特許第6159563号(P6159563)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6159563少なくとも1つのパワー半導体コンポーネント用の基板を製造するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6159563
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】少なくとも1つのパワー半導体コンポーネント用の基板を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20170626BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20170626BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20170626BHJP
   H05K 3/24 20060101ALI20170626BHJP
【FI】
   H01L23/12 Q
   H01L25/04 C
   H05K3/24 A
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-88232(P2013-88232)
(22)【出願日】2013年4月19日
(65)【公開番号】特開2013-229603(P2013-229603A)
(43)【公開日】2013年11月7日
【審査請求日】2015年11月12日
(31)【優先権主張番号】10 2012 206 758.2
(32)【優先日】2012年4月25日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】592221975
【氏名又は名称】ゼミクロン エレクトローニク ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100091867
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 アキラ
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】クルト・ゲオルク ベーゼンデルファー
(72)【発明者】
【氏名】ハイコ ブラムル
(72)【発明者】
【氏名】ナトヤ エルトナー
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ゲープル
(72)【発明者】
【氏名】ハラルト コボラ
【審査官】 豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−266787(JP,A)
【文献】 特開2006−286754(JP,A)
【文献】 特開2006−310796(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0058354(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L23/12−23/15
25/00−25/07
25/10−25/11
25/16−25/18
H05K 3/10−3/26
3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのパワー半導体コンポーネント(18、19)用の基板(7)を製造するための方法であって、以下の方法ステップ、
a)セラミックからなる非導電性の絶縁材料体(1)を提供するステップと、
b)狭い導体トラック(21)を有する第1の領域(22a)と、少なくとも1つの幅広い導体トラック(20a、20b)を有する第2の領域(22b)とを有する、構造化された導電性の第1の金属化層(2a)を、前記絶縁材料体(1)の第1の側面(15a)上に適用するステップと、
c)前記少なくとも1つの幅広い導体トラック(20a、20b)上に第1の金属層(5)を電解析出するステップと、
を備えて構成される方法。
【請求項2】
方法ステップb)と方法ステップc)との間に、
− 前記狭い導体トラック(21)に非導電性レジスト層(3)を適用すること、および
方法ステップc)の後に、
− 前記非導電性レジスト層(3)を除去すること、
を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
以下の後続の方法ステップ、
− 前記狭い導体トラック(21)および/または前記第1の金属層(5)上に第2の金属層(10)を電解析出するステップを備える、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの幅広い導体トラック(20a)が、少なくとも3000μmの幅(b)を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記狭い導体トラック(21)が100μm〜1000μmの幅(b’)を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の金属化層(2a)が1μm〜30μmの厚さを有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の金属化層(2a)が銀および/または銅を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の金属層(5)が100μm〜500μmの厚さを有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
方法ステップb)が追加的に、
− 前記絶縁材料体(1)の前記第1の側面(15a)の反対側に配置される前記絶縁材料体(1)の第2の側面(15b)に第2の金属化層(2b)を適用することを含み、
方法ステップc)が追加的に、
− 前記第2の金属化層(2b)上に第3の金属層(6)を電解析出することを含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の金属化層(2a)が接続導体トラック(8)を有し、前記第2の領域(22b)が、少なくとも1つの第1および1つの第2の幅広い導体トラック(20a、20b)を有し、前記接続導体トラック(8)が、前記第1の金属化層(2a)から形成された導電性の第1の接続ウェブ(9)の第1の数を介して、前記第1の幅広い導体トラック(20a)に接続され、前記第1の幅広い導体トラック(20a)が、前記第1の金属化層(2a)から形成された導電性の第2の接続ウェブ(9’)の第2の数を介して、前記第2の幅広い導体トラック(20b)に接続され、前記接続ウェブ(9、9’)のそれぞれの数および/または前記接続ウェブ(9、9’)のそれぞれの幅(c)が、前記それぞれの幅広い導体トラック(20a、20b)と前記接続導体トラック(8)との間の距離(a)に依存し、かつ前記距離(a)が増加するにつれて増加することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の金属化層(2a)が接続導体トラック(8)を有し、前記第2の領域(22b)が、少なくとも1つの第1および1つの第2の幅広い導体トラック(20a、20b)を有し、前記接続導体トラック(8)が、前記第1および第2の幅広い導体トラック(20a、20b)からほぼ同一の距離(a)にあり、前記接続導体トラック(8)が、前記第1の金属化層(2a)から形成された第1の接続ウェブ(9)を介して、前記第1の幅広い導体トラック(20a)に接続され、かつ前記第1の金属化層(2a)から形成された第2の接続ウェブ(9’)を介して、前記第2の幅広い導体トラック(20b)に接続されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の金属層(5)が銅からなることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
パワー半導体モジュール(26)を製造するための方法であって、請求項1〜12のいずれか一項に記載の少なくとも1つのパワー半導体コンポーネント(18、19)用の基板(7)を製造するための方法を含み、以下のさらなる方法ステップ、
e)前記少なくとも1つのパワー半導体コンポーネント(18、19)を、前記第1の金属層(5)に接続するか、または前記第1の金属層(5)上に第2の金属層(10)が配置された場合、前記第1の金属層(5)上に配置された前記第2の金属層(10)に接続し、かつ少なくとも1つの集積回路(17)を、前記狭い導体トラック(21)に接続するか、または前記狭い導体トラック(21)上に第2の金属層(10)が配置された場合、前記狭い導体トラック(21)上に配置された前記第2の金属層(10)に接続するステップを備える、方法。
【請求項14】
前記それぞれの接続するステップが、密着によって、特に焼結またははんだ付け接続によって達成される、請求項13に記載のパワー半導体モジュールを製造するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのパワー半導体コンポーネント用の基板を製造するための方法に関する
【背景技術】
【0002】
例えばIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)、MOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)、サイリスタ、またはダイオードなどのパワー半導体コンポーネントが、例えば、電圧および電流を整流し反転するためにとりわけ用いられ、その場合には一般に、例えばコンバータを実現するための複数のパワー半導体コンポーネントが、互いに電気的に接続される。この場合に、パワー半導体コンポーネントは、一般に基板上に配置され、基板は、一般にヒートシンクに直接または間接的に接続される。
【0003】
パワー半導体コンポーネントは、通常、パワー半導体モジュールを製造する目的で基板上に配置され、かつその基板に接続される。この場合に、基板は、例えば、DCB基板の形態で存在することができる。この場合に、基板は、構造化された導電性金属層を有し、この金属層は、その構造のゆえに導体トラックを形成する。パワー半導体コンポーネントは、パワー半導体コンポーネントを通って流れ、かつ高電流強度を有する負荷電流がまた、導電性金属層の導体トラックを通って流れるように、導体トラックを介して互いに接続される。
【0004】
DCB基板を製造するために、均一な厚さの金属プレートを、通常はセラミックからなる絶縁材料体上に接合すること、および続いて導体トラック構造を金属プレートからエッチングすることが、当該技術分野における従来的な慣行である。負荷電流が、導体トラックを通って流れなければならないので、導体トラックは、高電流容量を有しなければならず、それで金属プレートは、厚くなければならず、導体トラックは、さらに幅広くなければならない。この場合に、負荷電流は、例えばパワー半導体モジュールから、パワー半導体モジュールに接続された、例えば電動機などの負荷に流れる。
【0005】
実際には、例えば、パワー半導体コンポーネントを駆動するためのドライブエレクトロニクスを実現するために、今日では、例えばマイクロチップの形態で存在できる集積回路が用いられる。それらの寸法が小さいゆえに、集積回路は、それらを接続できる狭い導体トラックを必要とする。この場合に、一般に、低電流強度を有する電流だけが、集積回路用の導体トラックを通って流れ、それで集積回路用の導体トラックは、狭く、小さな厚さで製造することができる。
【0006】
しかしながら、例えば当該技術分野の従来のDCB基板における金属プレートの比較的大きな厚さゆえに、金属プレートの対応する微細構造化によって、集積回路用に必要とされるような狭い導体トラックを製造することは不可能である。なぜなら、パワー半導体の負荷電流用の必要な電流容量を実現するために要求される金属プレートの比較的大きな厚さのゆえに、集積回路用の狭い導体トラックをエッチングする間に、酸がまた、導体トラックが生じるように意図された位置を被覆する被覆レジストの下で横方向に材料をエッチングし、かくして狭い導体トラックが破壊されるからである。
【0007】
したがって、先行技術は、通常、パワー半導体コンポーネントが配置される基板とは別個の回路ボードを設け、例えば、パワー半導体コンポーネントを駆動するドライブエレクトロニクスを実現のための集積回路は、前記回路ボード上に配置される。これは、導電性接続部(例えばワイヤ接続部)を基板と回路ボードとの間に設けなければならないという欠点を有し、それは、パワー半導体コンポーネントを備えた対応する基板、および集積回路を備えた対応する回路ボードを含むパワー半導体モジュールの信頼性に悪影響を及ぼし、かつパワー半導体モジュールの製造を複雑にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、負荷電流を伝達できる少なくとも1つの導体トラック、および集積回路への接続が可能な導体トラックを有する基板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
その目的は、少なくとも1つのパワー半導体コンポーネント用の基板を製造するための方法であって、以下の方法ステップ、
a)非導電性絶縁材料体を提供するステップと、
b)狭い導体トラック(21)を有する第1の領域(22a)と、少なくとも1つの幅広い導体トラック(20a、20b)を有する第2の領域(22b)とを有する、構造化された導電性の第1の金属化層(2a)を、前記絶縁材料体(1)の第1の側面(15a)上に適用するステップと、
c)第1の金属層を少なくとも1つの幅広い導体トラック上に電解析出するステップと、
を含む方法によって達成される。
【0010】
さらに、その目的は、少なくとも1つのパワー半導体コンポーネント用の基板であって、その基板が、非導電性絶縁材料体と、絶縁材料体の第1の側面上に配置された、構造化された第1の金属化層と、を有し、第1の金属化層が第1および第2の領域を有し、第1の領域が、狭い導体トラックを有し、第2の領域が、少なくとも1つの幅広い導体トラックを有し、第1の金属層が、少なくとも1つの幅広い導体トラック上に配置される基板によって達成される。
【0011】
本発明によって、少なくとも1つのパワー半導体コンポーネントおよび少なくとも1つの集積回路用に共通の基板を使用することが可能になる。したがって、本発明によって、少なくとも1つの集積回路用に別個の回路ボードを設けることがもはや必要ではなくなる。したがって、パワー半導体モジュールの製造は、本発明によって単純化され、同時にパワー半導体モジュールの信頼性が向上される。
【0012】
方法の有利な実施形態は、基板の有利な実施形態と同様に生じ、逆もまた同様である。
【0013】
本発明の有利な実施形態は、従属請求項から生じる。
【0014】
方法ステップb)とc)との間で、
−非導電性レジスト層が、狭い導体トラックに適用され、かつ方法ステップc)の後で、
−非導電性レジスト層が除去される
場合には有利であることが分かる。
【0015】
非導電性レジスト層を狭い導体トラックに適用することによって、狭い導体トラック上への第1の金属層の電解析出を防ぐことが単純な方法で可能になる。
【0016】
以下の後続の方法ステップ、すなわち、
−狭い導体トラックおよび/または第1の金属層上に第2の金属層を電解析出するステップ
が実行される場合には有利であることが分かる。
【0017】
第2の金属層は、第1の金属層用の保護層として、および/または例えば焼結またははんだ付け接続などの密着接続用の接着接続層として働くのが好ましい。
【0018】
少なくとも1つの幅広い導体トラックが、少なくとも3000μmの幅を有する場合には有利であることが分かる。なぜなら、導体トラックの電流容量が、少なくとも1つの幅広い導体トラックの幅が増加するにつれて向上するからである。
【0019】
さらに、狭い導体トラックが、100μm〜1000μmの幅を有する場合には有利であることが分かる。なぜなら、その場合には、通常用いられる全ての集積回路を狭い導体トラックに接続できるからである。
【0020】
さらに、第1の金属化層が、1μm〜30μmの厚さを有する場合には有利であることが分かる。なぜなら、その場合には第1の金属化層の優れた機械的安定性が保証されるからである。
【0021】
さらに、第1の金属化層が、銀および/または銅を含む場合には有利であることが分かる。なぜなら、それによって、第1の金属化層の高い電気および熱伝導率が達成されるからである。
【0022】
さらに、第1の金属層が、100μm〜500μmの厚さを有する場合には有利であることが分かる。なぜなら、その場合には高電流容量が得られるからである。
【0023】
さらに、方法ステップc)が、
−第2の金属化層を絶縁材料体の第2の側面に適用することであって、第2の側面が、絶縁材料体の第1の側面の反対側に配置されることをさらに含み、
方法ステップd)が、
−第3の金属層を第2の金属化層上に電解析出することをさらに含む場合には有利であることが分かる。
【0024】
第3の金属層は、基板をプレートまたはヒートシンクに接続するために働くのが好ましい。
【0025】
さらに、第1の金属化層が、接続導体トラックを有し、第2の領域が、少なくとも1つの第1および1つの第2の幅広い導体トラックを有し、接続導体トラックが、第1の金属化層から形成された、導電性の第1の接続ウェブの第1の数を介して、第1の幅広い導体トラックに接続され、第1の幅広い導体トラックが、第1の金属化層から形成された、導電性の第2の接続ウェブの第2の数を介して、第2の幅広い導体トラックに接続され、接続ウェブのそれぞれの数および/または接続ウェブのそれぞれの幅が、それぞれの幅広い導体トラックと接続導体トラックとの間の距離に依存し、かつ距離が増加するにつれて増加する場合には有利であることが分かる。この方策によって、第1および第2の幅広い導体トラック上における第1の金属層のほぼ均一な厚さが保証される。
【0026】
さらに、第1の金属化層が、接続導体トラックを有し、第2の領域が、少なくとも1つの第1および1つの第2の幅広い導体トラックを有し、接続導体トラックが、第1および第2の幅広い導体トラックからほぼ同一の距離にあり、接続トラックが、第1の金属化層から形成された第1の接続ウェブを介して、第1の幅広い導体トラックに接続され、かつ第1の金属化層から形成された第2の接続ウェブを介して、第2の幅広い導体トラックに接続される場合には有利であることが分かる。この方策によって、第1および第2の幅広い導体トラック上における第1の金属層のほぼ均一な厚さが保証される。
【0027】
さらに、第1の金属層が、銅からなる場合には有利であることが分かる。なぜなら、銅が、高い電気伝導率を有するからである。
【0028】
さらに、方法が、少なくとも1つのパワー半導体コンポーネントを、第1の金属層に接続するか、または第2の金属層が第1の金属層上に配置された場合に、第1の金属層上に配置された第2の金属層に接続するステップと、少なくとも1つの集積回路を、狭い導体トラックに接続するか、または第2の金属層が狭い導体トラック上に配置された場合に、狭い導体トラック上に配置された第2の金属層に接続するステップと、を含む場合には有利であることが分かる。なぜなら、このようにして単純な方法でパワー半導体モジュールを製造できるからである。
【0029】
さらに、それぞれの接続プロセスが、密着によって、特に焼結またははんだ付け接続によって達成される場合には有利であることが分かる。なぜなら、例えば焼結またははんだ付け接続などの密着接続が、パワー半導体モジュールの場合の慣習的な接続を構成するからである。
【0030】
さらに、少なくとも1つのパワー半導体コンポーネントが、基板上に配置されて第1の金属層に導電接続され、少なくとも1つの集積回路が、基板上に配置されて狭い導体トラックに導電接続される場合には有利であることが分かる。これは、特に信頼できるパワー半導体モジュールを結果としてもたらす。
【0031】
本発明の例示的な実施形態を図に示し、下記でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明による方法ステップが実行された後の基板ブランクを概略断面図の形で示す。
図2】さらなる方法ステップが実行された後の基板ブランクを概略断面図の形で示す。
図3】さらなる方法ステップが実行された後の基板ブランクを概略断面図の形で示す。
図4】さらなる方法ステップが実行された後の本発明による基板を概略断面図の形で示す。
図5】本発明による方法ステップが実行された後の基板ブランクを、基板ブランクの上方から概略図の形で示す。
図6】方法ステップが実行された後の基板ブランクのさらなる実施形態を、基板ブランクの上方から概略図の形で示す。
図7】方法ステップが実行された後の基板ブランクのさらなる実施形態を、基板ブランクの上方から概略図の形で示す。
図8】さらなる方法ステップが実行された後の本発明による基板のさらなる実施形態を概略断面図の形で示す。
図9】本発明によるパワー半導体モジュールを概略断面図の形で示す。
図10】本発明によるさらなるパワー半導体モジュールを概略断面図の形で示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
第1の方法ステップには、非導電性絶縁材料体1を設けることが含まれる。図1は、本発明によるさらなる方法ステップが実行された後の基板ブランク7aを概略断面図の形で示す。図5は、図1に関連する概略図を基板ブランク7aの上方から示す。方法ステップには、構造化された導電性の第1の金属化層2aを絶縁材料体1の第1の側面15a上に適用することが含まれ、第1の金属化層2aは、第1および第2の領域を有し、第1の領域22aは、狭い導体トラック21を有し、第2の領域22bは、少なくとも1つの幅広い導体トラックを有する。例示的な実施形態の文脈において、第2の領域22bは、第1の幅広い導体トラック20aおよび第2の幅広い導体トラック20bを有する。1つの狭い導体トラックだけが、分かりやすくするために図1および図5において参照符号を与えられている。狭い導体トラックが、図5の図解の中にのみ示されているが、もちろん第1の領域22aから外に進むことができ、例えば第2の領域22bの中に進むことができることに、この時点で留意されたい。さらに、幅広い導体トラックが、同様に、図5の図解の中にのみ示されているが、もちろん第2の領域22bから外に進むことができることに、この時点で留意されたい。
【0034】
幅広い導体トラックは、少なくとも3000μmの幅b、特に少なくとも4000μmの幅を有するのが好ましい。狭い導体トラックは、100μm〜1000μm、特に100μm〜300μmの幅を有するのが好ましい。
【0035】
例示的な実施形態の文脈において、この方法ステップにはまた、第2の金属化層2bを絶縁材料体1の第2の側面15bに電気分解によって適用することが含まれ、前記第2の側面は、絶縁材料体1の第1の側面15aの反対側に配置される。このように、絶縁材料体1は、第1および第2の金属化層2aおよび2b間に配置される。絶縁材料体1は、例えばAlまたはAlNなどのセラミックから例えばなることができ、300μm〜1000μmの厚さを有するのが好ましい。金属化層2aおよび2bは、例えば、銅および/もしくは銀、または銅合金および/もしくは銀合金から実質的になることができる。第1の金属化層2aは、狭い導体トラックおよび幅広い導体トラックの意図されたコースに従って具体化された構造を有する。したがって、例示的な実施形態の文脈において、第1の金属化層2aは、例えば、導体トラックの境界を互いに定める中断部4および4’を有する。第2の金属化層2bは、好ましくは構造化されないが、しかしまた同様に構造化方式で具体化することができる。
【0036】
第1および第2の金属化層2aおよび2bは、1μm〜30μmの厚さを有することが好ましいが、第1および第2の金属化層2aおよび2bは、異なる厚さを有することができる。
【0037】
第1および第2の金属化層を絶縁材料体1の第1および第2の側面に適用するプロセスは、次の手順によって達成されるのが好ましい。すなわち、最初に、金属化層が存在すべく意図された位置で、銅および/または銀含有粒子ならびに溶剤を含む金属化ペーストが、絶縁材料体1の第1および第2の側面15aおよび15bに適用され、次に、金属化ペーストが、例えば180℃で乾燥され、次に、炉において、好ましくは真空で、好ましくは約1000℃に加熱され、このように焼かれるという手順で達成されるのが好ましい。
【0038】
図1〜10が概略図であること、および特に層厚さが縮尺通りには図示されていないことに、この時点で留意されたい。
【0039】
図2は、例示的な実施形態の文脈で実行されるさらなる方法ステップが実行された後の基板ブランク7aを概略断面図の形で示す。方法ステップには、非導電性レジスト層3を狭い導体トラック21に適用することが含まれる。レジスト層3は、5μm〜300μmの厚さを有するのが好ましい。
【0040】
図3は、さらなる方法ステップが実行された後の基板ブランク7aを概略断面図の形で示す。方法ステップには、第1の金属層5を少なくとも1つの幅広い導体トラック上に、すなわち、例示的な実施形態の文脈において、第1および第2の幅広い導体トラック20a、20b上に電解析出することが含まれる。さらに、例示的な実施形態の文脈において、第3の金属層6が、第2の金属化層2b上に電解析出される。この目的のために、基板ブランク7aは、電気めっき液で満たされた容器に浸漬され、第1および第2の金属化層2aおよび2bは、電圧源の陰極に導電接続され、電気めっき液に配置された電極は、電圧源の陽極に導電接続されて、電流が流れ始め、かつ第1の金属層5が、幅広い導体トラック20a、20b上に析出し、かつ第3の金属層6が、第2の金属化層2b上に析出するようにする。レジスト層3は、狭い導体トラック21上への第1の金属層の電解析出を防ぐ。代替として、レジスト層3の適用を省くこと、ならびに幅広い導体トラックだけおよび存在する場合には追加として第2の金属化層2bを電圧源の陰極に導電接続して、狭い導体トラック21上への第1の金属層の電解析出が発生しないようにすることがまた可能である。この場合に、例示的な実施形態の文脈において電気めっき液には銅イオンが含まれ、第1および第3の金属層5および6が、例示的な実施形態において銅からなるようにする。
【0041】
第1および第3の金属層5および6は、100μm〜500μmの厚さを有するのが好ましい。第1および第3の金属層5および6の厚さは、必ずしも同一である必要はない。例示的な実施形態において、第3の金属層6の厚さが、第1の金属層5の厚さより薄いので、例示的な実施形態において、電解析出中に、第3の金属層6が、想定された厚さを達成した場合に、電圧源への第2の金属化層2bの電気接続は遮断されて、さらなる電解析出中に、第1の金属層5だけが、想定された厚さを達成するまで成長するようにする。
【0042】
しかしながら、異なる析出高さを達成するためのさらに他の方法がまた可能である。したがって、例えば、第3の金属層6が想定された厚さを達成した後でまた、電解析出を中断すること、非導電性レジストを第3の金属層6に適用すること、および次に、第1の金属層5が想定された高さhを達成するまで電解析出を継続することが可能であり、第3の金属層6は、第3の金属層6に適用されたレジストゆえに、この場合にはそれ以上成長しない。
【0043】
幅広い導体トラック20aおよび20b上に配置された第1の金属層5は、導体トラック20aおよび20bを強化し、したがって負荷電流を伝達できる、かつそれに応じて高電流強度を備えた負荷電流が通過できる導体トラックをもたらす。負荷電流を伝達できる導体トラックが、図3において参照符号25を与えられている。この場合に、負荷電流を伝達できる導体トラック25は、導体トラック20aおよび導体トラック20a上に配置された第1の金属層5からなる。
【0044】
幅広い導体トラックへの第1の金属層の電解析出中に、幅広い導体トラックが、電解析出中の第1の金属化層を介して互いに接続される場合には有利である。なぜなら、その場合には、電解析出中に、幅広い導体トラックにそれぞれ割り当てられた電線を介して、各幅広い導体トラックを電圧源の陰極に導電接続する必要がないからである。
【0045】
したがって、好ましくは、図6に示すように、第1の金属化層2aは、接続導体トラック8を有し、図6における接続導体トラック8は、第1の金属化層2aから形成された、導電性の第1の接続ウェブ9の第1の数を介して、第1の幅広い導体トラック20aに接続され、第1の幅広い導体トラック20aは、第1の金属化層2aから形成された、導電性の第2の接続ウェブ9’の第2の数を介して、第2の幅広い導体トラック20bに接続され、接続ウェブのそれぞれの数および/または接続ウェブ9のそれぞれの幅cは、それぞれの幅広い導体トラックと接続導体トラック8との間の距離に依存し、距離aが増加するにつれて増加する。例示的な実施形態の場合に、第1の数は「1」であり、第2の数は「2」であり、全ての接続ウェブ9は、均一な幅cを有する。
【0046】
それに対する代替として、図7に示すように、接続導体トラック8が、第1および第2の幅広い導体トラック20aおよび20bからほぼ同一の距離a、特に同一の距離aにあることが可能であり、接続導体トラック8は、第1の金属化層2aから形成された第1の接続ウェブ9を介して、第1の幅広い導体トラック20aに接続され、かつ第1の金属化層2aから形成された第2の接続ウェブ9’を介して、第2の幅広い導体トラック20bに接続される。第1および第2の接続ウェブ9および9’は、ほぼ同一の長さ、特に同一の長さを有する。
【0047】
図6および図7に示す本発明の有利な実施形態によって、電解析出中に、第1および第2の幅広い導体トラック20aおよび20b上における第1の金属層5のほぼ均一な厚さが可能になる。
【0048】
接続導体トラックおよび/または接続ウェブは、第1の金属層の電解析出の前に非導電性レジストで被覆され、第1の金属層が、電解析出中に接続導体トラックおよび/または接続ウェブ上に析出されないようにするのが好ましい。
【0049】
例示的な実施形態の文脈において狭い導体トラック21に適用されるレジスト層3は、例示的な実施形態において、第1の金属層の電解析出後に再び除去される。図4は、このステップが実行された後の本発明による基板7を示す。
【0050】
例示的な実施形態の文脈において、続いて図8に示すように、第2の金属層10が、狭い導体トラック21および第1の金属層5上に、ならびにまた第3の金属層6上に電解析出される。第2の金属層10は、銀からなるのが好ましい。第2の金属層10は、第1および第3の金属層用、ならびにまた狭い導体トラック21用の保護層として、かつ/または焼結もしくははんだ付け接続用の接着接続層として働くのが好ましい。第2の金属層10は、0.1μm〜10μmの厚さを有するのが好ましい。第2の金属層10を、第1の金属層5にも、狭い導体トラック21にも、または第3の金属層6にも必ずしも適用する必要がないことに、この時点で特に留意されたい。
【0051】
さらに、第2の金属層10が、例えば狭い導体トラック21上にのみ電解析出されるように意図されている場合に、第1および第3の金属層5および6は、第2の金属層10の電解析出の前に電気絶縁レジストで被覆して、第2の金属層10が、狭い導体トラック21上にのみ電解析出されるようにすることができることに、この時点で留意されたい。
【0052】
さらに、第2の金属層10が、例えば第1の金属層5上にのみ電解析出されるように意図されている場合に、狭い導体トラック21および第3の金属層6は、第2の金属層10の電解析出の前に電気絶縁レジストで被覆して、第2の金属層10が、第1の金属層5上にのみ電解析出されるようにすることができることに留意されたい。
【0053】
第2の金属層10で被覆されるように意図されていない要素は、各場合に、第2の金属層10の電解析出の前に電気絶縁レジストで被覆される。
【0054】
図8は、第2の金属層10の電解析出後の基板7を示す。
【0055】
続いて、接続ウェブは、例えば接続ウェブの機械的除去によって、絶縁材料体1から除去されるのが好ましい。接続ウェブが、第1の金属層5の電解析出および第2の金属層10の析出(必要に応じて行われる)の前に電気絶縁レジストで被覆されなかった場合に、接続ウェブは、接続ウェブ上に配置された第1の金属層5を含めて、かつ必要に応じて、接続ウェブの第1の金属層5上に配置された第2の金属層10を含めて、例えば接続ウェブの機械的除去によって除去される。
【0056】
本発明によるパワー半導体モジュール26を製造するために、続いて、図9に示すさらなる方法ステップには、少なくとも1つのパワー半導体コンポーネントを、第1の金属層5に接続するか、または第2の金属層10が、図9による例示的な実施形態におけるように第1の金属層5上に配置される場合には、第1の金属層5上に配置された第2の金属層10に接続するステップと、少なくとも1つの集積回路17を狭い導体トラックに接続するか、または第2の金属層10が、例示的な実施形態におけるように狭い導体トラック21上に存在する場合には、狭い導体トラック21上に配置された第2の金属層10に接続するステップと、が含まれる。例示的な実施形態の文脈において、例としてIGBTとして具体化された第1のパワー半導体コンポーネント18、および例としてダイオードとして具体化された第2のパワー半導体コンポーネント19が、第2の金属層10に接続される。この場合に、少なくとも1つのパワー半導体コンポーネントの接続は、第1の部分方法ステップにおいて達成され、集積回路17の接続は、第2の部分方法ステップにおいて達成される。この場合、第1の部分方法ステップは、第2の部分方法ステップの前か、第2の部分方法ステップと同時か、または第2の部分方法ステップの後に達成することができる。
【0057】
例示的な実施形態の文脈において、この場合には図9に従って、第1の金属層5上に配置された第2の金属層10と共に第1のパワー半導体コンポーネント18および第2のパワー半導体コンポーネント19は、焼結またははんだ付け層14がパワー半導体コンポーネント18および19と第1の金属層5との間に配置されるように、焼結またははんだ付け接続によって互いに接続される。さらに、例示的な実施形態の文脈において、狭い導体トラック上に配置された第2の金属層10と共に集積回路17は、焼結またははんだ付け層14’が集積回路17と第2の金属層10との間に配置されるように、焼結またははんだ付け接続によって接続ピン16を介して互いに接続される。この場合に、それぞれの焼結層は、少なくとも実質的に銀からなるのが好ましく、それぞれのはんだ付け層は、少なくとも実質的にスズからなるのが好ましい。
【0058】
図10は、本発明のさらに例示的な実施形態を示す。この実施形態は、図9による本発明の例示的な実施形態にほぼ対応するが、図9による例示的な実施形態とは対照的に、図10による例示的な実施形態では、第1の金属層5は、第2の金属層10でコーティングされず、第1のパワー半導体コンポーネント18および第2のパワー半導体コンポーネント19が、例えば焼結またははんだ付け接合によって第1の金属層5に接続されるようにする。
【0059】
図9および図10による例示的な実施形態において、パワー半導体コンポーネント18および19は、基板7上に配置され、かつ第1の金属層5に導電接続され、集積回路17は、基板7上に配置され、かつ導体トラック21に導電接続される。この場合に、それぞれの導電接続は、焼結またははんだ付け層14を介して、および存在する場合にはさらに第2の金属層10を介して、および少なくとも1つのさらなる金属層が第2の金属層10上に恐らくまたさらに配置される場合には、さらに前記少なくとも1つのさらなる金属層を介して達成される。
【0060】
上記のように、少なくとも1つのさらなる金属層を第2の金属層10上にさらに配置することができ、この場合に本発明の趣旨内で、少なくとも1つのパワー半導体コンポーネントおよび/または少なくとも1つの集積回路を少なくとも1つのさらなる金属層に接続することが、少なくとも1つのパワー半導体コンポーネントおよび/または少なくとも1つの集積回路を第2の金属層に接続することを意味すると理解すべきであることに、この時点で留意されたい。
【0061】
さらに、特に焼結接続の場合に、それぞれ接続されることになる2つの要素を接続するプロセスの一部として、接続されることになる2つの要素には、それぞれの接着接続層を設けることができ、接着接続層は、例えば、互いに接続されるように意図された要素の側面において、少なくとも実質的に銀からなることができる。この場合に、接続されることになるそれぞれの要素は、必ずしも電解析出によって接着接続層を設けられている必要はないことに、この時点で留意されたい。
【0062】
図における同一の要素が、同じ参照符号を与えられていることに、この時点で留意されたい。
【符号の説明】
【0063】
1 非導電性絶縁材料体
2a 第1の金属化層
2b 第2の金属化層
3 非導電性レジスト層
4、4’ 中断部
5 第1の金属層
6 第3の金属層
7 基板
7a 基板ブランク
8 接続導体トラック
9 第1の接続ウェブ
9’ 第2の接続ウェブ
10 第2の金属層
14、14’ 焼結またははんだ付け層
15a 第1の側面
15b 第2の側面
16 接続ピン
17 集積回路
18 第1のパワー半導体コンポーネント
19 第2のパワー半導体コンポーネント
20a 第1の幅広い導体トラック
20b 第2の幅広い導体トラック
21 狭い導体トラック
22a 第1の領域
22b 第2の領域
25 導体トラック
26 パワー半導体モジュール
a 距離
b、b’ 幅
c 幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10