(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は本発明の一実施の形態に係るタッチセンサを示す斜視図、
図2は本発明の一実施の形態に係る配線基板を示す平面図、
図3は
図2のIII-III線に沿った断面図、
図4は本発明の一実施の形態に係る細線の変形例を示す図であり、
図2のIII-III線に沿った断面に相当する断面図、
図5は本発明の一実施の形態に係る細線を説明するための断面図、
図6は
図2のVI部の部分拡大図、
図7は
図2のVII-VII線に沿った断面図、
図8は本発明の一実施の形態に係る複数の細線が相互に交差する部分を斜め上方から視た斜視図、
図9は
図2のIX-IX線に沿った断面図である。
【0020】
本実施形態の配線体4を備えるタッチセンサ1は、たとえば、静電容量方式等のタッチパネルやタッチパッドに用いられるタッチ入力装置である。タッチ入力装置には、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパー等の表示装置が組み込まれている。
図1及び
図2に示すように、タッチセンサ1は、基材3及び配線体4を備える配線基板2と、当該配線体4の樹脂層8上に積層される網目状電極層9と、を備えている。
【0021】
配線体4が備える網目状電極層6は、Y方向にそれぞれ延在する複数(本実施形態では、3つ)の検出電極であり、網目状電極層9は、網目状電極層6に対向して配置され、X方向にそれぞれ延在する複数(本実施形態では、4つ)の検出電極である。このタッチセンサ1では、たとえば、引き出し配線(
図1中破線にて表示)を介して、網目状電極層6,9が外部回路と接続されている。そして、網目状電極層6,9間に所定電圧を周期的に印加し、2つの網目状電極層6,9の交点毎の静電容量の変化に基づいて、タッチセンサ1における操作者の操作位置(接触位置)を判別する。
【0022】
なお、本実施形態では、網目状電極層9は、網目状電極層6と同様の構成を有している。したがって、本明細書において、網目状電極層9の詳細の説明を省略する。本実施形態における「タッチセンサ1」が本発明における「タッチセンサ」の一例に相当し、本実施形態における「配線基板2」が本発明における「配線基板」の一例に相当する。
【0023】
基材3は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド樹脂(PI)、ポリエーテルイミド樹脂(PEI)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー(LCP)、シクロオレフィンポリマー(COP)、シリコーン樹脂(SI)、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、グリーンシート、ガラス等の材料を例示できる。基材は、易接着層や光学調整層が形成されていてもよい。なお、配線基板2をタッチパネルの電極基板に用いる場合は、基材3を構成する材料としては、透明なものが選択される。本実施形態における「基材3」が本発明における「支持体」の一例に相当する。
【0024】
配線体4は、基材3の主面31上に形成されており、当該基材3により支持されている。この配線体4は、接着層5と、網目状電極層6と、樹脂層8と、を備えている。本実施形態における「配線体4」が本発明における「配線体」の一例に相当する。
【0025】
本実施形態における樹脂層としての接着層5は、基材3と網目状電極層6とを相互に接着して固定する部材である。このような接着層5を構成する材料としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ビニル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等のUV硬化性樹脂、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂等を例示することができる。本実施形態における接着層5は、
図3に示すように、基材3の主面31上に略一定の厚さで設けられた平坦部51と、当該平坦部51上に形成された支持部52と、から構成されている。
【0026】
平坦部51は、基材3の主面31を覆うように一様に設けられており、当該平坦部51の主面511は、基材3の主面31と略平行な面となっている。平坦部51の厚さは、5μm〜100μmとなっていることが好ましい。支持部52は、平坦部51と網目状電極層6との間に形成されており、基材3から離れる方向(
図2中の+Z方向)に向かって突出するように形成されている。このため、支持部52が設けられている部分における接着層5の厚さ(高さ)は、平坦部51における接着層5の厚さ(高さ)よりも大きくなっている。この接着層5は、支持部52の上面である接触面522において、網目状電極層6(具体的には、接触面61(後述))と接している。
【0027】
この接触面522は、
図3に示すように、凹凸形状を有する接触面61に対して相補的となる凹凸形状を有している。
図7に示すように、網目状電極層6を構成する細線64(後述)の延在方向の断面においても、接触面522と接触面61とは、相互に相補的となる凹凸形状を有している。
図3及び
図7においては、本実施形態の配線体4を分かり易く説明するために、接触面522及び接触面61の凹凸形状を誇張して示している。
【0028】
この支持部52は、短手方向断面視において、直線状とされ、基材3から離れるにしたがって、相互に接近するように傾斜する2つの側面521,521を有している。なお、本実施形態において、「短手方向断面」とは、網目状電極層6の第1の細線64a(後述)の延在方向に対して直交する方向における断面、或いは、網目状電極層6の第2の細線64b(後述)の延在方向に対して直交する方向における断面とする。
【0029】
網目状電極層6は、接着層5の支持部52上に積層され、+Z方向に向かって突出するように形成されている。本実施形態では、この網目状電極層6をタッチセンサ1の検出電極として用いる。本実施形態における「網目状電極層6」が本発明における「導体層」の一例に相当する。
【0030】
本実施形態の網目状電極層6は、導電性粉末とバインダ樹脂とから構成されている。網目状電極層6では、バインダ樹脂中に導電性粉末が略均一に分散して存在しており、この導電性粉末同士が相互に接触することで、当該網目状電極層6に導電性が付与されている。このような網目状電極層6を構成する導電性粉末としては、銀、銅、ニッケル、スズ、ビスマス、亜鉛、インジウム、パラジウムなどの金属材料や、グラファイト、カーボンブラック(ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック)、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバ等のカーボン系材料を挙げることができる。なお、導電性粉末の他に、上述の金属材料の塩である金属塩を用いてもよい。
【0031】
網目状電極層6に含まれる導電性粒子としては、網目状電極層6を構成する細線64の幅に応じて、たとえば、0.5μm以上2μm以下の粒径φ(0.5μm≦φ≦2μm)を有する導電性粒子を用いることができる。なお、網目状電極層6における電気抵抗値を安定させる観点から、網目状電極層6を構成する細線64の幅の半分以下の平均粒径φを有する導電性粒子を用いることが好ましい。また、導電性粒子としては、BET法により測定した比表面積が20m
2/g以上の粒子を用いることが好ましい。
【0032】
網目状電極層6として、一定以下の比較的小さい電気抵抗値が求められる場合、導電性粒子としては金属材料を用いることが好ましいが、網目状電極層6として、一定以上の比較的大きい電気的抵抗値が許容される場合には、導電性粒子としてカーボン系材料を用いることができる。なお、導電性粒子としてカーボン系材料を用いると、メッシュフィルムのヘイズや全光線反射率を改善させる観点から好ましい。
【0033】
本実施形態では、電極層を網目状とすることで網目状電極層6に光透過性を付与している。この場合、網目状電極層6を構成する導電性材料として、銀、銅、ニッケルの金属材料や、上述のカーボン系材料といった導電性は優れるが不透明な導電性材料(不透明な金属材料及び不透明なカーボン系材料)を用いることができる。
【0034】
網目状電極層6を構成するバインダ樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等を例示することができる。なお、網目状電極層6を構成する材料からバインダ樹脂を省略してもよい。
【0035】
このような網目状電極層6は、導電性ペーストを塗布して硬化させることで形成されている。導電性ペーストの具体例としては、導電性粒子、バインダ樹脂、水もしくは溶剤、及び各種添加剤を混合して構成する導電性ペーストを例示することができる。導電性ペーストに含まれる溶剤としては、α-テルピネオール、ブチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトール、1−デカノール、ブチルセルソルブ、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、テトラデカン等を例示することができる
【0036】
本実施形態の網目状電極層6は、
図2に示すように、導電性を有する複数の第1及び第2の細線64a,64bを交差させて構成されており、全体として四角形を繰り返す網目形状を有している。本実施形態における「細線64a,64b」が本発明における「細線」の一例に相当する。なお、以下の説明では、必要に応じて「第1の細線64a」及び「第2の細線64b」を「細線64」と総称する。
【0037】
本実施形態の細線64の外形は、
図3に示すように、接触面61と、頂面62と、2つの側面63,53と、から構成されている。接触面61は、接着層5(具体的には、接触面522)と接触している面である。本実施形態の網目状電極層6は、接着層5を介して基材3に支持されるものであるが、この場合、接触面61は、頂面62に対して基材3側に位置する面となる。また、接触面61は、短手方向断面において、微細な凹凸からなる凹凸状の面となっている。この接触面61の凹凸形状は、接触面61の面粗さに基づいて形成されている。接触面61の面粗さについては、後に詳細に説明する。
【0038】
一方、頂面62は、接触面61の反対側の面である。頂面62は、直線状の頂面平坦部622を含んでいる。網目状電極層6の幅方向の断面において、頂面平坦部622の幅は、頂面62の幅の半分以上となっている。本実施形態では、頂面62の略全体が頂面平坦部622となっている。この頂面平坦部622の平面度は、0.5μm以下となっている。なお、平面度は、JIS法(JIS B0621(1984))により定義することができる。
【0039】
頂面平坦部622の平面度は、レーザ光を用いた非接触式の測定方法を用いて求める。具体的には、帯状のレーザ光を測定対象に照射し、その反射光を撮像素子(たとえば、2次元CMOS)上に結像させて平面度を測定する。平面度の算出方法は、対象の平面において、できるだけ離れた3点を通過する平面をそれぞれ設定し、それらの偏差の最大値を平面度として算出する方法(最大ふれ式平面度)を用いる。なお、平面度の測定方法や算出方法は、特に上述に限定されない。たとえば、平面度の測定方法は、ダイヤルゲージ等を用いた接触式の測定方法であってもよい。また、平面度の算出方法は、対象となる平面を、平行な平面で挟んだときにできる隙間の値を平面度として算出する方法(最大傾斜式平面度)を用いてもよい。
【0040】
頂面62は、非交差領域T2(後述)において、頂面平坦部622を含んでいる。非交差領域T2における頂面62は、基材3の主面31(或いは、主面31と対向する接着層5の面)と実質的に平行な面とされている。本実施形態における「頂面平坦部62」が本発明における「平坦部」の一例に相当する。
【0041】
頂面62は、突出部623を含んでいる。突出部623は、細線64の短手方向断面視において、頂面62の両端に設けられている。なお、特に上述に限定されず、突出部623は、細線64の短手方向断面視において、頂面62の一方の端部にだけ設けられていてもよい。突出部623は、接着層5から離れる側に向かって突出している。細線64の短手断面視において、頂面62の両端に存在する突出部623,623の間には、頂面平坦部622が存在している。これら突出部623と頂面平坦部622とは、細線64の短手方向断面視において、連続的に繋がっている。このような突出部623の高さ(頂面62からの突出部623の先端までの高さ)は、0.1μm〜1.0μmであることが好ましい。突出部623の幅(頂面62(頂面平坦部622)上を延在する第1の仮想直線L
1上に位置する突出部623の両端間の距離)は、0.1μm〜1.0μmであることが好ましい。
【0042】
側面63における光の散乱を抑制する観点から、側面63と頂面62との間の角度θは、90°以上170°以下(90°≦θ≦170°)であることが好ましい。本実施形態では、一の細線64において、一方の側面63と頂面62の間の角度と、他方の側面63と頂面62の間の角度とは、実質的に同一となっている。角度θとは、第1の仮想直線L
1と第2の仮想直線L
2(後述)との間の角度のことをいう。
【0043】
なお、頂面62が突出部623を含まない場合、
図4に示すように、頂面62は、短手方向断面視において、側面63,63間に角部621,621を介して連続して形成されている。この場合、角部621,621は、90°以上170°以下(90°≦θ≦170°)であることが好ましい。
【0044】
上述のように、角部621,621が形成されている場合には、当該角部621,621同士間の範囲が、頂面62に相当する。また、角部621,621に相当する部分にR形状がそれぞれ形成されている場合には、当該R形状の曲率半径が最小となる位置同士間の範囲又は当該R形状の断面視における当該中心位置同士間の範囲が、頂面62に相当する。
【0045】
側面63は、
図3に示すように、接触面61と頂面62との間に介在している。側面63は、一方の端部631で頂面62と繋がり、他方の端部632で接触面61と繋がっている。
【0046】
側面63,63は、短手方向断面視において、直線状とされ、接着層5から離れるにしたがって、相互に接近するように傾斜して形成されている。細線64は、当該細線64の短手方向断面視において、接着層5から離れるに従い幅狭となるテーパ形状となっている。また、本実施形態では、側面63,63は、短手方向断面視において、接触面522,61の界面とつながる部分で側面521,521に連続的につながっている。
【0047】
側面63は、細線64の幅方向の断面において、側面平坦部633を含んでいる。側面平坦部633は、細線64の短手断面視において、側面63に存在する直線状の部分である。この側面平坦部633の平面度は、0.5μm以下となっている。本実施形態の側面63は、その両端631,632を通る第2の仮想直線L
2上を延在する面である。側面63の略全体は、側面平坦部633となっている。
【0048】
側面63の形状としては、特に上述に限定されない。たとえば、側面63は、細線64の短手方向断面視において、外側に向かって突出する円弧形状であってもよい。この場合、側面63は、第2の仮想直線L
2よりも外側に存在する。このように、側面63は、細線の短手方向断面視において、その両端を通る仮想直線よりも内側に存在しない形状であることが好ましい。たとえば、側面の形状としては、細線の短手方向断面視において、第1の樹脂層に接近するに従い漸次的に細線の幅が大きくなる場合において、当該側面が内側に向かって凹む円弧形状(すなわち、細線の裾が広がっている形状)でないことが好ましい。
【0049】
網目状電極層6(細線64)の接触面61の面粗さは、当該網目状電極層6と接着層5とを強固に固定する観点から、頂面62の面粗さに対して相対的に粗いことが好ましい。本実施形態では、頂面62が頂面平坦部622を含んでいることから、上記面粗さの相対的関係(接触面61の面粗さに対して頂面62の面粗さが相対的に大きい関係)が成立している。具体的には、接触面61の面粗さRaが0.1μm〜3.0μm程度であるのに対し、頂面62の面粗さRaは0.001μm〜1.0μm程度となっていることが好ましい。なお、接触面61の面粗さRaは0.1μm〜0.5μmであることがより好ましく、頂面62の面粗さRaは0.001〜0.3μmであることがさらにより好ましい。また、接触面61の面粗さに対する頂面62の面粗さの関係が、0.01〜1未満であることが好ましく、0.1〜1未満であることがより好ましい。また、頂面62の面粗さは、細線64の幅(最大幅)の1/5以下であることが好ましい。なお、このような面粗さは、JIS法(JIS B0601(2013年3月21日改正))により測定することができる。接触面61の面粗さや頂面62の面粗さの測定は、細線64の幅方向に沿って行ってもよいし、細線64の延在方向に沿って行ってもよい。
【0050】
因みに、JIS法(JIS B0601(2013年3月21日改正))に記載されるように、ここでの「面粗さRa」とは「算術平均粗さRa」のことをいう。この「算術平均粗さRa」とは、断面曲線から長波長成分(うねり成分)を遮断して求められる粗さパラメータのことをいう。断面曲線からのうねり成分の分離は、形体を求めるのに必要な測定条件(たとえば、当該対象物の寸法等)に基づいて行われる。
【0051】
本実施形態では、側面63も側面平坦部633を含んでいる。このため、頂面62と同様、接触面61の面粗さが側面63の面粗さに対して相対的に大きくなっている。側面63の面粗さRaとしては、接触面61の面粗さRaが0.1μm〜3μmであるのに対して、0.001μm〜1.0μmであることが好ましく、0.001μm〜0.3μmであることがより好ましい。側面63の面粗さの測定は、細線64の幅方向に沿って行ってもよいし、細線64の延在方向に沿って行ってもよい。
【0052】
接触面61と、当該接触面61以外の他の面(頂面62及び側面63)との面粗さの相対的関係が、上述の関係を満たす場合、接触面61側の乱反射率に対して当該接触面61以外の他の面側の乱反射率が小さくなっている。この場合、接触面61側の乱反射率と当該接触面61以外の他の面側の乱反射率との比は、0.1〜1未満であることが好ましく、0.3〜1未満であることがより好ましい。
【0053】
上述した接触面と当該接触面以外の他の面との面粗さの相対的関係を有する細線の形状の一例を、
図5を参照しながら説明する。導電性粒子Mとバインダ樹脂Bとにより構成される網目状電極層6Bの接触面61Bでは、細線64Bの短手方向断面視において、導電性粒子Mの一部がバインダ樹脂Bから突出している。これにより、接触面61Bは、凹凸形状を有している。一方、頂面62B及び側面63Bでは、細線64Bの短手方向断面視において、導電性粒子M同士の間にバインダ樹脂Bが入り込んでいる。頂面62B及び側面63B上では、導電性粒子Mの僅かな露出部分が点在しているが、バインダ樹脂Bが導電性粒子Mを覆っている。これにより、頂面62Bに直線状の頂面平坦部622Bが含まれ、側面63Bに直線状の側面平坦部633Bが含まれる。この場合、接触面61Bの面粗さは、頂面62Bの面粗さに対して相対的に大きく、また、側面63Bの面粗さに対して相対的に大きい。なお、側面63Bにおいて、バインダ樹脂Bが導電性粒子Mを覆っていることで、隣り合う細線64B同士の間における電気絶縁性が向上し、マイグレーションの発生が抑制される。
【0054】
本実施形態における「接触面61」が本発明における「第1の面」の一例に相当し、本実施形態における「頂面62」が本発明における「第2の面」の一例に相当し、本実施形態における「側面63」が本発明における「側面」の一例に相当する。
【0055】
本実施形態の網目状電極層6では、以下のように、細線64を配設する。すなわち、
図2に示すように、第1の細線64aは、X方向に対して+45°傾斜した方向(以下、単に「第1の方向」との称する。)に沿って直線状に延在しており、当該複数の第1の細線64aは、この第1の方向に対して実質的に直交する方向(以下、単に「第2の方向」とも称する。)に等ピッチP
1で並べられている。これに対し、第2の細線64bは、第2の方向に沿って直線状に延在しており、当該複数の第2の細線64bは、第1の方向に等ピッチP
2で並べられている。そして、これら第1及び第2の細線64a,64bが相互に直交することで、四角形状の単位網目を繰り返す網目状電極層6が形成されている。
【0056】
なお、網目状電極層6の構成は、特に上述に限定されない。たとえば、本実施形態では、第1の細線64aのピッチP
1と第2の細線64bのピッチP
2とを実質的に同一としているが(P
1=P
2)、特にこれに限定されず、第1の細線64aのピッチP
1と第2の細線64bのピッチP
2とを異ならせてもよい(P
1≠P
2)。
【0057】
また、本実施形態では、第1の細線64aの延在方向である第1の方向は、X方向に対して+45°傾斜した方向とされ、第2の細線64bの延在方向である第2の方向は、第1の方向に対して実質的に直交する方向とされているが、この第1及び第2の方向の延在方向(すなわち、X軸に対する第1の方向の角度やX軸に対する第2の方向の角度)は、任意とすることができる。
【0058】
また、網目状電極層6の単位網目の外形は、幾何学模様であってもよい。すなわち、網目状電極層6の単位網目の形状が、正三角形、二等辺三角形、直角三角形等の三角形でもよいし、長方形、正方形、ひし形、平行四辺形、台形等の四角形でもよい。また、単位網目の形状が、六角形、八角形、十二角形、二十角形等のn角形や、円、楕円、星型等でもよい。
【0059】
このように、網目状電極層6として、種々の図形単位を繰り返してえられる幾何学模様を、当該網目状電極層6の単位網目の形状として用いることができる。また、本実施形態では、細線64は、直線状とされているが、特にこれに限定されず、たとえば、曲線状、馬蹄状、ジグザグ線状等にしてもよい。
【0060】
なお、本実施形態において、細線64の幅は、50nm〜1000μmであることが好ましく、500nm〜150μmであることがより好ましく、1μm〜10μmであることがさらに好ましく、1μm〜5μmであることがさらにより好ましい。細線64の厚さ(高さ)は、50nm〜3000μmであることが好ましく、500nm〜450μmであることがより好ましく、500nm〜10μmであることがさらに好ましい。
【0061】
本実施形態の網目状電極層6は、
図6に示すように、平面視において、複数の交差領域T1と、複数の非交差領域T2と、を含んで構成されている。それぞれの交差領域T1同士は、相互に離間して存在している。すなわち、隣り合う交差領域T1間には、1つの非交差領域T2が介在するように存在している。
【0062】
交差領域T1は、第1及び第2の細線64a,64b同士が相互に交差する領域である。具体的には、交差領域T1は、平面視において、直線状とされた第1の細線64aの外形(具体的には、第1の細線64aの外形に沿って延在する仮想線)と、直線状とされた第2の細線64bの外形(具体的には、第2の細線64bの外形に沿って延在する仮想線)と、により囲繞され画定される正方形状の領域である。一方、非交差領域T2は、網目状電極層6において、上述した交差領域T1以外の領域である。なお、本実施形態では、平面視において視認可能な頂面62及び側面63が、交差領域T1や非交差領域T2に含まれる。
【0063】
本実施形態では、細線64が一様な幅に形成されていることから、交差領域T1の幅と、非交差領域T2の幅とは実質的に同一となっている。なお、特に上述に限定されず、非交差領域T2から交差領域T1に向かって細線64の幅が漸次的に大きくなるように、細線64が形成されていてもよい。すなわち、交差領域T1における細線64の幅が、非交差領域T2における細線64の幅に対して相対的に大きくてもよい。
【0064】
本実施形態の網目状電極層6では、
図7に示すように、接着層5に接近する側(すなわち、−Z方向)に凹んだ凹部65が複数の交差領域T1毎に形成されている。この凹部65では、当該凹部65が存在する交差領域T1において、隣接する非交差領域T2における網目状電極層6の厚さ(高さ)よりも相対的に網目状電極層6の厚さ(高さ)が小さくなる。
【0065】
本実施形態の凹部65は、交差領域T1の中心Cと実質的に一致する位置に設けられている。なお、本実施形態の交差領域T1の中心Cとは、平面視において、第1の細線64aの中心線L1及び第2の細線64bの中心線L2の交点に相当する(
図6参照)。
【0066】
本実施形態では、それぞれの交差領域T1に形成された凹部65は、相互に略同一の高さを有している。なお、特にこれに限定されず、それぞれの凹部65は、異なる高さを有していてもよい。
【0067】
因みに、本実施形態の網目状電極層6では、下記(2)式が成立していることが好ましい。
H
1×1/2≦H
2<H
1・・・・(2)
但し、上記(2)式において、H
1は非交差領域T2における網目状電極層6の平均高さであり、H
2は凹部65における網目状電極層6の平均高さである。
【0068】
上記(2)式が成立していることで、頂面62での表面積が確実に確保され、網目状電極層6と、当該網目状電極層6上に積層する樹脂層8と、の間において密着性が向上し、剥離の発生が抑制される。
【0069】
本実施形態では、全ての交差領域T1に対応して1つの凹部65が形成されているが、特にこれに限定されない。たとえば、網目状電極層6において、凹部65が形成されている交差領域T1と、凹部65が形成されていない交差領域T1と、が混在していてもよい。また、1つの交差領域T1に対して、複数の凹部が形成されていてもよい。
【0070】
本実施形態の凹部65の外形は、長手方向断面視において、円弧状とされている。すなわち、隣接する非交差領域T2における頂面62から凹部65に滑らかに連続して網目状電極層6の厚さ(高さ)が減少している。この場合、交差領域T1では、網目状電極層6の厚さ(高さ)が当該凹部65に向かって漸次的に小さくなる。なお、凹部65の外形は、特に上述に限定されず、当該凹部65の一部が鋭角、直角又は鈍角であってもよい。
【0071】
図8に示すように、本実施形態の突出部623は、頂面62の両端に、細線64の延在方向に沿って連続的に形成されている。第1の細線64aと第2の細線64b同士が相互に交差する部分では、第1の細線64aに含まれる突出部623と、第2の細線64bに含まれる突出部623とが連続的に繋がっている。第1の細線64aと第2の細線64bとが相互に交差する部分の中央近傍には、凹部65が形成されている。
【0072】
第1の細線64aと第2の細線64b同士が相互に交差する部分では、
図9に示す断面において、凹部65と頂面平坦部622とが連続的に繋がっている。第1の細線64aと第2の細線64bとが相互に交差する部分では、
図9に示す断面において、頂面平坦部622と突出部623とが連続的に繋がっている。第1の細線64aと第2の細線64bとが相互に交差する部分では、
図9に示すように、凹部65と突出部623とが頂面平坦部622を介して連続的に繋がっている。
【0073】
本実施形態において、非交差領域T2における網目状電極層6の平均高さは、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、以下のように求める。すなわち、SEMやTEMにより、長手方向断面視において、非交差領域T2での網目状電極層6の高さを複数箇所で測定し、これらの測定値の算術平均値を、非交差領域T2における当該網目状電極層6の平均高さとする。この場合、非交差領域T2での網目状電極層6の高さの測定は、少なくとも10箇所以上で行う。なお、本実施形態において、「長手方向断面」とは、平面視において、細線64の中心線Lと実質的に一致する線分における断面である。
【0074】
また、同様に、凹部65における網目状電極層6の平均高さは、以下のように求める。すなわち、SEMやTEMにより、長手方向断面視において、凹部65での網目状電極層6の高さを複数箇所で測定し、これらの測定値の算術平均値を、凹部65における当該網目状電極層6の平均高さとする。この場合、凹部65での網目状電極層6の高さの測定は、少なくとも10箇所以上で行う。
【0075】
樹脂層8は、網目状電極層6上に積層して形成されている。本実施形態の配線体4では、結果として、接着層5と樹脂層8との間に網目状電極層6が介在している。網目状電極層6が存在しない領域では、樹脂層8は、接着層5(平坦部51)上に直接積層されている。
【0076】
本実施形態の樹脂層8は、網目状電極層6と当該樹脂層8を介して網目状電極層6上に形成される網目状電極層9との間の絶縁を確保する機能を有する絶縁層である。なお、樹脂層8の用途は、特に上述に限定されない。たとえば、網目状電極層6を外部から保護する機能を有するオーバーコート層として用いてもよい。
【0077】
この樹脂層8を構成する材料としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ビニル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等のUV硬化性樹脂、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂等を例示することができる。
【0078】
本実施形態では、網目状電極層6に凹部65が形成されていることで、当該網目状電極層6と樹脂層8との間の接触面積が大きくなる。これにより、網目状電極層6及び樹脂層8間の密着性が向上し、当該網目状電極層6及び樹脂層8間の剥離の抑制が図られる。本実施形態における「樹脂層8」が本発明における「第2の樹脂層」の一例に相当する。
【0079】
次に、本実施形態における配線基板2の製造方法について説明する。
図10(a)及び
図10(b)は本発明の一実施の形態に係る配線基板の製造方法を示す図であり、凹版の準備方法を説明するための断面図、
図11は本発明の一実施の形態に係る凹版を示す図であり、凹版の凸部を含んだ状態の断面図、
図12(a)〜
図12(f)は本発明の一実施の形態に係る配線基板の製造方法を示す図である。
【0080】
本実施形態では、まず、配線基板2を製造するのに用いる凹版11の準備方法について、
図10(a)及び
図10(b)及び
図11を参照しながら、詳細に説明する。次いで、配線基板2の製造方法について、
図12(a)〜
図12(f)を参照しながら、詳細に説明する。
【0081】
凹版11の準備方法では、まず、
図10(a)に示すように、平板10を準備する。この平板10は、たとえば、CMP(化学的機械的研磨)処理により、その両主面(少なくとも、溝111(後述)が形成される面)が鏡面仕上げされていることが好ましい。この平板10を構成する材料としては、ニッケル、シリコン、二酸化珪素等のガラス類、セラミック類、有機シリカ類、グラッシーカーボン、熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂等を例示することができる。
【0082】
次いで、
図10(b)に示すように、平板10の一方主面に溝111を、以下のように形成する。ここでは、たとえば、ニッケルから構成される平板10を用いた場合について説明するが、この場合、当該平板10の一方主面に形成したフォトレジストを選択的に露光して、溝111に対応する領域のフォトレジストを可溶とし、当該溝111に対応する露光パターンを形成する。そして、平板10に現像液などを供給して、当該平板10に形成されたフォトレジストの露光パターンを除去する。その後、平板10に公知のエッチング処理を行い、溝111を形成し、最後にフォトレジストを除去する。これにより、凹版11を得ることができる。
【0083】
フォトレジストを選択的に露光する方法としては、当該平板10上にレジスト層(フォトマスク)を形成した後、当該平板10を露光してもよい(面露光)。或いは、フォトレジストにレーザ光を照射することで、選択的に露光してもよい(走査露光)。露光の際に使用される光源としては、特に限定しないが、たとえば、可視光線、紫外線等の光、又は、X線等の放射線を例示することができる。
【0084】
溝111は、上方が外部に開放されており、その外形が網目状電極層6(細線64)に対応する形状とされている。なお、本実施形態では、溝111の幅は、50nm〜1000μmであることが好ましく、500nm〜150μmであることがより好ましく、1μm〜10μmであることがさらに好ましく、1μm〜5μmであることがさらにより好ましい。溝111の深さとしては、50nm〜3000μmであることが好ましく、500nm〜450μmであることがより好ましく、500nm〜10μmであることがさらに好ましい。
【0085】
ここで、本実施形態の平板10では、
図11に示すように、溝111を形成するのに合わせて、当該溝111内に凸部112を形成する。この凸部112は、平板10のうち網目状電極層6の交差領域T1に対応する部分に形成され、当該溝111の底面に比べて平板10の厚さ(高さ)を増加させる側に向かって突出している。この凸部112の外形は、網目状導体部5の凹部65に対応する形状とされている。
【0086】
この凸部112は、網目状電極層6及び樹脂層8間の剥離発生を抑止する観点から、下記(3)式が成立していることが好ましい。
H
3×1/2≧H
4・・・(3)
但し、上記(3)式において、H
3は溝111の平均高さであり、H
4は凸部112の平均高さである。
【0087】
本実施形態では、溝111と凸部112とは、同プロセスにおいて形成する。この場合、平板10上に形成するフォトレジストのうち交差領域T1に対応する部分に対する露光量を、平板10上に形成するフォトレジストのうち交差領域T1に対応する部分以外に対する露光量に比べて相対的に小さくする。これにより、平板10のうち交差領域T1に対応する部分にエッチング残りが発生し、凸部112が形成される。
【0088】
なお、溝111及び凸部112を形成する方法としては、特に上述に限定されない。たとえば、溝及び凸部を上述のフォトエッチング処理以外の方法により形成する場合は、平板のうち網目状導体層の交差領域に対応する部分の平板に対する加工度を、それ以外の領域での平板に対する加工度に比べて小さくすることで、当該溝及び凸部を同プロセスにおいて形成することができる。
【0089】
また、溝111及び凸部112は、異なるプロセスにより形成してもよい。たとえば、公知の方法を採用して平板に溝を形成した後、化学気相成長法(化学気相蒸着、CVD(chemical vapor deposition))等を用いて、溝内の網目状電極層の交差領域に対応する部分に凸部を形成してもよい。
【0090】
次に、配線基板2の製造方法について、
図12(a)〜
図12(f)を参照しながら、詳細に説明する。
【0091】
まず、
図12(a)に示すように、上述のように準備した凹版11に導電性材料12を充填する。なお、凹版11に導電性材料12を充填する前に、離型性の向上を図るため、溝111を含む凹版11の表面に離型層を形成することが好ましい。このような離型層を構成する材料としては、黒鉛系材料、シリコーン系材料、フッ素系材料、セラミック系材料、アルミニウム系材料、等を例示することができる。
【0092】
導電性材料12としては、上述した導電性ペーストを用いる。導電性材料12を凹版11の溝111に充填する方法としては、例えばディスペンス法、インクジェット法、スクリーン印刷法を挙げることができる。もしくはスリットコート法、バーコート法、ブレードコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法での塗工の後に凹部以外に塗工された導電性材料12をふき取るもしくは掻き取る、吸い取る、貼り取る、洗い流す、吹き飛ばす方法を挙げることができる。導電性材料12の組成等、凹版の形状等に応じて適宜使い分けることができる。
【0093】
次に、
図12(b)に示すように、凹版11の溝111に充填された導電性材料12を加熱することにより網目状電極層6を形成する。この際、凹版11の溝111に対応して、網目状電極層6の細線64a,54bが形成される。また、凹版11に形成された凸部112に対応して、網目状電極層6に凹部65が形成される。導電性材料12の加熱条件は、導電性材料12の組成等に応じて適宜設定することができる。
【0094】
そして、加熱処理により、導電性材料12が体積収縮する。この際、導電性材料12の上面を除く外面は、溝111の外形や凸部112の外形に沿った形状に形成される。また、導電性材料12が体積収縮したことで、凹版11の溝111内において、網目状電極層6上に当該溝111の外部空間につながる空隙113が形成される。なお、導電性材料12の処理方法は加熱に限定されない。赤外線、紫外線、レーザ光等のエネルギ線を照射してもよいし、乾燥だけでもよい。
【0095】
本実施形態では、凹版11に導電性材料12を充填させた状態で、当該導電性材料12を加熱処理し、網目状電極層6を焼成するので、当該網目状電極層6の滲みが抑えられ、モアレの発生を抑止することができる。これにより、配線体4(配線基板2)を用いたタッチセンサにおいて、視認性の向上が図られる。
【0096】
次に、
図12(c)に示すように、接着層5を形成するための樹脂材料13を凹版11上に塗布する。このような樹脂材料13としては、上述した接着層5を構成する材料と同様の材料を例示することができる。樹脂材料13を凹版11上に塗布する方法としては、スクリーン印刷法、スプレーコート法、バーコート法、ディップ法、又はインクジェット法等を例示することができる。この塗布により、網目状電極層6の接触面61と接触するように溝111内に樹脂材料13が入り込む。
【0097】
次に、
図12(d)に示すように、凹版11上に塗布された樹脂材料13の上から基材3を配置する。
【0098】
この配置は、樹脂材料13と基材3との間に気泡が入り込むことを抑制するために、真空下で行うことが好ましい。次いで、樹脂材料13を固める。これにより、接着層5が形成されると共に、当該接着層5を介して基材3と網目状電極層6とが相互に接着され固定される。この際、空隙113に充填された樹脂材料13が硬化することにより、接着層5の支持部52が形成される。
【0099】
なお、本実施形態では、樹脂材料13を凹版11上に塗布した後に基材3を積層しているが、特にこれに限定されない。例えば、基材3の主面(凹版11に対向する面)に予め樹脂材料13を塗布したものを凹版11上に配置することにより、樹脂材料13を介して基材3を凹版11に積層してもよい。
【0100】
次に、基材3、接着層5及び網目状電極層6を離型する(
図12(e)参照)。この際、本実施形態のように、凹版11の溝111をテーパ形状とすることで、離型作業を容易とすることができる。
【0101】
次に、
図12(f)に示すように、樹脂層8を構成する樹脂材料14を、網目状電極層6を覆うように塗布する。このような樹脂材料71としては、上述の樹脂層8を構成する材料と同様の材料を例示することができる。
【0102】
なお、樹脂層8を構成する材料の粘度は、塗布時の十分な流動性を確保する観点から、1mPa・s〜10,000mPa・sであることが好ましい。また、硬化後の樹脂の貯蔵弾性率は、網目状電極層6の耐久性の観点から、10
6Pa以上、10
9Pa以下であることが好ましい。樹脂材料14を塗布する方法としては、スクリーン印刷法、スプレーコート法、バーコート法、ディップ法、インクジェット法等を例示することができる。
【0103】
そして、樹脂材料14が硬化することにより、本実施形態の配線体4を備えた配線基板2を得ることができる。
【0104】
なお、特に図示しないが、上記工程が実行された後、得られた配線基板2上に、網目状電極層6と対向するように網目状電極層9を形成することにより、配線基板2を備えたタッチセンサ1を得ることができる。
【0105】
網目状電極層9を形成する方法としては、網目状電極層6の形成方法と同様の方法により形成することができる。なお、網目状電極層9を形成する方法は、特に上述に限定されず、たとえば、樹脂層8を硬化させた後、当該樹脂層8上にスクリーン印刷、グラビアオフセット印刷、インクジェット印刷等を用いて導電性材料を印刷することで形成してもよい。或いは、樹脂層8上に積層された金属層を網目状にパターニングすることで形成してもよい。或いは、スパッタリング法、真空蒸着法、化学蒸着法(CVD法)、無電解めっき法、電解めっき法、或いはそれらを組み合わせた方法を用いて、樹脂層8上に形成してもよい。
【0106】
本実施形態における配線体4、配線基板2、及びタッチセンサ1は、以下の効果を奏する。
【0107】
本実施形態では、交差領域T1に形成された凹部65により、網目状電極層6と当該網目状電極層6を覆う樹脂層8との間の接触面積が大きくなる。これにより、網目状電極層6及び樹脂層8間の密着性が向上し、当該網目状電極層6及び樹脂層8間の剥離の抑制が図られる。
【0108】
また、本実施形態の網目状電極層6では、上記(2)式が成立していることで、網目状電極層6と当該網目状電極層6を覆う樹脂層8との間の接触面積をより確実に確保することができる。これにより、網目状電極層6及び樹脂層8間の密着性がより確実に確保され、当該網目状電極層6及び樹脂層8間の剥離の抑制がさらに図られる。
【0109】
また、本実施形態では、側面63,63は、短手方向断面視において、直線状とされ、接触面61から離れるにしたがって、相互に接近するように傾斜して形成されている。これにより、凹版11から基材3、接着層5及び網目状電極層6を離型する際に、離型作業を容易とすることができる。
【0110】
また、本実施形態では、頂面62は、第1の樹脂部5から離れる側に向かって突出する突出部623を含んでいる。このため、樹脂層8に突出部623が入り込み、網目状電極層6と樹脂層8との剥離の抑制を図ることができる。特に、面の延在方向が急激に変化する頂面62の端部には、細線64の短手方向断面において最も応力が集中し易いため、剥離の起点となり易い。本実施形態の配線体4では、頂面62の端部に突出部623を含んでいるので、網目状電極層6と樹脂層8との剥離をより確実に抑制することができる。そして、第1の細線64aに含まれる突出部623と、第2の細線64bに含まれる突出部623とは、第1の細線64aと第2の細線64bとが相互に交差する部分で連続的に繋がっている。このため、網目状電極層6と樹脂層8との剥離が生じ易い第1の細線64aと第2の細線64bとが交差する部分において、突出部623が樹脂層8に入り込み、網目状電極層6と樹脂層8との剥離をさらに抑制することができる。
【0111】
なお、本実施形態では、突出部623を形成することで、配線体の視認性が低下することが懸念される。しかしながら、そもそも、面の延在方向が急激に変化する端部近傍では、光の散乱が生じ易い。このため、突出部623を設けたとしても、頂面62における光の散乱の程度にほとんど影響を与えない。
【0112】
また、本実施形態の配線体4では、細線64の短手方向断面視において、細線64の接触面62と当該接触面61以外の他の面(頂面62及び側面63を含む面)との面粗さ(すなわち、うねり成分を遮断した粗さパラメータ)の相対的関係にも着目しており、当該接触面61の面粗さRaを他の面の面粗さRaに対して相対的に粗くしている。このため、接着層5と網目状電極層6とを強固に接着しつつ、外部から入射する光の乱反射を抑制することができる。特に、細線64の幅が1μm〜5μmの場合に、接触面61と他の面との面粗さの相対的関係が上述の関係を満たすことで、接着層5と網目状電極層6とを強固に接着しつつ、外部から入射する光の乱反射を抑制することができるという効果を顕著に奏することができる。
【0113】
また、本実施形態では、側面63は、端部631,632を通る第2の仮想直線L
2と実質的に一致するように延在している。この場合、細線64の幅方向の断面において、側面の一部が、側面の両端を通る仮想直線よりも内側に存在しない形状となっていないため、配線体4の外部から入射する光の乱反射が抑えられる。これにより、配線体4の視認性をさらに向上することができる。
【0114】
また、本実施形態では、接触面61の面粗さRaを接触面61以外の他の面(頂面62及び側面63を含む面)の面粗さRaに対して相対的に粗くしていることで、当該他の面側における乱反射率が、接触面61側における乱反射率に対して相対的に小さくなっている。ここで、配線体4の乱反射率が小さいと、細線64が白く映るのを抑え、当該細線64を視認できる領域においてコントラストの低下を抑制することできる。このように、本実施形態の配線体4の視認性のさらなる向上を図ることができる。
【0115】
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0116】
たとえば、本実施形態のタッチセンサは、2つの電極を有する投影型の静電容量方式のタッチパネルセンサであるが、特にこれに限定されず、1つの電極を有する表面型(容量結合型)静電容量方式のタッチパネルセンサにも、本発明を適用することができる。
【0117】
また、たとえば、本実施形態では、網目状電極層6,9を構成する導電性材料(導電性粒子)として、金属材料又はカーボン系材料を用いているが、特にこれに限定されず、金属材料及びカーボン系材料を混合したものを用いてもよい。この場合、たとえば、細線64を例に説明すると、当該細線64の頂面62側にカーボン系材料を配置し、接触面61側に金属材料を配置してもよい。また、その逆で、細線64の頂面62側に金属材料を配置し、接触面61側にカーボン系材料を配置してもよい。
【0118】
また、接着層5の平坦部51のうち、網目状電極層6の下面側に形成されている部分以外を省略した接着層が形成されていてもよい。このような接着層は、例えば、基材の主面全体に接着層を形成して配線基板を作製した後、網目状導体層の近傍を除く接着層をエッチング等で除去することにより形成することができる。
【0119】
この場合には、配線基板全体の光透過性を向上することが可能となり、当該配線基板をタッチパネル等に用いた場合の視認性の向上を図ることができる。さらに、接着層を構成する材料を有色材料とすることにより、網目状導体層での光の乱反射を抑制し、配線基板をタッチパネル等に用いた場合の視認性をさらに向上することができる。
【0120】
また、たとえば、配線基板2から基材3を省略してもよい。この場合において、たとえば、接着層5の下面に剥離シートを設け、実装時に当該剥離シートを剥がして実装対象(フィルム、表面ガラス、偏光板、ディスプレイ等)に接着して実装する形態として配線体又は配線基板を構成してもよい。なお、この形態では、「接着層5」が本発明の「第1の樹脂層」の一例に相当し、「実装対象」が本発明の「支持体」の一例に相当する。また、網目状導体層を覆う樹脂層8を介して、上述の実装対象に接着して実装する形態として配線体又は配線基板を構成してもよい。この形態では、「樹脂層8」が本発明の「第2及び第3の樹脂層」の一例に相当し、「実装対象」が本発明の「支持体」の一例に該当する。
【0121】
また、接着層5の平坦部51を支持体として用いてもよい。この場合、接着層5の「支持部52」が本発明の「第1の樹脂層」の一例に相当し、接着層5の平坦部51が本発明の「支持体」の一例に相当する。
【0122】
また、本実施形態では、本発明の導体層を網目状電極層6として用いたが、特にこれに限定されない。つまり、本発明の導体層は、配線基板を構成する引き出し配線や端子にも適用することができる。
【0123】
上述の実施形態では、配線体又は配線基板は、タッチパネル等のタッチセンサに用いられるとして説明したが、配線体又は配線基板の用途は特にこれに限定されない。たとえば、配線体に通電して抵抗加熱等で発熱させることにより当該配線体をヒーターとして用いてもよい。この場合、導電性粒子としては、比較的電気抵抗値の高いカーボン系材料を用いることが好ましい。また、導体パターンの一部を接地することにより当該配線体を電磁遮蔽シールドとして用いてもよい。また、配線体をアンテナとして用いてもよい。