特許第6160093号(P6160093)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6160093
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】セラミック電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20170703BHJP
   H01G 4/232 20060101ALI20170703BHJP
   H01G 4/228 20060101ALI20170703BHJP
【FI】
   H01G4/30 301B
   H01G4/12 352
   H01G1/14 W
【請求項の数】5
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-13054(P2013-13054)
(22)【出願日】2013年1月28日
(65)【公開番号】特開2014-146642(P2014-146642A)
(43)【公開日】2014年8月14日
【審査請求日】2015年9月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】増田 淳
(72)【発明者】
【氏名】小林 一三
(72)【発明者】
【氏名】吉井 彰敏
(72)【発明者】
【氏名】長谷部 和幸
(72)【発明者】
【氏名】小松 崇
(72)【発明者】
【氏名】草野 香葉
【審査官】 田中 晃洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−130954(JP,A)
【文献】 米国特許第07331799(US,B1)
【文献】 実開平07−045100(JP,U)
【文献】 特開平11−040454(JP,A)
【文献】 特開2001−297942(JP,A)
【文献】 特開2002−231565(JP,A)
【文献】 特開2003−257784(JP,A)
【文献】 特開平11−102837(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/30
H01G 4/228
H01G 4/232
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端面から側面の一部に回り込むように形成される第1端子電極と、前記第1端面とは反対方向を向く第2端面から前記側面の他の一部に回り込むように形成される第2端子電極と、を有し、略直方体形状であるチップ部品と、
前記第1端面に対向する第1平板部と、前記第1平板部に接続しており、前記第1端子電極のうち前記チップ部品の前記側面に位置する部分である第1回り込み部に係合する第1係合突起が形成されており、前記第1回り込み部を挟み込んで把持する少なくとも一対の第1嵌合アーム部と、前記第1平板部に接続しており、前記チップ部品から所定の空間を挟んで、いずれかの前記側面に略平行に延在する第1実装部と、を有する第1金属端子部と、
前記第1平板部と前記第1端面とを接続する第1接着剤接合部と、
前記第2端面に対向する第2平板部と、前記第2平板部に接続しており、前記第2端子電極のうち前記チップ部品の前記側面に位置する部分である第2回り込み部に係合する第2係合突起が形成されており、前記第2回り込み部を挟み込んで把持する少なくとも一対の第2嵌合アーム部と、前記第2平板部に接続しており、前記チップ部品から所定の空間を挟んで、いずれかの前記側面に略平行に延在する第2実装部と、を有する第2金属端子部と、
前記第2平板部と前記第2端面とを接続する第2接着剤接合部と、を有し、
前記第1接着剤接合部および前記第2接着剤接合部を構成する接着剤は、非導電性接着剤からなることを特徴とするセラミック電子部品。
【請求項2】
前記第1平板部における前記第1接着剤接合部との接続部分及び前記第2平板部における前記第2接着剤接合部との接続部分には、前記第1接着剤接合部および前記第2接着剤接合部を構成する接着剤に対する接合性が、前記第1嵌合アーム部及び前記第2嵌合アーム部に備えられる金属メッキ層より高い領域が形成されていることを特徴とする請求項1記載のセラミック電子部品。
【請求項3】
前記第1嵌合アーム部は、前記チップ部品の前記側面のうち、前記第1実装部に対して略垂直に配置される側面に対向しており、
前記第2嵌合アーム部は、前記チップ部品の前記側面のうち、前記第2実装部に対して略垂直に配置される側面に対向していることを特徴とする請求項1または2に記載のセラミック電子部品。
【請求項4】
前記第1嵌合アーム部は、前記チップ部品の前記側面のうち、前記第1実装部に対して略平行に配置される側面に対向しており、
前記第2嵌合アーム部は、前記チップ部品の前記側面のうち、前記第2実装部に対して略平行に配置される側面に対向していることを特徴とする請求項1から請求項までのいずれかに記載のセラミック電子部品。
【請求項5】
前記第1平板部に接続しており、前記第1嵌合アーム部に対して略垂直に配置され、前記チップ部品の前記側面に接触する第1係止部と、
前記第2平板部に接続しており、前記第2嵌合アーム部に対して略垂直に配置され、前記チップ部品の前記側面に接触する第2係止部と、を有することを特徴とする請求項1から請求項までのいずれかに記載のセラミック電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップ部品とこれに取り付けられる金属端子を有するセラミック電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミックコンデンサ等のセラミック電子部品としては、単体で直接基板等に面実装等する通常のチップ部品の他に、チップ部品に金属端子が取り付けられたものが提案されている。金属端子が取り付けられているセラミック電子部品は、実装後において、チップ部品が基板から受ける変形応力を緩和したり、チップ部品を衝撃等から保護する効果を有することが報告されており、耐久性及び信頼性等が要求される分野において使用されている。
【0003】
金属端子を用いた従来のセラミック電子部品では、チップ部品の端子電極と金属端子とは、はんだ、導電性接着材、導電ペースト等を介して接合されている(特許文献1,2等参照)。はんだ等を介して端子電極と金属端子を接合することにより、チップ部品と端子電極の間の電気的な接続を確保しつつ、チップ部品に金属端子を取り付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−306764号公報
【特許文献1】特開2000−235932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、はんだ等によって金属端子とチップ部品を接合する従来のセラミック電子部品では、実装工程において金属端子とチップ部品の接合が解除されることを防止するために、金属端子とチップ部品との接合に高温はんだを使用する必要があり、環境負荷のある材質を抑制するという観点からは、課題を有している。また、金属端子を有する従来のセラミック電子部品では、製造時にはんだ接合工程が必要であるため製造に手間がかかり、また、コスト面でも課題を有している。
【0006】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、信頼性が高く、製造が容易な金属端子とチップ部品の取り付け構造を有するセラミック電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るセラミック電子部品は、
第1端面から側面の一部に回り込むように形成される第1端子電極と、前記第1端面とは反対方向を向く第2端面から前記側面の他の一部に回り込むように形成される第2端子電極と、を有し、略直方体形状であるチップ部品と、
前記第1端面に対向する第1平板部と、前記第1平板部に接続しており、前記第1端子電極のうち前記チップ部品の前記側面に位置する部分である第1回り込み部に係合する第1係合突起が形成されており、前記第1回り込み部を挟み込んで把持する少なくとも一対の第1嵌合アーム部と、前記第1平板部に接続しており、前記チップ部品から所定の空間を挟んで、いずれかの前記側面に略平行に延在する第1実装部と、を有する第1金属端子部と、
前記第1平板部と前記第1端面とを接続する第1接着剤接合部と、
前記第2端面に対向する第2平板部と、前記第2平板部に接続しており、前記第2端子電極のうち前記チップ部品の前記側面に位置する部分である第2回り込み部に係合する第2係合突起が形成されており、前記第2回り込み部を挟み込んで把持する少なくとも一対の第2嵌合アーム部と、前記第2平板部に接続しており、前記チップ部品から所定の空間を挟んで、いずれかの前記側面に略平行に延在する第2実装部と、を有する第2金属端子部と、
前記第2平板部と前記第2端面とを接続する第2接着剤接合部と、を有する。
【0008】
本発明に係るセラミック電子部品では、第1金属端子部及び第2金属端子部が、それぞれ嵌合アーム部を有し、嵌合アーム部が、チップ部品における端子電極の回り込み部を挟み込んで把持することによって、第1金属端子部及び第2金属端子部とチップ部品が組み立てられている。また、嵌合アーム部には、端子電極の回り込み部に係合する係合突起が形成されており、このような係合突起を有する嵌合アーム部により、第1及び第2金属端子部とチップ部品とは、互いに抜け落ちないように固定される。
【0009】
このように、本発明に係るセラミック電子部品は、嵌合アーム部がチップ部品の端子電極を挟み込んで把持することによって、第1及び第2金属端子部とチップ部品とが固定され、これと同時にチップ部品と金属端子との導通が確保されるため、はんだや接着材を使って金属端子部とチップ部品を接合する従来技術に比べて、製造が容易である。また、本発明に係るセラミック電子部品は、嵌合アーム部がチップ部品の端子電極を把持することによって金属端子部とチップ部品とが固定されているため、当該セラミック電子部品を実装する際に接合部分に伝わる熱により、金属端子部とチップ部品の固定が外れてしまうおそれがない。さらに、従来技術とは異なり、金属端子部とチップ部品の接合に高温はんだ等を使用する必要がないため、環境負荷のある材質の使用を抑制することができる。
【0010】
さらに、第1接着剤接合部及び第2接着剤接合部が、チップ部品の端面と金属端子部の平板部とを接続することにより、チップ部品と金属端子部との固着強度を高めることができる。この場合、係合突起を有する嵌合アーム部により、チップ部品と金属端子部との導通は確保されるため、第1及び第2接着剤接合部を構成する接着剤としては、チップ部品と金属端子部との固着強度を高めることが可能な任意の接着剤を選択できる。本発明に係るセラミック電子部品は、係合突起を有する嵌合アーム部によりチップ部品を把持して金属端子部との導通を確保すると伴に、第1及び第2接着剤接合部が、チップ部品と金属端子部との接続を補強する構造となるため、外部からの変形力や衝撃に対して好適な信頼性を有する。また、本発明に係るセラミック電子部品は、はんだによって機械的な接合力を確保する従来技術とは異なり、はんだ等の接続材料の線膨張係数と金属端子部の線膨張係数との違いからチップ部品の連結が解除されてしまう問題を低減することが可能であり、温度環境の変化に対する信頼性が高い。また、金属端子部や接着剤接合部の材質を比較的自由に選択することが可能であり、コスト面や性能面でも有利である。
【0011】
また、例えば、前記第1接着剤接合部および前記第2接着剤接合部を構成する接着剤は、非導電性接着剤であっても良い。
【0012】
第1及び第2接着剤接合部を構成する接着剤は特に限定されないが、非導電性接着剤とすることにより、チップ部品と金属端子部との固着強度を高めることができる。樹脂等によって構成される非導電性接着剤を使用することにより、金属フィラー等の導電性成分を含む導電性接着剤に比べて、高い接着性を得ることができるからである。なお、非導電性接着剤としては、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂を用いることが可能である。
【0013】
また、例えば、前記第1嵌合アーム部の前記第1係合突起及び前記第2嵌合アーム部の前記第2係合突起は、最表面を被覆する金属メッキ層を備えても良い。
【0014】
端子電極に係合する係合突起が金属メッキ層を有することにより、チップ部品の端子電極と金属端子との電気的接合性が向上する。
【0015】
また、例えば、前記第1平板部における前記第1接着剤接合部との接続部分及び前記第2平板部における前記第2接着剤接合部との接続部分には、前記第1接着剤接合部および前記第2接着剤接合部を構成する接着剤に対する接合性が、前記第1嵌合アーム部及び前記第2嵌合アーム部に備えられる金属メッキ層より高い領域が形成されていても良い。
【0016】
平板部と接着剤接合部との接続部分に、接着剤に対する接合性が金属メッキ層より高い領域を形成することにより、チップ部品と金属端子部との固着強度を高めることができる。
【0017】
また、例えば、前記第1嵌合アーム部は、前記チップ部品の前記側面のうち、前記第1実装部に対して略垂直に配置される側面に対向しても良く、
前記第2嵌合アーム部は、前記チップ部品の前記側面のうち、前記第2実装部に対して略垂直に配置される側面に対向しても良い。
【0018】
嵌合アーム部が、チップ部品における垂直方向の側面を把持する構造とすることにより、例えば積み重ねられたチップ部品を複数把持する場合であっても、各チップ部品を一つずつ把持することができるため、安定した支持構造を実現することができる。また、チップ部品の積層方向が、第1及び第2実装部に対して垂直となる姿勢でチップ部品を把持する場合は、アーム部が、チップ部品における比較的寸法バラツキの少ない方向を挟むことになり、チップ部品と金属端子の結合力に固体ばらつきが生じることを抑制できる。
【0019】
また、例えば、前記第1嵌合アーム部は、前記チップ部品の前記側面のうち、前記第1実装部に対して略平行に配置される側面に対向しても良く、
前記第2嵌合アーム部は、前記チップ部品の前記側面のうち、前記第2実装部に対して略平行に配置される側面に対向しても良い。
【0020】
嵌合アーム部が、チップ部品の水平方向の側面を把持する構造とすることにより、チップ部品の重量を、より安定的に支持することが可能である。また、チップ部品の積層方向が、第1及び第2実装部に対して平行となる姿勢でチップ部品を把持する場合は、アーム部が、チップ部品における比較的寸法バラツキの少ない方向を挟むことになり、チップ部品と金属端子の結合力に固体ばらつきが生じることを抑制できる。
【0021】
また、例えば、前記第1係合突起は、前記第1係合突起の突起端部から、第1平板部へ向かって、突起の高さ若しくは突起の幅が大きくなっても良く、
前記第2係合突起は、前記第2係合突起の突起端部から、第2平板部へ向かって、突起の高さ若しくは突起の幅が大きくなっても良い。
【0022】
第1係合突起及び第2係合突起が、各平板部へ向かって大きくなる形状とすることにより、嵌合アームがチップ部品から抜け落ちることを防止することができ、このようなセラミック電子部品は、高い耐衝撃性を奏する。
【0023】
また、例えば、前記チップ部品の前記第1端子電極及び前記第2端子電極は、表面を被覆する金属メッキ層を備えても良い。
【0024】
端子電極が金属メッキ層で被覆されていることにより、このようなセラミック電子部品は、チップ部品の部分の耐湿性等が向上する。
【0025】
また、前記第1係合突起と前記第1回り込み部、及び、前記第2係合突起と前記第2回り込み部は、前記金属メッキ層を介して溶着されていても良い。
【0026】
係合突起と端子電極の回り込み部とを溶着することにより、端子電極と金属端子との電気的接合性が向上するとともに、チップ部品と金属端子との物理的な結合を補強することができる。
【0027】
また、例えば、前記第1金属端子部及び前記第2金属端子部の材質は、りん青銅が主成分であっても良い。
【0028】
金属端子部の材質をりん青銅とすることにより、金属端子部の比抵抗を低減することができ、コンデンサ全体の等価直列抵抗(ESR)を低減できる。
【0029】
また例えば、前記第1実装部及び前記第2実装部における前記チップ部品側の表面は、前記第1実装部及び前記第2実装部における前記チップ部品と反対側の表面より、はんだに対する濡れ性が低くても良い。
【0030】
実装部におけるチップ部品側の表面について、はんだに対する濡れ性を低くする処理を行うことにより、実装時のはんだが、チップ部品側へ回り込む現象を防止し、チップ部品と実装部との空間が狭くなることを防止できる。これにより、金属端子の弾性変形がはんだ等により過度に抑制されることを防止し、チップ部品の振動が実装基板等に伝搬して音鳴きが発生する問題を、効果的に抑制することができる。
【0031】
また、例えば、本発明に係るセラミック電子部品は、前記第1平板部に接続しており、前記第1嵌合アーム部に対して略垂直に配置され、前記チップ部品の前記側面に接触する第1係止部と、
前記第2平板部に接続しており、前記第2嵌合アーム部に対して略垂直に配置され、前記チップ部品の前記側面に接触する第2係止部と、を有しても良い。
【0032】
係止部を有する金属端子は、金属端子とチップ部品を組み立てる際に、金属端子とチップ部品の位置決めを、容易に行うことができるため、このような金属端子を有するセラミックコンデンサは、製造が容易である。
【0033】
また、例えば、前記第1金属端子部及び第2金属端子部は、平板状の板材を機械加工して作製されていても良い。
【0034】
板材を機械加工して作製された金属端子は、構造がシンプルであり、このような金属端子を採用するセラミックコンデンサは、必要な強度を確保しつつ、コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係るセラミック電子部品を示す概略斜視図である。
図2図2は、図1に示すセラミック電子部品の正面図である。
図3図3は、図1に示すセラミック電子部品の左側面図である。
図4図4は、図1に示すセラミック電子部品の上面図である。
図5図5は、図1に示すセラミック電子部品の底面図である。
図6図6は、図1に示すセラミック電子部品に含まれる第2金属端子部の斜視図である。
図7図7は、図1に示すセラミック電子部品の概略断面図である。
図8図8は、本発明の第2〜第5実施形態に係るセラミック電子部品に含まれる第1金属端子部の形状を表す概念図である。
図9図9は、本発明の第6実施形態に係るセラミック電子部品の斜視図である。
図10図10は、セラミック電子部品に含まれる第2金属端子部の製造方法を表す概念図である。
図11図11は、第2金属端子の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0037】
第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態に係るセラミックコンデンサ10を示す概略斜視図である。セラミックコンデンサ10は、2つのチップコンデンサ20と、チップコンデンサ20に取り付けられた第1金属端子部30及び第2金属端子部40とを有する。なお、各実施形態の説明では、チップコンデンサ20に金属端子部30,40が取り付けられたセラミックコンデンサを例に説明を行うが、本発明のセラミック電子部品としてはこれに限られず、コンデンサ以外のチップ部品に金属端子部30,40が取り付けられたものであっても良い。
【0038】
図7は、図1に示すセラミックコンデンサ10の断面図であり、特にチップコンデンサ20の内部構造が模式的に示されている。チップコンデンサ20は、コンデンサ素体26と、第1端子電極22と第2端子電極24とを有する。コンデンサ素体26は、セラミック層としての誘電体層28と、内部電極層27とを有し、誘電体層28と内部電極層27とが交互に積層してある。
【0039】
内部電極層27は、第1端子電極22に接続しているものと、第2端子電極24に接続しているものとがあり、第1端子電極22に接続する内部電極層27と、第2端子電極24に接続している内部電極層27とが、誘電体層28を挟んで交互に積層されている。
【0040】
誘電体層28の材質は、特に限定されず、たとえばチタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムまたはこれらの混合物などの誘電体材料で構成される。各誘電体層28の厚みは、特に限定されないが、数μm〜数百μmのものが一般的である。本実施形態では、好ましくは1.0〜5.0μmである。
【0041】
内部電極層27に含有される導電体材料は特に限定されないが、誘電体層28の構成材料が耐還元性を有する場合には、比較的安価な卑金属を用いることができる。卑金属としては、NiまたはNi合金が好ましい。Ni合金としては、Mn,Cr,CoおよびAlから選択される1種以上の元素とNiとの合金が好ましく、合金中のNi含有量は95重量%以上であることが好ましい。なお、NiまたはNi合金中には、P等の各種微量成分が0.1重量%程度以下含まれていてもよい。また、内部電極層27は、市販の電極用ペーストを使用して形成してもよい。内部電極層27の厚みは用途等に応じて適宜決定すればよい。
【0042】
端子電極22,24の材質も特に限定されず、通常、銅や銅合金、ニッケルやニッケル合金などが用いられるが、銀や銀とパラジウムの合金なども使用することができる。端子電極22,24の厚みも特に限定されないが、通常10〜50μm程度である。なお、端子電極22,24の表面には、Ni、Cu、Sn等から選ばれる少なくとも1種の金属被膜が形成されていても良い。
【0043】
チップコンデンサ20の形状やサイズは、目的や用途に応じて適宜決定すればよい。チップコンデンサ20が直方体形状の場合は、通常、縦(0.6〜5.6mm、好ましくは0.6〜3.2mm)×横(0.3〜5.0mm、好ましくは0.3〜1.6mm)×厚み(0.1〜1.9mm、好ましくは0.3〜1.6mm)程度である。
【0044】
図1に示すように、セラミックコンデンサ10は、2つのチップコンデンサ20を有している。2つのチップコンデンサ20は、ほぼ同一の形状を有している。ただし、セラミックコンデンサ10が有するチップコンデンサ20の数は、1つ又は3つ以上であっても良く、複数のチップコンデンサ20を有する場合は、互いに形状が違っていてもかまわない。
【0045】
チップコンデンサ20は、第1端面20a、第2端面20b、第1側面20c、第2側面20d、第3側面20e、第4側面20fの6つの面から構成される略直方体形状である。図7に示すように、第1端面20aは、第1金属端子部30の第1平板部38に対向しており、第2端面20bは、第1端面20aと平行であって、第1端面20aとは反対方向を向く面であり、第2金属端子部40の第2平板部48に対向している。
【0046】
チップコンデンサ20は、第1端面20aと第2端面20bとを接続する4つの側面20c〜20fを有しており、4つの側面20c〜20fのうち、第1側面20cと第2側面20dが、互いに平行であって反対方向を向く関係にあり(図4参照)、第3側面20eと第4側面20fが、互いに平行であって反対方向を向く関係にある(図2参照)。
【0047】
チップコンデンサ20の4つの側面20c〜20fのうち、第1側面20cと第2側面20dは、第1金属端子部30の第1実装部39及び第2金属端子部40の第2実装部49に対して略垂直に配置される。これに対して、第3側面20eと第4側面20fは、第1金属端子部30の第1実装部39及び第2金属端子部40の第2実装部49と略平行に配置される。また、第3側面20eは、第1及び第2実装部39,49とは反対方向を向いており、第4側面20fは、第1及び第2実装部39,49側を向いている。
【0048】
図1及び図7に示すように、チップコンデンサ20の第1端子電極22は、第1端面20aから側面20c〜20fの一部に回り込むように形成されている。したがって、第1端子電極22は、第1端面20aに配置される部分と、第1側面20c〜第4側面20fに配置される第1回り込み部22c〜22fとを有する(図1から図5参照)。
【0049】
また、チップコンデンサ20の第2端子電極24は、第2端面20bから側面20c〜20fの他の一部に回り込むように形成されている。したがって、第2端子電極24は、第2端面20bに配置される部分と、第1側面20c〜第4側面20fに配置される第2回り込み部24c〜24fを有する(図1から図5参照)。
【0050】
図1に示すように、第1金属端子部30と第2金属端子部40は、チップコンデンサ20の両端部に取り付けられており、2つのチップコンデンサ20は、上下に積み重ねられた状態で、金属端子部30,40によって保持されている。第1金属端子部30は、第1平板部38と、第1平板部38に接続する第1嵌合アーム部31a,31b,33a,33b及び第1係止部35と、同じく第1平板部38に接続する第1実装部39を有する(図1から図5参照)。
【0051】
第1金属端子部30の第1平板部38は、チップコンデンサ20の第1端面20aに対向している。図7に示すように、第1平板部38には、第1端面20aに向かって突出して第1端面20aと接触する第1突出部38bが形成されている。第1突出部38bは、第1平板部38と第1端面20aとの接触面積を減少させ、チップコンデンサ20の振動を第1金属端子部30に伝わり難くする効果を奏する。
【0052】
また、第1端面20aと第1平板部38は、第1接着剤接合部90によって接続されている。図3及び図4に示すように、第1接着剤接合部90は、第1端面20aの中央部分と、これに対向する第1平板部38の接続部38cとを接続しているが、第1接着剤接合部90の形状はこれに限定されない。例えば、第1接着剤接合部90は、第1端面20aの外周近傍及びこれに対向する第1平板部38を接続するように、複数形成されていても良い。また、第1平板部38における第1接着剤接合部90との接続部38cには、金属メッキされている第1金属端子部30の他の部分より、第1接着剤接合部90を構成する接着剤に対する接合性が高い領域が形成されている。なお、接続部38cは、第2金属端子部40における接続部48cと同様の構成である(図6参照)。
【0053】
第1金属端子部30は、チップコンデンサ20の第1端子電極22を挟み込んで把持する2対の第1嵌合アーム部31a,31b,33a,33bを有する。1対の第1嵌合アーム部31a,31bは、上側のチップコンデンサ20における第1端子電極22の第1回り込み部22c,22dを挟み込んで把持している。また、他の1対の第1嵌合アーム部33a,33bは、下側のチップコンデンサ20における第1端子電極22の第1回り込み部22c,22dを挟み込んで把持している(図3参照)。
【0054】
第1嵌合アーム部31a,31b及び第1嵌合アーム部33a,33bは、チップコンデンサ20の側面20c〜20fのうち、第1実装部39に略垂直に配置される側面20c,20dに対向している(図3参照)。
【0055】
第1嵌合アーム部31a,31b,33a,33bには、第1端子電極22の第1回り込み部22c〜22fに係合する第1係合突起が形成されている。なお、第1金属端子部30は、チップコンデンサ20を基準として、第2金属端子部40とは対称に配置されているが、形状に関しては、第2金属端子部40と同様である。したがって、第1平板部38の接続部38cや、第1係合突起が形成された第1嵌合アーム部31a,31b,33a,33b等の詳細構造については、第2金属端子部40を用いて説明を行い、第1金属端子部30については説明を省略する。
【0056】
第1係止部35は、第1嵌合アーム部31a,31b等に対して略垂直に配置されており、チップコンデンサ20の第3側面20eに対向する。第1係止部56は、第1嵌合アーム部31a,31b等のように対になっておらず、チップコンデンサ20を把持することはできないが、チップコンデンサ20と第1金属端子部30とを組み立てる際、第1係止部35と第3側面20eとを接触させることにより、容易に位置決めを行うことができる。
【0057】
図1及び図2に示すように、第1金属端子部30の第1実装部39は、チップコンデンサ20の第4側面20fに略平行に延在している。また、第1実装部39は、下側のチップコンデンサ20の第4側面20fから所定の空間を挟んで配置されている。第1実装部39は、セラミックコンデンサ10を基板等に実装する際、はんだ等によって基板に接合される部分であり、第1実装部39におけるチップコンデンサ20と反対側の表面である実装部底面39a(図2参照)は、実装対象である基板に対向するように設置される。第1実装部39におけるチップコンデンサ20側の表面である実装部上面39bは、はんだの過度な回り込みを防止する観点から、実装部底面39aより、はんだに対する濡れ性が低いことが好ましい。
【0058】
第2金属端子部40は、第2平板部48と、第2平板部48に接続する第2嵌合アーム部41a,41b,43a,43b及び第2係止部45と、同じく第2平板部48に接続する第2実装部49を有する。第2金属端子部40の第2平板部48は、チップコンデンサ20の第2端面20bに対向している。
【0059】
図6は、第2金属端子部40を示す斜視図である。図6に示すように、第2平板部48には、第2突出部48bが形成されている。図7に示すように、第2突出部48bは、第2端面20bに向かって突出して第2端面20bと接触する。第2突出部48bは、第1突出部38bと同様に、チップコンデンサ20の振動を第2金属端子部40に伝わり難くする効果を奏する。
【0060】
第1金属端子部30と同様に、第2金属端子部40の第2平板部48とチップコンデンサ20の第2端面20bとは、第2接着剤接合部92によって接続されている(図3及び図4参照)。図6に示すように、第2平板部48における第2接着剤接合部92との接続部48cには、例えば金属メッキを除去するなどの表面処理が行われることにより、金属メッキされている第2金属端子部40の他の部分(例えば第2係合突起42b,44b)と比較して、第2接着剤接合部92を構成する接着剤に対する接合性が高い領域が形成されている。第1及び第2接着剤接合部92を構成する接着剤としては、特に限定されないが、チップコンデンサ20と金属端子部30,40との固着強度を高めるために、非導電性接着剤であることが好ましい。一般的に、接着剤に導電性を付与するために添加される導電性フィラーや導電性金属粒子等の導電性成分は、接着力の向上には寄与しない。そのため、導電性フィラーや導電性金属粒子等の導電性成分を含んでいない樹脂等によって構成される非導電性接着剤を使用することにより、導電性成分を含む導電性接着剤に比べて高い接着性を得ることができる。非導電性接着剤としては、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂などを用いることができる。
【0061】
図1及び図6に示すように、第2金属端子部40は、チップコンデンサ20の第2端子電極24を挟み込んで把持する2対の第2嵌合アーム部41a,41b,43a,43bを有する。1対の第2嵌合アーム部41a,41bは、上側のチップコンデンサ20における第2端子電極24の第2回り込み部24c,24dを挟み込んで把持している。また、他の1対の第2嵌合アーム部43a,43bは、下側のチップコンデンサ20における第2端子電極24の第2回り込み部24c,24dを挟み込んで把持している(図4及び図5参照)。
【0062】
第2嵌合アーム部41a,41b及び第2嵌合アーム部43a,43bは、チップコンデンサ20の側面20c〜20fのうち、第2実装部49に略垂直に配置される側面20c,20dに対向している(図4等参照)。
【0063】
図6に示すように、第2嵌合アーム部41a,41b,43a,43bにおけるそれぞれの対向面には、第2係合突起42b,44bが形成されている。図6では、他の部材の裏側にあって見えないが、第2嵌合アーム部41a,43aにも、第2嵌合アーム部41b,43bと同様に、第2係合突起42a,44aが形成されている。
【0064】
第2係合突起42a,42b,44a,44bは、第2端子電極24の第2回り込み部24c〜24fに係合し、第2金属端子部40が、第2端子電極24から外れてしまうことを、効果的に防止できる。また、第2係合突起42a,42b,44a,44bと第2端子電極24とが接触することにより、第2端子電極24と第2嵌合アーム部41a,43aとの導通を確保することができる。第2係合突起42a,42b,44a,44bの形状は、図6に示すような四角錐状に限定されず、三角錐状、部分球状、角柱状など、第2回り込み部24c〜24fに係合できる形状であれば特に限定されない。
【0065】
ただし、第2係合突起42bを例に説明すると、第2係合突起42bは、第2係合突起42bの突起端部42baから、第2平板部48に向かって、突起の高さ(第2回り込み部24dに向かって突出する方向の長さ)若しくは突起の幅(突起端部42baから第2平板部48へ向かう方向及び突出する方向に垂直な方向の長さ)が大きくなることが好ましい。第2係合突起42a,42b,44a,44bを、突起端部から第2平板部48側へ向かって拡大する形状とすることにより、第2金属端子部40が、第2端子電極24から外れてしまうことを、より効果的に防止できる。
【0066】
図11は、第2金属端子部40の断面図であり、第2嵌合アーム部41a,41bに形成されており、互いに対向する2つの第2係合突起42a,42bを通る断面を表している。第2金属端子部40が自由状態(チップコンデンサ20を把持していない状態)にあるときに、第2係合突起42aの頂部から第2係合突起42bの頂部までの間隔W3は、チップコンデンサ20における第2回り込み部24cから第2回り込み部24dまでの間隔W1より狭い。したがって、図1に示すように、チップコンデンサ20の第2端子電極24が、第2嵌合アーム部41aと第2嵌合アーム部41bの間に挿入されると、第2金属端子部40が弾性変形し、第2金属端子部40は、対向する第2嵌合アーム部41a,41bの間に第2端子電極24を挟んで把持できる。
【0067】
また、第2嵌合アーム部41a,41bの先端部41aa,41baは、第2端子電極24を第2嵌合アーム部41a,41bの間にスムーズに挿入できるように、互いに離間する方向に曲げられている。この場合、第2嵌合アーム部41aの先端部41aaから第2嵌合アーム部41bの先端部41baまでの間隔W2は、第2金属端子部40が自由状態にあるときにも、第2回り込み部24cから第2回り込み部24dまでの間隔W1より広いことが好ましい。
【0068】
第2係止部45は、第1係止部35と同様に、第2嵌合アーム部41a,41b等に対して略垂直に配置されており、チップコンデンサ20の第3側面20eに対向する。第2係止部45の作用は、第1金属端子部30の第1係止部35と同様である。
【0069】
図1及び図2に示すように、第2金属端子部40の第2実装部49は、チップコンデンサ20の第4側面20fに略平行に延在している。第2実装部49も、第1実装部39と同様に、下側のチップコンデンサ20の第4側面20fから所定の空間を挟んで配置されている。第2実装部49においても、第1実装部39と同様の理由により、実装部上面49bは、実装部底面49aより、はんだに対する濡れ性が低いことが好ましい。
【0070】
第1金属端子部30及び第2金属端子部40の材質は、導電性を有する金属材料であれば特に限定されず、例えば鉄、ニッケル、銅、銀等若しくはこれらを含む合金を用いることができる。特に、第1金属端子部30及び第2金属端子部40の材質をりん青銅とすることが、第1及び第2金属端子部30,40の比抵抗を抑制し、セラミックコンデンサ10のESRを低減する観点から好ましい。
【0071】
以下に、セラミックコンデンサ10の製造方法について説明する。
【0072】
チップコンデンサ20の製造方法
まず、焼成後に誘電体層28となるグリーンシートを形成するために、グリーンシート用塗料を準備する。グリーンシート用塗料は、本実施形態では、誘電体材料の原料と有機ビヒクルとを混練して得られた有機溶剤系ペースト、または水系ペーストで構成される。
【0073】
誘電体材料の原料としては、焼成後にチタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムとなる各種化合物、たとえば炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物などから適宜選択され、混合して用いることができる。誘電体材料の原料として、例えば平均粒子径が0.2〜0.5μm程度の粉末状のものを用いることができるが、特に限定されない。
【0074】
有機ビヒクルとは、バインダ樹脂を有機溶剤中に溶解したものである。有機ビヒクルに用いられるバインダ樹脂としては、特に限定されず、エチルセルロース、ポリビニルブチラール、アクリル樹脂などの通常の各種バインダ樹脂が例示される。
【0075】
また、有機ビヒクルに用いられる有機溶剤も特に限定されず、アルコール、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、キシレン、酢酸エチル、ステアリン酸ブチル、ターピネオール、ブチルカルビトール、イソボニルアセテートなどの通常の有機溶剤が例示される。なお、グリーンシート用塗料が水系ペーストである場合には、バインダ樹脂としてたとえばポリビニルアルコールなどの水溶性のものを用いればよい。
【0076】
また、グリーンシート用塗料中には、必要に応じて各種分散剤、可塑剤、帯電除剤、誘電体、ガラスフリット、絶縁体などから選択される添加物が含有されても良い。
【0077】
次に、上述のグリーンシート用塗料を用いて、キャリアシート上に、グリーンシートを形成する。グリーンシートの厚みは特に限定されないが、例えば2.0〜7.0μm程度とすることができる。グリーンシートは、キャリアシートに形成された後に乾燥される。
【0078】
次に、グリーンシートの一方の表面に、焼成後に内部電極層27となる電極パターンを形成する。電極パターンの形成方法としては、特に限定されないが、印刷法、転写法、薄膜法などが例示される。グリーンシートの上に電極パターンを形成した後、乾燥することにより、電極パターンが形成されたグリーンシートを得る。
【0079】
内部電極層用塗料は、各種導電性金属や合金からなる導電体材料、あるいは焼成後に上記した導電体材料となる各種酸化物、有機金属化合物、レジネート等と、有機ビヒクルとを混練して調製する。
【0080】
内部電極層用塗料を製造する際に用いる導電体材料としては、NiやNi合金、さらにはこれらの混合物を用いることが好ましい。このような導電体材料は、球状、リン片状等、その形状に特に制限はなく、また、これらの形状のものが混合したものであってもよい。
【0081】
有機ビヒクルは、グリーンシート用塗料のそれと同様に、バインダ樹脂および有機溶剤を含有するものである。バインダ樹脂としては、たとえばエチルセルロース、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリスチレン、または、これらの共重合体などが例示される。
【0082】
また、溶剤としては、たとえばテルピネオール、ブチルカルビトール、ケロシン等公知のものはいずれも使用可能である。さらに、内部電極層用塗料中には、必要に応じて各種分散剤、可塑剤、帯電除剤、誘電体、ガラスフリット、絶縁体などから選択される添加物が含有されても良い。
【0083】
次に、内部電極パターンが形成されたグリーンシートを、キャリアシートから剥離しつつ所望の積層数まで積層し、グリーン積層体を得る。なお、積層の最初と最後には、内部電極パターンが形成されていない外層用グリーンシートを、積層する。
【0084】
その後、このグリーン積層体を最終加圧する。最終加圧時の圧力は、好ましくは10〜200MPaである。また、加熱温度は、40〜100℃が好ましい。さらに、積層体を所定サイズに切断し、グリーンチップを得る。得られたグリーンチップは熱処理(固化乾燥)される。熱処理の条件は特に限定されないが、減圧雰囲気下において、140〜180℃、2〜10時間とすることができる。
【0085】
次に、熱処理後にグリーンチップに対して研磨を行う。研磨方法は特に制限されず、また、乾式であるか湿式であるかは問わないが、例えば湿式バレル研磨を採用することができる。
【0086】
研磨後に脱バインダ処理を行う。脱バインダ処理の条件は特に限定されないが、例えば空気中または窒素雰囲気下で、昇温速度を5〜300℃/時間、保持温度を200〜400℃、温度保持時間を0.5〜20時間とすることができる。
【0087】
続いて、グリーンチップの焼成を実施する。焼成条件は特に限定されないが、例えば還元雰囲気下で、昇温速度を50〜500℃/時間、保持温度を1000〜1400℃、温度保持時間を0.5〜8時間、冷却速度を50〜500℃/時間とすることができる。焼成後に、必要に応じてアニール処理、研磨等を施すことにより、図7に示すコンデンサ素体26を得る。
【0088】
最後に、コンデンサ素体26に第1端子電極22及び第2端子電極24を形成する。端子電極22,24は、例えば端子電極用塗料を焼きつけて下地電極を形成した後、下地電極の表面にめっきによる金属被膜を形成することにより、作製する。なお、端子電極用塗料は、上記した内部電極層用塗料と同様にして調製することができ、端子電極用塗料の焼成条件は、例えば、加湿したNとHとの混合ガス中で600〜800℃にて10分間〜1時間程度とすることができる。
【0089】
第1金属端子部30及び第2金属端子部40の製造方法
第1金属端子部30及び第2金属端子部40の製造では、まず、図10(a)に示すような平板状の金属板材80を準備する。金属板材80の材質は、導電性を有する金属材料であれば特に限定されず、例えば鉄、ニッケル、銅、銀等若しくはこれらを含む合金を用いることができる。なお、第1金属端子部30と第2金属端子部40は、同様の製造方法で作成することができるため、第2金属端子部40を例に挙げて説明を行う。
【0090】
次に、金属板材80を機械加工することにより、中間部材82を得る(図10(b))。具体的な加工方法は特に限定されず、例えばプレス加工、切削加工等を用いて、金属板材80から、第2平板部48、第2嵌合アーム部41a,41b,43a,43b、第2係合突起42a,42b,44a,44b、第2係止部45、第2実装部49等の形状を形成する。
【0091】
次に、中間部材82の表面に、めっきによる金属被膜84を形成することにより、第2金属端子部40を得る(図10(c))。めっきに用いる材料としては、特に限定されないが、例えばNi、Sn、Cu等が挙げられる。また、めっき処理の際、第2実装部49の実装部上面49b及び第2平板部48の接続部48cにレジスト処理を施すことにより、実装部上面49b及び接続部48cにめっきが付着することを防止できる。これにより、実装部上面49bと実装部底面49aのはんだに対する濡れ性に差異を発生させることができ、また、接続部48cの接着剤に対する接合性を、金属メッキが施された第2係合突起42a,42b,44a,44bより高くすることができる。なお、中間部材82全体にめっき処理を施して金属被膜84を形成した後、実装部上面49b及び接続部48cに形成された金属被膜のみを、レーザー剥離等で除去しても、同様の差異を発生させることができる。
【0092】
セラミックコンデンサ10の組み立て
上述のようにして得られたチップコンデンサ20を2つ準備し、図1に示すように重ねて保持した状態で、第1端子電極22と第2端子電極24に、それぞれ第1金属端子部30と第2金属端子部40を取り付け、セラミックコンデンサ10を得る。チップコンデンサ20への取り付けを行う前に、図10(d)に示すように、各金属端子部30,40の接続部38c,48cには、硬化後に第1接着剤接合部90及び第2接着剤接合部92となる接着剤92aを、予め塗布しておく。図11に示すように、金属端子部30,40の各嵌合アーム部の先端(先端部41aa,41ba)は、互いに離間するように湾曲しているので、チップコンデンサ20の各端面20a,20bと、金属端子部30,40の平板部38,48とを互いに近づけていくだけで、端子電極22,24を、一対の嵌合アーム部31a,31b,41a,41b等の間にはめ込むことができる。
【0093】
接着剤92aが熱硬化性接着剤である場合は、チップコンデンサ20に第1及び第2金属端子部30,40を取り付けた後、所定温度での加熱処理を行って接着剤92aを硬化させることにより、第1接着剤接合部90及び第2接着剤接合部92が形成される。なお、必要に応じて、端子電極22,24の回り込み部22c〜22f,24c〜24fと、これに係合している係合突起42a,42b,44a,44bを、少なくとも一方の表面に形成された金属メッキを溶解させることにより、溶着させても良い。これにより、端子電極22,24と金属端子部30,40との電気的接合性が向上するとともに、チップコンデンサ20と金属端子部30,40との物理的な結合を補強することができる。
【0094】
このように、セラミックコンデンサ10では、第1及び第2金属端子部30,40が、嵌合アーム部31a,31b,33a,33b,41a,41b,43a,43bを有し、チップコンデンサ20における端子電極22,24の回り込み部22c〜22f,24c〜24fを挟み込んで把持する。そのため、セラミックコンデンサ10は、容易に組み立てることができ、製造が容易である。また、セラミックコンデンサ10は、高温環境や温度変化の大きい環境で使用された場合でも、はんだ等を接合材料とする従来技術とは異なり、接合材料と金属端子部30,40との熱膨張率の違いにより、チップコンデンサ20と金属端子部30,40との接合が解除されてしまう恐れがない。
【0095】
また、セラミックコンデンサ10は、嵌合アーム部31a,31b,41a,41b等でチップコンデンサ20を把持することによりチップコンデンサ20と金属端子部30,40の良好な導通を確保しつつ、その一方で、チップコンデンサ20の端面20a,20bと金属端子部30,40の平板部とを接続する接着剤接合部90,92が、チップコンデンサ20と金属端子部30,40との機械的接合を補強している。したがって、セラミックコンデンサ10は、外部からの変形力や衝撃に対して、電気的にも構造的にも好適な信頼性を有する。また、セラミックコンデンサ10は、チップコンデンサ20で発生する電歪等による振動が金属端子部30,40を介して実装基板等に伝わる現象を、はんだ等でチップコンデンサと端子とを接続する従来技術に比べて抑制することが可能であり、セラミックコンデンサ10を駆動した際の音鳴きを防止することができる。
【0096】
その他の実施形態
チップコンデンサ20に取り付けられる金属端子は、第1実施形態で示す形状に限定されず、セラミックコンデンサの用途等に応じて、様々な改変を行うことが可能である。図8は、本発明の第2〜第6実施形態に係るセラミックコンデンサに用いられる第1金属端子を表す概念図である。なお、第2〜第6実施形態に係るセラミックコンデンサでは、第1及び第2金属端子以外の構成については第1実施形態に係るセラミックコンデンサ10と同様であり、第1金属端子と第2金属端子の形状も同じであるため、第1金属端子以外の説明については省略する。
【0097】
図8(a)は、本発明の第2実施形態に係るセラミックコンデンサに含まれる第1金属端子部50を表している。第1金属端子部50は、チップコンデンサ20の側面のうち、第1実装部39に略垂直に配置される側面20c,20dに対向する第1嵌合アーム部31a,31b,33a,33bを有する。しかし、第1金属端子部50は、第1実施形態に係る第1金属端子部30とは異なり、第1実装部39に対して平行な側面を係止する第1係止部35を有しない。
【0098】
ここで、チップコンデンサ20のような積層電子部品は、誘電体層28と内部電極層27の積層方向(図7参照)に関して寸法バラツキを生じやすく、その他の方向に関しては、積層方向より寸法バラツキが少ない傾向にある。図7に示すように、チップコンデンサ20の積層方向が、第1実装部39に対して垂直方向である場合、図8(a)に示す第1金属端子部50のように、チップコンデンサ20を第1実装部39に対して水平な方向から把持するほうが、第1嵌合アーム部31a,31b等の把持力を安定させることができる。
【0099】
図8(a)に示す第1金属端子部50も、作製に用いる金属板材80(図10参照)の厚さ等を調整することにより、チップコンデンサ20を安定して把持することができ、第1実施形態に係る第1金属端子部30と同様の効果を奏する。また、第1金属端子部50は、チップコンデンサ20との接触箇所が、第1実施形態に係る第1金属端子部30より少ないため、音鳴き防止の観点では有利である。
【0100】
図8(b)は、本発明の第3実施形態に係るセラミックコンデンサに含まれる第1金属端子部60を表している。第1金属端子部60は、第1係止部62を有する点で、図8(a)に示す第1金属端子部50と異なるが、その他の構成は第1金属端子部50と同様である。第1係止部62は、第1嵌合アーム部31a,31b等に対して略垂直に配置されており、チップコンデンサ20の側面のうち、第1実装部39側を向く第4側面20fに対向する。
【0101】
第1金属端子部60の第1平板部64には、第1貫通孔64aが形成されており、第1係止部62は、第1貫通孔64aの縁部で、第1平板部64に接続している。このような第1係止部62を有する第1金属端子部は、図10に示すような金属板材80を加工するだけで容易に作製することができる。また、第1係止部62には、係合突起が形成されていない。しかし、第1係止部62は、組み立ての際の位置決めに有用であるだけでなく、組み立て後にチップコンデンサ20を重力方向に対して支持することができるため、第1金属端子部60を有するセラミックコンデンサは、優れた耐久性を有する。なお、第1金属端子部60の場合、第1実施形態における第1接着剤接合部90に相当する構成は、第1平板部64における第1貫通孔64aの周辺部と、これに対向するチップコンデンサの第1端面とを接続するように形成される。また、第1金属端子部60と対になって使用される第2金属端子も、第1金属端子部60と同様に、第2貫通孔が形成された第2平板部と、第2係止部とを有する。
【0102】
図8(c)は、本発明の第4実施形態に係るセラミックコンデンサに含まれる第1金属端子部66を表している。第1金属端子部66は、第1係止部56及び第1係止部62を有する点で、図8(a)に示す第1金属端子部50と異なるが、その他の構成は、第1金属端子部50と同様である。このように、第1金属端子部66は、一対の互いに対向する第1係止部56,62を有しても良く、このような第1金属端子部66を有するセラミックコンデンサは、組み立て性及び耐久性に優れている。
【0103】
図8(d)は、本発明の第5実施形態に係るセラミックコンデンサに含まれる第1金属端子部70を表している。第1金属端子部70は、チップコンデンサ20の側面のうち、第1実装部39に略平行に配置される側面20c,20dに対向する第1嵌合アーム部35a,35bを有する。しかし、第1金属端子部70は、第1実施形態に係る第1金属端子部30とは異なり、第1実装部39に対して垂直な側面を把持する嵌合アーム部を有しない。
【0104】
図7に示すチップコンデンサ20とは異なり、チップコンデンサの積層方向が、第1実装部39に対して平行な方向である場合、図8(d)に示す第1金属端子部70のように、チップコンデンサ20を第1実装部39に対して垂直な方向から把持するほうが、チップコンデンサ20の寸法ばらつきが少ないため、第1嵌合アーム部35a,35bの把持力を安定させることができる。
【0105】
図9は、本発明の第6実施形態に係るセラミックコンデンサ76の斜視図である。セラミックコンデンサ76は、1つのチップ部品と、第1金属端子部77と、第2金属端子部78とを有する。図9に示すように、セラミックコンデンサ76に含まれるチップコンデンサ20の数は1つでも良く、また、3つ以上でも良い。セラミックコンデンサ76も、第1実施形態に係るセラミックコンデンサ10と同様の効果を奏する。
【符号の説明】
【0106】
10,76…セラミックコンデンサ
20…チップコンデンサ
20a…第1端面
20b…第2端面
20c…第1側面
20d…第2側面
20e…第3側面
20f…第4側面
22…第1端子電極
22c,22d,22e,22f… 第1回り込み部
24…第2端子電極
24c,24d,24e,24f… 第2回り込み部
26…コンデンサ素体
27…内部電極層
28…誘電体層
30,50,60,66,70,77…第1金属端子部
31a,31b,33a,33b…第1嵌合アーム部
38,64…第1平板部
38b…第1突出部
38c,48c…接続部
39…第1実装部
39a,49a…実装部底面
39b,49b…実装部上面
40,78…第2金属端子部
41a,41b,43a,43b…第2嵌合アーム部
41aa,41ba…先端部
42a,42b,44a,44b…第2係合突起
42ba…突起端部
45…第2係止部
48…第2平板部
48b…第2突出部
49…第2実装部
56,62…第1係止部
64a…第1貫通孔
80…金属板材
82…中間部材
84…金属被膜
90…第1接着剤接合部
92…第2接着剤接合部
92a…接着剤
図1
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