(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
[1]レジスト下層膜形成用樹脂組成物
本発明のレジスト下層膜形成用樹脂組成物は、芳香環を含む樹脂と、特定の構造を有する架橋剤とを含有する。
【0013】
[芳香環を含む樹脂]
上記芳香環を含む樹脂(以下、「樹脂(A)」ともいう。)としては、芳香環を含む樹脂である限り特に限定されないが、例えば、ノボラック樹脂、レゾール樹脂、アセナフチレン樹脂、スチレン樹脂、ポリアリーレン樹脂等が挙げられる。
上記ノボラック樹脂の具体例としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、ビスフェノールA、パラターシャリーブチルフェノール、パラオクチルフェノール、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシナフタレン)フルオレン等のフェノール類、及びα−ナフトール、β−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類からなる群より選ばれる1種又は2種以上のフェノール性化合物と、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、及びトリオキサン等のアルデヒド源のうちの1種又は2種以上とを酸性触媒を用いて反応させて得られる樹脂等が挙げられる。
このような樹脂としては、例えば、下記式(a1)で表される構造単位を有する樹脂等が挙げられる。
【0015】
上記式(a1)中、Ar
10は(m11+m12+m13+1)価の芳香族基である。
R
10は、炭素数1〜10の1価の炭化水素基であるか、又はこの炭化水素基と、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−、−CS−、−S−、−SO−、−SO
2−及び−NR
D−からなる群より選ばれる少なくとも1種とを組み合わせた1価の基である。R
Dは、水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基である。
R
11及びZ
0は、それぞれ独立して、単結合、炭素数1〜10の2価の炭化水素基、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−、−CS−、−S−、−SO−、−SO
2−若しくは−NR
E−であるか、又はこれらの基を組み合わせた2価の基である。R
Eは、水素原子又は1価の炭素数1〜10の炭化水素基である。
m11は、Ar
10に結合しているZ
0の数を示し、1〜6の整数である。m12は、0〜6の整数である。m13は、0〜6の整数である。m14は、0〜2の整数である。R
10、R
11、Ar
11及びZ
0がそれぞれ複数の場合、複数のR
10、R
11、Ar
11及びZ
0はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。*は、結合手を示す。
なお、式(a1)におけるR
10及びR
11は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基等が挙げられる。上記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
【0016】
上記R
10で表される炭素数1〜10の1価の炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状の1価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜10の1価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜10の1価の芳香族炭化水素基、又はこれらの基を組み合わせた基等が挙げられる。
【0017】
上記炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状の1価の鎖状炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、オクチル基、ドデシル基等が挙げられる。
【0018】
上記炭素数3〜10の1価の脂環式炭化水素基としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基等が挙げられる。
【0019】
上記炭素数6〜10の1価の芳香族炭化水素基としては、例えばフェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0020】
上記R
10で表される上記炭化水素基と、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−、−CS−、−S−、−SO−、−SO
2−及び−NR
D−からなる群より選ばれる少なくとも1種とを組み合わせた1価の基としては、例えば、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、グリシジルエーテル基、アルキルグリシジルエーテル基(但し、アルキル部位の炭素数は1〜10である。)等が挙げられる。
【0021】
上記R
11及びZ
0で表される炭素数1〜10の2価の炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状の2価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜10の2価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜10の2価の芳香族炭化水素基、又はこれらの基を組み合わせた基等が挙げられる。
【0022】
上記炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状の2価の鎖状炭化水素基としては、炭素数2〜8の直鎖状又は分岐状のアルキレン基が好ましく、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基等が挙げられる。
【0023】
上記炭素数3〜10の2価の脂環式炭化水素基としては、炭素数5〜12の脂環式炭化水素基が好ましく、例えば、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基等の単環の脂環式炭化水素基;ノルボルナン、アダマンタン等の多環式炭化水素から2つの水素原子を除いた基等が挙げられる。
【0024】
上記炭素数6〜10の2価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニレン基、トリレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
【0025】
上記Ar
10で表される(m11+m12+m13+1)価の芳香族基としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、インデン環、フルオレニリデンビフェニル環等のベンゼン系芳香環、フラン環、ピロール環、チオフェン環、ホスホール環、ピラゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環等の複素芳香環等から(m11+m12+m13+1)個の水素原子を除いた基等が挙げられる。
【0026】
Ar
11で表される2価の芳香族基としては、例えばベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、インデン環、フルオレニリデンビフェニル環等のベンゼン系芳香環、フラン環、ピロール環、チオフェン環、ホスホール環、ピラゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環等の複素芳香環等から2個の水素原子を除いた基等が挙げられる。
【0027】
レゾール樹脂の具体例としては、例えば上述のフェノール性化合物と、上述のアルデヒド源とをアルカリ性触媒を用いて反応させて得られる樹脂等が挙げられる。
【0028】
アセナフチレン樹脂としては、例えば、下記式(a2)で表される繰り返し単位を含む樹脂等が挙げられる。
【0030】
上記式(a2)中、R
20及びR
21は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10の1価の炭化水素基であるか、又はこの炭化水素基と、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−、−CS−、−S−、−SO−、−SO
2−及び−NR
F−からなる群より選ばれる少なくとも1種とを組み合わせた1価の基である。R
Fは、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基である。
R
22は水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基である。
m21は、0〜6の整数である。m21が2以上の場合、複数のR
22は同一でも異なっていてもよい。
【0031】
上記R
20及びR
21で表される各基としては、例えば、上記式(a1)のR
10で表される各基として例示した基等が挙げられる。
【0032】
上記R
22で表される炭素数1〜10の1価の炭化水素基としては、上記式(a1)のR
10で表される炭素数1〜10の1価の炭化水素基として例示したものと同様の基等が挙げられる。
【0033】
上記アセナフチレン樹脂は、アセナフチレン骨格を有する化合物をラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等により、塊状重合、溶液重合等の適宜の重合形態で重合することによって得ることができる。また、特開2002−296789号公報の段落[0008]〜[0031]に記載されているように、アセナフチレン骨格を有する化合物の重合体に、酸性条件下でパラホルムアルデヒドを反応させる等して得ることもできる。
【0034】
上記スチレン樹脂としては、スチレン又はその誘導体に由来する構造単位を含む樹脂等が挙げられ、例えば、下記式(a3)で表される構造単位を含む樹脂等が挙げられる。
【0036】
上記式(a3)中、R
30は、ハロゲン原子若しくは炭素数1〜10の1価の炭化水素基であるか、又はこの炭化水素基と、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−、−CS−、−S−、−SO−、−SO
2−及び−NR
G−からなる群より選ばれる少なくとも1種とを組み合わせた1価の基である。R
Gは、水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基である。
m31は、0〜5の整数である。m31が2以上の場合、複数のR
30は同一でも異なっていてもよい。
【0037】
上記R
30で表される各基としては、例えば、上記式(a1)のR
10で表される各基として例示した基等が挙げられる。
【0038】
上記スチレン樹脂は、上記式(a3)で表される構造単位以外に、他の構造単位を有していてもよい。
【0039】
上記他の構造単位を与える単量体としては特に限定されず、種々の重合性不飽和結合を有する化合物が挙げられる。このような重合性不飽和結合を有する化合物としては、例えば、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド等のアクリル系単量体;エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、無水マレイン酸、酢酸ビニル、ビニルピリジン等が挙げられる。
【0040】
上記スチレン樹脂中の他の構造単位の含有割合としては、スチレン樹脂を構成する全構造単位に対して、50モル%未満が好ましく、40モル%未満がさらに好ましい。
【0041】
上記スチレン樹脂の重合度、すなわち、上記式(a3)で表される構造単位及び他の構造単位の総数としては、5以上200以下が好ましく、10以上150以下がより好ましい。
【0042】
上記スチレン樹脂(特にポリビニルフェノール系の重合体)を形成するための前駆重合体としては、市販品を用いることもでき、例えば丸善石油化学製の「マルカリンカーM」(ポリ−p−ビニルフェノール)、「リンカーMB」(臭素化ポリ−p−ビニルフェノール)、「リンカーCMM」(p−ビニルフェノール/メタクリル酸メチル共重合体)、「リンカーCHM」(p−ビニルフェノール/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体)、「リンカーCST」(p−ビニルフェノール/スチレン共重合体)等が挙げられる。
【0043】
ポリアリーレン樹脂としては、ポリアリーレンエーテル、ポリアリーレンスルフィド、ポリアリーレンエーテルスルホン、ポリアリーレンエーテルケトン等が挙げられる。
【0044】
樹脂(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」ともいう)としては、500〜100,000が好ましく、1,000〜50,000がより好ましく、1,200〜40,000がさらに好ましい。
樹脂(A)のMwと、GPCで測定したポリスチレン換算数平均分子量(以下、「Mn」ともいう)との比(Mw/Mn)は、通常1〜5であり、1〜3が好ましい。
【0045】
また、本発明のレジスト下層膜形成用樹脂組成物は、樹脂(A)を1種のみ含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。
【0046】
[架橋剤]
上記架橋剤(以下、「架橋剤(B)」ともいう。)は、下記式(i)で表される部分構造を有する。即ち、架橋剤(B)を構成する化合物の構造中には、下記式(i)で表される構造が少なくとも含まれている。なお、下記式(i)で表される部分構造が有する結合手には、水素原子が結合していてもよく、それ以外の基が結合していてもよい。
本発明のレジスト下層膜形成用樹脂組成物においては、この架橋剤(B)と樹脂(A)とが反応した結果、樹脂(A)の芳香環と架橋剤(B)の多環系芳香環に挟まれたメチレン部位を生じる。このメチレン部位が有する水素原子は酸化されやすいために新たな架橋点を生じ、その新たに生じた架橋点がさらに架橋構造を生じることで材料全体の水素原子含有量が低下する。このため、形成されたレジスト下層膜の曲がり耐性が向上するものと考えられる。
【0048】
上記式(i)中、Xは、酸素原子、硫黄原子、*−COO−又は−NR
A−である。R
Aは、水素原子又は炭素数1〜30の1価の炭化水素基である。*は、R
1と結合する部位を示す。R
1は、水素原子又は炭素数1〜30の1価の炭化水素基である。R
2は、ヒドロキシ基、スルファニル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜30の1価の炭化水素基、炭素数1〜30の1価のオキシ炭化水素基又は炭素数1〜30の1価のスルファニル炭化水素基である。n
1は、1〜12の整数である。n
2は、0〜11の整数である。但し、n
1+n
2は12以下の整数である。X、R
1及びR
2がそれぞれ複数の場合、複数のX、R
1及びR
2はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。pは、1〜3の整数である。
【0049】
上記R
1、R
2及び−NR
A−のR
Aで表される炭素数1〜30の1価の炭化水素基としては、例えば炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状の1価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜30の1価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜30の1価の芳香族炭化水素基、又はこれらを組み合わせた基等が挙げられる。
【0050】
上記炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状の1価の鎖状炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、オクチル基、ドデシル基等が挙げられる。
【0051】
上記炭素数3〜30の1価の脂環式炭化水素基としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。
【0052】
上記炭素数6〜30の1価の芳香族炭化水素基としては、例えばフェニル基、トリル基、ナフチル基、アントリル基、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
【0053】
上記炭素数1〜30の1価のオキシ炭化水素基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素数1〜30のアルコキシ基;シクロペンチルオキシ基、ノルボルニルオキシ基等の炭素数3〜30のシクロアルキルオキシ基;フェノキシ基、トリルオキシ基、ナフチルオキシ基等の炭素数6〜30のアリールオキシ基;ベンジルオキシ基、ナフチルメトキシ基等の炭素数7〜30のアラルキルオキシ基などが挙げられる。
【0054】
上記炭素数1〜30の1価のスルファニル炭化水素基としては、例えば、メチルスルファニル基、エチルスルファニル基等の炭素数1〜30のアルキルスルファニル基;シクロペンチルスルファニル基等の炭素数3〜30のシクロアルキルスルファニル基;フェニルスルファニル基、ナフチルスルファニル基等の炭素数6〜30のアリールスルファニル基;ベンジルスルファニル基等の炭素数7〜30のアラルキルスルファニル基などが挙げられる。
【0055】
上記n
1としては1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1〜3の整数がさらに好ましい。
上記n
2としては0〜7の整数が好ましく、0〜5の整数がより好ましく、0〜3の整数がさらに好ましい。
上記n
1+n
2としては1以上8以下の整数が好ましく、1以上7以下がより好ましい。pとしては、1又は2が好ましい。
【0056】
上記架橋剤(B)としては、例えば、下記式(b1)で表される化合物、下記式(b2)で表される化合物等が挙げられる。
【0058】
上記式(b1)中、X、R
1及びR
2は、上記式(i)と同義である。R
3は、単結合、置換若しくは非置換の炭素数1〜30の2価の炭化水素基、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−、−CS−、−S−、−SO−、−SO
2−若しくは−NR
B−であるか、又はこれらの基を組み合わせた2価の基である。R
Bは、水素原子又は炭素数1〜30の1価の炭化水素基である。R
4は、n
7が1の場合、単結合、置換若しくは非置換の炭素数1〜30の2価の炭化水素基、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−、−CS−、−S−、−SO−、−SO
2−若しくは−NR
C−であるか、又はこれらの基を組み合わせた2価の基であり、n
7が2以上の場合、置換若しくは非置換の炭素数1〜30の(n
7+1)価の炭化水素基であるか、又はこの炭化水素基と−CO−、−COO−、−OCO−、−O−、−CS−、−S−、−SO−、−SO
2−及び−NR
C−からなる群より選ばれる少なくとも1種とを組み合わせた(n
7+1)価の基である。R
Cは、水素原子又は炭素数1〜30の1価の炭化水素基である。n
3は、1〜11の整数である。n
4は、0〜11の整数である。但し、n
3+n
4は、11以下の整数である。n
5は、1〜11の整数である。n
6は、0〜11の整数である。但し、n
5+n
6は11以下の整数である。n
7は、1〜9の整数である。n
7が2以上の場合、複数のR
3は同一でも異なっていてもよい。qは、1〜3の整数である。rは、1〜3の整数である。
【0059】
上記R
3で表される炭素数1〜30の2価の炭化水素基としては、例えば炭素数1〜30の直鎖状又は分岐状の2価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜30の2価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜30の2価の芳香族炭化水素基、これらの基を組み合わせた基等が挙げられる。
【0060】
上記炭素数1〜30の直鎖状又は分岐状の2価の鎖状炭化水素基としては、炭素数2〜8の直鎖状又は分岐状のアルキレン基が好ましく、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基等が挙げられる。
【0061】
上記炭素数3〜30の2価の脂環式炭化水素基としては、炭素数5〜12の脂環式炭化水素基が好ましく、例えば、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基等の単環の脂環式炭化水素基;ノルボルナン、アダマンタン等の多環式炭化水素から2つの水素原子を除いた基等が挙げられる。
【0062】
上記炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基としては、炭素数6〜15の芳香族炭化水素基が好ましく、例えば、フェニレン基、トリレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
【0063】
上記R
4で表される炭素数1〜30の(n
7+1)価の炭化水素基としては、例えば炭素数1〜30の直鎖状又は分岐状の(n
7+1)価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜30の2価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜30の(n
7+1)価の芳香族炭化水素基、これらの基を組み合わせた基等が挙げられる。
【0064】
上記炭素数1〜30の(n
7+1)価の鎖状炭化水素基としては、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、エチレン、アセチレンの鎖状炭化水素等から(n
7+1)個の水素原子を除いた基等が挙げられる。
【0065】
上記炭素数3〜30の(n
7+1)価の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素から(n
7+1)個の水素原子を除いた基等が挙げられる。
【0066】
上記炭素数6〜30の(n
7+1)価の芳香族炭化水素基としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ピレン、コロネン等の芳香族炭化水素から(n
7+1)個の水素原子を除いた基等が挙げられる。
【0067】
上記R
3及びR
4の炭化水素基が有する置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基等が挙げられる。上記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
【0068】
上記R
3で表される上記2価の炭化水素基と、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−、−CS−、−S−、−SO−、−SO
2−及び−NR
B−からなる群より選ばれる少なくとも1種とを組み合わせた基としては、例えば下記式(R−1)〜(R−4)で表される構造から2個の水素原子を除いた基等が挙げられる。
【0069】
また、上記R
4で表される上記2価の炭化水素基と、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−、−CS−、−S−、−SO−、−SO
2−及び−NR
C−からなる群より選ばれる少なくとも1種とを組み合わせた基としては、下記式(R−1)〜(R−4)で表される構造から(n
7+1)個の水素原子を除いた基等が挙げられる。
【0071】
上記式(R−1)〜(R−4)中、Ar
40は、炭素数6〜20のn
11価の芳香族炭化水素基である。Ar
41は、それぞれ独立して、炭素数6〜20の(n
12+1)価の芳香族炭化水素基である。Ar
42は、炭素数6〜20の(n
13+2)価の芳香族炭化水素基である。Ar
43は、炭素数6〜20の(n
15+n
16)価の芳香族炭化水素基である。Ar
41及びAr
42がそれぞれ複数の場合、複数のAr
41及びAr
42はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
R
40は、それぞれ独立して、炭素数1〜10の1価の鎖状炭化水素基若しくは炭素数3〜10の1価の脂環式炭化水素基であるか、又はこれらの基と、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−、−CS−、−S−、−SO−、−SO
2−及び−NR
G−からなる群より選ばれる少なくとも1種の基とを組み合わせた基である。R
40が複数の場合、R
40は同一でも異なっていてもよい。R
Gは、水素原子又は炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。
R
41は、それぞれ独立して、単結合、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−、−CS−、−S−、−SO−、−SO
2−、−NR
H−、炭素数1〜10の2価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜10の2価の脂環式炭化水素基であるか、又は、これらの基を組み合わせた2価の基である。R
41が複数の場合、複数のR
41は同一でも異なっていてもよい。R
Hは、水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基である。
R
42及びR
43は、炭素数1〜10の1価の鎖状炭化水素基若しくは炭素数3〜10の1価の脂環式炭化水素基であるか、又はこれらの基が互いに合わせられこれらが結合するYと共に構成される環構造を表す。
n
11は、1〜6の整数である。n
12は、0〜5の整数である。n
13は、0〜4の整数である。n
14は、0〜5の整数である。n
15は、1〜6の整数である。n
16は、0〜5の整数である。Yは、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−、−CS−、−S−、−SO−、−SO
2−又は−NR
I−である。R
Iは、水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基である。
R
40、R
41、Ar
41及びAr
42がそれぞれ複数の場合、複数のR
40、R
41、Ar
41及びAr
42はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0072】
上記式(R−1)〜(R−4)のR
40、R
42及びR
43で表される炭素数1〜10の1価の鎖状炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等が挙げられる。
【0073】
上記式(R−1)〜(R−4)のR
40、R
42及びR
43で表される炭素数1〜10の1価の脂環式炭化水素基としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基等が挙げられる。
【0074】
上記式(R−2)〜(R−3)のR
41で表される炭素数1〜10の2価の鎖状炭化水素基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基等が挙げられる。
【0075】
上記式(R−2)〜(R−3)のR
41で表される炭素数3〜10の2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基等の単環の脂環式炭化水素基;ノルボルナン、アダマンタン等の多環式炭化水素から2つの水素原子を除いた基等が挙げられる。
【0076】
また、上記式(R−1)〜(R−4)におけるR
40〜R
43は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基等が挙げられる。
上記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
【0077】
上記式(b1)のn
3及びn
5としては1〜7の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1〜3の整数がさらに好ましい。
上記式(b1)のn
4及びn
6としては0〜7の整数が好ましく、0〜5の整数がより好ましく、0〜3の整数がさらに好ましい。
上記式(b1)のn
7としては1〜5の整数が好ましく、1〜3の整数がより好ましく、1がさらに好ましい。上記式(b1)のqとしては、1又は2が好ましく、1がより好ましい。上記式(b1)のrとしては、1又は2が好ましく、1がより好ましい。
【0079】
上記式(b2)中、X、R
1及びR
2は、上記式(i)と同義である。n
8は、1〜12の整数である。n
9は、0〜11の整数である。但し、n
8+n
9は12以下の整数である。sは、1〜3の整数である。
【0080】
上記式(b2)のn
8としては1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1〜3の整数がさらに好ましい。
上記式(b2)のn
9としては0〜7の整数が好ましく、0〜5の整数がより好ましく、0〜3の整数がさらに好ましい。sとしては、1又は2が好ましい。
【0081】
架橋剤(B)としては、例えば、下記式(B−1)〜(B−12)で表される化合物等が挙げられる。
【0084】
上記式(B−6)、(B−8)、(B−11)及び(B−12)中、Acは、アセチル基(−COCH
3)である。
【0085】
これらの架橋剤(B)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0086】
架橋剤(B)の配合量は、樹脂(A)100質量部に対し、通常、500質量部以下であり、好ましくは1質量部以上100質量部以下であり、より好ましくは、2質量部以上50質量部以下である。
【0087】
[他の架橋剤]
当該レジスト下層膜形成用樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、上述の架橋剤(B)以外の他の架橋剤が配合されていてもよい。
他の架橋剤としては、例えば、多核フェノール類、種々の市販の硬化剤等が挙げられる。このような他の架橋剤としては、例えば、特開2004−168748号公報における段落[0085]〜[0086]に記載の架橋剤等を用いることができる。
これらの他の架橋剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、多核フェノール類と硬化剤とを併用することもできる。
【0088】
他の架橋剤の配合量としては、樹脂(A)100質量部に対し、通常、500質量部以下、好ましくは100質量部以下である。
【0089】
[溶媒]
当該レジスト下層膜形成用樹脂組成物は、上述の樹脂(A)及び架橋剤(B)を含むものであるが、この組成物は、通常、樹脂(A)を溶解する溶媒(以下、「溶媒(C)」ともいう)を含む液状の組成物である。
溶媒(C)としては、樹脂(A)を溶解しうるものであれば特に限定されないが、例えば、特開2004−168748号公報における段落[0070]〜[0073]に記載のもの等を用いることができる。
【0090】
これらの溶媒(C)の中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、酢酸n−ブチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル;2−ヘプタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;γ−ブチロラクトンが好ましい。
なお、溶媒(C)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0091】
溶媒(C)の使用量は、得られる組成物の固形分濃度が、通常1〜80質量%、好ましくは3〜40質量%、さらに好ましくは5〜30質量%となる範囲である。
【0092】
当該レジスト下層膜形成用樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、酸発生剤(D)、促進剤(E)、その他の添加剤(F)等を配合することができる。これらの中でも、酸発生剤(D)が配合されていることが好ましい。
【0093】
[酸発生剤(D)]
上記酸発生剤(D)は、露光又は加熱により酸を発生する成分である。当該レジスト下層膜形成用樹脂組成物は、この酸発生剤(D)を含有することにより、常温を含む比較的低温で樹脂(A)等の分子鎖間で有効に架橋反応を生起させることが可能となる。
【0094】
露光により酸を発生する酸発生剤(以下、「光酸発生剤」という。)としては、例えば、特開2004−168748号公報における段落[0077]〜[0081]に記載の酸発生剤等が挙げられる。
【0095】
また、加熱により酸を発生する酸発生剤(以下、「熱酸発生剤」という。)としては、上述の光酸発生剤として例示されているオニウム塩系酸発生剤以外にも、例えば、2,4,4,6−テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシレート、2−ニトロベンジルトシレート、アルキルスルホネート類等が挙げられる。
【0096】
これらの酸発生剤の中でも、熱酸発生剤が好ましく、オニウム塩系酸発生剤がより好ましく、ヨードニウム塩系酸発生剤がさらに好ましく、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムピレンスルホネート、ジフェニルヨードニウムn−ドデシルベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウム10−カンファースルホネート、ジフェニルヨードニウムナフタレンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムn−ドデシルベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムナフタレンスルホネートが特に好ましく、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネートがさらに特に好ましい。
【0097】
酸発生剤(D)の配合量としては、樹脂(A)100質量部に対し、通常、5,000質量部以下であり、0.1〜1,000質量部が好ましく、0.1〜100質量部がより好ましい。酸発生剤(D)は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。酸発生剤(D)として、光酸発生剤と熱酸発生剤とを併用してもよい。
【0098】
[促進剤(E)]
上記促進剤(E)としては、酸化架橋に必要な脱水素反応を十分に引き起こすための一電子酸化剤等が挙げられる。一電子酸化剤とは、それ自身が一電子移動を受ける酸化剤を意味する。例えば、硝酸セリウム(IV)アンモニウムの場合では、セリウムイオン(IV)が一電子を得てセリウムイオン(III)へと変化する。又はハロゲン等のラジカル性の酸化剤は、一電子を得てアニオンへと転化する。このように、一電子を被酸化物(基質や触媒等)から奪うことにより、被酸化物を酸化する現象を一電子酸化と称し、この時一電子を受け取る成分を一電子酸化剤とよぶ。
一電子酸化剤の代表的な例として、(a)金属化合物、(b)過酸化物、(c)ジアゾ化合物、(d)ハロゲン又はハロゲン酸等が挙げられる。
【0099】
上記(a)金属化合物としては、例えば、セリウム、鉛、銀、マンガン、オスミウム、ルテニウム、バナジウム、タリウム、銅、鉄、ビスマス、ニッケルを含む金属化合物等が挙げられる。具体的には、(a1)硝酸セリウム(IV)アンモニウム(CAN;ヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウム)、酢酸セリウム(IV)、硝酸セリウム(IV)、硫酸セリウム(IV)等のセリウム塩(例えば、四価のセリウム塩)、(a2)四酢酸鉛、酸化鉛(IV)等の鉛化合物(例えば、四価の鉛化合物)、(a3)酸化銀(I)、酸化銀(II)、炭酸銀(Fetizon試薬)、硝酸銀等の銀化合物、(a4)過マンガン酸塩、活性二酸化マンガン、マンガン(III)塩等のマンガン化合物、(a5)四酸化オスミウム等のオスミウム化合物、(a6)四酸化ルテニウム等のルテニウム化合物、(a7)VOCl
3、VOF
3、V
2O
5、NH
4VO
3、NaVO
3等のバナジウム化合物、(a8)酢酸タリウム(III)、トリフルオロ酢酸タリウム(III)、硝酸タリウム(III)等のタリウム化合物、(a9)酢酸銅(II)、銅(II)トリフルオロメタンスルホネート、銅(II)トリフルオロボレート、塩化銅(II)、酢酸銅(I)等の銅化合物、(a10)塩化鉄(III)、ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム等の鉄化合物、(a11)ビスマス酸ナトリウム等のビスマス化合物、(a12)過酸化ニッケル等のニッケル化合物等が挙げられる。
【0100】
上記(b)過酸化物としては、例えば、過酢酸、m−クロロ過安息香酸等の過酸;過酸化水素や、t−ブチルヒドロペルオキシド等のアルキルヒドロキシペルオキシド等のヒドロキシペルオキシド類;過酸化ジアシル、過酸エステル、過酸ケタール、ペルオキシ二炭酸塩、過酸化ジアルキル、過酸ケトン等が挙げられる。
上記(c)ジアゾ化合物としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。
上記(d)ハロゲン又はハロゲン酸としては、例えば、塩素、臭素、ヨウ素から選ばれるハロゲン、過ハロゲン酸、ハロゲン酸、亜ハロゲン酸、次亜ハロゲン酸及びこれらの塩等が挙げられる。なお、ハロゲン酸におけるハロゲンとしては、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。又はハロゲン酸又はその塩である具体的な化合物としては、例えば、過塩素酸ナトリウム、臭素酸ナトリウム等が挙げられる。
【0101】
これらの一電子酸化剤のなかでも、(b)過酸化物、(c)ジアゾ化合物が好ましく、特に、m−クロロ過安息香酸、t−ブチルヒドロペルオキシド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルが好ましい。これらを用いた場合には、基板上に金属残留物等が付着するおそれが少ないので好ましい。
なお、これらの一電子酸化剤等の促進剤(E)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0102】
促進剤(E)の配合量としては、樹脂(A)100質量部に対し、通常、1,000質量部以下であり、0.01〜500質量部が好ましく、0.1〜100質量部がより好ましい。
【0103】
[その他の添加剤(F)]
上記その他の添加剤(F)としては、バインダー樹脂、放射線吸収剤、界面活性剤等が挙げられる。これらのその他の添加剤(F)は、それぞれ1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらのその他の添加剤(F)としては、例えば、特開2004−168748号公報における段落[0088]〜[0093]に記載のもの等を用いることができる。
【0104】
上記バインダー樹脂としては、種々の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂(上述の樹脂(A)を除く)を使用することができる。熱可塑性樹脂は、添加した熱可塑性樹脂の流動性や機械的特性等を下層膜に付与する作用を有する成分である。また、熱硬化性樹脂は、加熱により硬化して溶媒に不溶となり、得られるレジスト下層膜と、その上に形成されるレジスト膜との間のインターミキシングを防止する作用を有する成分であり、バインダー樹脂として好ましく使用することができる。これらの中でも、尿素樹脂類、メラミン樹脂類、芳香族炭化水素樹脂類等の熱硬化性樹脂が好ましい。
【0105】
バインダー樹脂の配合量としては、樹脂(A)100質量部に対し、通常20質量部以下であり、10質量部以下が好ましい。
【0106】
上記放射線吸収剤の配合量としては、樹脂(A)100質量部に対し、通常100質量部以下であり、50質量部以下が好ましい。
【0107】
上記界面活性剤は、塗布性、ストリエーション、ぬれ性、現像性等を改良する作用を有する成分である。
【0108】
界面活性剤の配合量としては、樹脂(A)100質量部に対し、通常、15質量部以下であり、10質量部以下が好ましい。
【0109】
また、当該レジスト下層膜形成用樹脂組成物には、上述のその他の添加剤(F)以外にも、例えば、保存安定剤、消泡剤、接着助剤等を配合することができる。
【0110】
[2]レジスト下層膜
本発明のレジスト下層膜は、当該レジスト下層膜形成用樹脂組成物によって形成されるものである。なお、レジスト下層膜形成用樹脂組成物については、上述の本発明のレジスト下層膜形成用樹脂組成物の説明をそのまま適用することができる。
このレジスト下層膜は、基板上にレジスト下層膜を形成し、レジスト下層膜上にレジストパターンを形成後、レジストパターンを一旦、レジスト下層膜に転写して下層膜パターンを形成した後、この下層膜パターンをエッチングマスクとして用いて基板に転写する多層レジストプロセスに好適に用いることができる。
【0111】
上記レジスト下層膜の水素含量は0〜50atom%が好ましく、0〜35atom%がより好ましい。なお、レジスト下層膜における水素含量の測定方法は、後述する実施例と同様である。
このようなレジスト下層膜を形成する方法は特に限定されないが、例えば、後述の本発明のレジスト下層膜の形成方法等が挙げられる。
【0112】
[3]レジスト下層膜の形成方法
本発明のレジスト下層膜の形成方法は、当該レジスト下層膜形成用樹脂組成物を用い、塗膜を形成する工程と、上記塗膜を加熱する工程とを有する。なお、レジスト下層膜形成用樹脂組成物については、上述の当該レジスト下層膜形成用樹脂組成物の説明をそのまま適用することができる。
【0113】
上記レジスト下層膜は、通常、基板の上面側に形成される。上記基板としては、例えば、シリコンウェハ、アルミニウムで被覆したウェハー等を使用することができる。
また、基板へのレジスト下層膜形成用樹脂組成物の塗布方法は特に限定されず、例えば、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の適宜の方法で実施することができる。
【0114】
また、上記塗膜の加熱は、通常、大気下で行われる。
この際の加熱温度は、通常、300℃〜500℃であり、好ましくは350℃〜450℃である。この加熱温度が300℃未満である場合、酸化架橋が十分に進行せず、下層膜として必要な特性が発現しないおそれがある。
この際の加熱時間は30〜1,200秒であり、好ましくは60〜600秒である。
【0115】
さらに、塗膜硬化時の酸素濃度は5容量%以上であることが望ましい。塗膜形成時の酸素濃度が低い場合、レジスト下層膜の酸化架橋が十分に進行せず、レジスト下層膜として必要な特性が発現できないおそれがある。
【0116】
また、塗膜を300℃〜500℃の温度で加熱する前に、60℃〜250℃の温度で予備加熱しておいてもよい。
予備加熱における加熱時間は特に限定されないが、10秒〜300秒であることが好ましく、30秒〜180秒がより好ましい。
この予備加熱を行うことにより、溶媒を予め気化させて、膜を緻密にしておくことで、脱水素反応を効率良く進めることができる。
【0117】
また、当該レジスト下層膜の形成方法においては、通常、上記塗膜の加熱により塗膜が硬化され、レジスト下層膜が形成されるが、レジスト下層膜形成用組成物に所定の光硬化剤(架橋剤)を含有させることにより、加熱された塗膜に対する露光工程を設けて、光硬化させ、レジスト下層膜を形成することもできる。この際に露光される放射線は、レジスト下層膜形成用樹脂組成物に配合されている酸発生剤の種類に応じて、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、電子線、γ線、分子線、イオンビーム等から適切に選択される。
【0118】
[4]パターン形成方法
本発明のパターン形成方法は、
当該レジスト下層膜形成用樹脂組成物を用い、基板の上面側にレジスト下層膜を形成する工程(以下、「工程(1)」ともいう)と、
レジスト組成物を用い、上記レジスト下層膜の上面側にレジスト膜を形成する工程(以下、「工程(2)」ともいう)と、
上記レジスト膜を露光する工程(以下、「工程(3)」ともいう)と、
上記露光されたレジスト膜の現像により、レジストパターンを形成する工程(以下、「工程(4)」ともいう)と、
上記レジストパターンをマスクとし、上記レジスト下層膜及び上記基板を順次ドライエッチングする工程(以下、「工程(5)」ともいう)と
を有する。
【0119】
[工程(1)]
上記工程(1)では、基板の上面側にレジスト下層膜が形成される。なお、このレジスト下層膜の形成方法については、上述の説明をそのまま適用することができる。
この工程(1)で形成されるレジスト下層膜の膜厚は、通常、0.1μm〜5μmである。
【0120】
また、このパターン形成方法においては、上記工程(1)の後に、必要に応じて、レジスト下層膜上に中間層(中間膜)を形成する工程(1’)をさらに備えていてもよい。
この中間層は、レジストパターン形成において、レジスト下層膜及び/又はレジスト膜が有する機能をさらに補ったり、これらが有していない機能を得るために、これらの機能が付与された層のことである。例えば、反射防止膜を中間層として形成した場合、レジスト下層膜の反射防止機能をさらに補うことができる。
【0121】
この中間層は、有機化合物や無機酸化物により形成することができる。有機化合物としては、例えば、Brewer Science製の「DUV−42」、「DUV−44」、「ARC−28」、「ARC−29」等の商品名で市販されている材料や、ローム アンド ハース製の「AR−3」、「AR―19」等の商品名で市販されている材料等を用いることができる。また、無機酸化物としては、例えば、JSR製の「NFC SOG01」、「NFC SOG04」、「NFC SOG080」等の商品名で市販されている材料やCVD法により形成されるポリシロキサン、酸化チタン、酸化アルミナ、酸化タングステン等を用いることができる。
【0122】
中間層を形成するための方法は特に限定されないが、例えば、塗布法やCVD法等を用いることができる。これらのなかでも、塗布法が好ましい。塗布法を用いた場合、レジスト下層膜を形成後、中間層を連続して形成することができる。
また、中間層の膜厚は特に限定されず、中間層に求められる機能に応じて適宜選択されるが、10nm〜3,000nmが好ましく、20nm〜300nmがより好ましい。
【0123】
[工程(2)]
上記工程(2)では、レジスト組成物を用いて、レジスト下層膜の上面側にレジスト膜が形成される。具体的には、得られるレジスト膜が所定の膜厚となるようにレジスト組成物を塗布した後、プレベークすることによって塗膜中の溶媒を揮発させる等により、レジスト膜が形成される。
レジスト組成物としては、例えば、光酸発生剤を含有するポジ型又はネガ型の化学増幅型レジスト組成物、アルカリ可溶性樹脂とキノンジアジド系感光剤とからなるポジ型レジスト組成物、アルカリ可溶性樹脂と架橋剤とからなるネガ型レジスト組成物等が挙げられる。
レジスト膜をレジスト下層膜上に形成させる際に使用されるレジスト組成物は、固形分濃度が、通常、5〜50質量%程度であり、一般に、例えば、孔径0.2μm程度のフィルターでろ過して、レジスト膜の形成に供される。なお、この工程では、市販のレジスト組成物をそのまま使用することもできる。
【0124】
レジスト組成物の塗布方法は特に限定されず、例えば、スピンコート法等により実施することができる。
また、プレベークの温度は、使用されるレジスト組成物の種類等に応じて適宜調整されるが、通常、30℃〜200℃程度、好ましくは50℃〜150℃である。
【0125】
[工程(3)]
上記工程(3)では、得られたレジスト膜の所定領域に放射線が照射され、選択的に露光が行われる。
露光に用いられる放射線としては、レジスト組成物に使用される光酸発生剤の種類に応じて、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、電子線、γ線、分子線、イオンビーム等から適切に選択されるが、遠紫外線が好ましく、特にKrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、F
2エキシマレーザー(波長157nm)、Kr
2エキシマレーザー(波長147nm)、ArKrエキシマレーザー(波長134nm)、極紫外線(波長13nm等)が好ましい。
【0126】
[工程(4)]
上記工程(4)では、露光後のレジスト膜を現像液で現像することで、レジストパターンが形成される。
この工程で用いられる現像液は、使用されるレジスト組成物の種類に応じて適宜選択される。具体的には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性水溶液が挙げられる。
また、これらのアルカリ性水溶液には、水溶性有機溶剤、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類や、界面活性剤を適量添加することもできる。
【0127】
また、上記現像液での現像後、洗浄し、乾燥することによって、所定のレジストパターンが形成される。
なお、この工程では、解像度、パターンプロファイル、現像性等を向上させるため、現像前の上記露光後に、ポストベークを行うことができる。このポストベークの温度は、使用されるレジスト組成物の種類等に応じて適宜調整されるが、通常、50℃〜200℃程度、好ましくは70℃〜150℃である。
なお、本発明におけるレジストパターンを形成する方法は、ナノインプリント法等の現像工程を経ないものであってもよい。
【0128】
[工程(5)]
上記工程(5)では、得られたレジストパターンをマスクとし、例えば、酸素プラズマ等のガスプラズマを用いて、レジスト下層膜及び基板のドライエッチングを順次行うことにより、所定の基板パターンが得られる。
【0129】
本発明のレジスト下層膜形成用樹脂組成物を用いたパターン形成方法としては、上述のパターン形成方法以外にも、ナノインプリント法等を用いたレジストパターンの形成方法を含むパターン形成方法を挙げることができる。
【実施例】
【0130】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。ここで、「部」及び「%」は、特記しない限り質量基準である。
【0131】
なお、本実施例における重量平均分子量(Mw)の測定は、東ソー製GPCカラム(G2000HXL:2本、G3000HXL:1本)を用い、流量:1.0mL/分、溶出溶媒:テトラヒドロフラン、カラム温度:40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフ(検出器:示差屈折計)により測定した。
【0132】
[1]樹脂の合成
<合成例1>
コンデンサー、温度計、攪拌装置を備えた反応装置に2,7−ジヒドロキシナフタレン100部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100部、及びパラホルムアルデヒド50部を仕込み、蓚酸2部を添加し、脱水しながら120℃に昇温して、5時間反応させた後、下記式(A−1)で表される構造単位を有する樹脂(A−1)を得た。
得られた樹脂(A−1)の重量平均分子量(Mw)は2,000であった。
【0133】
【化11】
【0134】
<合成例2>
コンデンサー、温度計、攪拌装置を備えた反応装置にフルオレンビスフェノール100部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100部、及びパラホルムアルデヒド50部を仕込み、蓚酸2部を添加し、脱水しながら120℃に昇温して、5時間反応させた後、下記式(A−2)で表される構造単位を有する樹脂(A−2)を得た。
得られた樹脂(A−2)の重量平均分子量(Mw)は4,000であった。
【0135】
【化12】
【0136】
<合成例3>
温度計を備えたセパラブルフラスコに、窒素下で、アセナフチレン100部、トルエン78部、ジオキサン52部、及びアゾビスイソブチロニトリル3部を仕込み、70℃で5時間攪拌した。ここで得られた分子量10,000の樹脂に、p−トルエンスルホン酸1水和物5.2部、パラホルムアルデヒド40部を添加して、120℃に昇温し、更に6時間攪拌した。その後、反応溶液を多量のイソプロパノール中に投入し、沈殿した樹脂をろ過して、下記式(A−2)で表される構造単位からなる樹脂(A−3)を得た。
得られた樹脂(A−3)の重量平均分子量(Mw)は20,000であった。
【0137】
【化13】
【0138】
[2]レジスト下層膜形成用樹脂組成物の調製
<実施例1>
表1に示すように、上述の樹脂(A−1)10部、架橋剤(下記化合物(B−1))1部、及び熱酸発生剤(ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート(D−1))0.5部を、溶媒(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(C−1))90部に溶解した。この溶液を孔径0.1μmのメンブランフィルターでろ過して、実施例1のレジスト下層膜形成用樹脂組成物を調製した。
【0139】
<実施例2〜12>
表1に示す種類及び配合量の各成分を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜12の各レジスト下層膜形成用樹脂組成物を調製した。
【0140】
なお、表1における実施例1〜12で用いられている樹脂(A−1)〜(A−3)は、上述の合成例1〜3で得られた樹脂である。また、表1における架橋剤(B−1)〜(B−12)は以下の通りである。
【0141】
【化14】
【0142】
【化15】
【0143】
なお、架橋剤(B−1)〜(B−12)はそれぞれ以下の文献を参考に合成した。
(B−1):Guo, Qun−Sheng; Lu, Yong−Na; Liu, Bing; Xiao, Jian; Li, Jin−Shan Journal of Organometallic Chemistry, 2006, vol. 691, #6 p.1282−1287
(B−2):Badar,Y. et al. Journal of the Chemical Society, 1965, p.1412−1418
(B−3):Hsieh, Jen−Chieh; Cheng, Chien−Hong Chemical Communications (Cambridge, United Kingdom), 2008, #26 p.2992−2994
(B−4):特開平5−238990号公報
(B−5):Bacon,R.G.R.; Bankhead,R. Journal of the Chemical Society, 1963, p.839−845
(B−6),(B−8),(B−11),(B−12)
:Macromolecules 2010, vol43, p2832−2839
(B−9),(B−10)
:Polymer Journal 2008, vol.40, No.7, p645−650
:Journal of Polymer Science: Part A, Polymer Chemistry, Vol 46, p4949−4958
【0144】
<比較例1>
表1に示すように、上述の樹脂(A−1)10部、架橋剤(下記化合物(b−1))1部、及び熱酸発生剤(ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート(D−1))0.5部を、溶媒(プロピレングリコールモノメチルアセテート(C−1))90部に溶解した。この溶液を孔径0.1μmのメンブランフィルターでろ過して、比較例1のレジスト下層膜形成用樹脂組成物を調製した。
【0145】
<比較例2〜4>
表1に示す種類及び配合量の各成分を用いたこと以外は、比較例1と同様にして、比較例2〜4の各レジスト下層膜形成用樹脂組成物を調製した。
【0146】
【化16】
【0147】
【表1】
【0148】
[3]レジスト下層膜形成用樹脂組成物の評価
実施例1〜12及び比較例1〜4の各レジスト下層膜形成用樹脂組成物について、下記の評価を行った。その結果を表2に示す。
【0149】
<レジスト形状>
直径12インチのシリコンウェハ上にCVD法にてシリコン酸化膜を0.3μm堆積した。次に、各レジスト下層膜形成用組成物をスピンコートし、酸素濃度20容量%のホットプレート内にて180℃で60秒間加熱し、引き続き、350℃で120秒間加熱して膜厚0.25μmのレジスト下層膜を形成した。次に、このレジスト下層膜上に3層レジストプロセス用中間層組成物溶液(NFC SOG508、JSR製)をスピンコートした後、200℃で60秒間加熱し、引き続き300℃で60秒間加熱して膜厚0.04μmの中間層を形成した。次に、この中間層上にレジスト組成物をスピンコートし、100℃で60秒間プレベークして膜厚0.1μmのレジスト膜を形成した。なお、レジスト組成物は、市販品(ARX3038JN、JSR製)を用いた。
【0150】
次に、ArF液浸露光装置(レンズ開口数1.30、露光波長193nm、NIKON製)を用い、マスクを介して最適露光時間露光した。次に、100℃で60秒間ポストベークした後、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いてレジスト膜を現像した。その後、水洗し、乾燥し、ポジ型レジストパターンを形成した。
【0151】
そして、ポジ型レジストパターンが形成されたレジスト膜を、走査型電子顕微鏡により観察して以下の基準で評価した(表2中、「レジスト形状」と記す)。観察されるパターン形状が矩形の場合は「A」(良好)と、矩形以外の形状(例えばT−top、スカム等)の場合は「B」(不良)と評価した。
【0152】
<曲がり耐性>
直径12インチのシリコンウェハ上にCVD法にてシリコン酸化膜を0.3μm堆積した。次に、各レジスト下層膜形成用組成物をスピンコートし、酸素濃度20容量%のホットプレート内にて180℃で60秒間加熱し、引き続き、350℃で120秒間加熱して膜厚0.25μmのレジスト下層膜を形成した。次に、このレジスト下層膜上に3層レジストプロセス用中間層組成物溶液(NFC SOG508、JSR製)をスピンコートした後、200℃で60秒間加熱し、引き続き300℃で60秒間加熱して膜厚0.04μmの中間層を形成した。次に、この中間層上に上記レジスト組成物をスピンコートし、100℃で60秒間プレベークして膜厚0.1μmのレジスト膜を形成した。
【0153】
次に、ArF液浸露光装置(レンズ開口数1.30、露光波長193nm、NIKON製)を用い、マスクを介して最適露光時間露光した。次に、100℃で60秒間ポストベークした後、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いてレジスト膜を現像した。その後、水洗し、乾燥し、ポジ型レジストパターンを形成した。次に、このパターンが形成されたレジスト膜をマスクとし、リアクティブ・イオン・エッチング方式のエッチング装置(Telius SCCM、東京エレクトロン製)を用いて中間層を四フッ化炭素ガスによりドライエッチング処理し、レジスト膜開口部の下に位置する中間層が無くなったところでエッチング処理を停止して中間層にレジストパターンを転写した。
【0154】
次に、上記レジストパターンを転写した中間層をマスクとして用い、上記エッチング装置を用いて酸素と窒素の混合ガスにてドライエッチング処理し、中間層開口部の下に位置するレジスト下層膜が無くなったところでエッチング処理を停止してレジスト下層膜に中間層のパターンを転写した。次に、中間層のパターンが転写されたレジスト下層膜をマスクとして用い、上記エッチング装置を用いて四フッ化炭素とアルゴンの混合ガスにてドライエッチング処理し、レジスト下層膜開口部の下に位置するシリコン酸化膜を0.1μmだけ除去したところでエッチング処理を停止した。
【0155】
そして、基板上に残ったレジスト下層膜パターンのうち、直線状パターンが等間隔で並ぶライン・アンド・スペース・パターンの形状をSEM(走査型電子顕微鏡)により観察した。このライン・アンド・スペース・パターンは繰り返し間隔が84nm固定で直線状パターンが等間隔に100本並んでおり、これを1組と見なす。同一基板上にはパターン幅が異なる21組のパターン群があり、それぞれパターン幅は50nmから30nmまで1nm刻みとなっている。ここで言うパターン幅とは、レジスト下層膜で形成されている等間隔に配置された直線パターンの1本あたりの幅である。基板上の同一設計パターンのうち、任意の5箇所を上記SEMにより各パターン幅のパターンを観察し、この観察結果を曲がり耐性とした。このとき、レジスト下層膜のパターンが全て垂直に立っていれば曲がり耐性は「A」(良好)と、一カ所曲がっていれば「B」(やや良好)と、二カ所以上曲がっていれば「C」(不良)と評価した。
【0156】
<エッチング耐性>
直径8インチのシリコンウェハ上に、実施例及び比較例の各レジスト下層膜形成用樹脂組成物をスピンコートした後、酸素濃度20容量%のホットプレート内にて180℃で60秒間加熱し、引き続き、350℃で120秒間加熱して、膜厚0.25μmのレジスト下層膜を形成し、このレジスト下層膜をエッチング装置「EXAM」(神鋼精機製)を用いて、CF
4/Ar/O
2(CF
4:40mL/min、Ar:20mL/min、O
2:5mL/min;圧力:20Pa;RFパワー:200W;処理時間:40秒;温度:15℃)でエッチング処理した。
そして、エッチング処理前後の膜厚を測定して、エッチングレートを算出し、下記の基準でエッチング耐性を評価した。
「A」:エッチングレートが120nm/min以下の場合
「B」:エッチングレートが120nm/minを超える場合
【0157】
<元素組成>
直径8インチのシリコンウェハ上に、実施例及び比較例の各レジスト下層膜形成用樹脂組成物をスピンコートした後、酸素濃度20容量%のホットプレート内にて180℃で60秒間加熱し、引き続き、350℃で120秒間加熱して、膜厚0.25μmのレジスト下層膜を形成し、このレジスト下層膜について、炭素・水素・窒素同時定量装置「JM10」(ジェイ・サイエンス・ラボ製)を用いて、各元素の質量換算値を算出した。
そして、膜中に含まれる各元素の原子数を、[各元素の質量換算値(質量%)/各元素の原子量(g/mol)]により算出し、次いで、[膜中の水素原子数/膜中の全原子数]により、脱水素反応後の水素含量(atom%)を求めた。
なお、脱水素反応前の水素含量は、直径8インチのシリコンウェハ上に、実施例及び比較例の各レジスト下層膜形成用樹脂組成物をスピンコートした後、酸素濃度20容量%のホットプレート内にて200℃で60秒間加熱して形成したレジスト下層膜を使用して測定した。
【0158】
【表2】
【0159】
表2に示されるように、実施例1〜12の各レジスト下層膜形成用樹脂組成物によれば、上層に形成されるレジストのパターン形状が良好であり、パターン転写性能及びエッチング耐性が良好で、かつ微細パターン転写時においても曲がりが抑制されたレジスト下層膜を形成することができることが確認できた。