特許第6159301号(P6159301)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6159301
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】放射性物質の処理方法
(51)【国際特許分類】
   G21F 9/34 20060101AFI20170626BHJP
   G21F 9/36 20060101ALI20170626BHJP
   G21F 9/10 20060101ALI20170626BHJP
   G21F 9/28 20060101ALI20170626BHJP
【FI】
   G21F9/34 B
   G21F9/34 A
   G21F9/36 501A
   G21F9/36 501F
   G21F9/10 G
   G21F9/28 Z
【請求項の数】3
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-145912(P2014-145912)
(22)【出願日】2014年7月16日
(65)【公開番号】特開2016-23943(P2016-23943A)
(43)【公開日】2016年2月8日
【審査請求日】2016年1月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】502362460
【氏名又は名称】小柳建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 護
(74)【代理人】
【識別番号】100161665
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 知之
(74)【代理人】
【識別番号】100188994
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 裕介
(72)【発明者】
【氏名】小柳 直太郎
(72)【発明者】
【氏名】小柳 卓蔵
【審査官】 右田 純生
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04307679(US,A)
【文献】 特開昭61−017997(JP,A)
【文献】 特開2013−164379(JP,A)
【文献】 実開平03−065461(JP,U)
【文献】 特表2008−530550(JP,A)
【文献】 特開昭55−101098(JP,A)
【文献】 特開昭60−088694(JP,A)
【文献】 米国特許第5381751(US,A)
【文献】 特開2014−085172(JP,A)
【文献】 特開平06−134429(JP,A)
【文献】 特開2016−017930(JP,A)
【文献】 特開2015−232245(JP,A)
【文献】 特開2014−153245(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 9/34
G21F 9/36
G21F 9/04
G21F 9/10
G21F 9/24
G21F 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性物質を含む水底の泥土を浚渫により採取し、この採取した泥土を処理場所まで搬送し、この処理場所において前記放射性物質を含む泥土から粗粒分を除去し、前記粗粒分を除去した前記泥土を凝集し、この凝集した泥土を容器に収納し、前記泥土を採取した水中に前記容器を保管した後、複数の前記容器を台船に搭載し、前記台船には、内部に海水を導入する海水導入口とこの海水導入口を開閉する開閉弁を設け、前記台船を海の処理場所まで移動した後、前記台船から離れた場所からコントロール手段を操作して前記開閉弁を開き、前記海水導入口から前記台船の内部に海水を導入することにより前記台船を海底に沈めることを特徴とする放射性物質の処理方法。
【請求項2】
前記容器がコンクリート層を有することを特徴とする請求項1記の放射性物質の処理方法。
【請求項3】
前記凝集した泥土を袋に詰め、この泥土を詰めた袋を前記容器に収納することを特徴とする請求項1又は2記載の放射性物質の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性物質の処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の処理方法として、放射性物質に汚染された汚染水に、凝集剤を添加して混合した後、脱水処理して得られた固形分を放射性物質の仮置き場に搬送する(例えば特許文献1)方法や、コンクリート製の遮蔽層を備えた保存容器内に、放射性物質を含む廃棄物を保存する方法(例えば特許文献2)などが提案されている。
【0003】
しかし、特許文献1の方法では、処理後の固形分を保管する保管場所を確保する必要があり、また、特許文献2の方法では、段積を可能として、限られた面積を有効に利用することができるが、同様に保存容器の保管場所を確保する必要がある。
【0004】
また、放射性物質が付着した汚染物質を土中に埋設する方法(例えば特許文献3及び4)も提案されているが、同様に掘削孔を掘る場所を確保する必要がある上に、掘削孔を掘り、汚染物質を入れた後、埋め戻す手間が掛かる。
【0005】
上記以外でも、原子力発電所、使用済燃料の再処理施設などから発生する放射性廃棄物をガラス固化処理したガラス固化体と海面に浮遊する係留浮遊物体とを接続し、そのガラス固化体を深海底に貯蔵する方法(例えば特許文献5)が提案されているが、ガラス固化体を深海底に降ろす方法について開示されておらず、船からガラス固化体を1個1個沈めるとしたら、作業が煩雑となり、手間が掛かるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−178223号公報
【特許文献2】特開2014−102092号公報
【特許文献3】特開2014−102239号公報
【特許文献4】特開2002−6089号公報
【特許文献5】特開平7−12998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は以上の問題点を解決し、放射性物質を効率よく処理することができる放射性物質の処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に記載の発明は、放射性物質を含む水底の泥土を浚渫により採取し、この採取した泥土を処理場所まで搬送し、この処理場所において前記放射性物質を含む泥土から粗粒分を除去し、前記粗粒分を除去した前記泥土を凝集し、この凝集した泥土を容器に収納し、前記泥土を採取した水中に前記容器を保管した後、複数の前記容器を台船に搭載し、前記台船には、内部に海水を導入する海水導入口とこの海水導入口を開閉する開閉弁を設け、前記台船を海の処理場所まで移動した後、前記台船から離れた場所からコントロール手段を操作して前記開閉弁を開き、前記海水導入口から前記台船の内部に海水を導入することにより前記台船を海底に沈めることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項に記載の発明は、前記容器がコンクリート層を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項に記載の発明は、前記凝集した泥土を袋に詰め、この泥土を詰めた袋を前記容器に収納することを特徴とする
【発明の効果】
【0011】
請求項1の構成によれば、複数の容器を台船と共に海に沈設することにより、処理物を収納した多数の容器を効率よく海底に沈設することができる。
【0012】
請求項の構成によれば、コントロール手段を操作して開閉弁を開くことにより内部に海水が導入され、台船が沈むことにより、作業を簡便に行うことができる。
【0013】
請求項の構成によれば、コンクリート層により水圧に対する強度を確保することができる。
【0014】
請求項の構成によれば、泥土を採取した水中に容器を保管することにより、他の中間保管場所を選定する必要がなく、放射性物質を含む泥土を凝集し、容器に収納して水中保管することにより、中間保管において、放射性物質を含む泥土が水中に拡散することがないと共に、水による放射線遮蔽効果が得られ、周囲に影響の少ない中間保管場所が得られる。このように中間保管場所で保管した箱体を、台船と共に海に沈めることにより最終処分を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施例1を示す断面図である。
図2】同上、一部を切り欠いた台船の斜視図である。
図3】同上、開閉操作部とコントロール手段の説明図である。
図4】同上、処理方法を説明する断面図であり、図4(A)は引船により台船を曳航する状態、図4(B)は台船を沈める状態を示す。
図5】同上、浚渫手段及び処理装置の斜視図である。
図6】同上、浚渫手段の断面説明図である。
図7】同上、処理装置の断面説明図である。
図8】同上、減圧サイクロンの断面図である。
図9】同上、脱水手段の断面図である。
図10】同上、袋と箱体の斜視図である。
図11】同上、水中保管状態を示す断面図である。
図12】同上、処理方法を説明するブロック図である。
図13】本発明の実施例2を示す断面図である。
図14】同上、海水導入手段を複数設けた場合の断面図である。
図15】本発明の実施例3を示す凝集泥土を袋に詰める工程を説明する斜視図である。
図16】本発明の参考を示す断面図である。
図17】同上、箱体の断面図である。
図18】本発明の参考を示す断面図である。
図19】同上、箱体の断面図である。
図20】本発明の実施例を示す箱体の断面図である。
図21】本発明の実施例を示す箱体の断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例1】
【0017】
図1図12は実施例1を示している。同図に示すように、本処理方法(保管システム)には、ため池、湖、河川や海などの水底Sに体積した放射性物質を含む泥土Dを採取して処理する。前記採取に用いる採取手段としては浚渫手段1が用いられる。
【0018】
前記浚渫手段1は、船体たる台船2上に設けられている。また、浚渫した泥土から夾雑物を除去した後、処理場所3に圧送する圧送手段4が台船2上に設けられている。前記圧送手段4には閉管路である管路5が接続され、この管路5には、水上部分に複数のフロート6を設け、これらフロート6により管路5が水面又は水面近くに配置され、一方、管路5の陸上部分は複数の支持台7により支持されている。尚、以下、採取場所8として、ため池を例に説明する。また、好適には採取場所と保管場所を同一とする。
【0019】
処理場所3は前記採取場所8の近辺に設けられ、泥土を粗粒分と細粒分に分級し、含水率を下げ、細粒分を凝集する処理装置11が設けられている。
【0020】
図6及び図8に示すように、管路5の終端に減圧手段たる減圧サイクロン12を設けている。この減圧サイクロン12は、前記管路5より大径な筒部12Aを縦設し、この筒部12Aの直径方向に対して管路5の中心線をずらして該管路5の管端を接続している。そして、減圧サイクロン12を通過した泥土Dは、土砂脱水篩9へと送られる。尚、筒部12Aの直径は管路5の直径の2倍以上、好ましくは3倍以上である。
【0021】
したがって、管路5の端末から横方向に吐き出された泥土Dは、筒部12Aの内面に沿って旋回流れとなって落下することにより、減圧された後、土砂脱水篩9へと供給される。このように旋回流とすることにより、管路5から直接供給する場合に比べて、流速が低下し、泥土が周囲に飛び散り難くなる。
【0022】
さらに、処理装置11は、分離手段たる前記土砂脱水篩9,洗浄手段たる土砂洗浄水槽10,複数の沈殿槽と、泥土に凝集剤を投入する薬品投入機と、泥土を沈降して上水と分離する貯泥槽と、凝集した泥土を脱水する脱水手段とを備える。この例では、前記処理装置11は、泥土Dの移送順に、土砂脱水篩9,土砂洗浄水槽10,貯泥槽13,沈殿槽14,薬品投入機15,撹拌反応槽23,第1〜第3の沈殿槽16,17,18、貯泥槽19,脱水手段20が配置されている。
【0023】
尚、本実施例では、浚渫した泥土の処理を説明するが、図12に示すように地上で保管している放射性物質を含む土質の処理物を、処理装置11の前記貯泥槽13に送り、以下のように処理をしてもよい。この場合、土質の処理物に大型の夾雑物や異物が含まれる場合は、夾雑物や異物を分離した後、貯泥槽13に送り、また、土質の処理物の含水率が低い場合は、前記貯泥槽13において又は前記貯泥槽13に送る前に、水を添加して処理を行うことができる。
【0024】
前記土砂脱水篩9は、回転篩等を備え、減圧サイクロン12から送られてきた泥土Dを、粒径の大きな礫や砂(粗粒分)と、細粒分と水とを含む泥土と、に分離し、土砂脱水篩9の排出口9Aから粒径の大きな礫や砂が脱水状態で土砂洗浄水槽10に送られる。一方、細粒分と水を含む泥土は、管路9Bにより貯泥槽13に送られる。
【0025】
土砂洗浄水槽10においては、前記粗粒分に水を供給して洗浄し、洗浄後、即ち、放射能濃度が基準値以下となった粗粒分を、土砂洗浄水槽10の外部に仮置きする。尚、土砂脱水篩9において、粗粒分から礫などを除去した後、土砂洗浄水槽10に送り、得られた洗浄砂を仮置きしてもよいし、土砂洗浄水槽10において洗浄処理を行った後、粗粒分の礫と砂とを分離して洗浄砂を得るようにしてもよい。そして、土砂洗浄水槽10において用いた洗浄水は、管路10Aにより貯泥槽13へと送られる。尚、貯泥槽13へと送られた洗浄水には細粒分が含まれる。これにより放射性物質を含む土砂全体量を大幅に減容化することができる。
【0026】
このように貯泥槽13には、土砂脱水篩9により篩分けられた細粒分と水に、管路10Aにより貯泥槽13へと送られた水を加えた泥土が搬送される。このようにして泥土が搬送された前記貯泥槽13においては、泥土を静置し、必要に応じて、凝集剤を添加した後、静置する。このように静置することにより、泥土に含まれる細粒分が貯泥槽13内の下部に沈降し、貯泥槽13内の上部の泥土(分離上水という)を、管路13Aにより次の沈殿槽14に送り、静置する。尚、この泥土には水分が含まれている。このように分離上水と下の細粒分に沈降分離するのは、セシウムなどの放射性物質が粗粒分に比べて細粒分に多く含まれるからである。また、凝集剤を添加して、細粒分にセシウムを固定する。貯泥槽13に沈殿した細粒分は、管路25により脱水手段20に送られる。尚、凝集剤には、ゼオライト系のものを用いることができる。また、細粒分は、泥土Dから粗粒分を分離した粒子の小さいシルト質・粘土質や所定粒径未満の砂(細砂)などである。
【0027】
貯泥槽13から沈殿槽14に送られた泥土は、静置され、下の細粒分と分離上水に沈殿分離される。ここでも、沈殿槽14に沈殿した細粒分は、管路25により脱水手段20に送られ、一方、沈殿槽14の分離上水を管路14Aにより次の薬品投入機15に送り、薬品投入機15により凝集剤を添加した後、この凝集剤を混合した分離上水を、管路15Aにより撹拌反応槽23に送り、撹拌して凝集させる。この後、撹拌反応槽23の凝集泥土を第1の沈殿槽16に移送して静置する。第1の沈殿槽16において、下の細粒分と分離上水に沈殿分離した後、下の細粒分が凝集した凝集泥土を、凝集泥土搬送管路21により、脱水手段20に送り、分離上水を管路16Aにより第2の沈殿槽17に移送して静置する。この第2の沈殿槽17において、静置により下の細粒分と分離上水に沈殿分離した後、下の凝集泥土を、前記凝集泥土搬送管路21により、脱水手段20に送り、分離上水を管路17Aにより第3の沈殿槽18に移送して静置する。同様に、第3の沈殿槽18において、静置により下の細粒分と分離上水に沈殿分離した後、下の凝集泥土を、前記凝集泥土搬送管路21により、脱水手段20に送り、分離上水を管路18Aにより貯泥槽19に移送して静置する。貯泥槽19において、静置により下の細粒分と分離上水に沈殿分離した後、下の凝集泥土を、前記凝集泥土搬送管路21により、脱水手段20に送り、分離上水を上澄み水返送管22により排水し、この例ではため池に排水している。
【0028】
このように第1〜第3の沈殿槽16,17,18等において、凝集泥土と分離上水とを沈降分離することにより、分離上水に含まれる凝集泥土が分離され、これにより放射性物質を含む泥土Dを当初の量に比べて大幅に減容化することができる。
【0029】
尚、沈殿槽14から貯泥槽19までの処理を1回行っても、凝集した細粒分(凝集泥土)の分離が不十分な場合、即ち、貯泥槽19の分離上水に所定量以上の泥土(細粒分)が残っていた場合は、貯泥槽19の泥土を含む分離上水を貯泥槽13又は沈殿槽14に泥土返送管路(図示せず)を用いて返送し、貯泥槽13又は沈殿槽14から貯泥槽19までの処理を更に1回又は複数回繰り返すことができる。
【0030】
また、処理の過程で、放射能濃度が所定以下の分離上水が得られたら、前記上澄み水返送管22を用いてため池に返送することができ、これにより泥土の含水率を下げることができる。尚、上澄み水返送管22は、分岐管22Aにより貯泥槽13,沈殿槽14,第3の沈殿槽18,貯泥槽19及び脱水手段20にそれぞれ接続されており、それぞれの分離上水の放射能濃度が所定以下となったら、採取場所8であるため池に返送することができる。
【0031】
このようにして分離上水を排水して含水率を高め、且つ凝集剤により凝集した泥土(放射性物質を含む凝集泥土)を、脱水手段20により脱水する前に、袋24に詰める。この袋24としては、ポリエチレン製やポリ塩化ビニル製の通水性を有し、且つ耐候性を有し、可撓性を有するものを用いる。例えば、袋24には、ポリエチレンやポリピロピレンなどの樹脂製の延伸テープ(ヤーン)を使用し、延伸テープを織機で織り上げることにより、通水性を有するもの(樹脂製クロス袋)などを用いることができる。
【0032】
このようにして分離上水を排水して含水率を下げ、且つ凝集剤により凝集した貯泥槽19の泥土(放射性物質を含む凝集泥土)を、袋24に詰める。この袋24としては、ポリエチレン製やポリ塩化ビニル製の通水性を有し、且つ耐候性を有するものを用いる。例えば、袋24には、ポリエチレンやポリピロピレンなどの樹脂製の延伸テープ(ヤーン)を使用し、延伸テープを織機で織り上げることにより、通水性を有するもの(樹脂製クロス袋)などを用いることができる。そして、この例では、前記放射性物質を含む凝集泥土が放射性物質を含む処理物である。
【0033】
図9は前記脱水手段20の概略説明図であり、上部が開口した容器本体26に複数の排水孔27を穿設し、その容器本体26に凝集泥土を詰めた袋24を入れ、袋24の上には圧縮板28を配置し、圧縮板28と容器本体26により袋24を圧縮することにより凝集泥土を脱水する。尚、脱水の際、水は袋24と排水孔27を通って図示しない脱水容器に集められる。また、上述したように脱水手段20により発生した水は、上澄み水返送管22によりため池に戻すことができる。
【0034】
尚、脱水手段20を用いない場合は、袋24を平地などに置き、複数段に積み重ねることにより、上の袋24からの荷重により下の袋24の水が袋24を通って排水され、脱水効果を得ることができる。この場合は、袋24を仮置きして脱水まで所定の時間が必要となるのに対して、脱水手段20を用いた場合は脱水に必要な時間が短縮される。
【0035】
この例では、凝集泥土を収納する容器として、箱体31を用いている。図10などに示すように、前記箱体31は、底壁部32と四つの側壁部33,33,33,33とを有し、その上部開口34を閉塞する蓋体35を備え、コンクリート製である。尚、箱体31は、壁部32,33及び蓋体35の厚さ方向全体をコンクリートとすることが好ましいが、厚さの一部にコンクリート層を設けたものでもよい。そして、蓋体35を閉めた状態で、全周囲がコンクリート層で囲まれる。尚、箱体31は円筒形などでもよい。また、箱体31の側壁部33,33の上部には、吊り具(図示せず)の連結部36が複数設けられ、この連結部36に索条などの吊り具を連結することにより、箱体31を吊り下げることができ、前記連結部36により吊り下げ手段を構成している。
【0036】
そして、脱水後の複数の袋24を箱体31に詰め、内部が略一杯になった状態で蓋体35を閉める。この場合、蓋体35と上部開口34とを密閉してもよいが、蓋体35を閉めるだけでもよく、蓋体35を閉めるだけの場合は、水中に没した場合、箱体31の内部に水が侵入するが、袋24から凝集泥土が漏れることはない。
【0037】
袋24を詰めた箱体31を、前記採取場所8のため池の水底Sに降ろし、水中に没した状態で保管する。この場合、水底Sの浚渫が完了した箇所に箱体31を置く。尚、1年を通して箱体31が水没する場所を選ぶ。
【0038】
次に、中間保管した処理物である箱体31に収納した放射性物質の処理方法について説明する。尚、箱体31を水中において中間保管することなく、以下の処理を行ってもよい。
【0039】
水中の箱体31の連結部36に吊り具(図示せず)を連結し、図示しない起重機により箱体31を吊り上げ、自走式の運搬車51の荷台52に載せる。この場合、箱体31は立方体又は直方体であるから、効率よく荷台52に搭載することができる。そして、箱体31を荷台52に固定し、運搬車51により台船53の係留場所まで搬送する。尚、河川で浚渫を行った場合は、河川の台船53を係留した場所まで搬送する。
【0040】
また、図12に示すように、箱体31に凝縮泥土を詰めた後、水中保管をせずに、運搬車51の荷台52に載せ、台船53に搭載するようにしてもよい。
【0041】
運搬車51により港まで複数の箱体31を運搬し、海の台船53の内部に複数の箱体31を搭載する。箱体31は複数段に重ね合わせて搭載し、必要に応じてロープなどの固定手段(図示せず)により箱体31を台船53に固定する。尚、後述するように台船53を沈める前に、蓋体35を上部開口34に固定しておく。この場合、蓋体35により上部開口34を密閉する必要はない。尚、海底の水圧に耐える厚さを箱体31が有する場合は、上部開口34を密閉してもよい。
【0042】
図1及び図2に示すように、前記台船53は、上板部54と、底板部55と、周囲の側板部56とにより囲まれたフロート構造に構成され、内部は補強桁57により補強され、コンクリートからなり、鉄筋が配筋されている。また、前記底板部55の中央には海水導入口61を設け、この海水導入口61に電動開閉弁である弁体62を設けている。この弁体62は電動式のものを用いることできる。そして、前記海水導入口61及び弁体62により海水導入手段60を構成している。さらに、この弁体62を開閉する開閉操作部63を設け、この開閉操作部63は台船53の外部に設けられ、この例では上板部54の上部に設けられている。尚、底板部55の上部には、台船53の幅方向リブ部55Wと長さ方向リブ部55Lとが複数形成され、それらリブ部55W,55Lの上に床版部58が敷設されている。また、前記上板部54には開口部59が設けられ、この開口部59を開閉する蓋体59Aが設けられている。
【0043】
前記開閉操作部63には、前記弁体62と電気的に接続され、送受信手段64と、制御手段65と、バッテリーなどの電源(図示せず)を備え、リモートにより操作される。コントロール手段66は、送受信手段67と、操作部68と、バッテリーなどの電源(図示せず)とを備える。そして、コントロール手段66の操作部68を操作し、弁体62の開度に係る信号を送受信手段67より開閉操作部63に送り、これを送受信手段64が受信し、前記信号により制御手段65が弁体62に開度に係る信号を出力し、弁体62が開成する。尚、前記開閉操作部63は、手動により前記弁体62を開閉操作するものでもよい。
【0044】
そして、台船53に箱体31を搬入する際は、開口部59を開き、起重機などにより箱体31を開口部59から台船53内に吊り下ろす。台船53内にはホークリフトなどの運搬手段が配備され、この運搬手段により箱体31を台船53の所定位置に運び、箱体31を台船53の幅方向と長さ方向に配置し、さらに、複数段(図2では2段)に積み重ねる。この後、蓋体59Aにより開口部59を閉める。
【0045】
このようにして複数の箱体31を内部に搭載した台船53を引船71により沈設場所まで曳航する。沈設場所としては日本海溝などが例示される。曳航した後、引船71から台船53を切り離し、前記コントロール手段66を操作して弁体62を開く。この場合、台船53から離れて引船71に載った作業員がコントロール手段66を操作する。
【0046】
すると、海水導入口61から台船53の内部に海水が導入され、台船53が海中に沈む。この場合、上板部54には排気口(図示せず)を設けておくことが好ましい。このようにして、複数の箱体31を台船53と共に一度に海底に沈め、長期間海底で保存することができる。また、この場合、凝集汚泥を詰めた袋24は箱体31内に収納されているから、海底に着くまでに箱体31から出ることがなく、台船53と共に海底に沈めることができる。なお、箱体31を密閉した状態で沈める場合は、コンクリートの厚さを水圧に耐える厚さに設定すればよい。このように沈めた状態で海底において長期保存することができるため、処理方法が確立した将来において、地上に回収して再生エネルギー資源として利用されることが期待できる。
【0047】
このように本実施例では、請求項1に対応して、放射性物質を含む水底Sの泥土を浚渫により採取し、この採取した泥土を処理場所3まで搬送し、この処理場所3において放射性物質を含む泥土から粗粒分を除去し、粗粒分を除去した泥土を凝集し、この凝集した泥土を容器たる箱体31に収納し、泥土を採取した水中に箱体31を保管した後、複数の箱体31を台船53に搭載し、台船53には、内部に海水を導入する海水導入口61とこの海水導入口61を開閉する開閉弁たる弁体62を設け、台船53を海の処理場所まで移動した後、台船53から離れた場所からコントロール手段66を操作して弁体62を開き、海水導入口61から台船53の内部に海水を導入することにより台船53を海底に沈めるから、複数の箱体31を台船53と共に海に沈設することにより、処理物を収納した多数の箱体31を効率よく海底に沈設することができる。
【0048】
また、このように本実施例では、請求項に対応して、弁体62を開くことにより内部に海水が導入され、台船53が沈むことにより、作業を簡便に行うことができる。
【0049】
また、このように本実施例では、請求項に対応して、容器たる箱体31がコンクリート層を有するから、コンクリート層により水圧に対する強度を確保することができる。
【0050】
また、このように本実施例では、請求項に対応して、泥土を採取した水中に箱体31を保管することにより、他の中間保管場所を選定する必要がなく、放射性物質を含む泥土Dを凝集し、箱体31に収納して水中保管することにより、中間保管において、放射性物質を含む泥土Dが水中に拡散することがないと共に、水による放射線遮蔽効果が得られ、周囲に影響の少ない中間保管場所が得られる。このように中間保管場所で保管した箱体31を、台船53と共に海に沈めることにより最終処分を行うことができる。
【0051】
また、このように本実施例では、請求項に対応して、前記コントロール手段66を操作して開閉弁たる弁体62を開くから、離れた場所から弁体62の開閉操作を行うことができる。
【0052】
さらに、実施例上の効果として、台船53の上に箱体31を積み重ねて固定したから、多数の箱体31を効率よく処理することができる。また、底板部55の中央には海水導入口61を設け、この海水導入口61に電動開閉弁である弁体62を設けから、弁体62を開くと、台船53の中央から海水を導入して台船53を水平状態で沈めることができる。特に、放射性物質を含む処理物たる凝集泥土を箱体31に収納し、複数の箱体31を台船53内に搭載することにより、沈めた状態で海底において長期保存することができる。
【0053】
また、本実施例の中間保管方法では、放射性物質を含む泥土を採取する採取工程と、採取した泥土を管路5により処理場所3に圧送する搬送工程と、採取した泥土を細粒分と粗粒分に分級する分級工程と、沈降により粗粒分を分離すると共に、泥土に凝集剤を添加して泥土の細粒分を凝集する凝集工程と、凝集した泥土を袋24に詰める袋詰め工程と、凝集泥土を脱水する脱水工程と、脱水した袋詰めの凝集泥土を、容器たる箱体31に入れ、この箱体31を採取場所8の水中に移送する移送工程と、水中で前記箱体31を保管する保管工程とを備える。これらに用いる装置は実施例に限定されず、各種の装置を用いることができる。
【0054】
このように浚渫により放射性物質を含んだ泥土Dを採取した場所に、凝集・脱水処理を行った泥土を箱体31に入れて戻すから、以下の利点がある。
【0055】
まず、他の保管場所を探す必要がない。また、雨や水の流入により水底の泥土が撹拌しても、放射性物質を含んだ泥土はすでに除去され、箱体31に収納しているから、放射性物質が撹拌されることがない。さらに、コンクリート層を有する箱体31に入れて水中に保管するから、コンクリートと水とにより放射性の拡散を防止することができる。また、水位が所定以下にならなければ、ため池の上水を農業用用水などとして使用することができる。したがって、最終処分場に送るまでの中間保存場所として最適なものとなる。
【0056】
以下、実施例上の効果として、放射性物質を含む泥土を採取し、この採取した泥土を管路5により処理場所3まで搬送し、この処理場所3において泥土を凝集し、この凝集した泥土を容器たる箱体31に収納し、この箱体31を水中保管するから、放射性物質を含む泥土を、外気に晒すことなく管路5を通して処理場所3まで搬送し、処理場所3で凝集し、箱体31に収納して水中保管することにより、放射性物質を含む泥土が水中に拡散することがないと共に、水による放射線遮蔽効果が得られ、周囲に影響の少ない保管場所が得られる。
【0057】
また、放射性物質を含む泥土から粗粒分を除去し、粗粒分を除去した泥土を凝縮するから、放射性物質を多く含む泥土の成分を凝集して処理することができる。
【0058】
また、容器たる箱体31がコンクリート層を有するから、コンクリート層と水とにより放射線遮蔽効果が得られ、周囲に影響の少ない保管場所が得られる。
【0059】
また、凝集した泥土を袋24に詰め、この泥土を詰めた袋24を容器たる箱体31に複数収納するから、泥土の扱いが容易となり、袋24のまま箱体31に収納することができ、箱体31への収納作業などが容易となる。
【0060】
さらに、射性物質を含む泥土を浚渫により採取する水中の泥土を浚渫により採取して処理することができる。
【0061】
さらに、水中の底部たる水底Sの泥土Dを浚渫により採取し、泥土Dを採取した水中に容器たる箱体31を保管するから、採取した場所に凝集した泥土を保管することにより、他の中間保管場所を選定する必要がなく、処理前であれば、水などが流れ込んで、水底の泥土が拡散して放射能の影響を受ける虞があったが、箱体31に入れて水中保管した後は、拡散することがないと共に、水により放射能を遮蔽した状態で保管することができる。
【0062】
また、通水性を有する袋24に汚泥を詰めたから、詰めた後に泥土の脱水処理を行うことができる。また、採取場所8と処理場所3が近接しているから、処理装置11で発生した上澄み水を採取場所8に返送するのに便利である。
【実施例2】
【0063】
図13及び図14は発明の実施例2を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。
【0064】
この例では、運搬車51により港まで複数の箱体31を運搬し、図13に示すように、海の台船53上に複数の箱体31を搭載する。箱体31は複数段に重ね合わせて搭載してもよく、ロープなどの固定手段37により箱体31を台船53に固定する。
【0065】
また、図14に示す台船53は、その平面形状が略長方形であり、底板部55の四隅側に海水導入口61と弁体62とを設け、複数の弁体62を1箇所の開閉操作部63により開く操作が可能なように構成している。この場合、開閉操作部63は実施例1と同様に電動式でもよいし、レバーなどの手動により弁体62を開閉するものでもよい。
【0066】
このように本実施例では、放射性物質を含む処理物たる凝集泥土を箱体31に収納し、複数の箱体31を台船53上に搭載し、台船53を海の処理場所まで移動した後、台船53を海底に沈めるから、上記実施例1と同様な作用・効果を奏する。
【0067】
また、図14のように、複数の弁体62を設けることにより、海水を均等に導入することができると共に、導入時間を短縮することができる。尚、実施例1において、図14のように複数の弁体62を設けてもよい。
【実施例3】
【0068】
図15は発明の実施例3を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。この例では、容器として袋41を用いている。この袋41は、ポリエチレン製やポリ塩化ビニル製などの樹脂製やゴム製であって、水を通さない止水性と、耐候性を有するものを用いる。なお、通常は水中保管は1年以上である。また、海などで使用する場合は、海水に晒される環境でも所定の耐久性を有するものを用いる。
【0069】
そして、前記凝集泥土を脱水した後、この凝集泥土を袋41の開口部42から内部に詰め、空気を抜いた状態で開口部42を封止手段42Aにより封止して密閉する。この密封した袋41を採取場所8であるため池の水底Sに沈め、年間を通して水中に没した状態で保管する。
【0070】
このように水底Sに所定期間保管した後、起重機などにより前記袋41を吊り上げ、地上に設置した前記箱体31内に前記袋41を収納し、複数の袋41を収納した後、蓋体35を閉める。この場合、荷台52に箱体31を固定しておき、水底Sから吊り上げた袋41を直接荷台52上の箱体31に詰めてもよい。
【0071】
この後、上記各実施例と同様に、箱体31を台船53に搭載し、複数の箱体31を台船53と共に海底に沈める。
【0072】
このように本実施例では、上記各実施例と同様な作用・効果を奏する。
【0073】
また、この例では、中間保管において、直接的に袋41を水底Sに置くから、箱体31が不要となり、コストを削減することができる。
[参考1]
図16図17は発明の参考を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。この例は、放射性物質を含む処理物の移送方法を示す。
【0074】
放射性物質で汚染された表土等を剥いで集めたい土質の処理物72は、広場やグランドなどの中間保管場所73に積み上げられ、ブルーシート(図示せず)等を被せて保管されている。
【0075】
前記中間保管場所73に前記箱体31を運搬し、図17に示すように、箱体31内に処理物72を直接入れ、箱体31の上部には水74を入れ、上部開口34を蓋体35により閉める。尚、処理物72に大型の夾雑物や異物が含まれる場合は、夾雑物や異物を分離した後、箱体31に入れる。また、蓋体35は水74が漏れない程度に上部開口34を密閉する。このようにすることにより箱体31内の上部は水74の層が形成され、また、処理物72は湿潤状態となる。
【0076】
尚、袋24、41に処理物72を詰めて箱体31内に収納してもよく、この場合も箱体31内の上部に水74の層を設ける。また、運搬車51に空の複数の箱体31を載せて中間保管場所73まで移動し、荷台52に載せた状態で、処理物72と水74とを入れるようにしてもよい。
【0077】
そして、複数の箱体31を前記運搬車51の荷台52に載せ、前記台船53まで運搬し、台船53と共に、海に沈め、海が最終処分場となる。また、海以外の最終処分場や他の移送場所に箱体31を運搬してもよい。
【0078】
このように参考例では、上記各実施例と同様な作用・効果を奏する。
【0079】
また、このように本参考例では、放射性物質を含む処理物72を箱体31に収納し、箱体31の上部に水74などの液体の層を形成し、前記箱体31を運搬手段である運搬車51に載せて移送する放射性物質を含む処理物の移送方法であるから、放射性物質を含む処理物72を安全に運搬することができる。即ち、箱体31に処理物72を入れ、処理物72の上に液体の層を設けたから、処理物72が外部に飛散することがなく、また、液体の層による放射線遮蔽効果が得られる。さらに、箱体31をそのまま台船53に搭載して処理することができる。
【0080】
また、このように本参考例では、箱体31がコンクリート層を有するから、コンクリート層による放射線遮蔽効果が得られる。
【0081】
また、参考例上の効果として、運搬車51に空の複数の箱体31を載せて中間保管場所73まで移動し、荷台52に載せた状態で、処理物72と水74とを入れるから、効率の良い積み込み作業を行うことができる。
[参考2]
図18図19は発明の参考を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。この例は、放射性物質を含む処理物の移送方法を示す。
【0082】
下水処理場や浄水場などにおいて放射性物質を含む汚泥75が発生した場合、この汚泥75を処理物として処理する。前記汚泥75は、1トン程度の容量を有する袋体76に詰められて仮置きされている。また、前記袋体76は合成樹脂などからなり、通水性を有し、バンド状の吊り部77を一体に有する。
【0083】
図18に示すように、起重機などにより吊り部77を用いて、汚泥75を詰めた袋体76を箱体31内に入れ、さらに、箱体31の上部には水74を入れ、上部開口34を蓋体35により閉める。この場合も箱体31内の上部に水74の層を設ける。また、運搬車51に空の複数の箱体31を載せて袋体76の置き場まで移動し、荷台52に載せた状態で、袋体76と水74とを入れるようにしてもよい。
【0084】
そして、参考と同様に、複数の箱体31を前記運搬車51の荷台52に載せ、前記台船53まで運搬し、台船53と共に、海に沈め、海が最終処分場となる。また、海以外の最終処分場や他の移送場所に箱体31を運搬してもよい。
【0085】
このように参考例では、上記各実施例と同様な作用・効果を奏する。
【0086】
また、参考例上の効果として、運搬車51に空の複数の箱体31を載せて置き場まで移動し、荷台52に載せた状態で、袋体76と水74とを入れるから、効率の良い積み込み作業を行うことができる。
【実施例4】
【0087】
図20は発明の実施例を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。この例は、放射性物質を含む処理物の移送方法を示す。
【0088】
同図に示すように、箱体31の底壁部32及び全ての側壁部33にスペーサ81を設ける。このスペーサ81は、底壁部32及び側壁部33と袋体76との間に、水74を充填する空間を形成するものであり、袋体76に当接する当接部82と、この当接部を底壁部32及び側壁部33の内面に取り付ける取付部83とを備える。尚、底壁部32に設けたスペーサ81は、載置した袋体76を支持する強度を有する。
【0089】
従って、汚泥75を詰めた袋体76を箱体31内に入れ、さらに、箱体31の上部には水74を入れ、上部開口34を蓋体35により閉めると、袋体76の上下,前後,左右の全周囲に水74の層ができ、袋体76の全周囲が水74とコンクリート層により覆われるから、運搬時などにおいて、水とコンクリートによる放射線遮蔽効果が得られる。
【実施例5】
【0090】
図21は発明の実施例を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。
【0091】
この例では、実施例の箱体31内に、放射性物質を含む処理物として、高レベル放射性廃棄物をガラス固化処理したガラス固化体85を複数収納する。尚、図21では平面においてガラス固化体85を縦横複数に並べると共に、上下複数段に重ね合わせている。
【0092】
放射能廃棄物の再処理施設から発生する高レベル廃棄物については、まず高レベル廃液タンクに貯蔵された廃棄物をガラス固化処理し、固化体として貯蔵した後に、最終的に放射性物質が将来の世代に影響がないレベルに放射能が減衰するまで高レベル廃棄物を地下深く埋設し、地層処分するという管理体系が考えられている。そして、原子力発電所から生じた使用済み核燃料を再処理して、そこからウラン、プルトニウム等を回収し利用するという資源の有効利用が図られている。しかしながら、ウランやプルトニウムなどを回収した使用済み核燃料は、高レベル廃棄物と呼ばれ、高いレベルの放射能を帯びているため、その高レベル廃棄物の管理については十分留意しなければならない。現在、放射能廃棄物の再処理施設から発生する高レベル廃棄物については、まず高レベル廃液タンクに貯蔵された廃棄物をガラス固化処理し、ガラス固化体85として貯蔵しており、そのガラス固化体85を運搬・処理できる。
【0093】
このように実施例では、上記各実施例と同様な作用・効果を奏する。具体的には、放射性物質を含む処理物であるガラス固化体85を安全に運搬することができると共に、海底に長期間保管することができる。
【0094】
なお、本発明は以上の実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、請求項1及び2では、箱体は各種材質のものを用いることができ、例えば木製や硬質合成樹脂製でもよい。また、実施例では、金属製の台船を例示したが、コンクリート製などでもよい。さらに、実施例では、引船により台船を曳航したが、台船に船外機などの簡易な推進手段を設け、処理場所に着いたら推進手段を取り外し、この後、台船を沈めるようにしてもよい。また、弁体は、海水導入口を塞ぐ蓋により構成してもよい。さらに、容器の材質は耐久性があれば、木製や硬質合成樹脂製などでもよい。また、水中保管における水には淡水(真水)及び海水(塩水)も含まれることは言うまでもない。さらに、泥土を沈降分離する際、凝集剤を添加した後、攪拌してから静置してもよい。また、凝集剤は各種のものを用いることができる。さらに、本発明において、放射性物質はセシウムに限らず各種の放射性物質を含んだ泥土の処理を行うことができる。また、泥土から細粒分を分級し、凝集剤を添加して凝集泥土を得るから、泥土に凝集剤を添加する時期は適宜選定可能である。さらに、箱体の内容積と略同一の袋を用い、1つの袋に凝集泥土を詰めた状態で箱体に収納してもよい。また、採取場所から処理場所までは泥土の搬送に管路を用いているが、処理装置において、泥土の移送に管路を用いることが好ましいが、管路以外を用いてもよい。さらに、処理方法及び移送方法に用いる箱体の形状や大きさは適宜選定可能であるが、運搬車に乗せて一般道を走行可能な大きさとすることが好ましい。また、台船の材質はコンクリート製に限らす、FRPなど各種材質のものを用いることできる。さらに、実施例のガラス固化体を、参考のように箱体に入れ、この箱体に水を入れたり、参考のように袋体に入れてからこの箱体に入れ、水を入れたりしてもよい。
【符号の説明】
【0095】
1 浚渫手段(採取手段)
3 処理場所
8 採取場所
31 箱体(容器)
41 袋(容器)
53 台船
60 海水導入手段
61 海水導入口
62 弁体(開閉弁)
66 コントロール手段
85 ガラス固化体(処理物)
S 水底
D 泥土
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21