(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6159462
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】水素含有液体の生成装置及び方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/68 20060101AFI20170626BHJP
A23L 2/00 20060101ALI20170626BHJP
C01B 3/08 20060101ALN20170626BHJP
A61P 17/18 20060101ALN20170626BHJP
A61P 39/06 20060101ALN20170626BHJP
A61K 33/00 20060101ALN20170626BHJP
A61P 39/02 20060101ALN20170626BHJP
【FI】
C02F1/68 510B
C02F1/68 520B
C02F1/68 530G
A23L2/00 V
A23L2/00
!C01B3/08 B
!C01B3/08 Z
!A61P17/18
!A61P39/06
!A61K33/00
!A61P39/02
【請求項の数】17
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-235608(P2016-235608)
(22)【出願日】2016年12月5日
【審査請求日】2017年1月27日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】394021270
【氏名又は名称】MiZ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】とこしえ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】黒川 亮介
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 文武
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 文平
【審査官】
菊地 寛
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−163135(JP,A)
【文献】
国際公開第2006/098405(WO,A1)
【文献】
特開2016−112479(JP,A)
【文献】
特開2007−307559(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/68
A61K 33/00
A61J 1/00
B01J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水分と反応して水素ガスを発生する水素発生剤と、
前記水素発生剤を入れる第1容器と、
前記第1容器の内部で発生した水素ガスの添加対象たる液体を入れる第2容器と、を備え、
前記第1容器は、内部で発生した水素ガスを外部へ排出する第1逆止弁と、内部へ前記液体を導入する第2逆止弁とを有する水素含有液体の生成装置。
【請求項2】
前記第2容器は、少なくとも容積が減じる方向へ変形することができる請求項1に記載の水素含有液体の生成装置。
【請求項3】
前記水素発生剤は、通気性と、透水性又は透湿性とを有する袋体に封入され、この状態で前記第1容器に投入される請求項1又は2に記載の水素含有液体の生成装置。
【請求項4】
前記第1容器は、2つの開口を有する本体と、前記2つの開口を各々閉塞する前記第1逆止弁及び前記第2逆止弁とを備える請求項1〜3のいずれか一項に記載の水素含有液体の生成装置。
【請求項5】
前記第1容器は、2つの開口を有する本体と、一方の開口を閉塞する前記第1逆止弁と他方の開口を閉塞する前記小孔が形成されたキャップとを備えるか、又は
前記第1容器は、底部に前記小孔が形成された有底筒状の本体と、開口を閉塞する前記第1逆止弁とを備える請求項1〜3のいずれか一項に記載の水素含有液体の生成装置。
【請求項6】
水分と反応して水素ガスを発生する水素発生剤と、
前記水素発生剤を入れる第1容器と、
前記第1容器の内部で発生した水素ガスの添加対象たる液体を入れる第2容器と、を備え、
前記第1容器は、内部で発生した水素ガスを外部へ排出する第1逆止弁と、内部へ前記液体を導入する第2逆止弁又は小孔とを有し、
前記第2容器は、少なくとも容積が減じる方向へ変形することができる、水素含有液体の生成装置を用いて水素を含有する液体を生成する方法であって、
前記第2容器に、水素を含有させるべき液体を入れ、
前記水素発生剤を前記第1容器の内部に入れ、
前記第2容器に前記第1容器を入れて前記第2容器を密閉し、
前記第2容器を容積が減じる方向へ変形させる水素含有液体の生成方法。
【請求項7】
前記第2容器に前記第1容器を入れて前記第2容器を密閉してから、前記第2容器を容積が減じる方向へ変形させるまでの間に、前記第2容器を搬送又は保管し、
その後、前記水素含有液体を所定の目的に使用する前に、前記第2容器を容積が減じる方向へ変形させる請求項6に記載の水素含有液体の生成方法。
【請求項8】
前記水素含有液体を所定の目的に使用するときに、前記第2容器に前記第1容器を入れて前記第2容器を密閉し、前記第2容器を容積が減じる方向へ変形させる請求項6に記載の水素含有液体の生成方法。
【請求項9】
前記第2容器を変形させたのち、前記第2容器を密閉した状態で所定時間放置する請求項6〜8のいずれか一項に記載の水素含有液体の生成方法。
【請求項10】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の生成装置を用いて水素を含有する液体を生成する方法であって、
前記第2容器に、水素を含有させるべき液体を入れ、
前記水素発生剤を前記第1容器の内部に入れ、
前記第2容器に前記第1容器を入れて前記第2容器を密閉し、
前記第2容器を振盪する水素含有液体の生成方法。
【請求項11】
前記第2容器に前記第1容器を入れて前記第2容器を密閉してから、前記第2容器を振盪するまでの間に、前記第2容器を搬送又は保管し、
その後、前記水素含有液体を所定の目的に使用する前に、前記第2容器を振盪する請求項10に記載の水素含有液体の生成方法。
【請求項12】
前記水素含有液体を所定の目的に使用するときに、前記第2容器に前記第1容器を入れて前記第2容器を密閉し、前記第2容器を振盪する請求項10に記載の水素含有液体の生成方法。
【請求項13】
前記第2容器を振盪したのち、前記第2容器を密閉した状態で所定時間放置する請求項10〜12のいずれか一項に記載の水素含有液体の生成方法。
【請求項14】
前記第2容器を密閉した状態で所定時間放置したのち、前記第2容器を振盪する請求項13に記載の水素含有液体の生成方法。
【請求項15】
水分と反応して水素ガスを発生する水素発生剤を入れるための第1容器であって、内部で発生した水素ガスを外部へ排出する第1逆止弁と、内部へ液体を導入する第2逆止弁とを備え、
前記第1容器の内部で発生した水素ガスの添加対象たる液体を入れる、少なくとも容積が減じる方向へ変形することができる第2容器に投入されて、水素含有液体を生成するために用いられる水素含有液体の生成キット。
【請求項16】
水分と反応して水素ガスを発生する水素発生剤を入れるための第1容器であって、内部で発生した水素ガスを外部へ排出する第1逆止弁と、内部へ液体を導入する第2逆止弁とを備え、
前記第1容器の内部で発生した水素ガスの添加対象たる液体を入れる第2容器に投入されて、水素含有液体を生成するために用いられる水素含有液体の生成キット。
【請求項17】
請求項15又は16に記載の水素含有液体の生成キットが容器に収容された飲料製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素を含有する液体を生成するための装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本件出願人は、水と反応することにより水素ガスを発生するアルミニウムなどの水素発生系と、一方向弁を有し水素発生系を収容する水素気泡形成体と、を含む生体適用液への水素添加器具を先に提案した(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4652479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術は、アルミニウムなどの水素発生剤と水とを反応させる一例として、水素気泡形成体をPETボトルに入れる前に、水素発生剤に水滴を垂らし、一方向弁によりふたを閉めてから水素気泡形成体をPETボトルに投入する。しかしながら、この水素発生剤にスポイドなどを用いて水滴を垂らす作業が煩雑であるという問題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、簡単な操作で水素含有液体を生成できる水素含有液体の生成装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、水分と反応して水素ガスを発生する水素発生剤と、前記水素発生剤を入れる第1容器と、前記第1容器の内部で発生した水素ガスの添加対象たる液体を入れる第2容器と、を備え、前記第1容器は、内部で発生した水素ガスを外部へ排出する第1逆止弁と、内部へ前記液体を導入する
第2逆止弁とを有する水素含有液体の生成装置により、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の水素含有液体の生成装置の前記第2容器に、水素を含有させるべき液体を入れ、前記水素発生剤を前記第1容器の内部に入れ、前記第2容器に前記第1容器を入れて前記第2容器を密閉し、前記第2容器を振盪するか、又は前記第2容器を容積が減じる方向へ変形させる。これにより、
第2逆止弁から第2容器に入れた液体が第1容器の内部へ導入され、当該液体と水素発生剤とが反応することで水素ガスが発生する。この水素ガスは第1逆止弁から第2容器内へ排出され、その結果、液体に水素が含有される。このように第1の観点による本発明によれば、簡単な操作で水素含有液体を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係る水素含有液体の生成装置の一実施の形態を示す全体構成図である。
【
図2A】
図1の第1容器の一例を示す拡大断面図である。
【
図2B】
図1の第1容器の他例を示す拡大断面図である。
【
図3】本発明に係る水素含有液体の生成方法の一例を示す斜視図(その1)である。
【
図4】本発明に係る水素含有液体の生成方法の一例を示す斜視図(その2)である。
【
図5】本発明に係る水素含有液体の生成方法の一例を示す斜視図(その3)である。
【
図6】本発明に係る水素含有液体の生成方法の一例を示す斜視図(その4)である。
【
図7】本発明に係る水素含有液体の生成方法の他例を示す斜視図(その1)である。
【
図8】本発明に係る水素含有液体の生成方法の他例を示す斜視図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
《第1実施形態》
以下、本発明に係る水素含有液体の生成装置及び方法の一実施の形態を説明する。本実施形態の水素含有液体の生成装置1は、
図1に示すように、水分と反応して水素ガスを発生する水素発生剤11と、水素発生剤11を入れるための第1容器20と、第1容器20の内部で発生した水素ガスの添加対象たる液体Lを入れるための、少なくとも容積が減じる方向へ変形することができる第2容器30と、を備える。
【0010】
本実施形態における液体Lは、本実施形態の水素含有液体の生成装置1を用いて水素分子を溶存させるべき対象たる液体の全てを含む。液体Lは、水または水溶液などのほか、飲料水、茶、コーヒーなどの各種飲料を含む。また、注射・点滴・輸液などの用途に浸透圧調製された生理食塩水、栄養素や電解質補給のために調整された注射溶液、薬剤を溶解した注射溶液、輸血に用いられる輸血製剤(輸血用血液)・自己血液、経腸液、臓器の保存のために調合された臓器保存液などを含む。特に本実施形態における液体Lは、人間を含む動物や植物などの生体に適用することができる液体を含む。そして、この種の液体Lに水素を溶存させ、こうして得られる水素含有液体を、口又は鼻からの吸入又は噴霧、口からの飲用、皮膚又は静脈・動脈への注射、皮膚への塗布などにより各種生体に適用される。水素含有液体、特に過飽和を含む高濃度水素含有液体の作用成分は水素であり、その作用は主として酸化ストレスの抑制である。
【0011】
本実施形態における水素発生剤11は、水分と反応して水素ガスを発生する材料であり、具体的には、水素よりイオン化傾向が大きい金属材料と、必要に応じてこの金属材料と水分との反応を促進する反応促進剤とを含む。
図1に示すように、水素発生剤11を、水が透過する袋体12に入れたものを水素発生体10と称する。金属材料は、水分と反応することで水素を発生させる物質であり、水素よりイオン化傾向が大きい金属単体又は水素化金属を含む水素化化合物などが含まれる。水分との反応性の良さを考慮すると、金属カルシウム、水素化カルシウム、金属マグネシウム、水素化マグネシウムなどは好適に用いられる。反応生成物の安全性などを考慮し、金属マグネシウムは特に好適に用いられる。また、反応生成物の安全性や食品衛生法を考慮すれば、鉄、アルミ、ニッケル、コバルトは好適に用いられる。なかでも、金属アルミニウムは、美観、コスト、及び取り扱い上の安全性の観点からも好適に用いられる。
【0012】
水素発生剤11は、袋体12に入れないでそのまま第1容器20に入れてもよい。ただし、第1容器20の再利用を考慮して、水素発生剤11を袋体12に入れて使用してもよい。水素含有液体の生成が終了したら、第1容器20から袋体12を取り出し、新たな袋体12に交換すれば、次の水素含有液体の生成が即座にできるからである。こうした金属材料及び反応促進剤を収納する袋体12は、通気性と、透水性又は透湿性を有する材料からなり、不織布などの材料を例示することができる。袋体12は、水素ガスや水(水蒸気を含む)は透過するが、金属材料、反応促進剤、その反応残渣を透過させない。袋体12のポアサイズは、1000μm以下、好ましくは500μm以下、より好ましくは150μm以下、特に好ましくは50μm以下である。この袋体12のポアサイズとの関係でいえば、金属材料、反応促進剤の平均粒径は、袋体12の外部へ透過することなく、かつ、微粒子化による活性の増大も期せるような粒径であることが望ましい。たとえば、金属材料の平均粒径は、3000μm以下、好ましくは1000μm以下、さらに好ましくは500μm以下、特に好ましくは250μm以下である。
【0013】
本実施形態の水素発生剤11は、金属材料のほか、必要に応じて、金属イオン封鎖剤やpH調整剤など水素発生反応を促進する反応促進剤を含んでもよい。
【0014】
本実施形態で用いることができる金属イオン封鎖剤としては、水に全くあるいはほとんど溶解せず、第1容器20または袋体12の内部において金属イオンを吸着する性質を有する物質を生成する物質を含む。陽イオン交換樹脂など、不溶性または難溶性の金属イオン封鎖剤は好適に用いられる。なかでも、金属イオンの吸着とともに、水素イオン(H
+)を放出する、スルホン酸基を交換基とする酸性陽イオン交換樹脂またはカルボン酸基を交換基とする酸性陽イオン交換樹脂を含む、水素イオン型陽イオン交換樹脂は、pH調整剤としての機能も兼ねるため、さらに好ましい。
【0015】
本実施形態で用いることができるpH調整剤としては、クエン酸、アジピン酸、リンゴ酸、酢酸、コハク酸、グルコン酸、乳酸、リン酸、塩酸、硫酸など水素イオン(H
+)を供給することで水酸化物イオン(OH
−)を抑制(中和または生成防止)する性質を有する物質、及び加水分解を受け不溶性の水酸化物を形成することで水酸化物イオンを除去する物質を含む。アルミニウムイオンを含む鉱石など、加水分解を受け不溶性の水酸化物を形成するpH調整剤は好適に用いられる。なかでも、硫酸アンモニウムアルミニウムなどのミョウバンは、加水分解を受け不溶性の水酸化アルミニウムを生成する一方、マグネシウムイオンやカルシウムイオンに対する金属イオン封鎖剤(凝集剤)としての機能も兼ねるため、さらに好ましい。上述のように、水素イオン型陽イオン交換樹脂やミョウバンは、一剤で金属イオン封鎖剤としての機能とpH調整剤としての機能を兼ねるので、より好ましい物質である。
【0016】
さらに、金属材料の水素発生反応を促進する水素発生反応促進剤として、酸またはアルカリ剤などを用いることができる。酸としては、これに限るものではないが、反応後に固形の沈殿物を生じる酸、またはイオン交換樹脂などの固形酸などが好適に用いられる。また、アルミニウムや亜鉛などの両性金属を水素発生剤として用いる場合は、酸の他、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、陰イオン交換樹脂などアルカリ剤を用いることもできる。なかでも、水酸化カルシウム(消石灰)、生石灰(酸化カルシウム)、焼成カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、陰イオン交換樹脂など食品添加物であるアルカリ剤は好適に用いられる。アルミニウムなどの食品添加物である水素よりイオン化傾向の大きい金属と反応して沈殿物を生じる水素発生反応促進剤は、該金属の金属イオンの水素発生反応後の再溶出を抑制するため、生体に適用される液体Lの特性を実質的に変えない。
【0017】
なお、金属材料の経時劣化を抑制するために、金属イオン封鎖剤やpH調整剤など水素発生系に含まれる物質の水和数や含水率は少ない方が好ましい。すなわち、水和数でいうと、3水和物以下、好ましくは2水和物以下、より好ましくは1水和物以下、特に好ましくは無水和物や無水物であることが望ましい。含水率でいうと、含水率40重量%以下、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下、特に好ましくは15重量%以下であることが望ましい。
【0018】
本実施形態における金属材料は、水分と接触することにより第1容器20内において水素ガスを発生させる。この水分は、上述の液体L自体を水分として用いる。また、水分であるから水蒸気などの気体であってもよい。含有成分、硬度、液性の如何にかかわらず、水分を含んでいる液体又は気体であれば本実施形態の水分として用いることができる。
【0019】
金属材料を含む水素発生剤11と反応させる水分の量の目安としては、水素発生体10を収容する第1容器20に水分が残存しない程度の少量であることが望ましい。たとえば、第1容器20内に残存する水分量が10cc以下、好ましくは5cc以下、さらに好ましくは3cc以下、特に好ましくは1cc以下である。こうした余分な水分が袋体12から第1容器20内に流出するのを防止するために、吸水ビーズ、イオン交換樹脂(乾式イオン交換樹脂は吸水性が高くさらに好ましい)、吸水紙、ヒアルロン酸、ポリアクリル酸など吸水性のある物質や材料が、第1容器20内や袋体12などに含まれていることが望ましい。
【0020】
本実施形態の第1容器20は、
図1及び
図2Aに示すように、本体23と、内部で発生した水素ガスを外部へ排出する第1逆止弁21と、内部へ液体Lを導入する第2逆止弁22とを有する。本体23は、水素発生剤11と水分との反応熱に耐え得る程度の耐熱性を有する樹脂材料から成形された、両端が開口した筒状部材であり、適度の剛性を有する。本体23は、内部に水素発生体10を入れ、一方の開口に第1逆止弁21が装着され、他方の開口に第2逆止弁22が装着される。
【0021】
図1及び
図2Aに二点鎖線で示すように、本体23の外表面に、円周方向に沿って所定の間隔をもって設けられた複数の突起片28を一体的に形成してもよい。この突起片28は、水素発生剤11と水分との反応熱(金属材料の種類にもよるが200℃程度の高温になるものもある)が本体23から第2容器30に伝わって、当該第2容器30を変形させたりすることを防止するための構成である。つまり、突起片28を設けることで、第1容器20と第2容器30との接触距離を長くすること及び/又は接触面積を小さくすることで、第2容器30へ伝わる熱を抑制することができる。なお、
図1及び
図2Aに示す実施形態では、本体23の外表面に突起片28を設けてもよいことを示したが、第1逆止弁21を固定するための第1バルブキャップ24の外表面及び/又は第2逆止弁22を固定するための第2バルブキャップ26に突起片を設けてもよい。
【0022】
本実施形態の第1バルブキャップ24は、第1逆止弁21を保持するとともに、本体23の一方の開口を着脱可能に閉塞する機能を司る。また第2バルブキャップ26は、第2逆止弁22を保持するとともに、本体23の他方の開口を着脱可能に閉塞する機能を司る。第1バルブキャップ24及び第2バルブキャップ26は、本体23と同様に、水素発生剤11と水分との反応熱に耐え得る程度の耐熱性を有する樹脂材料から成形されている。なお、本体23に水素発生体10を入れる必要があるため、第1バルブキャップ24又は第2バルブキャップ26の少なくとも一方が本体23に対して着脱可能に構成されていればよい。
【0023】
本実施形態の第1逆止弁21及び第2逆止弁22は、ダックビルバルブからなり、弾性を有する樹脂材料から成形され、鳥のくちばし状に形成され、先端の稜線部分にスリット25,27がそれぞれ設けられている。そして、第1逆止弁21は、内部で発生した水素ガスを外部へ排出するように本体23に装着され、第2逆止弁22は内部へ液体Lを導入するように本体23に装着される。詳細は後述するが、これにより、液体Lを収容した第2容器30に第1容器20を投入した状態では、第2逆止弁(ダックビルバルブ)22の自己弾性によりスリット27が閉じた状態を維持するが、第2容器30の本体31を適度に握って凹ます(萎ませる)と、自己弾性に抗して第2逆止弁(ダックビルバルブ)22のスリット27を押し広げて液体Lが第1容器20の内部に導入される。液体Lが第1容器20の内部に導入されると、水素発生剤11との反応が開始されるが、第1容器20内の内圧が高くなるまでは、第1逆止弁(ダックビルバルブ)21の自己弾性によりスリット25が閉じた状態となり、第1容器20の内圧が高くなると、自己弾性に抗して第1逆止弁(ダックビルバルブ)21のスリット25を押し広げて水素ガスが第2容器30内へ排出される。
【0024】
本発明の第1逆止弁21及び第2逆止弁22は、ダックビルバルブのほか、ボール弁とスプリングを用いたボール弁型逆止弁、バタフライ弁を用いたバタフライ型逆止弁、傘状の弁を用いた傘型逆止弁、ダイヤフラムを用いたダイヤフラム型逆止弁、などを用いてもよい。さらに、第1逆止弁21については、第1容器20の内部で発生した水素ガスは第1容器20の外部へ排出されるが、第1容器20の外部の液体Lは第1容器20の内部へ導入されない水素ガス透過膜を設けてもよい。こうした水素ガス透過膜も本発明の第1逆止弁21に含まれるものとする。さらに、水素発生剤11が第2容器30に入れた液体Lに混入しても問題のない場合、第2逆止弁22に代えてφ1mm程度の小孔で構成してもよい。これについては後述する。
【0025】
本実施形態の第2容器30は、上述した液体Lを入れる容器であって、少なくとも容積が減じる方向へ変形することができる容器である。第2容器30は、内容物を大気に触れさせないよう本体31をキャップ32で密閉する容器を用いることが好ましい。少なくとも容積が減じる方向へ変形可能な容器として、ペットボトルなどの樹脂製容器が好ましいが、アルミ製容器であっても変形可能であれば第2容器30として用いることに何ら問題はない。第2容器30は、人が手に持って振盪しやすいように、ポータブルな形態と容量を備えていることが望ましい。2L以下、好ましくは1L以下、特に好ましくは0.5L以下の容量の第2容器30が望ましいが、これに限るものではない。第2容器30の材質として好ましいのは、水素透過性が低い容器である。水素透過性が低いほど発生した水素を第2容器30の外部へ逃すことが少ないからである。
【0026】
第2容器30の水素透過性は次のように測定する。すなわち、特願2009−221567に記載される方法などを参考に、安定的にほぼ飽和濃度(20℃・1気圧で1.6ppm)を保つ水素溶存水を測定対象となる密閉容器内容積の20倍の体積で生成するとともに、浄水(藤沢市水道水を活性炭カラムに通して処理した活性炭処理水など)を満水充填した該密閉容器を該水素溶存水に5時間浸漬する。その後、該浄水の溶存水素濃度を測定し、溶存水素濃度が1000ppb以下、好ましくは500ppb以下、より好ましくは100ppb以下、特に好ましくは10ppb以下である第2容器30が、本実施形態の水素透過性が低い第2容器30に含まれる。
【0027】
本実施形態の第2容器30は、密閉性に加えて、水素発生による内圧の上昇に耐えうる耐圧性能を有することが望ましい。絶対圧力で0.11MPa、好ましくは0.4MPa、さらに好ましくは0.5MPa、特に好ましくは0.8MPaの内圧に耐えうる耐圧容器である。炭酸飲料用ペットボトルなどは好適に用いられる。本実施形態の第2容器30は、安全に開栓できるようキャップ32を開ける途中で圧力を逃がす機構(ベントスロット)を口部に備えていることが望ましい。
【0028】
本実施形態において得られる水素含有液体の溶存水素濃度は特に限定されない。水素の常温常圧における溶解度は1.6ppmであるが、上述した水素含有液体の酸化ストレスの抑制効能を考慮すると、少なくとも1ppm程度の溶存水素濃度であることが望ましく、さらに好ましくは7ppm以上、特に8.0ppm以上、9.0ppm以上、10.0ppm以上の過飽和水素含有液体であることが最も好ましい。
【0029】
次に、
図1〜
図6を参照しながら、本実施形態の水素含有液体の生成装置1の使用方法、すなわち水素含有液体の生成方法を説明する。
まず、
図1に示すように、袋体12内にアルミニウムやマグネシウムなどの金属材料と必要に応じて反応促進剤を含む水素発生剤11を入れた水素発生体10を用意し、第1容器20の本体23の中に水素発生体10を入れ、第1バルブキャップ24及び第2バルブキャップ26で蓋をする。なお、第2容器30には液体Lを上部開口まで満たしておく。すなわち、第2容器30のヘッドスペースSにはなるべく空気が入らないように液体Lを満たしておく。
【0030】
次いで、
図3に示すように、第1容器20を第2容器30に入れキャップ32で蓋をする。本実施形態の第1容器20は、本体23の内部に空気が入っているため液体Lより比重が小さい。そのため第2容器30の液面に浮くが、液体Lより比重の大きい第1容器20を用い、第2容器30内の液体Lに沈めてもよい。第2容器30に第1容器20を入れる場合、第2逆止弁22が液体Lに沈むように当該第2逆止弁22を下にして入れることが望ましい。この状態では、第2逆止弁(ダックビルバルブ)22の自己弾性によりスリット27が閉じた状態を維持する。勿論、第1逆止弁21もスリット25が閉じた状態を維持するので、第1容器20の内部において水素発生剤11と水分との反応は殆ど生じない。そのため、飲料を第2容器30を入れ、さらに第1容器20を入れてキャップ32で蓋をした飲料製品を製造し、この状態で第2容器30を製造工場から販売店まで搬送したり、保管したりしてもよい。
【0031】
水素含有液体を生成するに際しては、
図4に示すように、第2容器30の本体31を手で握って凹ます。すなわち、第2容器30の容積が減じる方向へ本体31を変形させる。これにより、第2逆止弁(ダックビルバルブ)22は、自己弾性に抗してスリット27が押し広げられ、第2容器30の液体Lが第1容器20の内部に導入される。なお、
図4に示すように、第2容器30の本体31を手で握って凹ますことに代えて、又はこれに加えて、第2容器30の液体Lが第2逆止弁22の自己弾性に抗して第1容器20の内部に導入される程度で、第2容器30を振盪してもよい。液体Lが第1容器20の内部に導入されると、水素発生剤11との反応が開始される。第1容器20内の内圧が高くなるまでは、第1逆止弁(ダックビルバルブ)21の自己弾性によりスリット25が閉じた状態を維持するが、しばらく時間が経つと、第1容器20の内圧が高くなり、第1逆止弁(ダックビルバルブ)21は、自己弾性に抗してスリット25が押し広げられ、水素ガスが第2容器30内へ排出される。ただし、開いたスリット25から第1容器20内に液体Lが入り込むことはない。
【0032】
第1容器20の内部から第1逆止弁(ダックビルバルブ)21を介して水素ガスが第2容器30の内部へ排出されると、
図5に示すように、第2容器30のヘッドスペースS(第2容器30の上部開口の近傍の空間)に水素ガスが溜まることになる。このとき、第1容器20は、水素発生剤11と水分との反応熱によって比較的高温となっているが、第2容器30との接触は突起片28にて行われていることから、接触点まで高温の熱が伝わらない。これにより、第2容器30の変形などを防止することができる。
【0033】
第1容器20内で、水素発生剤11と水分との反応により発生した水素ガスは、第1逆止弁(ダックビルバルブ)21を介して液体Lを入れた第2容器30内に放出され、ヘッドスペースSに高圧・高濃度の水素ガス相を形成する。なお、本実施形態の第1容器20を液体Lに沈めて設置した場合であっても、発生した水素分子のほとんどは液体Lに溶解することなく、まずは第2容器30のヘッドスペースSの空気相へ移行する。水素発生剤11を袋体12に入れた水素発生体10を第1容器20に入れると、水素ガスは、第1容器20の内部に適量結集したのち初めて、水素ガス気泡として第1逆止弁(ダックビルバルブ)21から排出される。言い換えれば、液体Lの中に排出されるとき、水素分子は、既にある程度の大きさを有する水素ガス気泡として放出されることから、第1容器20が水素ガスに対する一種のストッパーとして作用するため、液体Lに溶解することなく、まずは第2容器30のヘッドスペースSの空気相へ移行するものと推察される。
【0034】
このことは目視でも観察される。たとえば、本実施形態の第1容器20を、液体Lを入れた第2容器30内に入れ、第2容器30を横に倒してそのまましばらく放置しておくと、第1容器20内で発生した水素ガスが間歇的に第1逆止弁(ダックビルバルブ)21から水素気泡となって放出しながら、水素ガス相の体積を次第に増大させていく。すなわち、放出される水素ガスの気泡サイズが大きいため、水中を素早く上昇し、密閉された第2容器30のヘッドスペースSの気相へと移行する。
【0035】
従来、水素分子に限らず、いわゆるバブリングを利用した気体溶解技術においては、ガスの気泡サイズを可能な限り小さくすること、すなわち、気泡が気相へ浮上する上昇速度を遅らせることが、高濃度のガス溶液を製造するためには重要であると考えられてきた。水素、酸素またはオゾンを含む産業用ガスのマイクロバブル化やナノバブル化は、本願出願時においても、依然として当業界の主要な技術課題の一つとして認識されている。これに対して、本願発明者等は、家庭、職場、街中、店頭などを含むさまざまな場所で、消費者が使用時に高濃度水素含有液体を生成しようとする機会においては、飲料水、茶、コーヒーなどの飲料を含む液体に水素分子を直接溶解させるよりも、まずは、密閉された第2容器30内に水素ガス相を形成するとともに第2容器30の内圧を高め、その後に密閉された第2容器30を適宜振盪することで気相の水素ガスを回収する方がはるかに望ましいことを知見した。したがって、水素含有液体の溶存水素濃度を高めるためには、
図6に示すように、本実施形態の第1容器20を密閉された第2容器30内に入れるとともに、密閉された第2容器30を適宜振盪することが望ましい。
【0036】
本実施形態における振盪は、密閉された第2容器30に物理的衝撃を与えることにより密閉された第2容器30内の液体Lと気相(ヘッドスペースS)にある水素ガスとを接触させつつ、液体L中の溶存酸素など溶存ガスを水素ガスに置換する。本実施形態の振盪は、手を用いた自然的振盪のほか機械を用いた人工的振盪も含まれる。振盪器、攪拌機、超音波発生装置などによる振盪はこうした人工的振盪に含まれる。また、密閉された第2容器30の気相へ、水素ガスが一層蓄積されることを目的に、第1容器20を密閉された第2容器30内に入れてから、1分経過した後、好ましくは2分経過した後、より好ましくは4分経過した後、さらに好ましくは8分経過した後、特に好ましくは10分経過した後に振盪を開始することが望ましい。また、振盪時間は、高圧・高濃度水素ガスの生体適用液への溶解を促進させるため、自然的振盪で5秒以上、好ましくは10秒以上、より好ましくは15秒以上、さらに好ましくは30秒以上であることが望ましい。また、振盪のし易さを考慮し、生体適用液を充填した後も、密閉された第2容器30には容器容量の15%以下、好ましくは10%以下、特に好ましくは5%以下の容量でヘッドスペースSが設けられることが望ましい。以上の使用方法により水素含有液体が得られることになる。
【0037】
《第2実施形態》
図2Bは、
図1の第1容器20の他の実施形態を示す拡大断面図、
図7及び
図8は、本発明に係る水素含有液体の生成方法の他例を示す斜視図である。本実施形態の第1容器20は、
図2Bに示すように、本体23と、内部で発生した水素ガスを外部へ排出する第1逆止弁21と、内部へ液体Lを導入する小孔29とを有する。本体23は、水素発生剤11と水分との反応熱に耐え得る程度の耐熱性を有する樹脂材料から成形された、両端が開口した筒状部材であり、適度の剛性を有する。本体23は、内部に水素発生体10を入れ、一方の開口に第1バルブキャップ24とともに第1逆止弁21が装着され、他方の開口に小孔29が形成された第2バブルキャップ26が装着される。なお、本体23を有底筒状に形成し、底部に小孔29を形成するとともに、開口に第1バルブキャップ24とともに第1逆止弁21を装着してもよい。
【0038】
第2バルブキャップ26に形成する小孔29の孔径は、特に限定はされないが、液体Lを入れた第2容器30に第1容器20を入れて静置した際に、小孔29の通気抵抗により液体Lが第1容器20の内部に導入されない程度の孔径とすることが望ましい。一方において、液体Lを入れた第2容器30に第1容器20を入れて振盪又は凹ました際には、小孔29の通気抵抗に抗して液体Lが第1容器20の内部に挿入される程度の孔径とすることが望ましい。小径29の孔径としては、深さとの関係もあるが、概ねφ2mm以下、好ましくはφ0.5mm〜1.5mmである。
【0039】
本実施形態の第2容器30は、第1実施形態の第2容器30とは異なり、少なくとも容積が減じる方向へ変形することができる容器である必要はない。勿論、ペットボトルやアルミニウム製ボトルのような変形可能な容器であってもよいが、スチール製ボトルやガラス製ボトルのような剛体であってもよい。
【0040】
水分と反応して水素ガスを発生する水素発生剤11、上述した第1容器20及び第2容器30のその他の構成については、第1実施形態と同じであるため、その構成をここに援用する。
【0041】
次に、
図2B、
図7及び
図8を参照しながら、本実施形態の水素含有液体の生成装置1の使用方法、すなわち水素含有液体の生成方法を説明する。
まず、
図1に示す第1実施形態と同様に、袋体12内にアルミニウムやマグネシウムなどの金属材料と必要に応じて反応促進剤を含む水素発生剤11を入れた水素発生体10を用意し、第1容器20の本体23の中に水素発生体10を入れ、第1バルブキャップ24及び第2バルブキャップ26で蓋をする。なお、
図7に示すように第2容器30には液体Lを入れておくが、この後に第2容器30を振盪した際に液体Lが第2容器30の内部で動くことができる程度に、すなわち第2容器30のヘッドスペースSが比較的大きく形成されるように液体Lを満たす。なお、第2容器30を振盪することに代えて、第1実施形態の
図4に示すように凹ます場合には、第2容器30のヘッドスペースSが比較的小さくなるように液体Lを満たす。
【0042】
次いで、
図7に示すように、第1容器20を第2容器30に入れキャップ32で蓋をする。本実施形態の第1容器20は、本体23の内部に空気が入っているため液体Lより比重が小さい。そのため第2容器30の液面に浮くが、液体Lより比重の大きい第1容器20を用い、第2容器30内の液体Lに沈めてもよい。第2容器30に第1容器20を入れる場合、小孔29が液体Lに沈むように当該小孔29を下にして入れてもよいが、小孔29を上にして入れ、当該小孔29が空気で満たされたヘッドスペースSに臨むことがより望ましい。この状態では、小孔29の通気抵抗により液体Lが第1容器20の内部へ導入されない。勿論、第1逆止弁21もスリット25が閉じた状態を維持するので、第1容器20の内部において水素発生剤11と水分との反応は殆ど生じない。そのため、飲料を第2容器30に入れ、さらに第1容器20を入れてキャップ32で蓋をした飲料製品を製造し、この状態で第2容器30を製造工場から販売店まで搬送したり、保管したりしてもよい。
【0043】
水素含有液体を生成するに際しては、
図8に示すように、第2容器30の本体31を手で握って上下或いは左右に振盪する。これにより、小孔29に液体Lの局部的な圧力が作用するので、その通気抵抗に抗して第2容器30の液体Lが第1容器20の内部に導入される。なお、第2容器30を振盪することに代えて、第1実施形態の
図4に示すように凹ますことで、第2容器30の液体Lを第1容器20の内部に導入してもよい。液体Lが第1容器20の内部に導入されると、水素発生剤11との反応が開始される。第1容器20内の内圧が高くなるまでは、第1逆止弁(ダックビルバルブ)21の自己弾性によりスリット25が閉じた状態を維持するが、しばらく時間が経つと、第1容器20の内圧が高くなり、第1逆止弁(ダックビルバルブ)21は、自己弾性に抗してスリット25が押し広げられ、水素ガスが第2容器30内へ排出される。ただし、開いたスリット25から第1容器20内に液体Lが入り込むことはない。
【0044】
第1容器20の内部から第1逆止弁(ダックビルバルブ)21を介して水素ガスが第2容器30の内部へ排出されると、
図7に示す第2容器30のヘッドスペースS(第2容器30の上部開口の近傍の空間)に水素ガスが溜まることになる。すなわち、第1容器20内で、水素発生剤11と水分との反応により発生した水素ガスは、第1逆止弁(ダックビルバルブ)21を介して液体Lを入れた第2容器30内に放出され、ヘッドスペースSに高圧・高濃度の水素ガス相を形成する。この状態でしばらく静置する。なお、水素含有液体の溶存水素濃度を高めるために、第1実施形態(
図6参照)と同様に、静置後、本実施形態の第1容器20を密閉された第2容器30内に入れた状態で、密閉された第2容器30を適宜振盪することが望ましい。
【0045】
なお、上述した第2実施形態において、小孔29に代えて、第1容器20に上記第1実施形態の第2逆止弁22を設け、水素含有液体を生成するに際しては、
図8に示すように、第2容器30の本体31を手で握って上下或いは左右に振盪してもよい。これにより、第2逆止弁22に液体Lの局部的な圧力が作用するので、その通気抵抗に抗して第2容器30の液体Lが第1容器20の内部に導入される。
【符号の説明】
【0046】
1…水素含有液体の生成装置
10…水素発生体
11…水素発生剤
12…袋体
20…第1容器
21…第1逆止弁
22…第2逆止弁
23…本体
24…第1バルブキャップ
25,27…スリット
26…第2バルブキャップ
28…突起片
29…小孔
30…第2容器
31…本体
32…キャップ
L…水素ガスを含有させる液体
【要約】
【課題】簡単な操作で水素含有液体を生成できる水素含有液体の生成装置及び方法を提供する。
【解決手段】水分と反応して水素ガスを発生する水素発生剤11と、前記水素発生剤を入れる第1容器20と、前記第1容器の内部で発生した水素ガスの添加対象たる液体Lを入れる、少なくとも容積が減じる方向へ変形することができる第2容器30と、を備え、前記第1容器は、内部で発生した水素ガスを外部へ排出する第1逆止弁21と、内部へ前記液体を導入する第2逆止弁22又は小孔29とを有する。
【選択図】
図1