特許第6159626号(P6159626)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6159626
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】電気治療器
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/32 20060101AFI20170626BHJP
   A61H 23/02 20060101ALI20170626BHJP
【FI】
   A61N1/32
   A61H23/02 370
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-186842(P2013-186842)
(22)【出願日】2013年9月10日
(65)【公開番号】特開2015-53943(P2015-53943A)
(43)【公開日】2015年3月23日
【審査請求日】2015年5月7日
【審判番号】不服2016-11329(P2016-11329/J1)
【審判請求日】2016年7月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005049
【氏名又は名称】ヒロセ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】澤口 直樹
(72)【発明者】
【氏名】高野 和彦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 博次
【合議体】
【審判長】 内藤 真徳
【審判官】 高木 彰
【審判官】 関谷 一夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−99190(JP,A)
【文献】 特開2005−143829(JP,A)
【文献】 特開2004−202072(JP,A)
【文献】 特開2003−339884(JP,A)
【文献】 特開昭61−8061(JP,A)
【文献】 特開2007−159959(JP,A)
【文献】 特開2010−131253(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N1/32
A61H23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
腹部内部の筋肉に対して電気的に刺激を与える電気治療器であって、
腹部の表面においてすべてが周方向に沿って配置される少なくとも4個の導子と、
腹部内部の筋肉に対して電気的に刺激を与える出力箇所が所定回転方向に沿って移動するように、前記導子の中から中周波パルスを出力する一対となる導子を選択して切り替える制御装置と、
を備えていることを特徴とする電気治療器。
【請求項2】
前記制御装置は、全体を制御するCPUと、前記各導子が接続される出力切替部と、を備え、前記CPUと前記出力切替部とは、第1出力チャンネルと第2出力チャンネルを介して接続され、前記CPUからの指令により前記第1出力チャンネルのみが駆動されて前記出力切替部が周方向に隣接する前記一対の導子を前記所定回転方向に沿って順次切り替える回転出力モードと、前記CPUからの指令により前記第1出力チャンネル及び前記第2出力チャンネルが駆動されて前記出力切替部が干渉波発生させるように前記一対の導子を二対選択する干渉波出力モードと、を制御可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気治療器。
【請求項3】
前記導子には電気ヒータが設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気治療器。
【請求項4】
前記制御装置は、前記回転出力モードと前記干渉波出力モードとが所定のタイミングで切り替わるように制御することを特徴とする請求項2又は3に記載の電気治療器。
【請求項5】
前記導子は5個以上設けられ、前記制御装置は、前記干渉波出力モードにおいて前記出力箇所が前記所定回転方向に沿って順次切り替わるように前記一対の導子を二対選択するように制御することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1の請求項に記載の電気治療器。
【請求項6】
前記一対の導子を切り替える時に、所定時間、前記すべての導子からの出力を停止することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1の請求項に記載の電気治療器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気治療器に関し、特に、身体内部の筋肉に対して電気的に刺激を与えるための電気治療器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、腹部や背中などの身体の表面に複数の導子を貼り付け、該導子を介して身体内部の筋肉に対して低周波パルスを出力し、電気的に刺激を与えるようにした電気治療器が知られている。
【0003】
従来のこの種の電気治療器としては、例えば、陽極導子と、該陽極導子を囲繞する領域に複数個設けられた陰極導子と、前記陽極導子と前記各陰極導子との間で低周波パルスを出力すると共に前記各陰極導子に所定時間、順次、低周波パルスを与える低周波出力手段と、を備えた低周波マッサージ機(特許文献1参照)や、利用者の身体の対向する位置にそれぞれ接触させる一つの共通電極と少なくとも一つの対電極とから成る一対の電極(導子)と、該一対の電極(導子)間に低周波パルス電圧を供給する供給部と、を備えた電気筋肉刺激装置(特許文献2参照)などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60−194963号公報
【特許文献2】特開2010−131253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した従来の低周波マッサージ機や電気筋肉刺激装置では、前記陽極導子や前記共通電極のように基準となる導子が必要となるため、身体に貼り付ける導子の数が増加する。これにより、機器の動作を制御する機構が複雑化し、導子を接続するケーブルの本数も増加するため、機器の製造コストの低減化が図り難いといった問題や、治療のための準備や片付けに手間が掛かるといった問題が生じている。
【0006】
また、上記した従来の低周波マッサージ機や電気筋肉刺激装置では、低周波パルスを使用しているため、身体の表層部の筋肉しか電気的に刺激を伝えることができない。したがって、例えば、便秘や冷性を改善する治療のように、身体の深部の筋肉を刺激する必要がある場合には、治療効果をあまり期待できないといった問題がある。
【0007】
本発明は、上記した課題を解決すべくなされたものであり、導子の設置数を削減することで機器の製造コストの低減化及び治療作業の簡略化を図ると共に、身体のより深部の筋肉を電気的に刺激することで便秘や冷性等の改善にも効果的な電気治療器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するため、本発明は、身体内部の筋肉に対して電気的に刺激を与える電気治療器であって、前記身体の表面においてすべてが周方向に沿って配置される少なくとも4個の導子と、前記身体内部の筋肉に対して電気的に刺激を与える出力箇所が所定回転方向に沿って移動するように、前記導子の中から中周波パルスを出力する一対となる導子を選択して切り替える制御装置と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
この特徴によれば、すべての導子が周方向に沿って配置されており、基準となる導子が不要であるため、導子の設置数を削減することができ、製造コストの低減化及び治療作業の簡略化を図ることができる。また、前記各導子からは正弦波が出力され、この正弦波が低周波の場合には身体の表面的な部分を刺激することができる。また、この正弦波が中周波や高周波の場合には身体のより深部の筋肉を電気的に刺激することができ、便秘や冷性等の改善効果等を期待することができる。
【0010】
また、本発明に係る電気治療器において、前記制御装置は、周方向に隣接する前記一対の導子を前記所定回転方向に沿って順次切り替える回転出力モードと、干渉波が発生するように前記一対の導子を二対選択する干渉波出力モードと、を制御可能に構成されていることを特徴とする。
【0011】
この特徴によれば、使用者が、前記導子の配置を変更することなく前記回転出力モードと前記干渉波出力モードを自由に選択することができるため、使用勝手の向上を図ることができる。
【0012】
また、本発明に係る電気治療器において、前記導子には電気ヒータが設けられていることを特徴とする。
【0013】
この特徴によれば、身体内部の筋肉を温めることができるため、便秘や冷性等の改善効果をさらに高めることができる。また、身体を所定温度に温めることで使用者が腹部に導子を張り付けた時に不快な冷感を感じることがない。
【0014】
また、本発明に係る電気治療器において、前記制御装置は、前記回転出力モードと前記干渉波出力モードとが所定のタイミングで切り替わるように制御することを特徴とする。
【0015】
この特徴によれば、使用者が前記回転出力モードと前記干渉波出力モードの両方のモードによる電気的な刺激を得ることができるため、使用勝手をさらに高めることができる。
【0016】
また、本発明に係る電気治療器において、前記導子は5個以上設けられ、前記制御装置は、前記干渉波出力モードにおいて前記出力箇所が前記所定回転方向に沿って順次切り替わるように前記一対の導子を二対選択するように制御することを特徴とする。
【0017】
この特徴によれば、干渉波により身体のより深部の筋肉を電気的に刺激することができ、便秘や冷性等の改善効果を期待することができる。また、前記導子の設置数の増加に伴い、身体内部の筋肉により細かな刺激を与えることができる。
【0018】
また、本発明に係る電気治療器において、前記一対の導子を切り替える時に、所定時間、前記すべての導子からの出力を停止することを特徴とする。
【0019】
この特徴により、制御装置の回路を保護することができると共に、使用者の筋肉に対する電気的な刺激にメリハリを付けることができ、使用者の快感を高めることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、電気治療器の製造コストの低減化及び治療作業の簡略化を図ると共に、身体のより深部の筋肉を電気的に刺激することで便秘や冷性等の改善効果を期待することができる等、種々の優れた効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施の形態に係る電気治療器の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施の形態に係る電気治療器の制御装置の外観を示す正面図である。
図3】本発明の実施の形態に係る電気治療器の制御装置の出力切替部を示すブロック図である。
図4】本発明の実施の形態に係る電気治療器において回転出力モードの時の作用を示す図である。
図5】本発明の実施の形態に係る電気治療器において干渉波出力モードの時の作用を示す図である。
図6】本発明の実施の形態に係る電気治療器の変形例において、(a)は導子が5個設けられている場合を示す図、(b)は導子が6個設けられている場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態に係る電気治療器について説明する。ここで、図1は本発明の実施の形態に係る電気治療器の構成を示すブロック図、図2は本発明の実施の形態に係る電気治療器の制御装置の外観を示す正面図、図3は本発明の実施の形態に係る電気治療器の制御装置の出力切替部を示すブロック図、図4は本発明の実施の形態に係る電気治療器において回転出力モードの時の作用を示す図、図5は本発明の実施の形態に係る電気治療器において干渉波出力モードの時の作用を示す図である。
【0023】
図1及び図2に示されているように、本発明の実施の形態に係る電気治療器10は、制御装置11と、この制御装置11に接続される第1〜第4の4個の導子12a,12b,12c,12dとを備えて構成されている。
【0024】
制御装置11は、縦長扁平で携帯可能な直方体形状を有しており、全体を制御するCPU(Central Processing Unit)13と、第1〜第4の各導子12a,12b,12c,12dが接続される出力切替部14と、を備えている。CPU13と出力切替部14とは、直接接続されていると共に、第1波形整形部15と第1出力制御部16を有する第1出力チャンネル17、又は第2波形整形部18と第2出力制御部19を有する第2出力チャンネル20、又は温熱駆動回路21を介して接続されている。また、CPU13には、ACアダプタ22及び電池23を制御する電源制御部24と、入力装置25と、表示装置26と、が接続されている。
【0025】
入力装置25は、図2に示されているように、電源をオン/オフするための電源スイッチ25a、温熱駆動回路21をオン/オフするための温熱選択スイッチ(キーロック機能兼用)25b、回転出力モードや干渉波出力モード等の運転モードを切り替えるためのモード選択スイッチ(ストップ機能兼用)25c、及び第1出力チャンネル17及び第2出力チャンネル20の出力を増減させるための出力強弱スイッチ25d及び25eの、5個の押しボタンスイッチにより構成されている。表示装置26は、電源や運転モードや出力の状態、タイマーの残時間、電池23の残量などを表示する液晶表示器(LCD:Liquid Crystal Display)により構成されている。
【0026】
図3に示されている様に、出力切替部14は、7個のフォトカプラ27A,27B,27C,27D,27E,27F,27Gを備えており、すべてのフォトカプラ27A,27B,27C,27D,27E,27F,27GはCPU13に接続されている。また、フォトカプラ27A,27B,27C,27D,27Eは第1出力チャンネル17の第1出力制御部16に接続され、フォトカプラ27F,27Gは第2出力チャンネル20の第2出力制御部19に接続されている。さらに、フォトカプラ27Aは第1導子12aに接続され、フォトカプラ27B,27Cは第2導子12bに接続され、フォトカプラ27D,27Fは第3導子12cに接続され、フォトカプラ27E,27Gは第4導子12dに接続されている。
【0027】
第1〜第4の各導子12a,12b,12c,12dには、それぞれ粘着性を有するパッドが設けられていると共に、温熱手段として電気ヒータ(図示省略)が設けられている。この電気ヒータは、出力切替部14を介して温熱駆動回路21に接続されている(図1参照)。
【0028】
次に、上記した構成を備えた本発明の実施の形態に係る電気治療器10の動作について説明する。なお、以下の説明では、第1〜第4の導子12a,12b,12c,12dが使用者の腹部に、周方向に沿って貼り付けられて使用される場合について例示して説明する。ここで、「周方向に沿って」とは、すべての導子12a,12b,12c,12dが同一円周上に配置される場合だけでなく、異なる円周上に配置されている場合も含む意味とする。
【0029】
先ず、図1図3及び図4を参照しつつ、使用者が、モード選択スイッチ25cにより回転出力モードに設定した時の電気治療器10の動作について説明する。
【0030】
回転出力モードでは、ACアダプター22又は電池23を電力の供給源として、CPU13からの指令により、第1出力チャンネル17のみが駆動される。この第1出力チャンネル17では、第1波形整形部15及び第1出力制御部16によって、出力強弱スイッチ25d,25eにおいて所定出力に設定された中周波パルスが正弦波として出力され、この中周波パルスが出力切替部14に送られる。
【0031】
出力切替部14では、CPU13からの指令により、先ず、2個のフォトカプラ27A,27Dのみが2秒間オンされることで、周方向に隣接する第1導子12a及び第3導子12cから前記所定出力の中周波パルスが出力される。なお、この時、他のフォカプラ27B,27C,27E,27F,27Gはオフのままのため、第2導子12b及び第4導子12dから中周波パルスは出力されない。
【0032】
次いで、出力切替部14では、CPU13からの指令により、2個のフォトカプラ27B,27Dのみが2秒間オンされるように切り替えられ、周方向に隣接する第2導子12b及び第3導子12cから前記所定出力の中周波パルスが出力される。なお、この時、他のフォカプラ27A,27C,27E,27F,27Gはオフのままのため、第1導子12a及び第4導子12dから中周波パルスは出力されない。
【0033】
次いで、出力切替部14では、CPU13からの指令により、2個のフォトカプラ27B,27Eのみが2秒間オンされるように切り替えられ、周方向に隣接する第2導子12b及び第4導子12dから前記所定出力の中周波パルスが出力される。なお、この時、他のフォカプラ27A,27C,27D,27F,27Gはオフのままのため、第1導子12a及び第3導子12cから中周波パルスは出力されない。
【0034】
次いで、出力切替部14では、CPU13からの指令により、2個のフォトカプラ27A,27Eのみが2秒間オンされるように切り替えられ、周方向に隣接する第1導子12a及び第4導子12dから前記所定出力の中周波パルスが出力される。なお、この時、他のフォカプラ27B,27C,27D,27F,27Gはオフのままのため、第2導子12b及び第3導子12cから中周波パルスは出力されない。
【0035】
以降、出力切替部14では、上記したのと同様の動作が繰り返され、使用者の腹部内部の筋肉には正面視で右回り「の」の字状(図4中の矢印方向)に電気的な刺激が与えられる。これにより、使用者の腸の動きが活発になり、便秘や冷性等を解消させる効果を期待することができる。また、これにより、尿失禁等の改善効果や、腰痛改善や筋肉トレーニング等の効果を期待することもできる。
【0036】
なお、上記した回転出力モードにおいて、フォトカプラ27A,27B,27C,27D,27E,27F,27Gがオンにされる時間は、上記した2秒間に限定されるものではなく、設定変更可能であることは言う迄もない。また、オンにされるフォトカプラを切り替える時に、所定時間(例えば0.05秒間程度)、すべてのフォトカプラ27A,27B,27C,27D,27E,27F,27Gを一端オフにしてもよく、これにより、制御装置11の回路を保護すると共に、使用者の筋肉に対する電気的な刺激にメリハリを付けることができ、使用者の快感を高めることができる。
【0037】
また、上記した回転出力モードにおいて、5個以上の導子を周方向に沿って配置し、出力箇所が所定回転方向に沿って移動するように、前記導子の中から正弦波を出力する一対となる導子を選択して切り替えるように制御することもできる。
【0038】
さらに、前記導子の出力箇所の移動方向は、上記した正面視右回りに限定されるものではなく、その反対方向(正面視左回り)であってもよい。この反対方向の場合には、筋肉トレーニングやリラクゼーションの効果をさらに高めることができる。
【0039】
次に、図1図3及び図5を参照しつつ、使用者が、モード選択スイッチ25cにより干渉波出力モードに設定した時の電気治療器10の動作について説明する。
【0040】
干渉波出力モードでは、ACアダプタ22又は電池23を電力の供給源として、CPU13からの指令により、第1出力チャンネル17及び第2出力チャンネル20が駆動される。第1出力チャンネル17及び第2出力チャンネル20では、それぞれ、第1波形整形部15と第1出力制御部16、及び第2波形整形部18と第2出力制御部19によって、出力強弱スイッチ25d,25eにおいて所定出力に設定された中周波パルスが正弦波として出力され、この中周波パルスが出力切替部14に送られる。
【0041】
出力切替部14では、CPU13からの指令により、4個のフォトカプラ27A,27C,27F,27Gがオンされ、対となる第1導子12aと第2導子12b、及び第3導子12cと第4導子12dから、それぞれ、互いに周波数の異なる所定出力の中周波パルスが出力される。これにより、交差点P(図5参照)において、各中周波パルスが互いに干渉し合うことで干渉波が発生し、腹部内部の筋肉に電気的な刺激が与えられる。
【0042】
また、前記回転出力モード及び前記干渉波出力モードのいずれの場合でも、使用者が、温熱選択スイッチ25bを押圧操作すると、CPU13からの指令により、温熱駆動回路21が駆動され、出力切替部14は、第1〜第4導子12a,12b,12c,12dのうち、中周波パルスを出力している導子の電気ヒータをオンにする。これにより、腸を温めることができるため、便秘や冷性等の改善効果をさらに高めることができる。また、腹部を所定温度に温めることで使用者が腹部に導子を張り付けた時に不快な冷感を感じることがない。
【0043】
なお、上記した本発明の実施の形態では、モード選択スイッチ25cからの操作により、前記回転出力モードと前記干渉波出力モードのいずれかのモードが選択される場合について説明したが、本発明に係る電気治療器10の動作はこの場合に限定されるものではない。
【0044】
すなわち、本発明に係る電気治療器10は、例えば、前記回転出力モードにおいて、各2個一対のフォトカプラ27Aと27D、フォトカプラ27Bと27D、フォトカプラ27Bと27E、フォトカプラ27Aと27Eが順にオンされるように切り替えられ、導子12a,12b,12c,12dからの出力箇所が周方向に沿って1周した後に、自動的に前記干渉波モードの動作に切り替わり、数秒間、該干渉波モードの動作が行われた後、再び、前記回転出力モードに自動的に切り替わる動作が繰り返されるように制御される混合出力モード等、前記回転出力モードと前記干渉波出力モードとが所定のタイミングで切り替わるように制御することもできる。このように制御した場合でも、使用者の腹部内部の筋肉に正面視で右回り「の」の字状(図4中の矢印方向)に電気的な刺激が与えられるため、便秘や冷性等を解消させる効果や、尿失禁等の改善効果や、腰痛改善や筋肉トレーニング等の効果を期待することができる。
【0045】
また、図6(a)に示されているように第1〜第5の5個の導子12a,12b,12c,12d,12eや、図6(b)に示されているように第1〜第6の6個の導子12a,12b,12c,12d,12e,12f等、5個以上の導子を制御装置11に接続可能に構成してもよい。このように導子の設置数を増加させることにより、身体内部の筋肉により細かな刺激を与えることができる。
【0046】
さらに、上記したように5個の導子を設けた場合には、第1導子12aと第2導子12b、第3導子12cと第4導子12d、第2導子12bと第5導子12e、第4導子12dと第1導子12a、第5導子12eと第3導子12cをそれぞれ対にし、また、6個の導子を設けた場合には、第1導子12aと第2導子12b、第3導子12cと第4導子12d、第2導子12bと第5導子12e、第4導子12dと第6導子12f、第5導子12eと第1導子12a、第6導子12fと第3導子12cをそれぞれ対にした上で、該各対の導子の中から二対の導子を、正面視で右回り(図6中の矢印方向)に選択し、それぞれ対となった各導子から互いに周波数の異なる所定出力の中周波パルスが出力させ、各交差点P1,P2,P3,P4,P5,P6(P6は図6(b)の場合のみ)の順に、各中周波パルスを互いに干渉させ、干渉波を発生させるように制御してもよい。これにより、使用者の腹部内部の筋肉には正面視で右回り(図6中の矢印方向)に電気的な刺激が与えられるため、使用者の腸の動きが活発になり、便秘や冷性等を解消させる効果を期待することができる。
【0047】
なお、上記した本発明の実施の形態では、正弦波として中周波パルスが出力される場合について説明したが、本発明は低周波や高周波等、中周波以外の正弦波であっても適用可能である。さらに、正弦波とは、周期的に発生するものを全般的に含む概念であり、パルス的なものも含まれる。
【0048】
なお、上記した本発明の実施の形態の説明は、本発明に係る電気治療器における好適な実施形態を説明しているため、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。すなわち、上記した本発明の実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、かつ、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能であり、上記した本発明の実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【符号の説明】
【0049】
10 電気治療器
11 制御装置
12a,12b,12c,12d,12e,12f 導子
図1
図2
図3
図4
図5
図6