特許第6160248号(P6160248)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6160248
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】吸気装置
(51)【国際特許分類】
   F02M 35/104 20060101AFI20170703BHJP
   F02M 35/10 20060101ALI20170703BHJP
【FI】
   F02M35/104 N
   F02M35/10 301P
【請求項の数】12
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-112533(P2013-112533)
(22)【出願日】2013年5月29日
(65)【公開番号】特開2014-231771(P2014-231771A)
(43)【公開日】2014年12月11日
【審査請求日】2016年4月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】仙田 智久
【審査官】 川口 真一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−009883(JP,A)
【文献】 特開2006−057509(JP,A)
【文献】 特開平10−339224(JP,A)
【文献】 特開2010−285916(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 35/104
F02M 35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ピースと、
サージタンクを構成し、前記第1ピースと接合される中間ピースと、
前記サージタンクと連通する複数の吸気通路上流部を含み、前記中間ピースと接合される第2ピースとを備え、
前記第1ピースと前記中間ピースとは、複数の前記吸気通路上流部のそれぞれと連通する複数の吸気通路下流部を構成し、
複数の前記吸気通路上流部および複数の前記吸気通路下流部を含む吸気通路は、前記サージタンクの周りを囲むように形成され、
前記第2ピースは、さらに、複数の前記吸気通路下流部のそれぞれと内燃機関の吸気ポートとを連結するフランジ部を含み、
前記第2ピースの前記吸気通路上流部は、前記吸気通路に沿って円弧状に延びる筒状部を有し、
前記フランジ部は、前記円弧状に延びる筒状部を有する前記吸気通路上流部に隣接するように形成されており、
前記第2ピースの前記吸気通路上流部は、前記吸気通路に沿った縦断面において、前記第2ピースに含まれる2つの壁部により区画され
前記第2ピースの前記フランジ部と、前記第2ピースの前記サージタンクまたは前記吸気通路上流部の前記フランジ部側の全ての壁部とは、隣接して一体化されているとともに、隣接して一体化された部分において前記中間ピースに対して接合される第1接合部が設けられ、
前記中間ピースの前記サージタンクと、前記中間ピースに形成された全ての前記吸気通路下流部とは、単一の第1隔壁を介して隣接するように配置されており、前記第1隔壁は、前記第2ピースの前記第1接合部と接合される第2接合部を含む、吸気装置。
【請求項2】
前記サージタンクは、前記第1隔壁と、前記第1隔壁とは反対側の第1サージタンク壁部と、前記第1隔壁の端部と前記第1サージタンク壁部の端部とを接続する第2サージタンク壁部とを含み、
前記第1隔壁および前記第2サージタンク壁部は、共に、前記サージタンクと前記吸気通路下流部とを区画している、請求項に記載の吸気装置。
【請求項3】
前記第1隔壁は、前記吸気通路上流部および前記吸気通路下流部に沿った縦断面において、前記第2接合部から直線状に延びるように形成されている、請求項またはに記載の吸気装置。
【請求項4】
前記第2接合部の肉厚と、前記第1接合部の肉厚とは、互いに等しい、請求項のいずれか1項に記載の吸気装置。
【請求項5】
前記吸気通路上流部および前記吸気通路下流部は複数設けられており、
前記フランジ部は、複数の前記吸気通路下流部のそれぞれを互いに接続するように設けられるとともに、前記サージタンクの前記フランジ部側の壁部と隣接して一体化されている、請求項のいずれか1項に記載の吸気装置。
【請求項6】
前記フランジ部が設けられた前記吸気通路下流部の下流端部分と、前記サージタンクとは、隣接して共通の第2隔壁によって区画されている、請求項に記載の吸気装置。
【請求項7】
前記第2ピースは、前記フランジ部の前記サージタンク側の外面と、前記サージタンクまたは前記吸気通路上流部の前記フランジ部側の壁部の外面とを接続するように設けられた補強リブを含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の吸気装置。
【請求項8】
前記補強リブは、前記第2ピースの前記サージタンクに対応する部分のみならず、前記第2ピースの前記吸気通路上流部に対応する壁部の外面まで延びるように形成されている、請求項に記載の吸気装置。
【請求項9】
前記補強リブは、前記フランジ部の前記サージタンク側の端部から、前記吸気通路上流部の壁部の外面に向かう接線方向に延びるように形成されている、請求項に記載の吸気装置。
【請求項10】
前記吸気通路上流部および前記吸気通路下流部は複数設けられており、
前記補強リブは、前記フランジ部と、複数の前記吸気通路上流部の各々の壁部とを接続するように複数設けられている、請求項またはに記載の吸気装置。
【請求項11】
前記筒状部は、下流側から上流側に向かうに従って流路幅が大きくなるように形成されている、請求項1〜1のいずれか1項に記載の吸気装置。
【請求項12】
前記第1ピース、前記中間ピースおよび前記第2ピースは、互いに接合可能な樹脂により形成されている、請求項1〜1のいずれか1項に記載の吸気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サージタンクと吸気通路とを複数のピースにより構成した吸気装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、上方に位置するアッパーピースと、中間に位置するミドルピースと、下方に位置するロアピースとの3ピース構成の吸気装置が開示されている。この吸気装置では、アッパーピースとミドルピースとにより、吸気通路の下流部が構成され、ミドルピースとロアピースとによってサージタンクおよび吸気通路の上流部が構成される。吸気通路は、上流側でサージタンクと連通するとともに、下流部の端部に設けられたフランジ部でエンジンの吸気ポートと接続される。
【0004】
この特許文献1では、フランジ部は、ミドルピースに一体形成されている。また、吸気装置の各ピースは、樹脂製で振動溶着によって互いに接合されている。すなわち、ミドルピースの上側壁部の下端面(溶着ライン)と、ロアピースの下側壁部の上端面(溶着ライン)とを振動溶着することにより、サージタンクの側壁が構成されている。
【0005】
なお、振動溶着は、接合する部材の接合部同士を摺動(振動)させる必要があるため、接合部近傍に振動のためのスペースが必要となる。そのため、上記特許文献1の吸気装置では、ミドルピースの上側壁部と、ロアピースの下側壁部とにより構成されるサージタンクの側壁と、フランジ部が設けられたミドルピースの吸気通路の下流部(下流側端部)の側壁とは、互いに離間して接合用の間隔を隔てて形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−251518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、近年では、吸気装置が搭載される車両などのデザイン性の要求から、吸気装置を含めたエンジンスペースの省スペース化が強く望まれている。しかしながら、上記特許文献1のような従来の吸気装置では、サージタンクの側壁と、吸気通路の下流部(下流側端部)の側壁との2つの厚肉部(壁部)を接合用の間隔を隔てて配置する必要があるため、吸気装置に接合用の間隔(スペース)を形成する分だけ吸気装置が大型化し、その結果、吸気装置の小型化を図るのが困難であるという問題点がある。また、上記特許文献1のような従来の吸気装置では、内燃機関の吸気ポートとの連結部であるフランジ部が、ミドルピースのサージタンクの側壁から間隔を隔てて離間した位置に設けられているため、内燃機関の作動時の振動伝達部分(フランジ部)と、吸気装置の重量部分(サージタンク側部分)とが長い吸気通路を介して長い距離で連結された振動しやすい構造となり、その結果、吸気装置の振動の抑制を図るのが困難であるという問題点もある。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、小型化および振動の抑制を図ることが可能な吸気装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面における吸気装置は、第1ピースと、サージタンクを構成し、前記第1ピースと接合される中間ピースと、サージタンクと連通する複数の吸気通路上流部を含み、中間ピースと接合される第2ピースとを備え、第1ピースと中間ピースとは、複数の吸気通路上流部のそれぞれと連通する複数の吸気通路下流部を構成し、複数の吸気通路上流部および複数の吸気通路下流部を含む吸気通路は、サージタンクの周りを囲むように形成され、第2ピースは、さらに、複数の吸気通路下流部のそれぞれと内燃機関の吸気ポートとを連結するフランジ部を含み、第2ピースの吸気通路上流部は、吸気通路に沿って円弧状に延びる筒状部を有し、フランジ部は、円弧状に延びる筒状部を有する吸気通路上流部に隣接するように形成されており、第2ピースの吸気通路上流部は、吸気通路に沿った縦断面において、第2ピースに含まれる2つの壁部により区画され、第2ピースのフランジ部と、第2ピースのサージタンクまたは吸気通路上流部のフランジ部側の全ての壁部とは、隣接して一体化されているとともに、隣接して一体化された部分において中間ピースに対して接合される第1接合部が設けられ、中間ピースのサージタンクと、中間ピースに形成された全ての吸気通路下流部とは、単一の第1隔壁を介して隣接するように配置されており、第1隔壁は、第2ピースの第1接合部と接合される第2接合部を含む
【0010】
この発明の一の局面による吸気装置では、上記のように、サージタンクと連通する吸気通路上流部を含み、中間ピースと接合される第2ピースに、吸気通路下流部と内燃機関の吸気ポートとを連結するフランジ部を設けることによって、第2ピースにおいて、サージタンクと連通する吸気通路上流部近傍の側壁と、フランジ部の側壁とを、少なくとも中間ピースとの接合面で連結して単一の側壁にすることができる。そのため、第2ピースと接合される中間ピース側においても、サージタンクの側壁と吸気通路下流部の側壁とを連結して単一の側壁を形成して第2ピースの単一の側壁と接合することができる。これにより、従来必要だった2つの壁部(サージタンクの側壁および吸気通路の下流部の側壁)のうちの一方と、2つの壁部を設ける場合の接合用の間隔とをそれぞれ抹消することができるので、その分、吸気装置の小型化を図ることができる。また、従来の吸気装置と同じサイズであれば、より吸気性能を向上させた吸気装置を得ることができる。これらの結果、限られたスペースに吸気装置を搭載する際の設計の自由度を増加させることができるので、吸気装置の搭載性(搭載のし易さ)を向上させることができる。また、本発明によれば、第2ピースにフランジ部を設けることによって、振動伝達部分(フランジ部)と、吸気装置の重量部分(サージタンク側部分)とを第2ピースにおいて短距離で連結することができるので、吸気装置全体の振動を抑制することができる。
また、円弧状に延びる筒状部を有する吸気通路上流部が形成される第2ピースを、回転スライド式の金型コアを用いて単一ピースで形成することができる。ここで、回転スライド式の金型コアを用いる場合、成型品の外表面に係合部を設ける必要があり、係合部を回転方向に押圧することによって金型コアからの成型品(筒状部)の抜き取り工程が行なわれる。これに対して、本発明によれば、第2ピースに設けたフランジ部を抜き取り工程における係合部としても利用することができるので、第2ピースの外表面に抜き取り用の係合部を別途設ける必要がない。
また、フランジ部と、サージタンクの第2ピース側部分または吸気通路上流部とを離間させることなく一体化することができるので、その分だけ小型化を図ることができる。また、内燃機関の吸気ポートとの連結部であるフランジ部が第2ピースにおいてサージタンクの第2ピース側部分または吸気通路上流部と一体化されるので、吸気装置全体の剛性を向上させることができ、その結果、内燃機関の駆動時の吸気装置の振動を効果的に抑制することができる。
また、第2ピースのみならず中間ピース側でも、サージタンクと吸気通路下流部とを単一(共通)の隔壁によって一体化することができる。その結果、サージタンクのフランジ部側(吸気通路下流部側)の側面の広い範囲で、吸気通路下流部とサージタンクとを単一(共通)の隔壁を介して一体化することができるので、容易に小型化を図ることができ、吸気装置の搭載性を容易に向上させることができる。また、第2ピースに加えて、中間ピースのサージタンクと吸気通路下流部とが隣接して間の隔壁が一体化されるので、吸気装置全体の剛性を容易に向上させることができる。
【0012】
記サージタンクと吸気通路下流部とが第1隔壁を介して隣接する構成において、好ましくは、サージタンクは、第1隔壁と、第1隔壁とは反対側の第1サージタンク壁部と、第1隔壁の端部と第1サージタンク壁部の端部とを接続する第2サージタンク壁部とを含み、第1隔壁および第2サージタンク壁部は、共に、サージタンクと吸気通路下流部とを区画している。
上記サージタンクと吸気通路下流部とが第1隔壁を介して隣接する構成において、好ましくは、第1隔壁は、吸気通路上流部および吸気通路下流部に沿った縦断面において、第2接合部から直線状に延びるように形成されている。
上記第1隔壁が第2接合部を含む構成において、好ましくは、第2接合部の肉厚と、第1接合部の肉厚とは、互いに等しい。
上記サージタンクと吸気通路下流部とが第1隔壁を介して隣接する構成において、好ましくは、吸気通路上流部および吸気通路下流部は複数設けられており、フランジ部は、複数の吸気通路下流部のそれぞれを互いに接続するように設けられるとともに、サージタンクのフランジ部側の壁部と隣接して一体化されている。
この場合、好ましくは、フランジ部が設けられた吸気通路下流部の下流端部分と、サージタンクとは、隣接して共通の第2隔壁によって区画されている。


【0013】
上記一の局面による吸気装置において、好ましくは、第2ピースは、フランジ部のサージタンク側の外面と、サージタンクまたは吸気通路上流部のフランジ部側の壁部の外面とを接続するように設けられた補強リブを含む。このように構成すれば、内燃機関の吸気ポートとの連結部であるフランジ部とサージタンクまたは吸気通路上流部との間を補強することができるので、吸気装置の剛性をより一層向上させることができ、その結果、吸気装置全体の振動をより抑制することができる。また、従来の吸気装置のようにフランジ部(吸気通路下流部)がミドルピースに設けられる場合には、フランジ部とロアピースのサージタンクまたは吸気通路上流部とが別ピースになり補強リブを一体形成することができない。これに対して、本発明によれば、フランジ部と、サージタンクの第2ピース側部分または吸気通路上流部とが同一の第2ピースに形成されるので、補強リブを設けるだけの簡単な構成で容易に吸気装置の剛性を向上させることができる。
【0014】
この場合において、好ましくは、補強リブは、第2ピースのサージタンクに対応する部分のみならず、第2ピースの吸気通路上流部に対応する壁部の外面まで延びるように形成されている。このように構成すれば、サージタンクから吸気通路上流部に達する広い範囲で補強リブを設けることができるので、より効果的に吸気装置の剛性を向上させることができる。
上記補強リブが第2ピースの吸気通路上流部に対応する壁部の外面まで延びる構成において、好ましくは、補強リブは、フランジ部のサージタンク側の端部から、吸気通路上流部の壁部の外面に向かう接線方向に延びるように形成されている。
上記補強リブが第2ピースの吸気通路上流部に対応する壁部の外面まで延びる構成において、好ましくは、吸気通路上流部および吸気通路下流部は複数設けられており、補強リブは、フランジ部と、複数の吸気通路上流部の各々の壁部とを接続するように複数設けられている。
【0015】
上記一の局面による吸気装置において、好ましくは、筒状部は、下流側から上流側に向かうに従って流路幅が大きくなるように形成されている。
【0016】
上記一の局面による吸気装置において、好ましくは、第1ピース、中間ピースおよび第2ピースは、互いに接合可能な樹脂により形成されている。このように構成すれば、第1ピース、中間ピースおよび第2ピースを振動溶着などの溶着法を用いて容易に接合することができる。その場合にも、従来必要だった2つの壁部(サージタンクの側壁および吸気通路の下流部の側壁)のうちの一方と、2つの壁部を設ける場合の接合用の間隔とをそれぞれ抹消することができるので、その分、吸気装置の小型化および搭載性の向上を図ることができる。
【0017】
なお、本出願では、上記一の局面による吸気装置とは別に、以下のような他の構成も考えられる。
【0018】
(付記項)
すなわち、本出願の他の構成による吸気装置は、サージタンクと、サージタンクと連通するとともに内燃機関の吸気ポートに接続される吸気通路とが形成された吸気装置本体部を備え、吸気通路は、サージタンクの周囲を囲むように延びるとともに、吸気ポートとの接続部近傍の下流部においてサージタンクの側面に沿って延びるように設けられ、吸気装置本体部におけるサージタンクの側面と吸気通路の下流部とは、単一の隔壁部により区画されている。このように構成すれば、サージタンクの側壁と吸気通路の下流部の側壁とを連結して単一の隔壁部により区画することができる、その結果、従来必要だった2つの壁部(サージタンクの側壁および吸気通路の下流部の側壁)のうちの一方と、2つの壁部を設ける場合の接合用の間隔とをそれぞれ抹消することができるので、その分、吸気装置の小型化を図ることができる。この結果、限られたスペースに吸気装置を搭載する際の設計の自由度を増加させることができるので、吸気装置の搭載性(搭載のし易さ)を向上させることができる。また、サージタンクと吸気通路の下流部とを間隔を隔てて離間させることなく単一の隔壁部を介して一体化することができるので、吸気装置全体の剛性を向上させ、吸気装置の振動の抑制を図ることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、上記のように、小型化および振動の抑制を図ることが可能な吸気装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態による吸気装置を上方から示した斜視図である。
図2】本発明の一実施形態による吸気装置を下方から示した斜視図である。
図3】本発明の一実施形態による吸気装置の構成を示した分解斜視図である。
図4】本発明の一実施形態による吸気装置の吸気通路に沿った模式的な縦断面図である。
図5】本発明の一実施形態による吸気装置のロアピースの下面側を示した平面図である。
図6】(A)は、比較例による吸気装置の模式的な縦断面図である。(B)は、本発明の一実施形態による吸気装置の模式的な縦断面図である。(C)は、本発明の一実施形態の変形例による吸気装置の模式的な縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1図5を参照して、本発明の一実施形態による吸気装置100の構成について説明する。本実施形態では、自動車用の直列4気筒エンジン(図示せず)に設けられる吸気装置の例について説明する。
【0023】
吸気装置100は、図1図3に示すように、サージタンク1(図2参照)と、サージタンク1から分岐して、サージタンク1の下流に配置された4本の吸気通路2とを備えている。吸気装置100は、シリンダヘッド90に接続されることにより、4本の吸気通路2が吸気ポート91(図4参照)を介してエンジン(内燃機関)の各気筒とそれぞれ接続されるように構成されている。
【0024】
吸気装置100は、構造的には、図3に示すように、吸気装置本体部101がアッパーピース3と、ミドルピース4と、ロアピース5とから構成される3ピース構造を有する。なお、アッパーピース3と、ミドルピース4と、ロアピース5とは、それぞれ、本発明の「第1ピース」、「中間ピース」および「第2ピース」の一例である。
【0025】
アッパーピース3と、ミドルピース4と、ロアピース5とは、互いに接合可能な樹脂材料により形成されており、樹脂材料としては、たとえばナイロン6(PA6)などを用いることができる。そして、アッパーピース3と、ミドルピース4と、ロアピース5とがそれぞれ振動溶着により互いに一体的に接合されることにより、吸気装置本体部101が形成されている。このように形成された吸気装置本体部101が、サージタンク1と4本の吸気通路2とを一体的に含んでいる。なお、以下では、便宜的に、4本の吸気通路2が並ぶX方向を横方向、アッパーピース3、ミドルピース4およびロアピース5の接合方向であるZ方向を上下方向(アッパーピース3側のZ1方向を上方、ロアピース5側のZ2方向を下方)、X方向およびZ方向と直交するY方向を前後方向という。
【0026】
サージタンク1には、図示しないエアクリーナおよびスロットルを介して到達する吸気が取入口1a(図2参照)から流入される。図4に示す吸気通路2に沿った縦断面(YZ断面)において、サージタンク1は、Y2方向側の隔壁(隔壁部41および52)と、Y1方向側の隔壁(壁部42および53)と、Z1方向側の隔壁(壁部43)とによって区画されている。なお、隔壁部41は、本発明の「単一の隔壁」の一例である。
【0027】
図1に示すように、4本の吸気通路2は、横方向に並ぶように配置されている。4本の吸気通路2の各々は、図4に示すように、サージタンク1と連通するとともに、吸気通路上流部21と、吸気通路下流部22とを含んでいる。吸気通路上流部21は、上流側端部(入口部)21aでサージタンク1と連通するとともに、サージタンク1の下部からY1方向側に湾曲して延びる通路部分であり、ロアピース5に一体形成されている。言い換えると、吸気通路2のうち、後述するフランジ部51の形成部を除いてロアピース5に形成された通路部分が、吸気通路上流部21である。吸気通路上流部21は、吸気通路2に沿った縦断面(YZ断面)において、壁部54および55によって区画されている。なお、吸気通路上流部21は、本発明の「円弧状に延びる筒状部」の一例である。
【0028】
吸気通路下流部22は、上流側端部で吸気通路上流部21と連通するとともに、サージタンク1の周囲を囲むようにサージタンク1の上方をY2方向側に延びて、下流端部分23に至る通路部分である。なお、吸気通路下流部22の下流端部分23(フランジ部51)の近傍部分(範囲L1の部分)は、サージタンク1のY2方向側側面に沿って上下方向(Z方向)に延びている。吸気通路下流部22は、吸気通路2に沿った縦断面(YZ断面)において、壁部31、43、45、56、および、サージタンク1のY2方向側の隔壁(隔壁部41および52)などによって区画されている。
【0029】
このような吸気通路上流部21および吸気通路下流部22によって、吸気通路2の各々は、サージタンク1の周囲を囲むように延びるとともに、吸気ポート91との接続部(フランジ部51)近傍の吸気通路下流部22において、サージタンク1の側面に沿って延びるように設けられている。本実施形態では、吸気装置本体部101におけるサージタンク1のY2方向側側面と、吸気通路下流部22のうち範囲L1の部分および下流端部分23とは、隔壁部41および52により構成される単一の隔壁によって区画されている。
【0030】
次に、吸気装置本体部101を構成する各ピースの構造について説明する。
【0031】
図1および図3に示すように、アッパーピース3は、ミドルピース4の上側(Z1方向側)部分を覆うように設けられ、X方向に並ぶ4本の各吸気通路2の吸気通路下流部22のうち、上側の略半分を構成する。アッパーピース3は、図4に示す吸気通路2に沿った縦断面(YZ断面)において、吸気通路下流部22を区画する壁部31を一体的に含んでいる。また、アッパーピース3は、接合部32において、ミドルピース4と接合されている。
【0032】
図3に示すように、ミドルピース4は、サージタンク1を構成し、上面側でアッパーピース3と接合されるとともに、下面側でロアピース5と接合されている。図4に示すように、ミドルピース4には、サージタンク1の概ね3/4程度に相当する上側部分11が形成されており、ミドルピース4は、吸気通路2に沿った縦断面(YZ断面)において、この上側部分11を区画する壁部42および43と、上記の隔壁部41とを一体的に含んでいる。また、ミドルピース4は、吸気通路2の吸気通路下流部22のうち、下側(Z2方向側)の略半分を構成している。このように、アッパーピース3とミドルピース4とは、ロアピース5に形成された下流端部分23を除いて、吸気通路上流部21と連通する吸気通路下流部22を構成している。
【0033】
また、吸気通路下流部22のうち、サージタンク1のY2方向側側面に沿って上下方向(Z方向)に延びる範囲L1の部分と、サージタンク1の上側部分11とは、離間することなく、単一の隔壁部41を介して隣接するように配置されている。そして、この隔壁部41の下端面には、ロアピース5の後述する第1接合部58と接合される第2接合部44が設けられている。吸気通路2に沿った縦断面(YZ断面)において、範囲L1の部分では、吸気通路下流部22は、隔壁部41と、壁部45(およびアッパーピース3の壁部31)とによって区画されている。壁部45の下端面には、ロアピース5との接合部46が設けられている。また、ミドルピース4の隔壁部41は、第2接合部44において肉厚t1を有しており、肉厚t1は、第2接合部44をロアピース5の第1接合部58と接合させるのに十分な厚みを有する。
【0034】
ロアピース5は、図2および図3に示すように、サージタンク1と連通する吸気通路上流部21を一体的に含み、上面側でミドルピース4の下面と接合されている。図4に示すように、本実施形態では、ロアピース5には、サージタンク1の概ね1/4程度に相当する下側部分12が形成されているとともに、略円弧筒状の吸気通路上流部21の全体が形成されている。また、ロアピース5には、さらに、吸気通路下流部22と吸気ポート91とを連結するフランジ部51を有する吸気通路下流部22の下流端部分23が一体形成されている。
【0035】
また、ロアピース5は、図4に示す吸気通路2に沿った縦断面(YZ断面)において、サージタンク1を構成する下側部分12を区画する隔壁部52と、壁部53とを一体的に含んでいる。また、ロアピース5は、吸気通路上流部21を区画する壁部54および55を含む。また、ロアピース5は、隔壁部52とともに下流端部分23を区画する壁部56を含んでいる。
【0036】
ここで、ロアピース5の吸気通路上流部21は、吸気通路2に沿って円弧状に延びる筒状部からなるとともに、下流側から上流側に向かうに従って、徐々に流路幅(図4に示す吸気通路2の縦断面における壁部54と壁部55との間の間隔)が大きくなるように形成されている。これにより、本実施形態では、ロアピース5の吸気通路上流部21は、回転スライド式の金型コアC(図4の2点鎖線参照)を用いることによって、単一ピースで筒状の吸気通路形状を形成することが可能となっている。すなわち、吸気通路上流部21に対応する金型コアCの周囲に壁部(壁部54および壁部55)を筒状に形成した後、金型コアCに対してロアピース5をA方向に相対回転させて金型コアCを引き抜くことにより、吸気通路上流部21を形成することが可能である。なお、吸気通路上流部21の流路幅が上流側に向かって大きくなる形状は、金型コアCの抜き勾配としても機能する。ロアピース5は、吸気通路上流部21の下流側端部の接合部57aおよび57bで、ミドルピース4の吸気通路下流部22の上流側端部と接合されている。
【0037】
フランジ部51は、図2および図5に示すように、吸気通路下流部22の下流端部分23の外周部において、隔壁部52と壁部56とを含んで外側(主としてX方向)に突出するように設けられている。具体的には、フランジ部51は、4本の吸気通路2の各下流端部分23をX方向に接続するとともに、X方向の両端部でさらにX方向の外側に突出するように形成されている。そして、各吸気通路2(各下流端部分23)の間の位置、および、フランジ部51のX方向の両端部の位置に、エンジンのシリンダヘッドと連結するための孔部51aが複数形成されている。この孔部51aに図示しないカラーおよび締結部材を挿入して、吸気装置100がエンジン側に連結(締結)される。また、本実施形態では、フランジ部51は、図4に示す吸気通路2に沿った縦断面(YZ断面)において、円弧状に延びる筒状の吸気通路上流部21の上流側端部に隣接するように形成されている。
【0038】
ここで、本実施形態では、ロアピース5のフランジ部51(下流端部分23)と、サージタンク1の下側部分12のフランジ部51側(Y2方向側)の壁部とは、隣接して一体化されている。すなわち、フランジ部51(下流端部分23)と、サージタンク1の下側部分12とが、Y方向に離間することなく共通の隔壁部52によって区画されている。そして、ロアピース5には、この隔壁部52の上面においてミドルピース4に対して接合される第1接合部58が設けられている。より具体的には、図3に示すように、ロアピース5の上面には、フランジ部51とサージタンク1の下側部分12とを構成する壁部の接合ラインが途切れることなく連続するように形成されている。この接合ラインのうち、フランジ部51と下側部分12との間の隔壁部52に配置された部分が、第1接合部58である。
【0039】
図4に示すように、ロアピース5の隔壁部52は、第1接合部58において肉厚t2を有しており、肉厚t2は、ミドルピース4の隔壁部41の肉厚t1と略等しい(t1=t2)。肉厚t2は、第1接合部58をミドルピース4の第2接合部44と接合させるのに十分な厚みを有する。吸気通路2に沿った縦断面(YZ断面)において、ロアピース5は、隔壁部52の第1接合部58と、壁部56の上端面の接合部57cとで、それぞれミドルピース4の第2接合部44と接合部46とに接合されており、これにより下流端部分23を含む吸気通路下流部22が構成される。同様に、ロアピース5は、隔壁部52の第1接合部58と、壁部53の上端面の接合部57dとでそれぞれミドルピース4と接合されており、これにより上側部分11および下側部分12を含むサージタンク1が構成される。
【0040】
また、図2および図5に示すように、本実施形態では、ロアピース5には、フランジ部51とサージタンク1の下側部分12および吸気通路上流部21との間の部分に、補強リブ59が設けられている。補強リブ59は、フランジ部51のサージタンク1(下側部分12)側(Y1方向側)の外面と、下側部分12および吸気通路上流部21のフランジ部51側(Y2方向側)の壁部の外面とを接続するように、ロアピース5に一体形成されている。すなわち、この補強リブ59は、図4に示すように、ロアピース5の下側部分12の外面のみならず、吸気通路上流部21の壁部55の外面まで延びるように形成されている。より詳細には、フランジ部51のY2方向側の下端部から吸気通路上流部21の壁部55に対して引いた接線の交点部分までの長さL2の広い範囲に渡って、補強リブ59が形成されている。また、図5に示すように、補強リブ59は、ロアピース5において、それぞれの吸気通路2毎に形成されて合計4つ設けられている。それぞれの補強リブ59は、各吸気通路2のX方向の中央部に形成され、厚みt3の板状形状を有する。
【0041】
次に、図6を参照して、本実施形態による吸気装置100および本実施形態の変形例による吸気装置200を比較例と対比して説明する。
【0042】
図6(A)には、比較例として、フランジ部がミドルピースに設けられ、サージタンクとフランジ部とが間隔D1を隔ててY方向に離間した吸気装置Sを示している。比較例による吸気装置Sは、フランジ部がミドルピースに設けられ、サージタンクとフランジ部とがY方向に離間する点においてのみ従来構成を採用し、他の構成については比較のために本実施形態の吸気装置100に近づけるように構成した仮想的な構成例である。
【0043】
また、図6(B)には、図1図5に示した本実施形態の吸気装置100を示している。図6(C)には、本実施形態の変形例として、本実施形態の吸気装置100の装置寸法(Y方向寸法)を比較例の吸気装置Sと一致するように再構成した吸気装置200を示している。
【0044】
図6(A)に示すように、比較例の吸気装置Sでは、フランジ部51sがミドルピース4sに形成されており、ロアピース5sは、吸気通路上流部21s、および、サージタンク1sの下側部分のみを含んでいる。すなわち、ロアピース5sには吸気通路2sの吸気通路下流部22sの一部を構成する下流端部分が形成されていない。そのため、ロアピース5sは、サージタンク1sの側壁47sにおいて、ミドルピース4sと振動溶着により接合される。この結果、吸気装置Sでは、側壁47sでミドルピース4sとロアピース5sとを相対移動(摺動)させて振動溶着するために、振動溶着のためのスペース(相対移動しろ)として距離D1分だけ、サージタンク1sの側壁47sと吸気通路下流部22sの側壁41sとの間を離間させる必要がある。また、吸気装置Sは、吸気通路上流部21sの曲げ半径R1が、図6(B)に示した本実施形態の吸気装置100の吸気通路上流部21の曲げ半径R1と略等しくなるように構成した例を示している。なお、ここで示した曲げ半径は、吸気通路の通路中心線に概ね沿うように示した円弧の半径であり、上記の通り流路幅が一定ではないので、曲げ半径の目安となる代表線(円弧)を示して、その円弧の半径としている。
【0045】
図6(B)に示すように、本実施形態による吸気装置100では、フランジ部51を含む吸気通路下流部22と、サージタンク1との間を単一の隔壁(隔壁部41および52)によって区画しているため、吸気通路2に沿った縦断面(YZ断面)で見ると、ロアピース5は、第1接合部58、接合部57a、57b、57cおよび57dでミドルピース4と接合される。この場合には、吸気装置100の内部に振動溶着のためのスペースを確保する必要がなくなる。そのため、本実施形態による吸気装置100では、吸気装置Sと比較して、側壁47sの厚みt4と、間隔D1との合計の距離D2分だけ、サージタンク1や吸気通路上流部21を配置可能な内部スペースを確保することが可能となっている。
【0046】
これにより、吸気通路上流部21の曲げ半径R1を等しくした本実施形態による吸気装置100と比較例の吸気装置Sとで比較した場合、距離D2分の内部スペースを確保することができた結果、Y方向の長さL3だけ吸気装置100のサイズがコンパクト化している。
【0047】
また、図6(C)に示すように、装置のY方向の全長を比較例の吸気装置Sと一致させた本実施形態の変形例による吸気装置200でも、吸気装置Sと比較して、側壁47sの厚みt4と、間隔D1との合計の距離D2分だけ、サージタンク101や吸気通路上流部121を配置可能な内部スペースを確保することが可能となっている。これにより、本実施形態の変形例による吸気装置200では、距離D2分の内部スペースを確保することができた結果、半径R1よりも大きい曲げ半径R2で吸気通路上流部121が構成されている。吸気通路上流部121の曲げ半径を大きくすれば、その分、吸気抵抗を減少させて圧力損失を低減することが可能となる。したがって、本実施形態の変形例の吸気装置200は、比較例の吸気装置Sと比較して、同一寸法で吸気装置の性能向上を図ることが可能となっている。なお、吸気通路上流部121は、本発明の「円弧状に延びる筒状部」の一例である。
【0048】
また、図6(A)に示すように、比較例の吸気装置Sは、構造上は、吸気通路下流部22sのサージタンク1sよりもY2方向側の部分S1と、サージタンク1sおよび吸気通路上流部21sが配置されたY1方向側の部分S2とが、間隔D1を隔てて離間した構造となっている。このため、シリンダヘッドとの連結部であるフランジ部51sで吸気装置Sをエンジン側に取り付けた場合、吸気装置SのY2方向側部分S1が、Y1方向側部分(サージタンク1sおよび吸気通路上流部21s)S2を支持する構造になっている。つまり、吸気装置Sは、フランジ部51sでエンジン側に連結された場合、片持ち梁状のY2方向側部分S1の先端に、重量部分であるY1方向側部分S2が支持される構造となる。その結果、吸気装置Sでは、Y1方向側部分S2が振動するのを抑制するのが困難となる。
【0049】
これに対して、図6(B)に示す本実施形態の吸気装置100では、Y2方向側部分(吸気通路下流部22)とY1方向側部分(サージタンク1および吸気通路上流部21)との間に隙間がなく、連結部であるフランジ部51と、Y1方向側部分(サージタンク1および吸気通路上流部21)とが、ロアピース5において隔壁部52により最短距離で一体的に連結されている。このため、本実施形態の吸気装置100は、比較例の吸気装置Sと比べて吸気装置100全体での剛性が向上しており、重量部分であるY1方向側部分が振動するのを抑制することが可能となっている。この点は、図6(C)に示す変形例の吸気装置200も同様である。
【0050】
本実施形態では、上記のように、吸気通路下流部22と吸気ポート91とを連結するフランジ部51をロアピース5に設けることによって、ロアピース5において、サージタンク1と連通する吸気通路上流部22近傍の側壁(下側部分12の側壁)と、フランジ部51の側壁とを、ミドルピース4との接合面(第1接合部58)で連結して単一の側壁(隔壁部52)にすることができる。そのため、ロアピース5と接合されるミドルピース4側においても、サージタンク1(上側部分11)の側壁と吸気通路下流部22の側壁とを連結して単一の側壁(隔壁部41)を形成してロアピース5の単一の側壁(隔壁部52)と接合することができる。これにより、吸気装置100の小型化を図ることができる。また、本実施形態では、ロアピース5にフランジ部51を設けることによって、振動伝達部分(フランジ部51)と、吸気装置100の重量部分(サージタンク1側部分)とをロアピース5において短距離で連結することができるので、吸気装置100全体の振動を抑制することができる。
【0051】
なお、近年、吸気装置が搭載される車両のデザイン性向上の観点から、吸気装置を小型化してデザイン性を制限することなく搭載できるようにすること(搭載性の向上)が求められている。本実施形態によれば、吸気装置の小型化を図ることができるので、上記図6(B)に示した本実施形態の吸気装置100のように、デザイン上の要求に対応可能なコンパクトな吸気装置を提供することが可能となる。
【0052】
また、吸気通路上流部の曲げ半径だけでなく、たとえばサージタンクの容積や、吸気通路上流部の入口部(上流側端部)の開口面積、吸気通路の経路長などは、吸気装置の性能に影響し、吸気装置が搭載される車両(エンジン)の仕様に応じて適切に設計する必要がある。このため、上記図6(C)に示した本実施形態の変形例による吸気装置200によれば、装置寸法を大型化させずに、要求仕様を満たすための設計上の自由度を増加させることが可能となる。これらの結果、限られたスペースに吸気装置100(200)を搭載する際の設計の自由度を増加させることができるので、吸気装置の搭載性(搭載のし易さ)を向上させることができる。
【0053】
また、本実施形態では、上記のように、ロアピース5のフランジ部51と、ロアピース5のサージタンク1のフランジ部51側の壁部とを、隔壁部52により隣接して一体化させる。そして、ミドルピース4に対して接合される第1接合部58を隔壁部52に設ける。これにより、フランジ部51と、サージタンク1の下側部分12とを離間させることなく一体化することができるので、その分だけ小型化を図ることができる。また、吸気ポート91との連結部であるフランジ部51がロアピース5においてサージタンク1(下側部分12)と一体化されるので、吸気装置100全体の剛性を向上させることができ、その結果、エンジンの駆動時の吸気装置100の振動も抑制することができる。
【0054】
また、本実施形態では、上記のように、ミドルピース4のサージタンク1(上側部分11)と、ミドルピース4の吸気通路下流部22とを、単一の隔壁部41を介して隣接するように配置する。そして、隔壁部41に、ロアピース5の第1接合部58と接合される第2接合部44を設ける。これにより、ロアピース5のみならずミドルピース4側でも、サージタンク1と吸気通路下流部22とを単一(共通)の隔壁部41によって一体化することができる。その結果、サージタンク1のフランジ部51側(Y2方向側)の側面全体に渡る広い範囲で、吸気通路下流部22とサージタンク1とを単一(共通)の隔壁(隔壁部41および隔壁部52)を介して一体化することができるので、容易に小型化を図ることができ、吸気装置100の搭載性を容易に向上させることができる。また、ロアピース5に加えて、ミドルピース4のサージタンク1(上側部分11)と吸気通路下流部22とが隣接して間の隔壁が一体化されるので、吸気装置100全体の剛性を容易に向上させることができる。
【0055】
また、本実施形態では、上記のように、フランジ部51のサージタンク1側(Y1方向側)の外面と、サージタンク1(下側部分12)のフランジ部51側(Y2方向側)の外面とを接続する補強リブ59をロアピース5に形成する。これにより、吸気ポート91との連結部であるフランジ部51とサージタンク1との間を補強することができるので、吸気装置100の剛性をより一層向上させることができ、その結果、吸気装置100全体の振動をより抑制することができる。また、図6(A)に示した比較例のようにフランジ部51s(吸気通路下流部22s)がミドルピース4sに設けられる場合には、ミドルピース4sのフランジ部51sとロアピース5sとが別ピースになり補強リブを形成することができない。これに対して、図6(B)に示した本実施形態の吸気装置100によれば、フランジ部51とサージタンク1(下側部分12)および吸気通路上流部21とが同一のロアピース5に形成されるので、補強リブ59を設けるだけの簡単な構成で容易に吸気装置100の剛性を向上させることができる。
【0056】
また、本実施形態では、上記のように、補強リブ59を、ロアピース5の吸気通路上流部21に対応する壁部55の外面までの長さL2の範囲に渡って延びるように形成されている。これにより、サージタンク1から吸気通路上流部21に達する広い範囲で補強リブ59を設けることができるので、より効果的に吸気装置100の剛性を向上させることができる。
【0057】
また、本実施形態では、上記のように、ロアピース5の吸気通路上流部21を吸気通路に沿って円弧状に延びる筒状形状に形成し、フランジ部51を、円弧状に延びる筒状形状を有する吸気通路上流部21に隣接するように形成する。これにより、円弧状に延びる筒状部(吸気通路上流部21)が形成されるロアピース5を、回転スライド式の金型コアCを用いて単一ピースで形成することができる。そして、ロアピース5に設けたフランジ部51を、ロアピース5と金型コアCとの抜き取り工程(ロアピース5を金型コアCに対してA方向(図4参照)に相対回転させて金型コアCから抜き取る工程)における係合部としても利用することができるので、ロアピース5の外表面に抜き取り用の係合部を別途設ける必要がない。
【0058】
また、本実施形態では、上記のように、アッパーピース3、ミドルピース4およびロアピース5を、互いに接合可能な樹脂により形成する。これにより、アッパーピース3、ミドルピース4およびロアピース5を振動溶着によって容易に接合することができる。その場合にも、図6(A)の比較例におけるサージタンク1sの側壁47sと、フランジ部51sが形成される吸気通路下流部22sの側壁41sとの2つの壁部のうちの一方と、2つの壁部を設ける場合の接合用の間隔D1とをそれぞれ抹消することができるので、その分(距離D2分)、吸気装置100の小型化および搭載性の向上を図ることができる。
【0059】
なお、詳細な説明は省略するが、本実施形態の上記の効果は、図6(C)に示した変形例による吸気装置200においても同様に得ることが可能である。
【0060】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0061】
たとえば、上記実施形態では、本発明の吸気装置を、自動車用の直列4気筒エンジン用の吸気装置に適用する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明の吸気装置を、自動車用のエンジン以外の内燃機関用の吸気装置に適用してもよいし、直列4気筒エンジン以外の自動車エンジン用の吸気装置に適用してもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、アッパーピースと、ミドルピースと、ロアピースとの3ピース構成の吸気装置の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、吸気装置を4ピース以上で構成してもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、ロアピースにサージタンクの一部(下側部分)と、吸気通路上流部とを設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。ロアピースには、サージタンクの下側部分を形成することなく、吸気通路上流部だけを設けてもよい。この場合、吸気通路上流部とフランジ部51(下流端部分)とが、単一の隔壁部によって区画されるように構成すればよい。
【0064】
また、上記実施形態では、ロアピースのフランジ部とサージタンク(下側部分)との間に補強リブを設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、フランジ部とサージタンク(下側部分)との間にロアピースに補強リブを設けなくともよい。
【0065】
また、上記実施形態では、ロアピースのフランジ部とサージタンク(下側部分)および吸気通路上流部との間の長さL2の範囲(図4参照)に補強リブを設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。補強リブは、長さL2よりも短い範囲に設けてもよい。たとえば、補強リブを吸気通路上流部まで延ばさずに、フランジ部とサージタンク(下側部分)との間の部分にのみ設けてもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、ロアピースの吸気通路上流部を円弧状に延びる筒状形状に形成し、回転スライド式の金型コアを用いて単一ピースで形成可能なように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。ロアピースを上下で2分割して、通常の金型で上側ロアピースと下側ロアピースとを形成した上で、上側ロアピースと下側ロアピースとを接合することによりロアピースを形成してもよい。この場合、図4において、吸気通路上流部21の上下方向の中間部分を2分割すればよく、フランジ部51(下流端部分23)と、サージタンク1の下側部分12と、吸気通路上流部21の上側部分とを含む上側ロアピースと、吸気通路上流部21の下側部分を含む下側ロアピースとを接合して、ロアピース5を構成することができる。
【0067】
また、上記実施形態では、アッパーピースと、ミドルピースと、ロアピースとを、互いに接合可能な樹脂材料により形成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、アッパーピースと、ミドルピースと、ロアピースとを、樹脂材料以外の材料により形成してもよい。
【符号の説明】
【0068】
1、101 サージタンク
3 アッパーピース(第1ピース)
4 ミドルピース(中間ピース)
5 ロアピース(第2ピース)
21、121 吸気通路上流部(円弧状に延びる筒状部)
22 吸気通路上流部
41 隔壁部(単一の隔壁)
44 第2接合部
51 フランジ部
58 第1接合部
59 補強リブ
91 吸気ポート
100、200 吸気装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6