特許第6160222号(P6160222)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6160222
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】豆のさや剥き装置
(51)【国際特許分類】
   A23N 15/10 20060101AFI20170703BHJP
   B26D 1/36 20060101ALI20170703BHJP
   B26D 3/08 20060101ALI20170703BHJP
【FI】
   A23N15/10
   B26D1/36 C
   B26D3/08 A
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-102096(P2013-102096)
(22)【出願日】2013年5月14日
(65)【公開番号】特開2014-221029(P2014-221029A)
(43)【公開日】2014年11月27日
【審査請求日】2016年3月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】509245164
【氏名又は名称】株式会社PSS
(74)【代理人】
【識別番号】100094525
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100094514
【弁理士】
【氏名又は名称】林 恒徳
(74)【代理人】
【識別番号】100106356
【弁理士】
【氏名又は名称】松枝 浩一郎
(72)【発明者】
【氏名】渥美 春人
【審査官】 長浜 義憲
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−116368(JP,A)
【文献】 米国特許第02183769(US,A)
【文献】 登録実用新案第054676(JP,Z2)
【文献】 特公昭39−014486(JP,B1)
【文献】 特公昭38−002781(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23N 15/10
B26D 1/36
B26D 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
豆入りのさやを搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送されてきた豆入りのさやに、さやの長手方向に直交する方向の複数の切り込みを加える切り込み手段と、
前記切り込み手段の後段に配置される2つのローラとを備え、
該2つのローラはその周面間に豆のさやの厚さよりも短い間隙をあけて周面同士が向き合って配置され、前記切り込み手段から搬送されてきた豆入りのさやを当該間隙に引き込むように互いに反対方向に回転して、前記間隙の搬送方向手前側で豆入りのさやから豆がしごき出されながら、さやのみが前記間隙間に引き込まれて前記間隙の搬送方向後方側に送り出されることを特徴とするさや剥き装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記切り込み手段は、先細形状の歯を有する歯車形状を有することを特徴とするさや剥き装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、豆類、特にエンドウ豆をさやから取り出すさや剥き装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、大豆や枝豆のさや剥きに適したさや剥き装置を開発し(特許文献1)、実用化している。また、本出願人は、そら豆に適したさや剥き装置についても開発を進め、その実用化に至っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−222591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のさや剥き装置は、大豆や枝豆のさや剥きには適しているものの、エンドウ豆(いわゆるグリーンピースとも称される)のさや剥きには適していないことが判明した。また、本出願人が開発したそら豆に適したさや剥き装置においても、エンドウ豆のさやから歩留まりよく豆を取り出すことはできなかった。豆のサイズやさやの厚さ及び硬さが、大豆や枝豆、さらにはそら豆と異なり、特に、エンドウ豆は、そら豆と比較してもそのさやの厚さが厚く、さらにさやの硬さが硬いため、当該従来の構成等をベースにして、ローラの寸法や形状の変更などサイズの違いからの設計変更のみでは、歩留まりが十分ではなく、エンドウ豆のさや剥きに適したものに至らなかったのである。そこで、本出願人は、特にエンドウ豆のさや剥きに適したさや剥き装置の開発に着手することとなった。
【0005】
本発明の目的は、特にエンドウ豆のさや剥きに適したさや剥き装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明のさや剥き装置の構成は、豆入りのさやを搬送する搬送手段と、搬送手段により搬送されてきた豆入りのさやに、さやの長手方向に直交する方向の複数の切り込みを加える切り込み手段と、切り込み手段の後段に配置される2つのローラとを備え、該2つのローラはその周面間に豆のさやの厚さよりも短い間隙をあけて周面同士が向き合って配置され、切り込み手段から搬送されてきた豆入りのさやを当該間隙に引き込むように互いに反対方向に回転して、間隙の搬送方向手前側で豆入りのさやから豆がしごき出されながら、さやのみが間隙間に引き込まれて間隙の搬送方向後方側に送り出されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のさや剥き装置によれば、簡単且つ確実に豆(特にエンドウ豆)のさやを剥くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態におけるさや剥き装置の全体構成を示す側面図である。
図2】本発明の実施の形態におけるさや剥き装置の全体構成を示す上面図である。
図3】ベルト体14c上を搬送されるエンドウ豆を示す概略図である。
図4】切り込みローラ30を示す図である。
図5】さやに切り込みが入れられたエンドウ豆の概略図である。
図6】さや剥き動作を説明する模式図である。
図7】2つの切り込みローラを有する構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。また、以下の実施の形態で開示されるさや剥き装置は、特にエンドウ豆(いわゆるグリーンピースとも称する)のさや剥きに好適であるが、エンドウ豆のさや剥きにのみ限られず、他の豆類のさや剥きにも適用可能である。
【0010】
図1は、本発明の実施の形態におけるさや剥き装置の全体構成を示す側面図であり、図2はその上面図である。さや剥き装置は、キャスターを有して移動自在の架台10に、投入シュート(ガイド部)12から投入されたエンドウ豆を搬送する搬送体が固定されている。
【0011】
搬送体は、2本の搬送ローラ14a、14bとそれらに掛け渡されたベルト体14cとを備え、ローラ14bは、モータ16によるチェーン駆動により、ベルト体14cを回転させ、ベルト体14c上のエンドウ豆を図1の左上方向に向けて搬送する。
【0012】
投入シュート12内には、モータ18により回転する回転羽根20が設けられ、回転羽根20の回転により、投入シュート12内で積み重なっているエンドウ豆をベルト体14cの搬送面上に散らし、エンドウ豆が重なった状態をなくす。
【0013】
図3は、ベルト体14c上を搬送されるエンドウ豆を示す概略図である。ベルト体14cの搬送面上には、複数の仕切り板22(図2及び図3では、両側の壁部24の間に6枚の仕切り板22)が並列に搬送方向(進行方向)に延びて配置されている。仕切り板22は、おおよそエンドウ豆の短手方向長さ1〜2個分の幅間隔(例えば20mm程度)で配置され、ベルト搬送体14cを横切るようにその両側の壁部24に渡されている支持板26に取り付けられている。支持板26は壁部24に固定されている。ベルト体14c上を搬送されるエンドウ豆は、仕切り板22に当たると、エンドウ豆の長手方向の向きが搬送方向に揃って、1つ又は2つのエンドウ豆が両側の壁部24及び仕切り板22で仕切られたそれぞれの間隔通路(レーン)28に入っていき、エンドウ豆の長手方向を進行方向に揃えて間隔通路28を搬送されていく。
【0014】
切り込みローラ30が、両側の壁部24及び仕切り板22で形成される間隔通路28の数分(図2及び図3では、7つ)設けられ、間隔通路28の出口付近(ベルト体14cの搬送方向端部)に並列に配置される。切り込みローラ30は、その駆動源を搬送ローラ14bを駆動するモータ16と共用し、搬送ローラ14aと反対向きに回転する。切り込みローラ30専用の独立したモータが用意されてもよい。
【0015】
図4は、切り込みローラ30を示す正面図及び平面図である。切り込みローラ30は、例えば先細形状の歯を有する歯車形状であって、歯の先端部分は、エンドウ豆のさやに切り込みが入る程度に鋭利な形状とする。図5は、さやに切り込みが入れられたエンドウ豆の概略図である。図示されたエンドウ豆の形状は模式的に示されたもので、実際の形状は不揃いであり、また、実際の形状の違い(凹凸など)により、切り込みの長さ、深さ、位置なども不揃いの態様となる。切り込みローラ30の真下の歯の先端部分とそれに対向する搬送面との間の距離は、その間を通過するエンドウ豆の上面側のさやに切り込み(好ましくは、上面側のさやを貫通する切り込み)が入る程度の間隔となるように、切り込みローラ30の高さ位置は適宜調整される。
【0016】
切り込みローラ30が配置されているベルト体14cの端部の後段側には、一対のローラ32、34が配置されている。ローラ32、34は、ベルト体14cを横切る方向に延びる回転軸を有し、ローラ32、34は、その周面間に間隙36(図6参照)をあけて上下に配置される。
【0017】
エンドウ豆は、切り込みローラ30の回転により、そのさやに切り込みを入れられながら、エンドウ豆を後段の一対のローラ32、34間の間隙36に挿入される。一対のローラ32、34は、ベルト体14cから搬送されてきたエンドウ豆をその間隙36に引き込むように互いに逆方向に回転する。
【0018】
そして、後述するように、当該間隙36にエンドウ豆が引き込まれると、さやの中の豆がしごき出され、さやのみが間隙間に引き込まれて後方側に送り出され、はじき出された豆は、間隙36の手前側から落下することで、さやの中から豆を取り出すさや剥きが実現される。さやは、中から豆がしごき出されながら、間隙36を通り抜けて、ローラ32、34の後方側から排出され、落下する。
【0019】
ローラ32、34は、例えば長さ300mm、直径50mm程度のステンレス鋼製であり、周面はゴムライニング処理が施されている。一対のローラ32、34間の間隙36の幅は約0.5mm程度が好ましい。
【0020】
図6は、さや剥き動作を説明する模式図である。図6(a)に示されるように、まず、ベルト体14cにより搬送されてきたエンドウ豆は、進行方向先端から、切り込みローラ30の回転により、さやに切り込みを入れられながら前進し、一対のローラ32、34の間隙36へ引き込まれて行く。図6(b)に示されるように、さやが2つのローラ32、34の間隙に引き込まれていくと、進行方向先端部分から順にさやが押しつぶされていき、その圧力によりさやが割れ、さやの中から豆がしごき出されていく。
【0021】
エンドウ豆においては、さやが枝豆やそら豆など他の豆類と比較してさやが硬く、単にローラにより先端部分から順にさやを押しつぶしていっても、発明者らの実験によりさやが割れにくいことが判明した。これに対して、本発明では、ローラ間の間隙に引き込む前に、さやに切り込みを入れる工程を加える。これにより、さやが変形しやすくなり、ローラによる圧縮によりさやが割れるようになる。
【0022】
さやから飛び出た豆は、ローラ32、34の進行方向手前側で落下し、架台10上に置かれたバケツなどの収容器に回収される。豆は、しごき出される際、さやは進行方向に対して左右両方向にわれ、さやの左右側から飛び出して落下する。
【0023】
そして、図6(c)に示されるように、さやのみがローラ32、34の後方側に送り出され、下方に落下する。さやの落下位置にも、バケツなどの収容器を置き、さやを回収する。
【0024】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の分野における通常の知識を有する者であれば想到し得る各種変形、修正を含む要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても、本発明に含まれることは勿論である。
【0025】
例えば、上記実施の形態では、切り込みローラが、ベルト体上を搬送されるエンドウ豆の上面側に切り込みを入れる構成について説明したが、図7に示すとおり、切り込みローラを各間隙通路につき上下2つ配置し、2つの切り込みローラでエンドウ豆を挟みながら、さやの上面側と下面側の両側に切り込みを加える構成としてもよい。
【符号の説明】
【0026】
10:架台、12:投入シュート、14a:搬送ローラ、14b:搬送ローラ、14c:ベルト体、16:モータ、18:モータ、20:回転羽根、22:仕切り板、24:壁部、26:支持板、28:間隔通路、30:切り込みローラ、32:ローラ、34:ローラ、36:間隙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7