(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記パッシベーション層が被覆する領域全体にわたり前記パッシベーション層のほぼ平坦な頂面を設けるために、前記パッシベーション層をレベリングするステップを更に含むことを特徴とする、請求項1に記載の発光デバイスを組み込むための方法。
前記パッシベーション層をレベリングする前記ステップが、前記パッシベーション層全体にローラ、スキージ又はブレードを通過させることを含むことを特徴とする、請求項4に記載の発光デバイスを組み込むための方法。
前記パッシベーション層が被覆する領域全体にわたり前記パッシベーション層のほぼ平坦な頂面を設けるために、前記パッシベーション層をレベリングするステップを更に含むことを特徴とする、請求項7に記載の発光デバイスを組み込むための方法。
前記パッシベーション層をレベリングする前記ステップが、前記パッシベーション層全体にローラ、スキージ又はブレードを通過させることを含むことを特徴とする、請求項10に記載の発光デバイスを組み込むための方法。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】本発明の一実施形態に係る、アクティブマトリクス型ディスプレイパネルの上面図である。
【
図1B】本発明の一実施形態に係る、線X−X及び線Y−Yに沿って切った
図1Aのアクティブマトリクス型ディスプレイパネルの側面図である。
【
図1C】本発明の一実施形態に係る、線X−X及び線Y−Yに沿って切った
図1Aのアクティブマトリクス型ディスプレイパネルの側面図である。
【
図1D】本発明の一実施形態に係る、線X−X及び線Y−Yに沿って切った
図1Aのアクティブマトリクス型ディスプレイパネルの側面図である。
【
図2A】本発明の一実施形態に係る、複数の反射バンク構造に複数のマイクロLEDデバイスを転写する方法を示す。
【
図2B】本発明の一実施形態に係る、複数の反射バンク構造に複数のマイクロLEDデバイスを転写する方法を示す。
【
図2C】本発明の一実施形態に係る、複数の反射バンク構造に複数のマイクロLEDデバイスを転写する方法を示す。
【
図2D】本発明の一実施形態に係る、複数の反射バンク構造に複数のマイクロLEDデバイスを転写する方法を示す。
【
図2E】本発明の一実施形態に係る、複数の反射バンク構造に複数のマイクロLEDデバイスを転写する方法を示す。
【
図2F】本発明の一実施形態に係る、複数の反射バンク構造に複数のマイクロLEDデバイスを転写する方法を示す。
【
図3A】本発明の一実施形態に係る、異なる色発光スペクトルを持つマイクロLEDデバイスのアレイを転写するシーケンスの上面図である。
【
図3B】本発明の一実施形態に係る、異なる色発光スペクトルを持つマイクロLEDデバイスのアレイを転写するシーケンスの上面図である。
【
図3C】本発明の一実施形態に係る、異なる色発光スペクトルを持つマイクロLEDデバイスのアレイを転写するシーケンスの上面図である。
【
図3D】本発明の一実施形態に係る、異なる色発光スペクトルを持つマイクロLEDデバイスのアレイを転写するシーケンスの上面図である。
【
図3E】本発明の一実施形態に係る、異なる色発光スペクトルを持つマイクロLEDデバイスのアレイを転写するシーケンスの上面図である。
【
図3F】本発明の一実施形態に係る、異なる色発光スペクトルを持つマイクロLEDデバイスのアレイを転写するシーケンスの上面図である。
【
図4A】本発明の一実施形態に係る、反射バンク構造内のマイクロLEDデバイスの冗長ペアの斜視図である。
【
図4B】本発明の一実施形態に係る、マイクロLEDデバイスの冗長ペア及び反射バンク構造内の修復サイト(repair site)の斜視図である。
【
図5A】本発明の一実施形態に係る、反射バンク構造に一対のマイクロLEDデバイスを転写後の、線X−X及び線Y−Yに沿って切った
図3Fのアクティブマトリクス型ディスプレイパネルの側面図である。
【
図5B】本発明の一実施形態に係る、バンク層上にパッシベーション層を塗布後の、線X−X及び線Y−Yに沿って切った
図1Aのアクティブマトリクス型ディスプレイパネルの側面図である。
【
図5C】本発明の一実施形態に係る、一対のマイクロLEDデバイスを転写し、バンク層上にパッシベーション層を塗布後の、線X−X及び線Y−Yに沿って切った
図3Fのアクティブマトリクス型ディスプレイパネルの側面図である。
【
図6A】本発明の一実施形態に係る、マイクロLEDデバイスの一部及びバンク層上の導電ラインがパッシベーション層の頂面上方に突出するようにパッシベーション層を塗布及びレベリングする概略図である。
【
図6B】本発明の一実施形態に係る、マイクロLEDデバイスの一部及びバンク層上の導電ラインがパッシベーション層の頂面上方に突出するようにパッシベーション層を塗布及びレベリングする概略図である。
【
図6C】本発明の一実施形態に係る、マイクロLEDデバイス及びバンク層上の導電ライン上方にパッシベーション層を塗布及びレベリングする概略図である。
【
図7A】本発明の一実施形態に係る、マイクロLEDデバイス及びバンク層上の導電ラインからパッシベーション層残部をエッチングする側面図である。
【
図7B】本発明の一実施形態に係る、マイクロLEDデバイス及びバンク層上の導電ラインからパッシベーション層残部をエッチングする側面図である。
【
図8A】本発明の一実施形態に係る、マイクロLEDデバイスの一部及びバンク層上の導電ラインがパッシベーション層の頂面上方に突出するようにパッシベーション層をエッチングする側面図である。
【
図8B】本発明の一実施形態に係る、マイクロLEDデバイスの一部及びバンク層上の導電ラインがパッシベーション層の頂面上方に突出するようにパッシベーション層をエッチングする側面図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る、上部電極層の形成後の、線X−X及び線Y−Yに沿って切った
図3Fのアクティブマトリクス型ディスプレイパネルの側面図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る、被覆層の形成後の、線X−X及び線Y−Yに沿って切った
図3Fのアクティブマトリクス型ディスプレイパネルの側面図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る、ダム構造のない、線X−X及び線Y−Yに沿って切った
図3Fのアクティブマトリクス型ディスプレイパネルの側面図である。
【
図12A】本発明の一実施形態に係る、サブ画素間におけるブラックマトリクス材料の形成後の、線X−X及び線Y−Yに沿って切った
図3Fのアクティブマトリクス型ディスプレイパネルの上面図である。
【
図12B】本発明の一実施形態に係る、ディスプレイパネル基板上にカバープレートを形成する前の、ブラックマトリクス材料の塗布の概略側面図である。
【
図12C】本発明の一実施形態に係る、ディスプレイパネル基板上にカバープレートがある状態での、ブラックマトリクス材料の塗布の概略側面図である。
【
図13A】本発明の一実施形態に係る、種々の構成を含む、マイクロLEDデバイスのアレイ上に形成された上部電極層の概略上面図である。
【
図13B】本発明の一実施形態に係る、種々の構成を含む、マイクロLEDデバイスのアレイ上に形成された複数の別個の上部電極層の概略上面図である。
【
図13C】本発明の一実施形態に係る、種々の構成を含む、マイクロLEDデバイスのアレイ上に形成された複数の別個の上部電極層の概略上面図である。
【
図14】本発明の一実施形態に係る、スクライブされた上部電極層の概略上面図である。
【
図15】本発明の一実施形態に係るディスプレイシステムの概略図である。
【
図16】本発明の一実施形態に係る照明システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態は、発光デバイスの対応する複数の反射バンク構造に複数のマイクロLEDデバイスを組み込む構造及び方法を記載する。いくつかの実施形態では、マイクロLEDデバイスは垂直型マイクロLEDデバイス(vertical micro LED device)である。複数の反射バンク構造がバンク層内に形成され、対応する複数のマイクロLEDデバイスが複数の反射バンク構造内に取り付けられる。マイクロLEDデバイスのそれぞれの一部及びバンク層上の導電ラインがパッシベーション層の頂面上方に突出するように、パッシベーション層は、対応する複数の反射バンク構造内の複数のマイクロLEDデバイスの側方周囲にある。導電ラインはダム構造の一部として反射バンク構造の上方に上昇させてもよい。パッシベーション層は、マイクロLEDデバイスに接続された下部電極又は反射バンク構造を、マイクロLEDデバイスに接続された1つ以上の上部電極層から電気的に絶縁してもよい。パッシベーション層は、付加的に、1つ以上の量子井戸層を含む垂直型マイクロLEDデバイスの側壁を上部電極層又は下部電極層から電気的に絶縁してもよい。パッシベーション層は、反射バンク構造内にマイクロLEDデバイスを取り付け後、反射バンク構造上及びマイクロLEDデバイスの側方周囲に形成してもよく、あるいは、パッシベーション層は、反射バンク構造内にマイクロLEDデバイスを取り付けるためにパッシベーション層を通してマイクロLEDデバイスをパンチスルーする前に、反射バンク構造上に形成してもよい。マイクロLEDデバイスの転写及びパッシベーション層の塗布後、パッシベーション層は、マイクロLEDデバイス及び1つ以上の導電ラインがパッシベーション層によって被覆されないようにするためにエッチングされ得る。いくつかの実施形態では、マイクロLEDデバイス及び1つ以上の導電ラインは、エッチング前及び後に、パッシベーション層の頂面上方に突出する。このような実施形態においては、任意のパッシベーション層残部がマイクロLEDデバイスの頂面及び1つ以上の導電ラインから除去されるようにするためにエッチングを用いてもよい。他の実施形態では、エッチング後にマイクロLEDデバイス及び1つ以上の導電ラインがパッシベーション層の頂面上方に突出するように、エッチングにより厚さを低減する。その後、パッシベーション層の頂面上方に突出したマイクロLEDデバイスの部分をパッシベーション層の頂面上方に突出した1つ以上の導電ラインに電気的に接続するために1つ以上の上部電極層が形成され得る。
【0010】
一態様においては、集積構造及び方法は、反射バンク構造及び形成されたパッシベーション層の上方に導電ラインが上昇した1つ以上のパッシベーション層ダム構造を含む。ダム構造はバンク層を形成するために用いた絶縁材料などの種々の材料で形成してもよく、あるいは、ダム構造は導電ライン自体とされ得る。この手法で、パッシベーション層は反射バンク構造及び導電ライン上に塗布され、マイクロLEDデバイス及び導電ラインがパッシベーション層の頂面上方に突出するようにレベリングされ得る。
【0011】
別の態様においては、1つ以上のダム構造は、また、パッシベーション層の頂面の基準高さを設定するためのレベリング基準(leveling reference)として機能してもよい。この手法で、ローラ、スキージ又はブレードなどのレベラをパッシベーション層材料の塗布器に追従させることができる。パッシベーション層の頂面の高さは、マイクロLEDデバイスの一部及び導電ラインがパッシベーション層の頂面上方に突出するように、検出したダム構造の高さに基づき調整することができる。
【0012】
これら手法で、本発明の実施形態に係る集積構造及び方法はより少数の堆積及びパターニング技法によるマイクロLEDデバイスのパッシベーション及び電気接続を可能にしてもよい。
【0013】
本明細書で使用される用語「マイクロ」デバイス又は「マイクロ」LED構造体は、本発明の実施形態に係る特定のデバイス又は構造体の記述的なサイズを意味し得る。本明細書内で使用されるとき、「マイクロ」デバイス又は構造体という用語は、1〜100μmの尺度を指すことが意図されている。例えば、各マイクロLEDデバイスは1〜100μmの最大幅を有してもよく、マイクロLEDデバイスが小型化するほど消費する電力が小さくなる。いくつかの実施形態では、マイクロLEDデバイスは20μm、10μm又は5μmの最大幅を有してもよい。いくつかの実施形態では、マイクロLEDデバイスは20μm、10μm又は5μm未満の最大高さを有する。本発明の実施形態に係るマイクロLEDデバイスの組み込みは、照明及びディスプレイ両方の用途のため、ウェハベースのLEDデバイスの性能、効率及び信頼性に、薄膜エレクトロニクスの高歩留まり、低コスト、混合材料を組み合わせるために用いることができる。本発明のいくつかの実施形態で用いてもよい例示的なマイクロLEDデバイスは米国特許第8,426,227号、米国特許出願公開第2013/0126081号、米国特許出願第13/458,932号、米国特許出願第13/711,554号及び米国特許出願第13/749,647号に記載されている。本発明の実施形態に係る発光デバイスは発光が高効率であってもよく、かつ消費する電力が非常に小さく(例えば、10インチ対角LCD又はOLEDディスプレイの5〜10ワットに比べて10インチ対角ディスプレイで250mW)、マイクロLEDデバイスを組み込んだ例示的なディスプレイ又は照明用途の消費電力の低減を可能にする。
【0014】
本明細書で使用される用語「広がる」、「の上方に」、「への」、「間の」、及び「上に」は、他の層に対するある層の相対位置を意味する場合がある。ある層が別の層に「広がる」、「の上方に」若しくは「上に」あること、又は別の層「へと」若しくは「接触して」接合することは、別の層と直接接触する、又は1つ以上の介在層を有することが想定される。層と層「との間」の1つの層は、両方の層と直接接触している場合もあれば、1つ以上の介在層を有する場合もある。
【0015】
種々の実施形態では、図面を参照して説明する。しかし、特定の実施形態は、これらの具体的な詳細のうちの1つ以上を伴わずに、又はその他の既知の方法及び構成との組み合わせで実施することができる。以下の説明において、本発明の完全な理解を提供するために、具体的な構成、寸法、及び工程などの数多くの具体的な詳細が明らかにされる。他の例では、本発明を不必要にあいまいにしないために、半導体の周知の工程及び製造技術について特に詳細な説明を行っていない。本明細書を通じた「一実施形態」への言及は、本実施形態と関連して述べる特定の機能、構造体、構成、又は特徴が、本発明に関する少なくとも一実施形態の中に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通じて各所にある「一実施形態において」との記述は、必ずしも本発明の同一の実施形態を指すものではない。更に、特定の機構、構造体、構成、又は特性は、1つ以上の実施形態の中で任意の好適な方法で組み合わせることができる。
【0016】
ここで
図1A〜
図1Dを参照すると、本発明の実施形態に係るアクティブマトリクス型ディスプレイパネル100の概略上面図及び概略側面図が提供される。このような実施形態においては、下地TFT基板102は作動回路(例えばT1、T2)を含む典型的なAMOLEDバックプレーンのものと類似し得る。
図1Aを参照すると、パネル100は、全般的に、マトリクスに配置された画素106及びサブ画素108を含む画素領域104と、各サブ画素に接続された、サブ画素を駆動するため及び切り替えるための作動回路と、を含んでもよい。非画素エリアは、一般に、データ信号(Vdata)をサブ画素に送信可能にするために各サブ画素のデータラインに接続されるデータ駆動回路110、スキャン信号(Vscan)をサブ画素に送信可能にするためにサブ画素のスキャンラインに接続されるスキャン駆動回路112、電源信号(Vdd)をTFTに送信するための電源供給ライン114、及び接地信号(Vss)をサブ画素のアレイに送信するための接地リング116を含む。示されるように、データ駆動回路、スキャン駆動回路、電源供給ライン、及び接地リングは全て、フレキシブル回路基板(FCB)113に接続されており、フレキシブル回路基板は電源供給ライン114に電力を供給するための電源、及び接地リング116に電気的に接続された電源接地ラインを含む。本発明の実施形態に従い、サブ画素108のそれぞれは対応する下地TFT回路に個々にアドレス指定されてもよい一方で、均一な接地信号が画素領域104の上部に供給される。
【0017】
ここで
図1B〜
図1Dを参照すると、作動回路に接触するため平坦化層122に開口部131を形成してもよい。例示的な平坦化材料には、ベンゾシクロブテン(BCB)及びアクリルを含む。作動回路は、切替トランジスタ、駆動トランジスタ、及び蓄積キャパシタを含む伝統的な2T1C(トランジスタ2つ、キャパシタ1つ)回路を含み得る。2T1C回路が例示的であることを意図し、他の種類の回路又は伝統的な2T1C回路の変更例が本発明の実施形態によって検討されるものと理解すべきである。例えば、ドライバトランジスタ及びマイクロLEDデバイスのプロセス変動又はそれらの不安定性を補償するために、より複雑な回路が使用され得る。更に、本発明の実施形態はTFT基板102におけるトップゲート型トランジスタ構造に関連して記述及び例示されるが、本発明の実施形態はまた、ボトムゲート型トランジスタ構造の使用も検討する。同様に、本発明の実施形態は、トップエミッション構造に関連して記述及び例示されるが、本発明の実施形態はまた、ボトム、又はトップ及びボトムエミッション構造の使用も検討する。また、本発明の実施形態は、接地タイライン及び接地リングを含むハイサイド駆動構成に関連して、以下に具体的に記述及び例示される。ハイサイド駆動構成において、LEDは、回路が電流をLEDのp端子から押し出すように、PMOS駆動トランジスタのドレイン側又はNMOS駆動トランジスタのソース側に存在し得る。本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、接地タイライン及び接地リングがパネルにおける電力ラインとなり、電流がLEDのn端子を介して引き出される、ローサイド駆動構成で実施されてもよい。
【0018】
バンク開口部128を含むパターン化されたバンク層126が平坦化層122上に形成される。バンク層126は、インクジェット印刷、スクリーン印刷、積層、スピンコーティング、スプレーコーティング、CVD及びPVDなどの種々の技術によって形成してもよい。バンク層126は、可視波長に対して、不透光性、透光性、又は半透光性を有してもよい。バンク層126は、光画定可能なアクリル、フォトレジスト、シリコン酸化物(SiO
2)、シリコン窒化物(SiN
x)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ベンゾシクロブテン(BCB)、ポリイミド、アクリレート、エポキシ、及びポリエステル等であるが、それに限定されない、様々な絶縁体により形成され得る。一実施形態では、バンク層は、ブラックマトリクス材等の不透明材により形成される。例示的な絶縁性ブラックマトリクス材は、有機樹脂、ガラスペースト、及び黒色顔料、ニッケル、アルミニウム、モリブデン、及びそれらの合金等の金属粒子を含む樹脂若しくはペースト、金属酸化物粒子(例えば、クロム酸化物)、又は金属窒化物粒子(例えば、クロム窒化物)を含む。
【0019】
本発明の実施形態によれば、以下の図に関して記載されるバンク層126の厚さ及びバンク開口部128の幅は開口部内に取り付けられるマイクロLEDデバイスの高さ、マイクロLEDデバイスを転写する転写ヘッドの高さ、及びディスプレイパネルの解像度に依存してもよい。一実施形態では、ディスプレイパネルの解像度、画素密度、及びサブ画素密度によりバンク開口部128の幅が決定してもよい。40PPI(インチ毎画素)及び211μmサブ画素ピッチの例示的な55インチテレビの場合、バンク開口部128の幅は、例示的な5μm幅のバンク開口部128間のバンク周囲構造を決定するために数マイクロメートルから206μmの範囲内であってもよい。440PPI及び19μmサブ画素ピッチの例示的なディスプレイパネルの場合、バンク開口128の幅は、例示的な5μm幅のバンク周囲構造を決定するために数ミクロンから14μmの範囲内であり得る。バンク構造の幅(例えば、バンク開口部128間)は、その構造が必要とされるプロセスをサポートし、必要とされるPPIに対しスケーラブルである限りにおいて、いかなる適切なサイズであってもよい。
【0020】
表1は、本発明の実施形態に係る解像度1920×1080p及び2560×1600を有する種々の赤−緑−青(RGB)ディスプレイの例示的な実装形態のリストを提供する。例示的な実施形態においては、40PPI画素密度は55インチ解像度1920×1080pのテレビに相当してもよく、326及び440PPI画素密度はRETINA(登録商標)(RTM)ディスプレイを備えたハンドヘルドデバイスに相当してもよい。本発明の実施形態はRGB色方式又は解像度1920×1080p若しくは2560×1600に限定されず、特定の解像度及びRGB色方式は単に説明のためであることは認識すべきである。
【表1】
【0021】
本発明の実施形態によれば、バンク層126の厚さは、バンク構造が機能するのに厚すぎない。厚さは、マイクロLEDデバイスの高さ及び所定の視野角により決定してもよい。例えば、バンク開口128の側壁が平坦化層122に対して角度をなす場合、浅い角度ほどシステムのより広い視野角と相関し得る。一実施形態において、バンク層126の例示的な厚さは、1μmから50μmの間となり得る。一実施形態では、バンク層126の厚さはマイクロLEDデバイス400の厚さの5μmの範囲内である。一実施形態においては、転写されるマイクロLEDデバイス400はバンク層厚さよりも高い。
【0022】
本発明の実施形態によれば、パターン化されたバンク層126の上にダム構造147が形成される。ダム構造147はパターン化されたバンク層126を形成するのに用いたものと同じ層から形成しても、別個の層で形成してもよい。
図1Bに示される実施形態では、ダム構造147はバンク層126上に形成されたパターン化されたダム層127を含む。ダム層127はバンク層126と同じ材料で形成してもよい。あるいは、ダム層127は電気的に伝導性とされ得る。本発明の実施形態によれば、ダム層はパターン化されたバンク層126上方に、パッシベーション層210を収容するほどの十分な高さで上昇している。これについては
図5Bに関連して更に記載する。一実施形態においては、ダム層127は厚さ0.5μm〜5μm、又は特に厚さ1μm〜2μmであるが、他の厚さも可能である。
【0023】
いくつかの実施形態では、パターン化された導電層は、その後、パターン化されたバンク層126及びダム層127上に形成される。一実施形態においては、パターン化された導電層は、バンク開口部128内に形成され、作動回路に電気接触する反射バンク構造142を含む。例えば、反射バンク構造142は各サブ画素に対して形成することができ、各反射バンク構造は下部電極として機能し、かつ基板内の作動回路から個々にアドレス指定可能である。したがって、サブ画素の1つの反射バンク構造に結合された全てのマイクロLEDデバイスがともにアドレス指定される。
図1Bに示されるように、パターン化された導電層は、また、任意選択的に、接地タイライン144及び/又は接地リング116を含んでもよい。本明細書内で使用されるように、接地「リング」という言葉は、円形パターン、すなわち対象物を完全に取り囲むパターン、である必要はない。加えて、以下の実施形態は少なくとも部分的に画素領域の3つの辺を取り囲む接地リング116の形態の接地ラインに関して記載しかつ示すが、本発明の実施形態は、また、画素領域の1つの辺(例えば、左、右、下、上)又は2つの辺(左、右、下、上のうち2つの組み合わせ)に沿って通る接地ラインにより実施され得ることは認識すべきである。したがって、以下の記述において、接地リングの参照及び例示は、システム要求が許容する接地ラインと潜在的に置き換えられ得ることを理解すべきである。
【0024】
例示の実施形態において、接地タイライン144の配置は、ディスプレイパネル100の画素エリア104内のバンク開口部128間を通ってもよい。接地タイライン144は、また、ダム構造147の一部を形成してもよく、かつ反射バンク構造142の上方に上昇してもよい。
図1Bに示される実施形態においては、ダム層127及び接地タイライン144を含むダム構造147は画素領域104内のバンク開口部128間に通っている。ここで
図1Cを参照すると、一実施形態においては、複数の接地タイライン144を露出させるため複数の開口部149がダム層127、並びに任意選択的に、バンク層126及び平坦化層126内に形成される。例えば、接地タイライン144及び接地リング116は作動回路の形成時に形成してもよく、基板102内の作動回路に接触させてもよい。開口部149の数は、バンク開口部128の列(上から下へ)の数と1:1の相関関係を持ってよいし、持たなくてもよい。例えば、
図1Aに示される実施形態では、接地タイ開口部149がバンク開口部128の各列に対して形成されるが、これは必須ではなく、接地タイ開口部149の数はバンク開口部128の列の数より多くても少なくてもよい。同様に、接地タイライン144の数は、バンク開口部の行(左から右へ)の数と1:1の相関関係を持ってよいし、持たなくてもよい。例えば、例示の実施形態において、接地タイライン144は、バンク開口部128の1行置きに形成されるが、これは必須ではなく、接地タイライン144の数はバンク開口部128の行の数(n)と1:1の相関関係、又は任意の1:nの相関関係を持ってよい。他の実施形態では、接地タイラインは列方向及び行方向の両方に通り得る。
【0025】
図1Bに示される実施形態では、反射バンク構造142、接地タイライン144及び接地リング116は同じ導電層で形成され得る。
図1Cに示される実施形態では、反射バンク構造142及びビアコンタクト145は同じ導電層で形成され得る。
図1Cに示されるように、ダム構造147はダム層127及びダム層127の上にあるビアコンタクト145を含んでもよく、ビアコンタクト145は反射バンク構造142の上方に上昇している。パターン化された導電層は、数多くの導電性及び反射性の材料により形成されてもよく、かつ1層より多い層を含んでもよい。一実施形態において、パターン化された導電層は、アルミニウム、モリブデン、チタニウム、タングステン化チタン、銀、金、又はそれらの合金等の金属膜を含む。パターン化された導電層は、アモルファスシリコン、インジウムスズ酸化物(ITO)及びインジウム亜鉛酸化物(IZO)等の透明導電性酸化物(TCO)、カーボンナノチューブ膜、又はポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリピロール、及びポリチオフェン等の透明導電性ポリマーを含んでもよい。一実施形態において、パターン化された導電層は、導電性材料及び反射性の導電性材料の積層体を含む。一実施形態において、パターン化された導電層は、上部及び下部層並びに反射性の中間層を含む3層積層を含み、上部及び下部層のうちの一方又は両方は透明である。一実施形態において、パターン化された導電層は、導電性酸化物−反射性金属−導電性酸化物の3層の積層体を含む。導電性酸化物層は透明であってよい。例えば、パターン化された導電層は、ITO−銀−ITO積層体を含んでもよい。かかる構成において、上部及び下部のITO層は、反射性金属(銀)層の拡散及び/又は酸化を防いでもよい。一実施形態において、パターン化された導電層は、Ti−Al−Ti積層体、又はMo−Al−Mo−ITO積層体を含む。一実施形態においては、パターン化された導電層はITO−Ti−Al−Ti−ITO積層体を含む。一実施形態において、パターン化された導電層は1μm以下の厚さである。パターン化された導電層は、PVD等であるが、それに限定されない適切な技術により積層してもよい。
【0026】
接地タイライン144及び/又は接地リング116は、また、反射バンク構造142と異なる導電層で形成され得る。ここで
図1Dを参照すると、一実施形態においては、接地タイライン144はダム構造147である。そのような実施形態においては、接地タイライン144は反射バンク構造142及び接地ライン116と別々に形成され得る。示されるように、接地タイライン144は形成されるパッシベーション層のダム構造として機能するために反射バンク構造142よりも厚く、かつ反射バンク構造142の上方に上昇している。
図1Dに示される実施形態では、ダム層127に関して上記したように、接地タイライン144は、1μm〜5μmなどの、ダム構造として機能するような任意の適切な厚さであってもよい。
【0027】
図1A〜
図1Dに示される実施形態を引き続き参照すると、マイクロLEDデバイスの接合を容易にするために1つ以上の接合層140を反射バンク構造142上に形成してもよい。示される特定の実施形態では、一対のマイクロLEDデバイスを接合するための2つの接合層140が示される。一実施形態において、接合層140は、米国特許出願第13/749,647号に記載されるように、共晶合金接合、液相拡散接合、又は固相拡散接合等の、接合機構を通してマイクロLEDデバイス上の(配置されることになっている)接合層で相互拡散される能力のために選択される。一実施形態において、接合層140は溶融温度が250℃以下である。例えば、接合層140は、スズ(232℃)、インジウム(156.7℃)、又はそれらの合金等のはんだ材料を含んでもよい。接合層140は、また、柱の形状であってもよい。本発明のいくつかの実施形態によれば、接合層140が高ければ、マイクロLEDデバイスの転写動作の間、TFT基板を備えたマイクロLEDデバイスのアレイの平坦度等の、システム部品のレベリング、及び共晶合金接合及び液相拡散接合の間等の接合の間、液化した接合層が表面の上部に拡散するため接合層の高さが変わることによる、マイクロLEDデバイスの高さのばらつきにおいて更なる自由度を提供し得る。マイクロLEDデバイスの側壁周辺に接合層140が吸い上げられ、量子井戸構造が短絡することを防止するため、接合層140の幅はマイクロLEDデバイスの底面の幅未満であってもよい。
【0028】
図2A〜
図2Fは、本発明の一実施形態に係る、複数の反射バンク構造に複数のマイクロLEDデバイスを転写する方法を示す。
図2Aを参照すると、転写ヘッド基板300によって支持された転写ヘッド302のアレイがキャリア基板200上に支持されたマイクロLEDデバイス400のアレイ上に配置される。ヒータ及び熱分配プレートが、任意選択的に、転写ヘッド基板300に取り付けられてもよい。ヒータ及び熱分配プレートが、任意選択的に、キャリア基板200に取り付けられてもよい。
図2Bに示されるように、マイクロLEDデバイス400のアレイを転写ヘッド302のアレイに接触させ、
図2Cに示されるように、キャリア基板200からピックアップする。一実施形態において、マイクロLEDデバイス400のアレイは、静電的な原理に従い動作する転写ヘッド302のアレイでピックアップされる、すなわち、それらは静電転写ヘッドである。
【0029】
転写ヘッドのアレイでピックアップされるマイクロLEDデバイスの数は転写ヘッドのピッチに一致してもしなくてもよい。例示的な実施形態においては、58μmのピッチで分離された転写ヘッドのアレイは約6.44μmのピッチを有するマイクロLEDデバイスのアレイをピックアップする。この手法で、バックプレーンへの転写のため転写ヘッドはマイクロLEDデバイスを9個毎にピックアップする。しかしながら、寸法は例示的であり、本発明の実施形態はこのように限定されないことは理解すべきである。
【0030】
引き続き
図2Cを参照すると、例示的なマイクロLEDデバイス400の拡大図が提供される。示される特定の実施形態では、マイクロLEDデバイス400は下部コンタクト404と上部コンタクト402との間にマイクロp−nダイオードを含む。一実施形態においては、マイクロp−nダイオードは30μm以下、又は更には5μm以下などの数マイクロメートルの厚さであり、上部及び下部コンタクト404、402は厚さ0.1μm〜2μmである。マイクロp−nダイオードは、n型ドープ層409と、p型ドープ層405と、n型ドープ層とp型ドープ層との間に1つ以上の量子井戸層416と、を含んでもよい。
図2Cに示される特定の実施形態においては、n型ドープ層409はp型ドープ層405の上方にあるものとして示される。あるいは、p型ドープ層405はn型ドープ層409の上方にあってもよい。マイクロLEDデバイス400は(上部から下部まで)真直又はテーパ状の側壁406を有してもよい。上部及び下部コンタクト402、404は1つ以上の層を含んでもよく、金属、導電性酸化物及び導電性ポリマーを含む種々の電気的に伝導性の材料で形成され得る。上部及び下部コンタクト402、404は可視波長スペクトル(例えば380nm〜750nm)に対し透明若しくは半透明であっても、又は不透明であってもよい。上部及び下部コンタクト402、404は、任意選択的に、銀層などの反射層を含んでもよい。一実施形態においては、コンフォーマル誘電バリア層407を任意選択的に、量子井戸416を電気的に不動態化するためにp−nダイオードの側壁406に沿って、及び任意選択的に、マイクロp−nダイオードの上面又は下面に沿って形成してもよい。コンフォーマル誘電バリア層407がp−nダイオード上に形成されてp−nダイオードのトポグラフィーの外形を形成するようにコンフォーマル誘電バリア層407はp−nダイオードよりも薄くてもよい。例えば、コンフォーマル誘電バリア層407は厚さ約50〜600オングストロームの酸化アルミニウムであってもよい。接合層410をマイクロLEDデバイス400の下部コンタクト404の下に形成し、反射バンク構造142又は反射バンク構造上の接合層140への接合を容易にしてもよい。一実施形態においては、接合層410は、金、銀、モリブデン、アルミニウム、シリコンなどの材料、又はその合金を含む。
【0031】
図2Dは、本発明の一実施形態に係るTFT基板102上に複数のマイクロLEDデバイス400を保持する転写ヘッド302の断面の側面図である。例示の実施形態において、転写ヘッド302は、転写ヘッド基板300に支持される。上述のように、ヒータ及び熱分配プレートが、任意選択的に転写ヘッド基板に取り付けられ、転写ヘッド302に熱を印加してもよい。ヒータ及び熱分配プレートは、同様に又はあるいは、任意選択的に、TFT基板102上の接合層140及び/又はマイクロLEDデバイス400上の任意選択の接合層410に熱を伝達するために使用してもよい。いくつかの実施形態によれば、バンク開口部内におけるマイクロLEDデバイスの配置時に転写ヘッドがブラックプレーン(blackplane)によって損傷を受ける又は転写ヘッドがブラックプレーン(blackplane)を損傷することを防止するためにマイクロLEDデバイスのアレイの頂面は反射バンク構造の頂面よりも高い。更に、マイクロLEDデバイスの頂面は、マイクロLEDデバイスがパッシベーション層の頂面上方に突出する一方で、反射バンク構造上にパッシベーション層を形成することを可能にする、十分な量反射バンク構造の頂面よりも高く上昇していてもよい。更に、バンク層126上のダム構造147の頂面は転写プロセスを妨害しないように転写ヘッド302のアレイ又は転写ヘッド302を支持する基板300に接触しない。
【0032】
ここで
図2Eを参照すると、TFT基板102はマイクロLEDデバイス400のアレイと接触している。例示の実施形態において、TFT基板102がマイクロLEDデバイス400のアレイと接触することは、接合層140が対応する各マイクロLEDデバイスに対してマイクロLEDデバイス接合層410と接触することを含む。一実施形態において、各マイクロLEDデバイス接合層410は、対応する接合層140よりも幅広である。一実施形態において、マイクロLEDデバイス400のアレイをTFT基板102に接合するために、エネルギーが静電転写ヘッドアセンブリーから及びマイクロLEDデバイス400のアレイを通して伝達される。例えば、共晶合金接合、液相拡散接合、及び固相拡散接合等の、数種類の接合機能を促進するために、熱エネルギーが伝達され得る。熱エネルギーの伝達はまた、静電転写ヘッドアセンブリーから圧力をかけることに付随し得る。
【0033】
図2Fを参照すると、一実施形態においては、エネルギーの伝達により接合層140が液化する。液化した接合層140は、クッションとして作用し、接合の間、マイクロLEDデバイス400のアレイとTFT基板との間のシステムの不均一なレベリング(例えば、平面でない表面)、及びマイクロLEDデバイスの高さのばらつきを、部分的に補償し得る。液相拡散接合の特定の実施において、液化された接合層140は、金属間化合物層を、接合層140の周囲溶融温度より高い周囲溶融温度で形成するために、マイクロLEDデバイス接合層410と相互拡散する。したがって、液相拡散接合は、接合層の最低液体相温度以上で達成され得る。本発明のいくつかの実施形態において、マイクロLEDデバイス接合層410は、ビスマス(271.4℃)等の250℃を超える溶融温度又は金(1064℃)、銅(1084℃)、銀(962℃)、アルミニウム(660℃)、亜鉛(419.5℃)、ニッケル(1453℃)等の350℃を超える溶融温度を有する材料により形成され、TFT基板接合層140は、スズ(232℃)又はインジウム(156.7℃)等の250℃未満の溶融温度を有する。
【0034】
この手法で、TFT基板102を支持する基板は接合層140の融解温度未満の温度まで加熱することができ、転写ヘッドのアレイを支持する基板は接合層410の融解温度未満であるが、接合層140の融解温度を超える温度まで加熱される。かかる実施形態において、静電転写ヘッドアセンブリーからマイクロLEDデバイス400のアレイを通して熱を転写することは、金属間化合物として後続の等温凝固で接合層140の液相拡散状態を形成するのに十分である。液相において、低溶融温度材料は表面の上部に拡散するとともに高溶融温度材料の固溶体に拡散又は高溶融温度材料を分解するとともに金属間化合物として固体化される。特定の実施形態においては、転写ヘッドのアレイを支持する基板は180℃に維持され、接合層410は金で形成され、接合層140はインジウムで形成される。
【0035】
マイクロLEDデバイス400のアレイをTFT基板に接合するためのエネルギーの伝達後、
図2Fに示されるようにマイクロLEDデバイス400のアレイは転写先基板上にリリースされ、静電転写ヘッドのアレイは引き離される。マイクロLEDデバイス400のリリースは、静電電圧源をオフにする、静電転写ヘッド電極に印加される電圧を下げる、交流電圧の波形を変える、及び電圧源を接地することを含む、様々な方法で達成され得る。
【0036】
ここで
図3A〜
図3Fを参照すると、本発明の一実施形態に係る、異なる色発光を有するマイクロLEDデバイス400のアレイの転写シーケンスが示される。
図3Aに示される特定の構成においては、赤色発光マイクロLEDデバイス400Rのアレイを第1のキャリア基板からTFT基板102の反射バンク構造142へと転写するための第1の転写手順が完了している。例えば、マイクロLEDデバイス400Rが赤色光(例えば波長620〜750nm)を発光するように設計される場合、マイクロp−nダイオードは、アルミニウムガリウムヒ素(AlGaAs)、ガリウムヒ素リン(GaAsP)、アルミニウムインジウムガリウムリン(AlGaInP)及びリン化ガリウム(GaP)などの材料を含んでもよい。
図3Bを参照すると、赤色発光マイクロLEDデバイス400Rの冗長アレイを転写するための第2の転写手順が完了している。例えば、冗長アレイは、異なるキャリア基板から、すなわち、第1のキャリア基板の異なるエリア(例えば、対向する側から、重ならない異なるエリア、又は無作為抽出)から、第2のアレイが第1のキャリア基板の同じ相関のある欠陥エリア又は汚損エリア(例えば、粒状物)から転写する可能性を減じるために、転写され得る。このようにして、2つの無相関領域から転写することによって、2つの欠陥マイクロLEDデバイス400を同じ反射バンク構造142に転写する可能性、又はあるいは、キャリア基板の欠陥又は汚損領域内でマイクロLEDデバイスをピックアップできなかったとの理由でマイクロLEDデバイス400を単一の反射バンク構造142に転写しない可能性を低下することが可能となり得る。更に別の実施形態において、2つの異なるウェハからの冗長アレイを使用することにより、両色の混合を取得し、ディスプレイの平均電力消費量を、異なるウェハにおけるマイクロLEDデバイスの主要な発光波長の既存の知識に基づいて調整することが、可能であり得る。例えば、第1のウェハが、第1の消費電力を有する630nmの平均赤色発光を有することが分かっている一方で、第2のウェハが、第2の消費電力を有する610nmの平均赤色発光を有することが分かっている場合、平均消費電力又は交互の色域を得るために冗長性アレイは両ウェハのマイクロLEDデバイスを含み得る。
【0037】
図3Cを参照すると、緑色発光マイクロLEDデバイス400Gのアレイを第2のキャリア基板からTFT基板102に転写するための第3の転写手順が完了している。例えば、マイクロLEDデバイス400Gが緑色光(例えば波長495〜570nm)を発光するように設計される場合、マイクロp−nダイオードは、インジウム窒化ガリウム(InGaN)、窒化ガリウム(GaN)、リン化ガリウム(GaP)、アルミニウムインジウムガリウムリン(AlGaInP)及びアルミニウムガリウムリン(AlGaP)などの材料を含んでもよい。前と同様に、緑色発光マイクロLEDデバイス400Gの冗長アレイを転写するための第4の転写手順が
図3Dに示される。
【0038】
図3Eを参照すると、青色発光マイクロLEDデバイス400Bのアレイを第3のキャリア基板からTFT基板102の反射バンク構造142に転写するための第5の転写手順が完了している。例えば、マイクロLEDデバイス400Bが青色光(例えば波長450〜495nm)を発光するように設計される場合、マイクロp−nダイオードは窒化ガリウム(GaN)、インジウム窒化ガリウム(InGaN)及びセレン化亜鉛(ZnSe)などの材料を含んでもよい。前と同様に、青色発光マイクロLEDデバイス400Bの冗長アレイを転写するための第6の転写手順が
図3Fに示される。
【0039】
図3A〜
図3Fに関連して上述した特定の実施形態においては、各サブ画素の第1及び第2のマイクロLEDデバイス400は別個に転写される。例えば、これにより、相関のある欠陥の確率を低下させることができる。しかしながら、他の実施形態においては、第1及び第2のマイクロLEDデバイスを同じキャリア基板から同時に転写することが可能である。このようにして、同時転写により、マイクロLEDデバイスをキャリア基板の同じ領域から転写することにより、相関のある欠陥の可能性を犠牲にして、冗長性スキームの利点をなおいくらか提供しつつも製造スループットを向上させることができる。このような実施形態においては、処理シーケンスは
図3B、
図3D、
図3Fの以下の順序のシーケンスに類似する。
【0040】
本発明の実施形態はここまで冗長性及び修復スキームを有する反射バンク構造内におけるマイクロLEDデバイスの配置に関して記載してきたが、このような構成は必須ではない。一実施形態においては、単一のマイクロLEDデバイスが反射バンク構造内に配置される。
図4Aに示される実施形態では、マイクロLEDデバイス400の冗長ペアが反射バンク構造142内に配置されている。
図4Bに示される実施形態では、マイクロLEDデバイス400の冗長ペアがベア修復サイト401とともに反射バンク構造142内に配置されている。種々の予想される構成の多くをともに同じ記載に含めるため、残りの説明は冗長性及び修復スキームを参照しながら行う。
【0041】
ここで
図5A〜
図5Cを参照すると、マイクロLEDデバイスを反射バンク構造に転写するため、及び反射バンク構造上及びマイクロLEDデバイス周囲にパッシベーション層を形成するための異なるシーケンスが示される。
図5Aは、マイクロLEDデバイス400がパッシベーション層を形成する前に反射バンク構造に転写される実施形態を示す。
図5Bは、パッシベーション層210がマイクロLEDデバイスを転写する前にバンク層及び反射バンク構造上に形成される実施形態を示す。
図5Cは、パッシベーション層を、マイクロLEDデバイスを転写する前に形成する、又はパッシベーション層を通してマイクロLEDデバイスをパンチスルーする、のいずれかによって形成され得る構成を示す。示されるように、パッシベーション層210はバンク層126上及び反射バンク構造142のアレイ内のマイクロLEDデバイス400の側壁周囲に形成されてもよい。一実施形態においては、マイクロLEDデバイス400が垂直LEDデバイスである場合、パッシベーション層210は量子井戸構造416を被覆しかつ量子井戸構造416に広がる。パッシベーション層210は、また、起こり得る短絡を防止するために反射バンク構造142の任意の部分を被覆してもよい。したがって、パッシベーション層210は量子井戸構造416及び反射バンク構造142を不動態化するために使用してもよい。本発明の実施形態によれば、パッシベーション層210は上部導電性コンタクト402などのマイクロLEDデバイス400の頂面上、あるいはダム構造147のタイライン144の頂面上には形成されない。いくつかの実施形態では、
図9に関して記載されるように、パッシベーション層210の形成後、パッシベーション層210をエッチバックし、上部導電性コンタクト402などのマイクロLEDデバイス400の頂面及びダム構造147のタイライン144を確実に露出させて、上部導電性電極層318がマイクロLEDデバイス400及びタイライン144と電気接触することを可能にするためにプラズマエッチングプロセス、例えばO
2、Ar又はCF
4プラズマエッチングが使用され得る。いくつかの実施形態では、マイクロLEDデバイス400及び1つ以上の導電ライン(例えばタイライン144又はビアコンタクト145)は、エッチング前及び後に、パッシベーション層210の頂面211上方に突出する。このような実施形態においては、任意のパッシベーション層残部がマイクロLEDデバイスの頂面及び1つ以上の導電ラインから除去されるようにするためにエッチングを用いてもよい。他の実施形態では、マイクロLEDデバイス及び1つ以上の導電ラインが、エッチング後に、パッシベーション層の頂面211上方に突出するようにエッチングによりパッシベーション層210の厚さを低減する。
【0042】
図5A〜
図5Cに示される実施形態はダム層127及びタイライン144を含むダム構造147を含む
図1Bの反射バンク構造内に接合された一対のマイクロLEDデバイス400を含む実施形態を示すことは理解されよう。
図5A〜
図5Cに示される実施形態では、タイライン144はバンク層126上の導電ラインに相当する。本発明の実施形態は特定の構成に限定されない。例えば、単一のマイクロLEDデバイスが反射バンク構造内に接合され得る、あるいは、修復マイクロLEDデバイスが反射バンク構造内に接合され得る。
図1C〜
図1Dに関して記載したもののような代替のダム構造147もまた使用され得る。したがって、本明細書中に記載されるように、ダム構造147のタイライン144又はビアコンタクト145は、パッシベーション層210上方に突出し、かつ反射バンク構造142の上方に上昇しているバンク層上の導電ラインとされ得る。
【0043】
本発明の実施形態によれば、パッシベーション層210は完成後のシステムの光抽出効率を大幅に低下しないように可視波長に対して透明であっても半透明であってもよい。パッシベーション層は、エポキシ、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)などのアクリル(ポリアクリレート)、ベンゾシクロブテン(BCB)、ポリイミド及びポリエステルなどであるがこれらに限定されない種々の材料で形成してもよい。いくつかの実施形態では、パッシベーション層は熱硬化、UV硬化又は大気電子ビーム硬化などの技術を用いて硬化可能な熱硬化性材料である。
【0044】
前述のように、
図5A〜
図5Cに示される構造は様々なシーケンスで形成され得る。一実施形態においては、パッシベーション層はマイクロLEDデバイスを転写後に塗布及びレベリングされる。別の実施形態においては、パッシベーション層はマイクロLEDデバイスを転写する前に塗布及びレベリングされる。パンチスルー(punch-through)は、パッシベーション層210を通して転写先基板102上の反射バンク構造142又は任意選択の接合層140上に接触するまで、マイクロLEDデバイス400を転写ヘッド302で物理的に移動させることにより実施してもよい。示されるように、マイクロLEDデバイス400は、パッシベーション層210が量子井戸層416の側方を取り囲むようにパッシベーション層210を通してパンチスルーしてもよい。パッシベーション層210は、また、マイクロLEDデバイス400の上部コンタクト402との電気接触が設けられ得るようにマイクロLEDデバイス400の高さよりも薄くてもよい。
【0045】
パンチスルーは、また、転写ヘッド302又は転写先基板100を通じた熱の印加によって補助されてもよい。一実施形態では、パッシベーション層210がUV硬化性、大気電子ビーム硬化性又は熱硬化性のBステージ熱硬化性樹脂である場合、熱の印加によりBステージ熱硬化性樹脂パッシベーション層210を溶解又は軟化し、パンチスルーを補助することができる。したがって、パンチスルーの実現のため、印加される圧力、熱の量及びBステージ熱硬化性樹脂の架橋の量を制御することができる。熱硬化性樹脂パッシベーション層210がUV硬化性又は大気電子ビーム硬化性である場合、熱硬化性樹脂パッシベーション層210を硬化するためにパンチスルー後のUVエネルギー又は大気電子ビームの印加が使用され得る。パッシベーション層210が熱硬化性のBステージ熱硬化性樹脂である実施形態では、熱硬化性樹脂パッシベーション層210を硬化させるためにパンチスルー後の熱の継続的な印加が使用され得る。パッシベーション層210が熱可塑性材料である実施形態においては、パンチスルー中に熱可塑性パッシベーション層210がTgを超えて、より具体的には、熱可塑性材料のTg超及びTm未満まで加熱される。したがって、パンチスルーを実施するために熱可塑性材料に印加される圧力及び熱の量が制御され得る。
【0046】
特定の実施形態においては、パンチスルー中の熱の印加により、また、任意選択の接合層410、140の1つ若しくは両方のリフロー又は接合を補助するための層間における拡散が生じる場合がある。加えて、接合層410、140のいずれかのリフローはより高い融解温度を持つ新たな接合層の形成につながる可能性がある。一実施形態においては、熱の印加は層210のパンチスルーを補助するだけでなく、熱の印加は接合層(単数又は複数)410、140の少なくとも部分的なリフロー及び固化も生じさせる。例えば、熱の印加により、リフロー又は拡散層(単数又は複数)のTmよりも高いTmを有する合金の形成に至る場合がある。
【0047】
一実施形態においては、転写先基板上におけるマイクロデバイスのパンチスルー及びリリースは10秒以下、又は特に1秒以下で実施される。熱が印加される場合、接合を補助するための任意選択の接合層(単数又は複数)410、140のいずれかを急速にリフローすることが可能であり、かつ熱、大気電子ビーム若しくはUV硬化性Bステージ熱硬化性樹脂又は熱可塑性とされ得るパッシベーション層210を軟化させる又は初期融解することが可能である。転写ヘッドのアレイからマイクロデバイスのアレイをリリース後、パッシベーション層210は、マイクロデバイスのアレイを反射バンク構造内に固定するために硬化される。パッシベーション層210が熱可塑性である場合、硬化は熱可塑性材料を冷却させることによって実施される。パッシベーション層210がBステージ熱硬化性樹脂である場合、パッシベーション層は硬化を実施するため分又は時間のオーダーの間UVエネルギー、大気電子ビーム又は熱の印加により最終硬化され得る。一実施形態においては、熱は転写先基板102の下からヒータ及び/又は熱分配プレートによって印加され得る。熱は、また、転写先基板102の上から印加され得る。UVエネルギーは、また、転写先基板の上又は下から印加され得る。一実施形態においては、転写先基板は、マイクロLEDデバイスのアレイのリリース後、硬化を実施するために硬化チャンバに移送される。
【0048】
ここで
図6A〜
図6Cを参照すると、パッシベーション層210が塗布器610により基板102に塗布され、その後、レベラ620によりレベリングされ、パッシベーション層が被覆する領域全体にわたりパッシベーション層のほぼ平坦な頂面211が提供される実施形態が示される。例えば、再度
図3Fを参照すると、一実施形態においては、パッシベーション層210は画素領域104内のサブ画素108の全ての上に形成され得る。一実施形態においては、パッシベーション層は画素領域内のサブ画素108の全て及び接地タイライン144を被覆する。一実施形態においては、パッシベーション層は画素領域内のサブ画素108の全て及びビアコンタクト145を被覆する。接地リング116の被覆を含む種々の構成が可能である。一実施形態においては、塗布器610及びレベラ620が基板102上で引かれる際、レベラ620は、パッシベーション層210の平坦頂面211を形成するために使用され、平坦頂面211上方にマイクロLEDデバイス400の一部並びに
図6Aに接地ライン144として及び
図6Bにビアライン145として示される電気ライン(electrical line)が突出する。他の実施形態では、
図6Cに示されるようにマイクロLEDデバイス400及び電気ラインがパッシベーション層の頂面上方に突出しないように、レベラは、パッシベーション層210の平坦頂面211をマイクロLEDデバイス400及び電気ライン上方に形成する。このような実施形態においては、パッシベーション層はその後マイクロLEDデバイス及び電気ラインを露出するためにエッチバックしてもよい。
【0049】
塗布器610は代替のコーティング法に基づく代替の構成を取ってもよい。例えば、塗布器610はローラコーティング塗布用のローラであってもよい。塗布器はスリットコーティング塗布用のノズルであってもよい。基板102のサイズによっては、ローラ塗布又はスリットコーティングは画素領域全体を被覆することが可能な広い線幅を1回の塗布で塗布するのに有用であってもよい。スピンコーティング、スプレーコーティング、スクリーン印刷及びインクジェット印刷を含む他の塗布方法もまた想定される。レベラ620は、また、代替のコーティング法に基づく代替の構成を取ってもよい。例えば、レベラ620はローラ、スキージ又はブレードであってもよい。
【0050】
図7A〜
図7Bは、本発明の一実施形態に係る、マイクロLEDデバイス及びバンク層上の導電ラインからパッシベーション層残部をエッチングする側面図である。
図7Aに示される実施形態に示すように、パッシベーション層210はほぼ平坦な頂面211を含む。マイクロLEDデバイス400及びタイライン144として示される導電ラインは頂面211の上方に突出する。示される特定の実施形態では、パッシベーション層210の残部213はマイクロLEDデバイス400の頂面及び/又はタイライン144として示す導電ラインを少なくとも部分的に被覆してもよい。
図7Bに示される実施形態では、
図9に関して記載されるように、残部213を除去し、上部導電性コンタクト402などのマイクロLEDデバイス400の頂面及びダム構造147のタイライン144を確実に露出させ、上部導電性電極層318がマイクロLEDデバイス400及びタイライン144と電気接触することを可能にするために、パッシベーション層210の形成後、プラズマエッチングプロセス、例えばO
2、Ar又はCF
4プラズマエッチングが使用され得る。
【0051】
図8A〜
図8Bは、本発明の一実施形態に係る、マイクロLEDデバイスの一部及びバンク層上の導電ラインがパッシベーション層の頂面上方に突出するようにパッシベーション層をエッチングする側面図である。
図8Aに示される実施形態に示すように、パッシベーション層210は、マイクロLEDデバイス400及び/又はタイライン144として示される導電ライン上方にほぼ平坦な頂面211を含む。一実施形態においては、タイライン144として示される導電ラインの頂面は、パッシベーション層の塗布及びレベリング時、パッシベーション層210の頂面211の上昇を設定するために使用される。
図8Bに示される実施形態では、上部導電性コンタクト402などのマイクロLEDデバイス400の頂面及びダム構造147のタイライン144を露出させ、パッシベーション層210の頂面211上方に突出するようにパッシベーション層210を薄くするためプラズマエッチングプロセス、例えばO
2、Ar又はCF
4プラズマエッチングが使用され得る。
【0052】
ここで
図9を参照すると、垂直型マイクロLEDデバイス対を含む実施形態では、パッシベーション層210の形成、硬化及びエッチング後、上部電極層318がマイクロLEDデバイス400対上に形成され、導電ライン(例えば144、145)及び接地ライン116に電気接触する。特定の用途に応じて、上部電極層318は可視波長に対して不透明、反射性、透明又は半透明であってもよい。例示的な透明導電性材料としては、アモルファスシリコン、インジウムスズ酸化物(ITO)及びインジウム酸化亜鉛(IZO)などの透明導電性酸化物(TCO)、カーボンナノチューブフィルム、又はポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリピロール及びポリチオフェンなどの透明導電性ポリマーが挙げられる。一実施形態では、上部電極層318は厚さ約50nm〜1μmのITO−銀−ITO積層体であり、銀層は可視波長スペクトルに対して透明となるように十分に薄い。特定の実施形態においては、上部電極層318はインクジェット印刷によって形成される。一実施形態では、上部電極層318は厚さ約50nm〜1μmのPEDOTである。他の形成方法には、コーティングされる所望の領域及び任意の熱的制約(thermal constraints)に応じて化学気相成長法(CVD)、物理気相蒸着法(PVD)、スプレーコーティング又はスピンコーティングを含んでもよい。
【0053】
本発明の実施形態によれば、サブ画素のアレイのマイクロLEDデバイス400対を接地ライン330に電気的に接続するために1つ以上の上部電極層318を使用してもよい。種々の冗長性及び修復構成を有する種々の構成が可能である。明確にするため、
図9は単一サブ画素内の例示的な上部電極層318構成に限定されるが、ディスプレイ基板の上の画素配置のより詳細な説明は
図11〜
図13に関し提供する。
【0054】
図9に示される実施形態では、単一上部電極層318は対の両マイクロLEDデバイス400をタイライン144に接続しているものとして示される。例えば、このような構成は両マイクロLEDデバイス400がディスプレイ基板に転写されることが決定され、かつ欠陥品でも汚損されてもいない場合に使用してもよい。上部電極の形成後、カバー500が例示的な構造上に形成され得る。
図10に示される例示的な実施形態では、被覆層はマイクロLEDデバイス400のトポグラフィー及び基板102上の全体構造に適合する。被覆層500は下地構造に対し化学的パッシベーション及び物理的保護の両方を付与するように機能してもよい。被覆層500は、また、可撓性であってもよく、かつ透明であってもよい。被覆層500は酸化ケイ素(SiO
2)、窒化ケイ素(SiN
x)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ベンゾシクロブテン(BCB)、ポリイミド及びポリエステルなどであるが、これらに限定されない種々の材料で形成してもよい。
【0055】
図11は、ダム構造が形成されていない代替の実施形態を示す。
図11に示される実施形態では、パッシベーション層210は上述と同様に形成することができ、かつレベリングしてもよい。パッシベーション層210の形成後、パッシベーション層の一部は、マイクロLEDデバイス400及び導電ライン(例えば144、145)を露出させるために、例えば、リソグラフィ技術を用いてエッチングすることができ、その後、上部電極318及びカバー500を形成する。このような実施形態では、マイクロLEDデバイス内の量子井戸構造が露出しないようにエッチングは時限エッチング(timed etch)であってもよい。
【0056】
図12Aは、本発明の一実施形態に係る、サブ画素間にブラックマトリクス材料502が形成されるアクティブマトリクス型ディスプレイパネルの上面図である。一実施形態においては、ブラックマトリクス502はカバー500を塗布する前に形成される。ブラックマトリクス502は、使用される材料に基づく適切な方法で形成され得る。例えば、ブラックマトリクス502は、インクジェット印刷、スパッタリング及びエッチング、リフトオフ法を用いたスピンコーティング又は印刷法を用いて塗布され得る。例示的なブラックマトリクス材料としては、カーボン、金属膜(例えば、ニッケル、アルミニウム、モリブデン及びそれらの合金)、金属酸化物膜(例えば酸化クロム)、並びに金属窒化物膜(例えば窒化クロム)、有機樹脂、ガラスペースト、並びに黒色顔料若しくは銀微粒子を含む樹脂又はペーストが挙げられる。
【0057】
コンフォーマル層であることに加え、カバー500は例えば接着剤によって基板に取り付けてもよい別個のカバープレートとすることができる。
図12Bは、本発明の一実施形態に係る、ディスプレイパネル基板上にカバープレートを形成する前の、ブラックマトリクス材料の塗布の概略側面図である。
図12Cは、本発明の一実施形態に係る、ディスプレイパネル基板上にカバープレートがある状態での、ブラックマトリクス材料の塗布の概略側面図である。
【0058】
図13Aは、本発明の実施形態に従い記載した種々の冗長性及び修復構成を含むマイクロLEDデバイスのアレイの概略上面図である。
図13Aに示される特定の実施形態においては、上部電極層318は複数のバンク開口部128上に形成されており、複数のサブ画素又は画素106上に形成してもよい。一実施形態においては、上部電極層318は画素領域内のマイクロLEDデバイス400の全ての上に形成される。
図13Aは、種々の可能な構成を示す。符号が付された画素領域106内の1つの構成は、修復マイクロLEDサイト401が空いており、かつ修復マイクロLEDデバイスが転写されていないものを含む。
図13Aは、また、マイクロLEDデバイス接合サイトの接合層140から分かるように、欠陥若しくは汚損マイクロLEDデバイス400Xが検出された場合、又はマイクロLEDデバイスの欠損が検出された場合に、修復マイクロLEDデバイス400が転写された構成を示す。
【0059】
図13Bは、本発明の一実施形態に係る、種々の構成を含むマイクロLEDデバイスのアレイ上に形成された複数の別個の上部電極層318の概略上面図である。
図13Bに示される実施形態は、特に複数の別個の上部電極層318の形成において
図13Aに示されるものとは異なる。修復接合サイト401にマイクロLEDデバイス400が配置されていない、符号が付された画素106に示されるもののような一実施形態においては、その上に上部電極層318を形成する必要はない。したがって、上部電極層318の長さは交換マイクロLEDデバイスが付加されるか否かに基づき決定され得る。上部電極層318は、また、接合サイト401上に形成してもよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、上部電極層318はインクジェット印刷又はスクリーン印刷によって形成される。インクジェット印刷は非接触印刷法であるため特に好適となり得る。従来のAMOLEDバックプレーン加工シーケンスでは、一般に、堆積チャンバ内で上部電極層をブランケット堆積(blanket deposit)し、その後、大きな基板から個々のバックプレーンを分離(singulation)する。本発明の実施形態によれば、ディスプレイ基板102はマイクロLEDデバイスのアレイを転写する前に大きな基板から分離され得る。一実施形態では、インクジェット印刷又はスクリーン印刷では、冗長性及び修復スキームにおいて各特定の構成に対し別個のマスク層を要することなく、個々の上部電極層のパターニングの実用的な手法を提供する。上部電極層118の線幅も用途に応じて変化させることができる。例えば、線幅はサブ画素領域の幅に近付けてもよい。あるいは、線幅は最小限であってもよい。例えば、約15マイクロメートルの狭い線幅を市販のインクジェットプリンタで実現してもよく、約30マイクロメートルの狭い線幅を市販のスクリーンプリンタで実現してもよい。したがって、線幅はマイクロLEDデバイスの最大幅より大きくても小さくてもよい。
【0061】
図13Cは、本発明の一実施形態に係る、種々の構成を含む、マイクロLEDデバイスのアレイ上に形成された複数の別個の上部電極層の概略上面図である。
図13Cに示される特定の実施形態においては、マイクロLEDデバイス400の配置は
図13A〜
図13Bに関して上述した配置と同じである。
図13Cに示される実施形態は、特に上部電極層318の形成において
図13Bに示されるものと異なる。
図13Bに示される実施形態は上部電極層318の長さが変化するものとして示したが、
図13Cに示される実施形態は上部電極層318の経路及び/又は上部電極層318の数が変化するものとして示される。
【0062】
別個の上部電極層(単数又は複数)318の形成により、上部電極層(単数又は複数)318の形成後のディスプレイ基板102の電気試験時に付加的な利点をもたらしてもよい。例えば、上部電極層318の形成前に特定の欠陥を検出することができず、マイクロLEDデバイス400Sの短絡が生じることがあった。短絡したマイクロLEDデバイス400Sの包含により、サブ画素内の他のマイクロLEDデバイスのいずれかではなく短絡したマイクロLEDデバイス400Sを通して電流全てが流れる暗サブ画素(dark subpixel)が発生する可能性がある。
図14に示される実施形態では、短絡したマイクロLEDデバイス400Sに接続された上部電極層318はレーザスクライビングなどの適切な技術を用いて切断される。このようにして、前述の総合的な試験法中に検出され得なかった又は検出されなかった電気的短絡を、電気的試験時、上部電極層318の形成後のディスプレイへの電流の印加により潜在的に検出することができる。このような実施形態においては、マイクロLEDデバイス400Sが短絡している場合、マイクロLEDデバイス400Sの上部電極層318を切断することができ、冗長及び/又は修復マイクロLEDデバイスがサブ画素から発光を提供することが可能になる。
【0063】
図15は、一実施形態に係るディスプレイシステム1500を示す。ディスプレイシステムは、プロセッサ1510と、データ受信機1520と、ディスプレイ1530と、スキャンドライバIC及びデータドライバICであってもよい1つ以上のディスプレイドライバIC1540と、を収容する。データ受信機1520はデータを無線又は有線で受信するように構成してもよい。無線は、Wi−Fi(登録商標)(IEEE802.11ファミリー)、WiMAX((登録商標)IEEE802.16ファミリー)、IEEE802.20、ロングタームエボリューション(LTE)(登録商標)、Ev−DO、HSPA+、HSDPA+、HSUPA+、EDGE、GSM(登録商標)、GPRS、CDMA、TDMA、DECT、Bluetooth(登録商標)、これらの派生物、並びに3G、4G、5G及びそれ以上として示される任意の他の無線プロトコルを含むが、これらに限定されないいくつかの無線規格又はプロトコルのいずれかにおいて実施してもよい。1つ以上のディスプレイドライバIC1540はディスプレイ1530に物理的かつ電気的に接続してもよい。
【0064】
いくつかの実施形態では、ディスプレイ1530は、上述の本発明の実施形態に従い形成される1つ以上のマイクロLEDデバイス400を含む。例えば、ディスプレイ1530は、上述のように複数のマイクロLEDデバイス、ダム構造及びパッシベーション層を含んでもよい。
【0065】
ディスプレイシステム1500は、その用途に応じて、他の構成要素を含んでもよい。これら他の構成要素としては、メモリ、タッチスクリーンコントローラ及びバッテリが挙げられるが、これらに限定されない。種々の実装形態においては、ディスプレイシステム1500はテレビ、タブレット、電話機、ノート型パソコン、コンピュータモニタ、キオスク、デジタルカメラ、手持ち式ゲームコンソール、メディアディスプレイ、電子書籍ディスプレイ又は大面積サイネージディスプレイであってもよい。
【0066】
図16は、一実施形態に係る照明システム1600を示す。照明システムは、電源1610を収容する。電源1610は、電力を受信するための受信インターフェース1620と、光源1640に供給される電力を制御するための電力制御ユニット1630と、を含んでもよい。電力は照明システム1600の外部から、又は照明システム1600内に任意選択的に含まれるバッテリから供給してもよい。いくつかの実施形態では、光源1640は、上述の本発明の実施形態に従い形成される1つ以上のマイクロLEDデバイス400を含む。例えば、光源1640は、上述のように複数のマイクロLEDデバイス、ダム構造及びパッシベーション層を含んでもよい。種々の実装形態においては、照明システム1600は広告板照明、建物照明、道路照明、電球及びランプなどの室内又は室外照明用途であってもよい。
【0067】
本発明の種々の態様の利用において、発光デバイスの対応する複数の反射バンク構造に複数のマイクロLEDデバイスを組み込むために上記実施形態の併用又は変形が可能であることは当業者には明らかとなろう。本発明を構造的特徴及び/又は方法論的行為に特定の言語で記載してきたが、添付の特許請求の範囲で定義される発明は記載した特定の特徴又は行為に必ずしも限定されないことは理解すべきである。むしろ、開示される特定の特徴及び行為は本発明を説明するのに有用な、請求される発明の特に洗練された(graceful)実装形態として理解されるべきである。