特許第6159718号(P6159718)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6159718密度および/またはコンシステンシーの異なる物質を含む集合体の機械的分離装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6159718
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】密度および/またはコンシステンシーの異なる物質を含む集合体の機械的分離装置
(51)【国際特許分類】
   B02C 13/16 20060101AFI20170626BHJP
【FI】
   B02C13/16
【請求項の数】17
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-513062(P2014-513062)
(86)(22)【出願日】2012年4月4日
(65)【公表番号】特表2014-527457(P2014-527457A)
(43)【公表日】2014年10月16日
(86)【国際出願番号】EP2012001603
(87)【国際公開番号】WO2012171597
(87)【国際公開日】20121220
【審査請求日】2015年3月30日
(31)【優先権主張番号】102011050789.2
(32)【優先日】2011年6月1日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513302547
【氏名又は名称】タルテッヒ エコ インダストリーズ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】TARTECH eco industries AG
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】グロンホルツ, クラウス
【審査官】 岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−072686(JP,A)
【文献】 特開平08−010633(JP,A)
【文献】 実開昭55−141552(JP,U)
【文献】 特開2000−093819(JP,A)
【文献】 米国特許第04369548(US,A)
【文献】 特開平06−226123(JP,A)
【文献】 特開昭62−155946(JP,A)
【文献】 実開昭51−015770(JP,U)
【文献】 実開昭57−173840(JP,U)
【文献】 特開2006−231336(JP,A)
【文献】 特公昭44−010240(JP,B1)
【文献】 特表2009−509735(JP,A)
【文献】 実公昭47−024009(JP,Y1)
【文献】 米国特許第01621409(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 13/00
B02C 18/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
密度および/またはコンシステンシーの異なる物質の集合体を機械的に細分化する装置であって、
第1端に供給用開口部(14)と、第2端に排出用開口部(10)とを有する分離チャンバを備え、
前記分離チャンバは、円筒形状または円錐台形状の分離チャンバ壁(2)に取り囲まれた、軸方向に連続する少なくとも2つの区間(7,8,9)を有し、
前記区間(7,8,9)には、それぞれ、ロータ筐体(17,18,19)と、前記ロータ筐体(17,18,19)から前記分離チャンバ内へ半径方向に延びる複数の衝撃ツール(20,21,22,23,24,25)とを有する、少なくとも1つのロータ(4,5,6)が設けられ、
前記連続した区間(7,8,9)における前記ロータ(4,5,6)のロータ筐体(17,18,19)の半径は前記第1端から前記第2端に向かって大きくなり、各ロータ筐体(17,18,19)の半径と前記分離チャンバ壁(2)の半径との差は前記第1端から前記第2端に向かって小さくなり、
前記ロータ(4,5,6)は、前記第2端に面する区間(9)における前記ロータ(6)の回転方向が、当該ロータの前記第1端側に設けられた区間(8)におけるロータ(5)の回転方向とは反対方向に回転し、
前記分離チャンバの軸が垂直となるように、前記ロータ(4,5,6)の回転軸は垂直に配置され、
また前記区間(7,8,9)における前記ロータ(4,5,6)の回転速度が前記第1端から前記第2端に向かって増加するように駆動可能であって、
前記第2端に面する最後の区間(9)における前記ロータ(6)の回転速度は、当該区間の衝撃ツール(24,25)の縁端の絶対速度が、100m/sから300m/sの間となるように選択される、
密度および/またはコンシステンシーの異なる物質の集合体を機械的に細分化する装置。
【請求項2】
前記区間(7,8,9)には、それぞれ、対応する区間(7,8,9)のロータ(4,5,6)を駆動する独立した駆動部が設けられており、当該駆動部は、少なくとも1つの別の区間(7,8,9)のロータ(単数または複数)(4,5,6)の少なくとも1つの駆動部とは独立して動作または制御可能であることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ロータ筐体(17,18,19)は円錐台状に構成されることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記連続した区間(7,8,9)内のロータ(4,5,6)のロータ筐体(17,18,19)は、合わせて円錐台形状を形成することを特徴とする、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記ロータ(4,5,6)は、交換可能な衝撃ツール(20,21,22,23,24,25)を保持する複数のレセプタクル(30)を含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれか1つに記載の装置。
【請求項6】
前記衝撃ツール(20,21,22,23,24,25)用のレセプタクル(30)のうち、軸方向にオフセットした少なくとも2つのレセプタクル(30)が、前記区間(7,8,9)の少なくとも1つに設けられていることを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記ロータ筐体(17,18,19)は複数のロータ筐体要素(36,37)から形成されており、当該ロータ筐体要素は前記ロータ(4,5,6)に交換可能に取り付けられていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1つに記載の装置。
【請求項8】
前記ロータ筐体(17,18,19)は、少なくとも前記第2端に向かって最後から二番目の区間(8)に押し上げ棒(42)を有し、当該押し上げ棒は軸方向および半径方向に前記分離チャンバ内に延びることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1つに記載の装置。
【請求項9】
前記区間(7,8,9)の少なくとも1つにおいて、前記分離チャンバ壁(2)から内部に向かって軸方向および半径方向に広がる衝撃面(50)が設けられることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1つに記載の装置。
【請求項10】
前記区間(7,8,9)のうち、前記第2端に向かう方向に続く区間(8,9)の少なくとも1つのロータ(5,6)が、先行する区間(7,8)の少なくとも1つのロータ(4,5)よりも、多数の衝撃ツール(22,23,24,25)を有することを特徴とする、請求項1から9のいずれか1つに記載の装置。
【請求項11】
前記区間(8,9)の1つにおける前記ロータ(5,6)の回転速度の、前記第1端に向かう方向において前に配された区間(7,8)のロータ(4,5)の回転速度に対する割合が、1から5の間であることを特徴とする、請求項1から10のいずれか1つに記載の装置。
【請求項12】
前記割合が、2から4の間であることを特徴とする、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記分離チャンバの上方に配される供給ホッパ(15)、および/または前記分離チャンバの下方に配される排出ホッパ(16)を備えることを特徴とする、請求項1から12のいずれか1つに記載の装置。
【請求項14】
前記供給用開口部(14)側の端部において、前記分離チャンバ壁(2)の半径に対する前記第1端側の第1区間(7)のロータ筐体(17)の半径の割合が、0.15から0.5の間であり、前記排出用開口部(10)側の端部において、前記分離チャンバ壁(2)の半径に対する前記第2端側の最後の区間(9)における前記ロータ筐体(19)の半径の割合が、0.55から0.85の間であることを特徴とする、請求項1から13のいずれか1つに記載の装置。
【請求項15】
前記衝撃ツール(20,21,22,23,24,25)は、鎖および/またはバッフルプレートから形成される、またはこれを含むことを特徴とする、請求項1から14のいずれか1つに記載の装置。
【請求項16】
前記分離チャンバまたは前記分離チャンバ壁(2)の直径は、前記第1端から前記第2端に向かって大きくなることを特徴とする、請求項1から15のいずれか1つに記載の装置。
【請求項17】
前記分離チャンバの区間(7,8,9)には、少なくとも1つの前処理チャンバ、少なくとも1つの加速チャンバ、および少なくとも1つの高速衝撃チャンバがあり、それぞれは、前記区間(7,8,9)の1つにより形成されることを特徴とする、請求項1から16のいずれか1つに記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密度および/またはコンシステンシーの異なる物質の集合体を機械的に分解する装置に関する。この装置は、例えば、廃棄物の再利用において用いることができる。金属生産からのスラグ、および熱廃棄物再利用におけるスラグや灰には、通常、鉄やそのほかの金属が含まれる。これらの金属は、その天然型でミネラルスラグ内に大量に付着または包含されていることがある。これらの金属は、磁石または非鉄金属選別器によって物質流からこの金属を分別できるようにその合成物またはスケール形成から解放・分離すれば、それぞれの集合体から効率的に回収することができる。
【背景技術】
【0002】
従来技術によれば、このようなスラグは、ハンマーミルまたはインパクトミルで断片化されてから、実際に選別するために磁気および非鉄金属選別器に供給される。ハンマーミルまたはインパクトミルによって、20mmよりも大きい粒径での金属の分解と再利用が可能であり、また比較的効率的に行うことができる。このミルによるより細かい金属粒子の分解には、20mm未満の非常に小さな隙間分離の必要があり、これは衝撃粉砕を犠牲にする代わりにすりつぶし粉砕を著しく高めるものである。その結果、柔らかい非鉄金属は、非鉄金属選別器によっては選別不可能なほど細かく砕かれることになる。そのため、上記従来技術の集塊破砕機を用いてのスラグ内に天然型で存在する細かい金属粒子の再利用は、限られた範囲内でのみ可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明は、スラグ内にその天然型で包含される細かい金属粒子および微小金属粒子を機械的に細分化または分離することができる、密度および/またはコンシステンシーが異なる物質集合体を機械的に細分化する装置を提案するという目的に基づくものである。また、提案される装置は、その他の密度および/またはコンシステンシーの異なる物質の集合体の分解にも適する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、この課題は、主たる請求項の特徴を備える装置によって解決される。本発明の好適な設計および更なる発展形は、従属請求項の特徴によるものである。
【0005】
本発明にかかる装置は、第1端に供給用開口部と、第2端に排出用開口部とを有する分離チャンバを備える。上記分離チャンバは、円筒形状または円錐台形状の分離チャンバ壁に取り囲まれており、この分離チャンバ壁は、通常、供給側端部が上で排出側端部が下となって垂直方向を向いている。このような垂直配置により、物質を上から重量計量的に供給することができる。
【0006】
上記分離チャンバは、この分離チャンバ壁の円筒形状によって規定される円筒軸の方向に、少なくとも2つ、好ましくは3つの連続した区間を有する。上記3つの区間のそれぞれには、それぞれロータ筐体と衝撃ツールとを有する少なくとも1つのロータが配され、この衝撃ツールは、少なくとも本装置の動作中、ロータ筐体から分離チャンバ内へ半径方向に延びる。例えば衝撃ツールとして鎖が用いられる場合、これらの鎖は、当然ながら、対応するロータが十分な速度で回転している場合にのみ分離チャンバ内に半径方向に延びる。本請求項のために、このような衝撃ツールもまた、ロータ筐体から分離チャンバ内に半径方向に延びる衝撃ツールとみなされる。上記衝撃ツールによって、場合によっては後述のように分離チャンバ壁に配されたバッフルプレートと接続して、後述のようなやり方で集合体を細分化することができる。
【0007】
上記ロータは、その連続した区間に、半径が分離チャンバの第2端に向かって大きくなるロータ筐体を含み、各ロータ筐体の半径と分離チャンバの半径との差は第1端から第2端に向かって小さくなる。したがって、上記ロータのロータ筐体は、連続した区間がおおよそ円錐形状であり、この円錐の半径が第1端から第2端に向かって大きくなる。このように、供給用開口部から供給される物質集合体が、分離チャンバ内を進むにつれてより半径方向外側に位置し、衝撃ツールの速度が対応して内側のエリアよりも早くなることを実現することができる。上記円錐は、その直径が第2端に向かって連続的または段階的、例えばカスケード状に増加する。上記分離チャンバ壁の半径は、同じであっても、供給用開口部から排出用開口部に向かって大きくなってもよく、これによって分離チャンバ内で次第に長い距離を運動する粒子の速度が増加することにもなる。また、上記分離チャンバ壁の半径は第1端から第2端に向かって小さくなってもよい。上記分離チャンバ壁の半径が通常は底部に位置する第2端に向かって大きくなる場合、半径は連続的または段階的に変化してもよい。このために、いずれにせよ、各ロータ筐体の半径と分離チャンバ壁の半径との差は、この2つの半径の差が第1端から第2端に向かって軸方向に小さくなるよう調整されることになる。これにより、上記分離チャンバの容量は、物質が分離チャンバ内を軸方向に進行するにつれて小さくなり、これによって粒子密度の高まり、ひいては相互衝撃およびこの粒子の衝撃ツールまたはバッフルプレートに対する衝撃の増加につながるよう実現することになる。これに加えて、各隣接する区間におけるロータの回転方向は、逆回転であることが好ましい。このようにして、上記区間の1つにおいて衝撃ツールによって加速される粒子が、次の区間における二重反転衝撃ツールと真っ向から衝突することが実現される。よって、この衝突速度は、粒子速度と衝撃ツールの速度との和である。これにより、上記分離チャンバ壁の上記衝撃ツールおよび/またはバッフルプレートに対する上記金属粒子の衝突速度が極めて高いものとなり、これによって、密度および/またはコンシステンシーの異なる、例えば弾力性の異なる物質が内部に含まれる場合、集合体が破壊されることになる。また、異なる区間におけるロータの回転速度が、上記分離チャンバの第1端から第2端に向かって増加することが好ましい。また、このように、上記ロータの回転速度、したがって衝撃ツールの速度が増加するため、粒子密度が増加する範囲において衝突速度が分離チャンバの第2端に向かって増加することが実現できる。
【0008】
よって、上述した技術的特徴の組み合わせにより、一方では供給用開口部から分離チャンバに供給される集合体の速度は排出用開口部に向かって増加することになり、同時に粒子密度も増加することになる。これにより、上記分離チャンバの排出用開口部前の最後の区間において、集合体は、例えば200m/sを超える速度でバッフルプレートまたは衝撃ツールに衝突することが実現される。このように、上記物質集合体の破裂は、従来のハンマーミルやインパクトミルによって粉砕することなく実現することができる。そのため、特に集合体に含まれる金属粒子について、その粒子サイズを不都合に縮小させることなく取り出すことができる。
【0009】
したがって、提案される装置は、従来のハンマーミルやインパクトミルを用いては不可能なやり方で、例えば鉄または鉄を含まない金属などの金属をスラグ構造またはスケール構造から分離することを可能とする。この過程で、提案される装置は、金属部品自体を破壊することなく、分解対象の集合体の衝撃ツールおよび/またはバッフルプレートに対する衝撃エネルギーの最大化を実現する構成を用いる。その結果、経済的に妥当なやり方でスラグ内のごく小さな金属粒子でさえ、分解・分離することができる。したがって、本発明により、分離対象の集合体の衝突速度を極めて高いものとすることができ、これにより、ほんのわずかの粉砕効果で集合体を細分化することができるようになる。
【0010】
好ましくは、各区間におけるロータはそれぞれの駆動部を有しており、少なくとも1つの別の区間の駆動部とは独立して動作または制御可能である。このように、ロータの回転速度は、様々な分離対象の集合体に適用することができる。
【0011】
上記ロータ筐体は、円錐台状に構成されることが好ましい。これにより、集合体および金属粒子は、実質的に落下速度を減少させることなく分離チャンバの一層外側のエリアに搬送される。上記分離チャンバの連続した区間におけるロータのロータ筐体は、円錐台形状を形成することが好ましく、ここで、異なるロータのロータ筐体が合わせて円錐形状または円錐台形状を形成するように、直接連続した円錐台の互いに向き合う端部における直径が同じであることが好ましい。このように、分離チャンバの軸方向の物質の処理量を著しく低減することなく、供給される金属粒子および物質集合体を分離チャンバ全体で半径方向に外側のエリアに向かって搬送することができる。ただし、上記1個のまたは複数のロータ筐体の直径の増加は段階的なものであってもよく、ここで、各区間においてロータ筐体の直径が一定である1つ以上の軸方向エリアが形成され、このロータ筐体の後続の段のエリアの直径がより大きいものであることが好ましい。このバージョンは、軸方向における分離チャンバでの物質の処理量がより妨げられるという問題を有している。
【0012】
好適な実施形態において、上記衝撃ツールは、容易に交換可能なようにロータに設けられたレセプタクルに保持される。また、交換の容易性の観点から、上記ロータ筐体は、同様にして上記ロータに設けられた複数の交換可能なロータ筐体要素から構成されることが好ましい。上記ロータ筐体により物質粒子を集合体から分離チャンバの半径方向に外側のエリアに搬送する際、ロータ筐体は多くの衝撃を受けてある程度摩耗するため、単に個々の損傷したロータ筐体要素を交換することによって、ロータ全体を交換しなければならない場合に比べると著しく費用効率がよくなる。
【0013】
以下に、例として、3つの区間を有する分離チャンバに基づいて、提案された装置を説明する。また、本装置は、2つの区間、または4以上の区間を有するものとして実現してもよく、基本的に同様の方法で機能する。以下、上記分離チャンバの第1端すなわち供給用開口部側の第1区間を、前処理チャンバと呼ぶ。この前処理チャンバから第2端に向かう方向に第2区間が続くが、これを加速チャンバと呼ぶ。残る第2端すなわち排出用開口部側に面した第3区間を、高速衝撃チャンバと呼ぶ。
【0014】
本発明の好適な変化形において、上記分離チャンバの第1および/または第2および/または第3区間には、軸方向にオフセットした2つ以上の衝撃ツール用のレセプタクルが設けられている。このようにして、分離チャンバの区間ごとに衝撃ツールの数を広い範囲で調整することができる。これは、先の2つの区間においては、粒子および集合体の加速の向上を伴い、第3区間においては、衝撃ツールに対する集合体または粒子の衝突の制御可能性を高めることになる。少なくとも第2区間においては、上記ロータ筐体が押し上げ棒を有してもよく、この押し上げ棒は軸方向および半径方向に分離チャンバ内に延びる。この押し上げ棒は、運動する物質の粒子をロータ筐体のエリアにおいてさらに奥に運び、分離チャンバのさらに半径方向外側のエリアにおいてこれらを加速し、この粒子を高速衝撃チャンバの衝撃ツールによってより効果的に細分化することができるようにする。この特徴は本発明の基本的な思想に有用であり、これによれば、上記衝撃ツールまたはバッフルプレートに対する粒子または集合体の衝突がおおよそ200m/sの範囲の速度で実現される程度まで、分離チャンバにおける全粒子の運動エネルギーを可能な限り増大させられることになる。このような衝撃速度により、金属部品自体を破断することなく、極めて確実に集合体の粉砕および制御された分解を実現することができるということが分かる。ただし、この過程において、端部において最速となる衝撃ツールの運動速度は、音速を超えてはならない。
【0015】
上記分離チャンバ内での粒子または集合体の衝突回数を増やすために、分離チャンバ壁上に内部に向かって軸方向および半径方向に延びるバッフルプレートを設けてもよい。このように、上記衝撃ツールによって加速された粒子がこれらのバッフルプレートに衝突して細分化することができる。
【0016】
上記装置が意図されたように動作する場合、その結果として、供給用開口部から排出用開口部すなわち第1端から第2端に向かって集合体または粒子の物質流が生じる。上記装置の好適な実施形態において、分離チャンバ内の物質流の供給方向に後続の区間は、その前の区間よりも多数の衝撃ツールを備えてもよい。これは、粒子と衝撃ツールとの衝突のより多くが、上記衝撃ツールがより高速となる区間にシフトするという利点がある。よって、例えば前処理チャンバ内の衝撃ツールの数をさらに少なくすることもできるが、これは、上記前処理チャンバの目的が、集合体の粒子が後続の加速チャンバの衝撃ツールの運動範囲に入ることができるよう、粒子を半径方向に外側に向かって運ぶことであるためである。したがって、加速チャンバにはより多数の衝撃ツールを設ける必要がある。さらに、上記前処理チャンバにおいて、半径方向にさらに外側に位置するエリアに向かって粒子を効率的に搬送するために、ロータ筐体上に押し上げ棒を形成してもよい。
【0017】
物質流に沿って前処理チャンバの後に続く加速チャンバには、前処理チャンバよりも明らかに多くの衝撃ツールが設けられることが好ましい。これらの衝撃ツールは、外方向に向けて、また第2端、すなわち通常は高速衝撃チャンバの下方向に向かってに向けて、第2端付近に高密度で存在する粒子を加速するために用いられる。また、上記加速チャンバにおけるロータのロータ筐体には、粒子をさらに外側のエリアに搬送する機能を有する押し上げ棒が設けられていてもよい。ここで、粒子は、高速衝撃チャンバ方向へ移動しつつ、同時に加速チャンバ内のより多数の衝撃ツールによって大きく加速される。
【0018】
好ましくは、上記衝撃ツールのほとんどが、第3区間、すなわち高速衝撃チャンバに設けられている。これら衝撃ツールの目的は、この区間の分離チャンバにおいて、ロータ筐体の半径が大きくなるためより高密度で高速衝撃チャンバ内に存在する粒子を、高い確率で粉砕することである。衝撃ツールおよび対応するロータの回転速度は、高速衝撃チャンバ内が最も高くなることが好ましい。外側エリアでの衝撃ツールの速度は200m/sを超えるように選択されてもよいが、300m/s未満、すなわち音速を下回る速度であることが好ましい。したがって、第2端に向かって連続する区間において衝撃ツールの数を増やし回転速度を早くすること、および回転方向を二重反転とすることによって、特に、ある区間から次の区間への移行部分における衝撃エネルギーが最大となる。
【0019】
これにより、集合体の機械的分解がとりわけ効果的に行われることになる。個別の成分に分解された集合体は、排出用開口部を通じて分離チャンバから排出されたのち、例えばサイクロン、磁気選別器、または渦電流選別器など、従来の分別チャンバまたは選別チャンバなどの現在知られている方法で選別される。上記区間のうちのあるロータの回転速度は、第1端の側に配された区間のロータの回転速度に対して、1:1から5:1の間の割合、好ましくは2:1から4:1の間の割合であってもよい。これにより、金属粒子または金属を含有する粒子の衝突速度および衝撃ツールに対する衝突可能性を、最大化することができることがわかる。また、好ましくは、第2区間側の最後の区間におけるロータの回転速度は、ここでの衝撃ツールの縁端の絶対速度が100m/sから300m/sの間となるよう、好ましくは130m/sから200m/sの間、または200m/sから300m/sの間となるよう調整される。
【0020】
分離チャンバ壁の半径に対する第1区間のロータ筐体の半径の割合は、0.15から0.5の間の割合であることが好ましい。第2区間のロータ筐体の半径は、その割合が分離チャンバ壁の半径に対して0.34から0.65の間の割合であることが好ましい。第3区間における対応する割合は、0.55から0.85の間であることが好ましい。このようなロータ筐体の半径と分離チャンバ壁の半径の割合により、第2端に向かって粒子密度が高まるという利点と合わせて、半径方向にさらに外側に向って広がるエリアへの粒子の制御搬送が特に効果的に実現される。同時に、ロータ筐体の拡大は、分離チャンバ壁の半径がロータ筐体の半径と同じ割合では増加しないとしても、粒子の流れにそれほどの影響を与えない。さらに外側に向って広がるエリアでは内側のエリアよりも衝撃ツールの速度が速いため、これは最終的に粒子密度の増加および衝撃エネルギーの増加につながる。
【0021】
標準的な事例では、分離チャンバ内のロータ筐体の直径は、例えば、上から下に向って、500mmまたは600mmから、1400mmまたは1500mmに増加する。同時に、上記分離チャンバ壁の直径が、上部でおおよそ1200mmもしくは1300mmから下部でおおよそ1900mmまで増加してもよく、または1700mmから1900mmの範囲で一定であってもよい。いずれの場合にも、ロータ筐体と分離チャンバ壁との間の距離は第1端から第2端に向かって小さくなる。これは、少なくとも分離チャンバの軸方向のある程度の距離にわたって平均的に減少していけば十分である。ただし、例えば分離チャンバ壁が段階的に拡大するエリア、または分離チャンバ壁が1つ以上の有用とみなされる突起を含む場合などの個々の事例においては、ロータ筐体と分離チャンバ壁との間の距離が、局所的に分離チャンバの排出用開口部に向って増加すると安全である。3つの区間を有する上記の例で見込まれるロータの回転速度は、例えば、第1区間のロータについては500RPMまたは600RPMであり、第2区間のロータについては900RPMまたは1000RPMであり、第3区間のロータについては1400RPMまたは1500RPMである。第3区間のロータは、第1および第2区間のロータとは反対方向に回転し、第1および第2区間のロータは同じ方向に回転する。このようにして、第3区間すなわち高速衝撃チャンバの外側エリアにおいて、140m/sを超える衝撃ツールの速度を実現することができる。前処理チャンバおよび加速チャンバ内の粒子の逆加速により、200m/sを超える衝撃速度を実現することができる。
【0022】
このように、衝撃ツールおよび/またはバッフルプレートに衝突する際、金属粒子または金属を含有する粒子の集合体の衝突速度、ひいては衝撃エネルギーを、妥当かつ物理的に可能な範囲内で制御および最大化することができる。
【0023】
衝撃ツールは、例えば、鎖および/またはバッフルプレートから形成されてもよく、鎖および/またはバッフルプレートを含んでもよい。このような衝撃ツールは、例えばドイツ公開公報DE102005046207(A1)において実際に知られている。
【0024】
本装置は、分離チャンバの第1端に供給ホッパ、および/または分離チャンバの第2端に排出ホッパを有することが好ましい。この排出ホッパにより、機械的に分解された物質が、例えば、コンベヤベルトまたは選別装置の方に導かれる。
【0025】
上記の装置が、スラグ中の金属粒子の細分化に限定されるものではないことは明らかである。それどころか、あらゆるタイプの密度および/または弾力性の異なる物質を含む物質集合体の細分化に用いることができる。
【0026】
本装置の標準的な実施形態において分離チャンバ壁および/または衝撃ツールおよび/またはロータ筐体は、好ましくは、金属またはセラミック金属合成物質などの硬質で耐衝撃性のある物質で構成される。
【0027】
また、分離チャンバの1つ以上または全てにおいて、1つのロータだけでなく、2つ以上のロータが軸方向に連続して設けられてもよい。さらに、区間の数を変更してもよく、特に、2、3、4、5、またはそれ以上の数の区間があってもよい。
【0028】
上記分離チャンバ壁は、分離チャンバ壁に沿って上から落ちてくる物質を分離チャンバの内側の方向に向けてこの物質が再度衝撃ツールに届くようにするための、複数の環状の内側を向いた周辺突起を有することが好適である。このようにして、落ちてくる物質が衝撃ツールの運動範囲に戻り、効果的に粉砕のために供給される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を、図1図6に基づいて説明する。
【0030】
図1図1は、本発明の実施形態におけるロータを3つ備える密度および/またはコンシステンシーの異なる物質の集合体を分解する装置の部分縦断面である。
図2図2は、図1の装置の細部の縦断面である。
図3図3は、衝撃ツールを懸架した同装置の別の細部の横断面である。
図4図4は、同懸架部分の平面図である。
図5図5は、図1にかかる装置の別の細部の断面図である。
図6図6は、同装置により実現される集合体の分解の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、密度および/またはコンシステンシーの異なる物質の集合体の機械的分離を行う装置1の部分縦断面である。装置1は、垂直方向に設けられ、直径が均一な円筒状の分離チャンバ壁2を備える分離チャンバを含む。ただし、この直径は、例えば上から下に向かって大きくなってもよい。ロータアレンジメント3は、分離チャンバ壁2内の中心部に配される。このロータアレンジメントは、積み重ねられた3個のロータ4,5,6を含み、これらは独立して駆動することができる。
【0032】
ロータ4,5,6と円筒状の分離チャンバ壁2の対応する高さの部分との間には、分離チャンバの第1区間7、第2区間8、および第3区間9が形成される。分離チャンバの一番上の第1区間7は前処理チャンバであり、中央に配される第2区間8は加速チャンバであり、排出用開口部10手前にある底部の第3区間9は高速衝撃チャンバである。
【0033】
ロータ4,5,6は、これに関連して同軸上にガイドされた3個のシャフト11,12,13によって、それぞれ独立して駆動することができる。シャフト11,12,13は、それぞれ、装置の上端部分に配された駆動部(不図示)に接続されている。分離チャンバは、その上端が、バルク材として供給される分離対象の集合体用の供給ホッパ15を有する供給用開口部14となっている。
【0034】
区間7,8,9によって形成される分離チャンバの下端には排出ホッパ16があり、これは、粉砕されて機械的に分解されたバルク材を、例えばベルトコンベヤに搬送する機能を持つ。
【0035】
ロータ4,5,6は、それぞれ、円錐台形をしたロータ筐体17,18,19を有する。ロータ筐体17,18,19は、関連付けられたロータ4,5,6に同心円状に配されており、ロータアレンジメント3、正確には3個のロータ筐体17,18,19によって形成される形状が全体として円錐台形状となるように、上から下に向かって直径が大きくなっている。以下の説明では、個々のロータおよび区間は、物質流の方向に上から下へ番号をつける。第1ロータ4は、円周を横切って軸方向に互いにオフセットし、後で詳述するような形で第1ロータ4に接続されている2段の衝撃ツール20,21を有している。同様に、第2ロータ5は、同じく軸方向に互いにオフセットした第3および第4段の衝撃ツール22,23を有している。そして、第3ロータ6も、軸方向に互いにオフセットした2段の衝撃ツール24,25を有している。これらの衝撃ツール20,21,22,23,24,25は、その外端および回転方向における前側に硬質金属衝撃端部を有する鎖および/または金属棒である。
【0036】
ロータアレンジメント3のロータ筐体17,18,19の直径は、円錐台のように上から下に向かって連続的に増加する。一方、分離チャンバ壁2の直径は、本実施の形態では一定である。
【0037】
分離チャンバ壁2は、内側に、軸方向に互いにオフセットした複数の環状の周辺突起26を有している。これらの突起26は、分離チャンバ壁に沿って落ちてくる粒子を内側、すなわちロータ4,5,6の方向に方向転換させて、効率的な機械的粉砕を行うことができるように機能する。これらの突起26は、(ここには示さないような形で)上外側から下内側に向かって傾斜がつけられている。これにより、ガイド効果の向上が実現できる。ここで示す例とは異なり、分離チャンバ壁2の半径が上から下に向かって大きくなる場合には、環状の突起26は必要とならない。
【0038】
分離チャンバ壁2の内径は例えば1800mmであってよく、環状の周辺突起26の内径はこれよりも小さく、例えば1700mmであってもよい。第1ロータ筐体17の上端の直径は例えば700mmであってもよく、また底部の第3ロータ筐体19の底部直径は例えば1300mmであってもよい。したがって、分離チャンバ壁2とロータ筐体17,18,19との間のギャップは、上端から下端に向かって550mmから250mmに減少する。
【0039】
ロータ筐体17,18,19と分離チャンバ壁2の対応する区間との間の距離が上から下に向かって小さくなり、外側に向かって半径方向にずれる点は、図1に示す装置1の重要な特徴である。これにより、供給される集合体の効果的な分解がサポートされる。結果として、一方では、各距離において分離チャンバ2の容積は下に向かって減少し、その結果、分離チャンバ内の物質の密度が増加する。また、供給される物質が、さらに外側に位置する装置1の分離チャンバの半径方向エリアに搬送される。このエリアでは、衝撃ツール20,21,22,23,24,25がより高速である。
【0040】
2つの第1のロータ4および5は、同じ方向に回転するよう駆動されるが、第3ロータ6は反対方向に回転する。第2ロータ5の衝撃ツール22,23によって加速された物質は、第3ロータ6の二重反転衝撃ツール24,25に衝突する。結果として、供給される集合体の加速した粒子の速度と、衝撃ツール24,25の速度とが加算される。これにより、衝撃ツール24,25の粒子に200m/sを超える衝撃速度が生じ、これにより比較的確実に密度および/またはコンシステンシーの異なる物質からなる複合材料が分解されることになる。
【0041】
本実施の形態において、3つのロータ4,5,6は、同心円状に配されたシャフト11,12,13を介して駆動部によって上から駆動される。代替的に、シャフト11,12,13は、下方向に延びて、底部から駆動されてもよい。同様に、駆動シャフトを分離チャンバの外に伸ばす必要がないように、駆動部自体をロータ4,5,6に割り当てられたロータ筐体17,18,19内に配することも可能である。
【0042】
図1に示す本実施形態に設けられた軸方向に連続した3つの区間4,5,6の代わりに、2つまたは4つまたはそれ以上の数の区間を設けてもよい。同様に、供給ホッパ15および排出ホッパ16を設けることについても、任意である。さらに、ロータ筐体17,18,19の直径、また場合によっては分離チャンバ壁2の直径が、ここで示したように連続的に増加するのではなく、段階的に増加するものでもよい。
【0043】
図2に、図1の装置1の一番上の第1ロータ4の細部の例を示す。第1ロータは、トルクに耐える形で割り当てられたシャフト11(不図示)に接続され、このシャフトとともに回転する3つの円盤状のレセプタクル27,28,29を備える。上部の円盤状レセプタクル27の外径は、その下方に位置する円盤状レセプタクル28,29よりも小さい。上2つの円盤状レセプタクル27,28の外周には切欠き30が設けられており、ここに衝撃鎖の複数の第1のリンク31が挿入されて、各第1のリンクは1つのピン32によってここに保持される。このために、円盤状レセプタクル27,28にはポケット33が設けられている。この円盤状レセプタクル28と衝撃ツール21の1つを例にとって、図4にこれを示す。上記の衝撃鎖は、対応する衝撃ツール20または21の一部を形成する。
【0044】
ロータ4の全円盤状レセプタクル27,28,29は、ボルト34,35を挿入することができる垂直穴を有する。2つの円盤状レセプタクル27,28の間および28,29の間には、それぞれ、ロータ筐体要素36,37が設けられており、これも円盤状レセプタクル27,28,29の穴に一致した向きの垂直穴38を有している。ロータ筐体要素36,37に対向するリミットストップ39,40,41は、上円盤状レセプタクル27の下側、その下の円盤状レセプタクル28の上側、そしてこの円盤状レセプタクル28の下側に形成される。これらのリミットストップ上に位置するのが、シャフト11に対向するロータ筐体要素36,37の水平支持壁側面である。このようにして、ロータ筐体要素36,37は、ロータ4との関連での正しい位置に中心が置かれ保持され支えられる。そして、ロータ筐体要素36,37は、ボルト34,35によって支持位置でロータ4に固定される。ロータ筐体要素36,37の交換が必要な場合には、ボルト34,35を取り除き対応するロータ筐体要素36,37を交換することにより簡単に行うことができる。
【0045】
その下に位置するロータ筐体要素37は、ロータ筐体要素37の円錐台形状の外表面から外側に向かってに半径方向および軸方向に広がる押し上げ棒42を有している。押し上げ棒42は、ロータ筐体17のエリアに入り込む粒子を、衝撃ツール20,21,22,23,24,25がより高速であるエリアに搬送するために、外側に向かって半径方向に加速する目的で設けられている。この押し上げ棒42は、特に第2ロータ5の対応するロータ筐体要素にも設けられる。また、下のロータ筐体要素37は、ロータ4の最下段の円盤状レセプタクル29に重なる縁端43を有する。この縁端は円盤状レセプタクル29に支えられて、リミットストップ39,40,41と同様のやり方で個々のロータ筐体要素37のロータ4の適切な位置への固定を支援し、このロータ筐体要素がボルト35で固定される。
【0046】
図2に、第2ロータ5の円盤状レセプタクル44をさらに示す。この第2ロータ5の直径は第1ロータ4の直径に比べて大きいため、対応する衝撃ツール22の切欠き45、および対応するボルト46は、さらに半径方向にオフセットする。
【0047】
円盤状レセプタクル28の例に基づいて、図3および図4に、円盤状レセプタクル27,28,44と衝撃鎖として形成された衝撃ツール20,21,22,23,24,25との間の接続を示す。衝撃ツール20,21,22,23,24,25は、それぞれ、対応するロータ4,5,または6に対向する第1のチェーンリンク31を含み、このリンクに垂直ピン32が溶接される。第1のチェーンリンク31は半開放された第2のチェーンリンク47と係合しており、この第2のリンクに極めて耐久性の高いスチールでできた衝撃ツール20,21,22,23,24,25の別の部分が溶接される。周辺に分布した数個(例えば、最大で8)のフライス加工されたポケット33が円盤状レセプタクル27,28,29に配され、衝撃ツールはこのポケットの内部にピン32で接続されることになる。また、図3に、分離チャンバ壁2の環状の周辺突起26の1つを示す。この突起は、衝撃ツール21の反対側に位置する。また、これらの突起26は、落ちてくる粒子を衝撃ツール21,22,23,24,25のエリアに向かわせる能力を向上するために、その上端が傾斜していてもよい。また、図4は、ボルト34および35用の穴48うちの2個を示す。
【0048】
図5に、衝撃要素49の分離チャンバ壁2への取り付け方法がわかるように、図1の装置1の細部を示す。衝撃要素49は衝撃面50を含み、この衝撃面は衝撃ツール20によって加速された物質用の衝撃面として機能し、これによりそこにある物質集合体を分解可能とする。もちろん、この集合体は、衝撃ツール20および他の衝撃ツール21,22,23,24,25自体においても分解される。衝撃ツール20を有するロータ4の回転方向を、図5の矢印で示す。
【0049】
分離チャンバ壁2において、ロータ4,5,6を含む分離チャンバ内に突出する「歯」が、分離チャンバの内部に向かって軸方向および半径方向に広がる衝撃要素49によって形成される。衝撃要素49は、このために設けられたポケット51に挿入され、ポケットは分離チャンバ壁2の周辺に分布する。したがって、例えば4つまたは8つまたはかなり多数の、衝撃要素49を有するポケット51を周辺に分配することができる。衝撃要素49は、これらのポケット51に外側から挿入し、分離チャンバ壁2の外部にボルトで固定することができる。衝撃要素49の回転方向に向かう側であって分離チャンバ2内に突出する側は、上記の衝撃面50を形成する。このような衝撃面50のない滑らかな円筒状の分離チャンバ壁2が望ましい場合には、ポケット51にはプレースホルダ52を挿入してもよい。プレースホルダ52は、分離チャンバ壁2の摩耗ライニング53を含む分離壁チャンバ2と厚みが同じである。したがって、プレースホルダ52は、分離チャンバ壁の内部と面一となり、これにより分離チャンバ壁2の内部が連続した滑らかな円筒形の内面54となる。また、衝撃要素49は、分離チャンバ内に突き出ている。図6に、本発明にかかる分離装置を備える装置1の動作方法を模式的に示す。金属粒子56およびスラグ残留物57からなる集合体55は、装置1の衝撃ツール20,21,22,23によって加速する。結果として、速度vを実現する。分離チャンバの次の区間9において、これらは高速で反対方向に回転する衝撃ツール24,25に衝突する。衝突すると、集合体55の速度vと衝撃ツール24,25の速度vとが加算され、集合体の細分化が確実に行われて、これによって例えば金属粒子56やスラグ残留物57などの個々の成分に分離される。このようにして、200m/s以上の衝撃速度が実現可能となる。その過程で放出されるエネルギーにより、硬く固まった集合体ですら高確率で分解されることになる。
【0050】
上記の実施形態には、様々な変形が可能であることは言うまでもない。例えば、衝撃ツール20,21,22,23,24,25の数および分布は、図示の例から外れてもよい。代わりに、特に鎖やバッフルプレートなどの、別の衝撃ツールを用いてもよい。第1区間7に用いた数よりずっとたくさんの衝撃ツールを、分離チャンバの第3区間9の衝撃ツール23,24の段として周辺に分布させてもよい。これにより、第3区間9、すなわち高速衝撃チャンバ内のエリアでの激突可能性が高まる。分離チャンバ壁2の一部分を、例えば分離チャンバ2にアクセスしてメンテナンス作業を行うことができるよう開放可能としてもよい。これにより、すり減ったり引き裂かれたりしやすい部品の交換、特に摩耗ライニング53、衝撃ツール20,21,22,23,24,25、または、ロータ筐体要素36,37の交換が簡単になる(言うまでもなく、その他のロータ5,6のロータ筐体18,19も、対応する構成のロータ筐体要素を有しておりこれらについても交換が簡単になる)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6