(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1被覆部と前記第2被覆部は、前記導通部よりも先端側で全てのタブと、前記タブ群の積層方向に重なった前記導電部材を挟持している請求項1に記載の蓄電装置。
前記電極組立体と前記ケースとを絶縁する絶縁シートを備え、前記絶縁シートは、前記電極組立体の一端面からの前記タブの突出方向に沿って前記一端面よりも突出したはみ出し部を備える請求項1又は請求項2に記載の蓄電装置。
【背景技術】
【0002】
EV(Electric Vehicle)やPHV(Plug in Hybrid
Vehicle)などの車両には、走行用モータへの供給電力を蓄える蓄電装置としての二次電池が搭載されている。一般に、二次電池は、電極組立体を収容するケースを備え、そのケース内に電極組立体が収容されている。そして、二次電池からの電力の取り出しは、電極組立体の正極及び負極に、導電部材を介して接続された電極端子を通して行われている。
【0003】
電極組立体には、例えば、複数の正極と複数の負極との間にセパレータを介在させた状態で積層した積層型の電極組立体や、帯状の正極と帯状の負極との間に帯状のセパレータを介在させた状態で捲回した捲回型の電極組立体がある。
【0004】
図8(a)に示すように、例えば、特許文献1の二次電池80において、ケース88内に収容された電極組立体89は、正極板81及び負極板82を有し、正極板81は正極タブ81aを有し、負極板82は負極タブ82aを有する。複数枚の正極タブ81aは重ねた状態で正極端子83と電気的に接続され、複数枚の負極タブ82aは重ねた状態で負極端子84と電気的に接続されている。
【0005】
図8(b)に示すように、正極タブ81aと正極端子83とは、例えば、正極端子83に対して複数枚積層された状態で溶接によって接合され、溶接部90で全ての正極タブ81aと正極端子83とが導通している。同様に、負極タブ82aと負極端子84とは、負極端子84に対して複数枚積層された状態で溶接によって接合され、溶接部90で全ての負極タブ82aと負極端子84とが導通している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、複数枚の正極タブ81a及び負極タブ82aは、溶接部90よりも先端側は、自由端部となっている場合があり、自由端部となった正極タブ81a又は負極タブ82aが、ケース88に接触したり、電極組立体89に接触する虞がある。
【0008】
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、タブの自由端部が電極組立体やケースに影響を及ぼすことを防止することができる蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の蓄電装置は、異なる極の電極を絶縁した状態で積層した電極組立体をケース内に備えるとともに、前記電極から電気を取り出すために前記電極の一辺から突出するタブを備え、前記電極組立体において前記電極の一辺が集まった一端面に、前記電極組立体の積層方向に沿って前記タブを寄せ集めたタブ群を備えるとともに、前記タブ群の全てのタブが導通部で導通されるとともに、前記タブ群の積層方向一端のタブに接合された導電部材を備える蓄電装置であって、前記タブ群は、前記タブ群の積層方向一端側に寄せ集められた状態の前記タブが前記一端側とは反対側の他端側に向けて折り返された第1折り返し部と、前記第1折り返し部から前記電極組立体の積層方向に沿って延在され、かつ前記導通部が位置される第1延在部と、前記第1延在部に連続し、かつ前記一端側に向けて折り返された第2折り返し部と、前記第2折り返し部から前記
電極組立体の積層方向に延在された第2延在部と、を備え、前記タブの先端側から前記タブ群に取着される絶縁材料製の取着部材を備え、前記取着部材は、前記第1延在部における少なくとも前記導通部よりも前記タブの先端側で、前記タブ群の積層方向一端側から前記導電部材を覆う第1被覆部と、前記タブ群の積層方向他端側から前記第2延在部を覆う第2被覆部と、前記第1被覆部と前記第2被覆部を連結し、かつ前記第2折り返し部を覆う第3被覆部と、を有するとともに、前記第1被覆部と前記第2被覆部と前記第3被覆部に囲まれて、少なくとも前記導通部よりも先端側で、全てのタブと、前記タブ群の積層方向に重なった前記導電部材とを収容する収容部を有することを要旨とする。
【0010】
これによれば、導通部よりも先端側では、全てのタブと導電部材が、タブ群の積層方向の両端側から覆われるとともに、それら全てのタブ、及び導電部材の導通部よりも先端側が収容部に収容されている。このため、蓄電装置が振動しても、導通部より先端側に位置するタブの自由端部が、その積層方向において取着部材から飛び出すことが防止でき、タブの自由端部が電極組立体やケースに接触したりして影響を及ぼすことが防止できる。
これによれば、第1折り返し部にて折り返されたタブ群は、電極組立体の一端面に対向した状態であるが、このタブ群は、積層方向他端側から第2被覆部によって覆われている。このため、収容部内でタブ同士が摺接して、異物が発生し、落下しても、その異物を第2被覆部で受け止めることができる。
【0011】
また、蓄電装置について、前記第1被覆部と前記第2被覆部は、前記導通部よりも先端側で全てのタブと、前記タブ群の積層方向に重なった前記導電部材を挟持しているのが好ましい。
【0012】
これによれば、第1被覆部と第2被覆部により、導通部より先端側のタブの自由端部がばたつくことを防止できる。その結果、タブの自由端部同士が摺接することが抑制でき、その摺接を原因とした異物の発生を抑制できる。
【0015】
また、蓄電装置について、前記電極組立体と前記ケースとを絶縁する絶縁シートを備え、前記絶縁シートは、前記電極組立体の一端面からの前記タブの突出方向に沿って前記一端面よりも突出したはみ出し部を備えるのが好ましい。
【0016】
これによれば、電極組立体の一端面から突出したタブ群が、はみ出し部により囲まれている。よって、タブ群において、取着部材によって被覆されない部位とケースとを、はみ出し部により絶縁できる。そして、タブ群の積層方向一端側、タブ群の積層方向他端側、及びタブの先端は取着部材によってケースから絶縁できる。したがって、取着部材と、はみ出し部とで、タブ群を確実にケースから絶縁できる。
【0017】
前記蓄電装置は二次電池である。
【発明の効果】
【0018】
タブの自由端部が電極組立体やケースに影響を及ぼすことを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、蓄電装置を二次電池に具体化した一実施形態を
図1〜
図5にしたがって説明する。
図1に示すように、蓄電装置としての二次電池10は、その外形を構成するケース11を備えている。ケース11は、四角箱状の容器12と、その容器12に設けられた開口部分を塞ぐ矩形平板状の蓋13とから構成されている。このため、二次電池10は、その外形が角型の角型電池である。なお、容器12及び蓋13は金属製であり、二次電池10は、リチウムイオン電池である。
【0021】
図3に示すように、容器12は、矩形平板状の底部12aと、この底部12aの一対の短側縁から立設された第1側壁12bと、底部12aの側縁のうち、別の一対の長側縁から立設され、かつ両第1側壁12bに直交する第2側壁12cを備える。容器12は、その内側に、底部12aと、一対の第1側壁12bと、一対の第2側壁12cとによって囲まれた収容空間Sを有するとともに、容器12には収容空間Sと連通する挿入口12dが開口している。
【0022】
二次電池10は、ケース11に収容されている電極組立体14と、電極組立体14と電力のやり取りを行うのに用いられる正極端子51及び負極端子52とを備えている。各端子51,52はケース11、詳細には蓋13に取り付けられており、蓋13の長手方向の両端側に離間して配置されている。
【0023】
図2に示すように、電極組立体14は、電極としての複数の正極電極21と、電極としての複数の負極電極22とが、セパレータ23を介して交互に積層されて構成されている。正極電極21は、矩形状の正極用金属箔(本実施形態ではアルミニウム箔)21aと、その正極用金属箔21aの両面(表面)に設けられた矩形状の正極用活物質層21bと、を有する。正極電極21は、その正極用金属箔21aの一辺21cに沿って、正極用の活物質の設けられていない正極側未塗工部21dを有する。そして、正極電極21において、正極側未塗工部21dの一辺21cの一部には、タブとしての正極集電タブ41が突出する状態に設けられている。
【0024】
負極電極22は、矩形状の負極用金属箔(本実施形態では銅箔)22aと、その負極用金属箔22aの両面(表面)に設けられた矩形状の負極用活物質層22bと、を有する。負極電極22は、その負極用金属箔22aの一辺22cに沿って、負極用の活物質の設けられていない負極側未塗工部22dを有する。そして、負極電極22において、負極側未塗工部22dの一辺22cの一部には、タブとしての負極集電タブ42が突出する状態に設けられている。
【0025】
図3に示すように、正極電極21と負極電極22は、正極集電タブ41が、電極組立体14の積層方向に沿って列状に配置され、且つ正極集電タブ41と重ならない位置にて負極集電タブ42が、電極組立体14の積層方向に沿って列状に配置されるように積層されている。以下の説明において、全ての正極集電タブ41及び負極集電タブ42が積層された方向を、正極タブ群43及び負極タブ群44の積層方向とする。電極組立体14は、全ての正極電極21の一辺21cと、全ての負極電極22の一辺22cと、セパレータ23の一辺23aを積層した一端面36を備え、この電極組立体14の一端面36に、正極タブ群43及び負極タブ群44を備える。なお、電極組立体14において、一端面36と反対側の端面であり、容器12の底部12a側を底側端面33とし、電極組立体14の積層方向の両端に位置する面を偏平面31,32とする。さらに、電極組立体14の積層方向の両偏平面31,32及び底側端面33と直交する一対の面を端面34,35とする。
【0026】
正極タブ群43は、全ての正極電極21の正極集電タブ41を、正極タブ群43の積層方向の一端から他端までの範囲内で一端側に寄せて集め、かつ集められた状態で一端側とは反対側の他端側に向けて折り返して形成されている。そして、正極タブ群43の積層方向一端の正極集電タブ41には、電極組立体14と電気を授受する導電部材としての正極導電部材61が接続されるとともに、正極導電部材61には正極端子51が接続されている。
【0027】
図4に示すように、正極タブ群43に正極導電部材61を抵抗溶接しつつ、全ての正極集電タブ41同士を抵抗溶接する際、正極タブ群43は、その積層方向一端に配置された正極導電部材61と、積層方向他端に配置された正極溶接用板材64とで、積層方向両端側から挟まれる。そして、正極導電部材61と正極溶接用板材64とを、図示しない抵抗溶接器で挟んで、正極導電部材61と、全ての正極集電タブ41と、正極溶接用板材64とを溶接することで、正極タブ群43に正極導電部材61が接続されている。
【0028】
図4及び
図5に示すように、正極タブ群43には、正極タブ群43の積層方向全体に亘って導通部としての正極溶接部Y1が形成されるとともに、正極溶接部Y1によって全ての正極集電タブ41、正極導電部材61、及び正極溶接用板材64が電気的に接続されている。また、正極タブ群43及び正極溶接用板材64は、電極組立体14の一端面36に対し、正極集電タブ41の突出方向へ離間した状態で対向している。
【0029】
なお、全ての正極集電タブ41において、正極溶接部Y1よりも先端側は、正極導電部材61に接合されておらず、自由端部Gとなっている。なお、全ての正極集電タブ41の自由端部Gは、正極溶接部Y1よりも先端側で、かつ正極溶接用板材64を越えた部位は、正極溶接用板材64の端縁を支点として正極タブ群43の積層方向一端側に向けて折り返されている。したがって、正極タブ群43では、自由端部Gは、正極溶接用板材64を挟んで二条に折り畳まれた状態である。
【0030】
図3に示すように、正極導電部材61は、クランク形状であり、湾曲部分に対して長手方向の一方側の部位であるタブ側溶接片61aが、正極タブ群43に接合されている。また、正極導電部材61において、湾曲部分に対して長手方向に他方側の部位である端子側接合片61bがタブ側溶接片61aよりも電極組立体14の一端面36側に位置した状態で取り付けられている。
【0031】
負極タブ群44は、全ての負極電極22の負極集電タブ42を、負極タブ群44の積層方向の一端から他端までの範囲内で一端側に寄せて集め、かつ集められた状態で一端側とは反対側の他端側に向けて折り返して形成されている。そして、負極タブ群44には、電極組立体14と電気を授受する導電部材としての負極導電部材62が抵抗溶接により接続されるとともに、負極導電部材62には負極端子52が接続されている。
【0032】
図5に示すように、負極タブ群44に負極導電部材62を抵抗溶接しつつ、全ての負極集電タブ42を抵抗溶接する際、負極タブ群44は、その積層方向一端に配置された負極導電部材62と、積層方向他端に配置された負極溶接用板材65とで、積層方向両端側から挟まれる。そして、負極導電部材62と負極溶接用板材65とを、図示しない抵抗溶接器で挟んで、負極導電部材62と、全ての負極集電タブ42と、負極溶接用板材65とを溶接することで、負極タブ群44に負極導電部材62が接続されている。
【0033】
負極タブ群44には、負極タブ群44の積層方向全体に亘って導通部としての負極溶接部Y2が形成されるとともに、負極溶接部Y2によって全ての負極集電タブ42、負極導電部材62、及び負極溶接用板材65が電気的に接続されている。また、負極タブ群44及び負極溶接用板材65は、電極組立体14の一端面36に対し、負極集電タブ42の突出方向へ離間した状態で対向している。
【0034】
なお、全ての負極集電タブ42において、負極溶接部Y2よりも先端側は、負極導電部材62に接合されておらず、自由端部Gとなっている。全ての負極集電タブ42の自由端部Gは、負極溶接部Y2よりも先端側で、かつ負極溶接用板材65を越えた部位は、負極溶接用板材65の端縁を支点として負極タブ群44の積層方向一端側に向けて折り返されている。したがって、負極タブ群44では、自由端部Gは、負極溶接用板材65を挟んで二条に折り畳まれた状態である。
【0035】
図3に示すように、負極導電部材62は、クランク形状であり、湾曲部分に対して長手方向の一方側の部位であるタブ側溶接片62aが、負極タブ群44に接合されている。また、負極導電部材62において、湾曲部分に対して長手方向に他方側の部位である端子側接合片62bがタブ側溶接片62aよりも電極組立体14の一端面36側に位置した状態で取り付けられている。
【0036】
図1に示すように、正極端子51及び負極端子52は、絶縁リング63によって絶縁された状態でケース11の蓋13を貫通している。また、電極組立体14は、四角箱状に組立てられた絶縁シート70によって、底側端面33、両偏平面31,32、及び両端面34,35が覆われている。そして、容器12の底部12aと電極組立体14の底側端面33との間、容器12の各第1側壁12bと電極組立体14の端面34,35との間、及び容器12の各第2側壁12cと電極組立体14の各偏平面31,32との間は、それぞれ絶縁シート70によって絶縁されている。
【0037】
図4及び
図5に示すように、絶縁シート70は、電極組立体14の一端面36から正極集電タブ41及び負極集電タブ42の突出方向にはみ出したはみ出し部71を有する。はみ出し部71は、全体として枠状である。そして、はみ出し部71によって囲まれた空間内に正極タブ群43及び負極タブ群44と、正極導電部材61及び負極導電部材62が配置されている。すなわち、各タブ群43,44、及び各導電部材61,62と、ケース11の内面との間に、はみ出し部71が介在している。よって、各タブ群43,44及び各導電部材61,62と、容器12とは、はみ出し部71によって囲まれるとともに、容器12から絶縁されている。
【0038】
図1に示すように、二次電池10は、正極タブ群43及び負極タブ群44に取着された取着部材53を備える。取着部材53は絶縁性を有する樹脂製であり、弾性変形可能である。また、取着部材53は、電極組立体14における各一辺21c,22c,23aに沿って長手方向が延びる矩形状であり、かつ長手方向に直交した断面がコ字型である。
【0039】
図3、及び
図4に示すように、取着部材53は、正極導電部材61及び負極導電部材62のタブ側溶接片61a,62aを、各タブ群43,44の積層方向一端側(上側)から覆う第1被覆部54を有するとともに、各タブ群43,44の積層方向他端側(下側)から覆う第2被覆部55を有する。さらに、取着部材53は、第1被覆部54と第2被覆部55を連結し、かつ各集電タブ41,42の先端及び各タブ側溶接片61a,62aを側方から覆う第3被覆部56を有する。そして、取着部材53は、第1被覆部54と、第2被覆部55と、第3被覆部56とで囲まれた収容部57を有する。
【0040】
第1被覆部54と第2被覆部55の対向面同士の距離Kは、二条に折り畳まれた各タブ群43,44の積層方向への長さと、各溶接用板材64,65の厚みと、各導電部材61,62の各タブ側溶接片61a,62aの厚みとを足した値と同じ、又は若干短くなっている。そして、第1被覆部54と第2被覆部55は、正極溶接用板材64を挟んで二条に折り畳まれた正極集電タブ41の全ての自由端部G、及び正極導電部材61のタブ側溶接片61aを積層方向両側から挟持している。そして、正極溶接部Y1より先端側の自由端部Gの全て、及びタブ側溶接片61aの一部は収容部57に収容されている。
【0041】
同様に、第1被覆部54と第2被覆部55は、負極溶接用板材65を挟んで二条に折り畳まれた負極集電タブ42の全ての自由端部G、及び負極導電部材62のタブ側溶接片62aを積層方向両側から挟持している。そして、負極溶接部Y2よりも先端側の自由端部Gの全て、及びタブ側溶接片62aの一部は収容部57に収容されている。
【0042】
取着部材53は、その第1被覆部54が、正極導電部材61及び負極導電部材62と、蓋13の内面13aとに挟まれている。そして、取着部材53は、第1被覆部54により、正極導電部材61及び負極導電部材62と蓋13とを絶縁している。また、取着部材53は、正極タブ群43及び正極導電部材61と、負極タブ群44及び負極導電部材62を一体化している。
【0043】
次に、二次電池10の作用を記載する。
各タブ群43,44において、各集電タブ41,42の各溶接部Y1,Y2より先端側は、取着部材53の収容部57に収容されている。このため、各タブ群43,44の自由端部Gが、積層方向に沿って取着部材53から飛び出すことが防止されている。
【0044】
以上詳述した本実施形態によれば以下の優れた効果を奏する。
(1)正極タブ群43及び負極タブ群44に取着部材53を取着し、各導電部材61,62に接合されていない正極集電タブ41及び負極集電タブ42の自由端部Gを、取着部材53の収容部57内に収容した。このため、二次電池10が振動しても、第1被覆部54及び第2被覆部55により、自由端部G、特に、各溶接用板材64,65から折り返された部位が取着部材53から飛び出すことが防止でき、自由端部Gが電極組立体14の一端面36やケース11に接触することを防止できる。その結果、各集電タブ41,42の先端と電極組立体14との短絡を防止できる。
【0045】
(2)正極タブ群43及び負極タブ群44に取着部材53を取着し、取着部材53の第1被覆部54を、各導電部材61,62と蓋13の内面13aとの間に配置した。このため、取着部材53によって、各導電部材61,62と蓋13とを絶縁することができる。
【0046】
(3)取着部材53において、第1被覆部54と第2被覆部55の対向する内面間の距離Kを、二条に折り畳まれた正極タブ群43及び負極タブ群44の積層方向への長さと、各溶接用板材64,65の厚みと、各導電部材61,62の厚みの和と同じ又は若干短くした。そして、第1被覆部54と第2被覆部55とで、正極タブ群43と正極溶接用板材64と正極導電部材61を挟持し、負極タブ群44と負極溶接用板材65と負極導電部材62を挟持した。よって、第1被覆部54と第2被覆部55により、各集電タブ41,42の自由端部Gの積層方向へのばたつきを防止することができる。その結果、各集電タブ41,42の自由端部G同士が摺接することが抑制でき、その摺接を原因とした金属粉の発生を抑制できる。
【0047】
(4)各タブ群43,44は、その積層方向一端側に寄せ集め、かつ集められた状態で他端側に向けて折り返されている。そして、各タブ群43,44の積層方向他端側が、電極組立体14の一端面36に対向している。取着部材53の第2被覆部55が、各タブ群43,44を積層方向他端側から覆っている。このため、収容部57内で各集電タブ41,42同士が摺接して、金属粉等が発生し、落下しても、その金属粉等を第2被覆部55で受け止めることができる。
【0048】
(5)二次電池10は、電極組立体14とケース11とを絶縁する絶縁シート70を備え、この絶縁シート70は、電極組立体14の一端面36よりも突出したはみ出し部71を備える。そして、はみ出し部71により、各タブ群43,44のうち、取着部材53によって覆われていない部位が容器12から絶縁されている。よって、取着部材53と絶縁シート70により、正極タブ群43及び負極タブ群44を確実にケース11から絶縁できる。
【0049】
(6)取着部材53を、正極タブ群43と負極タブ群44に跨って取着した。このため、正極タブ群43、正極溶接用板材64及び正極導電部材61と、負極タブ群44、負極溶接用板材65及び負極導電部材62とを取着部材53によって一纏めとすることができる。よって、電極組立体14の正極端子51及び負極端子52を蓋13を貫通させる際、正極導電部材61及び負極導電部材62の移動が規制され、その貫通作業、ひいては、電極組立体14に対する蓋13の締結作業が容易となる。
【0050】
(7)取着部材53の第3被覆部56により、正極集電タブ41及び負極集電タブ42の先端側を被覆した。このため、第3被覆部56により、各タブ群43,44の溶接部Y1,Y2付近を保護して、異物が巻き込まれることを抑制できる。
【0051】
(8)取着部材53の第1被覆部54は、各溶接部Y1,Y2も覆っている。このため、二次電池10の振動時に、各溶接部Y1,Y2に加わる荷重を第1被覆部54で支承することができ、各溶接部Y1,Y2に加わる荷重を軽減できる。
【0052】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 実施形態では、正極タブ群43及び正極導電部材61と、負極タブ群44及び負極導電部材62に跨って取着部材53を取着したが、取着部材53を2つに分け、正極タブ群43及び正極導電部材61に取着部材53を1つ取着し、負極タブ群44及び負極導電部材62に1つの取着部材53を取着してもよい。
【0053】
図6に示すように、正極集電タブ41と負極集電タブ42で厚みが異なる場合は、正極タブ群43用の取着部材531と、負極タブ群44用の取着部材532とで、第1被覆部54と第2被覆部55の対向面間の距離Kを変えたものを用意する。
【0054】
○ 正極タブ群43及び負極タブ群44は、各タブ群43,44の積層方向一端から他端までの範囲内で寄せて集め、かつ集められた状態で一端側とは反対側の他端側に向けて折り返して形成したが、折り返さなくてもよい。この場合、正極タブ群43及び負極タブ群44は、各集電タブ41,42の先端が蓋13の内面13aに対向している。そして、取着部材53は、正極タブ群43及び負極タブ群44の上(蓋13側)から取着される。
【0055】
○
図7に示すように、取着部材58は、樹脂製の板材を折り曲げて形成したものであってもよい。取着部材58は、第1被覆部54と第3被覆部56がL字型となるように一体成形されており、その第3被覆部56と第2被覆部55との境界部に第1折り曲げ部58aを備える。また、取着部材58は、第1被覆部54において、第3被覆部56との境界部との対辺となる位置に、第4被覆部59を備え、第1被覆部54と第4被覆部59との境界部に第2折り曲げ部59aを備える。第4被覆部59は、各タブ群43,44の積層方向一端側を側方から被覆している。
【0056】
このように構成した場合、取着部材58を各タブ群43,44に取着する際、第1被覆部54により、各タブ群43,44の積層方向一端側から各導電部材61,62を覆った状態で、第1折り曲げ部58aから第2被覆部55を折り曲げる。すると、各タブ41,42の自由端部Gを第2被覆部55で押しながら各溶接用板材64,65の端縁から折り曲げることができる。よって、第2被覆部55を折り曲げることで、第1被覆部54と第2被覆部55とで、自由端部Gを折り畳みつつ、挟持することができ、取着部材58の取着作業が簡単になる。また、自由端部Gの挟持のために、第2被覆部55が自由端部Gに摺接することがなく、摺接に伴う金属粉の発生も抑制される。
【0057】
また、第2折り曲げ部59aから第4被覆部59を折り曲げることで、各タブ群43,44の積層方向一端側も被覆でき、容器12から絶縁することができる。
○ 絶縁シート70において、はみ出し部71は無くもよく、絶縁シート70の開口端が、電極組立体14の一端面36と同一面上に位置していてもよい。
【0058】
○ 取着部材53において、第1被覆部54と第2被覆部55の対向する内面間の距離Kを、各タブ群43,44の積層方向への長さと、各溶接用板材64,65の厚みと、各導電部材61,62の厚みとの和よりも長くし、各タブ群43,44と、各溶接用板材64,65と、各導電部材61,62を取着部材53で挟持しなくてもよい。
【0059】
○ 実施形態では、各タブ群43,44と、各導電部材61,62とを抵抗溶接する際に、各溶接用板材64,65を用いたが、各溶接用板材64,65を用いずに各タブ群43,44と、各導電部材61,62とを溶接してもよい。この場合、取着部材53の第1被覆部54と第2被覆部55の対向面間の距離Kは、各溶接用板材64,65の厚みを抜いた距離となる。
【0060】
○ 実施形態では、各集電タブ41,42の自由端部Gは、各溶接用板材64,65の端縁で折り返され、二条に折り畳まれたが、各溶接部Y1,Y2から先端までの自由端部Gの長さが短い場合は、自由端部Gは、各溶接用板材64,65の端縁で折り返さなくてもよい。
【0061】
○ 導通部として正極溶接部Y1及び負極溶接部Y2に具体化したが、全ての正極集電タブ41又は負極集電タブ42を、各タブ群43,44の積層方向に貫通する導通部材を導通部としてもよいし、抵抗溶接以外の方法で全て正極集電タブ41又は負極集電タブ42を接合して導通させて導通部としてもよい。
【0062】
○ 実施形態では、正極電極21は、正極用金属箔21aの両面に正極用活物質層21bを有するとしたが、正極用金属箔21aの片面のみに正極用活物質層21bを有していてもよい。同様に、負極電極22は、負極用金属箔22aの両面に負極用活物質層22bを有するとしたが、負極用金属箔22aの片面のみに負極用活物質層22bを有していてもよい。
【0063】
○ 蓄電装置は、電気二重層キャパシタ等の他の蓄電装置であってもよい。
○ 実施形態では、二次電池10はリチウムイオン二次電池であったが、これに限られず、ニッケル水素等の他の二次電池であってもよい。要は、正極活物質層と負極活物質層との間をイオンが移動するとともに電荷の授受を行うものであればよい。