特許第6160242号(P6160242)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6160242故障診断装置、画像形成装置及び故障診断システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6160242
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】故障診断装置、画像形成装置及び故障診断システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20170703BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20170703BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20170703BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20170703BHJP
【FI】
   H04N1/00 106C
   G03G21/00 510
   B41J29/38 Z
   G06F3/12 K
【請求項の数】5
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-110806(P2013-110806)
(22)【出願日】2013年5月27日
(65)【公開番号】特開2014-230237(P2014-230237A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2016年2月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(74)【代理人】
【識別番号】100082739
【弁理士】
【氏名又は名称】成瀬 勝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【弁理士】
【氏名又は名称】青谷 一雄
(72)【発明者】
【氏名】▲角▼田 真一
【審査官】 花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−302675(JP,A)
【文献】 特開2010−010825(JP,A)
【文献】 特開2013−020125(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B41J 29/00 −29/70
G03G 15/00
15/36
21/00
21/02
21/14
21/20
G06F 3/09 − 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
診断対象装置から出力される情報に基づいて故障の発生状態を診断する診断情報を収集し記憶部に記憶する収集手段と、
前記診断対象装置から出力される情報が予め定められた状態に遷移したとき前記収集手段による前記診断情報の収集および前記記憶部への記憶を許可する収集許可信号を生成する生成手段と、
前記収集許可信号が生成された後に再収集許可条件を満たすまで、前記生成手段による前記収集許可信号の再生成を禁止する禁止手段とを備えたことを特徴とする故障診断装置。
【請求項2】
前記再収集許可条件は、前記収集許可信号が生成された後に予め定められた回数だけ前記予め定められた状態に遷移したことを特徴とする請求項1に記載の故障診断装置。
【請求項3】
前記診断情報は、前記診断対象装置の故障の深刻度を示す情報を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の故障診断装置。
【請求項4】
記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段を構成する診断対象装置の故障を診断するための診断情報を収集する故障診断手段と、
を備え、
前記故障診断手段として、請求項1乃至3のいずれかに記載の故障診断装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段を構成する診断対象装置から出力される情報に基づいて故障の発生状態を診断する診断情報を収集し記憶部に記憶する収集手段と、
前記診断対象装置から出力される情報が予め定められた状態に遷移したとき前記収集手段による前記診断情報の収集および前記記憶部への記憶を許可する収集許可信号を生成する生成手段と、
前記収集許可信号が生成された後に再収集許可条件を満たすまで、前記生成手段による前記収集許可信号の再生成を禁止する禁止手段と、
前記収集手段が収集した診断情報を送信する送信手段と、
を備えた画像形成装置と、
前記画像形成装置から送信された診断情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された診断情報に基づいて前記診断対象装置の故障を診断する診断手段と、
を備えた管理装置と
を有することを特徴とする故障診断システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、故障診断装置、画像形成装置及び故障診断システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置では、高画質化や高い動作安定性を実現するため、装置に搭載される機能が複雑化してきている。画像形成装置に搭載される機能の一つとして、装置の予防保全や故障診断に関する機能が着目されてきており、次のような技術が既に提案されている(特許文献1,2等)。
【0003】
特許文献1は、トラブル状態から正常状態へ回復したことを用紙が実際に画像形成装置から排出されたことにより判定し、同じトラブルによる無駄なトラブル回復を行うことを防止するため、画像形成装置の故障状態を判定する第1判定手段と、用紙排出を判定する第2判定手段と、第1及び第2判定手段の結果から正常状態への回復を判定する第3判定手段を有しており、第1判定手段により故障と判定した場合は故障情報を遠隔集中管理手段に発信し、その後、第3判定手段により正常状態への回復を判断するまで故障情報の発信を禁止するように構成したものである。
【0004】
特許文献2は、多数のサービス拠点を含む広域な地域で使用される各画像形成装置のサービス情報の収集と故障予測及びサービスマン派遣要請を自動化し、致命的な故障が発生する前に迅速・的確な処置を効率よく行なえるようにすることを目的とし、画像形成装置と管理装置が通信回線で接続されており、画像形成装置において、異常事象の発生検知及び種類の判別ができ、発生回数及び種類別を計数し、異常事象発生回数が所定回数に達する度に計数情報を通信回線を介して管理装置に送信し、管理装置では、複数回受信した計数情報から増加値を計算し、分析することによって故障を判定するように構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2963955号公報
【特許文献2】特許第3442174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、この発明が解決しようとする課題は、故障を診断するために収集する情報量を抑制することが可能な故障診断装置、画像形成装置及び故障診断システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載された発明は、診断対象装置から出力される情報に基づいて故障の発生状態を診断する診断情報を収集し記憶部に記憶する収集手段と、
前記診断対象装置から出力される情報が予め定められた状態に遷移したとき前記収集手段による前記診断情報の収集および前記記憶部への記憶を許可する収集許可信号を生成する生成手段と、
前記収集許可信号が生成された後に再収集許可条件を満たすまで、前記生成手段による前記収集許可信号の再生成を禁止する禁止手段とを備えたことを特徴とする故障診断装置である。
【0008】
請求項2に記載された発明は、前記再収集許可条件は、前記収集許可信号が生成された後に予め定められた回数だけ前記予め定められた状態に遷移したことを特徴とする請求項1に記載の故障診断装置である。
【0009】
請求項3に記載された発明は、前記診断情報は、前記診断対象装置の故障の深刻度を示す情報を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の故障診断装置である。
【0010】
請求項4に記載された発明は、記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段を構成する診断対象装置の故障を診断するための診断情報を収集する故障診断手段と、
を備え、
前記故障診断手段として、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の故障診断装置を用いたことを特徴とする画像形成装置である。
【0011】
請求項5に記載された発明は、記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段を構成する診断対象装置から出力される情報に基づいて故障の発生状態を診断する診断情報を収集し記憶部に記憶する収集手段と、
前記診断対象装置から出力される情報が予め定められた状態に遷移したとき前記収集手段による前記診断情報の収集および前記記憶部への記憶を許可する収集許可信号を生成する生成手段と、
前記収集許可信号が生成された後に再収集許可条件を満たすまで、前記生成手段による前記収集許可信号の再生成を禁止する禁止手段と、
前記収集手段が収集した診断情報を送信する送信手段と、
を備えた画像形成装置と、
前記画像形成装置から送信された診断情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された診断情報に基づいて前記診断対象装置の故障を診断する診断手段と、
を備えた管理装置と
を有することを特徴とする故障診断システム。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載された発明によれば、その構成を有しない場合に比べて、故障を診断するための情報量を抑制することができる。
【0014】
請求項2に記載された発明によれば、その構成を有しない場合に比べて、診断対象装置の故障の深刻度を判断することができる。
【0015】
請求項3に記載された発明によれば、その構成を有しない場合に比べて、診断対象装置の故障の深刻度を判断することができる。
【0016】
請求項4に記載された発明によれば、その構成を有しない場合に比べて、画像形成装置の故障を診断するための情報量を抑制することができる。
【0017】
請求項5に記載された発明によれば、その構成を有しない場合に比べて、画像形成装置の故障を診断するための情報量を抑制することができる。
【0018】
請求項6に記載された発明によれば、その構成を有しない場合に比べて、画像形成装置の故障を診断するための情報量を抑制しつつ、管理装置で集中して管理することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】この発明の実施の形態1に係る故障診断装置を適用した画像形成装置を示す構成図である。
図2】現像装置を示す断面構成図である。
図3】この発明の実施の形態1に係る故障診断装置を適用した画像形成装置の要部を示す構成図である。
図4】この発明の実施の形態1に係る故障診断装置を適用した画像形成装置の制御回路を示すブロック図である。
図5】この発明の実施の形態1に係る故障診断装置を適用した画像形成装置の動作をそれぞれ示すタイミングチャートである。
図6】この発明の実施の形態2に係る故障診断装置を適用した画像形成装置の動作をそれぞれ示すタイミングチャートである。
図7】この発明の実施の形態3に係る故障診断装置を適用した画像形成装置の動作をそれぞれ示すタイミングチャートである。
図8】この発明の実施の形態4に係る故障診断システムを示す構成図である。
図9】この発明の実施の形態4に係る故障診断装置を適用した画像形成装置の制御回路を示すブロック図である。
図10】この発明の実施の形態4に係る故障診断システムの動作を示す図表である。
図11】この発明の実施の形態4に係る故障診断システムの動作を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0022】
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1に係る画像形成装置の全体の概要を示すものである。
【0023】
<画像形成装置の全体の構成>
実施の形態1に係る画像形成装置1は、例えばカラープリンタとして構成されたものである。画像形成装置1は、画像データに基づいて記録媒体に画像を形成する画像形成手段の一例としての画像形成部107を備えている。この画像形成部107は、現像剤を構成するトナーで現像されるトナー像を形成する複数の作像装置10と、各作像装置10で形成されるトナー像をそれぞれ保持して最終的に記録媒体の一例としての記録用紙5に二次転写する二次転写位置まで搬送する中間転写装置20と、中間転写装置20の二次転写位置に供給すべき所要の記録用紙5を収容して搬送する給紙装置50と、中間転写装置20で二次転写された記録用紙5上のトナー像を定着させる定着装置40等を備えている。なお、画像形成部107は、1つの作像装置10を備えたものであっても良い。
【0024】
この画像形成装置1は、例えば、記録用紙5に形成すべき原稿画像を入力する図示しない画像読取部としての画像読取装置を追加して装備させた場合にはカラー複写機として構成することができる。図中の1aは画像形成装置の筐体を示し、この筐体1aは支持構造部材、外装カバー等で形成されている。
【0025】
作像装置10は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナー像をそれぞれ専用に形成する4つの作像装置10Y,10M,10C,10Kで構成されている。この4つの作像装置10(Y,M,C,K)は、筐体1aの内部空間において1列に並べた状態となるよう配置されている。
【0026】
各作像装置10(Y,M,C,K)は、図1に示されるように、回転する像保持体の一例としての感光体ドラム11を備えており、この感光体ドラム11の周囲に、次のような各装置が主に配置されている。主な装置とは、感光体ドラム11の像形成が可能な周面(像保持面)を所要の電位に帯電させる帯電装置12と、感光体ドラム11の帯電された周面に画像の情報(信号)に基づく光LBを照射して電位差のある(各色用の)静電潜像を形成する静電潜像形成手段としての露光装置13と、その静電潜像を対応する色(Y,M,C,K)の現像剤のトナーで現像してトナー像にする現像手段としての現像装置14(Y,M,C,K)と、その各トナー像を中間転写装置20に転写する一次転写装置15と、一次転写後における感光体ドラム11の像保持面に残留して付着するトナー等の付着物を取り除いて清掃するドラム清掃装置16等である。
【0027】
感光体ドラム11は、接地処理される円筒状又は円柱状の基材の周面に感光材料からなる光導電性層(感光層)を有する像保持面を形成したものである。この感光体ドラム11は、図示しない回転駆動装置から動力が伝達されて矢印Aで示す方向に回転するように支持されている。
【0028】
帯電装置12は、感光体ドラム11に接触した状態で配置される接触型の帯電ロールで構成される。帯電装置12には帯電用電圧が供給される。帯電用電圧としては、現像装置14が反転現像を行うものである場合、その現像装置14から供給されるトナーの帯電極性と同じ極性の電圧又は電流が供給される。
【0029】
露光装置13は、画像形成装置1に入力される画像の情報に応じて構成される光LBを、帯電された後の感光体ドラム11の周面に対して照射して静電潜像を形成するものである。露光装置13には、潜像形成時になると画像形成装置1に任意の手段で入力され、画像処理部で画像処理された画像の情報(信号)が送信される。
【0030】
現像装置14(Y,M,C,K)はいずれも、図2に示されるように、開口部141と現像剤4の収容室142が形成された筐体140の内部に、現像剤4を保持して感光体ドラム11と向き合う現像領域まで搬送する現像ロール143と、現像剤4を攪拌しながら現像ロール143に供給するよう搬送する2つのスクリューオーガー等の攪拌搬送部材144,145と、現像ロール143に保持される現像剤の量(層厚)を規制する層厚規制部材146などを配置して構成されたものである。この現像装置14には、その現像ロール143と感光体ドラム11の間に現像用のバイアス電圧が後述する電源装置から供給される。また、現像ロール143や攪拌搬送部材144,145は、図示しない回転駆動装置からの動力が伝達されて所要の方向に回転する。上記4色の現像剤4(Y,M,C,K)としては、例えば、非磁性トナーと磁性キャリアを含む二成分現像剤が使用される。
【0031】
なお、図1中、符号147(Y,M,C,K)は、対応する現像装置14(Y,M,C,K)に供給する少なくともトナーを含む現像剤を収容した現像剤収納容器としてのトナーカートリッジをそれぞれ示している。
【0032】
一次転写装置15は、感光体ドラム11の周面に接触して回転するとともに一次転写用電圧が供給される一次転写ロールを備えた接触型の転写装置である。一次転写用電圧としては、トナーの帯電極性と逆の極性を示す直流の電圧が図示しない電源装置から供給される。
【0033】
ドラム清掃装置16は、一部が開口する容器状の本体と、一次転写後の感光体ドラム11の周面に所要の圧力で接触するように配置されて残留トナー等の付着物を取り除いて清掃する清掃板と、清掃板により取り除かれた付着物を回収する回収装置等で構成されている。
【0034】
中間転写装置20は、図1に示されるように、各作像装置10(Y,M,C,K)の上方の位置に存在するように配置される。この中間転写装置20は、感光体ドラム11と一次転写装置15(一次転写ロール)の間となる一次転写位置を通過しながら矢印Bで示す方向に回転する中間転写ベルト21と、中間転写ベルト21をその内面から所望の状態に保持して回転自在に支持する複数のベルト支持ロール22〜26と、ベルト支持ロール23に支持されている中間転写ベルト21の外周面(像保持面)側に配置されて中間転写ベルト21上のトナー像を記録用紙5に二次転写させる二次転写装置30と、二次転写装置30を通過した後に中間転写ベルト21の外周面に残留して付着するトナー、紙粉等の付着物を取り除いて清掃するベルト清掃装置27とで主に構成されている。
【0035】
中間転写ベルト21としては、例えばポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等の合成樹脂にカーボンブラック等の抵抗調整剤などを分散させた材料で製作される無端状のベルトが使用される。また、ベルト支持ロール22は駆動ロールとして構成され、ベルト支持ロール23は二次転写のバックアップロールとして構成され、ベルト支持ロール24は張力付与ロールとして構成され、ベルト支持ロール25,26は中間転写ベルト21の走行位置などを保持する従動ロールとして構成されている。なお、ベルト支持ロール25は、後述する画像濃度センサによって中間転写ベルト21の表面に転写されたトナー像の濃度を検知する際に、中間転写ベルト21の位置決めを行う位置決めロールとしても機能する。
【0036】
二次転写装置30は、図1に示されるように、中間転写装置20におけるベルト支持ロール23に支持されている中間転写ベルト21の外周面部分である二次転写位置において、中間転写ベルト21の周面に接触して回転するとともに二次転写用電圧が供給される二次転写ロール31を備えた接触型の転写装置である。また、二次転写ロール31又は中間転写装置20の支持ロール23には、トナーの帯電極性と逆極性又は同極性を示す直流の電圧が二次転写用電圧として供給される。
【0037】
定着装置40は、表面温度が予め定められた温度に保持されるよう加熱手段によって加熱されるロール形態又はベルト形態の加熱用回転体41と、この加熱用回転体41に所要の圧力で接触して回転するロール形態又はベルト形態の加圧用回転体42などを配置して構成されたものである。この定着装置40では、加熱用回転体41と加圧用回転体42が接触する接触部が所要の定着処理(加熱及び加圧)を行う定着処理部となる。なお、定着装置40の下流側には、定着処理された記録用紙5を排出する排紙ロール43が配置されている。
【0038】
給紙装置50は、露光装置13の下方側の位置に存在するように配置される。この給紙装置50は、所望のサイズ、種類等の記録用紙5を積載した状態で収容する単数(又は複数)の用紙収容体51と、用紙収容体51から記録用紙5を1枚ずつ送り出す送出装置52,53とで主に構成されている。用紙収容体51は、例えば、筐体1aの正面(使用者が操作時に向き合う側面)側に引き出すことができるように取り付けられている。
【0039】
給紙装置50と二次転写装置30との間には、給紙装置50から送り出される記録用紙5を二次転写位置まで搬送する複数の用紙搬送ロール対54,55や搬送ガイド材で構成される給紙搬送路56が設けられている。給紙搬送路56において二次転写位置の直前の位置に配置される用紙搬送ロール対55は、例えば記録用紙5の搬送時期を調整するロール(レジストロール)として構成されている。さらに、定着装置40の用紙搬送方向に沿った下流側には、排紙ロール43により搬送される記録用紙5の搬送方向を切り替える図示しない切替部材と、切替部材によって搬送方向が一方(図中左側)に切り替えられた記録用紙5を第1の排出収容部71へと排出する第1の排出ロール対72と、切替部材によって搬送方向が他方(図中右側)に切り替えられた記録用紙5を排出する第2の排出収容部73へと排出する第2の排出ロール対74とが配置されている。
【0040】
画像形成装置1は、片面に画像が形成された記録用紙5をその表裏を反転させた状態で再び用紙搬送ロール対55まで搬送する両面用搬送路75を備えている。この両面用搬送路75は、複数の用紙搬送ロール対76,77や搬送ガイド材で構成されている。また、画像形成装置1には、両面用搬送路75が設けられた筐体1aの側面に、所望のサイズや材質の記録用紙5を1枚ずつ給紙する手差し給紙装置78が設けられている。手差し給紙装置78と用紙搬送ロール対55との間には、用紙搬送ロール対79や搬送ガイド材で構成される手差し用搬送路80を備えるよう構成されている。
【0041】
<画像形成装置の基本的な動作>
以下、画像形成装置1による基本的な画像形成動作について説明する。
【0042】
前記4つの作像装置10(Y,M,C,K)を使用して、4色(Y,M,C,K)のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像を形成するときの画像形成動作を説明する。
【0043】
画像形成装置1は、画像形成動作(プリント)の要求の指令情報を受けると、4つの作像装置10(Y,M,C,K)、中間転写装置20、二次転写装置30、定着装置40等が始動する。
【0044】
そして、各作像装置10(Y,M,C,K)においては、まず各感光体ドラム11が矢印Aで示す方向に回転し、各帯電装置12が各感光体ドラム11の表面を所要の極性(実施の形態1ではマイナス極性)及び電位にそれぞれ帯電させる。続いて、露光装置13が、帯電後の感光体ドラム11の表面に対し、画像形成装置1に入力される画像の情報を各色成分(Y,M,C,K)に変換して得られる画像の信号に基づいて発光される光LBを照射し、その表面に所要の電位差で構成される各色成分の静電潜像をそれぞれ形成する。
【0045】
続いて、各現像装置14(Y,M,C,K)が、感光体ドラム11に形成された各色成分の静電潜像に対し、所要の極性(マイナス極性)に帯電された対応する色(Y,M,C,K)のトナーをそれぞれ供給して静電的に付着させて現像を行う。この現像により、各感光体ドラム11に形成された各色成分の静電潜像は、その対応する色のトナーでそれぞれ現像された4色(Y,M,C,K)のトナー像として顕像化される。
【0046】
続いて、各作像装置10(Y,M,C,K)の感光体ドラム11上に形成された各色のトナー像が一次転写位置まで搬送されると、一次転写装置15が、その各色のトナー像を中間転写装置20の矢印Bで示す方向に回転する中間転写ベルト21に対して順番に重ね合わせるような状態で一次転写させる。
【0047】
また、一次転写が終了した各作像装置10では、ドラム清掃装置16が感光体ドラム11の表面に残留するトナー等の付着物を掻き取るように除去して感光体ドラム11の表面を清掃する。これにより、各作像装置10は次の作像動作が可能な状態にされる。
【0048】
続いて、中間転写装置20では、中間転写ベルト21の回転により一次転写されたトナー像を保持して二次転写位置まで搬送する。一方、給紙装置50では、作像動作に合わせて所要の記録用紙5を給紙搬送路56に送り出す。給紙搬送路56では、レジストロールとしての用紙搬送ロール対55が記録用紙5を転写時期に合わせて二次転写位置に送り出して供給する。
【0049】
二次転写位置においては、二次転写装置30が、中間転写ベルト21上のトナー像を記録用紙5に一括して二次転写させる。また、二次転写が終了した中間転写装置20では、ベルト清掃装置27が、二次転写後の中間転写ベルト21の表面に残留したトナー等の付着物を取り除いて清掃する。
【0050】
続いて、トナー像が二次転写された記録用紙5は、中間転写ベルト21と二次転写ロール31から剥離された後に定着装置40まで搬送される。定着装置40では、必要な定着処理(加熱及び加圧)をして未定着のトナー像を用紙5に定着させる。最後に、定着が終了した後の記録用紙5は、図示しない切替部材を介して第1の排出ロール対72又は第2の排出ロール対74により、例えば筐体1aの外部に設置された第1の排出収容部71又は筐体1aの上部に配置された第2の排出収容部73に排出される。
【0051】
また、記録用紙5の両面に画像を形成する場合は、片面に画像が形成された用紙5を第2の排出ロール対74により第2の排出収容部73へと搬送し、第2の排出ロール対73が用紙5の後端を保持している間に、第2の排出ロール対74の回転方向を排出方向から逆方向へと切り替えるとともに、片面に画像が形成された用紙5をその表裏を反転した状態で図示しない切替部材によって両面用搬送路75へと送り出す。両面用搬送路75では、記録用紙5を搬送ロール対76,77により用紙搬送ロール対55まで搬送し、用紙搬送ロール対55が記録用紙5を転写時期に合わせて二次転写位置に送り出して供給する。
【0052】
そして、片面の画像形成時と同様に、二次転写位置において中間転写ベルト21から裏面にトナー像が二次転写された記録用紙5は、定着装置40により定着処理を受けた後、図示しない切替部材を介して第1の排出ロール対72又は第2の排出ロール対73により、筐体1aの外部に設置された第1の排出収容部71又は筐体1aの上部に配置された第2の排出収容部74に排出される。
【0053】
以上の動作により、4色のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像が形成された記録用紙5が出力される。なお、モノクロの画像を形成する場合は、ブラックの作像装置10Kのみにより画像形成が行われる。
【0054】
ところで、上記の如く構成される画像形成装置1では、各現像装置14(Y,M,C,K)により感光体ドラム11の周面に形成された静電潜像を現像することで、各現像装置14内のトナーが消費される。そのため、各現像装置14には、後述する搬送手段としてのトナー補給装置によって現像剤収納容器としてのトナーカートリッジ147から所要のタイミングでトナーを補給するよう構成されている。
【0055】
図3はこの実施の形態1に係る画像形成装置の要部を示す構成図である。
【0056】
トナー補給装置90(Y,M,C,K)は、トナーカートリッジ147の下方に配置され、トナーカートリッジ147から供給されるトナーを一時的に貯留する貯留タンク等からなる貯留部材91と、貯留部材91に一時的に貯留されたトナーを現像装置14へと搬送するスクリューオーガや搬送パイプ等からなる搬送部材92とを備えている。トナーカートリッジ147は、その内部に収納されたトナーを攪拌しつつ図示しない排出口へと搬送する図示しない攪拌搬送部材を有している。トナー補給装置90及びトナーカートリッジ147は、駆動手段としてのトナー補給モータ93により駆動される。なお、トナー補給装置90(Y,M,C,K)は、貯留部材91を備えることなく、トナーカートリッジ147から現像装置14へ直接トナーを補給するように構成しても良い。
【0057】
また、各現像装置14は、図2及び図3に示されるように、内部に収容された現像剤4のトナー濃度を検知する診断対象装置としてのトナー濃度センサ148を備えている。トナー濃度センサ148としては、例えば、現像剤4の透磁率を測定することにより現像剤4中のトナー濃度を検知するものが用いられる。
【0058】
トナー補給装置90は、貯留部材91内のトナーの有無を検知するトナー空検知センサ151を備えている。また、中間転写ベルト21の外周において、ブラックの作像装置10Kの下流側に当該中間転写ベルト21上に予め定められたタイミングで形成される画像濃度検知用のトナー像152(所謂、「トナーパッチ」)の濃度を検知する画像濃度センサ153が配置されている。
【0059】
上記の如く構成される画像形成装置1は、図3に示されるように、当該画像形成装置1を構成する各種装置の動作状態を検知する検知手段(診断対象装置の一例)として、トナー濃度センサ148やトナー空検知センサ151、画像濃度センサ153等を備えている。
【0060】
ところで、この実施の形態では、検知手段(診断対象装置の一例)としてのトナー濃度センサ148やトナー空検知センサ151、画像濃度センサ153等の故障を診断する故障診断装置を有している。
【0061】
図4はこの実施の形態1に係る故障診断装置を適用した画像形成装置の制御回路を示すブロック図である。
【0062】
図4において、101は画像形成装置1の全体の動作を統括して制御する制御手段としての制御部を示すものであり、制御部101はコントローラーとしての機能を備えている。102は画像形成装置1の動作を制御するためのプログラムやパラメータ、テーブルあるいはデータ等を記憶するROMやRAM等からなる記憶部を示している。なお、制御部101は日時を計側する経時手段としての機能や、画像形成装置1によって画像が形成された記録用紙5の枚数を累積的に計数する計数手段としての機能をも兼ね備えている。
【0063】
103は画像形成装置1に使用するユーザが記録用紙5のサイズやプリント枚数、モノクロやフルカラー等の画像形成条件を入力するための操作を行うとともに、ユーザに対してサービスエンジニアを呼ぶことを促すメッセージなどを表示する表示部を備えたユーザインターフェイス等からなる操作表示部を示している。
【0064】
104は画像形成装置1がカラー複写機として機能する場合に原稿の画像を読み取る画像読取部、105は画像読取部104で読み取られるか又は外部から送られてくる画像情報(データ)を一時的に記憶する画像記憶部、106は画像記憶部105に記憶された画像データに対して所要の画像処理を施す画像処理部、107は画像処理部106で所要の画像処理が施された画像データに基づいて記録媒体5に対して画像を形成する画像形成(プリント)動作を行う画像形成手段としての画像形成部をそれぞれ示している。
【0065】
また、制御部101は、診断対象装置から出力される情報に基づいて故障の発生状態を診断する診断情報を収集する収集手段と、診断対象装置から出力される情報が予め定められた状態に遷移したとき収集手段による診断情報の収集を許可する収集許可信号を生成する生成手段と、収集許可信号が生成された後に再収集許可条件を満たすまで、生成手段による収集許可信号の再生成を禁止する禁止手段としての機能を兼ね備えている。
【0066】
更に説明すると、制御部101は、トナー濃度センサ148から出力される情報に基づいて故障の発生状態を診断する診断情報を収集する収集手段として機能する。また、制御部101は、トナー濃度センサ148の診断情報が予め定められた状態に遷移したとき収集手段による診断情報の収集を許可する収集許可信号としての診断トリガTrを生成する。また、制御部101は、診断トリガTrを生成した後に再収集許可条件を満たすまで、生成手段による収集許可信号の再生成を禁止する禁止手段として機能する。
【0067】
ここで、再収集許可条件としては、例えば、診断トリガが生成されてから予め定められた時間が経過したこと、診断トリガが生成されてから予め定められた枚数の記録用紙が出力されたこと、或いは診断トリガが生成されてから予め定められた回数だけトナー濃度センサからの出力が所要状態へ遷移したことが検出されたこと等の条件を挙げることができる。
【0068】
<画像形成装置の特徴部分の動作>
以下、画像形成装置1の特徴となる部分の動作について説明する。
【0069】
画像形成装置1は、例えば、装置の電源が投入されると、画像形成動作等と並行して当該画像形成装置1を構成する帯電装置12や現像装置14、或いは定着装置40等の各種装置の動作状態を検知する検知手段が正常に動作しているか否かを診断するための情報を収集する動作を実行する。
【0070】
制御部101は、図5(b)に示されるように、例えばトナー濃度センサ148から出力される出力値を記憶部102に記憶された正常範囲(OK)か異常範囲(NG)かを識別する第1及び第2の閾値に基づいて常時監視しており、トナー濃度センサ148の出力値が正常範囲(OK)と異常範囲(NG)との間においてどのように遷移したかによって診断トリガTrの生成の要否を判定する。ここで、診断トリガとは画像形成装置1の診断対象装置の故障診断を行うため、診断対象装置の各種情報を収集する契機となるフラグ情報を意味する。制御部101は、トナー濃度センサ148からの出力値が第1の閾値以上であり且つ第2の閾値以下の場合に正常範囲(OK)であると判定し、トナー濃度センサ148からの出力値が第1の閾値未満か又は第2の閾値を超える場合は、異常範囲(NG)であると判定する。
【0071】
そして、制御部101は、図5(a)に示されるように、基本的に、トナー濃度センサ148の出力値が正常範囲(OK)から異常範囲(NG)へと遷移したことを検知すると、これを契機として診断トリガTrを生成する。制御部101は、診断トリガTrを生成すると、当該診断トリガTrの生成と同期してトナー濃度センサ148の出力値に関連する診断情報を収集し、記憶部102の予め定められた領域に記憶する。ここで、診断情報としては、正常範囲(OK)から異常範囲(NG)へと遷移したときのトナー濃度センサ148の出力値、出力値が異常範囲(NG)であることを示す異常情報、診断トリガTrが生成されたときの時刻情報、正常範囲(OK)から異常範囲(NG)へと遷移したときの時刻情報、画像形成装置1の動作状況(現像装置14が動作中か否か等)、プリント枚数などのトナー濃度センサ148の動作状態を診断するための情報が挙げられる。
【0072】
また、制御部101は、トナー濃度センサ148の出力値が正常範囲(OK)から異常範囲(NG)へ遷移した後に継続して異常範囲(NG)にある場合、正常範囲(OK)に一旦遷移した後に正常範囲(OK)から異常範囲(NG)へと遷移しない限り診断トリガTrを生成しない。さらに、制御部101は、診断トリガTrを生成した後に再収集許可条件を満たすまで、診断トリガTrの再生成を禁止する。
【0073】
ここで、再収集許可条件としては、診断トリガTrを生成してから予め定められた規定時間が経過したこと、予め定められた規定枚数の記録用紙5に画像が形成されたこと、トナー濃度センサ148による検知回数が予め定められた回数に達したことなどが挙げられる。本実施の形態では、診断トリガを生成してから予め定められた規定時間が経過したことを再収集許可条件としている。
【0074】
制御部101は、トナー濃度センサ148の出力値が正常範囲(OK)から異常範囲(NG)へ遷移して診断トリガTrを生成した後、再収集許可条件として予め定められた規定時間が経過したか否かを判定し、予め定められた規定時間の経過前においては、図5(b)に示されるように、トナー濃度センサ148の出力値が正常範囲(OK)から異常範囲(NG)へ遷移した場合であっても診断トリガTrの生成を禁止する。一方、予め定められた規定時間の経過後は、トナー濃度センサ148の出力値が正常範囲(OK)から異常範囲(NG)へ遷移した場合における診断トリガTrの生成を許可する。
【0075】
また、制御部101は、図5(c)に示されるように、トナー濃度センサ148の出力値が正常範囲(OK)から異常範囲(NG)へ遷移したと判定すると、そのときの時刻情報(例えば、2013/3/12 11:00)を計測して記憶部102に記憶する。さらに、制御部101は、トナー濃度センサ148の出力値が異常範囲(NG)から正常範囲(OK)へ遷移したと判定すると、そのときの時刻情報(例えば、2013/3/12 12:15)を計測して記憶部102に記憶するとともに、両者の差分をとることで異常範囲(NG)が継続していた異常動作期間(1h15min)を算出し、当該異常動作期間(1h15min)の値を記憶部102に記憶する。
【0076】
このように、上記実施の形態1によれば、トナー濃度センサ148の動作が不安定となり、トナー濃度センサ148の出力値が正常範囲(OK)と異常範囲(NG)との間で繰り返し変動する所謂チャタリングが発生した場合などにおいても、診断トリガTrが多重に生成され、トナー濃度センサ148の動作状態を診断するための情報量が増加することを防止乃至抑制することができる。
【0077】
また、上記実施の形態1では、異常動作期間(1h15min)に基づいてトナー濃度センサ148に発生した故障の深刻度を判定することができ、異常動作期間を予め定められた閾値と比較することにより、トナー濃度センサ148の故障が一時的なものであるのか、サービスエンジニア等による点検が必要であるのかといった判断が可能となる。
【0078】
なお、制御部101は、再収集許可条件を満たさない期間に異常範囲(NG)が継続していた期間の算出を継続してもよい。この場合には、再収集許可条件を満たしたときに、異常状態が継続していた期間の履歴を知ることができる。
【0079】
[実施の形態2]
図6は実施の形態2に係る故障診断装置を適用した画像形成装置の動作を示す説明図である。
【0080】
この実施の形態2において生成手段として機能する制御部101は、検知手段から出力される検知情報が異常状態から正常状態に遷移したとき診断トリガを生成するよう構成されている。
【0081】
次に、この実施の形態2についてトナー濃度センサ148を例に説明する。制御部101は、図6(b)に示されるように、トナー濃度センサ148の出力値が正常範囲(OK)と異常範囲(NG)との間で遷移することに応じて、トナー濃度センサ148の出力が異常範囲(NG)から正常範囲(OK)に遷移した場合に診断トリガTrを生成する。また、制御部101は、一度診断トリガTrを生成すると、トナー濃度センサ148の出力値が継続して正常範囲(OK)内に存在する場合でも、異常状態(NG)に一旦遷移した後に正常状態(OK)に遷移しない限り診断トリガTrを生成しない。さらに、制御部101は、診断トリガTrを生成した後に再収集許可条件を満たすまで、診断トリガTrの再生成を禁止する。
【0082】
制御部101は、図6(c)に示されるように、トナー濃度センサ148の出力値が正常範囲(OK)から異常範囲(NG)へ遷移したときの時刻情報(例えば、2013/3/12 11:00)を計測して記憶部102に記憶し、トナー濃度センサ148の出力値が異常範囲(NG)から正常範囲(OK)へ遷移したときの時刻情報(例えば、2012/9/12 12:15)を計測して両者の差分をとることで、異常状態が継続していた期間(1h15min)を算出し、記憶部102に記憶する。
【0083】
この実施の形態2では、トナー濃度センサ148の出力値が異常範囲(NG)から正常範囲(OK)へ遷移したときに診断トリガTrを生成することで、トナー濃度センサ148の出力値として直前の異常範囲(NG)が継続していた期間としての診断情報を取得することができる。そのため、制御部101は、トナー濃度センサ148の出力値として直前の異常範囲(NG)が継続していた期間が長時間に及ぶ場合など、即時に対応することが可能となる。
【0084】
なお、制御部101は、図6(d)に示されるように、再収集許可条件を満たさない期間に異常範囲(NG)が継続していた期間の算出を継続してもよい。この場合には、再収集許可条件を満たしたときに、異常状態が継続していた期間の履歴を知ることができる。
【0085】
[実施の形態3]
図7は実施の形態3に係る故障診断装置を適用した画像形成装置の動作を示す説明図である。
【0086】
この実施の形態3に係る制御部101は、診断対象装置から出力される情報が予め定められた状態に遷移したとき収集手段による診断情報の収集を許可する収集許可信号を生成する生成手段と、収集許可条件を満たすときに生成手段による収集許可信号の生成を許可する許可手段としての機能を兼ね備えるように構成している。
【0087】
次に、実施の形態3に係る故障診断装置を適用した画像形成装置の動作について、診断対象装置がトナー濃度センサ148である場合を例に説明する。制御部101は、図7(b)に示されるように、トナー濃度センサ148の出力値が正常範囲(OK)と異常範囲(NG)との間で状態が遷移した場合、トナー濃度センサ148の出力値が異常範囲(NG)であり、かつ、診断トリガの収集許可条件を満たす場合に診断トリガTrを生成する。ここで、収集許可条件としては、例えば、予め定められた一定の時間tが経過するごとの時期に設定される。つまり、予め定められた一定の時間tが経過するごとに収集許可条件を満たすことになる。
【0088】
制御部101は、図7(a)に示されるように、トナー濃度センサ148の出力値を予め定められた一定の時間間隔tごとに判定し、トナー濃度センサ148の出力値が異常範囲(NG)である場合は診断トリガTrを生成する。診断トリガTrを生成すると、制御部101は、トナー濃度センサ148の出力に関する診断情報を収集し、記憶部102に記憶する。
【0089】
制御部101は、図7(c)に示されるように、トナー濃度センサ148の出力値が正常範囲(OK)から異常範囲(NG)へ遷移したときの時刻情報(例えば、2013/3/12 11:00)を計測し、当該時刻情報を記憶部102に記憶する。また、制御部101は、診断トリガTrが生成されたときの時刻情報(例えば、2013/3/12 11:15)を計測して記憶部102に記憶するとともに両者の差分を算出することで、異常範囲(NG)が継続している期間(15min)を算出する。
【0090】
さらに、制御部101は、診断トリガTrを生成した後に、診断トリガTrの再生成を禁止する期間を設けても良い。この場合、図7(d)に示されるように、診断トリガTrの再生成が禁止されている期間であっても、異常範囲(NG)が継続していた期間の算出を継続してもよい。トナー濃度センサ148の出力値が正常範囲(OK)から異常範囲(NG)へ遷移したときの時刻情報(例えば、2013/3/12 11:00)を計測して、当該時刻情報を記憶部102に記憶する。また、制御部101は、異常状態(NG)から正常状態(OK)へ遷移したときの時刻情報(例えば、2013/3/12 12:15)を計測して記憶部102に記憶するとともに、両者の差分をとることで、異常範囲(NG)が継続していた期間を算出し、次の正常範囲(OK)から異常範囲(NG)へ遷移したときの情報(例えば、2013/3/12 13:00)を記憶しておき、診断トリガTrの生成タイミング時の情報(例えば、2013/3/12 13:15)との差分をとることで、異常状態が継続している期間を算出しても良い。
【0091】
この場合、診断トリガTrの生成タイミングにおいて現時点で異常範囲(NG)が継続している期間と、前回の異常範囲(NG)が継続していた期間の両方の情報を取得することができる。
【0092】
このように、実施の形態3では、トナー濃度センサ148の出力値が異常範囲(NG)であり、且つ収集許可条件を満たす場合にのみ診断トリガTrを生成することで、トナー濃度センサ148の故障を診断するための情報量を抑制することが可能となる。また、この実施の形態3では、収集許可条件が予め定められた一定の時間が経過するごとに設定されているため、トナー濃度センサ148の故障を診断するための情報を確実に収集することができる。
【0093】
さらに、実施の形態3では、トナー濃度センサ148の出力値が異常範囲(NG)であるときに診断トリガTrを生成することで、トナー濃度センサ148の出力値が正常範囲(OK)から異常範囲(NG)に遷移したときの時刻情報を予め取得しておくことにより、トナー濃度センサ148の出力値が異常範囲(NG)に遷移した期間に関する情報を取得することができ、故障に対する対応の必要度を判断することが可能となる。
【0094】
なお、収集許可条件としては、予め定められた一定の時間tが経過するごとに限定されるものではなく、予め定められた規定枚数の記録用紙5が出力されるごと、予め定められた規定回数の異常状態が検出されるごと等を用いてもよい。
【0095】
なお、前記実施の形態では、診断対象装置としてトナー濃度センサを用いた場合について説明したが、本発明に係る故障診断装置では、正常範囲から異常範囲が規定できる装置であればよく、光学トナー濃度センサ、表面電位センサ、温度/湿度センサ等を対象としても良い。
【0096】
また、本発明に係る故障診断装置では、正常範囲と異常範囲が規定できればよく、例えば、感光体ドラムの表面電位や、現像装置の現像バイアス電圧などの各種制御設定値を有する装置を対象としても良い。
【0097】
さらに、本発明に係る故障診断装置では、正常範囲と異常範囲が規定できればよく、各種装置の検出値または各種制御設定値の各々の目標値に対する検出値の差分量を対象としても良い。
【0098】
また、本発明に係る故障診断装置では、診断情報として異常状態の深刻度が分かる情報であれば良く、異常状態継続期間の代わりに、画像形成装置の電源投入時や予め定められたタイミングで実行される画像濃度調整セットアップの成功率などを用いても良い。
【0099】
本発明に係る故障診断装置では、収集許可条件を適宜設定することにより、診断トリガの生成数を任意に変えることが可能であり、診断対象装置から出力される情報量が多い場合には、実施の形態1又は実施の形態2のように診断トリガの生成数が少なくなる構成を選択することが望ましい。
【0100】
一方、画像濃度調整セットアップ時などの特定条件が揃ったときのみに情報が出力される場合のように、診断対象装置から出力される情報量が少ない場合には、実施の形態3のような構成を選択することが望ましい。
【0101】
[実施の形態4]
図8は実施の形態4に係る故障診断システムを示す構成図である。
【0102】
故障診断システム200は、図8に示されるように、複数の画像形成装置1がネットワーク201を介して故障診断システムの管理装置としての管理サーバ202と通信可能に接続されている。管理サーバ202は、画像形成装置1から送信される診断情報に基づいて画像形成装置1の故障等を診断して管理し、サービスマンの手配の指示等を管理業者に送信する。
【0103】
各画像形成装置11,12,13の制御部101は、図9に示されるように、所要の情報を外部装置に対して送信する送信手段としての送信部108を備えており、診断対象装置の診断情報を管理サーバ202に送信する。なお、サーバ202は、画像形成装置1から送信された情報を受信する受信手段として図示しない受信部を備えている。
【0104】
故障管理システム200における管理サーバ202は、各画像形成装置11,12,13から送信される診断情報に基づいて診断対象装置の異常深刻度を判定するための閾値を備えており、その判定結果からサービスエンジニアの対応の必要性を判断する。ここでは、異常深刻度として異常状態の継続期間を採用している。
【0105】
図10にサービスエンジニアの対応の必要性を判断する判断方法を示す。管理サーバ202は、診断トリガTrの生成時に各画像形成装置11,12,13から送信される診断情報のうち異常状態継続期間に応じて次に示すような動作を行う。管理サーバ202は、継続期間がT1(例えば、15分)より短いと判定した場合、継続して診断対象装置の診断情報を監視し、継続期間が15分以上45分以下の場合は、画像形成装置1の操作表示部に診断対象装置が故障しているおそれがある旨のアラート(警告)を表示し、継続期間が45分を超える場合は、画像形成装置1の操作表示部に「サービスエンジニアを呼んでください」等のようにサービスエンジニアによる対応を促すメッセージを表示する。
【0106】
このように、実施の形態3では、管理サーバ202によって複数の画像形成装置11,12,13における故障の診断が可能となる。
【0107】
[実施の形態5]
図11は実施の形態5に係る故障診断システムを示す構成図である。
【0108】
この実施の形態5に係る故障診断システム200では、図11に示されるように、管理サーバ202がサービスエンジニアの対応の必要性を判断する判断方法が実施の形態4と異なるように構成されている。
【0109】
図11はサービスエンジニアの対応の必要性を判断する判断方法を示す図表である。
【0110】
管理サーバ202は、診断トリガTrの生成時に各画像形成装置11,12,13から送信される診断情報のうち異常状態継続期間に応じて次に示すような動作を行う。この実施の形態5では、異常状態継続期間として、診断トリガTrの生成時における異常状態継続期間Yと、前回の異常状態継続期間Xとの双方の値に基づいてサービスエンジニアの対応の必要性を判断している。
【0111】
管理サーバ202は、まず、前回の異常状態継続期間Xに基づいてサービスエンジニアの対応の必要性を異ならせている。前回の異常状態継続期間XがT1(例えば、15分)より短いと判定した場合には、今回の異常状態継続期間YがT1(例えば、15分)より短いと判定すると、継続して診断対象装置の診断情報を監視し(第1の監視状態)、今回の異常状態継続期間Yが15分以上45分以下の場合は、画像形成装置1の操作表示部に診断対象装置が故障しているおそれがある旨のアラート(第1の警告)を表示し、継続期間が45分を超える場合は、画像形成装置1の操作表示部に「サービスエンジニアを呼んでください」等のようにサービスエンジニアによる対応を促すメッセージ(第1のサービスコール)を表示する。
【0112】
次に、前回の異常状態継続期間XがT1(例えば、15分)以上であり且つT2(例えば、45分)以下であると判定した場合には、今回の異常状態継続期間YがT1(例えば、15分)より短いと判定すると、継続して診断対象装置の診断情報を監視し(第2の監視状態)、今回の異常状態継続期間Yが15分以上45分以下の場合は、画像形成装置1の操作表示部に診断対象装置が故障しているおそれがある旨のアラート(第2の警告)を表示し、継続期間が45分を超える場合は、画像形成装置1の操作表示部に「サービスエンジニアを呼んでください」等のようにサービスエンジニアによる対応を促すメッセージ(第2のサービスコール)を表示する。
【0113】
さらに、前回の異常状態継続期間XがT3(例えば、45分)を超えていると判定した場合には、今回の異常状態継続期間YがT1(例えば、15分)より短いと判定すると、継続して診断対象装置の診断情報を監視し(第3の監視状態)、今回の異常状態継続期間Yが15分以上45分以下の場合は、画像形成装置1の操作表示部に診断対象装置が故障しているおそれがある旨のアラート(第3の警告)を表示し、継続期間が45分を超える場合は、画像形成装置1の操作表示部に「サービスエンジニアを呼んでください」等のようにサービスエンジニアによる対応を促すメッセージ(第3のサービスコール)を表示する。
【0114】
なお、上記第1乃至第3の監視状態、第1乃至第3の警告、及び第1乃至第3のサービスコールは、第1<第2<第3の順番で深刻度が大きくなるよう設定されている。第1乃至第3の監視状態は、異常状態が解消される可能性を示し、数字が大きい程その可能性が高いことを意味する。また、第1乃至第3の警告は、今後サービスマンの対応が必要となる可能性を示し、数字が大きい程その可能性が高いことを意味する。さらに、第1のサービスコールは、異常が発生した装置の定期メンテナンス訪問時に対応すればよいことを意味している。また、第2のサービスコールは、異常が発生した装置または、当該装置が設置された近隣エリアへの定期・非定期メンテナンス訪問時に対応すればよいことを意味する。さらに、第3のサービスコールは、異常が発生した装置を直ちにメンテナンス訪問する必要があることを意味する。
【符号の説明】
【0115】
1…画像形成装置
14…現像装置
101…制御部
148…トナー濃度センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11