特許第6159733号(P6159733)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6159733天然ゴムを用いて安定化され、高粘度であり、経時的に安定な塩に富んだ新規の水中油型エマルション
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6159733
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】天然ゴムを用いて安定化され、高粘度であり、経時的に安定な塩に富んだ新規の水中油型エマルション
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20170626BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20170626BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20170626BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20170626BHJP
   A61K 8/9789 20170101ALI20170626BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20170626BHJP
   A61K 8/20 20060101ALI20170626BHJP
   A61K 8/24 20060101ALI20170626BHJP
   A61K 8/23 20060101ALI20170626BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20170626BHJP
   A61K 8/365 20060101ALI20170626BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20170626BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20170626BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20170626BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20170626BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20170626BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20170626BHJP
【FI】
   A61K8/81
   A61K8/06
   A61K8/37
   A61K8/73
   A61K8/9789
   A61K8/19
   A61K8/20
   A61K8/24
   A61K8/23
   A61K8/36
   A61K8/365
   A61K8/46
   A61K8/44
   A61Q19/00
   A61Q19/10
   A61Q5/02
   A61Q17/04
【請求項の数】13
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2014-545332(P2014-545332)
(86)(22)【出願日】2012年12月5日
(65)【公表番号】特表2015-500270(P2015-500270A)
(43)【公表日】2015年1月5日
(86)【国際出願番号】FR2012052803
(87)【国際公開番号】WO2013083913
(87)【国際公開日】20130613
【審査請求日】2015年11月24日
(31)【優先権主張番号】1161304
(32)【優先日】2011年12月8日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】398057293
【氏名又は名称】ソシエテ・デクスプロワタシオン・デ・プロデュイ・プール・レ・アンデュストリー・シミック・セピック
【氏名又は名称原語表記】SOCIETE D’EXPLOITATION DE PRODUITS POUR LES INDUSTRIES CHIMIQUES SEPPIC
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】エマニエル ムラ
【審査官】 石川 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/087326(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/030044(WO,A1)
【文献】 特開2004−339144(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/81
A61K 8/06
A61K 8/19
A61K 8/20
A61K 8/23
A61K 8/24
A61K 8/36
A61K 8/365
A61K 8/37
A61K 8/44
A61K 8/46
A61K 8/73
A61K 8/9789
A61Q 5/02
A61Q 17/04
A61Q 19/00
A61Q 19/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中油型エマルションのエマルション形態で与えられる組成物(C)であって、その重量100%に対して、
5重量%〜55重量%の、少なくとも1つの油と任意に少なくとも1つのろうとからなる油相(P)と、
0.06重量%〜4.5重量%の、少なくとも1つの架橋剤の存在下での部分的又は完全に塩化した2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸と、各アルキル基の炭素原子数が1〜4のN,N−ジアルキルアクリルアミドから選ばれる少なくとも1つの中性モノマーと、式(I):
【化4】
(式中、Rは炭素原子数8〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキルラジカルを表し、nは1以上20以下の数を表す。)の少なくとも1つのモノマーとの重合によって生じる少なくとも1つの架橋アニオン性高分子電解質(PA)と、
0.0025重量%〜1重量%のキサンタンガム(GX)と、
0.0025重量%〜1重量%のアカシアゴム(GA)と、
38.5重量%〜94.935重量%の、その重量100%に対して1重量%〜10重量%の溶解形態で与えられる少なくとも1つの塩(S)を含む化粧品に許容可能な水相(P)と、
を含むことを特徴とし、前記キサンタンガム(GX)と前記アカシアゴム(GA)との重量比が1/3以上3/1以下であることを更に特徴とする、組成物(C)。
【請求項2】
前記架橋アニオン性高分子電解質(PA)が、その構成要素モノマー100モル%に対
して、
20モル%〜80モル%の、部分的又は完全に塩化した2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸に由来するモノマー単位と、
15モル%〜75モル%の、各アルキル基の炭素原子数が1〜4のN,N−ジアルキルアクリルアミドから選ばれる中性モノマーに由来するモノマー単位と、
0.5モル%〜5モル%の、上に規定される式(I)のモノマーに由来するモノマー単位と、
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の組成物(C)。
【請求項3】
前記架橋アニオン性高分子電解質(PA)において、前記中性モノマーがN,N−ジメチルアクリルアミドであることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の組成物(C)。
【請求項4】
前記架橋アニオン性高分子電解質(PA)において、前記式(I)のモノマーがテトラエトキシ化メタクリル酸ラウリルであることを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の組成物(C)。
【請求項5】
前記架橋アニオン性高分子電解質(PA)が、トリメチロールプロパントリアクリレートによって架橋した、アンモニウム塩の形態の部分的に塩化した2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸と、N,N−ジメチルアクリルアミドと、テトラエトキシ化メタクリル酸ラウリルとのターポリマーであることを特徴とする、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の組成物(C)。
【請求項6】
前記架橋アニオン性高分子電解質(PA)が、100モル%に対して、
60モル%〜80モル%の、アンモニウム形態の部分的に塩化した2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸に由来するモノマー単位と、
15モル%〜39.5モル%の、N,N−ジメチルアクリルアミドに由来するモノマー単位と、
0.5モル%〜5モル%の、テトラエトキシ化メタクリル酸ラウリルに由来するモノマー単位と、
を含むことを特徴とする、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の組成物(C)。
【請求項7】
前記塩(S)が、アンモニウムイオン又は金属カチオンであるカチオンと、ハロゲン化物イオン、炭酸イオン、重炭酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、ホウ酸イオン及び硫酸イオンからなる群の要素から選択されるアニオンとからなる無機塩であることを特徴とする、請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の組成物(C)。
【請求項8】
前記塩(S)が、アンモニウムイオン又は金属カチオンであるカチオンと、カルボン酸形態の少なくとも1つのカルボン酸官能基を有する有機化合物又はスルホン酸形態の少なくとも1つのスルホン酸官能基を有する有機化合物又は少なくとも1つの硫酸官能基を有する有機化合物である有機アニオンとからなる有機塩であることを特徴とする、請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の組成物(C)。
【請求項9】
前記塩(S)がグリコール酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸亜鉛、グルコン酸マンガン、グルコン酸銅及びアスパラギン酸マグネシウムからなる群の要素から選択される有機塩であることを特徴とする、請求項8に記載の組成物(C)。
【請求項10】
前記塩(S)が、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸ナトリウム又は4−ヒドロキシ−2−メトキシ−5−(オキソ−フェニルメチル)ベンゼンスルホン酸ナトリウムから選択される有機塩であることを特徴とする、請求項8に記載の組成物(C)。
【請求項11】
ブルックフィールド型粘度計を用いて20℃の温度で測定されるその動的粘度が、30,000mPa・s以上200,000mPa・s以下であることを特徴とする、請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載の組成物(C)。
【請求項12】
請求項1ないし請求項11のいずれか一項に記載の組成物(C)を調製する方法であって、
少なくとも、架橋アニオン性高分子電解質(PA)、キサンタンガム(GX)及びアカシアゴム(GA)を油相(P)中で混合することによって相(P’)を調製する工程a)と、
少なくとも、工程a)によって得られる前記相(P’)を化粧品に許容可能な水相(P)で乳化する工程b)と、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項13】
皮膚、毛髪、頭皮又は粘膜の洗浄、保護及び/又は手入れへの請求項1ないし請求項11のいずれか一項に記載の組成物(C)の化粧品的使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規の水中油型エマルション、並びに化粧品及び医薬品におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品産業及び医薬品産業によって販売されている水中油型エマルションの形態で与えられる化粧品組成物は、クリーム、ローションの形態で与えることができ、皮膚に直接適用される上記水中油型エマルションの粘度を増大する合成増粘ポリマーを含むことが非常に多い。
【0003】
これらの合成増粘ポリマーは、上記水中油型エマルション中に存在する水相を増粘することを可能にし、それにより該エマルションの所望の粘稠度又は安定化効果が得られる。
【0004】
現在これらの分野で使用されている合成増粘ポリマーは、粉末形態及び液体形態という2つの物理的形態で与えられ、この場合、ポリマーは界面活性剤を使用する逆相エマルションラジカル重合によって調製され、一般に逆相ラテックスと称される。
【0005】
粉末形態で与えられる最もよく知られている合成増粘ポリマーの中でも、アクリル酸をベースとするポリマー又はアクリル酸及びそのエステルをベースとするコポリマーに言及することができる。例えば、CARBOPOL(商標)及びPEMULEN(商標)といいう商品名で販売されているポリマーに言及することができる。これらは、特に特許文献1及び特許文献2及び特許文献3に記載されている。
【0006】
化粧品においては、2−アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸及び/又はその塩をベースとするホモポリマー又はコポリマーも同様に粉末形態で使用される。これらの増粘ポリマーはAristoflex(商標)という商品名で販売されており、特に特許文献4、特許文献5及び特許文献6に記載されている。これらの粉末形態の合成増粘剤は沈殿重合によって得られ、モノマー(複数の場合もあり)はベンゼン、酢酸エチル、シクロヘキサン、tert−ブタノール等の有機溶媒中の溶液に入れられる。したがって、この方法は、最終生成物の精製に微量の残留溶媒を除去する多数の連続工程を必要とする。
【0007】
化粧品産業及び医薬品産業では、逆相ラテックスの形態で与えられる増粘剤、特に本出願人によって販売される増粘剤も非常に広く使用されている。例えば、増粘剤Sepigel(商標)305、Simulgel(商標)600、Simulgel(商標)EG、Simulgel(商標)EPG、Simulgel(商標)NS、Simulgel(商標)A、Sepiplus(商標)400、Sepiplus(商標)250及びSepiplus(商標)265に言及することができる。これらの増粘剤は逆相エマルションラジカル重合によって得られる。これらは特に常温での取扱いがより容易であり、非常に迅速に水に分散するという利点を有する。さらに、これらの製品は著しく高い増粘性能を示し、この性能はおそらく、その調製に用いられる方法である、非常に高分子量のポリマーをもたらす分散相ラジカル重合反応の結果である。
【0008】
それにもかかわらず、逆相ラテックスの形態で与えられるこれらの合成増粘剤は油と、特に敏感な被験体に対して皮膚過敏(intolerance)反応を引き起こす場合もある1つ又は複数の界面活性剤とを含有する。加えて、この油の存在のために清澄な水性ゲルの調製
に使用不能である。
【0009】
本出願人はしたがって、逆相ラテックスと同等の又は優れた増粘性能を有するが、特により清澄な水性ゲルをもたらし得る任意の油相の非存在のために皮膚の耐容性がより良好な合成増粘剤を開発した。これらの製品は粉末形態で与えられるが、液体形態の製品と同程度の溶解時間、ひいては使いやすさを有する。特許文献7に記載のこれらの化合物は分散相ラジカル重合、逆相懸濁ラジカル重合、逆相エマルション又は逆相マイクロエマルションラジカル重合等の従来の重合技法によって得られる。次いで、得られる合成増粘系を抽出し、別個の溶媒中での沈殿、別個の溶媒中での沈殿後の任意の洗浄、噴霧乾燥又は共沸脱水等の様々な技法によって精製した後、任意に厳選した溶媒で洗浄する。したがって、これらの合成増粘剤は従来の粉末形態の合成増粘剤の幾つかの利点(より清澄な水性ゲルが得られる油の非存在)と、逆相ラテックスの形態で与えられる合成増粘剤の利点(高い溶解速度、顕著な増粘能及び安定化特性)とを兼ね備える。しかしながら、一部の用途では、かかる合成増粘系を使用する消費者は、現在得られるよりも更に清澄なゲル、又は更には透明なゲルの製造が可能であることを望む。加えて、これらの合成増粘剤を用いて得られるゲルは、電解質に富んだ日焼け止め剤及び/又は着色顔料及び/又は植物抽出物を含む組成物の場合にはよくあることだが、組成物が電解質に富んでいる場合に十分な安定性を有しない。
【0010】
本出願人は、遊離の部分的に塩化した又は完全に塩化した強酸官能基を有する少なくとも1つのモノマーと、少なくとも1つの中性モノマーと、式(A):
【化1】
(式中、R1は水素原子又はメチルラジカルを表し、Rは炭素原子数8〜30の直鎖又は分岐鎖のアルキルラジカルを表し、nは1以上50以下の数を表す)の少なくとも1つのモノマーとの直鎖、分岐鎖又は架橋ターポリマーを開示する特許文献8に記載されているような合成増粘系も開発した。これらのポリマーは、特に電解質の存在下で非常に顕著な増粘特性を有する。これらのポリマーは広いpH範囲にわたって機能し、透明なゲルの作製を可能にする。しかしながら、これらのポリマーの一部によって増粘した低pHの配合物は塩に対して長期にわたる十分な耐性を有さず、脂肪アルコールを含有するそれらの一部は、魅力のない弾性の外観を有し、粘性の触感及び/又は粒状の不連続なクリーム若しくはエマルションの外観を与える。
【0011】
本出願人は、これらの欠点を、特許文献8には開示されていないこれらのターポリマーの一部を選択することによって回避することができることを示し、部分的に塩化した又は完全に塩化した強酸官能基を有する少なくとも1つのモノマーと、少なくとも1つの中性モノマーと、式(B):
【化2】
(式中、Rは炭素原子数8〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキルラジカルを表し、nは1以上30以下の数を表す。)の少なくとも1つのモノマーとのラジカル重合によって生じる、特許文献9に記載されているような新規の分岐又は架橋アニオン性高分子電解質を開発した。
【0012】
化粧品産業及び医薬品産業では、皮膚過敏のリスクを低減するガレヌス形態も求められており、その結果として耐容性が良好な該ガレヌス形態を構成する成分を選択し、更にはその組成において、皮膚の過敏反応の可能性を増大しやすい成分の割合を低減する傾向がある。この点で、化粧品産業及び医薬品産業では、乳化界面活性剤を含む安定化系を含まない水中油型エマルションを開発することが求められている。したがって、特許文献9に記載されているターポリマーは、乳化界面活性剤を含まない水中油型エマルションの調製に理想的な候補となっている。
【0013】
しかしながら、水中油型エマルションをかかる合成増粘ターポリマーを用いて乳化界面活性剤の非存在下で調製する場合、乳化界面活性剤を含まない上記水中油型エマルションに塊の外観がその貯蔵時に経時的に観察される。したがって、その長期貯蔵時にクラスターを生じないが、電解質に富んだ媒体の存在下で広いpH範囲にわたって高粘度及び十分な官能特性を保持し、すなわちその取扱いの際に及び皮膚への適用後に粘性の糸を引く(stringy)特質を示さない、乳化界面活性剤を含まない新規の水中油型エマルションを開発する必要がある。
【0014】
多糖は長年の間、食品、化粧品又は医薬組成物の調製にテクスチャー及び/又はレオロジーの改善用の作用物質として使用されてきた。その化学的構成に応じて、多糖はゲル化剤及び/又は増粘剤として使用することができる。増粘剤は、それを導入する媒体の粘度を増大する化学化合物を意味する。ゲル化剤は、液体媒体を液体中に三次元格子を形成することによって流動しない構造化状態へと変換する化合物を意味する。ゲルは液体状態と固体状態との間の中間状態とみなされる。
【0015】
多糖は単糖(saccharides)のポリマーである。単糖のIUPACの定義は、糖、厳密に言えば糖の化合物、及びカルボニル基の還元若しくは1つ若しくは複数のヒドロキシル官能基の酸化によって、又は1つ若しくは複数のヒドロキシル官能基を水素原子、アミン基、リン酸官能基若しくは硫酸官能基で置き換えることによって得られるその誘導体を表す。
【0016】
食品、化粧品又は医薬組成物の調製に最も一般的に使用されている多糖は、主にグルコース、ガラクトース若しくはマンノース等の糖、又は末端炭素のヒドロキシル官能基がカルボキシル官能基へと酸化された糖誘導体からなる。多糖において2つの異なる群(糖のみからなる多糖(すなわち高分子糖(poly-sugars))及び糖誘導体からなる多糖)を区別することができる。
【0017】
糖誘導体からなる多糖において、以下のように区別することができる:
特にカラギーナン及び寒天等の藻類ポリオシド(polyosides)によって代表される、硫酸エステル基が付加され得るガラクトースのポリマーである硫酸化ガラクタン;
アルギン及びペクチン等のウロン酸のポリマーであるウロナン(uronans);
糖及びウロン酸のヘテロポリマー:これらのポリマーは樹液滲出液(例えば、アラビアゴムの滲出液及びカラヤゴムの滲出液)中に見られるが、例えばキサンタンガム及びゲランガム等、微生物によっても産生される;
そのC−2上のヒドロキシルをアミンに置き換えることによって誘導されるグルコースから形成されるポリオシドであるグルコサミノグリカン(2−アミノ−2−デオキシ−D−グルコース又はグルコサミンと呼ばれる)。アミン官能基は更にアセチル化され得る。
この種の親水コロイドの中でも、グルコースアミン単位のみから形成されるキトサン、並びにその反復単位がグルコサミン及びグルクロン酸の二量体であるヒアルロナンが挙げられる。
【0018】
キサンタンガム(GX)は、過去数十年にわたって産業で最もよく使用される微生物ポリオシドであった。キサンタンはキサントモナス属の細菌によって合成される多糖であり、商業的にはキサントモナス・カンペストリス(X. campestris)種のみが使用される。(GX)の主鎖はセルロースと同一であり、すなわち炭素原子1及び4によって連結されるβ−D−グルコース単位から形成される。主鎖中には分岐三糖類(triholoside)が2グルコース単位毎に規則的に交互に存在し、各々の分岐は以下のタイプの2つのマンノース及びグルクロン酸から構成される三糖類からなる:β−D−Manp−(1→4)−β−D−GlcAp−(1→2)−α−D−Manp−(1→3)(非特許文献1)。
【0019】
キサンタンガム(GX)はナトリウム塩、カリウム塩又はカルシウム塩の形態で利用可能である。
【0020】
アカシアゴムは、主鎖が炭素原子1及び3によって相互接続したβ−D−ガラクトース単位からなる分岐複合体多糖である。主鎖へと分岐する鎖は、炭素原子1及び6によって相互接続したβ−D−ガラクトースからなり、更にα−アラビノース単位及び少ない割合のβ−グルクロノシル単位を有する。主鎖及びペンダント鎖の両方がα−L−アラビノシル単位、α−L−ラムノピラノシル単位、β−D−グルクロノピラノシル単位及び4−O−メチル−β−D−グルクロノピラノシル単位を含有する。多糖の下位カテゴリ、より具体的には糖及びウロン酸のヘテロポリマーとして、キサンタンガム及びアカシアゴムがアクリル酸、アクリル酸エステル、2−アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸及び/又はその塩、アクリルアミド並びに2−ヒドロキシエチルアクリレート等のモノマーのラジカル重合によって生じる合成増粘剤と関連付けられている。
【0021】
特許文献10は、特に構成要素モノマーとして2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びアクリルアミドを含むコポリマー、又は2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びポリオキシエチル化アルキルメタクリレートを含むコポリマーの中から選ばれる、親水性ゲル化剤と関連付けることができる多糖を含む組成物の使用を記載している。これらの組成物は、それが接触して置かれる基質へと移動しない特性及び皮膚への適用後の耐水性からなる特性を有する化粧品への使用に関する。しかしながら、特許文献10に記載の親水性ゲル化剤は、電解質に富んだ媒体の存在下で高レベルの粘度の達成を可能にしないことが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】米国特許第5,373,044号
【特許文献2】米国特許第2,798,053号
【特許文献3】欧州特許第0301532号
【特許文献4】欧州特許第816403号
【特許文献5】欧州特許第1116733号
【特許文献6】欧州特許第1069142号
【特許文献7】欧州特許第1496081号
【特許文献8】仏国特許出願公開第2910899号
【特許文献9】国際公開第2011/030044号
【特許文献10】仏国特許出願公開第2940111号
【非特許文献】
【0023】
【非特許文献1】I. Capron et al., “About the native and renaturated conformation of xanthan exopolysaccharide”. 1997
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
したがって、本発明者らは、塩に富んだその安定化系に乳化界面活性剤を含まず、長期の貯蔵期間後に高い粘度及び均一な外観を保持する新規の水中油型エマルションを開発しようとした。
【課題を解決するための手段】
【0025】
この理由から、第1の態様によると、本発明の主題は、水中油型エマルションの形態で与えられる組成物(C)であって、その重量100%に対して、
5重量%〜55重量%、好ましくは7重量%〜30重量%、より好ましくは10重量%〜20重量%の、少なくとも1つの油と任意に少なくとも1つのろうとからなる油相(P)と、
0.06重量%〜4.5重量%、好ましくは0.3重量%〜3.6重量%、より好ましくは0.3重量%〜2.7重量%の、少なくとも1つの架橋剤の存在下での部分的又は完全に塩化した2−メチル−2−[(1−オキソ2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸と、各アルキル基の炭素原子数が1〜4のN,N−ジアルキルアクリルアミドから選ばれる少なくとも1つの中性モノマーと、式(I):
【化3】
(式中、Rは炭素原子数8〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキルラジカルを表し、nは1以上20以下の数を表す。)の少なくとも1つのモノマーとの重合によって生じる少なくとも1つの架橋アニオン性高分子電解質(PA)と、
0.0025重量%〜1重量%、好ましくは0.0125重量%〜0.8重量%、より好ましくは0.0125重量%〜0.6重量%のキサンタンガム(GX)と、
0.0025重量%〜1重量%、好ましくは0.0125重量%〜0.8重量%、より好ましくは0.0125重量%〜0.6重量%のアカシアゴム(GA)と、
38.5重量%〜94.935重量%、好ましくは55重量%〜94.935重量%、より好ましくは65重量%〜94.935重量%の、その重量100%に対して1重量%〜10重量%、好ましくは1重量%〜8重量%、より好ましくは1重量%〜4重量%の溶解形態で与えられる少なくとも1つの塩(S)を含む化粧品に許容可能な水相(P)と、
を含むことを特徴とし、キサンタンガム(GX)とアカシアゴム(GA)との重量比が1/3以上3/1以下、好ましくは1/3以上3/2以下、より好ましくは1/3以上1/1以下であることを更に特徴とする、組成物(C)である。
【0026】
「油」は本願において、25℃の温度で液体状態の、水に不溶性の化合物及び/又は化合物の混合物を意味する。本発明の主題である組成物(C)の油相(P)に使用することができる油の中でも、以下のものに言及することができる:
パラフィン油、流動ワセリン、イソパラフィン又は白色鉱油等の鉱油;
スクアレン又はスクアラン等の動物起源の油;
フィトスクアラン(phytosqualane)、甘扁桃油、コプラ油、ヒマシ油、ホホバ油、オ
リーブ油、菜種油、ラッカセイ油、ヒマワリ油、小麦胚芽油、トウモロコシ胚芽油、大豆油、綿実油、アルファルファ油、ケシ油、カボチャ種子油、月見草油、雑穀油(millet oil)、オオムギ油、ライムギ油、サフラワー油、ククイ油、トケイソウ油、ヘーゼルナッツ油、ヤシ油、シアバター、杏仁油、カロフィラム油、シシンブリウム油、アボカド油、カレンジュラ油、花又は野菜に由来する油等の植物油;
エトキシ化植物油;
脂肪酸エステル、例えばミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸プロピル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ヘキサデシル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸ドデシル、ラウリン酸ヘキシル、ジカプリル酸プロピレングリコール、ラノリン脂肪酸(lanolic acid)に由来するエステル、例えばラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸イソセチル、脂肪酸のモノグリセリド、ジグリセリド及びトリグリセリド、例えばトリヘプタン酸グリセロール、安息香酸アルキル、水素化油、ポリ(α−オレフィン)、ポリオレフィン、例えばポリイソブテン、合成イソアルカン、例えばイソヘキサデカン、イソドデカン、過フッ素化油等の合成油;並びに、
ジメチルポリシロキサン、メチルフェニル−ポリシロキサン、アミンで変性されたシリコーン、脂肪酸で変性されたシリコーン、アルコールで変性されたシリコーン、アルコール及び脂肪酸で変性されたシリコーン、ポリエーテル基で変性されたシリコーン、変性エポキシシリコーン、フッ素化基で変性されたシリコーン、環状シリコーン及びアルキル基で変性されたシリコーン等のシリコーン油。
【0027】
「ろう」は本願において、45℃以上の温度で固体状態の、水に不溶性の化合物及び/又は化合物の混合物を意味する。本発明の主題である組成物(C)の油相(P)に使用することができるろうの中でも、以下のものを挙げることができる:蜜ろう、カルナウバろう、カンデリラろう、オーリキュリーろう、木ろう、コルク繊維ろう、サトウキビろう、パラフィンろう、亜炭ろう、微結晶ろう、ラノリンろう;オゾケライト;ポリエチレンろう、シリコーンろう;植物ろう;常温で固体の脂肪アルコール及び脂肪酸;常温で固体のグリセリド。
【0028】
本発明の主題である組成物(C)の油相(P)と関連付けることができる他の脂肪の中でも、直鎖若しくは分岐鎖の飽和した若しくは不飽和の脂肪アルコール、又は直鎖若しくは分岐鎖の飽和した若しくは不飽和の脂肪酸を挙げることができる。
【0029】
本発明の主題である組成物(C)において、キサンタンガム(GX)は、キサントモナス・カンペストリス(xanthomonas campestris)属の細菌の好気性発酵によって得られる単糖類(oses)とウロン酸とのヘテロポリマーを意味する。その構造は、炭素原子1及び4によって相互接続するβ−D−グルコース単位の主鎖からなる。主鎖中の分岐三糖類は2グルコース単位毎に規則的に交互に数えられ、各々の分岐は以下のタイプの2つのマンノース及びグルクロン酸から構成される三糖類からなる:β−D−Manp−(1→4)−β−D−GlcAp−(1→2)−α−D−Manp−(1→3)。
【0030】
キサンタンガム(GX)はナトリウム塩、カリウム塩又はカルシウム塩の形態で利用可能であり、1,000,000〜50,000,000の分子量を特徴とする。キサンタンガムは例えば、Rhodia Chimie社によってRhodicare(商標)という商品名で販売される製品及びCP-KELCO社によってKeltrol(商標)CG−Tという商品名で販売される製品に代表される。
【0031】
本発明の主題である組成物(C)において、アカシアゴム(GA)は、主鎖が炭素原子1及び3によって相互接続したβ−D−ガラクトース単位からなる分岐複合体である糖とウロン酸とのヘテロポリマーを意味する。主鎖へと分岐する鎖は、炭素原子1及び6に
よって相互接続したβ−D−ガラクトース単位からなり、更にα−アラビノース単位及びより少ない割合のβ−グルクロノシル単位を有する。主鎖及び垂下鎖(hanging chains)はα−L−アラビノシル単位、α−L−ラムノピラノシル単位、β−D−グルクロノピラノシル単位及び4−O−メチル−β−D−グルクロノピラノシル単位を含有する。
【0032】
アカシアゴム(GA)は「アラビアゴム」という用語によっても表され、天然に又はアカシア科の幹又は木の根元の切開による混合された固化した下降樹液滲出液を構成する。
【0033】
本発明に使用されるアカシアゴム(GA)は例えば、Colloides Naturels International社によってEfficacia(商標)Mという商品名で販売される製品に代表される。
【0034】
架橋アニオン性高分子電解質(PA)は、本発明の主題である組成物(C)の定義において、水に不溶性であるが、水膨潤性であり、化学ゲルをもたらす非線状架橋アニオン性高分子電解質を意味する。
【0035】
「部分的に塩化した又は完全に塩化した」とは、上に規定される組成物(C)中に存在する架橋アニオン性高分子電解質(PA)の定義において、上記2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸が、概してアルカリ金属塩、例えばナトリウム塩若しくはカリウム塩の形態又はアンモニウム塩の形態で部分的又は完全に塩化していることを意味する。
【0036】
上に規定される組成物Cに使用される上記架橋アニオン性高分子電解質(PA)は概して、5モル%〜95モル%、好ましくは10モル%〜90モル%、より好ましくは20モル%〜80モル%、特に好ましくは60モル%〜80モル%の、2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸に由来するモノマーを含む。
【0037】
上に規定される組成物Cに使用される上記架橋アニオン性高分子電解質(PA)は概して、4.9モル%〜90モル%、好ましくは9.5モル%〜85モル%、より好ましくは15%〜75モル%、特に好ましくは15モル%〜39.5%の、各アルキル基の炭素原子数が1〜4のN,N−ジアルキルアクリルアミドから選ばれる中性モノマーを含む。
【0038】
上に規定される組成物(C)に使用される上記架橋アニオン性高分子電解質(PA)は概して、0.1モル%〜10モル%、好ましくは0.5モル%〜5モル%の式(I)のモノマーを含む。
【0039】
上に規定される組成物Cに使用される上記架橋アニオン性高分子電解質(PA)の定義において、中性モノマーはより具体的には各アルキル基の炭素原子数が1〜4のN,N−ジアルキルアクリルアミドから選ばれ、特にN,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド及びN,N−ジプロピルアクリルアミドから選ばれる。
【0040】
上に規定される組成物Cに使用される上記架橋アニオン性高分子電解質(PA)の定義において、炭素原子数8〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキルラジカルは、より具体的には式(I)中のRについて以下のものを意味する:
直鎖の第一級アルコールに由来するラジカル、例えばオクチルラジカル、デシルラジカル、ウンデシルラジカル、ドデシルラジカル、トリデシルラジカル、テトラデシルラジカル、ペンタデシルラジカル、ヘキサデシルラジカル、ヘプタデシルラジカル、オクタデシルラジカル、ノナデシルラジカル若しくはエイコシルラジカル;又は、
一般式:
CH−(CH−CH[CH−(CHp−2]−CHOH
(pは2〜9の整数を表す)に適合する分岐1−アルカノールであるゲルベ(Guerbet)アルコールに由来するラジカル、例えば2−エチルヘキシルラジカル、2−プロピルヘプチルラジカル、2−ブチルオクチルラジカル、2−ペンチルノニルラジカル、2−ヘキシルデシルラジカル若しくは2−オクチルドデシルラジカル;又は、
一般式:
CH−CH(CH)−(CH−CHOH
(式中、mは2〜16の整数を表す)に適合するイソアルカノールに由来するラジカル、例えば4−メチルペンチルラジカル、5−メチルヘキシルラジカル、6−メチルヘプチルラジカル、15−メチルペンタデシルラジカル若しくは16−メチルヘプタデシルラジカル、若しくは2−ヘキシルオクチルラジカル、2−オクチルデシルラジカル若しくは2−ヘキシルドデシルラジカル。
【0041】
具体的な態様によると、本発明の主題は、上記架橋アニオン性高分子電解質(PA)が、その構成要素モノマー100モル%に対して、
20モル%〜80モル%の、部分的又は完全に塩化した強酸官能基を含むモノマーに由来するモノマー単位と、
15モル%〜75モル%の、各アルキル基の炭素原子数が1〜4のN,N−ジアルキルアクリルアミドから選ばれる中性モノマーに由来するモノマー単位と、
0.5モル%〜5モル%の、上に規定される式(I)のモノマーに由来するモノマー単位と、
を含むことを特徴とする、上に規定されるような組成物(C)である。
【0042】
別の具体的な態様によると、本発明の主題は、上記架橋アニオン性高分子電解質(PA)の定義において、上記中性モノマーがN,N−ジメチルアクリルアミドであることを特徴とする、上に規定されるような組成物(C)である。
【0043】
本発明の具体的な態様によると、本発明の主題は、上記架橋アニオン性高分子電解質(PA)の定義において、式(I)中のRがより具体的には炭素原子数12〜18のアルキルラジカルを表すことを特徴とする先に規定されるような組成物(C)である。
【0044】
別の具体的な態様によると、本発明の主題は、上記架橋アニオン性高分子電解質(PA)の定義において、式(I)中のnがより具体的には3〜20の整数を表すことを特徴とする上に規定されるような組成物(C)である。
【0045】
更により具体的な態様によると、本発明の主題は、上記架橋アニオン性高分子電解質(PA)の定義において、上記式(I)のモノマーがテトラエトキシ化メタクリル酸ラウリルであることを特徴とする、上に規定されるような組成物(C)である。
【0046】
更により具体的な態様によると、本発明の主題は、上記架橋アニオン性高分子電解質(PA)の定義において、上記式(I)のモノマーがエイコサエトキシ化メタクリル酸ステアリルであることを特徴とする、上に規定されるような組成物(C)である。
【0047】
別の具体的な態様によると、本発明の主題は、上記架橋アニオン性高分子電解質(PA)が、使用されるモノマーに対して表されるモル比で0.005%〜1%、好ましくは0.01%〜0.5%、より好ましくは0.01%〜0.25%のジエチレン化合物又はポリエチレン化合物で架橋される上に規定されるような組成物(C)である。架橋剤は、より具体的にはエチレングリコールジメタクリレート、テトラアリルオキシエタン、エチレングリコールジアクリレート、ジアリル尿素、トリアリルアミン、トリメチロールプロパントリアクリレート若しくはメチレン−ビス(アクリルアミド)、又はこれらの化合物
の混合物から選ばれる。
【0048】
先に規定の組成物(C)に使用される架橋アニオン性高分子電解質(PA)は錯化剤、移動剤(transfer agents)又は連鎖制限剤(chain-limiting agents)等の様々な添加剤も含み得る。
【0049】
具体的な態様によると、本発明の主題は、上記架橋アニオン性高分子電解質(PA)が、トリメチロールプロパントリアクリレートで架橋した、アンモニウムの形態の部分的に塩化した2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸と、N,N−ジメチルアクリルアミドと、テトラエトキシ化メタクリル酸ラウリルとのターポリマー、又はトリメチロールプロパントリアクリレートによって架橋した、アンモニウム塩の形態の部分的に塩化した2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸と、N,N−ジメチルアクリルアミドと、エイコサエトキシ化メタクリル酸ステアリルとのターポリマーから選ばれる上記のような組成物(C)である。
【0050】
更により具体的な態様によると、本発明の主題は、上記架橋アニオン性高分子電解質(PA)が、トリメチロールプロパントリアクリレートによって架橋した、アンモニウムの形態で部分的に塩化した2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸と、N,N−ジメチルアクリルアミドと、テトラエトキシ化メタクリル酸ラウリルとのターポリマーである上記のような組成物(C)である。
【0051】
更により具体的な態様によると、本発明の主題は、上記架橋アニオン性高分子電解質(PA)が、100モル%に対して、
60モル%〜80モル%の、アンモニウム形態の部分的に塩化した2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸に由来するモノマー単位と、
15モル%〜39.5モル%の、N,N−ジメチルアクリルアミドに由来するモノマー単位と、
0.5モル%〜5モル%の、テトラエトキシ化メタクリル酸ラウリルに由来するモノマー単位と、
を含む上記のような組成物(C)である。
【0052】
本発明による組成物(C)において、先に規定の割合での上に規定されるような架橋アニオン性高分子電解質(PA)、キサンタンガム(GX)及びアカシアゴム(GA)のin situ組合せによって上記組成物(C)の安定化系が構成される。
【0053】
本発明の主題である組成物(C)の水相(P)の定義に使用される「化粧品に許容可能な」という表現は、1993年6月14日付けの欧州経済共同体理事会指令第93/35/EEC号によって改正された1976年7月27日付けの欧州経済共同体理事会指令第76/768/EEC号によると、上記水相(P)が水と、専ら主に洗浄、香り付け、外観の改善及び/又は体臭の矯正、及び/又は保護若しくは良好な条件での維持を目的としてヒト身体の様々な部位(表皮、毛包系及び毛髪系、爪、唇並びに生殖器)、又は歯及び口腔粘膜と接触して置かれることを意図する任意の物質又は調製物とを含むことを意味する。
【0054】
本発明の主題である組成物(C)に含まれる化粧品に許容可能な水相(P)は水を含有し、通常は1つ又は複数の化粧品に許容可能な有機溶媒、水と1つ又は複数の化粧品に許容可能な有機溶媒との混合物を含有し得る。化粧品に許容可能な溶媒は、より具体的には多価アルコール、例えばグリセロール、ジグリセロール、トリグリセロール、グリセ
ロールオリゴマー、キシリトール、エリトリトール、ソルビトール、2−メチル−1,3−プロパンジオール;アルコキシル化多価アルコール;グリコール、例えばブチレングリコール、ヘキシレングリコール、カプリリルグリコール若しくは1,2オクタンジオール、ペンチレングリコール若しくは1,2ペンタンジオール、モノプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、ブチルジグリコール、分子量が200g・mol−1〜8000g・mol−1のポリエチレングリコール;又は水溶性アルコール、例えばエタノール、イソプロパノール又はブタノールから選ぶことができる。
【0055】
上に規定される組成物(C)において、塩(S)は、結晶格子に水素イオンとは異なる少なくとも1つのタイプのカチオンと、水酸化物イオンとは異なる少なくとも1つのタイプのアニオンとが含まれる異極化合物を意味する。
【0056】
具体的な態様によると、本発明の主題である組成物(C)の水相(P)中に溶解形態で与えられる塩(S)は、無機塩及び有機塩から選択される。
【0057】
この具体的な態様によると、塩(S)は特に無機塩から選択される。
【0058】
より具体的な態様によると、本発明の主題は、塩(S)が、アンモニウムイオン又は金属カチオンであるカチオンと、ハロゲン化物イオン、炭酸イオン、重炭酸イオン、リン酸アニオン、硝酸アニオン、ホウ酸アニオン及び硫酸アニオンからなる群の要素から選択されるアニオンとからなる無機塩であることを特徴とする上に規定される組成物(C)である。
【0059】
より具体的な態様によると、本発明の主題は、塩(S)が、金属カチオンがナトリウムカチオン、カリウムカチオン、リチウムカチオン、カルシウムカチオン、マグネシウムカチオン、亜鉛カチオン、マンガンカチオン、鉄カチオン、銅カチオン、コバルトカチオン、銀カチオン、金カチオン、アルミニウムカチオン、バリウムカチオン、ビスマスカチオン、セレンカチオン、ジルコニウムカチオン、ストロンチウムカチオン及びスズカチオンからなる群の要素から選ばれる一価又は多価カチオンである無機塩であることを特徴とする上に規定される組成物(C)である。
【0060】
更により具体的な態様によると、本発明の主題は、塩(S)が塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アンモニウム、炭酸カルシウム、硫酸亜鉛、硫酸マグネシウム、ホウ酸ナトリウムからなる群の要素から選ばれる無機塩であることを特徴とする上に規定される組成物(C)である。
【0061】
別の具体的な態様によると、塩(S)は特に有機塩から選択される。
【0062】
具体的な態様によると、本発明の主題は、塩(S)が、アンモニウムイオン又は金属カチオンであるカチオンと、カルボン酸形態の少なくとも1つのカルボン酸官能基を有する有機化合物又はスルホン酸形態の少なくとも1つのスルホン酸官能基を有する有機化合物又は少なくとも1つの硫酸官能基を有する有機化合物である有機イオンとからなる有機塩であることを特徴とする上に規定される組成物(C)である。
【0063】
この具体的な態様によると、本発明の主題は、塩(S)がより具体的にはナトリウムカチオン、カリウムカチオン、リチウムカチオン、カルシウムカチオン、マグネシウムカチオン、亜鉛カチオン、マンガンカチオン、鉄カチオン、銅カチオン、コバルトカチオン、銀カチオン、金カチオン、アルミニウムカチオン、バリウムカチオン、ビスマスカチオン、セレンカチオン、ジルコニウムカチオン、ストロンチウムカチオン及びスズカチオンからなる群の要素から選ばれる一価又は多価金属カチオンからなる有機塩であることを特徴
とする上に規定される組成物(C)である。この好ましい態様によると、塩(S)はナトリウムカチオン、カルシウムカチオン、マグネシウムカチオン、亜鉛カチオン及びマンガンカチオンからなる群の要素から選ばれるカチオンからなる有機塩であり、より好ましくは、塩(S)はナトリウムカチオンからなる有機塩である。
【0064】
具体的な態様によると、本発明の主題は、塩(S)がアンモニウムイオン又は上記のような金属カチオンであるカチオンと、グリコール酸、クエン酸、酒石酸、サリチル酸、乳酸、マンデル酸、アスコルビン酸、ピルビン酸、フマル酸、レチノイン酸、安息香酸、コウジ酸、リンゴ酸、グルコン酸、ガラクツロン酸、プロピオン酸、ヘプタン酸、4−アミノ安息香酸、桂皮酸、ベンザルマロン酸、アスパラギン酸及びグルタミン酸からなる群の要素から選ばれるカルボン酸形態の少なくとも1つのカルボン酸官能基を有する有機化合物である有機イオンとからなる有機塩であることを特徴とする上に規定される組成物(C)である。
【0065】
更により具体的な態様によると、本発明の主題は、上記塩(S)がグリコール酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸亜鉛、グルコン酸マンガン、グルコン酸銅及びアスパラギン酸マグネシウムからなる群の要素から選択される有機塩であることを特徴とする上に規定される組成物(C)である。
【0066】
別の具体的な態様によると、本発明の主題は、塩(S)がアンモニウムイオン又は上記のような金属カチオンであるカチオンと、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、ベンゾフェノンに由来するスルホン酸、例えば4−ヒドロキシ−2−メトキシ−5−(オキソ−フェニルメチル)ベンゼンスルホン酸(該酸はベンゾフェノン−4という名で登録されている)、3−ベンジリデンカンファーに由来するスルホン酸、例えば4−(2−オキソ−3−ボルニリデンメチル)ベンゼンスルホン酸、2−メチル−5−(2−オキソ−3−ボルニリデンメチル)ベンゼンスルホン酸からなる群の要素から選ばれるスルホン酸形態の少なくとも1つのスルホン酸官能基を有する有機化合物である有機アニオンとからなる有機塩であることを特徴とする上に規定される組成物(C)である。
【0067】
更により具体的な態様によると、本発明の主題は、上記塩(S)が、2−フェニルベンズイミダゾール−5スルホン酸ナトリウム及び4−ヒドロキシ−2−メトキシ−5−(オキソ−フェニルメチル)ベンゼンスルホン酸ナトリウムからなる群の要素から選ばれる有機塩であることを特徴とする上に規定される組成物(C)である。
【0068】
2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸は、特にMerck社によってEUSOLEX(商標)232という商品名で販売されている。4−ヒドロキシ−2−メトキシ−5−(オキソ−フェニルメチル)ベンゼンスルホン酸ナトリウムは、ベンゾフェノン−5という名で登録されている。
【0069】
概して、本発明の主題である組成物(C)は、上記油相(P)に加えて、上に規定されるような架橋アニオン性高分子電解質(PA)、アカシアゴム(GA)及びキサンタンガム(GX)のin situ組合せから構成される安定化系と、上に規定される上記化粧品に許容可能な水相(P)と、化粧品配合物、皮膚用化粧品(dermocosmetic)配合物、医薬品配合物及び皮膚用医薬品(dermopharmaceutical)配合物の分野で日常的に使用されるアジュバント及び/又は添加剤とを含む。
【0070】
本発明の主題である組成物(C)中に存在し得るアジュバントの中でも、以下のものを挙げることができる:塗膜形成化合物、ヒドロトロープ剤、可塑剤、乳白剤、真珠光沢剤、過脂肪剤、金属イオン封鎖剤、キレート剤、非イオン性洗浄用界面活性剤、抗酸化剤
、香料、保存料、品質改良剤、毛髪及び皮膚の脱色を対象とする漂白剤、皮膚又は毛髪に対する治療行為を目的とする活性成分、無機充填剤又は顔料、視覚効果をもたらす又は活性成分の封入を対象とする粒子、角質除去粒子、テクスチャー剤、光学的光沢剤、防虫剤。
【0071】
本発明の主題である組成物(C)と関連付けることができる乳白剤及び/又は真珠光沢剤の中でも、以下のものを特に挙げることができる:ナトリウム又はマグネシウムのパルミチン酸塩、ステアリン酸塩又はヒドロキシステアリン酸塩、エチレングリコール又はポリエチレングリコールのモノステアリン酸塩又はジステアリン酸塩、脂肪アルコール、スチレンのホモポリマー及びコポリマー、例えばSEPPIC社によってMONTOPOL(商標)OP1という名で販売されているアクリル酸スチレンコポリマー。
【0072】
本発明の主題である組成物(C)と関連付けることができるテクスチャー剤の中でも、以下のものに言及することができる:アミノ酸のN−アシル誘導体、例えば味の素株式会社によってAMINOHOPE(商標)LLという名で販売されているラウロイルリシン、NATIONAL STARCH社によってDRYFLO(商標)という名で販売されているコハク酸オクテニルデンプン、SEPPICによってMONTANOV(商標)14という名で販売されているミリスチルポリグルコシド、セルロース繊維、綿繊維、キトサン繊維、タルク、セリサイト、マイカ。
【0073】
本発明の主題である組成物(C)と関連付けることができる活性成分の中でも、例えば以下のものに言及することができる:ビタミン及びその誘導体、特にそのエステル、例えばレチノール(ビタミンA)及びそのエステル(例えばパルミチン酸レチニル)、アスコルビン酸(ビタミンC)及びそのエステル、アスコルビン酸糖誘導体(例えばアスコルビルグルコシド)、トコフェロール(ビタミンE)及びそのエステル(例えば酢酸トコフェロール)、ビタミンB3若しくはB10(ナイアシンアミド及びその誘導体);皮膚の美白作用若しくは脱色素作用を示す化合物、例えばSEPIWHITE(商標)MSH、アルブチン、コウジ酸、ハイドロキノン、VEGEWHITE(商標)、GATULINE(商標)、SYNERLIGHT(商標)、BIOWHITE(商標)、PHYTOLIGHT(商標)、DERMALIGHT(商標)、CLARISKIN(商標)、MELASLOW(商標)、DERMAWHITE(商標)、ETHIOLINE、MELAREST(商標)、GIGAWHITE(商標)、ALBATINE(商標)、LUMISKIN(商標);鎮静作用を示す化合物、例えばSEPICALM(商標)S、アラントイン及びビサボロール;抗炎症剤、保湿作用を示す化合物、例えば尿素、ヒドロキシウレア、グリセロール、ポリグリセロール、AQUAXYL(商標)、グリセロールグルコシド;ポリフェノール抽出物、例えばブドウ抽出物、マツ抽出物、ワイン抽出物、オリーブ抽出物;痩身作用若しくは脂肪分解作用を示す化合物、例えばカフェイン若しくはその誘導体、ADIPOSLIM(商標)、ADIPOLESS(商標);N−アシル化タンパク質;N−アシル化ペプチド、例えばMATRIXIL(商標);N−アシル化アミノ酸;N−アシル化タンパク質の部分加水分解物;アミノ酸;ペプチド;全タンパク質加水分解物、大豆抽出物、例えばRaffermine(商標);小麦抽出物、例えばTENSINE(商標)若しくはGLIADINE(商標);植物抽出物、例えばタンニンに富んだ植物抽出物、イソフラボンに富んだ植物抽出物若しくはテルペンに富んだ植物抽出物;淡水若しくは海水藻類抽出物;海洋抽出物(marine extracts)、例えば概してサンゴ;エッセンシャルろう(essential waxes);細菌抽出物;セラミド;リン脂質;抗菌作用若しくは浄化作用を示す化合物、例えばLIPACIDE(商標)C8G、LIPACIDE(商標)UG、SEPICONTROL(商標)A5;OCTOPIROX(商標)若しくはSENSIVA(商標)SC50;強精(energising)特性若しくは強壮特性を示す化合物、例えばPhysiogenyl(商標)、パンテノール及びSEPICAP(商標)MP等のその誘導体;老化防止剤、例えばSEPILIFT(商標)DPHP
、LIPACIDE(商標)PVB、SEPIVINOL(商標)、SEPIVITAL(商標)、MANOLIVA(商標)、PHYTO−AGE(商標)、TIMECODE(商標);SURVICODE(商標);抗光老化剤;表皮真皮接合部の完全性を保護する薬剤;細胞外基質の構成成分の合成を増大する薬剤、例えばコラーゲン、エラスチン、グリコサミノグリカン;サイトカイン等の化学的な細胞伝達を促進する薬剤若しくはインテグリン等の物理的な細胞伝達を促進する薬剤;皮膚に対して「温」感を生じる薬剤、例えば皮膚微小循環活性剤(例えばニコチン酸誘導体);又は皮膚に対して「冷」感を生じる製品(例えばメントール及び誘導体);皮膚微小循環を改善する薬剤、例えば静脈緊張剤(veinotonics);排膿剤(draining agents);充血除去用の薬剤、例えばイチョウ、アイビー、マロニエ、タケ、ルスクス、ナギイカダ、ツボクサ、ヒバマタ、ローズマリー及びヤナギの抽出物。
【0074】
本発明の主題である組成物(C)と関連付けることができる活性成分の中でも、より具体的には以下のものを挙げることができる:皮膚タンニング剤又は褐色化剤、例えばジヒドロキシアセトン、イサチン、アロキサン、ニンヒドリン、グリセルアルデヒド、メソ酒石酸アルデヒド、グルタルアルデヒド、エリトルロース。
【0075】
本発明の主題である組成物(C)と関連付けることができる非イオン性洗浄用界面活性剤の中でも、炭素原子数8〜12の脂肪アルコールエトキシ化誘導体、炭素原子数8〜12の脂肪酸エトキシ化誘導体、炭素原子数8〜12の脂肪酸エステルエトキシ化誘導体、炭素原子数8〜12のモノグリセリドエトキシ化誘導体、式(II):
−O−(S)−H (II)
(式中、yは1〜5の10進数を表し、Sは還元糖残基を表し、Rは炭素原子数5〜16、好ましくは炭素原子数8〜14の飽和した又は不飽和の直鎖又は分岐鎖のアルキルラジカルを表す。)のアルキルポリグルコシド、又は式(II)の化合物の混合物に言及することができる。
【0076】
本発明の主題である組成物(C)と関連付けることができる非イオン性洗浄用界面活性剤は、より具体的には特にSEPPIC社によってORAMIX(商標)CG 110という商品名で販売されるカプリリルカプリルグルコシド、特にSEPPIC社によってORAMIX(商標)NS 10という商品名で販売されるデシルグルコシドからなる群の要素から選ばれる。
【0077】
本発明の主題である組成物(C)と関連付けることができる顔料の中でも、二酸化チタン、褐色酸化鉄、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄若しくは赤色酸化鉄、又はマイカ−チタン等の白色若しくは着色真珠光沢顔料に言及することができる。
【0078】
本発明の主題である組成物(C)と関連付けることができる日焼け止め剤の中でも、改正された化粧品指令第76/768/EEC号付録VIIに掲載されている全てのもの、例えば酸化チタン、酸化亜鉛、桂皮酸エステル、例えば4−メトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル、4−メトキシ桂皮酸イソペンチル、非イオン性ベンゾフェノン誘導体、4−アミノ安息香酸エステル、例えば2−エチルヘキシル、4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート又はアミル4−(ジメチルアミノ)ベンゾエートに言及することができる。
【0079】
別の具体的な態様によると、本発明の主題は、ブルックフィールド型粘度計を用いて20℃の温度で測定されるその動的粘度が、30,000mPa・s以上200,000mPa・s以下、好ましくは40,000mPa・s以上130,000mPa・s以下、より好ましくは50,000mPa・s以上130,000mPa・s以下であることを特徴とする上に規定される組成物(C)である。
【0080】
組成物(C)の動的粘度が20℃の温度でおよそ100,000mPa・s以下である場合、該動的粘度はブルックフィールドLVT型粘度計を用いて毎分6回転の速度で測定される。
【0081】
組成物(C)の動的粘度が20℃の温度でおよそ100,000mPa・sを超える場合、該動的粘度はブルックフィールドRVT型粘度計を用いて毎分5回転の速度で測定される。
【0082】
本発明の主題である組成物(C)は、特に連続水相エマルション又はマイクロエマルションの形態である。
【0083】
本発明の主題である組成物(C)は、合成若しくは天然織物繊維からなる基質、織布若しくは不織布、又は例えば皮膚、頭皮若しくは毛髪の手入れ、保護若しくは洗浄を目的とするワイプ、若しくは例えば衛生用若しくは家庭用の紙等の物品を形成する紙等の基質の含浸に使用することができる。
【0084】
本発明の主題である組成物(C)は、化粧品、皮膚用化粧品、皮膚用医薬品若しくは医薬組成物の場合の直接的適用、又は皮膚、毛髪若しくは頭皮と接触させることを意図する織物製品、例えばワイプ、若しくは例えば衛生用の紙製品の形態で与えられる身体の手入れ、保護、洗浄用の製品の場合の間接的適用からなるかを問わず、皮膚、毛髪又は頭皮に適用することによって使用することができる。
【0085】
上に規定される組成物(C)は、乳化界面活性剤を該組成物(C)に組み込む必要なしに、20℃で少なくとも1ヶ月の貯蔵期間後も経時的に安定であり、均一な外観を保持し、同じ操作条件下での同じ貯蔵期間後に塊又はクラスターの外観を示さない。
【0086】
別の具体的な態様によると、本発明の主題は、その重量100%に対して、0.1重量%〜10重量%、好ましくは0.1重量%〜5重量%、より好ましくは0.5重量%〜3重量%の、以下のものから選ばれる少なくとも1つの乳化界面活性剤(EM)を含む組成物(C)である:
炭素原子数14〜22の脂肪酸、
炭素原子数14〜22のエトキシ化脂肪酸、
ソルビトールを含む炭素原子数14〜22の脂肪酸エステル、
ポリグリセロールを含む炭素原子数14〜22の脂肪酸エステル、
エトキシ化炭素原子数14〜22の脂肪アルコール、
スクロースを含む炭素原子数14〜22の脂肪酸エステル、
式(II):
−O−(S)−H (III)
(式中、zは1〜5の10進数を表し、Sは還元糖残基を表し、Rは炭素原子数14〜22、好ましくは炭素原子数16〜22の飽和した又は不飽和の直鎖又は分岐鎖のアルキルラジカルを表す。)のアルキルポリグルコシド、又は式(III)の化合物の混合物。
【0087】
上に規定されるような式(III)の定義において、zは残基Sの平均重合度を表す10進数である。zが整数である場合、(S)は残基Sのランクzのポリマー残基である。zが10進数である場合、式(III)は以下のような化合物の混合物を表す:
−O−S−H+a−O−(S)−H+a−O−(S)−H+...+a−O−(S)−H
(式中、qは1〜10の整数を表し、モル比a、a、a...aは、
q=1
Σa=1;a1>0
q=10のようになる)
【0088】
上に規定される式(III)において、zは1.05〜5.0、より具体的には1.05〜2である。
【0089】
上に規定される式(III)において、Rは例えばn−テトラデシルラジカル、n−ヘキサデシルラジカル、n−オクタデシルラジカル、n−エイコシルラジカル又はn−ドコシルラジカルを表す。
【0090】
還元糖とは、式(III)の定義において、参考文献" Biochemistry" , Daniel Voet/Judith G. Voet, p. 250, John Wyley & Sons, 1990に規定されるように、その構造内にアノマー炭素とアセタール基の酸素との間に確立され、配置されたグルコシド結合を有しない単糖誘導体を意味する。オリゴマー構造(S)は光学異性、幾何異性又は位置異性からなるかを問わず、任意の異性形態で与えられ得る。(S)は異性体混合物を表していてもよい。
【0091】
上に規定される式(III)において、R−O−基はアセタール官能基を形成するように単糖残基のアノマー炭素によってSに結合する。
【0092】
上に規定される式(III)において、Sはより具体的にはグルコース、キシロース又はアラビノースから選ばれる還元糖の残基を表す。
【0093】
この他の具体的な態様によると、上に規定されるようなアニオン性高分子電解質(PA)の量(重量)及びキサンタンガム(GX)の量(重量)及びアカシアゴム(GA)の量(重量)の総和と、乳化剤(EM)の量(重量比)との重量比は1.0以上、より具体的には5.0以上、更により具体的には10.0以上である。
【0094】
別の態様によると、本発明の主題は、上に規定されるような組成物(C)を調製する方法であって、
少なくとも、架橋アニオン性高分子電解質(PA)、キサンタンガム(GX)及びアカシアゴム(GA)を油相(P)中で混合することによって相(P’)を調製する工程a)と、
少なくとも、工程a)によって得られる上記相(P’)を化粧品に許容可能な水相(P)で乳化する工程b)と、
を含むことを特徴とする、方法である。
【0095】
本発明の主題である方法において、油相(P)は上に規定されるような1つ又は複数の油及び/又は1つ又は複数のろうを含む。
【0096】
油相(P)が単一の油又は単一のろうからならない場合、油相(P)はその構成成分を典型的には20℃〜85℃の温度、好ましくは20℃〜60℃の温度で、当業者に既知の任意の混合デバイスを用いて、例えば「アンカー」型可動アセンブリを備える機械的攪拌デバイスを用いて、毎分50回転〜毎分500回転、好ましくは毎分50回転〜毎分300回転の攪拌速度で混合することによって調製される。
【0097】
上記のような本発明の主題である方法において、架橋アニオン性高分子電解質(PA)、キサンタンガム(GX)及びアカシアゴム(GA)を油相(P)中で混合することによって相(P’)を調製する工程a)は、85℃以下20℃以上の温度、好ましくは60℃以下20℃以上の温度で有利に実行することができる。
【0098】
上記のような本発明の主題である方法において、架橋アニオン性高分子電解質(PA)、キサンタンガム(GX)及びアカシアゴム(GA)を油相(P)中で混合することによって相(P’)を調製する工程a)は、当業者に既知の任意の混合デバイスを用いて、例えば「アンカー」型可動アセンブリを備える機械的攪拌デバイスを毎分50回転〜毎分500回転、好ましくは毎分50回転〜毎分300回転の攪拌速度で用いて、更には例えば回転子−固定子型の攪拌デバイスを毎分100回転〜毎分10000回転、好ましくは毎分500回転〜毎分4000回転の撹拌速度で用いて行うことができる。
【0099】
本発明の主題である方法において、工程a)によって得られる相(P’)を水相(P)で乳化する工程b)は20℃〜90℃の温度、好ましくは20℃〜85℃の温度、より好ましくは20℃〜60℃の温度で有利に実行することができる。
【0100】
本発明の主題である方法において、工程a)によって得られる相(P’)を水相(P)で乳化する工程b)は、当業者に既知の任意の混合デバイスを用いて、例えば「アンカー」型可動アセンブリを備える機械的攪拌デバイスを毎分50回転〜毎分500回転、好ましくは毎分50回転〜毎分300回転の攪拌速度で用いて、更には例えば回転子−固定子型の攪拌デバイスを毎分100回転〜毎分10000回転、好ましくは毎分500回転〜毎分4000回転の撹拌速度で用いて行うことができる。
【0101】
上記のような本発明の主題である方法において、化粧品に許容可能な水相(P)は水と、任意に1つ又は複数の先に記載したような化粧品に許容可能な有機溶媒と、上記化粧品に許容可能な水相(P)の重量100%に対して1重量%〜25重量%の先に規定したような溶解形態で与えられる少なくとも1つの塩(S)とを含む。
【0102】
化粧品に許容可能な水相(P)は、水と、任意に1つ又は複数の化粧品に許容可能な有機溶媒と、先に記載したような少なくとも1つの塩(S)とを20℃〜85℃の温度、好ましくは20℃〜60℃の温度で、当業者に既知の任意の混合デバイスを用いて、例えば「アンカー」型可動アセンブリを備える機械的攪拌デバイスを用いて、毎分50回転〜毎分500回転、好ましくは毎分50回転〜毎分300回転の攪拌速度で混合することによって調製される。
【0103】
別の態様によると、本発明の主題は、皮膚、毛髪、頭皮又は粘膜の洗浄、保護及び/又は手入れへの上に規定される組成物(C)の化粧品的使用である。
【0104】
本発明の範囲内で、「化粧品的使用」は皮膚、毛髪、頭皮又は粘膜の美的外観を改善及び/又は維持することを目的とする組成物(C)の使用を意味する。
【0105】
より具体的な態様によると、本発明の主題である組成物(C)は皮膚、毛髪又は頭皮の洗浄に使用することができ、より具体的にはバスジェル又はシャワージェル、シャンプーとして使用することができる。この具体的な使用では、組成物(C)は先に記載したような少なくとも1つの非イオン性洗浄用界面活性剤を更に含む。
【0106】
別のより具体的な態様によると、本発明の主題である組成物(C)は皮膚の手入れ又は保護に、例えば顔、手及び身体の手入れ又は保護のためのクリーム、ミルク又はローションとして使用することができる。この具体的な態様によると、組成物(C)は、より具体的には皮膚を太陽光線から保護する製品、肌用メイクアップ製品、皮膚を皮膚老化から保護する製品、皮膚保湿製品、にきび及び/又は毛穴の黒ずみ及び/又は面皰の美容術用の製品として使用することもできる。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0107】
以下の実施例は本発明を説明するが、限定するものではない。
【0108】
1.1 トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)によって架橋した、2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸アンモニウムと、N,N−ジメチルアクリルアミドと、テトラエトキシ化メタクリル酸ラウリルとのターポリマー(AMPS/DMAM/MAL(4OE)77.4/19.2/3.4モル)の調製(本発明による実施例)
tert−ブタノール/水混合物(容量比97.5/2.5)中の15重量%の2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸アンモニウムを含有する592gの水溶液、10.1gのN,N−ジメチルアクリルアミド、4.2gのテトラエトキシ化メタクリル酸ラウリル及び0.75gのトリメチロールプロパントリアクリレートを、25℃に維持した反応器に攪拌下で投入する。
【0109】
満足のいく溶液の均質化を達成するのに十分な時間の後、溶液を窒素バブリングによって脱酸素し、70℃に加熱する。次いで、0.42gの過酸化ジラウロイルを添加した後、反応媒体を70℃におよそ60分間、80℃に2時間維持する。
【0110】
冷却後、重合時に形成される粉末を濾過し、乾燥させて所要の生成物(以下、「高分子電解質1」と称する)を得る。
【0111】
1.2. トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)によって架橋した、2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸アンモニウムと、2−ヒドロキシエチルアクリレートと、テトラエトキシ化メタクリル酸ラウリルとのターポリマー(AMPS/HEA/MAL(4OE)77.4/19.2/3.4モル)の調製(比較例)
上記実施例1.1に記載の方法の操作条件を用いて、77.4モル当量の2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸アンモニウムを導入するのに必要な量のtert−ブタノール/水混合物(容量比97.5/2.5)中の15重量%の2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸アンモニウムを含有する水溶液、19.2モル当量の2−ヒドロキシエチルアクリレートを導入するのに必要な量(重量)の2−ヒドロキシエチルアクリレート、3.4モル当量のテトラエトキシ化メタクリル酸ラウリルを導入するのに必要な量(重量)のテトラエトキシ化メタクリル酸ラウリル、及び実施例1.1と同じモル比のトリメチロールプロパントリアクリレートを得るのに必要な量(重量)のトリメチロールプロパントリアクリレートを、25℃に維持した反応器に攪拌下で投入する。
【0112】
満足のいく溶液の均質化を達成するのに十分な時間の後、溶液を窒素バブリングによって脱酸素し、70℃に加熱する。次いで、0.42gの過酸化ジラウロイルを添加した後、反応媒体を70℃におよそ60分間、80℃に2時間維持する。
【0113】
冷却後、重合時に形成される粉末を濾過し、乾燥させて所要の生成物(以下、「高分子電解質2」と称する)を得る。
【0114】
1.3. トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)によって架橋した、2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸アンモニウムとテトラエトキシ化メタクリル酸ラウリルとのコポリマー(AMPS/MAL(4OE)95/5モル)の調製(比較例)
上記実施例1.1に記載の方法の操作条件を用いて、95モル当量の2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸アンモニウムを導
入するのに必要な量(重量)のtert−ブタノール/水混合物(容量比97.5/2.5)中の15重量%の2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸アンモニウムを含有する水溶液、5モル当量のテトラエトキシ化メタクリル酸ラウリルを導入するのに必要な量(重量)のテトラエトキシ化メタクリル酸ラウリル、及び実施例1.1の同じモル比のトリメチロールプロパントリアクリレートを得るのに必要な量(重量)のトリメチロールプロパントリアクリレートを、25℃に維持した反応器に攪拌下で投入する。
【0115】
満足のいく溶液の均質化を達成するのに十分な時間の後、溶液を窒素バブリングによって脱酸素し、70℃に加熱する。次いで、0.42gの過酸化ジラウロイルを添加した後、反応媒体を70℃におよそ60分間、80℃に2時間維持する。
【0116】
冷却後、重合時に形成される粉末を濾過し、乾燥させて所要の生成物(以下、「高分子電解質3」と称する)を得る。
【0117】
1.4. トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)によって架橋した、2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸アンモニウムと2−ヒドロキシエチルアクリレートとのコポリマー(AMPS/HEA
90/10モル)の調製(比較例)
上記実施例1.1に記載の方法の操作条件を用いて、90モル当量の2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸アンモニウムを導入するのに必要な量(重量)のtert−ブタノール/水混合物(容量比97.5/2.5)中の15重量%の2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸アンモニウムを含有する水溶液、10モル当量の2−ヒドロキシエチルアクリレートを導入するのに必要な量(重量)の2−ヒドロキシエチルアクリレート、及び実施例1.1と同じモル比のトリメチロールプロパントリアクリレートを得るのに必要な量(重量)のトリメチロールプロパントリアクリレートを、25℃に維持した反応器に攪拌下で投入する。
【0118】
満足のいく溶液の均質化を達成するのに十分な時間の後、溶液を窒素バブリングによって脱酸素し、70℃に加熱する。次いで、0.42gの過酸化ジラウロイルを添加した後、反応媒体を70℃におよそ60分間、80℃に2時間維持する。
【0119】
冷却後、重合時に形成される粉末を濾過し、乾燥させて所要の生成物(以下、「高分子電解質4」と称する)を得る。
【0120】
2−1 水中油型エマルションの調製
(E)〜(E)と指定した6個の本発明による水中油型エマルション(その構成要素の重量比を表1に記録する)、並びに(F)〜(F15)及び(G)〜(G)と指定した従来技術による19個の水中油型エマルションを(その構成要素の重量比を下記表2に記録する)を、以下の各々の方法を用いて調製する:
油相を20℃の温度のビーカーに注ぎ入れた後、試験対象の高分子電解質、キサンタンガム及び/又はアカシアゴムを徐々に、状況に応じて連続的に毎分80回転の機械的攪拌下で分散させる;
水と必要に応じた量(重量)の塩とを含む水相を、20℃の温度のビーカーに注ぎ入れる;
試験対象の高分子電解質、キサンタンガム及びアカシアゴムを含む油相を含むビーカーの内容物を20℃の温度、毎分1200回転の解膠機を用いた機械的攪拌下で水相に徐々に添加する;
このようにして得られる混合物を攪拌下で10分間にわたって維持した後、排水して本
発明による水中油型エマルション(E)〜(E)並びに従来技術による水中油型エマルション(F)〜(F15)及び(G)〜(G)を得る。
【0121】
【表1】
【0122】

【表2】
【0123】
2−2 比較用水中油型エマルションと比較した本発明による水中油型エマルションの特性及び特徴の実証
先に調製した配合物(E)〜(E)並びに配合物(F)〜(F15)及び(G)〜(G)を、続いて以下のようにして評価する:
動的粘度がおよそ100,000mPa・s以下である場合に、毎分6回転(V6)の速度で好適な可動アセンブリを備えるブルックフィールドLVT型粘度計を用いた、又は動的粘度が100,000mPa・sを超える場合に、毎分5回転(V5)の速度で好適な可動アセンブリを備えるブルックフィールドRVT型粘度計を用いた、20℃で7日後及び続いて20℃で1年間の貯蔵後の動的粘度(μ、mPa・s)の測定;
20℃で3ヶ月間の貯蔵期間後の外観の視覚的評価。
【0124】
このようにして調製した本発明による水中油型エマルション(E)〜(E)並びに比較用水中油型エマルション(F)〜(F15)及び(G)〜(G)を、続いて20℃の温度に調節した断熱気候室内で7日間貯蔵する。この7日間の期間の後、各々の水中油型エマルションについて:
外観を観察する;
動的粘度を20℃で測定する;
次いで、水中油型エマルションを交換し、20℃の温度に調節した同じ断熱気候室内で3ヶ月まで貯蔵する。3ヶ月の期間の後、各々のエマルションを気候室から取り出し、その外観を観察する;
次いで、水中油型エマルションを交換し、20℃での全貯蔵期間がその調製日から1年間となるように20℃の温度に調節した同じ断熱気候室内で貯蔵する。この1年間の全期間の終了時に、各々のエマルションを気候室から取り出し、その動的粘度を測定する。
【0125】
得られる結果を下記表4に記録する[(+):均一な外観、(++):均一かつ滑らかな外観、(−):塊及びクラスターの存在、(nd):未決定]。
【0126】
【表3】
【0127】
2−3 結果の分析
水中油型エマルションの外観が、該水中油型エマルションの20℃で3ヶ月間の貯蔵期間後に均一かつ滑らかであるとみなされる場合、及び毎分6回転の速度で好適な可動アセンブリを備えるブルックフィールドLVT型粘度計を用いて20℃で測定したその動的粘度が30,000mPa・s以上である場合に結果を満足のいくものとみなす。
【0128】
本発明によるエマルション(E)〜(E)は、20℃で3ヶ月間という長期の貯蔵期間後であっても塊及びクラスターのない滑らかな外観を有する。
【0129】
比較用エマルション(F)及び(F)について得られる結果から、水中油型エマルションの安定化系が2%及び4%量の塩化ナトリウムの存在下での高分子電解質1のみからなる場合、20℃で7日間の貯蔵期間後に均一かつ滑らかな外観を有する水中油型エマルションは得られないことが示される。さらに、エマルション(F)とエマルション(F)及び(F)との比較から、塩化ナトリウムの存在が上記エマルションの外観の劣化を引き起こすことが示される。
【0130】
エマルション(G)と本発明によるエマルション(E)及び(E)との貯蔵時の挙動の比較から((G)、(E)及び(E)は同じ安定化系を含み、(G)が塩化ナトリウムの非存在によって異なる)、塩化ナトリウムの存在が上記エマルションの外観の劣化を引き起こさないことが示される。
【0131】
比較用エマルション(F)、(F)及び(F)について得られる結果から、水中油型エマルションの安定化系が、それぞれ0%、2%及び4%のNaClの存在下での2重量%量の高分子電解質1とキサンタンガムのみとの組合せからなる場合、20℃で7日間の貯蔵期間後に均一かつ滑らかな外観を有する水中油型エマルション(F)、(F)及び(F)が得られないことが示される。
【0132】
比較用エマルション(F)、(F)及び(F)について得られる結果から、水中油型エマルションの安定化系が、それぞれ0%、2%及び4%のNaClの存在下での2重量%量の高分子電解質1とアカシアゴムのみとの組合せからなる場合、20℃で7日間の貯蔵期間後に均一かつ滑らかな外観を有する水中油型エマルション(F)、(F)及び(F)が得られないことが示される。
【0133】
高分子電解質2と2%及び4%量のそれぞれの塩化ナトリウムとを含む比較用エマルション(F)及び(F10)は、20℃で7日間の貯蔵期間後に塊の存在を示す。
【0134】
高分子電解質3と2%及び4%量のそれぞれの塩化ナトリウムとを含む比較用エマルション(F11)及び(F12)は、20℃で7日間の貯蔵期間後に塊の存在を示す。
【0135】
高分子電解質4と2%及び4%量のそれぞれの塩化ナトリウムとを含む比較用エマルション(F13)及び(F14)は、20℃で7日間の貯蔵期間後に塊の存在を示す。エマルション(F13)及び(F14)は、所要の粘度レベル、すなわち最小動的粘度30000mPa・s(毎分6回転の速度でブルックフィールドLVT型粘度計を用いて20℃で測定される)を得ることを可能にしない。
【0136】
10重量%量の塩化ナトリウム(すなわち水相単独中に12.1重量%の塩化ナトリウム)中に高分子電解質1と、キサンタンガムと、アカシアゴムとを含む比較用エマルション(F15)は、20℃で7日間の貯蔵期間後に塊の存在を示す。
【0137】
本発明による水中油型エマルション(E)〜(E)並びに比較用水中油型エマルション(F)〜(F15)及び(G)〜(G)について得られる結果の比較により、塩に富んだ水中油型エマルションの外観の改善及び高レベルの粘度の維持を、比較用水中油型エマルションと関連する結果から導くことができなかったことが明らかに実証される。
【0138】
3 本発明及び従来技術によるストレスを受け、弱った毛髪用の再構築「洗い流し」ク
リームマスクタイプの水中油型エマルションの調製
(F16)に指定した従来技術による水中油型エマルション及び(E)に指定した本発明による水中油型エマルションを調製し、その構成要素の重量比を下記表5に記録する。
【0139】
水中油型エマルション(F16)及び(E)の一般的な調製方法は以下の通りである:
Lanol(商標)P、Lanol(商標)99、ホホバ油及びMontanov(商標)82、続いて高分子電解質(PA)及びキサンタンガム、該当する場合にアカシアゴムを徐々にかつ連続的に80℃の温度のビーカーに注ぎ入れることによって油相を調製し、毎分80回転の機械的攪拌下で徐々に分散させる;
ブチレングリコール、N−ココイルアミノ酸、PECOSIL(商標)SPP 50、AMONYL(商標)DM、SEPICIDE(商標)HB及びSEPICIDE(商標)CIを徐々にかつ連続的に注ぎ入れた水を含む水相を、20℃の温度のビーカーに調製する;
油相、高分子電解質(PA)及びキサンタンガム、該当する場合にアカシアゴムを含むビーカーの内容物を80℃の温度、毎分1200回転の解膠機を用いた機械的攪拌下で水相に徐々に添加する;
このようにして得られる混合物を攪拌下で10分間にわたって維持した後、排水して水中油型エマルション(F16)及び(E)を得る。その組成(重量比)を以下の表5に挙げる。
【0140】
【表4】
【0141】
従来技術による水中油型エマルション(F16)及び本発明によるエマルション(E)を、本特許出願の上記2−2段落に記載の実験プロトコルに従って評価する。
【0142】
従来技術による水中油型エマルション(F16)について得られる結果及び本発明によるエマルション(E)について得られる結果を下記表6に記録する。
【0143】
【表5】
【0144】
本発明による水中油型エマルション(E)は、20℃で3ヶ月間という長期の貯蔵期間後であっても塊及びクラスターのない滑らかな外観を有するが、従来技術による水中油型エマルション(F16)は、同じ操作条件下での同じ貯蔵期間後に塊及びクラスターが存在する不均一な外観を有する。
【0145】
4.1:フェイスマスクジェルクリーム
処方
A ホホバ(Simmondsia chinensis)種子油 14.1%
安息香酸C12〜C15アルキル 6.7%
シクロペンタシロキサン 4.2%
DL αトコフェロール 0.10%
B Maris Aqua 70.85%
C 高分子電解質1 2%
Keltrol(商標)CG−T 0.45%
Efficacia(商標)M 0.55%
D Euxyl PE9010 1%
芳香剤 0.1%
【0146】
操作方法
油相Aの構成要素を80℃の温度、攪拌下で混合する。
次に、相Cの成分を80℃及び攪拌下で連続的に添加する。
水相Bを調製し、攪拌下で80℃に加熱する。
水相Bを相A+Cの混合物に徐々に添加した後、Silverson回転子−固定子可動アセンブリを備える撹拌機を用いて乳化する。
次いで、25℃に冷却した後、相Dを添加する。
pHを6に調節する。
【0147】
20℃で1日後の外観:均一な密なクリーム。
20℃で1日後の動的粘度:124000mPa・s(ブルックフィールドRVT、M7、V5)。
20℃で7日後の外観:均一な密なクリーム。
20℃で7日後の動的粘度:112000mPa・s(ブルックフィールドRVT、M7、V5)。
20℃で1ヶ月後の外観:均一な密なクリーム。
20℃で1ヶ月後の動的粘度:112000mPa・s(ブルックフィールドRVT、M7、V5)。
【0148】
4.2:フェイスマスクジェルクリーム
処方
A トリグリセリド4555(C8C10) 9%
安息香酸C12〜C15アルキル 4%
イソヘキサデカン 2%
DL αトコフェロール 0.10%
B Maris aqua qsp 100%
C 高分子電解質1 1.3%
Keltrol(商標)CG−T 0.315%
Efficacia(商標)M 0.385%
D Euxyl PE9010 1%
芳香剤 0.1%
【0149】
操作方法
油相Aの構成要素を80℃の温度、攪拌下で混合する。
次いで、相Cの成分を80℃及び攪拌下で連続的に添加する。
水相Bを調製し、攪拌下で80℃に加熱する。
水相Bを相A+Cの混合物に徐々に添加した後、Silverson回転子−固定子可動アセンブリを備える撹拌機を用いて乳化する。
次いで、25℃に冷却した後、相Dを添加する。
【0150】
20℃で1日後の外観:均一な密なクリーム。
20℃で1日後の動的粘度:71000mPa・s(ブルックフィールドLVT、M4、V6)。
20℃で7日後の外観:均一な密なクリーム。
20℃で7日後の動的粘度:75000mPa・s(ブルックフィールドLVT、M4、V6)。
20℃で1ヶ月後の外観:均一な密なクリーム。
20℃で1ヶ月後の動的粘度:73000mPa・s(ブルックフィールドLVT、M4、V6)。
20℃で3ヶ月後の外観:均一な密なクリーム。
20℃で3ヶ月後の動的粘度:70400mPa・s(ブルックフィールドLVT、M4、V6)。
【0151】
4.3:有機ミネラル(Organomineral)日焼け止めスプレー
処方
A ネオペンタン酸イソデシル 20%
シクロジメチコン 5%
メトキシ桂皮酸エチルヘキシル 6%
ブチルメトキシジベンゾイルメタン 3%
DL αトコフェロール 0.05%
B 水 qsp 100%
EDTA四ナトリウム 0.2%
グリセリン 7%
フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(必要モル量のソーダで塩化した)
3%
C 高分子電解質1 1.3%
Keltrol(商標)CG−T 0.315%
Efficacia(商標)M 0.385%
D SEPICIDE(商標)HB 1%
芳香剤 0.1%
【0152】
4.4:ボディクリーム
処方
トリグリセリド4555(C8C10) 12%
安息香酸C12〜C15アルキル 5.3%
イソヘキサデカン 2.7%
セチルアルコール 2%
DL αトコフェロール 0.10%
高分子電解質1 1.5%
Keltrol(商標)CG−T 0.25%
Efficacia(商標)M 0.25%
水 qsp 100%
Givobio(商標)GZn 1%
Sepicalm(商標)S 3%
Euxyl PE9010 1%
芳香剤 0.1%
【0153】
Euxyl PE9010(INCI名:フェノキシエタノール及びエチルヘキシルグリセリン):保存料として使用される組成物
GIVOBIO(商標)GZn(INCI名:グルコン酸亜鉛)は、SEPPIC社によって販売されている組成物である。
Maris Aqua:8%塩化ナトリウムを含む海水
SEPICALM(商標)S(INCI名:ナトリウムココイルアミノ酸及びサルコシン及びアスパラギン酸カリウム及びアスパラギン酸マグネシウム)は、SEPPIC社によって販売されている抗炎症組成物である。
SEPICIDE(商標)HB(INCI名:フェノキシエタノール/メチルパラベン/エチルパラベン/プロピルパラベン/ブチルパラベン)は、SEPPIC社によって販売されているフェノキシエタノールを含有する保存料である。