(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、布地を送るための送り足と布地を締付固定するための押さえに接続されて、支持板に対する上昇と下降を交互にホッピングするためのホッパ機構を有し、動作中に前記ホッパ機構が布地の厚さによって実際に影響を受けないようなミシンを開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的は、本発明によれば、特許請求の範囲の請求項1に記載の特徴を有するミシンによって実現される。
【0005】
本発明による、駆動要素を介したホッパ要素とホッパドライブとのジョイント接続部によって、縫製する布地の厚さまたは強さが送り足と押さえのホッパ運動に影響を与えないようにすることができる。非常に薄手の布地でも、あるいは非常に厚手の布地でも、送り足と押さえの駆動は、上昇と下降をホッピングさせるためのホッパドライブによって同じようにできる。ホッパ要素と駆動要素とのジョイント接続部の案内溝は、駆動要素またはホッパ要素に形成することができる。駆動要素がフレームレバーを介してフレームに接続されるフレームレバー接続部によって、駆動要素を確実に連結できる。
また、ホッパギアによって、ホッパドライブを各縫製作業の必要に応じて調整することができる。ホッパギアは、ミシンのアームシャフトによって駆動でき、そこからは他の縫製用構成要素、特に針棒の運動も起こすことができる。ホッパギアによって、ホッパの上昇を特に連続的なものとすることができる。さらに、駆動要素をフレームに接続するフレームレバーは、ギアレバーとともに平行四辺形の配置を形成できる。このような平行四辺形の配置は安定している。
【0006】
機械的構成要素が比較的少なくコンパクトな請求項2による三角レバー機構を形成できる。
請求項3によるスライド溝は、駆動要素の堅牢な変形形態である。
【0007】
請求項4によるスライドブロックにより、案内溝の領域でのよじれが防止され、摩耗が軽減
される。
【0008】
請求項5による従動型の旋回式針棒フレームは、布地を送るための堅牢な手段となる。このような布地針送りは、送り足の運動と同期するように構成できる。
請求項6によるフレームレバーの連結によって、コンパクトな構造とすることができる。これにより、駆動要素のための別のフレームホルダが不要となる。
以下に、図面を参照しながら、本発明の例示的実施形態をより詳しく説明する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に示されるミシン1は、筐体状の台座2と、上側アーム3と、これらをつなぐスタンド4を含む。ミシン1はそれゆえ、全体としてC字形の形状をなす。アーム3の中ではアームシャフト5が取り付けられ、これによって、針7を担持する針棒6を図には詳細に示されていないクランクドライブで上下に駆動することが可能となる。アームシャフト5により、ベルトドライブ8と、台座2の中に取り付けられた下棒9を介して、台座2の内部に取り付けられて針7に関連付けられたグリッパが駆動されるが、このグリッパも図には詳細に示されていない。針棒の運動と協働して、グリッパの運動が、公知のように、縫製領域の中で縫い目を形成することになる。
【0011】
フランジ部10が、アームシャフト5の、ベルトドライブ8の高さに配置される。フランジ部10により、アームシャフト5は、それと直線状に並ぶアームシャフト駆動モータ12のドライブシャフト11に回転不能に接続される。フランジ部10の付近に、ドライブシャフト11がアキシャル/ラジアル軸受12aによって取り付けられる。はずみ車14がドライブシャフト11の自由端13に取り付けられ、図示されていない切り込みねじによって回転不能にドライブシャフト11に接続される。
【0012】
ミシン1は、丈夫な、および/または強度のある布地の縫製、特に皮革、非常に厚手の布材および/またはパネル状の材料、たとえばプラスチックパネルの縫製のために構成される。
【0013】
ミシン1の構成要素は、ミシン1のフレーム15によって支持され、そこに搭載され、台座2はその一部である。台座2の一部は布地支持板16でもあり、その一部が針板17により形成される。針板17の領域では、布地18が支持板16上のステッチ形成領域内に置かれる(
図2参照)。この領域において、縫い針7が他の縫製部品、すなわち、たとえばグリッパと協働して縫い目を形成する。
【0014】
図2は、ホッパ機構19と針棒機構19aの詳細を分解図で示している。ホッパ機構19は、送り足20(
図3参照)と押さえ21に接続され、一方で送り足20の、他方で押さえ21の、針板17に対する上昇と下降を交互にホッピングする。針棒機構19aは針棒6に接続され、それ以外においては図示されていない針棒ドライブの一部であって、布地18の針送りを行う。
【0015】
相対的な位置を簡潔に表すために、以下では、xyzのデカルト座標系を使用する。x方向は
図1の右側に延びる。y方向は
図1の図面の平面に垂直に、その平面に向かって延びる。z方向は
図1の上方に延びる。アームシャフト5はx方向に平行に延びる。z軸は支持板16に垂直である。
【0016】
送り足20は送り足棒22に取り付けられ、縫い針7と協働して、布地18をプラスのy方向へと延びる送り方向Tに沿って送るために使用される。
押さえ21は、押さえ棒23に取り付けられ、布地18を、ミシン1のステッチ形成周期中の保持期間中に針板17に締付固定するために使用される。
【0017】
ホッパ要素24によって、ホッパ機構19が送り足棒22、押さえ棒23、およびホッパドライブ25に連結される。ホッパ機構19は三角レバー機構として構成され、ホッパ要素24が三角レバーである。三角レバー24は、ジョイントボルト26を用いた第一のジョイントによって送り足レバー27に連結され、これは送り足ジョイント28によって送り足棒22に連結される。三角レバー24は、ジョイントボルト29を用いた第二のジョイントによって押さえ棒23に連結される。ワッシャ29aもまた、ホッパ要素24とジョイントボルト29の間に配置されている。三角レバー24は、ジョイントボルト30を用いた第三のジョイントとスライドブロック31によって、ホッパ機構19の駆動要素32に連結される。駆動要素32は、ホッパドライブ25の駆動運動を三角レバー24に伝達する。駆動要素32は、スライド溝33を有するスライド溝板として構成され、これはリニアガイドとも呼ばれる。スライド溝33は、スライド溝板32の、
図2〜6の観察者から反対側の面に形成される。スライド溝33は、
図2と3において破線で示されている。スライド溝33はz軸に対して概ね平行、すなわち、あったとしても小さな角度で延びる。
【0018】
ホッパ要素24、すなわち三角レバーと、駆動要素32、すなわちスライド溝板を介したホッパドライブ25とのジョイント接続部は、スライドまたは案内溝33に基づいて構成され、布地18の厚さに応じて、すなわち布厚に応じて、ホッパドライブ25によってホッパ要素24を作動させることなく、送り足棒22と押さえ棒23の、一方で駆動要素32に対する、他方で支持板16と針板17に垂直な移動経路V(
図2の両矢印と
図3と5の矢印参照)に沿った相対移動が行われるようになっている。
【0019】
ホッパドライブの接続を完成させるために、駆動要素32は、ジョイントボルト34を用いたドライブジョイント部を有し、それによってホッパドライブ25のギアドライブレバーが押さえレバー35の形態で駆動要素32に連結される。押さえレバー35は、押さえシャフト36に回転不能に接続される。押さえシャフト36は、ホッパドライブシャフトとなる。押さえシャフト36は押さえギア37によって駆動され、これはホッパギアとも呼ばれる。ホッパドライブ25のホッパ上昇は、押さえギア37によって設定することができる。これは、押さえギア37のギア調整シャフト38の回転位置によって行われる。偏心コネクタ39とテンションバー40により、押さえギア37が
図2では破線で示されているアームシャフト5と作動的に接続される。押さえギア37は、複数のギアタブ41を有するタブギアである。このようなタブギアの機能は、EP 2 330 241 A1の中で、ステッチ調整ギアの例で説明されている。
【0020】
押さえギア37によって、送り足棒22と押さえ棒23のホッパ運動のホッパ上昇を連続的に行うことができる。
駆動要素32、すなわちスライド溝板は、ジョイントボルト42を用いた別のジョイント部を介してフレームレバー43に接続される。フレームレバー43は、ジョイントボルト44を用いた別のジョイント部を介して、
図2に示されるミシン1のフレーム15に接続される。このようなフレームレバー43とフレーム15とのジョイント接続部はまた、針棒機構19aの一部である針棒フレーム45の接続点でもある。針棒フレーム45は案内スリーブ部46を含み、その中で針棒6と送り足棒22が案内される。布地18を送るために、針棒フレーム45は、図示されていない針棒ドライブを介して、x軸に平行に延びるジョイントボルト44によって提供されるジョイント軸の周囲で旋回する。ジョイントボルト44は、一方で針棒フレーム45のため、他方でフレームレバー43のための連結点となる。
【0021】
一方で押さえレバー35と他方でフレームレバー43は、駆動要素32とともに平行四辺形の配置を形成する。
押さえ棒23に針板17に向かうプリテンションは調節ネジ47によって行われ、これはプリテンションばね48を介して押さえ棒23に作用する。
【0022】
図2による分解図では、ジョイント接続部に軸方向の遊びが生じないようにするための、別のジョイント保持用クランプ49も示されている。
図3は、ホッパ機構19と針棒機構19aを棒の相対位置で示しており、その中で、押さえ棒23は上位置にあり、送り足棒22は下位置にあり、針棒6も下位置にある。送り足20はこの位置において、布地18を針板17に締付固定し、それによって布地18を確実に送ることができる。
【0023】
布地18の厚さは、
図3と
図4による相対的棒位置の図では2mmである。
布地18が比較的薄手であるため、
図3に示されるその下位置にある送り足棒22は、針板17に向かって、大きくマイナスのz方向へと下げられている。これはホッパ機構19のホッパ上昇に影響を与えず、それはホッパ要素24を駆動要素32に対して、送り足棒22と押さえ棒23とともにマイナスのz方向に移動できるからである(
図3の矢印V参照)。
【0024】
図5は、送り足棒22、押さえ棒23、針棒6の、
図3による相対的棒位置を、非常に厚手の布地18’とともに示す。布地18’の厚さは20mmである。したがって、
図5による布地18’をその下位置で締付固定している送り足20は、
図3による位置と比較して、大幅にプラスのz方向に移動している。ホッパ要素24と駆動要素32とのジョイント接続部がそのバランスをとることができ、これは、ホッパ要素24が、スライド溝33を介した直線的な案内によって、プラスのz方向に(
図5の矢印V参照)移動できるからである。
【0025】
布地18、18’の厚さは事実上ホッパの運動に影響を与えず、特に、送り足20と押さえ21のホッパ上昇に事実上影響を与えない。たとえば布地18のように非常に薄手の布地であっても、あるいはたとえば布地18’のように非常に厚手の布地であっても、送り足20と押さえ21は、上昇と下降をホッピングするホッパドライブ25によって同じように駆動できる。
【0026】
図4は、薄手の布地18とともに、相対的棒位置を示しており、押さえ棒23は、押さえ21が布地18を針板17に締付固定する下位置にあり、送り足棒22と針棒6は上位置にある。
【0027】
図3と
図4の間の、一方で送り足棒22と、他方で押さえ棒23の相対位置の変化は、ホッパドライブ25がホッパ機構19とともに発生させる。
図3と比較すると、
図4では、押さえレバー35が押さえシャフト36の軸の周囲で反時計回りに旋回され、それによって押さえレバー35と駆動要素32とフレームレバー43の平行四辺形全体が相応に旋回している。駆動レバー32は、スライドブロック31を介したスライド溝33とジョイントボルト30との接続部を介して、三角レバー、すなわちホッパ要素24を担持して、これを反時計回りに旋回させる。これは、
図3と比較して、
図4では押さえ棒23が下降し、送り足棒22が上昇していることを意味する。
【0028】
図5と
図6は、今度は、一方で「押さえ棒23が上、送り足棒22が下、針棒6が下」の相対的棒位置(
図5参照)と、他方で「押さえ棒23が下、送り足棒22が上、針棒6が上」の相対的棒位置(
図6参照)との間の変化を示す。
図3と4の使用例と比較して、より厚手の布地18’であることから、
図5と6ではホッパ要素24、すなわち三角レバーが駆動要素32に対して、すなわちスライド溝板に対して、プラスのz方向(
図5の矢印「V」参照)に移動している。ホッパドライブ25が駆動要素32を介してホッパ要素24に及ぼす平行四辺形の駆動原理により、何も変化しない。それゆえ、押さえ棒23と送り足棒22のホッパ運動は布地による影響を受けない。
【0029】
他の、図示されていない実施形態において、スライド溝33のような案内またはスライド溝はまた、三角レバー24に形成することもできる。この代替的実施形態では、特にスライドブロックが駆動要素32に設けられるなど、ジョイントベルトが配置される。
【0030】
図7は、薄手の布地18とともに相対的棒位置を示しており、押さえ棒23は下位置に到達し、送り足棒22はより下位置にあり、針棒6は
図3による下位置と
図4による上位置の間にある。
図8は、厚手の生地18’とともに、
図7による相対的棒位置を示す。