(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記キャップ側係止部に前記下固定部を係止した時に、前記上固定部を径内方向に付勢する付勢手段を備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のコンロ用バーナ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2に示される従来例にあっては、線バネ(10)が保護キャップ(5)の下面から下方に離間して略全周に亘って配置されており、線バネ(10)が、バーナキャップ(4)と保護キャップ(5)の間を流れる燃焼用二次空気の流れを阻害して、燃焼の悪化を招く惧れがあるものであった。
【0007】
本発明は上記従来の問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とするところは、バーナキャップにキャップカバーを固定するにあたり、工具や鋲・リベット等の固着具が不要で、簡単にガタつきなく堅固に固定可能で、鋲・リベット等の固着具の露出により美観が損われず、燃焼用二次空気の流れが阻害されて燃焼の悪化を招く惧れのないコンロ用バーナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために本発明は、混合室20を有するバーナ本体2と、平面視における内部に上下方向に貫通する貫通口31aを有しバーナ本体2上に載設されるバーナキャップ3と、平面視における内部に上下方向に貫通する開口部50を有しバーナキャップ3上に設けられるキャップカバー5と、を備え、バーナ本体2上に載設されたバーナキャップ3とバーナ本体2との間に炎口が形成されるコンロ用バーナ1であって、キャップカバー5の下面に形成される径外方向に開口するカバー側係止部53と、バーナキャップ3の貫通口31aの周縁から径内方向に突出するキャップ側係止部43と、弾性を有する上固定部61および上固定部61から下方に向けて連設される弾性を有する下固定部62を有し、上固定部61がキャップカバー5の下面に当接する状態でカバー側係止部53に装着されるとともに下固定部62がキャップ側係止部43に装着されることで、キャップカバー5をバーナキャップ3に弾性的に連結する中継部材6と、を備えることを特徴とする。
【0009】
これにより、中継部材6によりキャップカバー5をバーナキャップ3に弾性的に連結するものであるため、バーナキャップ3にキャップカバー5を固定するにあたり、工具や鋲・リベット等の固着具が不要となり、簡単にガタつきなく堅固に固定することが可能となり、鋲・リベット等の固着具の露出により美観が損なわれない。また、中継部材6の上固定部61がキャップカバー5の下面に当接する状態でキャップカバー5に設けたカバー側係止部53に係止されるため、キャップカバー5とバーナキャップ3の間の中間部に上固定部61が位置して二次空気の流れが阻害されてしまい燃焼の悪化を招く、という惧れがないものである。
【0010】
また、中継部材6の上固定部61が、キャップカバー5の下面に沿いキャップカバー5と略同心の略円環状に形成され、中継部材6における下固定部62が形成される箇所に、上固定部61が存在しない上固定部不在箇所63を備え、キャップカバー5の下面に、上固定部不在箇所63に嵌入されて、中継部材6がキャップカバー5に周方向に回り止め状態で装着されるための回り止め部54を備えることが好ましい。
【0011】
これにより、上固定部61が存在しない上固定部不在箇所63を形成し、キャップカバー5の下面に回り止め部54を設けるだけの簡単な構成で、中継部材6がキャップカバー5に周方向に回り止め状態で装着可能となる。
【0012】
また、カバー側係止部53が、キャップカバー5の周方向に部分的に複数形成されることが好ましい。
【0013】
これにより、カバー側係止部53が形成されたキャップカバー5を琺瑯にてコーティングする際の施釉時に、キャップカバー5の本体51とカバー側係止部53との間に釉薬が溜まり易くなることが抑制される。
【0014】
また、キャップ側係止部43が、下固定部62が当接する、バーナキャップ3の貫通口31aの周縁から径内方向に突出する係止突起44の下面により構成され、キャップ側係止部43が、径外方向へ行く程下方に位置する傾斜部43aを有し、下固定部62が、キャップ側係止部43に装着された時に径外方向に付勢されるように構成されることが好ましい。
【0015】
これにより、下固定部62が、径外方向に広がるとともにキャップ側係止部43の傾斜部43aの下側の部分に当接して下方向の力が作用し、キャップカバー5をバーナキャップ3に堅固に固定することが可能となる。
【0016】
また、キャップ側係止部43が、傾斜部43aの径内側に水平となる水平部43bを備えることが好ましい。
【0017】
これにより、キャップカバー5を上方に持ち上げるような力がキャップカバー5に加えられたときにも、中継部材6の径内方向への移動が水平部43bによって規制され、キャップカバー5がバーナキャップ3から外れるのが防止される。
【0018】
また、バーナキャップ3の上面の周方向における三箇所以上に、上方に突出しキャップカバー5を支持する支持突起46aを備え、キャップカバー5の下面の外周縁に下方に突出し、その径内側の端部と支持突起46aの径外側の端部と当接する下突出部55を備えることが好ましい。
【0019】
これにより、キャップカバー5とバーナキャップ3との相対位置を適正に維持することが可能となり、良好な燃焼を維持することができる。
【0020】
また、キャップ側係止部43に下固定部62を係止した時に、上固定部61を径内方向に付勢する付勢手段(足挟持部45、線ばね足部64)を備えることが好ましい。
【0021】
これにより、キャップ側係止部43に下固定部62を係止することで、上固定部61を径内方向に付勢する力が作用し、上固定部61がカバー側係止部53に径内方向に押圧されることとなり、中継部材6がキャップカバー5にさらに堅固に保持され、その結果、キャップカバー5がより一層堅固にバーナキャップ3に固定される。
【発明の効果】
【0022】
本発明にあっては、バーナキャップにキャップカバーを固定するにあたり、工具や鋲・リベット等の固着具が不要で、簡単にガタつきなく堅固に固定可能で、鋲・リベット等の固着具の露出により美観が損われず、燃焼用二次空気の流れが阻害されて燃焼の悪化を招く惧れのないものである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態について添付図面に基づいて説明する。本実施形態のガスコンロ10には、コンロ用バーナ1として、
図1に示すように、標準火力バーナ1b、標準火力バーナ1bに比べて最大火力が大きい大火力バーナ1a、標準火力バーナ1bに比べて最大火力が小さい小火力バーナ1cの三つが設けてある。これら大火力バーナ1a、標準火力バーナ1b及び小火力バーナ1cは、基本的に同じ構造になっている。コンロ用バーナ1は、その一部が、天板11の開口12(
図2参照)から天板11上に露出する。
【0025】
また、
図2に示すように、コンロ用バーナ1は、開口12から露出した部位と天板11の開口12縁との間に、円環状のバーナリング13が介装してある。バーナリング13は、天板11から煮汁等が下(ガスコンロ10の内部)に侵入することを抑制する。また、天板11上には、五徳14が載置してあり、五徳14は、コンロ用バーナ1の前記露出する部分を囲むように設けてある。五徳14に鍋底等の加熱対象(図示せず)の底部を載置することで、この加熱対象を支持する。
【0026】
また本実施形態のコンロ用バーナ1は、
図1に示すように、バーナキャップ3より径内側に、加熱対象の底部温度検知用の温度センサー15を備えている。温度センサー15は、コンロ用バーナ1に加熱対象を設置したときに、その底部に接触して底部の温度を検出する。そして、ガスコンロ10は、温度センサー15の検出した温度に応じて、対応するコンロ用バーナ1の燃焼の各種制御が可能となっている。
【0027】
コンロ用バーナ1は、
図2に示すように、混合室20を有したバーナ本体2と、混合室20の上に脱着自在で載設されるバーナキャップ3とを備える。以下の説明では、バーナキャップ3をバーナ本体2上に載設した状態における上下を基準とする。
【0028】
バーナ本体2は、
図2に示すように、例えば、アルミニウム等により形成され、混合管21を混合室20と一体に有しており、混合室20は混合管21に連通する。混合管21の基端には、燃料としてのガスを吐出するガスノズル25が配置される。そして、バーナ本体2は、ガスノズル25からガスを吐出すると、混合管21の基端から一次空気が吸入されて、混合管21内でガスと一次空気とが混合されるようになっている。
【0029】
更に、バーナ本体2は、円環状に形成されており、バーナ本体2の径内側を通って燃焼用二次空気が供給されるようになっている。そして、混合室20は、円環状に設けてある。また、バーナ本体2の上面には、バーナベース22が設けてある。
【0030】
バーナベース22は、
図2に示すように、例えば、円環状に形成される。そして、バーナベース22の上面には、バーナキャップ3載設用の載設部23と、全周に亘って設けた段部24とを有する。そして、載設部23は、段部24より径内側に設けてあり、その上面にバーナキャップ3が脱着自在で載設される。段部24は、下方に向けて凹設されており、平面視円環状の溝形に形成される。
【0031】
バーナキャップ3は、例えば、アルミニウム等により形成され(本実施形態ではアルミダイキャスト成形品)、
図4に示すように、主体をなすキャップ本体31と、キャップ筒部32と、を備えている。キャップ本体31は、平面視において、内部に上下方向に貫通する貫通口31aを有する環状(例えば円環状)の板部材で形成される。以下の説明では、特に規定しない限り、キャップ本体31の径方向を基準とする。すなわち、以下の説明において、径内側や径外側等の記載は、キャップ本体31の径内外方向を基準としたものである。
【0032】
キャップ筒部32は、キャップ本体31の貫通口31aの内端縁の下端から下方に連設される。キャップ筒部32の内部空間は、キャップ本体31の貫通口31aと連通している。本実施形態では、鍛造やダイキャスト等の鋳造における金型の抜き勾配とするため、
図9に示すように、キャップ筒部32の内面32aには、下方へ行く程大径となるテーパが形成されているとともに、内面32aの最も小径となる上端部の径は、貫通口31aの径よりも大きい。
【0033】
バーナキャップ3は、
図2に示すように、バーナベース22上に載設され、キャップ筒部32が、バーナベース22の径内側に配設され混合室20の内側の壁部となる円筒状をした内筒部20a内に嵌入されて、コンロ用バーナ1が構成され、混合室20はバーナキャップ3によって上方への開口が閉塞される。
【0034】
キャップ本体31は、
図3に示すように、その下面に、複数の主炎口用溝33が凹設してある。主炎口用溝33は、上方に凹んで形成される。そして、主炎口用溝33は、例えばバーナキャップ3の円の中心を基準として、放射状に複数設けてあり、複数の主炎口用溝33は、円周方向において、所定の間隔をおいて位置する。更に、各主炎口用溝33は、キャップ本体31の上部の外周端と略同じ外周位置において、径外側に開口する。
【0035】
このため、コンロ用バーナ1は、バーナキャップ3をバーナベース22に載設した状態において、主炎口用溝33とバーナベース22との間に、主炎口16が形成される(
図3参照)。そして、コンロ用バーナ1は、バーナベース22にバーナキャップ3を載設した状態において、バーナキャップ3の下端と段部24との間に、その全周に亘るように保炎口17が形成される(
図2参照)。
【0036】
図3に示すように、保炎口17には、混合室20から流入溝34a、溜まり空間34を介して、ガスが供給されており、このガスは、主炎口16に供給されるガスに比べて、流量が絞られ且つ流速が減速された状態で保炎口17に供給される。このため、コンロ用バーナ1は、混合室20からガスを供給して点火すると、大きな火炎(主炎)が主炎口16に形成され、主炎に比べて小さな火炎(保炎)が保炎口17に形成される。
【0037】
また、
図3に示すように、キャップ本体31は、円周方向において隣り合う主炎口16の間の部位として、合流用部位35と、点火用部位36と、区画用部位37とを有する。
【0038】
合流用部位35は、その外周面が、キャップ本体31の外径より径内側に若干引退しており、これによりバーナキャップ3は、キャップ本体31の一部の外周端の下方に、径内側に凹没した凹所35aを有する。
【0039】
凹所35aは、その天面が主炎口用溝33の天面と同じ高さで並んでいる。更に、凹所35aは、円周方向において主炎口用溝33に連通し、また外周側及び下方に開口する。バーナキャップ3は、この凹所35aにて、隣り合う主炎口16の火炎(主炎)を合流させて、合流火炎として火炎を形成することができ、この凹所35aにて合流用炎口18が形成される。
【0040】
コンロ用バーナ1は、主炎を夫々独立して形成可能な大火力(所謂強火)に比べて火力を抑えて燃焼をする小火力(所謂弱火)の場合において、燃焼が不安定になる等で消火することを抑制することができる。すなわち、上記合流用炎口18(凹所35a)を設けたことで、小火力の場合における性能(火炎の安定性)を向上することができる。
【0041】
また、合流用部位35は、円周方向において、所定の間隔をおいて複数設けてある。そして、合流用部位35の複数の間のうち、一つの間には、点火用部位36が設けてあり、残りの間には、区画用部位37が設けてある。
【0042】
点火用部位36は、
図3に示すように、その外周面が、キャップ本体31の外周端から径内側に凹んだ平面視円弧状の凹曲面36aとなっている。そして、凹曲面36aの中央部に対応する位置には、点火用炎口38が設けてあり、点火用炎口38は、点火炎を形成して保炎口17や主炎口16から出るガスに点火できるようになっている。更に、凹曲面36aの上部には、庇部39が径外方向に突出するように設けてあり、コンロ用バーナ1は、庇部39によって点火用炎口38への煮汁等の侵入を抑制している。
【0043】
また、コンロ用バーナ1は、
図2に示すように、点火用炎口38に対応する部分の径外側に、点火スパークを発生して点火用炎口38から出るガスに点火する点火装置26を付設してある。点火装置26は、点火プラグ26aと、点火スパークターゲット26bとを備える。点火プラグ26aは、バーナ本体2のバーナベース22の外周に装着してあり、点火プラグ26aの電極が上方に突出している。
【0044】
点火スパークターゲット26bは、庇部39の下面に設けてあり、点火スパークターゲット26bは、点火プラグ26aの電極から所定のギャップを隔てて上下に対向する。
【0045】
また、
図3に示すように、点火用炎口38と混合室20との間には、滞留用空間40が設けてあり、滞留用空間40は、連通孔40aを介して混合室20に連通する。混合室20から供給されるガスは、連通孔40aから滞留用空間40に流入させて滞留用空間40に一旦滞留させた後、点火用炎口38から吐出される。
【0046】
区画用部位37は、
図3に示すように、その外周面が、キャップ本体31の上部の外周端に沿って形成されており、小火力の場合において、各合流火炎は、区画用部位37によって独立して形成される。これによって、バーナキャップ3は、区画用部位37において、キャップ本体31より外周側から主炎や合流火炎へ二次空気を供給することができる。
【0047】
区画用部位37は、上方に凹んだ筒形状に形成されており、その内部が溜まり空間34となっており、その径内側の壁部に流入溝34aが設けてある。
【0048】
更に、区画用部位37は、外周側の壁部の外周面の下部に、径内側に凹んだ凹部41が設けてある。凹部41は、径外側及び下方に開口し、円周方向において両側の主炎口用溝33と連通しており、この両側の主炎口用溝33からガスが流入する。
【0049】
このため、区画用部位37を介して隣り合う主炎口16は、その主炎を凹部41を介して、もう一方側の主炎口16に移り易くすることができ、凹部41にて火移り用炎口19が形成される。
【0050】
また、
図4に示すように、キャップ本体31の上面において、区画用部位37の位置(上方位置)には、放射状に凹溝42を凹設してある。そして、コンロ用バーナ1は、バーナ本体2及びバーナキャップ3の中央の開口から燃焼用二次空気が、凹溝42を介して主炎口16の側方に供給される。また、
図2に示すように、バーナキャップ3の上面には、この上面への煮汁等の付着を防止するため、キャップカバー5が設置される。
【0051】
キャップカバー5は、
図5に示すように、平面視における内部に上下方向に貫通する開口部50を有するもので、後述する中継部材6を介して、バーナキャップ3の上側に設けられる。キャップカバー5の径内側の端縁および径外側の端縁が下面側に折り返されて、この折り返し部52(径内側の折り返し部52a、径外側の折り返し部52b)がキャップカバー5の本体51の下面と密着して二層箇所を形成する、いわゆるヘミング加工が施されている。
【0052】
中継部材6は、
図6に示すように、上側に位置するキャップカバー5を下側に位置するバーナキャップ3に弾性的に連結する連結部材であり、キャップカバー5に固定される上固定部61と、バーナキャップ3に固定される下固定部62と、を有する。
【0053】
上固定部61は、平面視において略環状をしたもので、本実施形態では、平面視において、周方向の一部に弧が形成されない部分(これを上固定部不在箇所63とする)を有する円環状をしたものである。下固定部62は、上固定部61から下方に突出する略コ字状や略U字状等をしたもので、本実施形態では、上固定部61の弧が形成されない部分において下方に突出するものである。
【0054】
すなわち中継部材6は、本実施形態では、一つの環状をした、弾性を有する線ばねが折り曲げられて形成される。上固定部61は、周方向の一部(本実施形態では互いに対向する二箇所)に上固定部不在箇所63を有する円環状をした線ばねリング状部により構成される。なお、上固定部不在箇所63が設けられる箇所は、周方向に二箇所でなく、一箇所や三箇所以上設けられてもよい。下固定部62は、上固定部不在箇所63の両側においてそれぞれ上固定部61の端部で折れ曲がり下方に伸びる二本の線ばね足部64と、二本の線ばね足部64の下端同志を連結する足連結部65と、からなる略コ字状に突出するものである。なお、中継部材6は、線ばねで形成されなくてもよく、弾性を有するものであればよい。
【0055】
また、キャップカバー5には、
図5に示すように、上固定部61が係止されるカバー側係止部53が設けられる。本実施形態では、カバー側係止部53は、キャップカバー5の下面に形成される線ばね抜け防止突起にて構成される。線ばね抜け防止突起は、本実施形態では、キャップカバー5の周方向における一部(本実施形態では、中継部材6の上固定部61に対応する90°間隔の四箇所)の下面において、径内側の折り返し部52aの一部が下斜め外方(径外方向)に向けて突出し、径外方向に開口するものである。なお、カバー側係止部53(線ばね抜け防止突起)は、下斜め外方に向けて突出するものではなく、略L字状や略コ字状等のように径外方向に開口していればよい。
【0056】
また、キャップカバー5には、
図5に示すように、中継部材6のキャップカバー5に対する位置を決める回り止め部54が設けられる。回り止め部54は、本実施形態では、キャップカバー5の下面に形成される回り止め突起にて構成される。回り止め突起は、本実施形態では、キャップカバー5の周方向における一部(本実施形態では、中継部材6の上固定部不在箇所63に対応する、互いに対向する二箇所)の下面において、径内側の折り返し部52aの一部が下方に突出するものである。なお、回り止め部54は、回り止め突起にて構成されるものでなくてもよい。
【0057】
また、バーナキャップ3には、
図4に示すように、下固定部62が係止されるキャップ側係止部43が設けられる。本実施形態では、キャップ側係止部43は、キャップ本体31の径内側端縁(貫通口31aの周縁)より径内方向に突出する、線ばね上昇防止係止部にて構成される。線ばね上昇防止係止部は、貫通口31aの内面32aより径内方向に突出する係止突起44の下面により構成されるもので、平面視においてキャップ筒部32の内部空間に位置している。後述するように、線ばね上昇防止係止部は、径外方向へ行く程下方に位置する傾斜部43aが形成されており、更に、径内方向の端部には水平部43bが形成されている。
【0058】
また、バーナキャップ3には、線ばね足部64を挟持する足挟持部45が設けられる。本実施形態では、足挟持部45は、キャップ本体31の貫通口31aの径内側端縁より径内方向に突出する、二つの足挟持突起45aにて構成される。足挟持突起45aの間隔は、中継部材6に外力が加わっていない状態における、両線ばね足部64の外面間距離よりも短く形成される。
【0059】
また、バーナキャップ3の上面には、キャップカバー5を支持する支持部46が設けられる。支持部46は、本実施形態では、バーナキャップ3の上面に形成される支持突起46aにて構成される。支持突起46aは、本実施形態では、バーナキャップ3の上面の周方向における複数の箇所(本実施形態では、120°間隔の三箇所)において、上方に突出するものである。なお、支持突起46aは、バーナキャップ3の上面の周方向における四箇所以上に設けられてもよく、この場合、等間隔で設けられるのが好ましい。
【0060】
図7に示すように、中継部材6の線ばねリング状部(上固定部61)は、キャップカバー5の線ばね抜け防止突起(カバー側係止部53)によって、上方へ抜け止めされた状態で保持される。更に、キャップカバー5の回り止め突起(回り止め部54)を、中継部材6の線ばね足部64で挟持する。そのため、キャップカバー5と中継部材6は、相互に周方向に回り止めされ、その結果、後述のように、キャップカバー5は、バーナキャップ3に対して周方向に位置決めおよび回り止めされて取り付けられる。これにより、キャップカバー5のバーナキャップ3に対する向きを固定する設計とし、キャップカバー5上に表示(例えば文字)を施した場合でも、これが常に所定の向き(使用者が読める向き)で表示される。
【0061】
なお、キャップカバー5に中継部材6を装着する際に、中継部材6を構成する線ばねの変形を伴うが、この変形は、線ばねの弾性変形の範囲内の変形であり、線ばねの弾性変形に伴う応力によって、線ばねがキャップカバー5に保持される。
【0062】
図9、
図10に示すように、線ばね足部64の先端の足連結部65は、バーナキャップ3のキャップ側係止部43に係止する。
【0063】
図9、
図10に示すように、キャップ側係止部43は、径外方向へ行く程下方に位置する傾斜部43aを有しているため、弾性を有する線ばね足部64は、復元力によって径外方向に広がろうとして、キャップ側係止部43に係止した足連結部65が径外方向に向け引っ張られる。足連結部65が径外方向に向け引っ張られることで、足連結部65がキャップ側係止部43の傾斜部43aに沿って径外側に広がり、足連結部65に下方向の力が作用する。この下方向の力によって中継部材6が保持されたキャップカバー5に下方向の力が作用して、キャップカバー5の下面は、支持部46に押し付けられて、キャップカバー5はバーナキャップ3にガタつきなく堅固に固定される。
【0064】
キャップカバー5を上方に持ち上げるような力がキャップカバー5に加えられたときに、足連結部65は径内側に移動することになるが、キャップ側係止部43の傾斜部43aの径内側は水平部43bとなっており、キャップカバー5を上方に持ち上げるような力がキャップカバー5に加えられた場合にも、線ばね足部64の径内側への移動が水平部43bによって抑制されるため、キャップカバー5がバーナキャップ3から外れるのが防止される。
【0065】
図9に示すように、キャップカバー5の下面は、支持部46の上端に押し付けらたとき、径外側の折り返し部52bからなる下突出部55の径内側端部が支持部46の外周端部に当接して、キャップカバー5とバーナキャップ3とは同心に保たれる。
【0066】
図10に示すように、二つの足挟持部45の間に一組の線ばね足部64が狭持されるため、一組の線ばね足部64の離間距離L62(
図6参照)を減少させる力が作用し、上固定部61の離間距離L61(
図6参照)を減少させる力が作用することで、上固定部61が線ばね抜け防止突起(カバー側係止部53)に押圧されて、中継部材6がキャップカバー5により堅固に保持され、この結果、キャップカバー5がより一層堅固にバーナキャップ3に固定される。本実施形態では、足挟持部45および線ばね足部64が、キャップ側係止部43に下固定部62を係止した時に、上固定部61を径内方向に付勢する付勢手段を構成する。
【0067】
キャップカバー5に琺瑯によるコーティングが施されている場合には、琺瑯によるコーティングが施された状態のキャップカバー5の寸法のバラツキが大きくなるが、本実施形態においては、中継部材6の線ばねの弾性変形に伴う応力によって、線ばねがキャップカバー5に保持されるから、線ばねは、キャップカバー5に適切に保持される。
【0068】
隣接する二箇所の線ばね抜け防止突起(カバー側係止部53)同士を繋げて、周方向に長い線ばね抜け防止突起を形成することも考えられるが、この場合、線ばね抜け防止突起が形成されたキャップカバー5を琺瑯にてコーティングする際の施釉時に、キャップカバー5の本体51と線ばね抜け防止突起との間に釉薬が溜まり易くなる。このため、本実施形態では、線ばね抜け防止突起を周方向に短い寸法(線ばね抜け防止突起の突出寸法と同程度の寸法)とし、周方向の四箇所に分散して、形成されている。
【0069】
中継部材6を装着したキャップカバー5は、
図8に示すように、バーナキャップ3の上方から下方に向けて押し込むことで、
図10、
図11に示すように、バーナキャップ3と連結される。
【0070】
また本実施形態では、キャップ側係止部43は貫通口31aの周縁から径内方向に突出するものであり、バーナキャップ3を鍛造もしくは鋳造によって製造する場合に、鍛造もしくは鋳造の後に、キャップ側係止部43を形成するための後加工の必要がなく製造コストの低減が可能となる。すなわち、例えば特許文献1に示される従来例にあっては、バーナキャップ(4)のキャップ筒部の内径が、キャップ本体の貫通口の内径よりも小さく、貫通口の径内方向に突出する突起(9)を備えているため、後加工なしの鍛造もしくは鋳造によって製造するには、金型が抜けないため、後加工が必要となっていた。
【0071】
これに対して、本実施形態では、キャップ筒部32の内面32aは、下方へ行く程大径となるテーパが形成されているとともに、その径が貫通口31aの径よりも大きく、さらに、キャップ側係止部43は、貫通口31aの内面32aより径内方向に突出する係止突起44の下面により構成されている。このため、係止突起44の上部を上金型で成形し、係止突起44の下部を下金型で成形するような金型割りとすれば、下金型を抜くことが可能となり、鍛造や鋳造の後加工が不要となるものである。