(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電力変換器は前記蓄電池の充電にも関わり、前記温度センサの検知出力に基づいて、前記蓄電池に入力する充電電流を連続から不連続に又はその逆に制御し、前記蓄電池の発熱量を増大させる必要があると判定した場合は、前記蓄電池を充電する電流を不連続な直流のパルス列にするとともに、必要な発熱量が大きいほど、前記許容上限値までの範囲内でパルスを高く、かつ、パルス幅を狭くする、請求項4に記載の蓄電池の自己発熱方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
《実施形態の要旨》
本発明の実施形態の要旨としては、少なくとも以下のものが含まれる。
【0012】
(1)この蓄電池の自己発熱装置は、充放電可能な蓄電池と、前記蓄電池の温度を検知する温度センサと、前記蓄電池に接続され、前記蓄電池の放電に関わる電力変換器と、を備え、前記電力変換器は、前記温度センサの検知出力に基づいて、前記蓄電池の発熱量を増大させる必要があると判定した場合は、前記蓄電池から出力される放電電流をパルス列にするとともに、必要な発熱量が大きいほど、前記蓄電池の許容上限値までの範囲内でパルスを高く、かつ、パルス幅を狭くする。
【0013】
上記のように構成された蓄電池の自己発熱装置において、電力変換器は、昇温又は保温目的で蓄電池の発熱量を増大させる必要があると判定した場合は、蓄電池から出力される放電電流をパルス列にする。このパルス列におけるパルスの高さとパルス幅とを制御することにより、必要な発熱量を、蓄電池の内部抵抗からの発熱によって得ることができる。すなわち、パルスの高さとパルス幅とを制御することにより、連続した電流と比べて、同じクーロン量でも発熱量を変化させることが可能となる。具体的には、必要な発熱量が大きいほど、パルスを高く、かつ、パルス幅を狭くする。逆に言えば、必要な発熱量が小さいほど、パルスを低く、かつ、パルス幅を広くする。このような熱は、蓄電池の内部から発生するため、効率よく蓄電池を昇温させ、又は保温することができる。また、蓄電池が、単位電池を集合させて成る組電池の場合に、ヒータ等の外部加熱装置に比べて加熱のむらや無駄が少なく、その結果、組電池の外箱の断熱構造を簡素化することができる。
【0014】
(2)また、(1)の自己発熱装置において、前記電力変換器は前記蓄電池の充電にも関わり、前記温度センサの検知出力に基づいて、前記蓄電池の発熱量を増大させる必要があると判定した場合は、前記蓄電池を充電する電流をパルス列にするとともに、必要な発熱量が大きいほど、前記許容上限値までの範囲内でパルスを高く、かつ、パルス幅を狭くするものであってもよい。
この場合、放電時と同様に、充電時にも、必要な発熱量を、蓄電池の内部抵抗からの発熱によって得ることができる。
【0015】
(3)また、(1)又は(2)の自己発熱装置において、単位時間tにわたって連続値で電流Iが前記蓄電池に流れることを基準として、kを1より大きい数、電流をパルス列にすることによる前記蓄電池の電圧降下を考慮した余裕時間をαとすると、パルスの高さI
hは、I
h=k・Iであり、パルス幅Δtは、Δt=(t/k)+αであることが好ましい。
この場合、結果的に、発熱量を変化させつつも、パルス列化しても、αを無視した場合のクーロン量(P=I・t=kI・(t/k))を、連続値の場合と同じ値とすることができる。
【0016】
(4)また、(1)〜(3)の自己発熱装置において、前記蓄電池、前記温度センサ及び前記電力変換器は、共通の給電電路の下に複数組設けられ、一の組の蓄電池の放電により、他の組の蓄電池を充電するようにしてもよい。
この場合、負荷や他の電源に依存しなくとも、蓄電池の相互間で昇温又は保温をすることができる。
【0017】
(5)一方、蓄電池の自己発熱方法としては、充放電可能な蓄電池の温度を温度センサにより検知し、前記蓄電池に接続され、前記蓄電池の放電に関わる電力変換器は、前記温度センサの検知出力に基づいて、前記蓄電池の発熱量を増大させる必要があると判定した場合は、前記蓄電池の放電電流をパルス列にするとともに、必要な発熱量が大きいほど、前記蓄電池の許容上限値までの範囲内でパルスを高く、かつ、パルス幅を狭くする、というものである。
【0018】
上記(5)のような蓄電池の自己発熱方法では、蓄電池から出力される放電電流をパルス列にして、このパルス列におけるパルスの高さとパルス幅とを制御することにより、必要な発熱量を、蓄電池の内部抵抗からの発熱によって得ることができる。すなわち、パルスの高さとパルス幅とを制御することにより、連続した電流と比べて、同じクーロン量でも発熱量を変化させることが可能となる。具体的には、必要な発熱量が大きいほど、パルスを高く、かつ、パルス幅を狭くする。逆に言えば、必要な発熱量が小さいほど、パルスを低く、かつ、パルス幅を広くする。このような熱は、蓄電池の内部から発生するため、効率よく蓄電池を昇温させ、又は保温することができる。また、蓄電池が、単位電池を集合させて成る組電池の場合に、ヒータ等の外部加熱装置に比べて加熱のむらや無駄が少なく、その結果、組電池の外箱の断熱構造を簡素化することができる。
【0019】
(6)また、(5)の自己発熱方法において、前記電力変換器は前記蓄電池の充電にも関わり、前記温度センサの検知出力に基づいて、前記蓄電池の発熱量を増大させる必要があると判定した場合は、前記蓄電池を充電する電流をパルス列にするとともに、必要な発熱量が大きいほど、前記許容上限値までの範囲内でパルスを高く、かつ、パルス幅を狭くするようにしてもよい。
この場合、放電時と同様に、充電時にも、必要な発熱量を、蓄電池の内部抵抗からの発熱によって得ることができる。
【0020】
(7)また、(5)又は(6)の自己発熱方法において、前記パルス列の定電流を流した場合の前記蓄電池の温度上昇の速度を、閾値と比較して前記蓄電池の劣化診断を行うことも可能である。
この場合、自己発熱装置が、蓄電池の劣化診断機能も備えることができる。
【0021】
(8)また、(1)の蓄電池の自己発熱装置は、電源システムの一部として含めることができる。このような電源システムは、効率よく蓄電池を昇温させ、又は保温することができる。
【0022】
《実施形態の詳細》
(第1実施形態)
図1は、本発明の一実施形態に係る蓄電池の自己発熱装置を含む、自立型の電源システム100を示す接続図である。この電源システム100は、太陽光発電パネル1と、DC/DCコンバータ2と、双方向性のDC/DCコンバータ3と、蓄電池4と、インバータ5とを備え、これらは、図示のように接続されている。太陽光発電パネル1の出力は、DC/DCコンバータ2により所定の電圧に変換される。また、DC/DCコンバータ2は、MPPT(Maximum Power Point Tracking)制御を行い、太陽光発電パネル1から最大電力を引き出す。DC/DCコンバータ2の出力は、DCバスBdcに接続されている。DCバスBdcからは、直接、直流負荷6に電力を供給することができる。また、DCバスBdcの電圧をインバータ5で交流に変換することにより、交流負荷7に電力を供給することができる。
【0023】
DC/DCコンバータ3は、DCバスBdcの電圧を蓄電池4の充電に適した電圧に変換し、蓄電池4を充電する。蓄電池4は、例えば、NaFSA(ナトリウム・ビスフルオロスルフォニルアミド)56mol%と、KFSA(カリウム・ビスフルオロスルフォニルアミド)44mol%との混合物を電解質とする溶融塩電池である。この電解質の融点は57℃である。融点以上の温度では、電解質は溶融し、高濃度のイオンが溶解した電解液となっている。
【0024】
なお、溶融塩としては、上記の他、NaFSAと、LiFSA、KFSA及びCsFSAとの混合物も好適である。また、他の塩を混合する場合もあり(有機カチオン等)、一般には、溶融塩は、(a)NaFSAを含む混合物、(b)NaTFSA(ナトリウム・ビストリフルオロメチルスルフォニルアミド)を含む混合物、(c)NaFTA(ナトリウム・フルオロスルフォニル−トリフルオロメチルスルフォニルアミド)を含む混合物、が適する。
【0025】
上記蓄電池4は、融点未満の温度では電解質が固化して、電池として稼働しない状態(充放電不可の状態)となる。従って、蓄電池4は常に、融点以上の温度に維持する必要がある。また、安定した動作のためには、90℃程度の温度に維持することが好ましい。電源システム100の稼働初期の段階では、ヒータ(図示せず。)を用いて蓄電池4を、上記の好適温度(90℃程度)とするが、その後は、ヒータに依存せず、異なる方法によって温度を維持する(詳細後述)。
【0026】
また、例えば太陽光発電パネル1が発電しない夜間には、DC/DCコンバータ3は、蓄電池4の出力電圧を電圧変換してDCバスBdcに提供する。これにより、直流負荷6及び、インバータ5を介して交流負荷7に、それぞれ電力を供給することができる。
蓄電池4には温度センサ8が取り付けられており、温度センサ8の出力(温度検知信号)は、DC/DCコンバータ3に送られる。蓄電池4、温度センサ8及びDC/DCコンバータ3によって、蓄電池の自己発熱装置10が構成されている。
【0027】
次に、蓄電池の自己発熱装置10の動作、及び、これによって蓄電池4の温度を維持する方法について説明する。
図2は、蓄電池4の内部の等価回路を示す図である。蓄電池4は、実際には複数の単位電池の集合体(例えば多数の単位電池を直並列に接続したもの)であるが、ここでは、簡素化して示す。すなわち、蓄電池4は、起電力E[V]である狭義の電池4aと、抵抗値Rの内部抵抗4bとの直列体として表すことができる。充電時には、内部抵抗4bを介して電池4aに電流が流れ込み、放電時は、内部抵抗4bを介して電池4aから電流が流出する。抵抗値R[Ω]の内部抵抗4bに電流I[A]が流れることによる発熱量W[J]は、時間をt[sec]として、
W=R・I
2・t
で表される。
【0028】
図3は、蓄電池4の温度領域と、放電電流との関係を示す図である。図において、蓄電池4は、例えば57℃〜190℃が稼働温度領域であり、57℃未満及び190℃を超える温度は、使用不可領域である。稼働温度領域は例えば3領域に分けることができ、下から順に、もっと昇温させることが必要な昇温領域、現状の温度を維持すればよい適温領域、そして、温度を下げる方が好ましい降温領域である。
【0029】
例えば、負荷に対して放電する蓄電池4に求められる電流をI[A](
図3の(a)の電流)とする。ここで、単位時間をt[sec]とすると、クーロン量P[C]は、P=I・tである。この電流Iは、連続した値である。ここで、電流を連続値ではなくパルス列にすることを考える。単位時間tを1周期と考えて、その1/2の時間(1/2)tをパルス幅とし、パルスの高さ、すなわち電流値を2Iとする(
図3の(b)の電流)。この場合のクーロン量は、P=2I・(1/2)t=I・tであり、(a)の場合とクーロン量は同じである。
【0030】
さらに、単位時間tの1/4の時間(1/4)tをパルス幅とし、電流値を4Iとする(
図3の(c)の電流)。この場合のクーロン量は、P=4I・(1/4)t=I・tであり、(a)の場合とクーロン量は同じである。さらに、一般式としては、パルスの高さ、すなわち電流の大きさを、(a)に示す連続値での電流Iのk倍(k>1)とすると、P=kI・(1/k)t=I・tであり、(a)の場合とクーロン量は同じである。
すなわち、放電電流をパルス列化しても、パルス幅に応じてパルスの高さを変えれば、同じクーロン量を提供することができ、負荷には必要な電力を供給することができる。但し、パルスの高さは、蓄電池4の放電電流の許容上限値I
maxを超えないようにする。
【0031】
一方、蓄電池4の内部抵抗4bによる単位時間の発熱量W[J]は、(a)の電流のときは、
W=R・I
2t ・・・(1)
である。
これに対して、(b)の電流のときは、
W=R・(2I)
2・(t/2)=2R・I
2t ・・・(2)
である。
さらに、(c)の電流のときは、
W=R・(4I)
2・(t/4)=4R・I
2t ・・・(3)
である。
一般式とするには、前述のkを用いて、
W=R・(kI)
2・(t/k)=kR・I
2t ・・・(4)
である。但し、kI≦I
maxでなければならない。
【0032】
上記の(2)、(3)、(4)式より、クーロン量Pは不変でも、パルス列にすることによって、発熱量を変化させ得ることがわかる。また、パルスの高さとパルス幅とを制御することにより、必要な発熱量を、蓄電池4の内部抵抗4bからの発熱によって得ることができる。
以上が、基本的な考え方であるが、実際には、蓄電池4の電流がパルス列になることにより、蓄電池4の電圧が若干低下する(IRドロップ)。この低下の度合いは、蓄電池によって異なる。そこで、負荷に供給する電力を所望の一定値にするには、余裕をみて、パルス幅を若干長くする必要がある。すなわち、電流をパルス列にすることによる蓄電池4の電圧降下を考慮した余裕時間をα[秒]とし、単位時間tにわたって連続値で電流Iが蓄電池4に流れることを基準として、kを1より大きい数、とすると、パルスの高さI
hは、I
h=k・Iであり、パルス幅Δtは、Δt=(t/k)+αである。
【0033】
上記のようなパルス列状の放電電流は、DC/DCコンバータ3が蓄電池4からの出力電流を昇圧チョッパ制御することにより実現される。
また、上記の説明は、放電電流について述べたが、充電電流についても同様である。その場合は、DC/DCコンバータ3がパルス列状の電流を出力することにより、パルス列状の充電電流が実現される。
パルス列の周波数は、例えば数ヘルツ、すなわち1秒間に数パルス程度である。なお、DC/DCコンバータ3には平滑コンデンサ(図示せず。)が内蔵されているが、この程度の低い周波数であれば、パルス列の波形が平滑によって鈍ることは、ほとんどない。
【0034】
図4は、DC/DCコンバータ3によって実行される、蓄電池4の放電電流/充電電流の制御の一例を示すフローチャートである。このフローチャートの処理が開始されるときは、蓄電池4は既に稼働状態にある。まず、ステップS1において、DC/DCコンバータ3は、温度検知信号に基づいて、蓄電池4が昇温領域にあるか否かを判定する。昇温領域にある場合、すなわち蓄電池4の発熱量を特に増大させる必要があると判定した場合は、DC/DCコンバータ3は、電流をパルス列とするとともに、例えば、パルスの高さI
hをI
h=4I、パルス幅Δtを、Δt=(t/4)+αとする(ステップS2)。
【0035】
なお、I
hが許容上限値I
maxを超える場合には、I
h=I
maxに制限し、パルス幅もそれに応じた値としなければならない。許容上限値I
maxは、蓄電池の種類、電池容量、温度等で変化する。DC/DCコンバータ3は、蓄電池4の温度を把握しており、また、蓄電池4と直結しているので、OCV(Open Circuit Voltage)から電池容量を推定することもできる。従って、DC/DCコンバータ3は許容上限値I
maxを、動的に把握することができる。また、予め、許容上限値I
maxを、固定値として設定することも可能である。
【0036】
また、ステップS1で昇温領域でない場合、DC/DCコンバータ3は、ステップS3において、蓄電池4が適温領域にあるか否かを判定する。適温領域にある場合、すなわち蓄電池4の発熱量を増大させる必要があると判定した場合、DC/DCコンバータ3は、電流をパルス列とするとともに、例えば、パルスの高さI
hをI
h=2I、パルス幅Δtを、Δt=(t/2)+αとする(ステップS4)。
【0037】
また、ステップS3で適温領域でない場合、DC/DCコンバータ3は、ステップS5において、蓄電池4が降温領域にあるか否かを判定する。降温領域にある場合、DC/DCコンバータ3は、電流を連続値とする(ステップS6)。
なお、ステップS5において降温領域でない場合は、昇温領域、適温領域、降温領域のいずれでもない使用不可領域であることになるので、処理は終了する。
【0038】
以上、詳述したように、蓄電池の自己発熱装置10において、DC/DCコンバータ3は、昇温又は保温目的で蓄電池4の発熱量を増大させる必要があると判定した場合は、蓄電池4から出力される放電電流(又は蓄電池4に入力される充電電流)をパルス列にする。このパルス列におけるパルスの高さとパルス幅とを制御することにより、必要な発熱量を、蓄電池4の内部抵抗4bからの発熱によって得ることができる。パルスの高さとパルス幅とを制御することにより、連続した電流と比べて、同じクーロン量でも発熱量を変化させることが可能となる。そして、必要な発熱量が大きいほど、パルスを高く、かつ、パルス幅を狭くする。逆に言えば、必要な発熱量が小さいほど、パルスを低く、かつ、パルス幅を広くする。
【0039】
このような熱は、蓄電池4の電池容器の内部から発生するため、効率よく蓄電池4を昇温させ、又は保温することができる。また、蓄電池4が、単位電池を集合させて成る組電池の場合に、ヒータ等の外部加熱装置を用いると加熱のむらが生じやすく、また、熱の一部が外へ逃げることによる無駄が生じる。そのため、熱がなるべく外へ逃げず、かつ、内部で均一になるようにするための十分な断熱構造を持つ外箱が必要であるが、上記のような内部抵抗による発熱の場合は、電池容器の中から加熱するため、外箱の断熱構造を簡素化することができる。
また、このような自己発熱装置10を含む電源システム100は、効率よく蓄電池4を昇温させ、又は保温することができる。
【0040】
また、蓄電池4の劣化と、内部抵抗4bの抵抗値とは関連性があり、劣化が進むと抵抗値が大きくなる。従って、パルス列の定電流を流した場合の蓄電池4の温度上昇の速度から、閾値との比較により、劣化診断を行うことができる。
【0041】
(第2実施形態)
図5は、他の実施形態に係る蓄電池の自己発熱装置を示す接続図である。図において、例えば1つの電力系統の下に、2組の電力変換器9と蓄電池4とが設けられている。電力変換器9は双方向性であり、蓄電池4を充電するときは整流器となり、蓄電池4から放電させるときはインバータとなる。蓄電池4には温度センサ8が設けられている。左側の蓄電池4、温度センサ8及び電力変換器9は、蓄電池の自己発熱装置10Aを構成している。同様に、右側の蓄電池4、温度センサ8及び電力変換器9は、蓄電池の自己発熱装置10Bを構成している。
【0042】
図5のような構成では、一方の組の蓄電池4の放電により、他方の組の蓄電池4を充電することができる。従って、エネルギーを負荷に供給する場合でなくても、また、電力系統から充電エネルギーをもらわなくても、蓄電池4の組間で放電・充電によりエネルギーのやりとりをして、蓄電池4を積極的に発熱させることができる。
この場合、電力変換器9を2つ通すことによる若干の電力損失はあるが、負荷や他の電源に依存しなくとも、蓄電池4の相互間で昇温又は保温をすることができるという利点がある。
また、
図5は、2組の例であるが3組以上で相互にエネルギーのやりとりをして蓄電池を自己発熱させることも可能である。
【0043】
(その他)
なお、
図1では、自立型の電源システム100を例示した。これは、発電電力が限られる点で、蓄電池の自己加熱装置10を適用することが好適な一例である。但し、商用電源を併用する電源システムであっても、上記のような蓄電池の自己加熱装置10を適用することで、より省電力を実現することができる。
【0044】
なお、上記の各実施形態は、蓄電池4として溶融塩電池を挙げたが、リチウムイオン電池でも寒冷地で使用する場合には、性能を十分に発揮させるために、加熱が必要な場合があり、このような場合にも、上述の蓄電池の自己発熱装置を適用することができる。
また、溶融塩電池よりもさらに高温で使用されるNaS(ナトリウム硫黄)電池でも、上述の蓄電池の自己発熱装置を適用することができる。
【0045】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。