特許第6160354号(P6160354)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オムロン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6160354-電源装置 図000002
  • 特許6160354-電源装置 図000003
  • 特許6160354-電源装置 図000004
  • 特許6160354-電源装置 図000005
  • 特許6160354-電源装置 図000006
  • 特許6160354-電源装置 図000007
  • 特許6160354-電源装置 図000008
  • 特許6160354-電源装置 図000009
  • 特許6160354-電源装置 図000010
  • 特許6160354-電源装置 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6160354
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/12 20060101AFI20170703BHJP
   H02M 3/155 20060101ALI20170703BHJP
【FI】
   H02M7/12 Q
   H02M3/155 H
【請求項の数】2
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-167024(P2013-167024)
(22)【出願日】2013年8月9日
(65)【公開番号】特開2015-35936(P2015-35936A)
(43)【公開日】2015年2月19日
【審査請求日】2016年3月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100119987
【弁理士】
【氏名又は名称】伊坪 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(72)【発明者】
【氏名】中尾 悟朗
【審査官】 麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−070600(JP,A)
【文献】 特開2009−261042(JP,A)
【文献】 特開2012−010574(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0216558(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/12
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電圧を直流電圧に変換する整流回路と、
前記整流回路の正極側出力端子と負極側出力端子の間に接続されたスイッチング素子と、
前記スイッチング素子の電流が出力される側の端子と前記整流回路の負極側出力端子の間に接続されたコイルであって、前記スイッチング素子がオンとなっている第1の期間に、前記整流回路から出力された電圧によってエネルギ―を蓄積し、前記スイッチング素子がオフとなっている第2の期間に逆起電力により生じる直流電圧を出力するコイルと、
前記コイルの下流側端子と前記整流回路の負極側出力端子の間に一端が接続され、かつ前記コイルの上流側端子に他端が接続され、前記コイルにより出力された直流電圧を平滑化して、該平滑化された直流電圧を負荷回路へ出力するコンデンサと、
前記コイルの上流側の端子及び前記コンデンサの他端と、前記スイッチング素子との間に接続される抵抗と、
前記平滑化された直流電圧が低いほど、前記第1の期間が長くなるように、前記スイッチング素子のオンまたはオフの切り替えを制御する制御回路と、
を有し、
前記制御回路は、
前記整流回路から出力された直流電圧の波形と相似する正弦波波形信号を生成する正弦波生成回路と、
前記平滑化された直流電圧が低いほど高くなる電圧を前記正弦波波形信号に乗じることにより基準電圧を生成する基準電圧生成回路と、
前記抵抗の両端子間電圧と前記基準電圧を比較し、当該両端子間電圧が前記基準電圧よりも高くなった第1のタイミングを示す信号を出力する比較回路と、
前記第1のタイミングを示す信号が前記比較回路から入力されると、前記スイッチング素子をオフにする駆動回路とを有する
ことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記駆動回路は、クロック信号を生成する発振器を有し、前記クロック信号に基づいて決定される、前記交流電圧の周期よりも短い所定の周期ごとに、前記スイッチング素子をオンにする、請求項に記載の電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、力率を改善できる電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、入力された交流電圧を直流電圧に変換して負荷回路へ供給する電源装置において、力率を改善するために、力率改善回路を備えたものが利用されている(例えば、特許文献1〜3を参照)。
【0003】
特許文献1〜3に開示されている力率改善回路は、入力電圧よりも出力電圧の方が高くなる昇圧型の力率改善回路として動作する。しかし、例えば、遊技機の電源装置のように、電源装置に入力される交流電圧から変換された直流電圧が、そのまま制御電圧として使用される場合、安全上の観点、及び、制御機器の耐圧の観点から、出力電圧をそれほど高く設定できない。また、多数の遊技機が設置される遊技場のように、一つの交流電力供給源から複数の装置が電力供給を受ける場合、個々の装置に供給される交流電圧は、頻繁に変動するおそれがある。このような場合において、電源装置の出力電圧よりも高い交流電圧が電源装置に印加されると、電源装置が備える力率改善回路が動作せず、高い力率が得られなくなるおそれがある。
【0004】
一方、入力電圧よりも出力電圧の方が低くなる降圧型の力率改善回路も提案されている(例えば、特許文献4を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−333634号公報
【特許文献2】特開2011−229364号公報
【特許文献3】特開2012−239269号公報
【特許文献4】特開2012−16136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、供給される交流電圧の変動範囲が大きいと、その変動範囲全体にわたって高い力率を得るためには、出力電圧を低く設定せざるを得ない(例えば、入力交流電圧24Vに対して出力直流電圧12V)。この場合、出力電流が大きくなり過ぎるので、配線などによる電圧降下の影響が大きくなり、電源装置から電力供給される負荷回路における通常の動作に影響を与えるおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、入力交流電圧が出力直流電圧より高い場合だけでなく、低い場合にも力率を改善できる電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一つの形態として、電源装置が提供される。この電源装置は、交流電圧を直流電圧に変換する整流回路と、整流回路の正極側出力端子と負極側出力端子の間に接続されたスイッチング素子と、スイッチング素子の電流が出力される側の端子と整流回路の負極側出力端子の間に接続されたコイルであって、スイッチング素子がオンとなっている第1の期間に、整流回路から出力された電圧によってエネルギ―を蓄積し、スイッチング素子がオフとなっている第2の期間に逆起電力により生じる直流電圧を出力するコイルと、コイルの下流側端子と整流回路の負極側出力端子の間に一端が接続され、かつコイルの上流側端子に他端が接続され、コイルにより出力された直流電圧を平滑化して、その平滑化された直流電圧を負荷回路へ出力するコンデンサと、平滑化された直流電圧が低いほど、第1の期間が長くなるように、スイッチング素子のオンまたはオフの切り替えを制御する制御回路とを有する。
【0009】
この電源装置において、制御回路は、電源装置に入力される交流電圧の周期よりも短い周期のノコギリ波を生成するノコギリ波生成回路と、平滑化された直流電圧が低いほど高くなる基準電圧を生成する基準電圧生成回路と、ノコギリ波と基準電圧を比較し、ノコギリ波が基準電圧よりも高くなった第1のタイミングを示す信号を出力する比較回路と、コイルを流れる電流がゼロになった第2のタイミングを検知して、第2のタイミングを示す信号を出力する電流検出回路と、第1のタイミングを示す信号が比較回路から入力されると、スイッチング素子をオフにし、一方、第2のタイミングを示す信号が電流検出回路から入力されると、スイッチング素子をオンにする駆動回路とを有することが好ましい。
【0010】
この場合において、電源装置は、コイルの上流側の端子とコンデンサの他端との間に接続される抵抗をさらに有することが好ましい。そして制御回路の電流検出回路は、その抵抗の両端子間電圧がゼロになったタイミングを第2のタイミングとして検出することが好ましい。
【0011】
あるいは、コイルは補助巻線を有し、制御回路の電流検出回路は、その補助巻線に流れる電流の向きが変わったタイミングを第2のタイミングとして検出することが好ましい。
【0012】
また、電源装置は、コイルの上流側の端子及びコンデンサの他端と、スイッチング素子との間に接続される抵抗をさらに有することが好ましい。この場合において、制御回路は、整流回路から出力された直流電圧の波形と相似する正弦波波形信号を生成する正弦波生成回路と、平滑化された直流電圧が低いほど高くなる電圧を正弦波波形信号に乗じることにより基準電圧を生成する基準電圧生成回路と、抵抗の両端子間電圧と基準電圧を比較し、その両端子間電圧が基準電圧よりも高くなった第1のタイミングを示す信号を出力する比較回路と、第1のタイミングを示す信号が比較回路から入力されると、スイッチング素子をオフにする駆動回路とを有することが好ましい。
【0013】
この場合において、制御回路の駆動回路は、クロック信号を生成する発振器を有し、そのクロック信号に基づいて決定される、交流電圧の周期よりも短い所定の周期ごとに、スイッチング素子をオンにすることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る電源装置は、入力交流電圧が出力直流電圧より高い場合だけでなく、低い場合にも力率を改善できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1の実施形態による電源装置の概略構成図である。
図2】(a)は、第1の実施形態による電源装置において、入力交流電圧が比較的高い場合における、電源装置の各部の電圧の時間変化及びコイルを流れる電流の時間変化を表すタイミングチャートであり、(b)は、第1の実施形態による電源装置において、入力交流電圧が比較的低い場合における、電源装置の各部の電圧の時間変化及びコイルを流れる電流の時間変化を表すタイミングチャートである。
図3】第2の実施形態による電源装置の概略構成図である。
図4】第2の実施形態による電源装置の各部の電圧の時間変化及びコイルを流れる電流の時間変化を表すタイミングチャートである。
図5】第3の実施形態による電源装置の概略構成図である。
図6】(a)は、第3の実施形態による電源装置において、入力交流電圧が比較的高い場合における、電源装置の各部の電圧の時間変化及びコイルを流れる電流の時間変化を表すタイミングチャートであり、(b)は、第3の実施形態による電源装置において、入力交流電圧が比較的低い場合における、電源装置の各部の電圧の時間変化及びコイルを流れる電流の時間変化を表すタイミングチャートである。
図7】第4の実施形態による電源装置の概略構成図である。
図8】本発明による電源装置の様々な実施形態における、構成要素の選択図である。
図9】各実施形態における、電流検出用抵抗の設置可能な位置を記したテーブルを示す図である。
図10】各実施形態による電源装置における、制御回路駆動用の直流電圧を生成する電源回路の配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、第1の実施形態による電源装置を、図を参照しつつ説明する。この電源装置は、交流電圧を整流することで得られた脈流の直流電圧を、スイッチング素子を介してコイルに印加する。そしてこの電源装置は、スイッチング素子をオフにした時のコイルの逆起電力により生じる直流電圧を負荷回路への出力電圧とする。その際、入力交流電圧に応じて、スイッチング素子がオンとなる期間を調節することで、この電源装置は、入力交流電圧が出力電圧に対して相対的に低い場合には昇圧型の力率改善回路として動作し、一方、入力交流電圧が相対的に高い場合には降圧型の力率改善回路として動作する。そのため、この電源装置は、入力交流電圧が、出力電圧よりも低い場合だけでなく、高い場合にも力率を改善できる。
【0017】
図1は、本発明の第1の実施形態による電源装置の概略構成図である。図1に示されるように、電源装置1は、整流回路2と、スイッチング素子3と、コイル4と、平滑コンデンサ5と、制御回路6を有する。電源装置1は、電流臨界(または不連続)モードで動作するスイッチング電源であり、交流電源7(例えば、商用交流電源)から入力された交流電圧を直流電圧に変換して負荷回路8へその直流電圧を供給する。
【0018】
整流回路2は、交流電源7から入力された交流電圧を直流電圧に変換する。そのために、整流回路2は、例えば、ブリッジ型に接続された4個のダイオードを有する全波整流回路とすることができる。
【0019】
スイッチング素子3は、本実施形態では、MOSFETであり、ドレイン端子が整流回路2の正極側出力端子と接続され、一方、ソース端子が電流検出用抵抗R及びコイル4を介して整流回路2の負極側出力端子に接続される。またスイッチング端子であるゲート端子は制御回路6と接続されている。そしてスイッチング素子3は、制御回路6からオンとなる制御信号がスイッチング端子に入力されている間、整流回路2から出力された直流電圧によって、電流検出用の抵抗Rを介してコイル4へ電流を流す。一方、スイッチング素子3は、制御回路6からオフとなる制御信号がスイッチング端子に入力されている間、整流回路2の正極側出力端子と抵抗Rの間を切断する。なお、スイッチング素子としてバイポーラトランジスタが用いられてもよい。
【0020】
コイル4の上流側の一端は、電流検出用抵抗Rを介してスイッチング素子3のソース端子及び平滑コンデンサ5の負極側端子と接続されており、下流側の他端は、整流回路2の負極側出力端子及びダイオードD1を介して平滑コンデンサ5の正極側端子と接続されている。
コイル4は、スイッチング素子3がオンとなっている間に流れる電流により蓄積されたエネルギーを利用して、スイッチング素子3がオフとなったときに自身の逆起電力により、ダイオードD1及び平滑コンデンサ5を介して負荷回路8へ直流電圧を供給する。
【0021】
平滑コンデンサ5は、コイル4から供給される直流電圧を平滑化して、負荷回路8へ供給する。そのために、平滑コンデンサ5の正極側端子は、ダイオードD1を介してコイル4の下流側の端子と接続され、一方、平滑コンデンサ5の負極側端子は、電流検出用抵抗Rを介してコイル4の上流側の端子と接続される。
【0022】
制御回路6は、コイル4から平滑コンデンサ5を介して供給される直流電圧及びコイル4に流れる電流を検知して、スイッチング素子3をオンにするタイミング及びオフにするタイミングを決定する。そして制御回路6は、それらのタイミングに応じて、スイッチング素子3のオン・オフを切り替える。そのために、制御回路6は、エラーアンプ回路61と、ノコギリ波生成回路62と、比較回路63と、電流検出回路64と、駆動回路65とを有する。
【0023】
エラーアンプ回路61は、基準電圧生成回路の一例であり、例えば、オペアンプOPを有する。オペアンプOPの負極側入力端子は、抵抗R2を介して平滑コンデンサ5の正極側端子と接続され、負荷回路8に供給される出力電圧が入力される。一方、オペアンプOPの正極側入力端子には予め設定された所定の電圧が入力される。そしてオペアンプOPは、その所定の電圧と出力電圧の差に応じた電圧を基準電圧として出力する。オペアンプOPから出力される基準電圧は、電源装置1の出力電圧が低いほど高くなる。
ここで、電源装置1に入力される交流電圧及び負荷回路8の負荷が一定であれば、電源装置1の出力電圧も一定なので、基準電圧も変化しない。一方、電源装置1に入力される交流電圧が低下したり、負荷回路8の負荷が増大すると、わずかに出力電圧が低下するので、基準電圧は高くなる。このように、エラーアンプ回路61は、電源装置1の出力電圧の変動を増幅し、基準電圧の高低に反映させる。
【0024】
ノコギリ波生成回路62は、交流電源7より供給される交流電圧の周期よりも短い周期(例えば、交流電圧の周期の1/1000程度)のノコギリ波を生成し、そのノコギリ波を比較回路63へ出力する。そのために、ノコギリ波生成回路62は、定電流源Iと、コンデンサCとnpn型のトランジスタTRを有する。そして定電流源Iは、コンデンサCの上流側の一端及びトランジスタTRのコレクタ端子と接続される。そして定電流源IとコンデンサCの上流側の一端の間の出力端子から、比較回路63にノコギリ波が出力される。またコンデンサCの下流側の他端及びトランジスタTRのエミッタ端子は接地される。そしてトランジスタTRのベース端子は駆動回路65と接続される。
【0025】
トランジスタTRがオフになっている間、コンデンサCが充電されることにより、時間経過とともにノコギリ波生成回路62の出力端子から出力される電圧は上昇する。そして駆動回路65からの制御信号により、トランジスタTRがオンにされると、コンデンサCが放電して、ノコギリ波生成回路62の出力端子から出力される電圧はゼロになる。この動作を繰り返すことにより、ノコギリ波生成回路62は、繰り返しノコギリ波を出力する。
【0026】
比較回路63は、基準電圧とノコギリ波生成回路62により生成されたノコギリ波を比較する。そのために、比較回路63は、コンパレータCMPを有し、コンパレータCMPの正極側入力端子に基準電圧が入力され、負極側入力端子にノコギリ波が入力される。したがって、コンパレータCMPは、基準電圧がノコギリ波よりも高い場合に相対的に高い電圧V1を出力し、一方、基準電圧がノコギリ波以下の場合には、相対的に低い電圧V2を出力する。したがって、コンパレータCMPから出力される電圧は、ノコギリ波が基準電圧よりも高くなるタイミングを表す信号であり、駆動回路65に入力される。
【0027】
電流検出回路64は、コイル4に流れる電流を測定する。そして電流検出回路64は、コイル4に流れる電流がゼロになったタイミングを検出する。そして電流検出回路64は、そのタイミングを表す信号を駆動回路65に出力する。そのために、電流検出回路64は、例えば、電流検出用の抵抗Rの両端子間電圧を測定することで、コイル4に流れる電流を測定できる。
【0028】
駆動回路65は、電流検出回路64からコイル4に流れる電流がゼロになったことを表す信号が入力されると、スイッチング素子3をオンにして、整流回路2から供給される直流電圧によりコイル4に電流を流してエネルギーを蓄積する。そして駆動回路65は、比較回路63から電圧V1が入力されている間、スイッチング素子3をオンにしたままにする。一方、駆動回路65は、比較回路63からの電圧がV2に低下すると、すなわち、ノコギリ波が基準電圧に達すると、スイッチング素子3をオフにする。これにより、基準電圧が高いほど、すなわち、電源装置1への入力交流電圧が低いほど、スイッチング素子3がオンになる期間が長くなる。
また、駆動回路65は、スイッチング素子3をオフにしている期間中、ノコギリ波生成回路62のトランジスタTRをオンとして、コンデンサCがトランジスタTRを介して放電されるようにする。
【0029】
図2(a)は、入力交流電圧が比較的高い場合における、電源装置の各部の電圧の時間変化及びコイルを流れる電流の時間変化を表すタイミングチャートであり、図2(b)は、入力交流電圧が比較的低い場合における、電源装置の各部の電圧の時間変化及びコイルを流れる電流の時間変化を表すタイミングチャートである。図2(a)及び図2(b)において、横軸は時間を表し、左側の縦軸は電圧を表し、右側の縦軸は電流を表す。
【0030】
図2(a)において、一番上のチャートのうちの曲線201は、整流回路2により整流された、脈流の直流電圧を表し、折れ線202は、コイル4を流れる電流を表す。上から2番目のチャートにおいて、直線203は、基準電圧を表し、折れ線204は、ノコギリ波生成回路62から出力されるノコギリ波を表す。そして一番下のチャートにおける折れ線205は、駆動回路65からスイッチング素子3への制御信号の電圧を表す。
【0031】
同様に、図2(b)において、一番上のチャートのうちの曲線211は、整流回路2により整流された、脈流の直流電圧を表し、折れ線212は、コイル4を流れる電流を表す。上から2番目のチャートにおいて、直線213は、基準電圧を表し、折れ線214は、ノコギリ波生成回路62から出力されるノコギリ波を表す。そして一番下のチャートにおける折れ線215は、駆動回路65からスイッチング素子3への制御信号の電圧を表す。
【0032】
図2(a)及び図2(b)に示されるように、電源装置1に入力される交流電圧が低く、電源装置1からの出力電圧が低い方が、基準電圧が高くなる。その結果、ノコギリ波がゼロから基準電圧に達するまでの期間、すなわち、スイッチング素子3がオンになる期間が長くなる。また、コイル4に蓄えられるエネルギーはLI2/2で与えられる。ここで、Lは、コイル4のインダクタンスであり、Iは、コイル4に流れる電流である。また、コイル4に流れる電流の変化量ΔIは、ΔI=Vin*Ton/Lで与えられる。ただし、Vinはコイル4に印加される電圧であり、Tonはスイッチング素子3がオンになる期間を表す。したがって、電源装置1に入力される交流電圧が低い場合には、その分だけスイッチング素子3がオンになる期間Tonを長くすることで、コイル4の逆起電力により生じる電源装置1の出力電圧を一定に保つことができる。同様に、負荷回路8の負荷が小さい場合には、期間Tonを短くし、一方、負荷回路8の負荷が大きい場合には、期間Tonを長くすることで、コイル4の逆起電力により生じる電源装置1の出力電圧を一定に保つことができる。
【0033】
さらに、本実施形態のように、電源装置1が電流臨界モードで動作する場合、入力交流電圧及び負荷回路8の負荷が一定なら期間Tonも一定となることで、入力電圧の波形のピーク位置と、コイル4に流れる電流の波形のピーク位置がほぼ一致するので、力率が改善される。そして、この力率の改善に関する動作は、入力交流電圧の高低に関係がない。
したがって、この電源装置1は、入力される交流電圧が出力される直流電圧と比較して低い場合には、昇圧型の力率改善回路として動作し、一方、入力される交流電圧が出力される直流電圧と比較して高い場合には、降圧型の力率改善回路として動作する。
【0034】
以上に説明してきたように、この電源装置は、入力交流電圧が出力直流電圧より高い場合だけでなく、低い場合にも力率を改善できる。そのため、この電源装置は、入力交流電圧が変動し、出力電圧よりも高くなったり低くなったりするような環境において使用される場合でも、力率を改善しつつ負荷回路に直流電圧を供給できる。さらに、この電源装置では、スイッチング素子3がオフとならない限り、負荷回路側へ電流が流れない。そのため、この電源装置は、突入電流が負荷回路へ流れることを防止できる。
【0035】
次に、第2の実施形態による電源装置について説明する。図3は、第2の実施形態による電源装置の概略構成図である。第2の実施形態による電源装置10は、第1の実施形態による電源装置1と比較して、電流検出用抵抗Rの代わりに、コイル4の補助巻線4aを有し、制御回路6の電流検出回路64は、その補助巻線4aを流れる電流の向きの変化でコイル4に流れる電流がゼロになるタイミングを検出する点で異なる。そこで以下では、コイル4の補助巻線4a及び電流検出回路64における、電流がゼロになるタイミングの検出に関する動作について説明する。第2の実施形態による電源装置10のその他の構成要素については、第1の実施形態による電源装置1の対応する構成要素の説明を参照されたい。
【0036】
図4は、第2の実施形態による電源装置の各部の電圧の時間変化及びコイルを流れる電流の時間変化を表すタイミングチャートである。図4において、横軸は時間を表し、左側の縦軸は電圧を表し、右側の縦軸は電流を表す。
【0037】
図4において、一番上のチャートのうちの曲線401は、整流回路2により整流された、脈流の直流電圧を表し、折れ線402は、コイル4を流れる電流を表す。上から2番目のチャートにおいて、直線403は、基準電圧を表し、折れ線404は、ノコギリ波生成回路62から出力されるノコギリ波を表す。下から2番目のチャートにおける折れ線405は、駆動回路65からスイッチング素子3への制御信号の電圧を表す。そして一番下のチャートにおける折れ線406は、補助巻線4aの電圧を表す。
【0038】
駆動回路65からの出力電圧が相対的に低く、スイッチング素子3がオフとなり、コイル4に逆起電力により生じる電流が流れている間、補助巻線4aの電圧は正となっている。そしてコイル4に流れる電流がゼロになった瞬間に、補助巻線4aの電圧は正から負に変わる。すなわち、補助巻線4aを流れる電流の向きが反転する。そこで電流検出回路64は、補助巻線4aの電圧が正から負に変わるタイミングを、コイル4に流れる電流がゼロになるタイミングとして検出し、駆動回路65へそのタイミングを表す信号を出力すればよい。
【0039】
第2の実施形態によれば、電流検出用の抵抗が不要なので、電源装置による電力消費を抑制できる。
【0040】
次に、第3の実施形態による電源装置について説明する。図5は、第3の実施形態による電源装置の概略構成図である。第3の実施形態による電源装置20は、電流連続モードによって動作するスイッチング電源である。また、第3の実施形態による電源装置20は、第1の実施形態による電源装置1と比較して、電流検出用抵抗の接続位置及び制御回路の構成が異なる。そこで以下では、電流検出抵抗R及び制御回路70について説明する。第3の実施形態による電源装置20のその他の構成要素については、第1の実施形態による電源装置1の対応する構成要素の説明を参照されたい。
【0041】
図5に示されるように、電源装置20では、電流検出用抵抗Rの上流側の一端は、スイッチング素子3であるMOSFETのソース端子と接続され、電流検出用抵抗Rの下流側の他端は、平滑コンデンサ5の負極側端子及びコイル4の上流側の一端と接続される。
【0042】
制御回路70は、エラーアンプ回路71と、正弦波生成回路72と、乗算回路73と、比較回路74と、駆動回路75とを有する。
【0043】
エラーアンプ回路71は、第1の実施形態による制御回路6のエラーアンプ回路61と同様に、電源装置20からの出力電圧が低くなるほど高くなる電圧を出力する。
【0044】
正弦波生成回路72は、電流検出用抵抗Rに流れる電流を検知して、その電流量の包絡線に応じた正弦波波形を生成する。この正弦波波形は、整流回路2により得られる脈流電圧の波形と相似する。そのために、正弦波生成回路72として、周期的に変化する電流を検知してその電流の振幅の包絡線に応じた電圧を出力できる様々な回路の何れかを利用できる。そして正弦波生成回路72は、生成した正弦波を乗算回路73へ出力する。
【0045】
乗算回路73は、エラーアンプ回路71とともに基準電圧生成回路の他の一例を構成し、正弦波生成回路72により生成された正弦波にエラーアンプ回路71からの出力電圧を乗じることで基準電圧を生成する。そして乗算回路73は、その基準電圧を比較回路74へ出力する。したがって、電源装置20の出力電圧が低いほど、基準電圧も高くなる。
【0046】
比較回路74は、乗算回路73により生成された基準電圧とスイッチング素子3のソース端子電圧、すなわち、電流検出用抵抗Rの両端子間電圧を比較する。そのために、比較回路74は、コンパレータCMPを有し、コンパレータCMPの正極側入力端子に乗算回路73により生成された基準電圧が入力され、負極側入力端子にスイッチング素子3のソース端子電圧が入力される。したがって、コンパレータCMPは、基準電圧がソース端子電圧よりも高い場合に相対的に高い電圧V1を出力し、一方、基準電圧がソース端子電圧以下の場合には、相対的に低い電圧V2を出力する。コンパレータCMPから出力された電圧は、駆動回路75に入力される。
【0047】
駆動回路75は、比較回路74から電圧V2が入力されると、すなわち、基準電圧よりもソース端子電圧の方が高くなると、スイッチング素子3をオフにする。これにより、基準電圧が高いほど、すなわち、電源装置1の出力電圧及び入力交流電圧が低いほど、スイッチング素子3がオンになる期間が長くなる。また駆動回路75は、発振器を有し、その発振器により生成されたクロックに基づいて決定される所定の周期ごとに、スイッチング素子3をオンにする。そのため、駆動回路75は、コイル4に流れる電流をゼロになるまで減少させることなく、スイッチング素子3のオン・オフを制御できるので、電源装置20を電流連続モードで駆動できる。なお、所定の周期は、例えば、入力交流電圧の周期の1/1000程度の周期に設定される。
【0048】
図6(a)は、入力交流電圧が比較的高い場合における、電源装置20の各部の電圧の時間変化及びコイルを流れる電流の時間変化を表すタイミングチャートであり、図6(b)は、入力交流電圧が比較的低い場合における、電源装置20の各部の電圧の時間変化及びコイルを流れる電流の時間変化を表すタイミングチャートである。図6(a)及び図6(b)において、横軸は時間を表し、左側の縦軸は電圧を表し、右側の縦軸は電流を表す。
【0049】
図6(a)において、一番上のチャートのうちの曲線601は、整流回路2により整流された、脈流の直流電圧を表し、折れ線602は、コイル4を流れる電流を表す。上から2番目のチャートにおいて、曲線603は、乗算回路73により生成された基準電圧を表し、折れ線604は、スイッチング素子3のソース端子電圧を表す。そして一番下のチャートにおける折れ線605は、駆動回路75からスイッチング素子3への制御信号の電圧を表す。
【0050】
同様に、図6(b)において、一番上のチャートのうちの曲線611は、整流回路2により整流された、脈流の直流電圧を表し、折れ線612は、コイル4を流れる電流を表す。上から2番目のチャートにおいて、直線613は、基準電圧を表し、折れ線614は、スイッチング素子3のソース端子電圧を表す。そして一番下のチャートにおける折れ線615は、駆動回路75からスイッチング素子3への制御信号の電圧を表す。
【0051】
図6(a)及び図6(b)に示されるように、電源装置20に入力される交流電圧が低く、その結果として電源装置20からの出力電圧が低い方が、基準電圧が高くなる。その結果、スイッチング素子3がオンになった時点からスイッチング素子3のソース端子電圧が基準電圧に達するまでの期間、すなわち、スイッチング素子3がオンになる期間が長くなる。逆に、電源装置1に入力される交流電圧が高く、その結果として電源装置20の出力電圧が高い方が、基準電圧は低下する。その結果、スイッチング素子3がオンになる期間が短くなる。これにより、電源装置20は、出力電圧をほぼ一定に保つことができる。
【0052】
また、この実施形態でも、入力電圧の波形と同様に、コイル4に流れる電流の包絡線の波形も正弦波状となり、入力電圧と入力電流の位相も一致するので、力率が改善される。そして、この力率の改善に関する動作は、入力交流電圧の高低に関係がない。
したがって、この電源装置20は、入力される交流電圧が出力される直流電圧と比較して低い場合には、昇圧型の力率改善回路として動作し、一方、入力される交流電圧が出力される直流電圧と比較して高い場合には、降圧型の力率改善回路として動作する。
【0053】
次に、第4の実施形態による電源装置について説明する。図7は、第4の実施形態による電源装置の概略構成図である。第4の実施形態による電源装置30は、第3の実施形態による電源装置20と同様に、電流連続モードによって動作する。また、第4の実施形態による電源装置30は、第3の実施形態による電源装置20と比較して、制御回路70’の正弦波生成回路72’が、整流回路2の出力電圧を利用して正弦波波形を生成する点で異なる。そこで以下では、正弦波生成回路72’について説明する。第4の実施形態による電源装置30の動作は、第3の実施形態による電源装置20の動作と同じなので、電源装置30の動作の詳細については第3の実施形態による電源装置20の動作の説明を参照されたい。
【0054】
整流回路2により得られる脈流電圧は、コイル4の影響により、コイル4が接地されるグラウンドから見ると正弦波とはならず、その脈流電圧を分圧したとしても、やはり正弦波とはならない。そこで、正弦波生成回路72’は、例えば、フォトカプラを有し、脈流電圧の波形をそのフォトカプラを用いて伝達することにより、正弦波波形を得る。あるいは、正弦波生成回路72’は、フォトカプラの代わりにトランスを用いてもよい。
【0055】
第4の実施形態による電源装置は、電流検出用抵抗Rの両端子間電圧から正弦波を作成する回路よりも簡単な回路構成で正弦波波形を得ることができる。
【0056】
上記の各実施形態のように、本発明は、動作モード(電流臨界モードまたは電流連続モード)または出力電圧と比較する電圧の作成方法などで様々な構成を採用できる。そこで、そのような様々な構成を図8に示す。図8において、選択ブロックS101からスタートして、最後のブロックB301〜B311に至る経路(a)〜(k)の間に経由した各ブロックに記載された要素の組み合わせが電源装置の一つの実施形態となる。なお、これらのブロックに記載されていない構成要素に関しては、上記の実施形態と同様である。例えば、ブロックB301に至る経路(a)で特定される実施形態では、電流検出用抵抗を利用して電流の変化量を検出し、エラーアンプ出力と正弦波信号を乗算して得られる基準電圧とその電流に応じた電圧とを比較回路で比較することでスイッチング素子3をオフにするタイミングを決定する。すなわち、この実施形態による電源装置は、上記の第3の実施形態に相当する。また、ブロックB302またはB303に至る経路(b)、(c)で特定される実施形態は、上記の第4の実施形態に相当する。さらに、ブロックB304またはB305に至る経路(d)、(e)で特定される実施形態は、それぞれ、上記の第1の実施形態または第2の実施形態に相当する。
【0057】
ブロックB306に至る経路(f)で特定される実施形態による電源装置は、電流臨界モードで動作し、スイッチング素子3がオンになる期間が入力電圧及び負荷一定でも変動するように動作する。さらにこの電源装置は、第3の実施形態のように、電流検出用抵抗の両端子間電圧に基づいて正弦波波形を生成する正弦波生成回路を有し、その正弦波信号とエラーアンプ出力を乗算して得られる基準電圧と電流検出用抵抗に流れる電流に応じた電圧とを比較回路で比較することでスイッチング素子3をオフにするタイミングを決定する。
一方、ブロックB307に至る経路(g)で特定される実施形態による電源装置も、電流臨界モードで動作し、スイッチング素子3がオンになる期間が入力電圧及び負荷一定でも変動するように動作する。ただしこの電源装置は、正弦波信号とエラーアンプ出力を乗算して得られる基準電圧との比較に用いる電圧を、第2の実施形態と同様に、コイル4の補助巻線を流れる電流に応じた電圧とする。同様に、ブロックB308〜B311に至る経路(h)〜(k)で特定される実施形態の電源装置も、その経路上のブロックで規定された構成を持つ。
【0058】
図9は、上記の各経路(a)〜(k)に対応する各実施形態において、電流検出用抵抗を接続可能な位置を記したテーブルを示す。テーブル900の一番上の行の各欄に記載された記号a〜kは、それぞれ、図8の各経路(a)〜(k)を表す。また上から2番目の行の各欄には、対応する実施形態において、電流検出用抵抗をスイッチング素子3のソース端子と平滑コンデンサ5の負極との間に接続できるか否かが示される。そして一番下の行の各欄には、対応する実施形態において、電流検出用抵抗をスイッチング素子3のソース端子とコイル4の上流側の一端との間に接続できるか否かが示されている。例えば、経路(a)に相当する実施形態では、電流検出用抵抗は、スイッチング素子3のソース端子と平滑コンデンサ5の負極との間に接続されてもよいし、あるいは、スイッチング素子3のソース端子とコイル4の上流側の一端との間に接続されてもよい。一方、経路(d)に相当する実施形態、すなわち、上記の第1の実施形態では、電流検出用抵抗は、スイッチング素子3のソース端子と平滑コンデンサ5の負極との間に接続することはできず、スイッチング素子3のソース端子とコイル4の上流側の一端との間に接続される。また、経路(e)に相当する実施形態、すなわち、上記の第2の実施形態では、電流検出用抵抗は不要である。
【0059】
なお、スイッチング素子3をスイッチングしない限り、本発明による電源装置からは出力電圧は得られない。そこで、制御回路駆動用の直流電圧は、整流回路2により生成された脈流電圧または電源装置の入力交流電圧から生成されることが好ましい。
【0060】
図10は、各実施形態による電源装置における、制御回路駆動用の直流電圧を生成する電源回路の配置を示す図である。図10では、制御回路6は、第1の実施形態による電源装置と同様に、平滑コンデンサ5の負極側端子とコイル4の上流側端子の間に接続された電流検出用抵抗Rの両端子間電圧により、コイル4に流れる電流がゼロになるタイミングを検知して、スイッチング素子3をオフにするタイミングを決定する。ただし、制御回路は、上記の何れの実施形態によるものでもよい。
【0061】
この例では、第1の電源回路41は、整流回路2により得られる脈流電圧を定電圧に変換して制御回路6に供給する。制御回路6は、第1の電源回路41から供給された直流電圧を、例えば、ノコギリ波生成回路がノコギリ波を生成するための電圧として利用する。なお、第1の電源回路41として、脈流電圧を定電圧に変換できる公知の様々な回路を利用できる。
【0062】
また、電源装置からの出力電圧を検知するための抵抗が開放された際のことを考慮して、安全上の観点から、制御回路6は、出力電圧を検知するためのリファレンス端子(本実施形態では、エラーアンプ回路の負極側入力端子に相当)からの流入電流がなくなると、スイッチング素子3のスイッチングを停止するオープンループ検知機能を有することが好ましい。しかし、この電源装置では、スイッチング素子3がスイッチングされない限り、出力電圧が発生しないので、制御回路が上記のような機能を搭載すると、電源装置の起動時にリファレンス端子から流入する電流が無く、スイッチング素子3のスイッチングが開始されない。そこで、この例では、電源装置の起動時に、出力電圧が一定値に達するまでの間、その一定値以上の定電圧を制御回路6に印加する第2の電源回路42と、出力電圧が一定値に達した以降は第2の電源回路42を停止させる第2の制御回路43とを有する。なお、この一定値は、例えば、電源装置の出力電圧の設定値、またはその設定値から許容誤差だけ低い値とすることができる。
【0063】
第2の電源回路42は、第1の電源回路41と同様に、整流回路2により得られる脈流電圧を定電圧に変換して制御回路6に供給する。第2の電源回路42から供給された定電圧は、制御回路6のエラーアンプ回路の負側入力端子に入力される。これにより、エラーアンプ回路は、出力電圧が得られているときと同様の基準電圧を出力するので、制御回路6は、電源装置の起動時にも、スイッチング素子3をスイッチングさせることができる。なお、第2の電源回路42も、入力交流電圧から直流の定電圧を生成してもよい。また、第2の電源回路42として、脈流電圧を定電圧に変換できる公知の様々な回路を利用できる。
【0064】
第2の制御回路43は、例えば、コンパレータあるいはコンパレータと同様の機能を有する回路を有し、出力電圧と上記の一定値とを比較する。そして第2の制御回路43は、出力電圧が一定値に達するまでと出力電圧がその一定値以上になったときとで異なる電圧を第2の電源回路42に出力する。そして第2の電源回路42は、第2の制御回路43から印加された電圧が、電源装置の出力電圧が一定値に達したことを表す電圧であると、制御回路6への電力供給を停止する。これにより、出力電圧がその一定値に達すると、制御回路6のオープンループ検知機能が動作するので、この電源装置は、安全面で機能低下することはない。
【0065】
上記の実施形態または変形例による電源装置は、弾球遊技機または回胴遊技機といった遊技機に搭載される電源として用いられてもよい。
【0066】
このように、当業者は、本発明の範囲内で、実施される形態に合わせて様々な変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0067】
1、10、20、30 電源装置
2 整流回路
3 スイッチング素子
4 コイル
5 平滑コンデンサ
6、70、70’ 制御回路
7 交流電源
8 負荷回路
61、71 エラーアンプ回路
62 ノコギリ波生成回路
63、74 比較回路
64 電流検出回路
65、75 駆動回路
72、72’ 正弦波生成回路
73 乗算回路
41 第1の電源回路
42 第2の電源回路
43 第2の制御回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10