(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1コネクタハウジングと、該第1コネクタハウジングが嵌合するフード部を有する第2コネクタハウジングと、前記第1コネクタハウジングの側面に回動可能に連結されて、前記第1コネクタハウジングと前記第2コネクタハウジングとを嵌合開始位置に突き合わせた状態で回動開始位置から回動終了位置まで回動操作することでコネクタハウジング相互の嵌合を完了させる嵌合操作レバーと、を備えるレバー式コネクタであって、
前記第1コネクタハウジングの前記側面に設けられ、前記嵌合操作レバーを前記回動開始位置に仮係止するレバー仮係止部と、
前記フード部の側壁内面に設けられ、前記レバー仮係止部による前記第1コネクタハウジングの仮係止を解除する仮係止解除手段と、
前記嵌合操作レバーのレバー本体に一体形成されて、前記回動開始位置から前記回動終了位置まで前記フード部と前記第1コネクタハウジングとの間の隙間を埋めて、前記第1コネクタハウジング及び前記嵌合操作レバーを前記フード部と平行な姿勢に保持する姿勢保持片と、
を備えたことを特徴とするレバー式コネクタ。
前記姿勢保持片は、前記レバー本体から延出して、前記嵌合操作レバーと前記第1コネクタハウジングとの間に画成されて外部の電線が割り込み可能な隙間を塞ぐ電線噛み込み防止片を兼ねていることを特徴とする請求項1に記載のレバー式コネクタ。
【背景技術】
【0002】
図12〜
図15は、下記特許文献1に開示されたレバー式コネクタを示したものである。
【0003】
このレバー式コネクタ100は、
図12に示すように、第1コネクタハウジング110と、この第1コネクタハウジング110の嵌合相手となる第2コネクタハウジング120と、第1コネクタハウジング110の側面111に回動可能に連結されて回動操作によって第1コネクタハウジング110と第2コネクタハウジング120とを嵌合させる嵌合操作レバー130と、を備えている。
【0004】
第1コネクタハウジング110は、
図12で上面及び下面となる両側面111に、嵌合操作レバー130を回動可能に支持する一対のレバー支持軸112a.112bと、嵌合操作レバー130を回動開始位置に仮係止するレバー仮係止部113と、第2コネクタハウジング120のハウジングガイド溝121に摺動可能に嵌合するガイド突起114と、を有している。
【0005】
レバー仮係止部113は、側面111の上に突出する係止突起で、後述する嵌合操作レバー130の係合片135と当接することで、嵌合操作レバー130を後述の回動開始位置に仮係止する。
【0006】
第2コネクタハウジング120は、先端側に、第1コネクタハウジング110が挿入される略角筒状のフード部122を備えている。フード部122は、第1コネクタハウジング110のガイド突起114に対応する位置に、ガイド突起114が摺動可能に嵌合する前記ハウジングガイド溝121が装備されている。
【0007】
嵌合操作レバー130は、長さ方向の中間部が第1コネクタハウジング110の側面111に回動可能に結合される一対のレバー本体131と、各レバー本体131の一端に装備されて第2コネクタハウジング120のレバー係合部に回動可能に係合するハウジング作用部132と、各レバー本体131の他端同士を連結した操作部133と、を備えている。
【0008】
各レバー本体131は、
図13に示すように、長手方向の中間部に装備された一対の支点用穴134a,134bに第1コネクタハウジング110の一対のレバー支持軸112a.112bを嵌合させることで、第1コネクタハウジング110の側面111に沿って回動可能に、第1コネクタハウジング110に連結される。
【0009】
レバー本体131に装備された一対の支点用穴134a,134bは、円弧状の長穴で、第1コネクタハウジング110上でのレバー本体131の回動範囲を規制する。具体的には、一対の支点用穴134a,134bは、レバー本体131が回動開始位置(
図13に示した位置)から回動終了位置まで回動可能にしている。
【0010】
各レバー本体131は、第1コネクタハウジング110の側面111に沿って、第1コネクタハウジング110の第2コネクタハウジング120への嵌合方向(
図12では、矢印X1方向)に延出した係合片135を有している。レバー本体131(嵌合操作レバー130)は、
図13に示すように、係合片135の先端面135aを、第1コネクタハウジング110のレバー仮係止部113の当接面113aに当接することで、回動開始位置に仮係止される。
【0011】
レバー仮係止部113に仮係止されているレバー本体131は、
図12に矢印Y1で示すように、係合片135の先端面135aを、側面111から離間する方向に撓ませることで、係合片135がレバー仮係止部113を乗り越え可能になり、仮係止が解除された状態になる。
【0012】
嵌合操作レバー130は、レバー仮係止部113による仮係止を解除すると、
図13に矢印R1で示すように、嵌合終了位置に向かって回動可能になる。
【0013】
なお、
図13において、符号140は、第1コネクタハウジング110に収容された端子金具に接続された電線を示している。
【0014】
ハウジング作用部132は、嵌合操作レバー130を回動開始位置に仮係止した第1コネクタハウジング110と第2コネクタハウジング120とを
図14に示すように嵌合開始位置に突き合わせた際に、第2コネクタハウジング120内(フード部122内)に装備されているレバー係止部(不図示)に回動可能に係合する。
【0015】
また、第1コネクタハウジング110と第2コネクタハウジング120とを適正に嵌合開始位置に突き合わせたときには、
図15に示すように、係合片135の側部から突出する解除力受け片136が、第2コネクタハウジング120の係合片挿通溝125内に装備された仮係止解除用傾斜面125aに乗り上げることで、係合片135の先端が側面111から離れる方向に撓む。この係合片135の先端の撓みによって、係合片135がレバー仮係止部113から離脱して、嵌合操作レバー130の仮係止状態が解除される。
【0016】
即ち、第1コネクタハウジング110と第2コネクタハウジング120とを適正に嵌合開始位置に突き合わせたときには、嵌合操作レバー130の仮係止が解除され、嵌合操作レバー130が、回動開始位置から回動終了位置まで回動可能になる。
【0017】
操作部133は、嵌合操作レバー130を回動操作する際に手指をかける部位である。
図14に示すようにコネクタハウジング相互を適正に嵌合開始位置に突き合わせた状態にして、操作部133を
図14の矢印R2方向に押下すると、嵌合操作レバー130が回動する。嵌合操作レバー130が回動するとき、操作部133がてこの力点、一対の支点用穴134a,134bがてこの作用点、ハウジング作用部132がてこの支点として機能して、第1コネクタハウジング110と第2コネクタハウジング120とを嵌合を深める方向に移動させる。
【0018】
嵌合操作レバー130が回動終了位置まで回動されると、コネクタハウジング相互の嵌合が完了する。
【0019】
嵌合操作レバー130の回動操作によってコネクタハウジング相互を嵌合させる場合、嵌合操作レバー130がてことして機能する。そのため、コネクタハウジング相互を直接嵌合方向に付勢することでコネクタハウジング相互を嵌合させる場合と比較して、小さな操作力でコネクタハウジング相互の嵌合を完了させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
ところが、特許文献1に記載のレバー式コネクタ100では、第1コネクタハウジング110と第2コネクタハウジング120とを嵌合開始位置に突き合わせた嵌合初期の状態では、コネクタハウジング相互間に小さなガタが残存している。そのため、
図16に示すように、第1コネクタハウジング110に収容される電線140により、第1コネクタハウジング110や嵌合操作レバー130にガタつき方向の負荷R3が作用すると、その負荷R3によって、第1コネクタハウジング110や嵌合操作レバー130が、第2コネクタハウジング120に対して角度θだけ傾いてしまう。
【0022】
そして、第1コネクタハウジング110や嵌合操作レバー130が、第2コネクタハウジング120に対して傾くと、コネクタハウジング相互を嵌合開始位置に突き合わせた際に、
図15に示した解除力受け片136が、第2コネクタハウジング120の係合片挿通溝125内の仮係止解除用傾斜面125aに乗り上げできず、嵌合操作レバー130の仮係止状態を解除できなくなるおそれがあった。
【0023】
また、嵌合操作レバー130の仮係止状態が解除されていない状態で、嵌合操作レバー130が無理に押下されると、嵌合操作レバー130の破損を招くおそれがあった。
【0024】
そのため、特許文献1のレバー式コネクタ100の場合は、コネクタハウジング相互を嵌合開始位置に突き合わせる作業の際には、第1コネクタハウジング110や嵌合操作レバー130に傾きが生じないように、作業を慎重に行わなければならず、作業性が悪いという問題もあった。
【0025】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消することに係り、嵌合操作レバーの仮係止状態を確実に解除することができ、また、仮係止状態の解除に面倒な作業が不要なレバー式コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明の前述した目的は、下記の構成により達成される。
(1) 第1コネクタハウジングと、該第1コネクタハウジングが嵌合するフード部を有する第2コネクタハウジングと、前記第1コネクタハウジングの側面に回動可能に連結されて、前記第1コネクタハウジングと前記第2コネクタハウジングとを嵌合開始位置に突き合わせた状態で回動開始位置から回動終了位置まで回動操作することでコネクタハウジング相互の嵌合を完了させる嵌合操作レバーと、を備えるレバー式コネクタであって、
前記第1コネクタハウジングの前記側面に設けられ、前記嵌合操作レバーを前記回動開始位置に仮係止するレバー仮係止部と、
前記フード部の側壁内面に設けられ、前記レバー仮係止部による前記第1コネクタハウジングの仮係止を解除する仮係止解除手段と、
前記嵌合操作レバーのレバー本体に一体形成されて、
前記回動開始位置から前記回動終了位置まで前記フード部と前記第1コネクタハウジングとの間の隙間を埋めて、前記第1コネクタハウジング及び前記嵌合操作レバーを前記フード部と平行な姿勢に保持する姿勢保持片と、
を備えたことを特徴とするレバー式コネクタ。
【0027】
(2) 前記姿勢保持片は、前記レバー本体から延出して、前記嵌合操作レバーと前記第1コネクタハウジングとの間に画成されて外部の電線が割り込み可能な隙間を塞ぐ電線噛み込み防止片を兼ねていることを特徴とする上記(1)に記載のレバー式コネクタ。
【0028】
上記(1)の構成によれば、嵌合操作レバーが回動開始位置に仮係止されている第1コネクタハウジングと第2コネクタハウジングとを嵌合開始位置につきあわせた際には、嵌合操作レバーのレバー本体に一体形成された姿勢保持片が、第2コネクタハウジングのフード部の側壁内面と第1コネクタハウジングの側面との間の隙間を埋めることで、第1コネクタハウジング及び嵌合操作レバーを、第2コネクタハウジングのフード部と平行な姿勢に保持する。
【0029】
従って、第1コネクタハウジングから導出した電線からの負荷が作用しても、第1コネクタハウジングのガタつきによって第1コネクタハウジングや嵌合操作レバーに傾きが生じることが無い。そのため、コネクタハウジング相互を嵌合開始位置に突き合わせた際には、フード部の側壁内面に装備されている仮係止解除手段が第1コネクタハウジング上のレバー仮係止部による嵌合操作レバーの仮係止を、確実に解除することができる。
【0030】
また、コネクタハウジング相互を嵌合開始位置に突き合わせる作業中、第1コネクタハウジングや嵌合操作レバーの傾きを修正するための特別な作業や配慮が不要で、コネクタハウジング相互を嵌合開始位置に突き合わせた後、速やかに、嵌合操作レバーの回動操作を開始することができる。従って、コネクタハウジング相互を速やかに嵌合させることができ、作業性を向上させることができる。
【0031】
上記(2)の構成によれば、姿勢保持片は、嵌合操作レバーと第1コネクタハウジング又は第2コネクタハウジングとの間に外部の電線が割り込むことを防止する電線噛み込み防止片を兼ねている。そのため、電線の噛み込み防止のために、姿勢保持片とは別に、専用の電線噛み込み防止片を装備する必要がなくなり、嵌合操作レバーの構造の複雑化を防止することができる。
【0032】
また、電線噛み込み防止片を備えたことで、コネクタハウジング相互の着脱を繰り返しても、嵌合操作レバーがコネクタハウジングとの間に電線を挟んで電線を傷つけるおそれが無い。
【発明の効果】
【0033】
本発明によるレバー式コネクタによれば、コネクタハウジング相互を嵌合開始位置に突き合わせた際に、第1コネクタハウジングに装備されている嵌合操作レバーの仮係止状態を確実に解除することができる。また、仮係止状態の解除に面倒な作業が不要で、コネクタハウジング相互を嵌合開始位置に突き合わせた後は、速やかに、嵌合操作レバーの回動操作に移行して、コネクタハウジング相互を速やかに嵌合させることができる。
【0034】
以上、本発明について簡潔に説明した。さらに、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明に係るレバー式コネクタの好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0037】
図1〜
図11は本発明に係るレバー式コネクタの一実施形態を示したもので、
図1は本発明に係るレバー式コネクタの一実施形態の分解斜視図、
図2は
図1に示した第1コネクタハウジングに嵌合操作レバーが組み付けられた状態の斜視図、
図3は
図1に示したレバー式コネクタにおいて、第1コネクタハウジングと第2コネクタハウジングとが嵌合開始位置に仮組立された状態の斜視図、
図4は
図1に示した第2コネクタハウジングのA部の拡大図、
図5は
図1に示した第2コネクタハウジングの左右反転した状態の斜視図、
図6は
図1に示した嵌合操作レバーのB部の拡大図、
図7は
図3のC矢視図、
図8は
図7のD−D矢視断面図、
図9は
図3のE部の拡大図、
図10は
図7のF部の拡大図、
図11は本発明の一実施形態のレバー式コネクタにおいて、第1コネクタハウジングと第2コネクタハウジングの嵌合が完了した状態の斜視図である。
【0038】
この一実施形態のレバー式コネクタ3は、
図1に示すように、第1コネクタハウジング4と、この第1コネクタハウジング4内に組み付けられて第1コネクタハウジング4における端子金具(雌端子金具)の保持性能を向上させる第1スペーサ4aと、第1コネクタハウジング4の嵌合相手となる第2コネクタハウジング5と、この第2コネクタハウジング5内に組み付けられて第2コネクタハウジング5における端子金具(雄端子金具)の保持性能を向上させる第2スペーサ5aと、コネクタハウジング相互の嵌合方向に移動可能に第2コネクタハウジング5内に組み付けられて第2コネクタハウジング5内の端子金具の保護と端子金具のアライメントを補正するアライニングプレート5bと、第1コネクタハウジング4の側面41bに回動可能に連結されてコネクタハウジング相互の嵌合に使用される嵌合操作レバー6と、第1コネクタハウジング4に装備されたレバー仮係止部413と、第2コネクタハウジング5に装備された仮係止解除手段52(
図4参照)と、嵌合操作レバー6のレバー本体61に一体形成された姿勢保持片65と、を備えている。
【0039】
第1コネクタハウジング4は、
図1及び
図2に示すように、複数の端子収容孔411を多段に配列した略直方体状のハウジング本体41と、このハウジング本体41の上下の平坦な側面41bに突設された一対のレバー支持軸412a,412bと、側面41bに装備されて嵌合操作レバー6を回動開始位置に仮係止するレバー仮係止部413と、第2コネクタハウジング5のハウジングガイド溝53(
図5参照)に摺動可能に嵌合するガイド突起414と、を有している。
【0040】
一対のレバー支持軸412a,412bは、
図2に示すように、嵌合操作レバー6のレバー本体61に形成された一対の支点用穴64a,64bに嵌合することで、レバー本体61(嵌合操作レバー6)を、回動可能に支持する。嵌合操作レバー6のレバー本体61は、第1コネクタハウジング4の側面41bの上に重なる板状である。
【0041】
レバー仮係止部413は、側面41bの上に突出する係止突起で、後述する嵌合操作レバー6の係合片62の先端面621(
図6参照)と当接することで、嵌合操作レバー6が後述の回動開始位置より先(回動終了位置側で、
図2の矢印R4側)に回動することを阻止し、
図2に示すように、嵌合操作レバー6を回動開始位置に仮係止する。
【0042】
ガイド突起414は、コネクタハウジング相互の嵌合方向(
図1の矢印X3方向)に沿って延在する突片で、第1コネクタハウジング4の上下の側面41bの幅方向(
図1の矢印Y3方向)の両端に装備されている。
【0043】
各ガイド突起414は、
図3に示すように、コネクタハウジング相互の嵌合方向(
図3では、矢印X4方向)に摺動可能に、第2コネクタハウジング5のハウジングガイド溝53に嵌合して、コネクタハウジング相互の嵌合時のガタつきを抑制する。
【0044】
第2コネクタハウジング5は、第1コネクタハウジング4が挿入される略角筒状のフード部51を備えている。そして、フード部51内には、
図4及び
図5に示すように、仮係止解除手段52と、ハウジングガイド溝53と、レバー係止部(図示ぜず)と、を備えている。
【0045】
なお、
図5に示すように、第2コネクタハウジング5内に組み込まれたアライニングプレート5bは、フード部51の内壁面に装備された抜け防止アーム511により、抜け止めされている。抜け防止アーム511による係止位置は、正規の取り付け位置よりも手前に位置した仮位置であり、アライニングプレート5bはその仮位置よりも奥に移動可能であり、第2コネクタハウジング5に第1コネクタハウジング4を嵌合させたとき、第1コネクタハウジング4の嵌合に従動して、奥に移動する。
【0046】
仮係止解除手段52は、第1コネクタハウジング4の側面41bと対向するフード部51の側壁内面に装備されている。この仮係止解除手段52は、
図4に示すように、コネクタハウジング相互の嵌合方向に対して傾斜した傾斜面521を有している。
【0047】
この傾斜面521は、嵌合操作レバー6が回動開始位置に仮係止されている第1コネクタハウジング4が、適正な姿勢で嵌合開始位置に位置合わせされたときに、係合片62の側端に突設された解除力受け片622(
図6参照)が乗り上げる斜面である。
【0048】
ここに、第1コネクタハウジング4の適正姿勢とは、第1コネクタハウジング4がフード部51の側壁内面と平行に向いた姿勢であり、第1コネクタハウジング4の中心軸方向が第2コネクタハウジング5の中心軸方向と平行になる姿勢である。
【0049】
仮係止解除手段52における傾斜面521は、係合片62の側端の解除力受け片622が乗り上げることで、係合片62の先端をハウジング本体41から離反する方向(
図2では、矢印Z4方向)に撓み変形させて、係合片62がレバー仮係止部413を乗り越え可能にする。即ち、本実施形態における仮係止解除手段52は、第1コネクタハウジング4がフード部51の側壁内面と平行な姿勢で嵌合開始位置に位置合わせされたときに、嵌合操作レバー6の解除力受け片622が傾斜面521に乗り上げることで、レバー仮係止部413による仮係止状態を解除し、嵌合操作レバー6の回動終了位置に回動可能にする。
【0050】
ハウジングガイド溝53は、第1コネクタハウジング4のガイド突起414が摺動可能に嵌合する溝で、第1コネクタハウジング4上のガイド突起414の装備位置に対応して、フード部51の内面に装備されている。各ハウジングガイド溝53は、コネクタハウジング相互の嵌合方向に延在して設けられていて、コネクタハウジング相互の嵌合時に、ハウジング相互のガタつきを抑制して、コネクタハウジング相互の嵌合動作を円滑化する。
【0051】
嵌合操作レバー6は、
図1及び
図2に示すように、第1コネクタハウジング4のハウジング本体41に回動可能に連結される一対のレバー本体61と、このレバー本体61に一体形成された係合片62及び姿勢保持片65と、各レバー本体61の一端に装備されたハウジング作用部66と、各レバー本体61の他端同士を連結した操作部67と、を備えている。
【0052】
一対のレバー本体61は、第1コネクタハウジング4の側面41bの上に重なる板状で、側面41bの一対のレバー支持軸412a,412bと係合する一対の支点用穴64a,64bを有している。
【0053】
一対の支点用穴64a,64bは、第1コネクタハウジング4の一対のレバー支持軸412a,412bが摺動可能に嵌合する円弧上の長穴で、レバー本体61を回動開始位置から回動終了位置まで回動可能に側面41bに連結している。
【0054】
係合片62は、
図6に示すように、レバー本体61からコネクタハウジング相互の嵌合方向(
図6では、矢印X5方向)に向かって延出した短冊状の板片である。この係合片62は、
図2に示したように、その先端面をハウジング本体41のレバー仮係止部413に当接することで、レバー本体61(即ち、嵌合操作レバー6)を回動開始位置に位置決めする。
【0055】
この係合片62の側端には、
図6に示すように、解除力受け片622が、係合片62の延出方向と直交するコネクタ幅方向(
図6では、矢印Y5方向)に突出して設けられている。
【0056】
この解除力受け片622は、レバー仮係止部413によって嵌合操作レバー6が回動開始位置に仮係止されている第1コネクタハウジング4が、第2コネクタハウジング5のフード部51の側壁内面と平行な姿勢で嵌合開始位置に位置合わせされたときに、
図4に示した仮係止解除手段52の傾斜面521に乗り上げることで、係合片62の先端に側面41bから離反する方向の撓みを付与して、レバー仮係止部413による仮係止状態を解除する。
【0057】
姿勢保持片65は、
図6に示すように、係合片62と並ぶように、レバー本体61からコネクタハウジング相互の嵌合方向に沿って延出した短冊状の板片である。
【0058】
この姿勢保持片65は、第1コネクタハウジング4を嵌合開始位置に位置合わせしたときに、
図8〜
図10に示すように、フード部51の側壁内面となる垂直リブ55の先端面551と、第1コネクタハウジング4の側面41bとの間の隙間S(
図8及び
図10参照)を埋めて、第1コネクタハウジング4及び前記嵌合操作レバー6をフード部51の側壁内面と平行な姿勢に保持する。
【0059】
言い換えると、姿勢保持片65は、第1コネクタハウジング4を嵌合開始位置に位置合わせしたときに、垂直リブ55の先端面551と、第1コネクタハウジング4の側面41bとの間の隙間Sに嵌入して、
図10に示すように、先端面551と側面41bとで挟持された状態になり、フード部51内で第1コネクタハウジング4及び嵌合操作レバー6が傾くことを防止する。
【0060】
また、本実施形態の場合、姿勢保持片65は、レバー本体61の他端寄りの位置において、コネクタハウジング相互の嵌合方向に沿って延出した構造である。姿勢保持片65は、嵌合操作レバー6と第1コネクタハウジング4及び第2コネクタハウジング5との間に画成されて外部の電線が割り込み可能な略V字型の隙間DS(
図2参照)を塞ぐ電線噛み込み防止片を兼ねている。
【0061】
ハウジング作用部66は、レバー本体61の一端に装備されていて、
図3に示したように、第1コネクタハウジング4と第2コネクタハウジング5とを嵌合開始位置に突き合わせたときに、第2コネクタハウジング5内の不図示のレバー係合部に回動可能に係合する。
【0062】
操作部67は、レバー本体61の他端に装備されている。この操作部67は、嵌合操作レバー6を回動操作する際に手指をかける部位である。
【0063】
以上に説明した嵌合操作レバー6は、第1コネクタハウジング4のレバー仮係止部413によって回動開始位置に仮係止されている状態で、第1コネクタハウジング4と第2コネクタハウジング5とを嵌合開始位置に突き合わせると、
図9に示したように、姿勢保持片65が垂直リブ55の先端面551と側面41bとの間の隙間Sを埋めて、第1コネクタハウジング4及び嵌合操作レバー6が、第2コネクタハウジング5の側壁内面(例えば、先端面551)に平行な姿勢で、第2コネクタハウジング5に組み付けられる。そのため、嵌合操作レバー6の解除力受け片622が、確実に第2コネクタハウジング5の仮係止解除手段52の傾斜面521に乗り上げる。そして、解除力受け片622が傾斜面521に乗り上げることで、係合片62の先端が第1コネクタハウジング4の側面41bから離反する方向に撓み変形して、レバー仮係止部413による仮係止状態が確実に解除される。
【0064】
従って、第1コネクタハウジング4と第2コネクタハウジング5を嵌合開始位置に突き合わせることで、確実に嵌合操作レバー6の仮係止状態が解除され、嵌合操作レバー6が回動開始位置から回動終了位置に回動可能になる。
【0065】
そして、嵌合操作レバー6を回動終了位置に回動させた場合は、嵌合操作レバー6の操作部67がてこの力点、一対の支点用穴64a,64bが第1コネクタハウジング4に力を作用させるてこの作用点、ハウジング作用部66が第2コネクタハウジング5に力を作用させるてこの支点として機能する。そのため、第1コネクタハウジング4と第2コネクタハウジング5とを直接嵌合方向に付勢して第1コネクタハウジング4と第2コネクタハウジング5とを嵌合させる場合と比較して、小さな操作力で第1コネクタハウジング4と第2コネクタハウジング5との嵌合を完了させることができる。
【0066】
本実施形態のレバー式コネクタ3は、第1コネクタハウジング4と第2コネクタハウジング5との嵌合が完了した状態では、
図11に示すように、嵌合操作レバー6の大半がフード部51内に納まって、外部に突出する部位の無いすっきりとした外観形状になる。
【0067】
以上に説明した一実施形態のレバー式コネクタ3の場合、嵌合操作レバー6が回動開始位置に仮係止されている第1コネクタハウジング4と第2コネクタハウジング5とを嵌合開始位置につきあわせた際には、嵌合操作レバー6のレバー本体61に一体形成された姿勢保持片65が、第2コネクタハウジング5のフード部51の側壁内面(垂直リブ55の先端面551)と第1コネクタハウジング4の側面41bとの間の隙間Sを埋めることで、第1コネクタハウジング4及び嵌合操作レバー6を、
図10に示したように、第2コネクタハウジング5のフード部51の側壁内面と平行な姿勢に保持する。
【0068】
従って、第1コネクタハウジング4から導出した不図示の電線からの負荷が作用しても、第1コネクタハウジング4のガタつきによって第1コネクタハウジング4や嵌合操作レバー6に傾きが生じることが無い。そのため、コネクタハウジング相互を嵌合開始位置に突き合わせた際には、フード部51の側壁内面に装備されている仮係止解除手段52が第1コネクタハウジング4上のレバー仮係止部413による嵌合操作レバー6の仮係止を、確実に解除することができる。
【0069】
また、コネクタハウジング相互を嵌合開始位置に突き合わせる作業中、第1コネクタハウジング4や嵌合操作レバー6の傾きを修正するための特別な作業や配慮が不要で、コネクタハウジング相互を嵌合開始位置に突き合わせた後、速やかに、嵌合操作レバー6の回動操作を開始することができる。従って、コネクタハウジング相互を速やかに嵌合させることができ、作業性を向上させることができる。
【0070】
また、一実施形態のレバー式コネクタ3の場合、姿勢保持片65は、嵌合操作レバー6と第1コネクタハウジング4又は第2コネクタハウジング5との間に外部の電線が割り込むことを防止する電線噛み込み防止片を兼ねている。従って、電線の噛み込み防止のために、姿勢保持片65とは別に、専用の電線噛み込み防止片を装備する必要がなくなり、嵌合操作レバー6の構造の複雑化を防止することができる。
【0071】
また、電線噛み込み防止片を備えたことで、コネクタハウジング相互の着脱を繰り返しても、嵌合操作レバー6がコネクタハウジングとの間に電線を挟んで電線を傷つけるおそれが無い。
【0072】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0073】
ここで、上述した本発明に係るレバー式コネクタの実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]〜[2]に簡潔に纏めて列記する。
【0074】
[1] 第1コネクタハウジング(4)と、該第1コネクタハウジング(4)が嵌合するフード部(51)を有する第2コネクタハウジング(5)と、前記第1コネクタハウジング(4)の側面(41b)に回動可能に連結されて、前記第1コネクタハウジング(4)と前記第2コネクタハウジング(5)とを嵌合開始位置に突き合わせた状態で回動開始位置から回動終了位置まで回動操作することでコネクタハウジング相互の嵌合を完了させる嵌合操作レバー(6)と、を備えるレバー式コネクタ(3)であって、
前記第1コネクタハウジング(4)の前記側面(41b)に設けられ、前記嵌合操作レバー(6)を前記回動開始位置に仮係止するレバー仮係止部(413)と、
前記フード部(51)の側壁内面に設けられ、前記レバー仮係止部(413)による前記第1コネクタハウジング(4)の仮係止を解除する仮係止解除手段(52)と、
前記嵌合操作レバー(6)のレバー本体(61)に一体形成されて、前記フード部(51)と前記第1コネクタハウジング(4)との間の隙間を埋めて、前記第1コネクタハウジング(4)及び前記嵌合操作レバー(6)を前記フード部(51)と平行な姿勢に保持する姿勢保持片(65)と、
を備えたことを特徴とするレバー式コネクタ(3)。
【0075】
[2] 前記姿勢保持片(65)は、前記レバー本体(61)から延出して、前記嵌合操作レバー(6)と前記第1コネクタハウジング(4)との間に画成されて外部の電線が割り込み可能な隙間を塞ぐ電線噛み込み防止片を兼ねていることを特徴とする上記[1]に記載のレバー式コネクタ(3)。