【課題を解決するための手段】
【0013】
発明に従い、この課題は請求項1に記載の方法によって及び請求項11に記載の装置によって解決される。好ましい更なる発展形は、従属する下位の請求項の対象である。
【0014】
本願の意味での制御
インパルスとは、運転者によってバランスバイクに与えられる機械的なすべての
インパルスであって、バランスバイクの走行挙動に影響を与えるものをいう。
【0015】
本願の意味での運転者特有のデータとは、センサーによって取得可能な物理量または特性又は運転者の制御
インパルスであって、バランスバイクの走行挙動に影響を与えるものをいう。
【0016】
本願の意味での車両特有のデータとは、センサーによって取得可能なすべての物理的特性であって、バランスバイクの空間中における評価状態、または空間自体を特徴づけるものをいう。
【0017】
本願の意味での運転者特有の量及び車両特有の量は、例えばハイパスフィルター又はローパスフィルターといった信号選定によって、又は数学的方法でデータから取得される値である。
【0018】
本願の意味における入力量は、バランスバイクの入力手段、例えばアクセルレバー又はブレーキレバーに与えられる運転者の制御
インパルスである。
【0019】
本願の意味での制御
インパルスはバランスバイクに入力量の形式で与えられるか、又は、運転者特有のデータ又は運転者特有の量の形式で与えられる。
【0020】
本願の意味での走行状況は、ある時点に対する、空間中におけるバランスバイクの予め定義された具体的な評価状況であり、これら状況に、バランスバイクの走行は、通常分割可能である。例えば加速的な直線発
車、カーブ走行、レーン変更、又は減速的な直線発
車である。
【0021】
本願の意味における検出パラメータは、車両特有の量(バランスバイクの空間中における現在の状態に関する表記)であり、所定の走行状況の確認の為に十分なものをいう。
【0022】
本願の意味での評価パラメータは、運転者特有の量、車両特有の量及び入力量であって、所定の走行状況を特徴づけおよび評価するために十分なものをいう。評価パラメータに基づいて、特に、ある所定の走行状況において運転者に対して危機的状況がどの程度存在しているかの見積もりが可能である。
【0023】
本願の意味での運転スタイルとは、これによってある走行状況において発生させられる制御
インパルスの全体である(運転者特有のデータ又は量及び入力量)。
【0024】
本願の意味での運転者タイプとは、予め定義された運転者のカテゴリーであり、これらカテゴリーに対して、ある所定の走行状況において、評価パラメータの様々な値領域が一つの危機的状況を特徴づける。よって、様々な運転者タイプに対して、所定のおよび危機的な走行状況に対して期待されるべき評価パラメータの、様々な期待値及び分散(Varianzen)による様々な分配が存在する。
本願の意味での危機的度合は、所定の走行状況の特性であって、所定の運転者にとって高い確率で克服することが出来ないものを言う。よって危機的状況は、しばしば事故に通じ、場合によっては人物損傷又は車両損傷に通じる。
【0025】
本願の意味での安全装置は、車両特有のデータ、例えばブレーキ圧、車輪回転数への積極的な影響力行使のための装置であり、又は消極的(受動的)安全システムの起動の為の装置、例えばエアバッグである。
【0026】
本発明に従う方法において、少なくとも二つのセンサーS1iからSniによって運転者特有のデータが取得され、そしてデータメモリ及び制御装置に伝達される。(なお本明細書、特許請求の範囲においては、
【0027】
【数1】
【0028】
を、センサーS1i、
【0029】
【数2】
【0030】
をSni等と記載することとする。)運転者特有のデータは、運転者の制御
インパルスまたは特性を特徴づけるデータであり、バランスバイクの走行挙動に影響を与える。そのような特性とは、例えば運転者の重量または重心であり、そしてそのような制御
インパルスは、バランスバイクの入力手段に与えられるものであり、例えば重量移動や運転者によって意図的にバランスバイクの側面やフットレストに与えられる圧力である。
【0031】
センサーは、好ましくは圧力センサー及び/又は光学センサー及び/又は力センサー及び/又は心拍又は他の運転者の心理的ストレス指標の取得のためのセンサーである。本願の意味での運転者特有のデータとして、入力量、つまりバランスバイクの入力手段又は制御手段において取得されることが可能であるデータは考慮しない。各バランスバイクの運転の際に機械的に又は電気的に取得されるこれらデータとしては、例えばアクセルワイヤまたはブレーキの操作の際のレベルが考慮される。
【0032】
本発明に係る方法においては、少なくとも一つの別のセンサーがS1jからSnjによって車両特有のデータが取得され、そして同様にデータメモリ及び制御装置に伝達される。その際、車両特有のデータは、バランス車両の走行挙動に影響を与えるか、またはバランスバイクの走行挙動自体を特徴づけるバランス車両の特性である。
【0033】
データメモリは、すべてのデータを所定の時間の間、連続的、周期的、又は定期的に保存するか、パーマネントメモリ又はリング
メモリの形式で保存する。後者の場合、データは定期的に新しいデータによって上書きされる。制御装置は、その後これらデータから静的及び/又は動的な運転者特有の及び車両特有の量を検出し、これらを要求に応じて保存する。入力手段の操作の際に与えられ、そして取得される制御
インパルスもまた、有利には制御装置によって保存される。
【0034】
その際、本発明の意味において、静的な量とは、バランスバイクの通常の環境での使用の間、及び所定の
公差範囲内で変化しない量である。これは運転者特有の量においては、特に、バランスバイクの静止状態における運転者の重量とシート
上でのその配分にあてはまる。光学センサーの有利な使用の際に、同様にバランスバイクの静止状態における運転者のシート高が、静的量として検出される。車両特有の量としては、例えばタイヤ圧が静的な量として考慮される。
【0035】
本発明の意味での動的な量とは、バランスバイクの通常状況における走行の間、変化にさらされる量をいう。その際、このようなバランスバイクの走行挙動の変化は重要である。その際運転者特有の量は、運転者の重心位置および動作、重量配分である。車両特有の量は、例えば、バランスバイクのロール角度、加速度及び重量のような値である。光学センサーの有利な使用の際にも、同様に、バランスバイク上における運転者の位置及び姿勢の変化が特定される。
【0036】
取得されるデータの特定される量への移行は、先ず、例えばバックグラウンド又はノイズの減算、明らかなエラー計測の選出、又は、ハイパスフィルターやローパスフィルターといったフィルターの使用等によって計測されるデータを浄化することにより行われる。取得されたデータからの運転者特有の及び車両特有の量の検出の為に、さらに、統計的な方法または他の数値
的な方法が利用される。センサ
ーの取得されるデータから、例えば、収集手段、つまり同じ時間に特性される複数のセンサーデータの手段が特定されることが可能であり、シートの所定の領域に平均的に及ぼされる圧力を検出する。更に、様々な時間に対してセンサーによって取得されるデータから、時間手段、つまり一つのセンサーによって所定の時間にわたって取得されるデータによる手段が形成されることが可能である。これによって、特定される時間の間、平均的にシートに及ぼされる圧力が検出される。計測されるデータの時間推移は、更に、例えば車輪回転数のデータに基づくバランスバイクの速度や加速度といった、他の値をそこから導き出すために使用される。更に有利には、計測されたデータは、時間的に外挿される。その様にして、取得されるデータから、更なる評価の基礎とされる量が検出される。
【0037】
運転者及び車両特有のデータの取得は、有利には、任意に調整可能な、定期的に繰り返される計測間隔で行われる。これらデータから、運転者及び車両特有の量の推移、特にダイナミックな量が特定されることが可能である。これらの量の相互関係を達成するため、運転者及び車両特有のデータの計測が、有利には同時に又は短時間に連続して行われる。通常、データの取得は、例えば100Hzといった高いタクトサイクルで行われる。更なる処理のため、運転者および車両特有の量の特定の為の第一の段階において、周波数領域及び/又は時間領域でのデータの縮小(Reduktion der Daten)が行われる。後に議論する、数値的な方法におけるデータの更なる使用の為に、時間ステップに関しての安定性
基準が保たれる必要がある。
【0038】
静的な運転者特有の量は、車両特有の量との相互関係の為に、副次的な意味を有する。これらは、特にリファレンス値として使用され、これらリファレンス値が、計測された運転者特有の量の質的評価を可能とする。運転者の重心位置又は重量配分の変化の、バランスバイクの走行挙動に対する作用を、計測された車両特有のデータと関連づけることができるように、バランスバイクの静止状態中に、運転者の重心位置又は重量配分を知ることは本質的である。静的な運転者特有の量は、よって、車両特有のデータが車両の静止状態にインデックス付けされるひとつの時点に対して取得されたデータから定期的に検出される。
【0039】
運転者特有の動的な量は、運転者の運転スタイルとは逆に、運転者によって与えられた制御
インパルスを特徴づける。というのは、これらが特に、その重量配分、位置、動作及び重心位置の時間的推移を表すからである。これらの量は、運転者によって与えられる制御
インパルスとして、バランス車両
の制御の為に特に重要である。というのは、これらはバランスバイク上での運転者の動作を特徴づけるからである。運転者のシート上での所定の圧力配分の存在自体が、運転者の所定の制御
インパルス又はこれによって予定される走行
軌道を確実に推定するのに、通常ではすでに十分である。よって例えば、左右のカーブ又はレーン変更をバランスバイクにおいて
開始することは、シート、フットレスト、及び/又は車両の側面での圧力配分の特徴的なシーケンスと結び付けられる。同様に特徴的な方法によって、重心分配及び運転者の位置が変化する。その上、追加的に光学センサーが使用されるとき、バランスバイクへの制御
インパルスへの更なる逆推論が、運転者の姿勢から引き出される。動的な運転者特有の量の検出によって、運転者によってバランスバイクの走行挙動に及ぼされる制御
インパルスが、高い確率で推定される。
【0040】
車両特有の動的な量は、同時に、バランスバイクの空間中での現在の状態を、運転者の制御
インパルスへの実際に行われた反応として特徴づけ、そしてそれによってバランスバイクの所定の走行状況を特徴づける。よって、例えばバランスバイクでの一定半径のカーブ走行における速度上昇は、同様により大きなロール角度と必然的に結び付けられる。このロール角度は、運転者による操舵角(入力量)の変更を介してか、又は重量移動(運転者特有の量)によって達成されることができる。カーブ走行自体は、二つの、短時間のうちに連続する反対向きのロール角度の変化と、その間に存在する台地状の部分又はロール率の対応する推移によって検出されることが可能である。走行状況検出の精確性を高めるために、別の量、例えばヨーレート又はヨー角度が参照されることも可能である。検出パラメータ、予め定義された車両特有の量の一部分を概観することによって、カーブ走行に対する一つの確認可能な一つのサンプルが生じ、同様のことは他の走行状況に対してもあてはまる。よって発明に従い、例えば左右へのそれぞれの、カーブ走行、レーン変更、回避、または追越しといった走行状況の確実な検出が、有利には車両特有の検出パラメータに基づいて行われる。これらパラメータは
、検出される車両特有の量の一部のみを成している(ausmachen)。
【0041】
そのような走行状況が確認されると、有利にはこれが、予め定義された評価パラメータに基づいて、車両特有の及び/又は運転者特有の量及び/又は特性量から選択されて、特徴づけられ、そして危機的状況の存在がチェックされる。その際、走行状況の特徴づけに対して特に重要であるのは、速度、加速度、操舵角、操舵トルク、ロール角度及び、ヨーレートの積分によって短い期間に対して計算されるヨー角度といった車両特有の量である。というのは、これらによってのみ、バランスバイクの典型的な走行状況の大部分の特徴づけが可能だからである。よって有利には、動的な車両特有の量に基づく定義された走行状況の確認によって、本発明に従う方法において、一つの状況の特徴づけの為に評価されるべきデータベースの大きさが最小限とされることが可能である。これは、演算性能とメモリーリソースを有利に節約し、そしてそれによって本発明に係る方法の加速に貢献する。
【0042】
所定の走行状況に対する評価パラメータに基づいて、有利には、この状況の暫定的な特徴づけ、又は一義的な特徴づけが行われることが可能である。そして例えば、そのようにして、危機的状況であるかが検出されることが可能である。その際まず、検出された走行状況、例えば加速された直線発
車または減速された直線発
車が、運転者の入力量、例えばアクセルグリップまたはブレーキの操作に対して直接の反応を表すかがチェックされる。入力量と走行状況のそのような一致は、例えば、上昇するロール角度、上昇するヨーレート、及び所定の運転者操舵角が認められるときにも存在する。このような場合であるとき、走行状況の特徴づけは、別の、運転者および車両特有の量並びに入力量から選択される、評価パラメータを考慮に入れた上で行われる。走行状況と運転者の入力量の間の関係が認められないとき、例えば車輪回転数の劇的な減少による減速された直線発
車の検出の場合で、その際運転者が、設定されたギアの段のもと、ブレーキも操作しないし、アクセルグリップ位置も変更しないとき、このような、入力量の評価に従いすでに高い確率で危機的状況が推定されることができる。
【0043】
運転者によって与えられる入力量への車両の反応として表されるある走行状況が存在するとき、次のステップで運転者の運転スタイルに基づく評価が行われる。その際有利には、現在及び過去のある運転者に対して一つの定義された状況において特定される制御
インパルスが比較される。これら制御
インパルスは一つの、所定の評価パラメータによって説明される走行状況における運転者の運転スタイルの特徴づけに対して十分である。これにより、制御
インパルスの比較に基づいて、運転者のその走行状況における現在の運転スタイルの典型的な運転スタイルからの逸脱が特定されることが可能である。評価パラメータを介して走行状況が特定されるので、運転者特有及び車両特有のと入力量の組合せが互いに比較される。現在の所定の運転スタイルの、過去にその運転者に対して取得された運転スタイルからの逸脱の程度に応じて、有利には、危機的状況の存在が推定される。
【0044】
さらに有利に
は、運転者の運転者タイプの特定は、所定の走行状況において特定される評価パラメータに基づいて行われる。運転者タイプに基づいて、有利には、走行状況の特徴づけが行われ、そして特に、危機的状況が存在するか特定される。このため、現在の特定される走行状況に関する評価パラメータが、有利には、様々な、事前に定義された領域に分類される。その際、これら値領域は、評価パラメータの、様々な運転者タイプに対して異なる運転者の技量に対して期待される値に相当する。これによって様々な運転者タイプに対して、様々な期待値及び分散による様々な分配が存在する。よって経験を有する運転者は、経験を有さない運転者よりも、カーブ状況中及び所定の速度において、大きなロール角度をコントロールすることができる。取得される評価パラメータの事前に定義される領域におけるカテゴリー化による運転者タイプの特定によって、有利には、どれほど危機的状況が存在するかの特徴づけが可能となる。よって、様々な運転者タイプに、これら各運転者タイプに対して越えられてはならない例えば様々な境界値が分類付けされることができる。特に、運転者タイプに応じて、運転者の現在の運転スタイルの典型的な運転スタイルからの逸脱の許容されうる逸脱が変化することが可能である。通常、熟達した運転者は、知らない状況または慣れていない状況を、経験の少ない運転者よりも良好に回避可能である。よって、運転者タイプは、運転者の現在の運転スタイルの典型的な運転スタイルからの逸脱のより正確な評価と、これによる走行状況の危機的度合の評価を可能とする。
【0045】
本発明に係る方法の有利な実施形においては、運転者の所定の走行状況における運転者タイプと
運転スタイルが、運転者特有の量に基づき特定される。その際、圧力センサー及び/又は光学センサー及び/又は力センサー及び/又は心拍周波数又は他の心理的ストレス指標の取得のためのセンサーによって取得される運転者特有のデータ、又はこれらから検出される運転者特有の量に関して、有利には、データベースの減少が行われる。というのは、定義された走行状況に対してそれぞれ、これらの量の一部分量のみが、状況の特徴づけのために必要とされるからである。特に有利には、運転者タイプの特定の為の運転者特有の量が、事前に定義された値領域に分類され、そして運転スタイルの比較の為に、その運転者に対して検出された現在の値と過去の値が比較される。
【0046】
特に有利には、運転者タイプの特徴づけが、所定の走行状況において計測される重量配分と、その走行状況のために事前に定義された重量配分サンプルとの比較に基づいて行われ、そして運転者の運転スタイルの特徴づけが、現在の重量配分が、過去のその運転者に対して検出された重量配分又は重量配分サンプルと比較されることによって行われる。重量配分サンプルは、その際、基本的な特徴、つまり例えば例えば、分配の最大値または最小値、減少された重量配分といった、所定の走行状況において典型的に発生するものである。その運転者において計測された現実の重量配分が、これら基本的特徴を有するとき、高い確率でもって、そのような各走行状況が存在することが推定される。
【0047】
「カーブ走行」という走行状況においては、例えば三つの異なる運転スタイルの間で区別されることが可能である。そしてそれらに、一義的に、所定の特徴を有する重量配分サンプルが分類付け可能である。ここでのカーブ走行の三つの運転スタイルは、いわゆる「リーンウィズ(Legen)」、「リーンアウト(Druecken)」、「ハングオフ(Hanging−off)」である。これらの各スタイルは、典型的な重量配分サンプルによって特徴づけられることが可能である。
【0048】
ひとつの定義された走行状況の間に計測された重量配分は、有利に
は、この状況に対して存在する重量配分サンプルと比較され、そしてこれらサンプルにその都度分類付けされる。これによって、所定の走行状況中においてどれくらいの頻繁で運転者が、これら状況に対して典型的な重量配分サンプルまたは運転スタイルうちの一つを有していたか、という分配が生ずる。カーブ走行に対しては、カーブ走行の間、運転者がどれくらい長く、「リーンウィズ」、「リーンアウト」、または「ハングオフ」という運転スタイルを占めているかが検出される。この分配に基づいて、引き続き、運転者タイプの特徴づけが行われる。
【0049】
カーブ走行中の運転スタイルの特定される運転スタイルの頻度分配に基づいて、運転者タイプの特徴づけの際、個々のスタイルの純然たる頻度からか、又は、これらの組合せ又は連続から、運転者タイプが推定される。「カーブ走行」という走行状況においては、「リーンウィズ」という運転スタイルは、初心者運転者と推定可能であり、「リーンアウト」は熟練した、そして「ハングオフ」というスタイルは、熟達した運転者であると推定可能である。よって、カーブ走行の間の個々のスタイルの存在に基づいて、直接運転者タイプの推定が可能である。カーブ走行中の
運転スタイルの発生時間に応じて、運転者タイプの混合形式も推定可能である。例えばこれは、運転者の運転マニューバを特徴づけるスコア値によって達成されることができる。このスコア値は、例えば、その走行状況中における個々のスタイルの頻度分布に基づいて、特定されることが可能である。
【0050】
車両特有及び運転者特有の量の相互関係によって、一つのバランスバイクに対して先ず、より改善された運転者タイプ及びその典型的な
運転スタイルの特徴づけが、所定の走行状況において生じる。その際、様々な運転者タイプは、異なる運転者の技量によって、及び反応しなければならない危機的状況における様々な能力によって特徴づけられる。運転者の具体的な運転態様が、運転スタイルとして称される。この運転スタイルは、所定の走行状況においてこれによって発生される制御
インパルス(運転者特有のデータ又は量並びに入力量)の全体の中で現れる。
【0051】
入力値を考慮して、運転者特有の及び車両特有の評価パラメータを使用することによって、特に、どのような走行状況が、規則的に、運転者の重量移動、重心移動、または位置移動という形式の如何なる入力信号を引き起こすか、運転者の運転者特有の如何なる制御
インパルスが、そのような走行状況の推移中において規則的に生じるか、又は未知として検出された所定の走行状況で、その運転者は、どのような入力信号によって反応するか、が検出されることが可能である。車両特有の及び運転者特有の量のこれら相互関係は、有利には、様々な目的のために利用されることが可能である。例えば、教習運転者に、彼によって誤って実施された動作シーケンス及びその結果を示すために、そのようにして得られた特徴づけの練習目的の為の使用することは有利である。本発明に従い取得されたデータから得られる典型的な運転スタイルの特徴づけは、更に有利には、この運転スタイルからの逸脱の検出の為に利用されることが可能である。
【0052】
運転者の運転者タイプ又は典型的な運転スタイルの特徴づけは、有利には以下のように行われることもできる。例えば、様々な走行状況に対して、車両特有の及び運転者特有の量及び/又はこの状況の評価パラメータの為の境界値が検出されることが可能であり、各状況においてこれら境界値を上回ることが、安全装置の作動または危機的度合に関する情報を運転車に発することに作用する。好ましくはその際、その運転者に対して検出される運転者タイプが、重要な境界値に対して影響を有する。例えば所定の走行状況における所定の速度において、通常、どのようなロール角度まで運転者がバランスバイクを倒すかということが検出されることが可能である。運転者タイプに応じた各値が上回られると、これは、運転者に対する危機的度合に関する情報の出力及び/又はアクティブまたはパッシブな保護装置の起動に通じる。さらに有利には、境界値は、これが、例えばパルス(Pulsschlag)、又はシート上での圧力分配といった運転者特有のデータに依存するという趣旨で可変である。これら運転者特有の値が典型的な領域から遠く離れ、そして運転者のストレス状況が示唆されるとき、安全装置の作動、又は運転者の警告が、車両特有の境界値が達成される前にすでに行われる。
【0053】
更なる有利な可能性は、値のテーブル又はデータフィールドが設置され、これらの中で、所定の運転者特有および車両特有の量並びに入力量が互いに相互に関係していることにある。これは、運転者の典型的な運転スタイルを特徴づけるデータベースに相当する。これは、所定の運転者特有及び車両特有の量の相互関係が、中央値や境界値においてのように、唯一の値や唯一の挙動に減少される必要が無いというメリットを有する。車両特有の量又は車両特有及び運転者特有の量並びに入力値の一部分のみを成している、走行状況の検出及び評価の為に必要な量の数量を減少することに基づいて、そのようなデータベースは、有利には、より少ないメモリースペースを必要とする。データの読み出し及び使用もまた、有利には、そのようにして加速されることが可能である。そして、このことは走行状況の評価も加速する。
【0054】
本発明に係る、運転者特有のデータ及び車両特有のデータの取得と、これらから特定される量の相互関係の有利な形式は、シミュレータ内でもバランスバイクの使用中にも行われることが可能である。シミュレータによって、運転者は意図的にかつ繰り返して、所定の定義された走行状況に置かれることが可能である。彼はこの状況を克服しなければならない。これは、データの取得と、相互に関係した量が、バランスバイクの安全装置の為の境界値の特定に使用されるべきときに適している。その際これらは、同じ走行状況の再現可能性に基づいて、より高い確実性で検出されることが可能である。
【0055】
データの取得と量の相互関係が、バランスバイクの使用中に行われるとき、特に値のテーブルやデータベースを設置することは、バランスバイクの安全装置の基礎として好ましい。そのようなテーブル又はデータベースの設置は、最終的には、例えばストリートコンディションや、あまりにも高速なカーブといった外部の状況を考慮する。これは、そのような走行状況で検出される値、特に車両特有の量がテーブルに取り入れられることによって行われる。しかしながらその際有利には、データベースを小さく保つために、所定の時間内に所定の頻度で検出される量のみが取り入れられる。運転者の典型的な運転スタイルからの逸脱と、これに伴う場合によっては発生する危機的状況は、記載した方法に従い、テーブル中に保存された及び/又はすでに事前に定義された値領域からの、現在取得されたデータとこれより検出される量の十分な逸脱により特徴づけられる。
【0056】
本発明の別の対象は、安全装置の為のデータの取得の装置である。
【0057】
その際この装置は、運転者特有のデータ、特に運転者の重量、重量配分、位置及び重心位置の検出のための、少なくとも二つのセンサーS1iからSniを有している。さらに装置は、車両特有のデータ、特にバランスバイクの速度、加速度及びロール角度を検出するための、少なくとも一つのセンサーS1jからSnjを有している。運転者特有のデータを取得するための少なくとも二つのセンサーと、車両特有のデータを取得するための少なくとも一つのセンサーは、データメモリ及び制御装置によって接続されている。その際、これらは同様に発明に従う装置の構成要素である。これらによって、運転者特有のデータと車両特有のデータの時間的に相互に関係した取得が制御され、そして取得されたデータは保存され及び評価される。これらのデータから、データメモリ及び制御装置を使って、静的な及び動的な、運転者特有の量と車両特有の量が検出される。その際、装置内に含まれているセンサーの接続は、適当なデータケーブルによって、またはケーブルレスで行われることができる。
【0058】
運転者特有のデータの取得のためのセンサーは、有利には、圧力センサー及び/又は光学センサー及び/又は心拍周波数又は他の心理的ストレス指標、例えば運転者の肌の伝導性の取得のためのセンサーである。特に有利な実施形においては、少なくとも二つの圧力センサーが、バランスバイクのシート内に組み込まれるか、又はこの上に設けられる。同様に有利であるのは、バランスバイクの側面における運転者の脚部内側の押圧面、フットレスト上に、ハンドグリップに、又は高速走行時における運転者の上体の載置領域に圧力センサー及び/又は力センサーの位置決めを行うことである。
【0059】
更に有利には、少なくとも二つの圧力センサーが、圧力センサーマット内に組み込まれ、その際、圧力センサーマットが、通常数百の、少なくとも数十の圧力センサーを有し、そしてこれら圧力センサーが、有利にはラスター状に柔軟な表面内に設置されている。センサーマットは、特に、圧力センサーをバランスバイクのシート内に組み込むことに適している。このセンサーマットは、有利には、バランスバイクの運転者シート内に組み込まれるか、またはこの上に設けられる。同様に有利には、圧力センサーマットの区分けが異なる領域に行われる。その際、この区分けは、取得されるデータの後の評価を、例えば、運転者の数及び/又は異なる圧力区域の事前選択に関して、容易なものとする。
【0060】
運転者特有のデータの取得のために光学センサーが使用されるとき、有利にはこれが、バランスバイクのハンドルの領域に位置決めされ、そしてバランスバイクの通常の走行方向と反対に向けられる。これら位置は、好ましくは、運転者の位置及び姿勢の光学的取得を可能とする。さらに有利な実施形においては、光学センサーによって目標マークの場所が特定される。その際、例えば、運転者の着衣又はヘルメットの中又は表面に存在する赤外線放射器が取り扱われる。有利には、これは、激しい対向ライトや迷光(Streulichtlicht)といった、光学的に悪い状況においても、運転者の輪郭の正確な取得を可能とする。光学センサーも圧力センサーも装置内に含まれるとき、データメモリと制御装置は、運転者特有のデータの光学センサーによる取得を、好ましくは圧力センサーによる取得及び少なくとも一つの他のセンサーによる取得と相互に関係させる。本発明にかかる装置の同様に有利な実施形においては、オンボードカメラが運転者特有のデータの取得のための光学センサーとして使用される。これは好ましくはハンドルの領域又はバランスバイクの制御装置の領域に存在する。
【0061】
車両特有のデータを取得するための少なくとも一つのセンサーは、回転数計、ジャイロスコピックセンサー、空圧センサー、回転角度センサー、液圧シリンダー内に組み込まれた位置センサー、タコグラフ、加速度センサー、回転率センサー及び/又は光学センサーである。これらセンサーは、好ましくはバランスバイクに取り付けられる結果、車両特有のデータの確実かつエラーの無い計測を補償する。
【0062】
本発明の他の対象は、請求項1から10に記載の方法における圧力センサーマットの使用である。
【0063】
更に、請求項11から16に記載の装置中の圧力センサーマットの使用も本発明の対象である。
【0064】
以下に、本発明の有利な実施形を実施例に基づき、及び図面によって説明する。