験(replicates))は、20μg/mlピューロマイシンと25mM MSXで選択され、統一プールに一緒にされた。統一プールは、F−SAによって示されるそれらのBMPレベルにより連続的に3回ソートされた。ラベルされておらずかつソートもされていないプール(───、MFI−67)、ソーティングの前にラベルされたプール(・・・、MFI−4449、PCD−3.1)、1回目のソートの後にラベルされたプール(−−−、MFI−15764、PCD−7.1)、2回目のソートの後にラベルされたプール(−・−、MFI−26289、PCD−8.5)、および3回目のソートの後にラベルされたプール(−‥−、MFI−17367、PCD−12.0)。
図15】ProCHO5含有培地においてBMP−PAC含有ベクターでトランスフェクトされたクローンにおいて得られる力価を示す。96ウェルプレートにクローニングした後の抗−IL22RA MAb(POI)の累積力価。クローニングは、80% C6366+20% ProCHO5でなされ、サンプルは、クローニング後13〜15日間力価測定のために採取された。
図16】ProCHO5培地においてBMP−PAC含有ベクターでトランスフェクトされたクローンの比生産性を示す。細胞を0.5×106細胞/ml(10×106細胞)で、ELISAによる生産性測定用50mlチューブのProCHO5培地に播いた。PCD−pg/細胞/日。
図17】25μM MSXの存在下、ProCHO5培地においてBMP−PAC含有ベクターでトランスフェクトされたクローンの比生産性を示す。細胞を0.5×106細胞/ml(10×106細胞)で、ELISAによる生産性測定用50mlチューブの25μM MSX含有ProCHO5培地に播いた。
図18】粗細胞培養ProCHO−5培地において候補クローンにより分泌されたmAbの、SDS PAGE/ウェスタンブロットを示す。候補クローンの粗サンプル(ELISAによるレーンごとに100ngのmAb)を、SDS−PAGE(10%ビストリス(BisTris))により分離し、ニトロセルロース膜に移した。検出を、ヤギ抗−ヒトIgG Fc西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)(A)、およびヤギ抗−ヒトκ軽鎖(B)でおこなった。ECLをHRPの基質とした。マーカーの分子量(kDa)を左に示す。ゲル上でのサンプルの同定はつぎのとおりである。1.MWマーカー;2.抗−IL22RA参照サンプル MSB0010074/C12;3.クローン2418−11;4.クローン2418−14;5.クローン2418−15;6.クローン2418−39;7.クローン2418−45。
【発明を実施するための形態】
【0022】
FACSなどのフローサイトメトリーによる細胞ソーティングは、蛍光シグナルを必要とする。目的のタンパク質(POI)は、通常蛍光性ではないため、その発現が目的の遺伝子(GOI)の発現に関連付けられる蛍光性レポーター遺伝子産物が必要とされる。
【0023】
標識化細胞表面マーカーのビオチン−ストレプトアビジンシステムは、いくつかの理由、すなわち1)システムが 低いバックグラウンドで多くの細胞種に適用可能である;2)ストレプトアビジンへのビオチンの結合の親和性と特異性が非常に高い;および3)システムが動物成分不含条件に適合するという理由により有益であり、規制当局に個別のファイルが必要とされる抗体の使用が要求されない。
【0024】
ビオチンはタンパク質やペプチドではなく、特定のDNA配列によりコードさせることができないので、1)ビオチンをそのストレプトアビジンへの結合能力の点において模倣するペプチド(BMP)の利用[22、23]、および2)細菌起源由来のBirAなどのビオチンタンパク質リガーゼ(BPL)により特異的にビオチン化できる[25、26]合成ビオチンアクセプタペプチド(BAP)[24]を、コーディングDNA[27〜29]として細胞中にトランスフェクトするか、酵素混合物[24、30、31]にタンパク質として添加するかのいずれかによる採用、という2つの戦略がとられる。合成BAP配列[24]は、酵素BPL[26]により、長い天然配列[26]と同様に特異的にビオチン化される。
【0025】
細胞表面上のF−SAによるレポーターの検出を可能にするためには、POIのプロセッシングおよび分泌のために細胞により使用されるのと同じ分泌機構により処理された後、レポーターが細胞膜タンパク質に結合し、ERおよびゴルジ系において分泌経路により処理されるように設計された。BMPおよびBAPは、膜固定配列をもたないため、本発明によれば、相対的に短く、容易に発現でき、通常CHO細胞上には発現されない、細胞毒性であると知られておらず、かつ細胞に対する悪影響が知られていない膜結合配列が用いられる。
【0026】
膜貫通ドメイン配列の予測は、当技術分野において良く知られている。たとえば、TMHMMサーバーv.2.0[32]を用いて実行することができる。またはGPI修飾部位予測[33〜36]を用いることによってGPI固定配列についても行うことができる。
【0027】
例示のみの目的で、2つの膜アンカーが選択された。1つは、マウス膜タンパク質CD59aであり、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)を含み、CHO細胞において良好に発現すること、およびFACSにより検出される[38]ことが報告されている124アミノ酸の小さなタンパク質である[37]。補体溶解効果から細胞を保護するその生物活性についての文献における追加的な報告[39]では、細胞毒性のリスクは指摘されていない。GPIにより細胞膜の外側に固定され[40]、シグナル伝達プロセスを誘発する可能性のある内部細胞質ドメインは有していない。
【0028】
さらなる膜固定タンパク質は、60アミノ酸の合成ペプチド配列およびそのC末端に近接した2つの潜在的N−グルコシル化部位、およびGPI固定配列または膜貫通(TM)配列のいずれかにもとづくものである。
【0029】
前述のように、ある態様においては、本発明は、(a)そのC末端で(b)に連結されたシグナルペプチドをコードする第1の核酸配列、(b)そのC末端で(c)連結された、ビオチン模倣ペプチド(BMP)またはビオチンアクセプタペプチド(BAP)をコードする第2の核酸配列、(c)細胞膜にBMPまたはBAPを固定させるポリペプチドストレッチをコードする第3の核酸配列を含む核酸分子を提供する。
【0030】
ある実施態様においては、(a)および(b)および/または(b)および(c)の核酸配列は、それぞれペプチドリンカーをコードする核酸配列により連結されている。
【0031】
別の実施態様においては、細胞膜にBMPまたはBAPを固定させるポリペプチドストレッチは、そのGPIを含むCD59aである。
【0032】
また別の実施態様においては、細胞膜にBMPまたはBAPを固定させるポリペプチドストレッチは、CD48−GPIに直接連結された配列番号1のアミノ酸の合成キャリアペプチドである。
【0033】
また別の実施態様においては、細胞膜にBMPまたはBAPを固定させるポリペプチドストレッチは、膜貫通ペプチドに直接連結された配列番号1の合成キャリアペプチドである。
【0034】
好ましい実施態様においては、膜貫通ペプチドが配列番号2のアミノ酸配列のIGF−1Rの膜貫通ペプチドである。
【0035】
前述したように、BMPまたはBAPは、そのN−末端で、任意にはペプチドリンカーを介して、シグナルペプチドに連結される。シグナルペプチドは、レポーターを細胞膜、細胞小器官膜、または細胞の外側に指向させる任意のアミノ酸配列であればよい。その配列は、たとえば文献に教示されているアルゴリズム[41、42]を用いて容易に予測可能である。
【0036】
したがって、ある実施態様においては、BMPまたはBAPは、そのN−末端でリンカーペプチドを介してシグナルペプチドに連結され、シグナルペプチドは、抗体、サイトカイン、ホルモン、成長因子、神経伝達物質、酵素、受容体リガンド、毒素またはそれらの機能的画分からなる群より選択されるタンパク質のシグナルペプチドである。シグナルペプチドは、目的のタンパク質の、またはヒト成長ホルモンのもしくはCD59の、天然または内因性のシグナルペプチドであってもよい。
【0037】
トランスフェクトされた細胞に対する生物学的選択の能力、レポーター遺伝子の最も高いレベルの発現細胞をソートする能力、およびそれにより目的のタンパク質の最も高いレベルの産生細胞を選択する能力は、選択された選択試薬に対する細胞の耐性と、レポーターの発現および目的のタンパク質の発現との間の相関が増加するような方法で、選択耐性を付与するポリペプチドをレポーターに融合させることにより改善することができる。さらに、生物学的選択は、トランスフェクション後でソーティング前の短時間に適用され、そして耐性集団の大部分が選択耐性遺伝子、レポーター遺伝子およびGOIを発現することを確実にする。
【0038】
したがって、さらなる実施態様においては、細胞膜にBMPを固定させるポリペプチドストレッチは、そのカルボキシ末端で選択耐性を付与するポリペプチドに連結される。このポリペプチドは、抗生物質加水分解酵素、抗生物質捕捉タンパク質、たとえばゼオシンに結合してその活性を阻害するSh ble遺伝子産物、およびキナーゼなどの抗生物質修飾酵素からなる群より選択される。あるいは、選択は、細胞に存在しないか、または非常に低レベルで存在する代謝酵素の導入と、増殖培地からのこれらの代謝物または代謝物の源の除去とによりなすこともできる。2つの既知の例は、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)[43]およびグルタミン合成酵素(GS)[44]系である。選択圧力の増加と過剰生産をもたらす増幅は、上述の例では、DHFR系に関してはメトトレキサート[45]またはGS系についてはメチオニンスルホキシミン[46]の増殖培地中への添加により得られる。
【0039】
ある実施態様においては、細胞膜にBMPまたはBAPを固定させるポリペプチドストレッチは、リンカーペプチドを介して抗生物質加水分解酵素に連結される。
【0040】
もう1つの実施態様においては、抗生物質加水分解酵素は、ピューロマイシンN−アセチルトランスフェラーゼ(PAC)などのピューロマイシン不活性化酵素、アミノグリコシド3’−ホスホトランスフェラーゼなどのアミノグリコシド(たとえばジェネティシン)加水分解酵素からなる群より選択され、抗生物質捕捉タンパク質はSh ble遺伝子産物であり、そして抗生物質修飾酵素はハイグロマイシンキナーゼである。
【0041】
BMPまたはBAPと細胞膜にそれらを固定させるポリペプチドストレッチとの連結、MBPまたはMAPとそれらのシグナル配列との連結およびポリペプチドストレッチと選択耐性を付与するポリペプチドとの連結は、直接的であっても、リンカーペプチドを介したものであってもよい。
【0042】
好ましい実施態様においては、リンカーペプチドが、イソロイシンおよびプロリンのアミノ酸配列からなる、または配列番号4のアミノ酸配列((G4S)n(G4m)(式中、nは1、2、3、4または5から選択される整数、特に2または4であり、そしてmはゼロまたは1から選択される整数である)からなる。
【0043】
別の実施態様においては、本発明の核酸分子は、hCMVなどの核酸分子の転写を駆動することのできるプロモーターに作動可能に連結され、かつ任意にはEMCV IRES配列の下流に作動可能に連結されている。
【0044】
本明細書の以下、実施例において示されるように、いくつかのプラスミドが種々の目的の遺伝子(GOIs)と構築され、BMPまたはBAPレポーターの遺伝子のいずれかは、膜固定キャリアに融合された。GOIsおよびレポーター遺伝子は、内部リボソーム侵入部位(IRES)により連結された。これらのプラスミドにおいて、GOI発現は、強力なヒトCMV(hCMV)プロモーターにより駆動され、レポーター遺伝子は、IRESの下流に配置される。GOI発現は、hCMVとは別の任意の強いプロモーター、たとえば、非限定的に、IgG抗体の軽鎖および重鎖の発現を駆動するために本明細書の下記で使用されたマウスCMV IE1またはマウスCMV IE2によっても駆動されることができる。この2シストロン性構造は、同じmRNA上の両方の遺伝子の転写を決定づける[47]。
【0045】
BAP配列をビオチニル化するためには、細胞を、細菌性BirA発現ベクター[27]で同時トランスフェクトしてトランスフェクト細胞自身によるビオチニル化を得るか[27〜29、31、48]、または特異的反応バッファーにおけるビオチンとBirAとの添加により外部でBAPをビオチニル化するかのいずれかである[30、49]。
【0046】
CHO−S細胞などの真核細胞は、プラスミドでトランスフェクトされ、そして安定なプールが選択された。蛍光ストレプトアビジン(F−SA)で検出されたトランスフェクトされた細胞におけるBAPおよびBMPの特異的な発現は、有意なバックグラウンドなしで証明された。さらに、レポーターとしてBMPで、高発現に関するFACSによる3回の連続したソートがなされ、GOIsの発現レベルにおける有意な改善が得られた。
【0047】
好ましい実施態様においては、プラスミド、すなわち本発明の核酸分子は、BMPをコードする核酸配列、特に配列番号5のアミノ酸配列を含むBMP、および特に配列番号5のBMPをコードする核酸配列を含む。
【0048】
ある実施態様においては、核酸分子はさらに、配列番号2のアミノ酸配列の膜貫通ペプチドに直接連結された配列番号1のアミノ酸配列の合成キャリアペプチド、配列番号6のアミノ酸配列のCD59aのシグナルペプチド、および配列番号7のアミノ酸配列のPACをコードする核酸配列(プラスミドMB−098)を含む。特に、この核酸分子は、配列番号8の核酸配列を含み、これは、そのカルボキシ末端で合成キャリアペプチドに直接連結されたBMPをコードし、この合成キャリアペプチドはそのカルボキシ末端で膜貫通ペプチドに直接連結され、この膜貫通ペプチドは、そのカルボキシ末端でPACに(G4S)4配列を介して連結されており、該BMPは、マウスCD59aシグナルペプチドにイソロイシン−プロリンリンカーペプチドを介してそのアミノ末端で連結されている。
【0049】
もう1つの実施態様においては、核酸分子はさらに、配列番号9のアミノ酸配列のマウスCD59a、および配列番号6のアミノ酸配列のCD59aのシグナルペプチドを、配列番号5のアミノ酸配列のBMPに加えてコードする核酸配列(プラスミドMB−070−MB−072)を含む。特に、この核酸分子は、配列番号10の核酸配列を含み、これは、そのカルボキシ末端で(G4S)24配列(配列番号4)を介してマウスCD59aに連結され、そのアミノ末端で同族のCD59aシグナルペプチドにイソロイシン−プロリンリンカーペプチドを介して連結されているBMPをコードする。
【0050】
また別の実施態様においては、核酸分子はさらに、配列番号2のアミノ酸配列の膜貫通ペプチドに直接連結された配列番号1のアミノ酸配列の合成キャリアペプチド、および配列番号6のアミノ酸配列のCD59aのシグナルペプチドを、配列番号5のアミノ酸配列のBMPに加えて、コードする核酸配列(プラスミドMB−073およびMB−075)を含む。特に、この核酸分子は、配列番号11の核酸配列を含み、これは、そのカルボキシ末端で合成キャリアペプチドに直接連結され、この合成キャリアペプチドはそのカルボキシ末端で膜貫通ペプチドに直接連結されているBMPをコードし、該BMPは、マウスCD59aシグナルペプチドにイソロイシン−プロリンリンカーペプチドを介してそのアミノ末端で連結されている。
【0051】
さらに別の実施態様においては、核酸分子はさらに、(配列番号5のアミノ酸配列のBMPに加えて)配列番号3のアミノ酸配列のCD48−GPIアンカーペプチドに直接連結された配列番号1のアミノ酸配列の合成キャリアペプチド、および配列番号6のアミノ酸配列のCD59aのシグナルペプチドをコードする核酸配列(プラスミドMB−074および076)を含む。特に、この核酸分子は、配列番号12の核酸配列を含み、この核酸配列は、そのカルボキシ末端で合成キャリアペプチドに直接連結されているBMPをコードし、この合成キャリアペプチドはそのカルボキシ末端でCD48−GPIアンカーペプチドに直接連結されている。そして該BMPは、そのアミノ末端でマウスCD59aシグナルペプチドにイソロイシン−プロリンリンカーペプチドを介して連結されている。
【0052】
本発明によれば、レポーター遺伝子産物および目的のタンパク質は、別個のプラスミド上の核酸によってコードされていてもよく、またはそれらが同じプラスミド上の核酸によってコードされていてもよい。
【0053】
レポーター遺伝子産物およびPOIは、別個のプラスミド上の核酸によりコードされる場合、細胞は、レポーター遺伝子を含むプラスミドおよびPOIをコードする遺伝子を含む第2のプラスミドの両方で同時トランスフェクトされる。
【0054】
1つのプラスミドが用いられる場合、本発明は、(a)シグナルペプチドをコードする第1の核酸配列;(b)ビオチン模倣ペプチド(BMP)またはビオチンアクセプタペプチド(BAP)をコードする第2の核酸;(c)細胞膜にBMPまたはBAPを固定させるポリペプチドストレッチをコードする第3の核酸;および(d)POI−コード核酸配列を含む核酸分子を提供する。
【0055】
ある実施態様においては、POI−コード核酸配列は、EMCV IRES配列の上流に作動可能に連結されているか、または核酸分子の転写を駆動することのできるプロモーターの下流に作動可能に連結されているか、またはその両方である。
【0056】
もう1つの実施態様においては、いくつかのPOI−コード核酸配列が、マルチサブユニットタンパク質のいくつかの異なるサブユニットをコードするように存在してもよい。したがって、たとえば目的のサイトカインが、単一のPOI−コード核酸配列によりコードされ、一方、IgGまたはIgMは、2つまたは3つのPOI−コード核酸配列にそれぞれコードされ得る。
【0057】
1つの実施態様においては、POI−コード核酸配列は、単一のポリペプチドをコードする1つのPOI−コード核酸配列であり、一方、別の実施態様においては、POI−コード核酸配列は、抗体の異なるサブユニットをコードする2つの核酸配列を含む。多くの場合、目的のタンパク質は、培地へ分泌され、したがって、その場合、そのアミノ末端で、任意にはリンカーペプチドを介して、シグナルペプチドに連結され得る。
【0058】
目的のタンパク質は、真核細胞において発現されるものであればいかなるタンパク質であってもよい。非限定的な例として、また単にどのようなタンパク質が目的のタンパク質として考えられるかについて明らかにするために、目的のタンパク質は、Fc−融合産物、抗体、サイトカイン、ホルモン、成長因子、神経伝達物質、酵素、受容体リガンド、シアロムチン、核タンパク質、調節タンパク質および毒素からなる群、またはそれらの機能的画分、すなわちそれ自体が抗体(たとえばFab)、サイトカイン、ホルモン、神経伝達物質、酵素、受容体リガンド、シアロムチンもしくは毒素であるタンパク質の画分より選択される。Fc−融合産物は、シグナルペプチドとN−末端またはC末端融合パートナーとしてのイムノグロブリンのFc断片との融合物として発現されるタンパク質であり、上述のように、多種多様なPOIsの高レベルでの発現および分泌を促進する。Fcドメインは、疎水性タンパク質の溶解性の改善に役立ち、融合タンパク質の容易な検出および精製に関する情報を提供し、そして所望の場合、プロテアーゼによる処理により切断できる。
【0059】
Fc−融合産物(sCD164−Fc)、抗体(抗−IL22RA mAb)、成長ホルモン(顆粒球コロニー刺激因子(GCSF))またはサイトカイン(IL6)などの様々な目的のタンパク質を発現し、これらのタンパク質を高レベルで発現する高産生細胞が、それらの表面上のBMPを高レベルで発現する細胞を選択することにより効率的に単離できることが、本発明により見いだされた。
【0060】
また別の態様においては、本発明は細胞表面にBMPを提示する細胞を同定することを含む、目的のタンパク質(POI)を分泌する真核細胞の選択方法であって、細胞表面におけるBMP提示のレベルが分泌されたPOIの量と相関し、
(a)(i)前述の第1、第2および第3の核酸配列を含む核酸分子およびPOIコード核酸配列を含む第2の核酸分子;または
(ii)上記(i)に規定する両方の核酸分子を含む核酸分子
のいずれかを含むベクターで細胞をトランスフェクトし、それによりBMPトランスフェクト細胞の安定なプールを確立する工程;
(b)BMPトランスフェクト細胞を検出可能なビオチン結合部分で標識する工程;および
(c)検出可能なビオチン結合部分で標識化されたトランスフェクト細胞を同定および単離する工程
を含む方法を提供する。
【0061】
いくつかの実施態様においては、それぞれ前記少なくとも1つのPOI−コード核酸配列が、EMCV IRES配列の上流に作動可能に連結され、核酸分子の転写を駆動することのできるプロモーターの下流に作動可能に連結されているか、またはその両方である。
【0062】
目的のタンパク質の産生に使用される細胞は、哺乳類、植物、昆虫または酵母細胞などの遺伝子操作に適している任意の真核細胞であればよい。哺乳類細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ベビーマウス骨肉腫NS0細胞、ハムスター腎臓(BHK)細胞、ヒト胎児腎臓(HEK)細胞、ヒト網膜細胞、COS細胞、SP2/0細胞、WI38細胞、MRCS細胞、Per.C6細胞であってよい。植物細胞は、タバコ、ニンジンおよびコメ細胞が使用できる。ある実施態様においては、細胞はCHO細胞である。
【0063】
いくつかの実施態様においては、細胞は、蛍光アビジンおよび蛍光ストレプトアビジンからなる群より選択される検出可能なビオチン結合タンパク質または部分に接触させることによって標識化され、標識化された細胞は、その後FACSの手段により同定および単離される。しかしながら、標識化された細胞を同定および単離するためには、任意の方法、例えば非限定的に、ビオチン結合部分で被覆されたビーズを用いる方法などが使用できる。
【0064】
本発明の方法は、細胞の表面上に発現されたリポーター遺伝子産物の量と、発現および分泌された目的のタンパク質の量との間の高い相関を提供し、したがって、高レベルのレポーター遺伝子産物を提示する細胞を単離することにより高産生細胞の選択を可能とする。特に、選択された真核細胞は、より高い量のBMPをそれらの表面に提示し、安定なプールのトランスフェクトされた細胞よりもより多くの量の目的のタンパク質を分泌する。いくつかの実施態様においては、選択された真核細胞の表面上のBMPの量および選択された真核細胞により分泌される目的のタンパク質の量は、安定なプールのトランスフェクトされた細胞よりも2倍と30倍の間の範囲で多く、すなわち少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15倍多く、そして30倍まで多い。
【0065】
本発明の膜結合レポーター分子は、本明細書中に後述されるように、FACSにより高産生細胞をソーティングするために効率的なものであることが見いだされた。その結果からいくつかの重要な結論が導かれる。BMPおよびBAPレポータータンパク質は、トランスフェクトされた細胞において特異的に検出できる;標識された非トランスフェクト細胞のバックグラウンド染色は、無視できるものとわかり、それによりこれらのレポーターは、求められる細胞の選択に適している(実施例3)。本発明は、最も高いレベルのレポーター遺伝子を発現する細胞をソートし、それにより最も高いレベルのPOIを産生する細胞を選択する能力を提供する。その方法は、いくつかの膜固定スキャフォールドおよびいくつかのGOIsで実証された。生産性は、プールステージからソーティングサイクルの3回り後のプールまでで、種々のタンパク質および種々のレポーター構造物で1.7〜13.5倍(表1参照)増加した。同じレポーター発現レベルによるFACSによってなされるクローニング工程を伴う追加のソーティングサイクルは、さらに、選択されたクローンのPOI生産性レベルを増加させ得る。これらの結果は、システムの有効性を高めるものである。レポーター構造は、蛍光−ストレプトアビジンによる便利な染色を容易にする。これらの実験において使用される蛍光−ストレプトアビジンは、非動物由来起源のものであることが確認されているため、クローン開発プロセスにおいてこの試薬は円滑に使用される。基本的な基盤の重要な開発は、膜結合レポーター分子のPAC選択遺伝子への融合であり、この構築物は、FACSによる高産生細胞の生物学的選択とソーティングに非常に効率的であることが見いだされた。以下の点を指摘することが重要である。天然ではその酵素は細胞質に局在化しているにもかかわらず、PAC選択耐性遺伝子は、膜結合タンパク質として活性であることが見いだされたこと。生産性は、ソーティングサイクルの開始時と比較してプール(〜11PCD)で〜3倍までソーティングサイクルのあいだに増加すること。さらなる増加が、ProCHO5培地(26PCD)では、6倍までの値でクローンにおいて得られた。これらの結果は、レポーターの発現がPOIの発現と緊密に関連付けられていることを示す。
【0066】
本発明は、ここで以下の非限定的な実施例により説明される。
【実施例】
【0067】
材料および方法
細胞:CHO−S(ギブコBRL、カタログ番号11619)細胞 CHO DHFR-培地粉末、SAFC(バイオサイエンス、カタログ番号C6614)に適応
【0068】
試薬
AccuPrime Pfx インビトロジェンDNAポリメラーゼ カタログ番号12344−024
氷酢酸 メルク カタログ番号K28351556(独国)
アクリルアミドゲル −NuPAGE;10%トリスゲル、カタログ番号NP0301BOX、インビトロジェン(米国)
アガロース IBI カタログ番号IB70042
アンピシリン −シグマ カタログ番号A9518
ELISA用抗体:捕捉:ヤギ抗−ヒトIgG(H+L)、カタログ番号109−005−088 ジャクソンイムノリサーチ(米国)。検出:ヤギ抗−ヒトIgG Fab HRP、カタログ番号109−036−098 ジャクソンイムノリサーチ(米国)。
ウェスタンブロット用抗体:染色:A)ヤギ抗−ヒトIgG Fc HRP、ジャクソン、カタログ番号109−036−098;B)ヤギ抗−ヒトκ軽鎖、サザンバイオテック、カタログ番号2060−01、続いてロバ抗−ヤギ HRP、ジャクソン、カタログ番号705−015−147。
ブロッティング紙 GB002 カタログ番号426677、シュライヒャー・アンド・シュエル(Schleicher and Schuell)(米国)
ウシ血清アルブミン(BSA)、Bovostar、ボボジェン(Bovogen)、カタログ番号BSAS.01
ウシ血清アルブミン(BSA)、シグマ、カタログ番号A−4503
ブロモフェノールブルー、メルク、カタログ番号2126169
デキストラン硫酸塩(シグマ、カタログ番号D4911)
DH5αコンピテントバクテリア、ライフ−テクノロジーズ、カタログ番号18263−012
DMSO、メルク、カタログ番号K31630931
DNAラダー:DNA用1kbラダー、バイオラボ、カタログ番号3232L
DNAラダー:DNA用100bpラダー、バイオラボ、カタログ番号3231L
電気泳動サンプルバッファーLDS、インビトロジェン、カタログ番号NP0007、(米国)
エタノール、メルク、カタログ番号00983.1000
FACS Accudrop Beads、BD、カタログ番号MAB345249
グルコース、シグマ、カタログ番号G7021
グルタミン、シグマ、カタログ番号G5972
Hispeed plasmid Maxi Kit、キアゲン社、独国、カタログ番号12663
HT バイオロジカルインダストリー、カタログ番号03−085−1C
37%塩酸、メルク、カタログ番号1.00314
塩酸、メルク、カタログ番号UN−1789 1.00314.2500
LB+アンピシリンプレート−Hy−Labs、カタログ番号PD178
細菌生育用LB培地−Hy−Labs、カタログ番号BP302/400S
LipofectAmine試薬、ギブコBRL、カタログ番号18324−020
L−メチオニンスルホキシミン(MSX)、シグマ、カタログ番号M5379
発光性基質:ECLアマシャムキット、カタログ番号RPN2109
メタノール、メルク、カタログ番号1.06009.2500
Mgcl2−1M、シグマ、カタログ番号M1028
NuPAGE MOPS ランニングバッファー、X20、インビトロジェン、カタログ番号NP0001
NuPage トランスファーバッファー、インビトロジェン、カタログ番号NP0006−1
NuPAGE Trisグリシン ランニングバッファー、X10、インビトロジェン、カタログ番号LC2675
フェノールレッド、シグマ、カタログ番号P0290
PluronicF−68、シグマ、カタログ番号P5556
ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(Tween20)、シグマ、カタログ番号P−1379
事前染色マーカータンパク質標準品、カタログ番号、LC5925、インビトロジェン
プロテアーゼ阻害剤カクテル、シグマ、カタログ番号P8340
純粋ニトロセルロースメンブレン BA−85、シュライヒャー・アンド・シュエル、78×90mm、カタログ番号401184
ピューロマイシン、インビボジェン、カタログ番号ant−pr−1
参照試料 抗−IL22RA(MSB0010074/C12)を、PBS、pH6.0中のEMD(GVA)5.9mg/mlから得た。
制限酵素は、ニューイングランドバイオラボから購入した。
R−フィコエリトリン−共役ストレプトアビジン(SA−PE)、0.2mg/ml、バイオレジェンド(BioLegend)、カタログ番号405203(9.3のCoOおよび9.4のCoA参照)
スキムミルクパウダー、フルカ、カタログ番号70166
重炭酸ナトリウム、メルク、カタログ番号6329
炭酸ナトリウム、メルク、カタログ番号6392
リン酸ナトリウム、シグマ、カタログ番号S−3264
SYBR Safe DNA ゲル染色、インビトロジェン、カタログ番号S33102、3Dl/ゲル
TMB Savion Diagnostics、カタログ番号1928
Tween20(ポリオキシエチレン−ソルビタン モノラウレート)−シグマ、カタログ番号P−1379
水、R.O.(ITL)
ワットマン3mm、ワットマン、カタログ番号3030917
【0069】
溶液
1%漂白剤 −FACSClean、ベクトン デッキンソン、カタログ番号340345
PBS(ITL製造、BR R0450V01)
0.1%プロニック酸含有PBS
【0070】
培地
CHO DHFR−クローニング培地、SAFC バイオサイエンス、カタログ番号C6366、4mM L−グルタミンおよび15mg/L フェノールレッド、シグマ、カタログ番号P0290を補足
ProCHO5培地、ロンザ(Lonza)、カタログ番号BE12−766Q、4mM L−グルタミンおよび15mg/L フェノールレッド、シグマ、カタログ番号P0290を補足
イーグル最小必須培地、シグマ、カタログ番号M2279
【0071】
方法
DNA発現ベクターの構築
全てのベクターは、たとえばF.M.Ausubelら[F. M. Ausbel, 2009 #132]に教示されているような標準的な分子生物学的技術を用いて構築した。
【0072】
プラスミドDNAの調製
プラスミドDNAは、QIAGEN Hispeed plasmid Maxi Kitを用いて製造業者により説明された手順にしたがって単離した。
【0073】
DNA配列決定
契約企業(ジーンアート(GeneArt)、独国)により製造され、標準的な手法によりベクターにクローン化されたDNAフラグメントは、Hy−Labs、イスラエル国で配列決定された。DNA配列決定は、完全に自動化された16 Capillary ABI Prism 3100 Genetic Analyzerにより行われた。配列は、Sci−Ed Generalソフトウェア(Clone manager software、バージョン7.01およびAlign plus5、バージョン5.01)を用いて社内で分析した。
【0074】
CHO−S細胞のトランスフェクション
CHO−S細胞を溶かし、ProCHO5血清不含培地(ロンザ、カタログ番号BE12−766Q)にヒポキサンチン13.61mg/Lおよびチミジン3.88mg/L(HTx1、バイオロジカルインダストリー、カタログ番号03−085−1B)を補足した培地で培養した。細胞を、フィルターチューブ50mlバイオリアクター(TPP、カタログ番号87050)において、37℃、加湿、および320RPMで振とうして浮遊状態で増殖させた。トランスフェクションの2日前、細胞を、500mlの蓋付き三角フラスコ(コーニング、カタログ番号431145)に0.2×106細胞/mlの濃度で播いた。細胞を、LipofectAmine(ギブコBRL、カタログ番号18324−020)によりトランスフェクトした。トランスフェクションの日に、細胞を洗浄して再懸濁し、10×106細胞を、125mlのフィルターキャップ付き三角フラスコ(コーニング、カタログ番号431143)の4ml MEM(シグマ、カタログ番号M2279)中に播いた。各単一のプラスミドによるトランスフェクションに対し、20μg線状化ベクター(MB−098)を使用した。最終DNA容量は、MEM中で100μlに調整した。その後、100μlのLipofectAmineを添加し、45分間室温でインキュベートした。次に、DNA−LipofectAmine混合物を、細胞に添加し、4時間、37℃、5%CO2で45RPMで振とうするインキュベーターにおいてインキュベートした。このインキュベーション期間の終了時に、細胞を遠沈し、培地を、125mlのフィルターキャップ付き三角フラスコ(コーニング、カタログ番号431143)において、20mlの新しいProCHO5(ロンザ、カタログ番号BE12−766Q)にヒポキサンチン27.22mg/Lおよびチミジン7.76mg/L(HTx2、バイオロジカルインダストリー、カタログ番号03−085−1B)を補足した培地に置換した。フラスコを37℃で振とうインキュベーターにおいて125RPMで72時間インキュベートした。
【0075】
トランスフェクションから72時間後、細胞を回収し、遠心分離にかけ、そして20mlのProCHO5培地にピューロマイシン20μg/ml(インビボジェン、カタログ番号ant−pr−1)、MSX 25μM(シグマ、カタログ番号M5379)およびデキストラン硫酸塩 100μg/ml(シグマ、カタログ番号D4911)を補足した培地に再懸濁した。これらの選択条件下では、PAC遺伝子を発現する細胞のみが生き残ることができた。
【0076】
インビトロビオチン化
動物成分不含培地(ACFM)で培養された細胞を、プルロニック酸F−68 0.1%(シグマ、カタログ番号P5556)およびMgCl2 5mM(シグマ、カタログ番号M1028)を含むPBS(リン酸バッファー食塩水)中で洗浄し、その後2×106細胞を、プルロニック酸F−68 0.1%(シグマ、カタログ番号P5556)、MgCl2 5mM(シグマ、カタログ番号M1028)、BirA 0.06mM(アビディティー(Avidity)、カタログ番号BirA500)、ATP 1mM(シグマ、カタログ番号A6419)およびビオチン 10mM(シグマ、カタログ番号B4639)を含むPBSで、室温で1時間インキュベートした。インキュベーション後、細胞を、プルロニック酸F−68 0.1%(シグマ、カタログ番号P5556)およびMgCl2 5mM(シグマ、カタログ番号M1028)を含むPBSで洗浄した。
【0077】
蛍光ストレプトアビジン(F−SA)による標識化
インビボもしくはインビトロのいずれかにおいてビオチン化されたBAPを発現する細胞(2×106)、またはBMPを発現する細胞を、プルロニック酸F−68 0.1%(シグマ、カタログ番号P5556)を含むPBSで洗浄し、その後、プルロニック酸F−68 0.1%および1:100に希釈したR−フィコエリトリン共役ストレプトアビジン(SA−PE)(ジャクソン、カタログ番号016−110−084)(F−SA)を含むPBSでインキュベートし、37℃で30分間、80RPMで振とうしながらインキュベートした。その後、細胞を、0.1%プルロニック酸F−68を含むPBSで洗浄し、解析のためにFACSAriaにかけた。
【0078】
FACSによる分析
BMPを発現する細胞(2×106)を、0.1%プルロニック酸F−68(シグマ、カタログ番号P5556)を含むPBSで洗浄し、その後、0.1%プルロニック酸F−68および1:100に希釈したR−フィコエリトリン共役ストレプトアビジン(SA−PE)(BioLegend、カタログ番号405203)(F−SA)を含むPBSでインキュベートし、37℃で30分間、80RPMで振とうしながらインキュベートした。その後、細胞を、0.1%プルロニック酸F−68を含むPBSで洗浄し、解析のためにFACSAriaにかけた。
【0079】
細胞増殖
細胞培養物を、つぎのようにACFMに維持した。細胞を、50mlチューブに、25mlの容量で0.2×106細胞/mlの濃度で播き、φ25mmのオービタルシェーカー上で、320rpm、37℃でインキュベートした。週に2回、細胞数と生存率を測定した。培養物を、4℃で5分間、100gで遠心分離することにより継代させ、その後、細胞ペレットを新鮮な事前に温めたACFMに再懸濁した。
【0080】
細胞増殖およびACFMにおける生産性
細胞培養物の維持
細胞培養物をつぎのようにACFMにおいて維持した。細胞を、T−80フラスコに、0.2×106細胞/mlの濃度で播き、45rpmでオービタルシェーカー上で37℃でインキュベートした。週に2回、細胞数と生存率とを測定した。培養物を、4℃で5分間、100gで遠心分離することにより継代させ、その後、細胞ペレットを新鮮な事前に温めたACFMに再懸濁した。
【0081】
組織培養フラスコ25cm2を8〜10mlの培地で播種し、f25mmのオービタルシェーカー上、55rpmでインキュベートした。組織培養フラスコ80cm2を20〜30ml培地で播種し、f25mmのオービタルシェーカー上、45rpmでインキュベートした。
【0082】
ACFMにおける細胞の生産性
ACFMにおける比生産性(PCD)について、細胞を、50mlチューブに入れた特定のACFMに0.5×106細胞/mlの濃度で播き、オービタルシェーカー(320rpm)上、37℃で24時間インキュベートした。その後、培地を試料に取り、生成物濃度をELISAにより測定した。計算は、24時間力価を播種時の細胞の平均濃度と、24時間実験後での細胞の平均濃度により割ることで行った。
【0083】
細胞ソーティング FACSソーティングについては、20μg/mlピューロマイシンおよびMSX 25μMを補足したProCHO5培地の統一プールから、トランスフェクトされた細胞が使用された。各ソートについて、約60×106細胞を培養し、F−SAで標識化した。ソートされるべき細胞を、0.1%プルロニック酸F−68および1:100に希釈したF−SAを含むPBS中で、T80フラスコの4×106細胞/mlの濃度で標識化し、80rpmで振とうインキュベーターにおいて37℃で1時間インキュベートした。標識化後、細胞を回収し、PBS+0.1%プルロニック酸F−68で2回洗浄し、バルクソーティングのためにPBS+0.1%プルロニック酸F−68に、最終濃度10×106で再懸濁した。最も高い蛍光細胞4%を「単一細胞」精密モードにおけるFACDAriaフローサイトメーターによるソーティングのために、FSC/PEドットプロット上でゲーティングした。ソートされた細胞を、20μg/mlピューロマイシンおよびMSX 25μMを補足したProCHO5培地に播き、細胞生存率が>=90%で生存細胞数が≧70×106まで増殖させた。この段階で、蛍光が解析およびつぎのソーティングサイクルがなされた。全部で、3回の連続したソートがなされた。
【0084】
FACS ACDUによるクローニング
クローニングは、FACSAria細胞ソーターの自動細胞捕集装置(ACDU)デバイスにより、20μg/mlピューロマイシンおよびMSX 25μMを含むProCHO5において増殖する細胞になされた。2×106細胞を回収し、PBS+0.1%プルロニック酸F−68で2回洗浄し、2μg/ml(希釈1:100)濃度のSA−PE(BioLegend)0.5mlで標識化した。細胞を24ウェルプレートで30分間、80rpm、37℃でインキュベートした。標識化後、細胞を回収し、PBS+0.1%プルロニックで2回洗浄し、4mlのPBS+0.1プルロニック酸に再懸濁した(細胞濃度、約0.1〜0.2細胞/ml)。最も高い蛍光細胞2.5%を、「単一細胞」精密モードにおいて、ACDUにより、ProCHO5において培養された細胞用の80%シグマC6366および20%ProCHO5 ACFM混合物180μl/ウェルを含む96ウェルプレート中にクローン化した。プレートをCellavistaにより、0日目、その後2〜3日周期で、単一コロニーを有するウェルの検出のために解析した。クローニングの2週間後、コロニー増殖が検出されたウェルからの上清をサンプリングし、ELISAにより分析した。ウェルにつき1より多いコロニーを含むウェルは、除外した。細胞を、最も高い力価を有するウェルから採取し、まず、4mlの50%シグマC6366および50%ProCHO5培地混合物を含む振とうなしのT25フラスコに移した。3〜5日後、2〜4mlの100%ProCHO5培地をT25フラスコに添加し、細胞を、振とうしながらインキュベートした。1〜3日後、8mlのProCHO5を添加し、懸濁液をT80フラスコに移した(全体で、87.5%のProCHO5と12.5%のC6366)。1〜2日後、10mlの新鮮な培地を細胞に添加した。その後、細胞を25mlの新鮮な培地に0.2×106細胞/mlで別の増殖サイクルのために播種した。比生産性を決定するために、細胞を0.5×106細胞/mlの濃度で、24時間、37℃、320rpmで50フィルターチューブに播いた。
【0085】
sCD164−Fcに対するELISA 以下の手法を用いた。
1.マイクロタイタープレートを0.5mg/mlのPBS中CD164に対するモノクローナル抗体で被覆し、〜4℃で一晩インキュベートした。
2.プレートを洗浄バッファー(0.05%Tween20を含むPBS)で3回洗浄した。
3.プレートをブロッキングバッファー(0.5%I−Blockを含むPBS)200μl/ウェルで、37℃、振とう下で1時間ブロッキングした。
4.ブロッキング後、プレートを洗浄バッファーで3回洗浄し、アッセイバッファー(0.25%I−Blockおよび0.05%Tween20を含むPBS)中の試験試料、検量線(0.78〜50ng/ml)およびチェック試料の100mlアリコートをプレートに添加し、振とう下、37℃で60分インキュベートした。
5.プレートを再び洗浄バッファーで3回洗浄し、そして100mlのFc部分への二次抗体(アッセイバッファー中に1:40,000に希釈されたHRP共役F(ab’)2フラグメントヤギ抗ヒト)を各ウェルに添加した。
6.プレートを振とう下、37℃で60分インキュベートした。
7.プレートを洗浄バッファーで3回洗浄し、基質溶液(TMB)100mlを各ウェルに添加し、プレートを室温で(振とうなしで)20分間インキュベートした。
8.反応を停止溶液(4N HCl)50μl/ウェルを添加することにより止めた。
9.吸光度をELISAリーダーにおいてA492nmで測定した。
10.検量溶液を、293HEK細胞由来のStd.SCD164−Fcの段階希釈により調製し、アッセイバッファーにおける0.78〜50ng/mlの範囲(線形範囲は0.78〜12.5ng/mlの間であった。)で検量線を得た。SCD164−Fcプールからの粗収穫物の試料を、アッセイバッファーで希釈し、〜10ng/mlを得て、チェック試料として用いた。
11.光学密度データ結果を処理し、結果をMagelanソフトウェアにより計算した。
12.試料の希釈、検量線希釈シリーズの調製およびプレート上の試料の分配は、ロボットサンプルプロセッサーにより行われた。
【0086】
GCSFに対するELISA 以下の手順を用いた。
1.マイクロタイタープレートを1μg/mlのPBS中GCSFに対するモノクローナル抗体で被覆し、〜4℃で一晩インキュベートした。
2.プレートを洗浄バッファー(0.05%Tween20を含むPBS)で3回洗浄した。
3.プレートをブロッキングバッファー(1%BSAを含むPBS)、200μl/ウェルで、37℃、振とう下で1時間ブロッキングした。
4.ブロッキング後、プレートを洗浄バッファーで3回洗浄し、試験試料、検量線試料およびチェック試料の100mlアリコートをプレートに添加し、振とう下、37℃で60分インキュベートした。
5.プレートを再び洗浄バッファーで3回洗浄し、そして100mlの検出ビオチニル化抗体抗−ヒトGCSF溶液を各ウェルに添加した。
6.プレートを振とう下、37℃で60分インキュベートした。
7.プレートを、二次抗体、ストレプトアビジンHRPでインキュベートし、上記工程5〜6に記載されたのと同じ手順を行った。
8.プレートを洗浄バッファーで3回洗浄した。
9.基質溶液(TMB)100mlを各ウェルに添加し、プレートを室温で(振とうなしで)20分間インキュベートした。
10.反応を停止溶液(3N HCl)50μl/ウェルを添加することにより止めた。
11.吸光度をELISAリーダーにおいて492nmで測定した。
12.検量溶液を、標準組換えヒトGCSFの段階希釈により調製し、1.56〜100ng/ml(線形範囲は3〜50ng/mlの間であった。)の検量線を得た。
13.光学密度データ結果を処理し、結果をMagelanソフトウェアにより計算した。
14.試料の希釈、検量線希釈シリーズの調製およびプレート上の試料の分配は、ロボットサンプルプロセッサーにより行われた。
【0087】
IL−6に対するELISA 以下の手順を用いた。
1.マイクロタイタープレートを1mg/mlのPBS中IL6に対するモノクローナル抗体で被覆し、〜4℃で一晩インキュベートした。
2.プレートを洗浄バッファー(0.05%Tween20を含むPBS)で3回洗浄した。
3.プレートをブロッキングバッファー(1%BSAを含むPBS)、200μl/ウェルで、37℃、振とう下で1時間ブロッキングした。
4.ブロッキング後、プレートを洗浄バッファーで3回洗浄し、試験試料、検量線試料およびチェック試料の100mlアリコートをプレートに添加し、振とう下、37℃で60分インキュベートした。
5.プレートを再び洗浄バッファーで3回洗浄し、そして100mlの検出抗体:ビオチニル化抗−IL6を各ウェルに添加した。
6.プレートを振とう下、37℃で60分間インキュベートした。
7.プレートを、二次抗体、アビジン−HRPでインキュベートし、続いて上記工程5〜6に記載されたのと同じ手順を行った。
8.プレートを洗浄バッファーで3回洗浄した。
9.基質溶液(TMB)100mlを各ウェルに添加し、プレートを室温で(振とうなしで)20分間インキュベートした。
10.反応を停止溶液(3N HCl)50μl/ウェルを添加することにより止めた。
11.吸光度をELISAリーダーにおいて450nmで測定した。
12.検量溶液を、IL6参照標準の段階希釈により調製し、31.75〜2000pg/ml(線形範囲は31.75〜500pg/mlの間であった。)の検量線を得た。
13.光学密度データ結果を処理し、結果をMagelanソフトウェアにより計算した。試料の希釈、検量線希釈シリーズの調製およびプレート上の試料の分配は、ロボットサンプルプロセッサーにより行われた。
【0088】
分析用抗−IL22RA細胞培養収穫物の回収
産生細胞(0.5×106)を、フィルターチューブ50の20mlのProCHO5培地に播き、320rpmのシェーカー上で、37℃で、24時間培養した。収穫物を遠心分離し、0.22μmフィルターを通してろ過した。透明な上清をELISAアッセイ、ついでウェスタンブロットアッセイにて解析した。
【0089】
抗−IL22に対するELISA 以下の手順を用いた。
1.マイクロタイタープレートを、コーティングバッファー中、2.0μg/mlのヤギ抗−ヒトIgG(H+L)で1ウェルにつき100μlでコートし、湿潤箱において〜4℃で一晩インキュベートした。プレートは、O/Nインキュベーションの後、3ヵ月間−20℃で保管できる。
2.プレートを洗浄バッファー(0.05%Tween20を含むPBS)で4回洗浄した。
3.プレートをブロッキングバッファー(1%BSAを含むPBS−T0.05%)200μl/ウェルで、室温で1時間ブロッキングした。
4.ブロッキング後、プレートを洗浄バッファーで4回洗浄し、アッセイバッファー(PBS×1中ミルク1%)中の試験試料、検量線試料(1.56〜100ng/ml)およびチェック試料の100mlアリコート。プレートを、プレートシーラーで覆い、振とうなしで、37℃で60分間インキュベートした。
5.プレートを再び洗浄バッファーで4回洗浄し、そしてアッセイバッファーに1:100,000で希釈した二次抗体、ヤギ抗ヒトIgG Fab HRP 100μlを各ウェルに添加した。
6.プレートを、37℃で60分間インキュベートした。
7.プレートを洗浄バッファーで4回洗浄し、基質溶液(TMB)100mlを各ウェルに添加し、プレートを室温で(振とうなしで)15〜20分間インキュベートした。
8.反応を停止溶液(1N HCl)100μl/ウェルを添加することにより止めた。
9.吸光度をELISAリーダーにおいてA450nmで測定した。
10.検量溶液を、標準抗IL22RA MSB0010074/C12のPBSでの段階希釈により調製し、pH6.0、アッセイバッファーにおける1.56〜100ng/ml(線形範囲は1.56〜50ng/mlの間であった。)の検量線を得た。関連するプールからの粗収穫物のサンプルを、アッセイバッファーで希釈して、〜25ng/mlを得て、チェック試料として使用した。
11.光学密度データ結果を処理し、結果をMagelanソフトウェアにより計算した。
12.試料の希釈、検量線希釈シリーズの調製およびプレート上の試料の分配は、ロボットサンプルプロセッサーにより行われた。
【0090】
SDS−PAGE/ウェスタンブロット解析
ProCHO5培地中の抗−IL22RAクローンの透明な上清試料をSDS PAGE試料バッファーに希釈した。抗−IL22RAクローンの試料(ELISAによりレーンにつき0.1μg)を、非還元条件下、SDS−PAGE10%ビス・トリス・ゲル上で分離した。事前に染色したMWタンパク質標準(15mcl)を、同様にゲル上に載せた。電気泳動を定電圧(100V)で、〜2時間、Novex Xcell SureLock Mini−Cell電気泳動システムにより行った。SDS PAGE実行の終わりに、1時間で35ボルトに調整された電源を用いる移行バッファーを備えたブロッティングモジュールにおいて、タンパク質をゲルからニトロセルロース膜に移した。膜をPBS−0.05%Tween20で5分間洗浄し、ブロッキングバッファーで4℃で一晩インキュベートした。膜をワーキングバッファーに希釈した以下の抗体と共に、振とう下、2時間室温でインキュベートした。a)ヤギ抗−ヒトIgG Fc HRP、b)ヤギ抗−ヒトκ軽鎖、そしてロバ抗−ヤギ HRPに続く。その後、膜をPBS−0.05%Tween20で3回、各回5分間洗浄した。バンドをECL試薬中で1分間インキュベーションし、フィルムをAFP X−線フィルムプロセッサー「Mini−Medical」現像液に曝すことにより可視化した。現像後、フィルムを詳細に調べた。
【0091】
実施例1:仕様設計
細胞表面上のBMPおよびBAP発現レベルの評価のための仕様設計は、当初、充分な発現を保証し、発現評価を可能とするために個々の発現カセット上に位置するレポータータンパク質により作製された(図1;ベクターMB−065、MB−066およびMB−067)。レポータータンパク質発現の検証とFACSによる細胞表面上の検出の後、新規なBMP含有ベクターを、BMPに基づくレポーター遺伝子と2シストロン性mRNAにおけるGOIsとの間の固い結合により構築した。プラスミドは、強力なヒトCMV(hCMV)プロモーターにより駆動されるGOIsからなり、レポーター遺伝子は、EMCV IRESの下流に配置した。この構造は、同じmRNA上での両遺伝子の転写を決定している[47](図1;ベクターMB−070−MB−076)。
【0092】
レポーター分子は、膜結合タンパク質またはペプチドとレポーター部分を含有した(BMPまたはBAP)。最初の膜結合タンパク質は、101アミノ酸[37]の小さなタンパク質で、そのC末端を介してグリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)[40]により細胞膜の外側に固定されたマウス由来のCD59aからなっていた(図1のベクターMB065、MB066、MB−070−MB−072)。BMP−CD59a構築物の核酸配列は、配列番号10に規定されているものである。あるいは、60アミノ酸の合成ペプチドが作製され(配列番号1)、これは2つの潜在的N−グリコシル化部位を有し、マウスIGF−Iレセプター由来のTMドメイン(配列番号2;ベクターMB−073およびMB−075;図1)か、またはCD48のGPI固定ドメイン(Cys残基がSerにより置き換えられていた;配列番号3;ベクターMB−074およびMB−076;図1)のいずれかを介して細胞膜に固定された。TMドメイン配列の予測は、TMHMM server v.2.0によりなされ[32]、そしてGPI固定配列は、GPI修飾部位推定によりなされた[33〜36]。膜タンパク質またはペプチドのN末端またはGPI固定シグナルは、リンカーを介して、CHPQGPPC[22、23](配列番号5)のアミノ酸配列に対するBMPコーディング配列、またはGLNDIFEAQKIEWHE[24](配列番号13)のアミノ酸配列に対するBAPコーディング配列のいずれかに結合される。
【0093】
BMP含有ベクターによりトランスフェクトされた細胞は、蛍光標識ストレプトアビジンにより直接染色された(F−SA、図2A)。BAP発現細胞の染色は、このレポーターペプチドのビオチニル化よりも前に必要とされる。これは、細胞自身によるインビボ ビオチニル化を得るためのCHO最適化BirA配列[27]による同時トランスフェクションによるか(データは示さず)[27〜29、31、48]、または細菌性酵素BirAを外から加えることによる細胞表面でのBAPのインビトロビオチニル化によるか[30、49](図2B)のいずれかで達成された。
【0094】
仕様は、BMPをPAC耐性遺伝子と融合させることにより目的の遺伝子を高レベルに産生する細胞をストリンジェントに選択するために拡張された。BMP−PACは、トランスフェクション後のピューロマイシン選択と、それに続くBMPレベルによるFACS選択を可能とする。2つの発現カセット、重鎖に対するものと軽鎖に対するものからなるモデル抗体の発現のためにプラスミドを構築した。重鎖発現は強力なマウスCMV IE2(mCMV IE2)プロモーターにより駆動され、レポーター遺伝子はEMCV IRESの下流に配置される。軽鎖発現は、マウスCMV IE1(mCMV IE1)プロモーターにより駆動され、QSy(グルタミンシンセターゼ)選択マーカーは、別のEMCV IRESの下流に配置される。この構造は、単一mRNA上での重鎖およびBMP−PAC遺伝子の転写と、別のmRNA上での軽鎖およびQSyの転写を決定している[47](図3;ベクターMB98)。
【0095】
レポーター選択分子は、マウスCD59a分子由来のシグナルペプチドの前に置かれたBMPを含む。BMPは、そのC末端で60アミノ酸の合成ペプチドに融合し、この合成ペプチドは2つの潜在的なN−グルコシル化部位を有する。この合成キャリアは、マウスIGF−Iレセプター由来のTMドメインに連結される。TMドメインは、PAC選択耐性遺伝子に、短いリンカーを介して連結される(図2C図3;ベクターMB−098)。TMドメイン配列の予測は、TMHMM server v.2.0によりなされた。BMPは、配列番号5のアミノ酸配列によりコードされる。
【0096】
この特定の構築物におけるPACは、細胞膜に付着される。したがって、PACは、膜結合タンパク質として有効なNアセチル化活性を含まなければならず、その天然の細胞質状態とは異なる。
【0097】
実施例2:発現ベクターの構築
この研究課題のため、3つのセットのベクターが研究課題の種々のステージで構築された。
【0098】
第1のセットでは、ビオチン模倣ペプチド(BMP)、ビオチンアクセプタペプチド(BAP)およびBirA遺伝子を、hCMVプロモーターの直接下流でベクターにクローン化した。これらのベクターは、当初は、細胞表面上のBMPおよびBAP発現レベルおよびFACSによる蛍光ストレプトアビジン(F−SA)でのこれらのマーカーの検出能力のテストのために使用され、実験の後期には対照ベクターとして使用された。ベクターの第2のセットは、EMCV IRESの下流にBMP−CD59−GPIカセットを含有し、したがって、前に使用されたベクターにおいてよりも強固に直接的な方法でGOIにFACS選択マーカーを連結した。第3のセットは、マウスCD59aの代りに合成ペプチドキャリア(GPIを含む)を含み、GPIまたはTMドメインを介して細胞膜に固定された(図1)。選択マーカーとして、PAC遺伝子をSV40プロモーターの下流でベクターに挿入し、トランスフェクトされた細胞で細胞質PACを生じた。
【0099】
すべてのベクターは、既知の手法、たとえばF.M.Ausubelらに教示されているような手法にしたがって構築された[50]。
【0100】
実施例3:高POI産生細胞のソーティングに対するレポーター分子の評価
3.1 細胞表面上のレポーター分子の発現と検出
GOIおよびBMP、またはGOIおよびBAP、またはGOIおよびBAPおよびBirAを発現する細胞の作製は、CHO−S細胞へのプラスミドのLipofectAmineトランスフェクションによりなされ、その後、ピューロマイシンにより、またはBirA含有プラスミドで同時トランスフェクトされた細胞においてピューロマイシンおよびゼオシンにより選択された。
【0101】
安定なプールをレポーター遺伝子の発現レベルについて解析した。BAPレベルは、外から添加されたBirAによるビオチニル化、その後F−SAでの標識化後に解析された(図4)、またはBirAにより同時トランスフェクトされたそれらの細胞における細胞内でのビオチニル化、その後F−SAで標識化後に解析された(データは示さず)。
【0102】
BMPレベルは、F−SAの結合により直接的に解析された。結果は、非トランスフェクト細胞および非標識化細胞に関する有意なバックグラウンドなしでトランスフェクトされた細胞上のレポーター分子の特定の蛍光シグナルを示す(図5A)。
【0103】
図5において、非トランスフェクトCHO−S細胞、およびBMP−CD59aをhCMVプロモーターの下流に直接(A)、またはEMCV IRESの下流に直接(B)含むプラスミドでトランスフェクトされたCHO−S細胞を、F−SAで染色するかまたは染色せず、FACSによるそれらの蛍光標識レベルを解析した。ストレプトアビジン−染色BMPの蛍光レベル(図5)は、ストレプトアビジン−染色BAPの蛍光レベル(図4)よりも低かった。
【0104】
BMPとBAPで染色した細胞の蛍光標識強度における違いについての理由は、BAPの場合には天然のビオチンであるのに対して、ストレプトアビジンに対するビオチン模倣ペプチドの有意に低い親和性にあると考えられる(数桁分)。この違いにもかかわらず、FACSにより標識された細胞のソーティングを可能とするバックグラウンドよりも有意にBMP発現細胞の高い染色強度が得られた。
【0105】
低い蛍光と高い蛍光の2つのピークが、トランスフェクトされ標識化された細胞に見られる(図5A−B;曲線−・・−)。これらの2つのピークは、おそらく低いBMP発現細胞と高いBMP発現細胞を示す。低い発現細胞は、また、PACが標準的な発現カセットに配置されていてもなおPACの発現も低いことが推測される。PACレベルは、それでも細胞がピューロマイシン選択圧力下で生存するのに充分であった。
【0106】
3.2 高産生細胞のソーティングと作製
細胞を、3つの異なるGOIs(sCD164−Fc、GCDF、IL−6)および、BMP−CD59a(ベクターMB−070、MB−071、MB−072)、BMP−ペプチドキャリア−GPI(ベクターMB−074およびMB−076)またはBMP−ペプチドキャリア−TM(ベクターMB−073およびMB−075)のキメラを含み、GOIおよびBMPが、EMCV IRESにより分けられた同じ2シストロン発現カセット上に配置されているベクター(図6〜12)でトランスフェクトした。(異なるカセット上で発現される)ピューロマイシンでの生物学的な選択により作製された安定なプールについて、FACSによりレポーター分子の発現レベルを、そして特異的ELISAによりGOIsの発現レベルを解析した。
【0107】
低い蛍光と高い蛍光を有する2つのピークが、トランスフェクトされ標識化された細胞に見られた(図6〜12;曲線−・・−)。それらの2つのピークは、低いBMP発現細胞と高いBMP発現細胞とを示す。低い発現細胞はPACの発現も低いことが推測される。PACレベルは、細胞がピューロマイシン選択圧力下で生存するのに充分であるが、それらの細胞のBMP発現および、もしかするとPOIレベルも低いと思われる。
【0108】
全てのケースにおいて(図6〜12)有意なレベルのBMPならびにGOIsが検出された。細胞をF−SAで標識化し、最も高い蛍光細胞4%をソートした。その後、ソートした細胞を増殖させ、BMPおよびGOIsレベルを解析した。ソーティング手順と分析は、連続的に3回繰り返した。各ソーティングにおいて、最も高いBMP発現集団を富化し、結果として、GOIの生産性レベルを高めた。(GOIおよびBMP発現レベルの間の正相関が見られた(図6〜12)。)
【0109】
実施例4:レポーターPAC融合産物をコードする発現ベクターの構築
4.1 ベクターMB−098(図3)の構築−ベクターMB−098は、たとえばF.M.Ausubelら[50]に教示されているように既知の手法にしたがって構築した。
【0110】
4.2 BMP−PACレポーターを含む安定なプールの作製、PAC活性の評価および生産性の解析
ProCHO5においてBMP−PAC含有ベクターでトランスフェクトされたCHO−S細胞は、20μg/mlピューロマイシン(インビトロジェン、カタログ番号ant−pr−1)およびMSX 25μM(シグマ、カタログ番号M5379)による選択に付された。これらの条件下、浮上した安定な細胞は、PACが膜結合型で活性であることを示す。安定なプールは、抗−IL22RA mAbを、比生産性8.5〜9.4PCDで発現する(図13)。
【0111】
4.3 BMP−PACレポーターを含有する高産生プールのソーティングおよび作製
安定な細胞を、ProCHO5培地においてFACSにより分析、およびソートした(図14)。分析は、BMPがトランスフェクトされたプールで検出されることを示す。2つの亜集団がソートの前に見られ、高いBMPレベルと低いBMPレベルとを発現する。最も高いBMP発現細胞4%の選択により行われた連続的なソートは、BMPレベルと相関するPCD上昇との結果を示した。結果のまとめを表1に示す。
【0112】
【表1】
【0113】
ProCHO5において、抗−IL22RA mAbおよびBMP−PACを含むベクターでトランスフェクトされた安定な細胞(3反復実験)(図14)を、20μg/mlピューロマイシンおよびMSX 25μMで選択し、統一のプールに一緒にした。細胞をBMPレベル(赤線)について解析した。プールを、それらのF−SAで標識されたBMPレベルにより連続的に3回ソートした。各ソーティングサイクル後、細胞を回収し、蛍光ならびに生産性を測定した。蛍光レベルと生産性の値は、図14の簡単な説明に示す。
【0114】
3.5 FACS ACDU装置によるソートされたプールのクローニング−クローンの単離
3回の連続的なソーティングサイクルの後、ProCHO5中の抗−IL22RA mAb産生プール#2418UN−Hx3の上から4%の蛍光細胞を、96ウェルプレートへの単細胞クローニングを可能とする、FACSAriaの自動細胞捕集装置(ACDU)によりクローン化した。ProCHO5+20mg/mlピューロマイシンおよび25μM/ml MSX中で培養されている細胞のクローニングを、80%培地C6366および20%C6614を含む96ウェルプレートにおいて行った。コロニーを、播種日とその後2〜3日毎にCellavistaにより検出した。1つより多くのコロニーを有するウェルを廃棄した。クローニング以降、培地にはピューロマイシンは含まれていなかった。
【0115】
358ウェルからの上清を試料とし、ELISAにより生産性(力価)についてアッセイした(図15)。プールから誘導した最も高い力価を有する40個のクローンをまずT25フラスコに移し、その後、比生産率を評価するために50ml試験管に移した(図16)。両プール由来の最も優秀な15個のクローンを、50ml試験管において生産性の評価のために、25μM MSXと培養した(図17)。
【0116】
3.6 SDS PAGEおよびウェスタンブロットによる粗細胞培養培地におけるタンパク質生成物の同定
候補のクローンをProCHO−5培地において培養した。これらのクローンにより粗細胞培養培地中に産生された生成物は、SDS−PAGE/ウェスタンブロッティングにより解析した(図18)。生成物の検出は、ヒトFcおよび抗−IL22RA mAbのκ軽鎖サブユニットに対する抗体により行った(それぞれAおよびB)。
【0117】
結果は、見掛けの分子量〜150kDaを有するインタクトな生成物(ヘテロダイマー)が、両抗体により同定されたことを示す。さらに、全ての候補クローンにより分泌された自由な軽鎖(見掛けのMWによるとモノマーおよびダイマー)が、抗−LCで染色されたウェスタンブロットにおいて認められた(図18Bおよび19B)。
【0118】
全てのクローン由来の粗細胞培養培地におけるヘテロダイマーの分子量は、抗−IL22RA mAb参照サンプル由来の精製された生成物のものと一致する。異なるクローンの生成物の見掛けのMWにおいて有意差は見られなかった。多重バンドは、グリコシル化の微小不均一性(micro-heterogeneity)を表す。
【0119】


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]