特許第6159541号(P6159541)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6159541バランス車両の安全装置のためのデータの取得のための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6159541
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】バランス車両の安全装置のためのデータの取得のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G07C 5/00 20060101AFI20170626BHJP
   B62J 27/00 20060101ALI20170626BHJP
【FI】
   G07C5/00 Z
   B62J27/00 B
【請求項の数】13
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-41802(P2013-41802)
(22)【出願日】2013年3月4日
(65)【公開番号】特開2013-186897(P2013-186897A)
(43)【公開日】2013年9月19日
【審査請求日】2013年7月10日
【審判番号】不服2015-11407(P2015-11407/J1)
【審判請求日】2015年6月17日
(31)【優先権主張番号】10 2012 203 462.5
(32)【優先日】2012年3月5日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513052930
【氏名又は名称】エフエスデー・ファールツォイクジュステームダーテン・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】ティーノ・シュタッフェティーウス
【合議体】
【審判長】 高木 彰
【審判官】 内藤 真徳
【審判官】 山口 直
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2004/0035630(US,A1)
【文献】 特開2003−337028(JP,A)
【文献】 特開2011−227883(JP,A)
【文献】 特開2010−12903(JP,A)
【文献】 特表2003−519596(JP,A)
【文献】 特開2012−8790(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07C 5/00 Z
B62J 27/00 B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バランス車両の安全装置のためのデータを取得する方法であって、
a)少なくとも二つのセンサーS1iからSniによって運転者特有のデータが取得され、
b)少なくとも一つの別のセンサーS1jからSnjによって車両特有のデータが取得され、
c)a)およびb)で取得されたデータがデータメモリ兼制御装置に伝達され、このデータメモリ兼制御装置によって保存され、
d)これらデータから、静的及び/又は動的な運転者特有の量及び車両特有の量が検出され、
e)センサーS1iからSniが、圧力センサーとして及び/又は光学センサーとして形成されており、
その際、車両特有の量の検出パラメータとして使用される少なくとも一つの部分の値及び/又は時間的シーケンスに基づいて走行状況が走行中に検出されること、
その際、車両特有の量及び運転者特有の量及び入力量の評価パラメータとして使用される少なくとも一つの部分の値及び/又は時間的シーケンスに基づいて走行状況が特徴づけられ、前記入力量は、バランスバイクの入力手段に与えられる制御インパルスであり、その際、一つの走行状況において検出された運転者特有の量又は入力量から、運転者の運転スタイルが特定されることを特徴とする方法。
【請求項2】
センサーS1iからSniによって取得されたデータから、静的及び/又は動的な運転者特有の量が検出され、およびこれらが保存され並びに評価され、
少なくとも一つの別のセンサーS1jからSnjによって取得されたデータから静的及び/又は動的な車両特有の量が検出され、およびこれらが保存され並びに評価され、及び/又は
バランスバイクの入力手段に与えられる制御インパルスが、入力量として検出され、およびこれらが保存され並びに評価されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
一つの走行状況における現在の運転スタイルを運転者の典型的な運転スタイルと比較することにより、その走行状況の特徴づけが行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
事前に定義された値領域中に、一つの走行状況における評価パラメータを分類することによって運転者の運転者タイプが特定されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
典型的な運転スタイルからの現在の運転スタイルの逸脱が、運転者タイプに応じて評価されることを特徴とする請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
位置、動き、及び/又は重心位置及び/又は重量配分を含む、運転者特有の量に基づいて、運転者の運転者タイプと運転スタイルが特定されることを特徴とする請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
運転者特有のデータ及び車両特有のデータの取得が、シミュレータ内で行われる又はバランスバイクの走行中に行われることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
バランス車両の安全装置のためのデータの取得装置であって、運転者特有のデータの取得のための少なくとも二つのセンサーS1iからSniと、車両特有のデータの取得のための少なくとも一つの別のセンサーS1jからSnjが、データメモリ兼制御装置と接続されており、及びこのデータメモリ兼制御装置が、運転者及び車両特有のデータと入力量の時間的に相互に作用する取得を制御し、これらデータ及び入力量を保存し及び評価し、これらデータ及び入力量から静的及び動的な運転者特有の量及び車両特有の量を検出し、前記入力量は、バランスバイクの入力手段に与えられる制御インパルスであり、
その際、車両特有の量の検出パラメータとして使用される少なくとも一つの部分の値及び/又は時間的シーケンスに基づいて走行状況が走行中に検出されること、その際、車両特有の量及び運転者特有の量及び入力量の評価パラメータとして使用される少なくとも一つの部分の値及び/又は時間的シーケンスに基づいて走行状況が特徴づけられること、その際、一つの走行状況において検出された運転者特有の量又は入力量から、運転者の運転スタイルが特定されることを特徴とする装置。
【請求項9】
センサーS1iからSniが圧力センサーとして及び/又は光学センサーとして形成されており、バランスバイクの運転者シート、同乗者シート、カバー部材、フットレスト、及び/又はハンドルに組み込まれている、又はこれら構造物に設けられていることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
センサーS1iからSniが、力センサー及び/又は心拍又は他の心理的ストレス指標取得のためのセンサーを含むことを特徴とする請求項8または9に記載の装置。
【請求項11】
センサーS1iからSniが圧力センサーとして平坦に設けられており、及び/又は平らな薄いキャリア上に設けられ、センサーマットの形式で設けられていることを特徴とする請求項8から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
センサーS1iからSniが、オンボードカメラとして形成されていることを特徴とする請求項8から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
車両特有のデータの取得のためのセンサーとして、回転数センサー、ジャイロスコープセンサー、空圧センサー、加速センサー、回転率センサー、液圧シリンダー中に組み込まれた位置センサー、タコグラフ、音響センサー、温度センサー、及び/又は光学センサーが使用されることを特徴とする請求項8から12のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バランス車両の安全装置のためのデータの取得のための方法および装置に関する。例えばモーターサイクル、スクーター、自転車等といったバランス車両を運転する者は、事故の際にきわめて高い負傷リスクにさらされる。特に、動力駆動されるバランス車両においては、このリスクは明らかに大きい。というのは事故は、通常、高速状況で発生するからである。
【背景技術】
【0002】
そのような車両や、また自動車や他の車の運転者を、事故の前、最中、および後に保護するために、技術的解決策が存在する。事故は、典型的には、重大な状況から導かれるので、適切な技術的解決策は、これらの状況を運転者よりも前に検出し、そして対抗措置を取る。
【0003】
事故の経過中に作動される保護装置は、運転者又は同乗者を事故の直接の影響から守る。この例がエアバッグである。このような保護措置においては、保護装置は、現在の運転状況を一または複数のセンサーを通じて取得し、そして通常閾値を越えた際に作動される。
【0004】
その際従来は、特にPKW(乗用車)においては、センサーによって、ヨーレート及び/又はヨー角度、ピッチレート及び/又はピッチ角度、ロール率及び/又はロール角度、車両速度、車両加速度及び/又はハンドルの角度位置といったパラメータが取得される。これらデータに基づいて、異なる道路上における境界値の特定が行われ、この境界値が越えられると、保護装置の作動に通じる。
【0005】
特許文献1に従い、境界値的な車両特性が、定義された時間間隔中に、および各運転者に依存せずに、ある数量の危機的状況、つまり境界値を越えるということが起こるという仮定のもと特定される。したがって、選択された車両データの計測された現状値に依存して、境界値が差閾値の形式で、ある時間間隔中に、境界値を越えるということに対する期待されるべき静的数量が発生するよう調整される。よって、熟練を積んだ運転者の場合、初心者運転者よりも境界値は通常高く調整されることが可能である。このことは基本的に多くの運転者の保護装置の適合についてあてはまる。この評価の基礎となる境界越えの静的に期待されるべき数量は、様々な車両パラメータに関して異なることが可能であり、そして事前に定義される必要がある。
【0006】
特許文献2には、同様に、走行ダイナミクス的な値、特に境界値の運転者に特有な調整のための方法が記載されている。しかしその際、これら値の調整は、車両の走行運転中ではなく、例えば走行シミュレータといった極端なテスト環境において行われる。これら走行シミュレータ中では、様々な走行状況が吸収される必要がある。例えば車両のヨーレート、横加速度及び/又は横滑り角等に対する、特に横ダイナミクスの境界値が、シミュレーションの間に特定される。これらは、調整装置または制御装置中に保存され、そして後に車両中のESPシステムの調整の為に使用される。様々な運転者が一つの車両を共通して使用する場合、これに対応して様々な運転者プロフィールが、調整又は制御装置中に保存される。各運転者プロフィールの選択は、その際、運転者自身によって手動式で行われるか、又は、車両中における計測された現在のデータの比較に応じて自動的に行われる。
【0007】
車両中で使用される他のセンサーは、車両のエレクトロニクスに補助的情報を供給するために使用される。その際、危機的量自体を監視することはしない。そのようなセンサーは、例えばシート位置センサー又は重量センサーであり、これらが、複数の人物が車両を使用していること、及び彼らがどれくらいの重量であるかに関する情報を提供する。特許文献3は、このため、モーターサイクルのシートベンチに対する二分割式のマットを意図する。その際マットの各部分は、圧力センサーを備え、これが、同乗者が座っているかどうかと、その同乗者が如何なる重量であるかを提供する。その後、集められた情報は、ABSの制御の為に処理される。
【0008】
安全装置の作動又は状況の為のインテリジェント式のデータ取得を行うための、先行技術より公知の多くの解決策について、これらが、自動車又は三輪車両又は複数車輪車両(以下自動車称する)のために、設計されていることは共通である。よって、通常これらはバランス車両には移管できない。
【0009】
バランスバイクの為の特別なデータ取得のための解決策は、特許文献4中に、動力を備える単一走行トラック車両(シングルトラック車両)の為の走行ダイナミクスコントロールの方法及び走行コントローラーという形式で開示されている。その際、本方法の基礎は、車両に取り付けられた一または複数のカメラを使った画像シーケンスの取得である。このシーケンスにより、シングルトラック車両の空間中における姿勢が検出され、そしてそこから、その前輪または後輪の持ち上がりの傾向が検出される。そのような危険な状況が恐れられるとき、前輪ブレーキ又は後輪ブレーキのブレーキ圧が変更され、前輪又は後輪の持ち上がりに反対の作用を及ぼす。画像シーケンスに基づき、カーブ走行中においても、どれくらいの危機的状況が存在するかが検出される。「危機的度合」に応じて、その後場合によっては、ブレーキングやABS制御技術の駆動が行われ、タイヤの接地消失が回避される。取得されたデータは、更に他の車両安全システムのコントロール、例えばABSやエアバッグの為に使用される。
【0010】
容易に取得可能なバランスバイクの入力手段に与えられる制御インパルス(入力量)、例えばアクセルワイヤ(Gaszug)の操作やブレーキの操等の他にも、バランスバイクにおいては複数の更なる他の形式の運転者による制御インパルスが存在する。これらインパルスは、車両の各反応と同様に、自動車のものに基づき様々である。特にこれは、運転者が、全身をバランス車両の制御プロセスに、特に重量移動(Gewichtsverlagerungen)によって関与させるという点にある。その際、付随的に発生するデータは、例えばハンドルのステアリングロック角度や、アクセルワイヤの操作といった入力量よりもはるかに複雑かつ困難に把握可能である。運転者の重量移動にどれほどバランスバイクが追従するか、又はこれによって実施に望まれる走行挙動が達成されるかは、同様に、自動車と比較して困難を伴ってのみ取得可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】独国特許出願第10 2008 047 727 A1号明細書
【特許文献2】国際公開第2008/046744 A1号明細書
【特許文献3】米国特許出願第2004/0035630 A1号明細書
【特許文献4】独国特許出願第10 2005 028 995 A2号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、先行技術の欠点を克服し、バランス車両の安全装置の為のデータ取得の方法及び装置を提供することである。取得されるデータは、その際、バランス車両の安全装置内での使用のために適しており、及び好ましくは、保護装置の作動又はバランス車両内の他のシステムの為の補助的情報を提供するために使用される。
【課題を解決するための手段】
【0013】
発明に従い、この課題は請求項1に記載の方法によって及び請求項11に記載の装置によって解決される。好ましい更なる発展形は、従属する下位の請求項の対象である。
【0014】
本願の意味での制御インパルスとは、運転者によってバランスバイクに与えられる機械的なすべてのインパルスであって、バランスバイクの走行挙動に影響を与えるものをいう。
【0015】
本願の意味での運転者特有のデータとは、センサーによって取得可能な物理量または特性又は運転者の制御インパルスであって、バランスバイクの走行挙動に影響を与えるものをいう。
【0016】
本願の意味での車両特有のデータとは、センサーによって取得可能なすべての物理的特性であって、バランスバイクの空間中における評価状態、または空間自体を特徴づけるものをいう。
【0017】
本願の意味での運転者特有の量及び車両特有の量は、例えばハイパスフィルター又はローパスフィルターといった信号選定によって、又は数学的方法でデータから取得される値である。
【0018】
本願の意味における入力量は、バランスバイクの入力手段、例えばアクセルレバー又はブレーキレバーに与えられる運転者の制御インパルスである。
【0019】
本願の意味での制御インパルスはバランスバイクに入力量の形式で与えられるか、又は、運転者特有のデータ又は運転者特有の量の形式で与えられる。
【0020】
本願の意味での走行状況は、ある時点に対する、空間中におけるバランスバイクの予め定義された具体的な評価状況であり、これら状況に、バランスバイクの走行は、通常分割可能である。例えば加速的な直線発、カーブ走行、レーン変更、又は減速的な直線発である。
【0021】
本願の意味における検出パラメータは、車両特有の量(バランスバイクの空間中における現在の状態に関する表記)であり、所定の走行状況の確認の為に十分なものをいう。
【0022】
本願の意味での評価パラメータは、運転者特有の量、車両特有の量及び入力量であって、所定の走行状況を特徴づけおよび評価するために十分なものをいう。評価パラメータに基づいて、特に、ある所定の走行状況において運転者に対して危機的状況がどの程度存在しているかの見積もりが可能である。
【0023】
本願の意味での運転スタイルとは、これによってある走行状況において発生させられる制御インパルスの全体である(運転者特有のデータ又は量及び入力量)。
【0024】
本願の意味での運転者タイプとは、予め定義された運転者のカテゴリーであり、これらカテゴリーに対して、ある所定の走行状況において、評価パラメータの様々な値領域が一つの危機的状況を特徴づける。よって、様々な運転者タイプに対して、所定のおよび危機的な走行状況に対して期待されるべき評価パラメータの、様々な期待値及び分散(Varianzen)による様々な分配が存在する。
本願の意味での危機的度合は、所定の走行状況の特性であって、所定の運転者にとって高い確率で克服することが出来ないものを言う。よって危機的状況は、しばしば事故に通じ、場合によっては人物損傷又は車両損傷に通じる。
【0025】
本願の意味での安全装置は、車両特有のデータ、例えばブレーキ圧、車輪回転数への積極的な影響力行使のための装置であり、又は消極的(受動的)安全システムの起動の為の装置、例えばエアバッグである。
【0026】
本発明に従う方法において、少なくとも二つのセンサーS1iからSniによって運転者特有のデータが取得され、そしてデータメモリ及び制御装置に伝達される。(なお本明細書、特許請求の範囲においては、
【0027】
【数1】
【0028】
を、センサーS1i、
【0029】
【数2】
【0030】
をSni等と記載することとする。)運転者特有のデータは、運転者の制御インパルスまたは特性を特徴づけるデータであり、バランスバイクの走行挙動に影響を与える。そのような特性とは、例えば運転者の重量または重心であり、そしてそのような制御インパルスは、バランスバイクの入力手段に与えられるものであり、例えば重量移動や運転者によって意図的にバランスバイクの側面やフットレストに与えられる圧力である。
【0031】
センサーは、好ましくは圧力センサー及び/又は光学センサー及び/又は力センサー及び/又は心拍又は他の運転者の心理的ストレス指標の取得のためのセンサーである。本願の意味での運転者特有のデータとして、入力量、つまりバランスバイクの入力手段又は制御手段において取得されることが可能であるデータは考慮しない。各バランスバイクの運転の際に機械的に又は電気的に取得されるこれらデータとしては、例えばアクセルワイヤまたはブレーキの操作の際のレベルが考慮される。
【0032】
本発明に係る方法においては、少なくとも一つの別のセンサーがS1jからSnjによって車両特有のデータが取得され、そして同様にデータメモリ及び制御装置に伝達される。その際、車両特有のデータは、バランス車両の走行挙動に影響を与えるか、またはバランスバイクの走行挙動自体を特徴づけるバランス車両の特性である。
【0033】
データメモリは、すべてのデータを所定の時間の間、連続的、周期的、又は定期的に保存するか、パーマネントメモリ又はリングメモリの形式で保存する。後者の場合、データは定期的に新しいデータによって上書きされる。制御装置は、その後これらデータから静的及び/又は動的な運転者特有の及び車両特有の量を検出し、これらを要求に応じて保存する。入力手段の操作の際に与えられ、そして取得される制御インパルスもまた、有利には制御装置によって保存される。
【0034】
その際、本発明の意味において、静的な量とは、バランスバイクの通常の環境での使用の間、及び所定の差範囲内で変化しない量である。これは運転者特有の量においては、特に、バランスバイクの静止状態における運転者の重量とシートでのその配分にあてはまる。光学センサーの有利な使用の際に、同様にバランスバイクの静止状態における運転者のシート高が、静的量として検出される。車両特有の量としては、例えばタイヤ圧が静的な量として考慮される。
【0035】
本発明の意味での動的な量とは、バランスバイクの通常状況における走行の間、変化にさらされる量をいう。その際、このようなバランスバイクの走行挙動の変化は重要である。その際運転者特有の量は、運転者の重心位置および動作、重量配分である。車両特有の量は、例えば、バランスバイクのロール角度、加速度及び重量のような値である。光学センサーの有利な使用の際にも、同様に、バランスバイク上における運転者の位置及び姿勢の変化が特定される。
【0036】
取得されるデータの特定される量への移行は、先ず、例えばバックグラウンド又はノイズの減算、明らかなエラー計測の選出、又は、ハイパスフィルターやローパスフィルターといったフィルターの使用等によって計測されるデータを浄化することにより行われる。取得されたデータからの運転者特有の及び車両特有の量の検出の為に、さらに、統計的な方法または他の数値的な方法が利用される。センサーの取得されるデータから、例えば、収集手段、つまり同じ時間に特性される複数のセンサーデータの手段が特定されることが可能であり、シートの所定の領域に平均的に及ぼされる圧力を検出する。更に、様々な時間に対してセンサーによって取得されるデータから、時間手段、つまり一つのセンサーによって所定の時間にわたって取得されるデータによる手段が形成されることが可能である。これによって、特定される時間の間、平均的にシートに及ぼされる圧力が検出される。計測されるデータの時間推移は、更に、例えば車輪回転数のデータに基づくバランスバイクの速度や加速度といった、他の値をそこから導き出すために使用される。更に有利には、計測されたデータは、時間的に外挿される。その様にして、取得されるデータから、更なる評価の基礎とされる量が検出される。
【0037】
運転者及び車両特有のデータの取得は、有利には、任意に調整可能な、定期的に繰り返される計測間隔で行われる。これらデータから、運転者及び車両特有の量の推移、特にダイナミックな量が特定されることが可能である。これらの量の相互関係を達成するため、運転者及び車両特有のデータの計測が、有利には同時に又は短時間に連続して行われる。通常、データの取得は、例えば100Hzといった高いタクトサイクルで行われる。更なる処理のため、運転者および車両特有の量の特定の為の第一の段階において、周波数領域及び/又は時間領域でのデータの縮小(Reduktion der Daten)が行われる。後に議論する、数値的な方法におけるデータの更なる使用の為に、時間ステップに関しての安定性基準が保たれる必要がある。
【0038】
静的な運転者特有の量は、車両特有の量との相互関係の為に、副次的な意味を有する。これらは、特にリファレンス値として使用され、これらリファレンス値が、計測された運転者特有の量の質的評価を可能とする。運転者の重心位置又は重量配分の変化の、バランスバイクの走行挙動に対する作用を、計測された車両特有のデータと関連づけることができるように、バランスバイクの静止状態中に、運転者の重心位置又は重量配分を知ることは本質的である。静的な運転者特有の量は、よって、車両特有のデータが車両の静止状態にインデックス付けされるひとつの時点に対して取得されたデータから定期的に検出される。
【0039】
運転者特有の動的な量は、運転者の運転スタイルとは逆に、運転者によって与えられた制御インパルスを特徴づける。というのは、これらが特に、その重量配分、位置、動作及び重心位置の時間的推移を表すからである。これらの量は、運転者によって与えられる制御インパルスとして、バランス車両制御の為に特に重要である。というのは、これらはバランスバイク上での運転者の動作を特徴づけるからである。運転者のシート上での所定の圧力配分の存在自体が、運転者の所定の制御インパルス又はこれによって予定される走行軌道を確実に推定するのに、通常ではすでに十分である。よって例えば、左右のカーブ又はレーン変更をバランスバイクにおいて開始することは、シート、フットレスト、及び/又は車両の側面での圧力配分の特徴的なシーケンスと結び付けられる。同様に特徴的な方法によって、重心分配及び運転者の位置が変化する。その上、追加的に光学センサーが使用されるとき、バランスバイクへの制御インパルスへの更なる逆推論が、運転者の姿勢から引き出される。動的な運転者特有の量の検出によって、運転者によってバランスバイクの走行挙動に及ぼされる制御インパルスが、高い確率で推定される。
【0040】
車両特有の動的な量は、同時に、バランスバイクの空間中での現在の状態を、運転者の制御インパルスへの実際に行われた反応として特徴づけ、そしてそれによってバランスバイクの所定の走行状況を特徴づける。よって、例えばバランスバイクでの一定半径のカーブ走行における速度上昇は、同様により大きなロール角度と必然的に結び付けられる。このロール角度は、運転者による操舵角(入力量)の変更を介してか、又は重量移動(運転者特有の量)によって達成されることができる。カーブ走行自体は、二つの、短時間のうちに連続する反対向きのロール角度の変化と、その間に存在する台地状の部分又はロール率の対応する推移によって検出されることが可能である。走行状況検出の精確性を高めるために、別の量、例えばヨーレート又はヨー角度が参照されることも可能である。検出パラメータ、予め定義された車両特有の量の一部分を概観することによって、カーブ走行に対する一つの確認可能な一つのサンプルが生じ、同様のことは他の走行状況に対してもあてはまる。よって発明に従い、例えば左右へのそれぞれの、カーブ走行、レーン変更、回避、または追越しといった走行状況の確実な検出が、有利には車両特有の検出パラメータに基づいて行われる。これらパラメータは、検出される車両特有の量の一部のみを成している(ausmachen)。
【0041】
そのような走行状況が確認されると、有利にはこれが、予め定義された評価パラメータに基づいて、車両特有の及び/又は運転者特有の量及び/又は特性量から選択されて、特徴づけられ、そして危機的状況の存在がチェックされる。その際、走行状況の特徴づけに対して特に重要であるのは、速度、加速度、操舵角、操舵トルク、ロール角度及び、ヨーレートの積分によって短い期間に対して計算されるヨー角度といった車両特有の量である。というのは、これらによってのみ、バランスバイクの典型的な走行状況の大部分の特徴づけが可能だからである。よって有利には、動的な車両特有の量に基づく定義された走行状況の確認によって、本発明に従う方法において、一つの状況の特徴づけの為に評価されるべきデータベースの大きさが最小限とされることが可能である。これは、演算性能とメモリーリソースを有利に節約し、そしてそれによって本発明に係る方法の加速に貢献する。
【0042】
所定の走行状況に対する評価パラメータに基づいて、有利には、この状況の暫定的な特徴づけ、又は一義的な特徴づけが行われることが可能である。そして例えば、そのようにして、危機的状況であるかが検出されることが可能である。その際まず、検出された走行状況、例えば加速された直線発または減速された直線発が、運転者の入力量、例えばアクセルグリップまたはブレーキの操作に対して直接の反応を表すかがチェックされる。入力量と走行状況のそのような一致は、例えば、上昇するロール角度、上昇するヨーレート、及び所定の運転者操舵角が認められるときにも存在する。このような場合であるとき、走行状況の特徴づけは、別の、運転者および車両特有の量並びに入力量から選択される、評価パラメータを考慮に入れた上で行われる。走行状況と運転者の入力量の間の関係が認められないとき、例えば車輪回転数の劇的な減少による減速された直線発の検出の場合で、その際運転者が、設定されたギアの段のもと、ブレーキも操作しないし、アクセルグリップ位置も変更しないとき、このような、入力量の評価に従いすでに高い確率で危機的状況が推定されることができる。
【0043】
運転者によって与えられる入力量への車両の反応として表されるある走行状況が存在するとき、次のステップで運転者の運転スタイルに基づく評価が行われる。その際有利には、現在及び過去のある運転者に対して一つの定義された状況において特定される制御インパルスが比較される。これら制御インパルスは一つの、所定の評価パラメータによって説明される走行状況における運転者の運転スタイルの特徴づけに対して十分である。これにより、制御インパルスの比較に基づいて、運転者のその走行状況における現在の運転スタイルの典型的な運転スタイルからの逸脱が特定されることが可能である。評価パラメータを介して走行状況が特定されるので、運転者特有及び車両特有のと入力量の組合せが互いに比較される。現在の所定の運転スタイルの、過去にその運転者に対して取得された運転スタイルからの逸脱の程度に応じて、有利には、危機的状況の存在が推定される。
【0044】
さらに有利に、運転者の運転者タイプの特定は、所定の走行状況において特定される評価パラメータに基づいて行われる。運転者タイプに基づいて、有利には、走行状況の特徴づけが行われ、そして特に、危機的状況が存在するか特定される。このため、現在の特定される走行状況に関する評価パラメータが、有利には、様々な、事前に定義された領域に分類される。その際、これら値領域は、評価パラメータの、様々な運転者タイプに対して異なる運転者の技量に対して期待される値に相当する。これによって様々な運転者タイプに対して、様々な期待値及び分散による様々な分配が存在する。よって経験を有する運転者は、経験を有さない運転者よりも、カーブ状況中及び所定の速度において、大きなロール角度をコントロールすることができる。取得される評価パラメータの事前に定義される領域におけるカテゴリー化による運転者タイプの特定によって、有利には、どれほど危機的状況が存在するかの特徴づけが可能となる。よって、様々な運転者タイプに、これら各運転者タイプに対して越えられてはならない例えば様々な境界値が分類付けされることができる。特に、運転者タイプに応じて、運転者の現在の運転スタイルの典型的な運転スタイルからの逸脱の許容されうる逸脱が変化することが可能である。通常、熟達した運転者は、知らない状況または慣れていない状況を、経験の少ない運転者よりも良好に回避可能である。よって、運転者タイプは、運転者の現在の運転スタイルの典型的な運転スタイルからの逸脱のより正確な評価と、これによる走行状況の危機的度合の評価を可能とする。
【0045】
本発明に係る方法の有利な実施形においては、運転者の所定の走行状況における運転者タイプと運転スタイルが、運転者特有の量に基づき特定される。その際、圧力センサー及び/又は光学センサー及び/又は力センサー及び/又は心拍周波数又は他の心理的ストレス指標の取得のためのセンサーによって取得される運転者特有のデータ、又はこれらから検出される運転者特有の量に関して、有利には、データベースの減少が行われる。というのは、定義された走行状況に対してそれぞれ、これらの量の一部分量のみが、状況の特徴づけのために必要とされるからである。特に有利には、運転者タイプの特定の為の運転者特有の量が、事前に定義された値領域に分類され、そして運転スタイルの比較の為に、その運転者に対して検出された現在の値と過去の値が比較される。
【0046】
特に有利には、運転者タイプの特徴づけが、所定の走行状況において計測される重量配分と、その走行状況のために事前に定義された重量配分サンプルとの比較に基づいて行われ、そして運転者の運転スタイルの特徴づけが、現在の重量配分が、過去のその運転者に対して検出された重量配分又は重量配分サンプルと比較されることによって行われる。重量配分サンプルは、その際、基本的な特徴、つまり例えば例えば、分配の最大値または最小値、減少された重量配分といった、所定の走行状況において典型的に発生するものである。その運転者において計測された現実の重量配分が、これら基本的特徴を有するとき、高い確率でもって、そのような各走行状況が存在することが推定される。
【0047】
「カーブ走行」という走行状況においては、例えば三つの異なる運転スタイルの間で区別されることが可能である。そしてそれらに、一義的に、所定の特徴を有する重量配分サンプルが分類付け可能である。ここでのカーブ走行の三つの運転スタイルは、いわゆる「リーンウィズ(Legen)」、「リーンアウト(Druecken)」、「ハングオフ(Hanging−off)」である。これらの各スタイルは、典型的な重量配分サンプルによって特徴づけられることが可能である。
【0048】
ひとつの定義された走行状況の間に計測された重量配分は、有利に、この状況に対して存在する重量配分サンプルと比較され、そしてこれらサンプルにその都度分類付けされる。これによって、所定の走行状況中においてどれくらいの頻繁で運転者が、これら状況に対して典型的な重量配分サンプルまたは運転スタイルうちの一つを有していたか、という分配が生ずる。カーブ走行に対しては、カーブ走行の間、運転者がどれくらい長く、「リーンウィズ」、「リーンアウト」、または「ハングオフ」という運転スタイルを占めているかが検出される。この分配に基づいて、引き続き、運転者タイプの特徴づけが行われる。
【0049】
カーブ走行中の運転スタイルの特定される運転スタイルの頻度分配に基づいて、運転者タイプの特徴づけの際、個々のスタイルの純然たる頻度からか、又は、これらの組合せ又は連続から、運転者タイプが推定される。「カーブ走行」という走行状況においては、「リーンウィズ」という運転スタイルは、初心者運転者と推定可能であり、「リーンアウト」は熟練した、そして「ハングオフ」というスタイルは、熟達した運転者であると推定可能である。よって、カーブ走行の間の個々のスタイルの存在に基づいて、直接運転者タイプの推定が可能である。カーブ走行中の運転スタイルの発生時間に応じて、運転者タイプの混合形式も推定可能である。例えばこれは、運転者の運転マニューバを特徴づけるスコア値によって達成されることができる。このスコア値は、例えば、その走行状況中における個々のスタイルの頻度分布に基づいて、特定されることが可能である。
【0050】
車両特有及び運転者特有の量の相互関係によって、一つのバランスバイクに対して先ず、より改善された運転者タイプ及びその典型的な運転スタイルの特徴づけが、所定の走行状況において生じる。その際、様々な運転者タイプは、異なる運転者の技量によって、及び反応しなければならない危機的状況における様々な能力によって特徴づけられる。運転者の具体的な運転態様が、運転スタイルとして称される。この運転スタイルは、所定の走行状況においてこれによって発生される制御インパルス(運転者特有のデータ又は量並びに入力量)の全体の中で現れる。
【0051】
入力値を考慮して、運転者特有の及び車両特有の評価パラメータを使用することによって、特に、どのような走行状況が、規則的に、運転者の重量移動、重心移動、または位置移動という形式の如何なる入力信号を引き起こすか、運転者の運転者特有の如何なる制御インパルスが、そのような走行状況の推移中において規則的に生じるか、又は未知として検出された所定の走行状況で、その運転者は、どのような入力信号によって反応するか、が検出されることが可能である。車両特有の及び運転者特有の量のこれら相互関係は、有利には、様々な目的のために利用されることが可能である。例えば、教習運転者に、彼によって誤って実施された動作シーケンス及びその結果を示すために、そのようにして得られた特徴づけの練習目的の為の使用することは有利である。本発明に従い取得されたデータから得られる典型的な運転スタイルの特徴づけは、更に有利には、この運転スタイルからの逸脱の検出の為に利用されることが可能である。
【0052】
運転者の運転者タイプ又は典型的な運転スタイルの特徴づけは、有利には以下のように行われることもできる。例えば、様々な走行状況に対して、車両特有の及び運転者特有の量及び/又はこの状況の評価パラメータの為の境界値が検出されることが可能であり、各状況においてこれら境界値を上回ることが、安全装置の作動または危機的度合に関する情報を運転車に発することに作用する。好ましくはその際、その運転者に対して検出される運転者タイプが、重要な境界値に対して影響を有する。例えば所定の走行状況における所定の速度において、通常、どのようなロール角度まで運転者がバランスバイクを倒すかということが検出されることが可能である。運転者タイプに応じた各値が上回られると、これは、運転者に対する危機的度合に関する情報の出力及び/又はアクティブまたはパッシブな保護装置の起動に通じる。さらに有利には、境界値は、これが、例えばパルス(Pulsschlag)、又はシート上での圧力分配といった運転者特有のデータに依存するという趣旨で可変である。これら運転者特有の値が典型的な領域から遠く離れ、そして運転者のストレス状況が示唆されるとき、安全装置の作動、又は運転者の警告が、車両特有の境界値が達成される前にすでに行われる。
【0053】
更なる有利な可能性は、値のテーブル又はデータフィールドが設置され、これらの中で、所定の運転者特有および車両特有の量並びに入力量が互いに相互に関係していることにある。これは、運転者の典型的な運転スタイルを特徴づけるデータベースに相当する。これは、所定の運転者特有及び車両特有の量の相互関係が、中央値や境界値においてのように、唯一の値や唯一の挙動に減少される必要が無いというメリットを有する。車両特有の量又は車両特有及び運転者特有の量並びに入力値の一部分のみを成している、走行状況の検出及び評価の為に必要な量の数量を減少することに基づいて、そのようなデータベースは、有利には、より少ないメモリースペースを必要とする。データの読み出し及び使用もまた、有利には、そのようにして加速されることが可能である。そして、このことは走行状況の評価も加速する。
【0054】
本発明に係る、運転者特有のデータ及び車両特有のデータの取得と、これらから特定される量の相互関係の有利な形式は、シミュレータ内でもバランスバイクの使用中にも行われることが可能である。シミュレータによって、運転者は意図的にかつ繰り返して、所定の定義された走行状況に置かれることが可能である。彼はこの状況を克服しなければならない。これは、データの取得と、相互に関係した量が、バランスバイクの安全装置の為の境界値の特定に使用されるべきときに適している。その際これらは、同じ走行状況の再現可能性に基づいて、より高い確実性で検出されることが可能である。
【0055】
データの取得と量の相互関係が、バランスバイクの使用中に行われるとき、特に値のテーブルやデータベースを設置することは、バランスバイクの安全装置の基礎として好ましい。そのようなテーブル又はデータベースの設置は、最終的には、例えばストリートコンディションや、あまりにも高速なカーブといった外部の状況を考慮する。これは、そのような走行状況で検出される値、特に車両特有の量がテーブルに取り入れられることによって行われる。しかしながらその際有利には、データベースを小さく保つために、所定の時間内に所定の頻度で検出される量のみが取り入れられる。運転者の典型的な運転スタイルからの逸脱と、これに伴う場合によっては発生する危機的状況は、記載した方法に従い、テーブル中に保存された及び/又はすでに事前に定義された値領域からの、現在取得されたデータとこれより検出される量の十分な逸脱により特徴づけられる。
【0056】
本発明の別の対象は、安全装置の為のデータの取得の装置である。
【0057】
その際この装置は、運転者特有のデータ、特に運転者の重量、重量配分、位置及び重心位置の検出のための、少なくとも二つのセンサーS1iからSniを有している。さらに装置は、車両特有のデータ、特にバランスバイクの速度、加速度及びロール角度を検出するための、少なくとも一つのセンサーS1jからSnjを有している。運転者特有のデータを取得するための少なくとも二つのセンサーと、車両特有のデータを取得するための少なくとも一つのセンサーは、データメモリ及び制御装置によって接続されている。その際、これらは同様に発明に従う装置の構成要素である。これらによって、運転者特有のデータと車両特有のデータの時間的に相互に関係した取得が制御され、そして取得されたデータは保存され及び評価される。これらのデータから、データメモリ及び制御装置を使って、静的な及び動的な、運転者特有の量と車両特有の量が検出される。その際、装置内に含まれているセンサーの接続は、適当なデータケーブルによって、またはケーブルレスで行われることができる。
【0058】
運転者特有のデータの取得のためのセンサーは、有利には、圧力センサー及び/又は光学センサー及び/又は心拍周波数又は他の心理的ストレス指標、例えば運転者の肌の伝導性の取得のためのセンサーである。特に有利な実施形においては、少なくとも二つの圧力センサーが、バランスバイクのシート内に組み込まれるか、又はこの上に設けられる。同様に有利であるのは、バランスバイクの側面における運転者の脚部内側の押圧面、フットレスト上に、ハンドグリップに、又は高速走行時における運転者の上体の載置領域に圧力センサー及び/又は力センサーの位置決めを行うことである。
【0059】
更に有利には、少なくとも二つの圧力センサーが、圧力センサーマット内に組み込まれ、その際、圧力センサーマットが、通常数百の、少なくとも数十の圧力センサーを有し、そしてこれら圧力センサーが、有利にはラスター状に柔軟な表面内に設置されている。センサーマットは、特に、圧力センサーをバランスバイクのシート内に組み込むことに適している。このセンサーマットは、有利には、バランスバイクの運転者シート内に組み込まれるか、またはこの上に設けられる。同様に有利には、圧力センサーマットの区分けが異なる領域に行われる。その際、この区分けは、取得されるデータの後の評価を、例えば、運転者の数及び/又は異なる圧力区域の事前選択に関して、容易なものとする。
【0060】
運転者特有のデータの取得のために光学センサーが使用されるとき、有利にはこれが、バランスバイクのハンドルの領域に位置決めされ、そしてバランスバイクの通常の走行方向と反対に向けられる。これら位置は、好ましくは、運転者の位置及び姿勢の光学的取得を可能とする。さらに有利な実施形においては、光学センサーによって目標マークの場所が特定される。その際、例えば、運転者の着衣又はヘルメットの中又は表面に存在する赤外線放射器が取り扱われる。有利には、これは、激しい対向ライトや迷光(Streulichtlicht)といった、光学的に悪い状況においても、運転者の輪郭の正確な取得を可能とする。光学センサーも圧力センサーも装置内に含まれるとき、データメモリと制御装置は、運転者特有のデータの光学センサーによる取得を、好ましくは圧力センサーによる取得及び少なくとも一つの他のセンサーによる取得と相互に関係させる。本発明にかかる装置の同様に有利な実施形においては、オンボードカメラが運転者特有のデータの取得のための光学センサーとして使用される。これは好ましくはハンドルの領域又はバランスバイクの制御装置の領域に存在する。
【0061】
車両特有のデータを取得するための少なくとも一つのセンサーは、回転数計、ジャイロスコピックセンサー、空圧センサー、回転角度センサー、液圧シリンダー内に組み込まれた位置センサー、タコグラフ、加速度センサー、回転率センサー及び/又は光学センサーである。これらセンサーは、好ましくはバランスバイクに取り付けられる結果、車両特有のデータの確実かつエラーの無い計測を補償する。
【0062】
本発明の他の対象は、請求項1から10に記載の方法における圧力センサーマットの使用である。
【0063】
更に、請求項11から16に記載の装置中の圧力センサーマットの使用も本発明の対象である。
【0064】
以下に、本発明の有利な実施形を実施例に基づき、及び図面によって説明する。
【図面の簡単な説明】
【0065】
図1】走行状況「右カーブ走行」における運転スタイル「リーンウィズ」に対する重量配分サンプルの簡略図。(低い圧力の領域は水平方向に、中間圧力領域は垂直方向に、高い圧力の領域は交差してハッチングしている。)
図2】走行状況「右カーブ走行」における運転スタイル「リーンアウト」に対する重量配分サンプルの簡略図。(低い圧力の領域は水平方向に、中間圧力領域は垂直方向に、高い圧力の領域は交差してハッチングしている。)
図3】走行状況「右カーブ走行」における運転スタイル「ハングオフ」に対する重量配分サンプルの簡略図。(低い圧力の領域は水平方向に、中間圧力領域は垂直方向に、高い圧力の領域は交差してハッチングしている。)
図4】本発明に係る方法のブロックダイアグラム。
【発明を実施するための形態】
【0066】
BMW R1200GSタイプのモーターサイクルのシートが、TekScan社の圧力センサーマットを装備している。この圧力センサーマットは、32×32のマトリクス状に設けられた圧力センサーを有している。これらセンサーマットは、運転者シートの表面に全面にわたって設けられている。圧力センサーマット、運転者のシート上における重量配分は、テストコース上での20分の走行の間取得される。これらのデータは、100Hzの周波数で、データレコーダ上に保存される。さらに、運転者に向けられたオンボードカメラがモーターサイクル上には設けられ、このカメラによって、運転者のテスト走行中の位置が、画像レート100fpsにて取得され、そして同様にデータレコーダ上に保存される。追加的に、運転者の心拍周波数も取得され、100Hzの周波数で走査スキャンされる。
【0067】
さらに車両特有のデータ、モーターサイクルの速度および加速度が、走行中に車輪回転数センサーによって取得される。同時に、ロール角度が、モーターサイクルの両側に設けられた二つのレーザーセンサによって検出される。車両特有のデータは、100Hzの周波数でもって取得され、そしてデータレコーダに保存される。入力手段に与えられる制御インパルス、つまりアクセルグリップの位置、ブレーキおよびクラッチの操作、及び位置選択といった入力量も同様に、100Hzの周波数で取得される。図4に表されるように、まず運転者特有のデータ及び車両特有のデータ並びに入力量が取得される。
【0068】
取得される運転者特有のデータ及び車両特有のデータ並びに入力量の時間的同期が引き続いて行われ、そして三つの異なる走行状況、つまり「カーブ走行」、「一定の直線発」、「加速された直線発」が評価される。その際、以下には走行状況「カーブ走行」のみが記載される。
【0069】
各走行状況に対する計測データの分類は、車両特有の量に基づいて行われる(図4、「走行条件検出」参照)。走行状況「カーブ走行」に、一つの時点に対して取得されたデータが分類付けされる。その際、この時点に対しては、レーザーセンサによって、−35°から+35°の範囲のロール角度が検出され、そして車輪回転数センサーによって5km/hを越える速度が取得される。20分のテスト走行の間、全体で70回のカーブ走行が行われるという結果となる。検出されたカーブ走行は、その際、まず入力量によって、走行状況が、所定の境界内で入力量に反応を表すか、または、危機的状況であるか(図4「走行状況評価1」参照)を検出するために、もっともらしさの判定を行われる(wurde plausibilisiert)。危機的状況の場合においては、この箇所ですでに、アクティブ又はパッシブ式の安全システムが作動され、及び/又は、運転者に警告表示が与えられる。
【0070】
そのようにして定義されたカーブ走行の間に取得される運転者特有の量は、運転スタイルと危機的度合に関して調査される。このため、圧力センサーマットを使って記録される重量配分が、三つの運転スタイル「リーンウィズ」「リーンアウト」及び「ハングオフ」に属する重量配分サンプルと比較される。重量配分サンプルは、その際、計測されたデータと同じフォーマットであるが、しかし、各運転スタイルの典型的な特徴に減少されている。
【0071】
このため、圧力センサーマットを使って取得されるデータは、16×16のセンサーを有する四つの象限に区分けされる。どの象限に重量配分の最大値が落とされるかに応じて、及び個々の象限内で積分される(integriert)全圧力の比較に基づいて、取得された重量配分が、個々の運転スタイルに分類付けされる。個々の運転スタイルの重量配分サンプルは、図1−3に右方向カーブに対して簡略的に表されている。
【0072】
運転スタイル「リーンイン」に対する重量配分サンプルの図1に示された簡略的図は、他の運転スタイルに比較して、最も大きな全載置面によって、第四象限における最大圧力によって、及び全四象限への均等な圧力分配によって特徴づけられる。
【0073】
図2に示される、運転スタイル「リーンアウト」に対する重量配分サンプルの簡略図は、その際、他の運転スタイルに比較して、第三象限における圧力最大によってと、第2象限における圧力最少を伴う不均等な圧力分配によって特徴づけられる。
【0074】
図3に表される、運転スタイル「ハングオフ」に対する重量配分の簡略図は、その際、他の運転スタイルに比較して、最も小さな全載置面によって、第四象限における圧力最大によって、及び不均等な、主として第一及び第三象限に限定される圧力分配によって特徴づけられる。
【0075】
重量配分の評価は、運転者が、カーブ走行の83%の間運転スタイル「ハングオフ」を、13%の間回転スタイル「リーンアウト」を、そして4%の間、運転スタイル「リーンウィズ」を行っている結果となる。よってまず、運転者特有の量に基づき、運転者の運転スタイルだけが、カーブ走行の間に検出される(図4「運転スタイル検出1」参照)。これらデータは、引き続いて、その走行状況「カーブ走行」において過去に与えられた運転者特有のデータ、つまりこの走行状況に典型的なその運転者の運転スタイルと比較される。運転者の現在の挙動の過去の挙動からの逸脱に基づいて、入力量を考慮しつつ、危機的走行状況である可能性があるかどうか特定される(図4「走行状況評価2」参照)。手掛かり(Schluessel)にもとづいて、カーブ走行中における三つの運転スタイルの比率的分配から、その運転者に対する8.2ポイントから場合によっては10ポイントのスコア値が検出され、そしてこれによりその運転者タイプが検出される。この場合、熟達した運転者であると特定される(図4「運転者タイプの特定」参照)運転者タイプに基づいて、すでに予め特定された、その運転者の現在の運転スタイルの典型的な運転スタイルからの逸脱が評価される。その際、経験を有する運転者又は熟達した運転者は、なれない状況を、又は大きな逸脱を、経験を有さない運転者よりも良好に回避することができる(図4「走行状況評価3」参照)。定義された走行状況において現在の運転スタイルを、その運転者の典型的な運転スタイルと重みづけして比較することに基づいて、および入力量を考慮しつつ、その後、危機的状況が存在するかどうか特定される。この場合、アクティブ式又はパッシブ式の安全システムが作動され、及び/又は警告表示が運転者に与えられる。
【0076】
走行状況「カーブ走行」の危機的度合の評価に、運転者のストレス状況を示す運転者特有のデータが取り入れられる。この例においては、走行の評価は、運転スタイル「ハングオフ」を伴うカーブ走行の三つの場合において、後輪ブレーキが操作され、そしてアクセルグリップが戻されたという結果を生じる。これら三つの各場合において、運転者の心拍周波数が、平均95Hzから平均125Hzへ突然上昇するという事態が現れる。運転者がカーブを通り過ぎた後、心拍周波数は、再び平均的なレベル95Hzまで戻る。このような心臓周波数の短時間の上昇は、運転者にとってのストレス状況を暗示する。このことは、運転者への後からのアンケートによって確認されている。これら上表は、バランス車両に対する安全装置に追加的に出力値として伝達されることが可能であり、これによって、危機的状況に、運転者の情報を通じてまたは積極的介入により反対に作用する。
図1
図2
図3
図4