(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0028】
[1.実施形態]
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しながら説明する。
【0029】
[2.差分抽出システムの構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る差分抽出システムのシステム構成図である。
図1に示すように、差分抽出システム1は、例えば、サーバ装置10とクライアント装置20とを含んで構成され、各装置は、ネットワーク2を介して接続される。なお、サーバ装置10及びクライアント装置20は、例えば、パーソナルコンピュータによって実現されるようにすればよく、また、クライアント装置20は、携帯情報端末(タブレット端末、スマートフォン等)によって実現されるようにしてもよい。
【0030】
サーバ装置10は、例えば、複数の電子ファイルを管理するサーバ装置であり、CPU等を含んで構成される制御部11と、制御部11により実行されるプログラムや電子ファイル、差分抽出処理に関する各種データを記憶する記憶部12と、ネットワーク2を介して他の装置と電子ファイルやデータを送受信するための通信部13と、を含んで構成される。
【0031】
クライアント装置20は、例えば、CPU等を含んで構成される制御部21と、制御部21により実行されるプログラムや各種データを記憶する記憶部22と、モニタ等により構成される表示部23と、ユーザが各種操作を行うための操作部24と、ネットワーク2を介して他の装置と電子ファイルやデータを送受信するための通信部25と、を含んで構成される。操作部24は、例えば、キーボードやマウス、操作ボタン、タッチパネルが用いられるようにしてもよく、他にも公知の種々の入力デバイスが適用可能である。
【0032】
なお、
図1に示す差分抽出システム1の構成は一例であって、これに限定されるものではない。例えば、
図1においては1つのサーバ装置10及びクライアント装置20のみを示しているが、これらは複数であってもよい。
【0033】
差分抽出システム1は、例えば、利用者であるユーザにより操作部24を介して選択された2つの電子ファイルを比較して、差分を抽出する。なお、差分抽出システム1は、抽出した差分に関する情報を、例えば、表示部23に表示させるようにしてもよいし、記憶部12等に記憶させるようにしてもよい。
【0034】
差分抽出システム1は、例えば、上記比較される複数の電子ファイル同士を関連付けて、この関連付けに関する情報を、記憶部12に記憶する。また、差分抽出システム1は、例えば、上記比較される電子ファイルのうちの何れかが、既に関連付けがされた電子ファイルである場合に、この電子ファイルに関連付けられた電子ファイルを、比較相手の他の電子ファイルに関連付けて、この関連付けに関する情報を記憶部12に記憶する。
【0035】
例えば、電子ファイルAと、電子ファイルB1と、を比較する場合であって、かつ、電子ファイルB1に電子ファイルB2が既に関連付けられている場合には、差分抽出システム1は、電子ファイルAに電子ファイルB1を関連付けるとともに、電子ファイルB1に元々関連付けられている電子ファイルB2も、電子ファイルAに関連付ける。即ち、電子ファイルAには、電子ファイルB1及び電子ファイルB2の2つが関連付けられる。
【0036】
このように関連付けが行われた電子ファイルAが、再度、差分抽出処理の比較対象としてユーザにより選択された場合、差分抽出システム1は、選択された電子ファイルAに関連付けられた電子ファイルB1及び電子ファイルB2を、ユーザに通知する。このため、ユーザは電子ファイルAとの差分抽出処理の比較対象とする他の電子ファイルを、通知された電子ファイルの中からも選択することができる。以下、上記処理を実現する構成について、具体的に説明する。
【0037】
[3.差分抽出システムにおいて実現される機能群]
図2は、差分抽出システム1の機能ブロック図である。
図2に示すように、差分抽出システム1は、電子ファイル記憶部31と、関連付け記憶部32と、電子ファイル選択部41と、電子ファイル通知部42と、関連付け部43と、差分抽出部44と、を含んで構成される。
【0038】
図2に示す各機能は、例えば、サーバ装置10の制御部11が、記憶部12に記憶されたプログラムを実行し、クライアント装置20の制御部21が、記憶部22に記憶されたプログラムを実行することによって実現される。以下、上記機能群の詳細について説明する。
【0039】
[3−1.電子ファイル記憶部]
電子ファイル記憶部31は、例えば、サーバ装置10の記憶部12を主として実現される。電子ファイル記憶部31は、電子ファイルを複数記憶する。電子ファイルとは、画像ファイルや文書ファイル(ドキュメントファイル、テキストファイル)等、所与の編集用アプリケーションによりユーザが編集することが可能な電子ファイルである。
【0040】
なお、実施形態においては、サーバ装置10により複数の電子ファイルを一元的に管理するような場合を想定しているが、電子ファイル記憶部31は、上記の他にも、クライアント装置20の記憶部12や、ネットワーク2に接続される所与の記憶装置により実現されるようにしてもよい。
【0041】
また、電子ファイル記憶部31に記憶される電子ファイルのうち、差分抽出システム1により比較される複数の電子ファイルのそれぞれは、同種のファイル形式であってもよいし、異なっていてもよい。以下、特に断りがない限り、上記比較される電子ファイルが画像ファイル(図面ファイル)である場合を例に挙げて説明するが、もちろん、これらは他の形式であってもよい。
【0042】
[3−2.関連付け記憶部]
関連付け記憶部32は、例えば、サーバ装置10の記憶部12を主として実現される。関連付け記憶部32は、互いに関連付けられた電子ファイルを示すデータを記憶する。関連付け記憶部32は、例えば、差分抽出システム1により比較された電子ファイルの履歴に関する情報(以下、履歴情報と呼ぶ)を示す履歴情報データと、上記比較される電子ファイルと上記履歴情報との関連付けを示す関連付けデータと、を記憶する。
【0043】
図3は、関連付けデータの一例を示す図である。
図3に示すように関連付けデータには、例えば、電子ファイル名と、電子ファイルの保存場所を示す情報(ファイルパス等)と、関連履歴情報と、が関連付けられて格納される。
【0044】
図4は、履歴情報データの一例を示す図である。
図4に示すように、履歴情報データには、例えば、履歴情報が、履歴情報を識別する履歴IDと共に格納される。履歴情報には、差分抽出システム1により過去に比較され、互いに関連付けられた電子ファイルをそれぞれ識別する情報として、例えば、複数の電子ファイル名が格納される。
【0045】
関連付けデータにおける関連履歴情報には、電子ファイルに関連付けられた履歴情報を識別する情報が含まれるものであり、例えば、履歴IDが格納される。ここで、関連履歴情報に格納される履歴IDは、主履歴と副履歴との2種類に分類される。
【0046】
主履歴とは、差分抽出システム1により電子ファイルが他の電子ファイルと初めて比較される場合に、初めて比較される電子ファイルに関連付けられる履歴IDを示すものである。例えば、差分抽出処理において比較される全ての電子ファイルが、初めて比較される電子ファイルである場合には、履歴IDが新たに生成され、この生成された履歴IDが、各電子ファイルの主履歴に格納される。
【0047】
また例えば、他の電子ファイルと初めて比較される電子ファイルと、既に主履歴に履歴IDが格納された電子ファイルと、が比較される場合には、新たな履歴IDは生成されず、上記主履歴に格納された履歴IDが、初めて比較される電子ファイルの主履歴に格納される。
【0048】
また例えば、主履歴に履歴IDが格納された第1の電子ファイルが、第2の電子ファイルと比較される場合、第1の電子ファイルの主履歴に格納された履歴IDの履歴情報には、第2の電子ファイルを識別する情報(例えば、電子ファイル名)が格納される。即ち、第1の電子ファイルの主履歴の履歴情報には、第1の電子ファイルと過去に直接的に比較された電子ファイルを識別する情報が格納されている。その後、第1の電子ファイルと第3の電子ファイルとが差分抽出システム1により比較される場合、第1の電子ファイルの主履歴の履歴情報には、第3の電子ファイルを識別する情報が格納される。
【0049】
一方、副履歴とは、電子ファイルに関連付けられた履歴IDのうち、上記主履歴以外の履歴IDを示したものである。例えば、既に主履歴に履歴IDが格納された電子ファイル同士が比較される場合であって、かつ、当該各履歴IDが互い異なる場合に、各電子ファイルの主履歴に格納される履歴IDが、比較相手の電子ファイルの副履歴に格納される。また例えば、既に副履歴に履歴IDが格納された電子ファイルが比較される場合に、当該副履歴に格納される履歴IDのうち、比較相手の電子ファイルの主履歴及び副履歴の何れにも格納されていない履歴IDが、当該比較相手の電子ファイルの副履歴に格納される。
【0050】
なお、
図3に示す関連付けデータでは、「図面A−1」「図面A−2」の主履歴に履歴ID「001」が格納されている。また、
図4に示す履歴情報データでは、履歴ID「001」の履歴情報として、「図面A−1」「図面A−2」をそれぞれ識別する情報(例えば、電子ファイル名)が格納されている。
【0051】
[3−3.電子ファイル選択部]
電子ファイル選択部41は、例えば、クライアント装置20の制御部21及び操作部24を主として実現される。電子ファイル選択部41は、ユーザが操作部24により電子ファイルを選択する操作を受け付けることによって、ユーザにより選択された電子ファイルに関する情報を取得する。
【0052】
図5は、ファイル選択画面の一例を示す図である。例えば、
図5に示すファイル選択画面50において、選択画像aを選択するためのボタン51、及び、選択画像bを選択するためのボタン52が、ユーザにより選択されることによって、差分抽出システム1が比較する2つの電子ファイルとして、選択画像a、及び、選択画像bが選択される。
【0053】
例えば、選択画像aを選択するためのボタン51がユーザにより選択された場合には、ユーザが電子ファイルを選択するための画面が表示される。その後、ユーザはその画面の案内に従って、電子ファイル記憶部31に記憶された電子ファイルの中から、選択画像aの電子ファイルを選択する。また例えば、選択画像bを選択するためのボタン52が選択された場合には、上記と同様の方法により、選択画像bの電子ファイルが選択される。
【0054】
なお、選択画像bを選択する方法としては、上記の他にも、電子ファイル通知部42により通知された中から電子ファイルを選択する方法がある。電子ファイル通知部42の詳細については後述する。
【0055】
また、ユーザにより選択された電子ファイルに関する情報が、表示部23に表示されるようにしてもよい。例えば、ユーザにより選択された電子ファイルの情報(例えば、電子ファイル名等)が、選択画像aの表示欄53、及び、選択画像bの表示欄54に表示されるようにしてもよい。
【0056】
[3−4.関連付け部]
関連付け部43は、サーバ装置10の制御部11を主として実現される。関連付け部43は、差分抽出部44により比較される各電子ファイルを関連付ける。また、関連付け部43は、既に関連付けが行われた電子ファイルが比較される場合、当該電子ファイルに関連付けられた電子ファイルを、比較相手の電子ファイルに関連付ける。
【0057】
例えば、ファイル選択画面50において選択された、選択画像aと選択画像bとを比較する場合には、関連付け部43は、選択画像aと選択画像bとを関連付ける。更に、上記選択画像bに、既に別の電子ファイル(例えば、画像c)が関連付けられている場合には、関連付け部43は、選択画像aと画像cとを関連付ける。
【0058】
例えば、
図2に示すように、関連付け部43は、履歴生成部61と、履歴格納部62と、を含んで構成される。
【0059】
[3−4−1.履歴生成部]
まず、履歴生成部61は、他の電子ファイルと初めて比較される電子ファイル同士が比較される場合、当該比較される各電子ファイルを識別する識別情報を含む履歴情報を生成し、当該各電子ファイルに関連付ける。
【0060】
例えば、
図4に示す履歴情報データに格納されている履歴ID「001」は、「図面A−1」と「図面A−2」とが、差分抽出システム1により初めて比較されたことで、履歴生成部61により新たに生成された履歴IDである。また、
図3に示す関連付けデータにおいて、上記履歴ID「001」は、「図面A−1」及び「図面A−2」の関連履歴情報の主履歴に格納されている。
【0061】
例えば、上記の状態から、他の電子ファイルと比較されたことがない電子ファイル「図面B−1」と「図面B−2」とが比較される場合、関連付けデータ及び履歴情報データは、
図6及び
図7に示す状態になる。即ち、
図6に示すように、履歴生成部61は、例えば、「図面B−1」「図面B−2」に対応するレコードを関連付けデータに生成し、その関連履歴情報の主履歴に、履歴ID「002」を格納する。
【0062】
そして、
図7に示すように、履歴生成部61は、例えば、上記履歴ID「002」に対応するレコードを履歴情報データに生成し、その履歴情報に、「図面B−1」「図面B−2」をそれぞれ識別する情報(例えば、電子ファイル名)を格納する。
【0063】
上記のように、履歴生成部61は、差分抽出システム1により比較される各電子ファイルを識別する識別情報を含む履歴情報を生成し、当該各電子ファイルに関連付けることで、差分抽出システム1により比較される各電子ファイルを関連付ける。
【0064】
[3−4−2.履歴格納部]
次に、履歴格納部62は、履歴情報が関連付けられた電子ファイルが比較される場合、比較相手の電子ファイルに当該履歴情報を関連付けるとともに、比較相手の電子ファイルを識別する識別情報を当該履歴情報に格納する。履歴格納部62は、
図2に示すように、第1履歴格納部63と、第2履歴格納部64と、第3履歴格納部65と、を含んで構成される。
【0065】
[3−4−2−1.第1履歴格納部]
履歴生成部61により履歴情報が関連付けられた電子ファイルと、他の電子ファイルと初めて比較される電子ファイルと、が比較される場合には、第1履歴格納部63は、当該関連付けられた履歴情報を、当該初めて比較される電子ファイルに関連付け、この履歴情報に、当該初めて比較される電子ファイルを識別する識別情報を格納する。
【0066】
例えば、履歴生成部61により履歴ID「002」が主履歴に格納された電子ファイル「図面B−2」と、他の電子ファイルと比較されたことがない電子ファイル「図面B−3」と、が比較される場合、関連付けデータ及び履歴情報データは、
図8及び
図9に示す状態になる。即ち、
図8に示すように、第1履歴格納部63は、例えば、関連付けデータに「図面B−3」に対応するレコードを生成し、そこに「図面B−2」の主履歴に格納された履歴ID「002」を格納する。「図面B−3」は、これまで他の電子ファイルと比較されたことがない電子ファイルであるため、履歴ID「002」は、「図面B−3」の主履歴に格納される。
【0067】
そして、
図9に示すように、第1履歴格納部63は、例えば、上記主履歴に格納される履歴ID「002」の履歴情報に、「図面B−2」の比較相手である「図面B−3」を識別する情報(例えば、電子ファイル名)を格納する。
【0068】
[3−4−2−2.第2履歴格納部]
また、履歴生成部61又は第1履歴格納部63により履歴情報が関連付けられた電子ファイル同士が比較され、互いの履歴情報が異なる場合、第2履歴格納部64は、上記比較される各電子ファイルに関連付けられた履歴情報を、比較相手の電子ファイルに関連付け、上記履歴情報に、比較相手の電子ファイルを識別する識別情報を格納する。
【0069】
例えば、第1履歴格納部63により履歴ID「002」が主履歴に格納された電子ファイル「図面B−3」と、履歴ID「001」が主履歴に格納された「図面A−2」と、が比較される場合、関連付けデータ及び履歴情報データは、
図10及び
図11に示す状態になる。即ち、
図10に示すように、第2履歴格納部64は、例えば、関連付けデータを参照し、「図面B−3」の主履歴に格納され、かつ、「図面A−2」に格納されていない履歴ID「002」を、「図面A−2」の副履歴に格納する。同様に、第2履歴格納部64は、「図面A−2」の主履歴に格納され、かつ、「図面B−3」に格納されていない履歴ID「001」を、「図面B−3」の副履歴に格納する。
【0070】
そして、
図11に示すように、第2履歴格納部64は、例えば、履歴情報データにおいて、電子ファイル「図面A−2」の主履歴に格納された履歴ID「001」の履歴情報に、比較相手である「図面B−3」を識別する情報(例えば、電子ファイル名)を格納する。同様に、第2履歴格納部64は、電子ファイル「図面B−3」の主履歴に格納された履歴ID「002」の履歴情報に、比較相手である「図面A−2」を識別する情報を格納する。
【0071】
[3−4−2−3.第3履歴格納部]
また、第2履歴格納部64により履歴情報が関連付けられた電子ファイルが比較され、かつ、当該履歴情報が比較相手の電子ファイルに関連付けられていない場合、第3履歴格納部65は、当該履歴情報を、比較相手の電子ファイルに関連付けて格納する。
【0072】
例えば、履歴ID「001」が主履歴に格納され、第2履歴格納部64により履歴ID「002」が副履歴に格納された電子ファイル「図面A−2」と、「図面A−x」(履歴ID「001」が主履歴に格納され、第2履歴格納部64により履歴ID「003」が副履歴に格納された電子ファイルとする)と、が比較される場合、関連付けデータは、
図12に示す状態になる。即ち、
図12に示すように、第3履歴格納部65は、例えば、「図面A−2」の副履歴に格納され、かつ、「図面A−x」に格納されていない履歴ID「002」を、「図面A−x」の副履歴に格納する。同様に、第3履歴格納部65は、「図面A−x」の副履歴に格納され、かつ、「図面A−2」には格納されていない履歴ID「003」を、「図面A−2」の副履歴に格納する。
【0073】
なお、「図面A−2」及び「図面A−x」の主履歴には、既に同一の履歴ID「001」が格納されており、履歴情報データにおける履歴ID「001」には、「図面A−2」及び「図面A−x」の双方の電子ファイルを識別する情報が格納されている。従って、上記の条件で電子ファイルが比較される場合、履歴情報には新たな情報は格納されず、履歴情報データは更新されない。
【0074】
上記に説明した他にも、履歴格納部62は、第3履歴格納部65により履歴情報が関連付けられた電子ファイルが比較され、かつ、当該電子ファイルに関連付けられた履歴情報が比較相手の電子ファイルに関連付けられていない場合、当該電子ファイルに関連付けられた履歴情報を、比較相手の電子ファイルに関連付けて格納する。
【0075】
例えば、履歴ID「001」が主履歴に格納され、履歴ID「002」「003」が副履歴に格納された「図面A−2」と、他の電子ファイルと比較されたことがない「図面C」と、が比較される場合、
図13に示すように、履歴格納部62は、関連付けデータを参照し、「図面A−2」の主履歴に格納された履歴ID「001」を、「図面C」の主履歴に格納し、「図面A−2」の副履歴に格納された履歴ID「002」「003」を、「図面C」の副履歴に格納する。
【0076】
そして、履歴格納部62は、例えば、第1履歴格納部63と同様に、履歴情報データにおいて「図面A−1」の主履歴に格納された履歴ID「001」の履歴情報に、「図面C」を識別する情報(例えば、電子ファイル名)を格納する。
【0077】
他にも例えば、履歴ID「001」が主履歴に格納され、履歴ID「002」「003」が副履歴に格納された上記「図面A−2」と、「図面D」(履歴ID「004」が主履歴に格納され、副履歴には履歴IDが格納されていない電子ファイルとする)と、が比較される場合、関連付けデータは
図13に示すようになる。即ち、履歴格納部62は、例えば、関連付けデータを参照し、「図面A−2」の関連履歴情報に格納され、かつ、「図面D」には格納されていない複数の履歴ID「001」「002」「003」を、「図面D」の副履歴に格納する。同様に、履歴格納部62は、「図面D」の主履歴に格納され、かつ、「図面A−2」には格納されていない履歴ID「004」を、「図面A−2」の副履歴に格納する。
【0078】
そして、履歴格納部62は、例えば、第2履歴格納部64と同様に、履歴情報データを参照し、電子ファイル「図面A−2」の主履歴に格納された履歴ID「001」の履歴情報に、比較相手である「図面D」を識別する情報(例えば、電子ファイル名)を格納する。同様に、履歴格納部62は、「図面D」に格納された履歴ID「004」の履歴情報に、比較相手である「図面A−2」を識別する情報を格納する。
【0079】
上記のように、履歴格納部62は、各電子ファイルに関連付けられている履歴情報を、比較相手の電子ファイルに関連付けるとともに、各電子ファイルの主履歴に関連付けられた履歴情報に、比較相手の電子ファイルを識別する識別情報を格納することで、比較する電子ファイル同士を関連付ける。
【0080】
[3−5.差分抽出部]
差分抽出部44は、サーバ装置10の制御部11を主として実現される。差分抽出部44は、電子ファイル記憶部31に記憶された電子ファイルのうち、ユーザにより選択された複数の電子ファイルを比較して差分を抽出する。
【0081】
例えば、差分抽出部44において比較される2つの電子ファイルが、画像ファイルである場合、差分抽出部44は、パターンマッチングにより2つの画像ファイルの差分を抽出する。差分抽出部44は、例えば、パターンマッチングを行うことで、2つの画像ファイルの相違する部分を抽出して差分画像を取得するようにしてもよいし、各画像ファイルが示す全体の画像のうち、相違する部分を強調して表示部23に表示させるようにしてもよい。
【0082】
また例えば、比較される2つの電子ファイルが文書ファイル(ドキュメントファイル、テキストファイル)である場合、差分抽出部44は、電子ファイルが示す記号列や文字列同士を比較して差分を抽出するようにしてもよいし、各文書ファイルが示す全体の記号列や文字列のうち、相違する部分を強調して表示部23に表示させるようにしてもよい。
【0083】
[3−6.電子ファイル通知部]
電子ファイル通知部42は、サーバ装置10の制御部11を主として実現される。電子ファイル通知部42は、関連付け部43により関連付けが行われた電子ファイルがユーザにより選択された場合に、当該選択された電子ファイルに関連付けられた電子ファイルを通知する。
【0084】
電子ファイル通知部42は、例えば、ユーザにより選択された電子ファイルに関連付けられた履歴情報により示される電子ファイルを通知する。ここでは、
図10、
図11に示すように、「図面A−1」「図面A−2」「図面B−1」「図面B−2」「図面B−3」に関する情報が予め関連付けデータ、及び、履歴情報データに記憶されている場合を例に挙げて説明する。
【0085】
図14は、ファイル選択画面の一態様を示す図である。
図14に示すファイル選択画面50において、ユーザにより選択画像aが選択され、関連ファイル通知ボタン55が選択されることで、関連ファイル通知欄56に、選択図面aとして選択された「図面A−2」に関連付けられた電子ファイルの情報が表示される。
【0086】
ここでは、電子ファイル通知部42が、「図面A−2」に関連付けられた電子ファイルの情報を通知する場合について説明する。
図10に示すように、関連付けデータでは、「図面A−2」の関連履歴情報に、履歴ID「001」「002」が格納されている。また、
図11に示すように、履歴情報データでは、履歴ID「001」の履歴情報に、「図面A−1」「図面A−2」「図面B−3」をそれぞれ識別する情報(例えば、電子ファイル名)が格納され、また、履歴ID「002」の履歴情報に、「図面B−1」「図面B−2」「図面B−3」「図面A−2」をそれぞれ識別する情報が格納されている。
【0087】
電子ファイル通知部42は、例えば、上記履歴ID「001」及び履歴ID「002」により示される電子ファイルのうち、重複分を除いた「図面A−1」「図面A−2」「図面B−3」及び「図面B−1」「図面B−2」に関する情報(例えば、電子ファイル名)を、関連ファイル通知欄56に表示させることで、選択画像aに関連付けられた電子ファイルをユーザに通知する。
【0088】
ここで、「図面B−1」「図面B−2」は、「図面A−2」の副履歴のみにより示される電子ファイルである。即ち、「図面B−1」「図面B−2」は、「図面A−2」と過去に直接的に比較されたことがない電子ファイルである。例えば、
図14に示すファイル選択画面50では、ユーザにより選択された選択画像aと、過去に直接比較されたことがない電子ファイルについても、ユーザに通知されることを示している。
【0089】
上記のように、電子ファイル通知部42は、ユーザにより選択された電子ファイルに関連付けられた(履歴情報に格納された)電子ファイルを通知する。また、電子ファイル選択部41は、このように通知された電子ファイルからも、差分抽出処理の比較対象とする電子ファイルをユーザに選択させることができる。この場合、差分抽出部44は、ユーザにより選択された電子ファイルと、上記通知された電子ファイルからユーザにより選択された電子ファイルと、を比較して、各電子ファイルの差分を抽出する。
【0090】
電子ファイル選択部41は、例えば、ファイル選択画面50の関連ファイル通知欄56に通知された電子ファイルの中から、選択画像bの電子ファイルを選択するユーザからの操作を受け付けて、選択画像bに関する情報を取得する。また、差分抽出部44は、例えば、ユーザにより選択された選択画像a及び上記選択画像bの2つの電子ファイルを比較することによって、各電子ファイルの差分を抽出する。
【0091】
他にも、電子ファイル通知部42は、選択された電子ファイルに関連付けられた履歴情報のうち、履歴生成部61又は第1履歴格納部63により関連付けられた履歴情報に格納された識別情報が示す電子ファイルを、第2履歴格納部64又は第3履歴格納部65により関連付けられた履歴情報に格納された識別情報が示す電子ファイルよりも優先的に通知するようにしてもよい。
【0092】
本実施形態においては、関連履歴情報に格納される履歴IDのうち、主履歴に格納される履歴IDの履歴情報が、上記の履歴生成部61又は第1履歴格納部63により関連付けられた履歴情報に相当する。また、副履歴に格納される履歴IDの履歴情報が、上記の第2履歴格納部64又は第3履歴格納部65により関連付けられた履歴情報に相当する。
【0093】
また、電子ファイルを優先的に通知することとしては、例えば、複数の電子ファイルを並べて表示させる場合であれば、優先される電子ファイルを、他の電子ファイルよりも上位の位置に並べて表示させることが挙げられる。他にも、優先される電子ファイルのみを通知すること、優先される電子ファイルを通知させるためのユーザの操作量は、他の電子ファイルを通知させるための操作量よりも少ないこと等が挙げられる。
【0094】
電子ファイル通知部42は、例えば、ユーザにより選択された「図面A−2」に関連付けられた電子ファイルのうち、主履歴に格納される履歴ID「001」により示される電子ファイル「図面A−1」「図面A−2」「図面B−3」を、他の電子ファイルよりも優先的に通知する。
【0095】
例えば、
図14に示すように、「図面A−1」「図面A−2」「図面B−3」が、関連ファイル通知欄56におけるリストの上位に表示されるようにしてもよいし、
図15に示すように、「図面A−1」「図面A−2」「図面B−3」が、ユーザにより「さらに表示する」ボタンが選択される以前から表示されるようにしてもよい。
【0096】
なお、
図15に示す、上記「さらに表示する」ボタンがユーザにより選択されることにより、「図面A−2」の副履歴に関連付けられた電子ファイルのうち、主履歴にのみ関連付けられた「図面B−1」「図面B−2」が更に表示される。
【0097】
他にも、電子ファイル通知部42は、通知された電子ファイルがユーザにより選択された場合、当該選択された電子ファイルに関連付けられた履歴情報に格納された識別情報が示す電子ファイルを更に通知するようにしてもよい。
【0098】
例えば、
図16に示すように、ファイル選択画面50において選択画像aに「図面A−1」が選択されており、更に、関連ファイル通知欄56の「図面B−3」がユーザにより選択された場合に、電子ファイル通知部42は、この選択された「図面B−3」及び、「図面B−3」に関連付けられた電子ファイル「図面B−1」「図面B−2」「図面A−2」を更に通知する。
【0099】
上記のようにすることで、「図面A−1」とは関連付けられていない「図面B−1」「図面B−2」についても、ユーザは「図面B−3」に基づき更に通知された電子ファイルの中から選択することができる。
【0100】
なお、電子ファイル通知部42が、電子ファイルを通知するために表示部23に表示させる情報としては、電子ファイル名に限らず、電子ファイルを特定するものであればよい。例えば、電子ファイル通知部42は、電子ファイルの保存場所を表示させるようにしてもよく、他にも例えば、電子ファイル通知部42は、電子ファイルの内容を示す縮小画像(サムネイル画像)を表示させるようにしてもよい。
【0101】
[4.差分抽出システムで実行される処理]
次に、本実施形態において、差分抽出システム1が実行する処理について説明する。
【0102】
[4−1.全体の処理]
図17は、差分抽出システム1において実行される処理のシーケンス図である。ここでは、
図5に示すファイル選択画面50において、記憶部12に記憶された電子ファイルの中からユーザにより2つの電子ファイルが選択され、選択された各電子ファイルが比較されて差分抽出が行われるまでの処理について説明する。
【0103】
図17に示すように、まず、クライアント装置20において、制御部21は、記憶部12に記憶された電子ファイルの中から、ユーザにより第1の電子ファイルが選択される操作を待ち受ける(S101)。続いて、制御部21は、第1の電子ファイルの情報を、サーバ装置10に送信する(S102)。
【0104】
サーバ装置10においては、制御部11は、受信した第1の電子ファイルの情報と、記憶部12に記憶される関連付けデータ及び履歴情報データと、に基づいて、第1の電子ファイルに関連付けられた電子ファイルの情報を、クライアント装置20に送信する(S103)。
【0105】
S103において、例えば、制御部11は、記憶部12に記憶される関連付けデータを参照し、第1の電子ファイルに対応するレコードに格納される履歴IDを取得する。また、制御部11は、取得した履歴IDの履歴情報に格納される電子ファイルを識別する情報を取得し、この情報を、クライアント装置20に送信する。
【0106】
クライアント装置20においては、制御部21は、受信した情報に基づいて、第1の電子ファイルに関連付けられた電子ファイルをユーザに通知する(S104)。例えば、制御部21は、
図14乃至
図16に示すように、第1の電子ファイルに関連付けられた電子ファイルに関するする情報を表示部23に表示させることで、第1の電子ファイルに関連付けられた電子ファイルをユーザに通知する。
【0107】
制御部21は、このように通知された電子ファイルの中から、第2の電子ファイルがユーザにより選択される操作を待ち受ける(S105)。制御部21は、ユーザから差分抽出を実行する指示を受け付けて(S106)、当該指示を受け付けた場合に、ユーザにより選択された第1の電子ファイル及び第2の電子ファイルに関する情報を、サーバ装置10に送信する(S107)。
【0108】
サーバ装置10においては、制御部11は、受信した情報に基づいて、
図18に示す電子ファイルの関連付け処理を実行する(S108)。制御部11は、選択された2つの電子ファイルを比較し、差分抽出処理を実行する(S109)。なお、S108及びS109の処理を実行する順番は、どちらが先であってもよい。
【0109】
[4−2.関連付け処理]
次に、S108において実行される関連付け処理の詳細について説明する。
図18は、関連付け処理を示すフロー図である。
図18に示すように、サーバ装置10の制御部11は、S107でクライアント装置20から送信された2つの電子ファイルの情報を受信して取得する(S201)。
【0110】
制御部11は、2つの電子ファイルが、何れも他の電子ファイルと初めて比較される電子ファイルであるか否かを判定する(S202)。なお、一の電子ファイルが、他の電子ファイルと初めて比較される電子ファイルであると判断する条件としては、例えば、次に示す場合が挙げられる。
・関連付けデータに、一の電子ファイルに関する情報が格納されていない場合
・関連付けデータにおいて、一の電子ファイルの主履歴が格納されていない場合
【0111】
2つの電子ファイルが、何れも他の電子ファイルと初めて比較される電子ファイルである場合(S202:Y)、制御部11は、関連付けデータに、各電子ファイルに対応するレコードを生成する(S203)。制御部11は、履歴情報データに、各電子ファイルをそれぞれ識別する情報(例えば、電子ファイル名)を含む、新たな履歴情報を生成する。(S204)。
【0112】
制御部11は、この新たに生成した履歴情報を、関連付けデータにおける各電子ファイルの主履歴に関連付けて(S205)、S108の処理を終了する。
【0113】
また、S202の条件を満たさない場合(S202:N)、制御部11は、上記2つの電子ファイルのうち、一方の電子ファイルのみが、他の電子ファイルと初めて比較される電子ファイルであるか否かを判定する(S206)。
【0114】
一方の電子ファイルのみが、他の電子ファイルと初めて比較される電子ファイルである場合(S206:Y)、制御部11は、関連付けデータに、上記初めて比較される方の電子ファイルに対応するレコードを生成する(S207)。
【0115】
制御部11は、関連付けデータにおいて、既に履歴情報が関連付けられている方の電子ファイルから、主履歴に関連付けられている履歴情報を取得して、この履歴情報を、上記初めて比較される方の電子ファイルの主履歴に関連付ける(S208)。制御部11は、履歴情報データを参照して、この取得した履歴情報に、上記初めて比較される方の電子ファイルを識別する情報(例えば、電子ファイル名等)を格納する(S209)。
【0116】
制御部11は、既に履歴情報が関連付けられている方の電子ファイルの副履歴に、履歴情報が関連付けられているか否かを判定する(S210)。副履歴に履歴情報が関連付けられている場合(S210:Y)、この履歴情報を、上記初めて比較される方の電子ファイルの副履歴に関連付けて(S211)、S108の処理を終了する。
【0117】
また、他の電子ファイルと過去に比較されたことがある電子ファイル同士が比較される場合(S206:N)、制御部11は、各電子ファイルの主履歴の履歴情報に、比較相手の電子ファイルを識別する情報(例えば、電子ファイル名等)を格納する。(S212)。
【0118】
制御部11は、各電子ファイルの履歴情報に、比較相手の電子ファイルの履歴情報と重複しない履歴情報があるか否かを判定する(S213)。重複しない履歴情報がある場合(S213:Y)、制御部11は、この重複しない履歴情報を、比較相手の電子ファイルの副履歴に関連付けて(S214)、S108の処理を終了する。
【0119】
[5.実施形態のまとめ]
本実施形態に係る差分抽出システム1は、差分抽出を行う際に、ユーザにより選択された電子ファイルの関連履歴情報(主履歴又は副履歴)に関連付けられた履歴情報を参照することによって、ユーザにより選択された電子ファイルに関連付けられた(履歴情報により示される)電子ファイルを通知する。
【0120】
また、差分抽出システム1は、通知された電子ファイルの中からユーザにより選択された電子ファイルに関連付けられた履歴情報を参照することによって、通知された電子ファイルの中からユーザにより選択された電子ファイルに関連付けられた電子ファイルを、更に通知する。
【0121】
また、差分抽出システム1は、電子ファイルの主履歴に関連付けられた履歴情報と、副履歴に関連付けられた履歴情報と、をそれぞれ参照することによって、電子ファイルが他の電子ファイルと初めて比較される場合に関連付けられた履歴情報(即ち、主履歴の履歴情報)により示される電子ファイルを、優先的に通知する。
【0122】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。本発明を逸脱しない範囲で、適宜変更可能である。
【0123】
[6.変形例]
図19は、変形例に係る差分抽出システム1の機能ブロック図である。
図19に示すように、変形例に係る差分抽出システム1は、実施形態で説明した機能に加えて、制限部71と、類似度算出部72と、を更に含んで構成される。制限部71、及び、類似度算出部72は、例えば、サーバ装置10の制御部11が、記憶部12に記憶されたプログラムを実行し、クライアント装置20の制御部21が、記憶部22に記憶されたプログラムを実行することによって実現される。
【0124】
(1)実施形態においては、関連付けデータにおける履歴IDの格納先として、主履歴、及び、副履歴の2つの格納先を備える場合について説明した。例えば、履歴IDが副履歴に格納された順序に基づいて、電子ファイルに関連付けられた複数の電子ファイルが通知されるようにしてもよい。
【0125】
変形例(1)の関連付け部43は、第2履歴格納部64又は第3履歴格納部65により履歴情報が電子ファイルに関連付けられる場合、第2履歴格納部64又は第3履歴格納部65により当該電子ファイルに履歴情報が関連付けられた順序を、当該履歴情報に付与し、変形例(1)の電子ファイル通知部42は、第2履歴格納部64又は第3履歴格納部65により複数の履歴情報が関連付けられた電子ファイルがユーザにより選択された場合、当該関連付けられた各履歴情報に付与された順序に基づいて通知を行う。
【0126】
ここで、第2履歴格納部64又は第3履歴格納部65により関連付けられた履歴情報は、例えば、関連付けデータにおける、副履歴に格納された履歴IDにより識別される履歴情報に相当する。また、電子ファイルに履歴情報が関連付けられた順序は、履歴IDが格納された副履歴の順序(以下、単に副履歴の順序とも呼ぶ)に相当する。
【0127】
また、履歴IDが副履歴に格納された順序(副履歴の順序)とは、例えば、電子ファイルの副履歴に格納された履歴IDにとって、何番目の電子ファイルかを示す順序である。例えば、主履歴に格納された履歴IDが、他の電子ファイルの副履歴に格納される場合には、当該履歴IDは初めて副履歴に格納されるため、当該履歴IDの副履歴の順序として、「1」が付与される。また、副履歴の順序として「n」(nは自然数)が付与された履歴IDが、他の電子ファイルの新たな(既存の履歴IDと重複しない)履歴IDとして格納される場合には、当該他の電子ファイルは、当該新たな履歴IDにとって「n+1」番目の電子ファイルとなるため、当該新たな履歴IDの副履歴の順序として、「n+1」が付与される。
【0128】
他にも例えば、副履歴の順序は、履歴IDを副履歴に格納した電子ファイルとって、何番目の(副履歴の)履歴IDかを示す順序としてもよい。例えば、電子ファイルの副履歴にm個(mは0以上の整数)の履歴IDが格納されており、そこに新たな(既存の履歴IDと重複しない)履歴IDが格納される場合に、当該新たな履歴IDの副履歴の順序として、「m+1」が付与されるようにしてもよい。
【0129】
関連付け部43は、関連付け情報において、比較される電子ファイルの副履歴に、履歴IDを格納するとともに、副履歴の順序を付与する。ここでは、副履歴の順序を、上記履歴IDにとって何番目の電子ファイルかを示す順序とした場合を例に挙げて説明する。
【0130】
図20乃至
図22は、変形例(1)に係る関連付けデータの一例を示す図である。例えば、
図20に示すように、関連付けデータは、副履歴として複数の履歴IDの格納先(副履歴1、副履歴2、副履歴3・・・)を備える。この場合、副履歴の順序は、副履歴1、副履歴2、副履歴3・・・のそれぞれの格納先を示す自然数に相当し、副履歴の順序を付与することは、上記副履歴1、副履歴2、副履歴3・・・のうちの何れかに履歴IDを格納することにより実現される。
【0131】
まず、
図20に示す関連付けデータにおいて、電子ファイル「図面E」「図面F」「図面G」の各レコードに対応する主履歴に、それぞれ、履歴ID「005」「006」「007」が格納されているものとする。
【0132】
ここで、差分抽出システム1により「図面E」と「図面F」とが比較される場合、関連付けデータは、
図21に示す状態になる。具体的には、「図面E」の主履歴に格納されている履歴ID「005」が「図面F」に格納される際、履歴ID「005」は初めて副履歴に格納されるため、副履歴の順序として「1」が付与される。即ち、履歴ID「005」は、「図面F」の副履歴1に格納される。同様に、「図面F」の主履歴に関連付けられている履歴ID「006」は、「図面E」の副履歴1に格納される。
【0133】
その後、更に「図面E」と「図面G」とが比較される場合、関連付けデータは、
図22に示す状態になる。具体的には、「図面E」及び「図面G」の主履歴に格納されている履歴ID「005」及び「007」が、それぞれ比較相手の電子ファイルに格納される際、その副履歴の順序として「1」を付与される。即ち、履歴ID「005」及び「007」は、「図面G」及び「図面E」の副履歴1に格納される。そして、「図面E」の副履歴1に格納されている履歴ID「006」が、比較相手の「図面G」の副履歴に格納される際、副履歴の順序として、元の値である「1」に、1を加算した「2」が付与される。従って、履歴IDは、「図面G」の副履歴2に格納される。
【0134】
このようにして副履歴の順序が付与された後に、電子ファイル通知部42は、副履歴の順序に基づいて、副履歴により示される電子ファイルを通知する。電子ファイル通知部42は、例えば、ユーザにより選択された電子ファイルに格納される関連履歴情報のうち、1.主履歴の履歴情報、2.副履歴1の履歴情報、3.副履歴2の履歴情報、の順序で優先順位を決定し、優先順位の高い履歴情報の電子ファイルを、優先順位の低い履歴情報の電子ファイルよりも優先的に通知する。
【0135】
具体的には、
図23に示すように、「図面G」の主履歴の履歴ID「007」により示される電子ファイルが、関連ファイル通知欄56におけるリストの上段に表示される。また、「図面G」の副履歴のうち、副履歴1に格納された(副履歴の順序として「1」が付与された)履歴ID「005」により示される電子ファイルが、上記リストの中段に、副履歴2に格納された履歴ID「006」により示される電子ファイルが、上記リストの下段に、それぞれ表示される。
【0136】
なお、他にも例えば、制限部71が、副履歴の順序が閾値を超える場合に、この副履歴に関連付けられた電子ファイルが通知されないように制限してもよく、また、ユーザからの操作を受け付けることにより上記閾値を変更して、又は、上記閾値による制限を解除して、副履歴に関連付けられた電子ファイルが通知されるようにしてもよい。
【0137】
また、
図20乃至
図22の関連付けデータのデータ格納例では、履歴IDの格納先として、副履歴1、副履歴2、副履歴3・・・が備えられる場合について説明したが、例えば、これら複数の副履歴を一つのフィールドとして、その中に履歴IDと副履歴の順序とを含めて格納することとしてもよいし、他にも例えば、関連付けデータとは別に、電子ファイルを識別する情報(例えば、電子ファイル名)と、履歴IDと、副履歴の順序と、が含まれる第3のデータを備えることとしてもよい。
【0138】
このように、変形例(1)の差分抽出システム1は、電子ファイルに履歴情報が関連付けられた順序(例えば、履歴IDが副履歴に格納された順序)に基づいて、履歴情報により示される電子ファイルを通知する。
【0139】
(2)変形例(1)では、電子ファイルに関連付けられた副履歴の順序に基づいて、履歴情報により示される電子ファイルを通知する場合を説明したが、例えば、副履歴の順序に基づいて、電子ファイルに履歴情報が関連付けられることを制限するようにしてもよい。
【0140】
変形例(2)の制限部71は、第2履歴格納部64又は第3履歴格納部65により複数の履歴情報が関連付けられた電子ファイルが比較される場合、当該関連付けられた各履歴情報に付与された順序に基づいて、各履歴情報が、比較相手の電子ファイルに関連付けられることを制限する。
【0141】
ここで、履歴情報が電子ファイルに関連付けられることを制限することは、履歴情報が電子ファイルに関連付けられないようにすることである。制限部71は、例えば、電子ファイルに関連付けられた履歴情報に付与された順序(即ち、副履歴の履歴IDに付与された副履歴の順序)が閾値を超える場合に、この履歴IDが、比較相手の他の電子ファイルの関連履歴情報に格納されないように制限する。
【0142】
例えば、関連付けデータが、
図20乃至
図22に示したデータ格納例で構成される場合では、制限部71は、上記閾値として「3」が設定される場合、副履歴4、副履歴5、・・・の履歴IDが、比較相手の他の電子ファイルの関連履歴情報に格納されることを制限する。
【0143】
なお、副履歴の順序は、変形例(1)と同様に、履歴IDにとって何番目の電子ファイルかを示す順序であってもよいし、電子ファイルにとって何番目の(副履歴の)履歴IDかを示す順序としてもよい。
【0144】
このように、変形例(2)の差分抽出システム1は、履歴情報に付与された順序(例えば、履歴IDが副履歴に格納された順序)に基づいて、電子ファイルに履歴情報が関連付けられることを制限する。
【0145】
(3)実施形態においては、差分抽出システム1により比較される2つの電子ファイルが関連付けられることを説明したが、例えば、比較される2つの電子ファイルの類似度に基づいて、比較される電子ファイル同士が関連付けられることを制限するようにしてもよい。
【0146】
変形例(3)の類似度算出部72は、差分抽出部44により比較される各電子ファイルの類似度を算出し、変形例(3)の制限部71は、算出された類似度に基づいて、関連付け部43による関連付けを制限する。
【0147】
例えば、比較される2つの電子ファイルが、画像ファイルである場合には、類似度算出部72は、比較される2つの画像の各画素値の差に基づいて類似度を算出し、この類似度が閾値未満である場合に、比較される電子ファイル同士が関連付けられることを制限する。
【0148】
また例えば、比較される2つの電子ファイルが、文書ファイル(ドキュメントファイル、テキストファイル)である場合には、類似度算出部72は、比較される2つの電子ファイルに示される記号列や文字列のうち、互いに一致する記号列(文字列)の数又は文字数と、一致しない記号列(文字列)の数又は文字数と、に基づいて類似度を算出し、この類似度が閾値未満である場合に、比較される電子ファイル同士が関連付けられることを制限する。
【0149】
このように、変形例(3)の差分抽出システム1は、比較される2つの電子ファイルの類似度に基づいて、比較される電子ファイル同士が関連付けられることを制限することにより、比較対象の電子ファイルと類似しない電子ファイルが関連付けられることを制限する。
【0150】
(4)実施形態においては、ユーザにより選択された電子ファイルに関連付けられた電子ファイルが通知されることを説明したが、例えば、上記関連付けられた電子ファイルが、過去に行われた差分抽出処理により比較された回数、又は、上記関連付けられた電子ファイルに付与された日時(最終比較日時等)に基づいて、通知されるようにしてもよい。
【0151】
変形例(4)の電子ファイル通知部42は、ユーザにより選択された電子ファイルに関連付けられた電子ファイルが差分抽出部44により比較された回数、又は、上記選択された電子ファイルに関連付けられた電子ファイルに付与された日時に基づいて通知を行う。
【0152】
例えば、関連付け記憶部32に記憶される関連付けデータには、実施形態において説明した他にも、比較回数(電子ファイルが比較された回数)、及び、最終比較日時(電子ファイルが最後に比較された日時)の情報が格納される。
図24は、変形例(4)に係る関連付けデータの一例を示す図である。
【0153】
関連付け部43は、例えば、比較対象の電子ファイルの比較回数、及び、最終比較日時を更新する。比較回数には、電子ファイルが他の電子ファイルと初めて比較される場合には「1」が格納される。また、比較回数に既に何らかの値が格納されている場合には、その値に1を加算した値が格納される。また、最終比較日時には、例えば、関連付けデータを更新する時点における現在日時が格納される。
【0154】
またこの場合、電子ファイル通知部42は、比較対象の電子ファイルの比較回数、又は、最終比較日時に基づいて、ユーザにより選択された電子ファイルに関連付けられた電子ファイルを通知する。次に、ユーザにより選択された電子ファイルに関連付けられた電子ファイルとして、
図24に示す「図面H−1」「図面H−2」「図面H−3」を通知する例について説明する。
【0155】
上記の例で、「比較回数が多い順」で電子ファイルを通知する場合には、電子ファイル通知部42は、「図面H−3」「図面H−1」「図面H−2」の順序で電子ファイルを通知する。また、「最終比較日時が新しい順」で通知する場合には、電子ファイル通知部42は、「図面H−3」「図面H−2」「図面H−1」の順序で電子ファイルを通知する。
【0156】
なお、例えば、電子ファイル通知部42が複数の電子ファイルを並べて表示させる場合には、上記のうちのいずれかの順序に従って、表示させる並び順が決定されるようにすればよい。他にも例えば、閾値以内の上記順序の電子ファイルのみが通知されるようにしてもよく、上記順序に基づいたタイミングで電子ファイルが通知されるようにしてもよい。
【0157】
また、電子ファイル通知部42は、上記最終比較日時に限らず、例えば、電子ファイルの作成日時や更新日時、アクセス日時、又は、電子ファイルが履歴情報に初めて格納された日時等、電子ファイルに付加された何らかの日時情報に基づいて、電子ファイルを通知するようにしてもよい。
【0158】
また、電子ファイル通知部42は、例えば、第1の条件(例えば、比較回数が多い順)で電子ファイルを並べて、更に、第2の条件(例えば、電子ファイルが格納される履歴情報の種類順)で電子ファイルを並べ替えて、この並べ替えた順序に基づいて電子ファイルを通知するようにしてもよい。
【0159】
このように、変形例(4)の差分抽出システム1は、電子ファイルが比較された回数又は電子ファイルに付与された日時に基づいて、ユーザにより選択された電子ファイルに関連付けられた電子ファイルを通知する。
【0160】
(5)また例えば、制限部71は、ユーザにより選択された電子ファイルに関連付けられた電子ファイルのうち、上記選択された電子ファイルと同一の電子ファイルが通知されることを制限するようにしてもよい。
【0161】
制限部71は、例えば、ユーザにより選択された電子ファイルAに、電子ファイルAと、電子ファイルBと、電子ファイルCと、が関連付けられている場合、電子ファイルAが電子ファイル通知部42により通知されることを制限する。
【0162】
制限部71は、例えば、履歴情報により識別される電子ファイルが、当該履歴情報が関連付けられた電子ファイルと一致する場合に、この電子ファイルが通知されることを制限すればよい。他にも、制限部71は、例えば、履歴情報に示される電子ファイルが、電子ファイル選択部41においてユーザにより選択された電子ファイルと一致する場合に、この電子ファイルが通知されることを制限するようにしてもよい。
【0163】
(6)また例えば、制限部71は、ユーザにより選択された電子ファイルに関連付けられた電子ファイルに対するユーザの権限に基づいて、当該電子ファイルが通知されることを制限するようにしてもよい。
【0164】
電子ファイルに対するユーザの権限は、例えば、電子ファイル記憶部31に記憶された電子ファイルごとに設定されるユーザの権限であり、この権限に応じて、電子ファイルを閲覧すること、電子ファイルを改変すること、電子ファイルを移動、削除すること等のユーザによる操作が制限される。
【0165】
例えば、制限部71は、電子ファイルに対する上記に挙げた権限の内容に応じて、電子ファイルが通知されることを制限する。例えば、ユーザの権限により閲覧することが制限されている電子ファイルが、当該ユーザに通知されないようにしてもよいし、同じく、改変することが制限されている電子ファイルが通知されないようにしてもよい。
【0166】
(7)また、実施形態においては、関連付けデータにおける履歴IDの格納先として、主履歴と副履歴との2つの格納先を備える場合について説明したが、例えば、主履歴のみを備えるようにしてもよい。即ち、比較される各電子ファイルの主履歴に既に履歴IDが格納されている場合、比較相手の履歴IDが新たに格納されないようにしてもよい。なお、既に格納されている履歴IDにより識別される履歴情報に、比較相手の電子ファイルを識別する情報(例えば、電子ファイル名)が格納されるようにしてもよい。
【0167】
(8)また例えば、主履歴と副履歴を分けずに、これらを統合した格納先を備えるようにしてもよい。即ち、電子ファイルが他の電子ファイルと初めて比較されたか否かに関わらず、比較相手の履歴IDが同一の格納先に格納されるようにしてもよい。例えば、関連履歴情報に履歴ID「a」が格納されている電子ファイルAと、関連履歴情報に履歴ID「b」が格納されている電子ファイルBと、が比較される場合、電子ファイルAの関連履歴情報には履歴ID「b」が、電子ファイルBの関連履歴情報には履歴ID「a」がそれぞれ格納されるようにしてもよい。なお、この場合、関連履歴情報に既に格納されているうちの一部又は全ての履歴IDについて、当該履歴IDにより識別される履歴情報に、比較相手の電子ファイルを識別する情報(例えば、電子ファイル名)が格納されるようにしてもよい。
【0168】
(9)また例えば、関連付け記憶部32に記憶される関連付けデータには、記憶部12等に記憶される全ての電子ファイルに関する情報(電子ファイル名、保存場所等)が、予め格納されているようにしてもよい。この場合、関連付け部43は、関連付けデータにおいて、上記電子ファイルに関する情報についての追加や更新等を行わず、また、制御部11は、
図18に示す関連付け処理における、S203、S207に係る処理を実行しない。
【0169】
(10)また例えば、関連付け記憶部32に記憶される履歴情報データにおいて、履歴情報に格納される、比較された電子ファイルを識別する情報は、電子ファイル名に限らない。例えば、履歴情報には、電子ファイルの保存場所が格納されるようにしてもよいし、電子ファイルをそれぞれ識別するIDが付与されて記憶される場合に、履歴情報にはIDが格納されるようにしてもよい。
【0170】
(11)また例えば、実施形態においては、2つの電子ファイルが比較される場合を説明したが、3以上の電子ファイルが比較されるようにしてもよい。
【0171】
例えば、電子ファイル選択部41は、3以上の電子ファイルを選択するようにしてもよい。例えば、
図5に示すファイル選択画面50において、選択画像a、選択画像bの他にも、選択画像c、選択画像d・・・が、ユーザにより選択されるようにしてもよい。
【0172】
この場合、関連付け部43は、ユーザにより選択された3以上の電子ファイルの全てを関連付けるようにしてもよいし、一部のみ(例えば、選択画像a、選択画像bとして選択された電子ファイルのみ)を関連付けるようにしてもよい。なお、第2履歴格納部64が、複数の電子ファイルに格納される主履歴を、他の電子ファイルと初めて比較される電子ファイルの主履歴に格納する場合、1つの主履歴のみを格納してもよいし、一部又は全ての主履歴を格納するようにしてもよい。
【0173】
またこの場合、電子ファイル通知部42は、選択画像aとして選択された電子ファイルに関連付けられた内容を通知するようにしてもよいし、その他、選択画像b、選択画像c、選択画像d・・・として選択された電子ファイルに関連付けられた内容を通知するようにしてもよい。