特許第6160447号(P6160447)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6160447
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】端末装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20170703BHJP
【FI】
   G06Q30/02 380
【請求項の数】5
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2013-227507(P2013-227507)
(22)【出願日】2013年10月31日
(65)【公開番号】特開2015-88054(P2015-88054A)
(43)【公開日】2015年5月7日
【審査請求日】2016年2月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】特許業務法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】櫻田 信弥
【審査官】 田付 徳雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−019857(JP,A)
【文献】 特開2006−155347(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0028160(US,A1)
【文献】 特開2009−159066(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音波を受信する音波受信手段と、
電波を受信する電波受信手段と、
前記電波受信手段により電波が受信された場合に、振動又は音によりユーザへ報知する報知制御手段と、
前記電波受信手段により前記電波が受信され且つ前記報知制御手段により前記報知が行われる場合に、前記音波受信手段を起動して前記音波を待ち受ける待受け状態にする起動制御手段と、
前記電波の到達範囲内において前記音波受信手段により前記音波が受信された場合に、受信された当該音波に基づいて特定の処理を行う処理手段と
を備える端末装置。
【請求項2】
音波を受信する音波受信手段と、
電波を受信する電波受信手段と、
前記電波受信手段により前記電波が受信された場合に、ユーザへ報知する報知制御手段と、
少なくとも前記報知の後に自端末装置が音波を受信可能な状態にあるか否かを判定する判定手段と、
前記電波受信手段により前記電波が受信され、前記報知の後に自端末装置が前記受信可能な状態にあると前記判定手段により判定された場合に、前記音波受信手段を起動して前記音波を待ち受ける待受け状態にする起動制御手段と、
前記電波の到達範囲内において前記音波受信手段により前記音波が受信された場合に、受信された当該音波に基づいて特定の処理を行う処理手段と
を備える端末装置。
【請求項3】
前記起動制御手段は、
前記音波受信手段を前記待受け状態にした後、前記電波受信手段により受信される電波に基づいて、前記電波の発信地点からの距離が決められた距離以上になったことを条件として、前記音波受信手段を停止させる
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の端末装置。
【請求項4】
音波を受信する音波受信手段と、
電波を受信する電波受信手段と
を備える端末装置のコンピュータを、
前記電波受信手段により前記電波が受信された場合に、振動又は音によりユーザへ報知する報知制御手段と、
前記電波受信手段により前記電波が受信され且つ前記報知制御手段により前記報知が行われる場合に、前記音波受信手段を起動して前記音波を待ち受ける待受け状態にする起動制御手段と、
前記電波の到達範囲内において前記音波受信手段により前記音波が受信された場合に、受信された当該音波に基づいて特定の処理を行う処理手段
として機能させるためのプログラム。
【請求項5】
音波を受信する音波受信手段と、
電波を受信する電波受信手段と
を備える端末装置のコンピュータを、
前記電波受信手段により前記電波が受信された場合に、ユーザへ報知する報知制御手段と、
少なくとも前記報知の後に前記端末装置が音波を受信可能な状態にあるか否かを判定する判定手段と、
前記電波受信手段により前記電波が受信され、前記報知の後に前記端末装置が前記受信可能な状態にあると前記判定手段により判定された場合に、前記音波受信手段を起動して前記音波を待ち受ける待受け状態にする起動制御手段と、
前記電波の到達範囲内において前記音波受信手段により前記音波が受信された場合に、受信された当該音波に基づいて特定の処理を行う処理手段
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の場所に人物が訪れたこと検知するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
店舗やイベント会場等の所定の場所に人物が訪れたことを、人物が携帯する端末装置の機能を利用して検知する技術が、従来から提案されている。特許文献1は、特定場所に顧客が訪れたかどうかを、非可聴音(即ち超音波)を用いて判定する情報処理システムを開示している。特許文献1に記載された情報処理システムでは、特定場所に設置された設置装置から顧客が携帯する携帯端末へと、非可聴音を用いて固有の識別情報が送られる。携帯端末は、非可聴音から識別情報を抽出し、抽出した識別情報を管理サーバへ送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−252371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された発明では、電波に比べて音波の方が壁や扉等の障害物を透過する能力が低いという音波の物理的性質を利用して、人物の訪問を高い精度で判定できるようにしている。しかし、この物理的性質によると、訪問を検知したい場所に人物が訪れた場合であっても、その人物が携帯する端末装置が音波を受信しない可能性がある。例えば、人物が端末装置を携帯するときには、ポケットの中やカバンの中等の音波が届きにくい場所に端末装置があることが少なくないからである。このため、所定の場所への人物の訪問を、音波による情報発信を利用して判定するためには、音波を受信可能な場所に端末装置があるようにユーザは配慮しなければならない。また、特許文献1に記載された発明では、音波が到達する場所のどこに人物が居ても携帯端末が得る情報は同じであり、例えば、音波が到達する場所のどこに人物が居るのかといったことまでは考慮されていない。
本発明は、上述した背景の下になされたものであり、端末装置のユーザが所定の場所を訪れたときに、ユーザが居る領域に応じた情報を端末装置が受信できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するため、本発明の端末装置は、音波を受信する音波受信手段と、
電波を受信する電波受信手段と、前記電波受信手段により電波が受信された場合に、振動又は音によりユーザへ報知する報知制御手段と、前記電波受信手段により前記電波が受信され且つ前記報知制御手段により前記報知が行われる場合に、前記音波受信手段を起動して前記音波を待ち受ける待受け状態にする起動制御手段と、前記電波の到達範囲内において前記音波受信手段により前記音波が受信された場合に、受信された当該音波に基づいて特定の処理を行う処理手段とを備える。
【0006】
本発明の端末装置は、音波を受信する音波受信手段と、電波を受信する電波受信手段と、前記電波受信手段により前記電波が受信された場合に、ユーザへ報知する報知制御手段と、少なくとも前記報知の後に自端末装置が音波を受信可能な状態にあるか否かを判定する判定手段と、前記電波受信手段により前記電波が受信され、前記報知の後に自端末装置が前記受信可能な状態にあると前記判定手段により判定された場合に、前記音波受信手段を起動して前記音波を待ち受ける待受け状態にする起動制御手段と、前記電波の到達範囲内において前記音波受信手段により前記音波が受信された場合に、受信された当該音波に基づいて特定の処理を行う処理手段とを備える
【0007】
本発明の端末装置において、前記起動制御手段は、前記音波受信手段を前記待受け状態にした後、前記電波受信手段により受信される電波に基づいて、前記電波の発信地点からの距離が決められた距離以上になったことを条件として、前記音波受信手段を停止させてもよい。
この端末装置において、前記起動制御手段は、前記電波受信手段により前記電波が受信されない期間が、設定された時間継続した場合に、前記音波受信手段を停止させてもよい。
【0008】
本発明のプログラムは、音波を受信する音波受信手段と、電波を受信する電波受信手段と、前記電波受信手段により電波が受信された場合に、振動又は音によりユーザへ報知する報知制御手段と、前記電波受信手段により前記電波が受信され且つ前記報知制御手段により前記報知が行われる場合に、前記音波受信手段を起動して前記音波を待ち受ける待受け状態にする起動制御手段と、前記電波の到達範囲内において前記音波受信手段により前記音波が受信された場合に、受信された当該音波に基づいて特定の処理を行う処理手段として機能させるためのプログラムである。
本発明のプログラムは、音波を受信する音波受信手段と、電波を受信する電波受信手段とを備える端末装置のコンピュータを、前記電波受信手段により前記電波が受信された場合に、ユーザへ報知する報知制御手段と、少なくとも前記報知の後に前記端末装置が音波を受信可能な状態にあるか否かを判定する判定手段と、前記電波受信手段により前記電波が受信され、前記報知の後に前記端末装置が前記受信可能な状態にあると前記判定手段により判定された場合に、前記音波受信手段を起動して前記音波を待ち受ける待受け状態にする起動制御手段と、前記電波の到達範囲内において前記音波受信手段により前記音波が受信された場合に、受信された当該音波に基づいて特定の処理を行う処理手段として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、端末装置のユーザが所定の場所を訪れたときに、ユーザが居る領域に応じた情報を端末装置が受信できるようにすることできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態の訪問検知システムの全体構成を示す図。
図2】同実施形態の端末装置のユーザの位置の説明図。
図3】同実施形態の訪問検知システムの構成を示すブロック図。
図4】同実施形態の端末装置が行う処理を示すフローチャート(来店時)。
図5】同実施形態の端末装置のユーザの位置の変化の説明図(来店時)。
図6】同実施形態の端末装置−管理サーバ間の処理を示すシーケンスチャート。
図7】同実施形態の端末装置が実行する処理を示すフローチャート(退店時)。
図8】同実施形態の端末装置のユーザの位置の変化の説明図(退店時)。
図9】第2実施形態の端末装置のハードウェア構成を示すブロック図。
図10】同実施形態の端末装置が行う処理を示すフローチャート(来店時)。
図11】第3実施形態の端末装置のユーザの位置の変化の説明図。
図12】同実施形態の端末装置が行う処理示すフローチャート(来店時)。
図13】同実施形態の端末装置が行う処理示すフローチャート(退店時)。
図14】変形例1のユーザの位置と端末装置の動作との関係の説明図。
図15】変形例2のユーザの位置と端末装置の動作との関係の説明図。
図16】変形例3の端末装置のユーザの位置の変化の説明図。
図17】変形例4の訪問検知システムの全体構成を示す図。
図18】同変形例の訪問検知システムの構成を示すブロック図。
図19】同変形例の端末装置が行う処理を示すフローチャート(来店時)。
図20】同変形例の端末装置が行う処理を示すフローチャート(退店時)。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る訪問検知システム1の全体構成を示す図である。
訪問検知システム1は、屋内及び屋外を含む所定の場所を対象として、人物が訪れたことを検知するための情報処理システムである。本実施形態の訪問検知システム1は、店舗200に人物が訪れたこと(即ち来店)を検知する。店舗200は、例えば商店やカフェ、レストラン等の店舗であるが、店舗の種類は問わない。図1に示すように、訪問検知システム1は、ユーザUによって携帯される端末装置10と、店舗200に設置された発信機20と、来店の検知に関する情報の管理を行う管理サーバ30とを備える。管理サーバ30は、汎用のサーバ装置(コンピュータ装置)と同等のハードウェア資源を備え、例えば、ユーザUの店舗200への来店の履歴に関する情報を管理したり、店舗200へ来店したユーザUへ所定のサービスを提供したりする。
【0012】
端末装置10を携帯するユーザUは、店舗200の顧客となりうる人物である。端末装置10は、例えば、ユーザUにより把持された状態で携帯されたり、ポケットの中やカバンの中に入れられた状態で携帯されたりする。端末装置10は、本実施形態ではスマートフォンである。図1には、店舗200の敷地内(例えば店舗200の屋内)にある端末装置10と、店舗200の敷地外(例えば店舗200の屋外)にある端末装置10とを、それぞれ1台ずつ代表させて示している。
【0013】
発信機20は、音波及び電波を用いて、位置ビーコンとして機能する情報を発信する装置である。発信機20は、電波を発信(放射)する電波発信手段としてのアンテナ21と、音波を発信(放射)する音波発信手段としてのスピーカ22とを備える。電波と音波との間には、例えば、発信地点からの到達距離(到達範囲)、及び、壁や扉、パーテション等の障害物を透過する能力に違いがある。また、音波は、電波に比べて、直進性が強く、回折しにくいという物理的性質を有する。このため、壁や扉、パーテション等の遮音性を有する障害物を、音波が到達するエリアを制限する手段(エリア制限手段)として使用することにより、音波が到達するエリアの制御を比較的簡単に行うことができる。
訪問検知システム1では、電波と音波との間の物理的性質の違いを利用して、発信機20から端末装置10へと送られた情報に基づいて、店舗200へのユーザUの来店を検知する。
【0014】
図2は、店舗200の顧客となりうるユーザUの位置を説明する図である。
図2に示すように、発信機20のアンテナ21が発信した電波が到達するエリア(以下、「電波到達エリア」という。)TEは、例えば、店舗200の敷地内に加えて、店舗200の敷地外を含むように形成される領域である。発信機20のスピーカ22が発信した音波が到達するエリア(以下、「音波到達エリア」という。)TSは、例えば、店舗200の敷地内に形成される領域である。発信機20は、ここでは、音波到達エリアTSの全体が電波到達エリアTEに含まれるように、音波及び電波を発信する。この場合、発信機20に対するユーザUの相対位置は、以下の(ユーザ位置I)、(ユーザ位置II)及び(ユーザ位置III)の3つに分類することができる。
(ユーザ位置I)電波到達エリアTE外で、且つ、音波到達エリアTS外。
(ユーザ位置II)電波到達エリアTE内で、且つ、音波到達エリアTS外。
(ユーザ位置III)電波到達エリアTE内で、且つ、音波到達エリアTS内。
(ユーザ位置I)〜(ユーザ位置III)のうち、訪問検知システム1では、ユーザ位置IIIに居るユーザU、即ち、音波到達エリアTS内に居るユーザUを、店舗200へ来店した人物として検知する。
【0015】
図3は、訪問検知システム1の構成を示すブロック図である。
まず、発信機20の構成を説明する。図3に示すように、発信機20は、ハードウェア構成として、アンテナ21と、スピーカ22と、発信制御部23とを備える。発信制御部23は、例えば、CPU(Central Processing Unit)で例示される演算処理装置と、演算処理装置がアクセスするメインメモリと、発信機20に割り当てられた識別コードを記憶するコードメモリとを備えるマイクロコンピュータである。コードメモリが記憶する識別コードは、本実施形態では、店舗200を一意に識別する識別コードである。この識別コードを、以下では、「店舗識別コード」と称する。
【0016】
発信制御部23は、電波及び音波を用いた情報発信に関する制御を司る。電波を用いた情報発信を説明すると、発信制御部23は、Bluetooth(登録商標)に準拠した無線通信(より詳細には近距離無線通信)を行うための電波を、アンテナ21から発信する。本実施形態では、発信制御部23は、BluetoothLE(Low Energy)と呼ばれる規格に従い、コードメモリから読み出した店舗識別コードを、定期的に(例えば予め決められた周期で)アンテナ21から発信する。
【0017】
音波を用いた情報発信を説明すると、発信制御部23は、音響通信を行うための音波を、スピーカ22から発信する。本実施形態では、発信制御部23は、コードメモリから読み出した店舗識別コードを、音響信号処理の技術を用いて、定期的に(例えば予め決められた周期で)スピーカ22から発信する。例えば、発信制御部23は、店舗識別コードを特定の拡散符号で変調し、変調後の拡散符号を高い周波数帯域へ周波数シフトさせた音響信号を生成する(詳細は、例えば、本出願人による特許出願である国際公開第2010/016589号パンフレット等を参照されたい。)。発信制御部23は、生成した店舗識別コードが重畳された音響信号をスピーカ22へ供給して、当該音響信号が表す音波を発信させる。
【0018】
変調後の拡散符号の周波数シフトにおいて、発信制御部23は、例えば、可聴域の比較的高い周波数であり、人間が聞き取り難く聴感上の違和感や不快感の少ない周波数(例えば18kHz)以上で、且つ、可聴域の上限値(例えば20kHz)を含む帯域内の周波数に、周波数シフトさせる。可聴域の上限値は、発信機20及び端末装置10におけるサンプリング周波数に基づいて決められてもよく、例えば、22.05kHz(サンプリング周波数が44.1kHzの場合)、又は、24.0kHz(サンプリング周波数が48.0kHzの場合)である。発信制御部23は、人間により音が認識される可聴域内の周波数帯域の音響信号に、店舗識別コードを重畳させてもよい。例えば、発信制御部23は、楽音や人間の音声等の可聴音を表す音響信号(例えば、店舗200で販売される商品や提供されるサービスを案内する音声信号)に、店舗識別コードを重畳させる。
なお、店舗識別コードが重畳される周波数帯域は、スピーカ22が音波を発することが可能な周波数帯域であれよく、前述した周波数帯域に限られない。また、発信制御部23はスペクトラム拡散変調のほか、OFDM(Orthogonal Frequency-Division Multiplexing)変調やその他の変調方式を用いて、音波を用いた情報発信をしてもよい。また、発信機20は、管理サーバ30やその他の外部装置と通信ネットワークを介した通信を行って、コードメモリが記憶する店舗識別コードを取得したり更新したりする機能を有していてもよい。
【0019】
次に、端末装置10の構成を説明する。図3に示すように、端末装置10は、ハードウェア構成として、制御部11と、無線通信部12と、マイクロホン13と、A/D(Analog to Digital)変換部14と、記憶部15と、報知部16と、ネットワーク通信部17とを備える。
制御部11は、例えば、CPUで例示される演算処理装置と、演算処理装置がアクセスするメインメモリとを備えるマイクロコンピュータである。制御部11は、プログラムを動作させることにより、端末装置10の各部を制御する。無線通信部12は、例えば通信回路及びアンテナを備え、Bluetoothに準拠した無線通信(近距離無線通信)を行うインタフェースである。無線通信部12は、発信機20から電波を受信する電波受信手段として機能する。マイクロホン13は、音波を検出する音波検出手段であり、検出した音波を、電気信号であるアナログ形式の音響信号に変換して、A/D変換部14へ供給する。A/D変換部14は、マイクロホン13から供給されたアナログ形式の音響信号に対し、デジタル形式の音響信号に変換するA/D変換処理を施して、制御部11へ供給する。
【0020】
記憶部15は、例えばEEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)やフラッシュメモリで例示される記憶装置を備えた記憶手段である。記憶部15は、例えば、制御部11により実行されるアプリケーションプログラムとして、管理アプリケーションプログラムMA及びサービスアプリケーションプログラムSAを記憶する。
管理アプリケーションプログラムMAは、来店検知に関わる機能を実現するためのアプリケーションプログラムである。管理アプリケーションプログラムMAには、例えば、店舗識別コードと、サービスアプリケーションプログラムSAとの対応関係を表す情報が書き込まれている。又は、管理アプリケーションプログラムMAには、上記の対応関係を表す情報を、通信ネットワークを介した通信で取得するためのアクセス先の情報(例えば通信先アドレス)が書き込まれていてもよい。サービスアプリケーションプログラムSAは、管理サーバ30から提供されるサービスに関わる機能を実現するためのアプリケーションプログラムである。サービスアプリケーションプログラムSAには、例えば、サービスの提供を受けるためのアクセス先の情報(例えば通信先アドレス)が書き込まれている。また、サービスアプリケーションプログラムSAは、既に提供されたサービスを利用するための処理(例えばサービスに関する画像の表示処理やデータの通信処理)を実行するための機能を実現させる。
【0021】
報知部16は、例えばバイブレータ及びスピーカを備え、ユーザUへ所定の情報を報知する報知手段として機能する。報知部16は、ユーザUが知覚可能な事象を発生させて、ユーザUに所定の情報を報知する手段であればよい。ネットワーク通信部17は、例えば通信回路及びアンテナを備え、ネットワークに接続するインタフェースである。ネットワーク通信部17は、ネットワーク経由で管理サーバ30と通信する。
端末装置10は、前述したハードウェア構成に加えて、GUI(Graphical User Interface)を提供するためのユーザインタフェース等の、汎用のスマートフォンと同等の構成を備える。
【0022】
端末装置10の制御部11は、管理アプリケーションプログラムMAを動作させることにより、報知制御部111と、起動制御部112と、処理部113とに相当する機能を実現する。処理部113は、発信機20が音波により発信した店舗識別コードを取得するコード処理を行うコード処理部1131を含む。
報知制御部111は、発信機20が発信した電波が無線通信部12により受信された場合に、発信機20からの電波の受信を報知部16によってユーザUへ報知する(報知制御手段)。無線通信部12は、管理アプリケーションプログラムMAの動作中においては電波を待ち受けて、発信機20からの電波を受信する。また、報知制御部111は、発信機20から受信した電波に基づいて、発信機20から決められた距離以上に離れたことを条件として、ユーザUへ発信機20からの電波の受信を報知する場合がある。
【0023】
起動制御部112は、音波受信部100を起動したり、音波受信部100を停止させたりする起動制御を行う(起動制御手段)。例えば、起動制御部112は、発信機20が発信した電波が無線通信部12により受信されたことを条件として、音波受信部100を起動して音波を待ち受ける待受け状態にする。音波受信部100は、音波の待受け状態のときには音波を受信する手段(音波受信手段)であり、具体的には、A/D変換部14とコード処理部1131とにより実現される。音波受信部100が音波の待受け状態のときには、A/D変換部14がA/D変換処理を行い、且つ、コード処理部1131がコード処理を行う。また、起動制御部112は、発信機20から受信した電波に基づいて、発信機20から決められた距離以上に離れたことを条件として、音波受信部100を停止させる場合がある。
【0024】
処理部113は、音波受信部100により発信機20から音波が受信された場合に、受信された音波に基づいて特定の処理を行う(処理手段)。例えば、処理部113のコード処理部1131は、A/D変換部14から供給されたデジタル形式の音響信号にフィルタ処理を施して変調された信号を抽出し、更に、抽出した信号にデコード処理を施して店舗識別コードを取得するコード処理を行う。そして、処理部113は、コード処理により取得した店舗識別コードと対応関係を有するサービスアプリケーションプログラムSAを起動して、起動させたサービスアプリケーションプログラムSAに基づいて処理を行う。処理部113は、例えば、サービスアプリケーションプログラムSAに基づいて、ネットワーク通信部17を介して管理サーバ30と通信する。
【0025】
続いて、ユーザUが店舗200に来店したときの端末装置10の動作を説明する。
図4は、端末装置10が行う処理の流れを示すフローチャートである。図5は、ユーザUの位置の変化を説明する図である。以下に説明する端末装置10が、本発明に基づく処理動作の開始前においては、ユーザUは、電波到達エリアTE外で、且つ、音波到達エリアTS外のユーザ位置Iに居るものとする。
まず、端末装置10の制御部11は、記憶部15に記憶された管理アプリケーションプログラムMAを起動し、無線通信部12による電波の受信を開始する(ステップS1)。制御部11は、ユーザUの操作に従って管理アプリケーションプログラムMAを起動してもよいし、バックグラウンドで管理アプリケーションプログラムMAを動作させていてもよい。管理アプリケーションプログラムMAの動作中は、制御部11は、無線通信部12により受信した電波から店舗識別コードを取得する処理を試みる。
【0026】
次に、制御部11は、発信機20からの電波を無線通信部12により受信したか否かを判定する(ステップS2)。ステップS2の処理では、制御部11は、受信した電波から店舗識別コードを取得したか否かによって、発信機20からの電波の受信の有無を判定する。図5に示すように、ユーザUがユーザ位置Iに居る場合、制御部11は、ステップS2の処理で「NO」と判定して、待機する。
【0027】
その後、ユーザUが、電波到達エリアTE内で、且つ、音波到達エリアTS外のユーザ位置IIに移動したとする。この場合、制御部11は、発信機20から受信した電波から店舗識別コードを取得し、発信機20からの電波を受信したと判定する(ステップS2;YES)。ステップS2の処理で「YES」と判定すると、制御部11は、報知部16によって発信機20からの電波の受信をユーザUへ報知する(ステップS3)。例えば、制御部11は、バイブレータを振動させるか、又は、スピーカに所定の音(例えば着信音又はアラーム音)を出力させる。仮に、端末装置10がユーザUのポケットの中やカバンの中等にある場合であっても、端末装置10による発信機20からの電波の受信に支障はない。端末装置10からの報知を認識すると、ユーザUは、端末装置10をポケットの中やカバンの中等にある場合であっても、端末装置10を取り出してこれを把持する場合がある。
【0028】
次に、制御部11は、音波受信部100を起動して音波の待受け状態にする(ステップS4)。ステップS4の処理により、制御部11は、A/D変換部14にA/D変換処理を開始させることに加え、コード処理を開始する。制御部11は、図5に「起動及び報知」と示したように、ユーザUが電波到達エリアTE外から電波到達エリアTE内に移動したと判定した場合に、ユーザUへ報知するとともに、音波受信部100を起動して音波の待受け状態にする。ステップS4の処理では、制御部11は、ステップS4の処理では、制御部11は、電波の受信により取得した店舗識別コードと対応関係を有するサービスアプリケーションプログラムSAを、管理アプリケーションプログラムMAに基づいて特定して起動する。そして、制御部11は、起動させたサービスアプリケーションプログラムSAに基づいて処理を実行できる状態にする。
【0029】
次に、制御部11は、発信機20からの音波を受信したか否かを判定する(ステップS5)。ステップS5の処理では、制御部11は、音波受信部100で店舗識別コードを取得したか否かによって、発信機20からの音波の受信の有無を判定する。図5に示すように、ユーザUがユーザ位置IIに居る場合、制御部11は、ステップS5の処理で「NO」と判定して、待機する。
【0030】
その後、ユーザUが、電波到達エリアTE内のユーザ位置Iに移動したとする。この場合、制御部11は、音波受信部100で店舗識別コードを取得し、発信機20から音波を受信したと判定する(ステップS5;YES)。音波受信部100で識別コードが取得されると、制御部11は、動作中のサービスアプリケーションプログラムSAに従って、ネットワーク通信部17を介して管理サーバ30と通信し、サービスアプリケーションプログラムSAに基づいて所定の処理を実行する(ステップS6)。例えば、制御部11は、サービスアプリケーションプログラムSAにおいて指定された通信アドレスを用いて、ネットワーク通信部17を介して管理サーバ30にアクセスする。制御部11は、管理サーバ30とネットワーク通信部17を介して通信することにより、図6で説明するサービスアプリケーションプログラムSAに基づく処理を行う。
【0031】
図6は、端末装置10と管理サーバ30との間で行われる、サービスアプリケーションプログラムSAに基づく処理を示すシーケンスチャートである。端末装置10の制御部11は、ネットワーク通信部17を介して管理サーバ30にアクセスして、来店状況データを管理サーバ30へ送信する(ステップS61)。来店状況データは、端末装置10のユーザUの来店の状況を示すデータであり、例えば、端末装置10固有の端末識別情報(例えば電話番号)及びコード処理によって取得した店舗識別コードを含む。制御部11は、発信機20が発信する店舗識別コードを取得する度に、又は、店舗識別コードを継続して取得している期間中の所定期間毎に、来店状況データを管理サーバ30へ送信する。
【0032】
管理サーバ30は、端末装置10から受信した来店状況データに基づいて、端末装置10のユーザUの来店を検知する(ステップS62)。ステップS62の処理では、管理サーバ30は、例えば、来店の検知結果をデータベースに格納するデータベース処理を行う。データベース処理において、管理サーバ30は、端末識別情報及び店舗識別コードと、来店履歴を示す来店履歴情報とを対応付けて、データベースに格納する。来店履歴情報は、例えば、来店日時、店舗200における滞在時間及び来店回数のいずれかを含む。
【0033】
次に、管理サーバ30は、来店状況データの受信に対する応答として、ユーザUへサービスを提供する場合には、所定のサービスを示すサービスデータを端末装置10へ送信する(ステップS63)。管理サーバ30がユーザUに提供するサービスは、例えば、例えば、クーポンや来店ポイントで例示される金銭価値の提供、ユーザUをwebショップへ案内するためのメッセージ(例えばwebページのURL(Uniform Resource Locator)を含む。)の送信、及び、コンテンツ(例えば、商品やサービスをユーザに案内するための広告コンテンツ)の配信のいずれかを含むが、具体的なサービスの種類は特に問わない。また、管理サーバ30は、サービスデータを端末装置10に送信する場合に、端末装置10へサービスを提供するときに発生する所定の処理を行う。この処理は、例えば、クーポンの消し込み処理やクーポン発行処理等である。
端末装置10の制御部11は、ネットワーク通信部17を介して管理サーバ30からサービスデータを受信すると、受信したサービスデータを記憶部15に記憶させる。提供されたサービスをユーザUが利用する場合には、制御部11は、サービスアプリケーションプログラムSAの実行中に記憶部15からサービスデータを読み出すことにより、サービスを利用するための処理(例えば表示処理や通信処理)を行う。
【0034】
続いて、ユーザUが店舗200を退店するときの端末装置10の動作を説明する。
図7は、端末装置10が行う処理の流れを示すフローチャートである。図8は、ユーザUの位置の変化を説明する図である。以下に説明する端末装置10の動作の前においては、ユーザUはユーザ位置IIIに居るものとする。
まず、端末装置10の制御部11は、無線通信部12により発信機20からの電波を受信しなくなったか否かを判定する(ステップS11)。図8に示すように、ユーザUが電波到達エリアTE内(即ちユーザ位置II又はユーザ位置III)に居る場合、制御部11は、発信機20から受信した電波から店舗識別コードを取得するので、ステップS11の処理で「NO」と判定して、待機する。
【0035】
その後、ユーザUが、電波到達エリアTE外(即ちユーザ位置I)まで移動したとする。この場合、制御部11は、発信機20から電波を受信しなくなったと判定し(ステップS11;YES)、報知部16によって発信機20から電波を受信しなくなったことをユーザUへ報知する(ステップS12)。ステップS12の処理では、制御部11は、ステップS3の処理と同じ方法でユーザUへ報知する。
【0036】
次に、制御部11は、無線通信部12により電波を受信しなくなってから、又は、ステップS12の処理でユーザUへ報知してから、設定時間が経過したかどうかを判定する(ステップS13)。この設定時間は、例えば5秒であるが、5秒以外の時間に設定されていてもよい。また、この設定時間は、固定されていてもよいし、ユーザUによって設定されてもよい。
制御部11は、設定時間が経過していないと判定すると(ステップS13;NO)、無線通信部12により発信機20からの電波を受信したか否かを判定する(ステップS14)。制御部11は、発信機20からの電波を受信していないと判定した場合には(ステップS14;NO)、ステップS13の処理に戻る。その後、制御部11は、発信機20からの電波を受信しないまま、設定時間が経過したと判定すると(ステップS13;YES)、音波受信部100を停止させる(ステップS15)。制御部11は、図8に「報知」及び「停止」と示したように、ユーザUが電波到達エリアTE内から電波到達エリアTE外に移動した場合にユーザUへ報知し、更に、設定時間が経過したことを場合に音波受信部100を停止させる。ステップS15の処理で、制御部11は、動作中の管理アプリケーションプログラムMAやサービスアプリケーションプログラムSAを終了させてもよい。
【0037】
他方、制御部11は、設定時間が経過する前に、発信機20からの電波を受信したと判定した場合には(ステップ;S14;YES)、ステップS11の処理に戻る。即ち、制御部11は、音波受信部100を音波の待受け状態のままとする。例えば、図8に破線矢印で示すように、ユーザUが一時的に電波到達エリアTE外に移動して、設定時間が経過する前に電波到達エリアTE内に戻った場合、端末装置10が発信機20からの電波を再受信する。端末装置10が設定時間以内の短期間のみ発信機20からの電波を受信しなかった場合、ユーザUが一時的に電波到達エリアTE外に移動しただけで、退店したわけではないと推測される。このため、制御部11は、音波受信部100を音波の待受け状態のままとする。
なお、電波到達エリアTE外への移動に限らず、例えば、電波到達エリアTE内に局所的に発信機20からの電波が到達しない場所が存在していたり、端末装置10又は発信機20に何らかの動作不具合が生じて端末装置10が一時的に電波を受信しなくなったりした場合も、端末装置10は、設定時間が経過する前に、発信機20からの電波を再受信する可能性がある。
【0038】
以上説明した第1実施形態の訪問検知システム1において、端末装置10は、発信機20から電波を受信することにより、発信機20から音波を用いて発信された情報が到達する場所(即ちユーザ位置III)に接近した領域(即ちユーザ位置II)に訪れたことを認識する。そして、端末装置10は、その旨をユーザUにも認識させるとともに、音波受信部100を起動する。ユーザUは、発信機20からの音波が到達する場所に接近したことを、端末装置10からの報知によって認識すると、端末装置10を音波が受信可能な状態にする(即ちユーザ位置III)。このユーザUの対処により、端末装置10は、発信機20から音波を用いて発信された情報を受信できる状態になる。
また、端末装置10は、音波受信部100を常に音波の待ち受け状態にしなくとも、発信機20に接近したときには、発信機20からの音波を受信することができる。このため、端末装置10は、音波の待ち受け状態にする時間を短くして、消費電力を削減できる。一般に、電波を待ち受けるときの消費電力は、音波を待ち受けるときの消費電力よりも小さく、特にBluetoothLEの規格によると、端末装置10が電波を待ち受ける状態を継続しても、消費電力は軽微である。
【0039】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係る訪問検知システム1を説明する。この実施形態の訪問検知システム1では、端末装置10は発信機20からの電波を受信した後、端末装置10が音波を受信可能な状態にあると判定してから音波受信部100を起動する点で、上述した第1実施形態と相違する。発信機20及び管理サーバ30の構成及び動作は、上述した第1実施形態と同じである。
本実施形態において、上述した第1実施形態と同じ符号を付した構成要素や処理ステップは、上述した第1実施形態と同等に機能する。以下、上述した第1実施形態との相違点を中心に、本実施形態の訪問検知システム1を説明する。
【0040】
図9は、端末装置10の構成を示すブロック図である。図9に示すように、本実施形態の端末装置10は、上述した第1実施形態で説明した構成に加えて、センサ部18を備える。
センサ部18は、端末装置10が音波を受信可能な状態にあるか否かを検知するためのセンサである。センサ部18は、ここでは、端末装置10の周囲(周辺)の明るさを検知する明るさセンサである。センサ部18は、端末装置10の周囲の明るさを示す光量を検知して、検知した光量を示す光量データを制御部11へ供給する。
【0041】
制御部11は、管理アプリケーションプログラムMAを動作させることにより、上述した第1実施形態で説明した機能構成に加えて、判定部114を実現する。判定部114は、端末装置10が音波を受信可能な状態にあるか否かを判定する。判定部114は、センサ部18から供給されたが示す光量が閾値以上である場合、端末装置10が音波を受信可能な状態にあると判定する。端末装置10が相対的に明るい環境に置かれている場合、ユーザUが端末装置10を手に持っている状態と推測されるからである。反対に、判定部114は、供給された光量データが示す光量が閾値未満である場合、端末装置10が音波を受信可能な状態にないと判定する。端末装置10が相対的に暗い環境に置かれている場合、端末装置10がポケットの中やカバンの中に存在する状態でユーザUが携帯していたり、ユーザUが端末装置10を携帯していなかったりする状態と推測されるからである。
【0042】
続いて、ユーザUが店舗200に来店したときの端末装置10の動作を説明する。
図10は、端末装置10が行う処理の流れを示すフローチャートである。端末装置10の制御部11は、ステップS1〜S3の処理ステップを実行して、無線通信部12により発信機20からの電波を受信してユーザUへ報知すると、端末装置10が音波を受信可能な状態にあるか否かを判定する(ステップS7)。制御部11は、センサ部18から供給された光量データが示す光量が閾値未満である場合、ステップS7の処理で「NO」と判定して、待機する。制御部11は、センサ部18から供給された光量データが示す光量が閾値以上である場合、ステップS7の処理で「YES」と判定して、ステップS4の処理に進む。即ち、制御部11は、発信機20からの電波を受信してユーザUへ報知した後、端末装置10が音波を受信可能な状態にあると判定した場合に、音波受信部100を起動して音波の待受け状態にする。そして、制御部11は、上述した第1実施形態と同じ手順で、ステップS5,S6の処理ステップを実行する。
【0043】
以上説明した第2実施形態の訪問検知システム1において、端末装置10は、発信機20からの電波を受信した後、実質的に発信機20からの音波を受信可能な状態になるのを待ってから、音波受信部100を起動する。このため、端末装置10は、音波を受信可能な状態にないときに音波受信部100を起動しない分だけ、不要な消費電力を削減できる。
【0044】
ところで、センサ部18は、明るさセンサ以外のセンサによって実現されてもよい。例えば、センサ部18は、端末装置10の姿勢の変化を検知するセンサとして、例えば、加速度センサ、傾きセンサ、地磁気センサ及び姿勢センサのいずれかによって実現されてもよい。ユーザUによって端末装置10が把持されているときには、ユーザUの手の動きに応じて、端末装置10の姿勢に何らかの変化が生じる可能性が高いからである。この場合、制御部11の判定部114は、センサ部18により決められた条件を満たす姿勢の変化が検知された場合に、端末装置10が音波を受信可能な状態にあると判定する。また、センサ部18は、ユーザUにより端末装置10が把持されたときに、端末装置10の筐体に作用する力を検知するセンサによって実現されてもよい。この場合、判定部114は、端末装置10の筐体に閾値以上の力が作用しているとセンサ部18により検知された場合に、端末装置10が音波を受信可能な状態にあると判定する。
【0045】
また、判定部114は、センサ部18の検出結果を用いないで、端末装置10が音波を受信可能な状態にあるかどうかを判定してもよい。この場合、端末装置10は、センサ部18を備えなくてもよい。例えば、判定部114は、ユーザUにより端末装置10に対する操作が行われている操作状態か、又は、端末装置10において画面(画像)を表示している表示状態である場合に、端末装置10が音波を受信可能な状態にあると判定する。
以上のとおり、判定部114が、端末装置10が音波を受信可能な状態にあるか否かを判定するための具体的な実現方法については特に問わない。
【0046】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態に係る訪問検知システム1を説明する。
例えばBluetoothの技術では、データを受信したときの受信信号の強度(即ち電波の受信強度)に基づいて、データの受信地点からデータの発信地点までの距離を推測(算定)できることが知られている。そこで、本実施形態の訪問検知システム1では、端末装置10が、発信機20から受信される電波に基づいて、発信機20からの距離に応じた動作をする。端末装置10、発信機20及び管理サーバ30のハードウェア構成は、上述した第1実施形態と同じである。また、発信機20及び管理サーバ30の動作は、上述した第1実施形態と同じである。
本実施形態において、上述した第1実施形態と同じ符号を付した構成要素や処理ステップは、上述した第1実施形態と同等に機能する。以下、上述した第1実施形態との相違点を中心に、本実施形態に係る訪問検知システム1を説明する。
【0047】
図11は、ユーザUの位置の変化を説明する図である。図11に示すように、電波到達エリアTEは、発信機20からの電波の受信強度が相対的に高い電波到達エリアTE1と、発信機20からの電波の受信強度が相対的に低い電波到達エリアTE2とで構成される。電波到達エリアTE1は、電波到達エリアTE2よりも、発信機20からの距離が小さい。以下の説明では、電波到達エリアTE1における電波の受信強度を「高」と表し、電波到達エリアTE2における電波の受信強度を「低」と表す。電波到達エリアTE1,TE2は、どのレベルの受信強度に基づいて分類されてもよい。
【0048】
続いて、ユーザUが店舗200に来店したときの端末装置10の動作を説明する。
図12は、端末装置10が行う処理の流れを示すフローチャートである。端末装置10の制御部11は、ステップS1〜S3の処理ステップを実行して、無線通信部12により発信機20からの電波を受信してユーザUへ報知する。図11に示すように、制御部11は、ユーザUが電波到達エリアTE2外から電波到達エリアTE2内へ移動したときに、発信機20からの電波の受信をユーザUへ報知する。
【0049】
次に、制御部11は、発信機20からの電波の受信強度が「高」か否かを判定する(ステップS8)。即ち、制御部11は、電波到達エリアTE1内にユーザUが移動したかを判定する。制御部11は、発信機20からの電波の受信強度が「高」でない、即ち「低」又は電波を受信していないと判定した場合(ステップS8;NO)には、待機する。他方、制御部11は、発信機20からの電波の受信強度が「高」であると判定した場合(ステップS8;YES)、ステップS4の処理に進む。即ち、制御部11は、発信機20からの電波を受信してユーザUへ報知した後、電波の受信強度に基づいて、発信機20からの距離が決められた距離未満になったと場合に、音波受信部100を起動して音波の待受け状態にする。そして、制御部11は、上述した第1実施形態と同じ手順で、ステップS5,S6の処理ステップを実行する。
【0050】
続いて、ユーザUが店舗200を退店するときの端末装置10の動作を説明する。
図13は、端末装置10が行う処理の流れを示すフローチャートである。
まず、端末装置10の制御部11は、発信機20からの電波の受信強度が「高」か否かを判定する(ステップS16)。ユーザUが電波到達エリアTE1内に居る場合、制御部11は、ステップS16の処理で「YES」と判定して、待機する。その後、ユーザUが電波到達エリアTE2内に移動した場合、制御部11は、発信機20からの電波の受信強度が「高」でないと判定し(ステップS16;NO)、報知部16によってユーザUへ報知する(ステップS12)。
【0051】
次に、制御部11は、無線通信部12により発信機20からの電波を受信しているか否かを判定する(ステップS17)。制御部11は、発信機20からの電波を受信していると判定した場合には(ステップS17;YES)、待機する。制御部11は、発信機20からの電波を受信しなくなったと判定した場合には(ステップS17;NO)、音波受信部100を停止させる(ステップS15)。図11に示すように、制御部11は、ユーザUが電波到達エリアTE1内から電波到達エリアTE1外へ移動したときに、音波受信部100を停止させる。
【0052】
以上説明した第3実施形態の訪問検知システム1において、端末装置10は、ユーザUの来店時において、発信機20からの電波の受信強度に基づいて、発信機20からの距離が所定距離以下になったと判定した場合に、音波受信部100を起動する。端末装置10は、発信機20からの音波を受信可能な場所に接近するのを待って、音波受信部100を起動することになり、音波の待受け状態のときの消費電力を更に削減することができる。また、端末装置10は、ユーザUの退店時において、発信機20からの電波の受信強度に基づいて発信機20に所定距離以上になったと判定した場合に、その旨をユーザUへ報知する。このため、端末装置10は、上述した第1実施形態の場合よりもいち早く、ユーザUへの報知を行い、更に、音波受信部100を停止させることができる。
なお、この第3実施形態で説明した端末装置10と発信機20との距離に応じた端末装置10の動作については、上述した第2実施形態で説明した端末装置10に適用されてもよい。
【0053】
[変形例]
本発明は、上述した実施形態と異なる形態で実施することが可能である。本発明は、例えば、以下のような形態で実施することも可能である。また、以下に示す変形例は、各々を適宜に組み合わせてもよい。
(変形例1)
上述した第1実施形態の端末装置10は、ユーザUの退店時において、以下に説明する(動作例1)〜(動作例3)で動作するように変形されてもよい。図14は、ユーザUの位置と端末装置10の動作との関係を説明する図である。図14において、「起動及び報知」は、発信機20から電波を受信したときのユーザUへの報知と、音波受信部100の起動とが行われるタイミングを意味する。「報知」は、音波受信部100が停止される前のユーザUへの報知が行われるタイミングを意味する。「停止」は、音波受信部100が停止されるタイミングを意味する。
【0054】
図14に示すように、(動作例1)では、端末装置10の制御部11は、ユーザUが電波到達エリアTE外に移動し、発信機20からの電波を受信しなくなったと判定した場合に、ユーザUへの報知を行い、更に、音波受信部100を停止させる。(動作例2)では、制御部11は、ユーザUが音波到達エリアTS外に移動し、発信機20からの音波を受信しなくなったと判定した場合に、ユーザUへ報知する。そして、制御部11は、発信機20からの電波を受信しなくなったと判定した場合に、音波受信部100を停止させる。(動作例3)の(動作例2)との相違点は、制御部11が、端末装置10が発信機20からの電波を受信しなくなったと判定した後、設定時間が経過した場合に、音波受信部100を停止させる点にある。
以上説明したとおり、退店時において、端末装置10がユーザUへ報知するタイミング、及び、端末装置10が音波受信部100を停止させるタイミングについて、様々な変形が可能である。ただし、いずれの場合も、端末装置10は、電波又は音波を受信しなくなったことを条件として、ユーザUへの報知と音波受信部100の停止とを行う点で共通する。
なお、端末装置10は、上述した第1実施形態、動作例1〜3のいずれに従って動作するかを、ユーザUによる設定に従って選択してもよい。
【0055】
(変形例2)
上述した第3実施形態の端末装置10は、ユーザUの退店時において、以下に説明する(動作例4)〜(動作例6)で動作するように変形されてもよい。図15は、ユーザUの位置と端末装置10の動作との関係を説明する図である。
(動作例4)では、端末装置10の制御部11は、ユーザUが電波到達エリアTE1外へ移動し、発信機20からの電波の受信強度が「高」から「低」に変化したと判定した場合に、ユーザUへ報知する。そして、制御部11は、発信機20から電波を受信しなくなったと判定した後、設定時間が経過した場合に、音波受信部100を停止させる。(動作例5)では、制御部11は、発信機20からの電波の受信強度が「高」から「低」に変化したと判定した場合に、ユーザUへ報知する。そして、制御部11は、発信機20からの電波の強度が「高」から「低」に変化したと判定した場合に、音波受信部100を停止させる。(動作例6)の(動作例5)との相違点は、制御部11が、発信機20からの電波の強度が「高」から「低」に変化したと判定したと判定した後、設定時間が経過した場合に、音波受信部100を停止させる点にある。
以上説明したとおり、退店時において、端末装置10がユーザUへ報知するタイミング、及び、端末装置10が音波受信部100を停止させるタイミングについて、様々な変形が可能である。ただし、いずれの場合も、端末装置10は、電波の受信強度に基づいて、ユーザUへの報知又は音波受信部100の停止を行うタイミングを決定する点で共通する。
なお、端末装置10は、上述した第3実施形態、動作例4〜6のいずれに従って動作するかを、ユーザUによる設定に従って選択してもよい。
【0056】
(変形例3)
例えば複数の店舗が集合するショッピングモール等では、2以上の店舗において形成される電波到達エリアが互いに重なり合う可能性がある。
図16は、ユーザUの位置を説明する図である。図16に示すように、店舗200Aと店舗200Bとが近接している場合を考える、店舗200Aには発信機20Aが設置され、店舗200Bには発信機20Bが設置されている。発信機20Aは、電波到達エリアTEAと、音波到達エリアTSAとを形成する。発信機20Bは、電波到達エリアTEBと、音波到達エリアTSBとを形成する。更に、電波到達エリアTEAと電波到達エリアTEBとが重なり合って、重なりエリアTovが形成される。
この場合、重なりエリアTovに居るユーザUの端末装置10は、発信機20A及び20Bの両方からの電波を受信する。このとき、端末装置10の制御部11は、発信機20A及び20Bのうち、電波の受信強度が高い一方の発信機からの電波に基づいて、サービスアプリケーションプログラムSAを起動する。電波の受信強度が高い発信機が設置された店舗に、ユーザUが来店している、又は、ユーザUが来店しようとしている可能性が高いと推測されるからである。
別の方法として、重なりエリアTovにある端末装置10は、発信機20A及び20Bから受信した電波に基づいて店舗識別コードを取得し、取得した2つの店舗識別コードに基づいて、サービスアプリケーションプログラムSAを起動してもよい。
音波到達エリアが3つ以上重なり合う場合にも、端末装置10は、電波の受信強度が最も高い発信機20からの電波に基づいて、サービスアプリケーションプログラムSAを起動してもよいし、受信した全ての発信機20からの電波に基づいて店舗識別コードを取得して、サービスアプリケーションプログラムSAを起動してもよい。
【0057】
(変形例4)
訪問検知システム1は、音波に代えて、光波に基づいて来店を検知してもよい。光波も、壁、扉及びパーテション等の障害物を透過する能力に関して電波との間に違いがあり、多くの場合は、光波の方が電波よりも透過能力が低く、また、電波に比べて直進性が強く、回折しにくいという物理的性質を有する。音波に代えて光波を用いる場合、上述した各実施形態の訪問検知システム1の音波に関わる構成を、光波に関わる構成に置き換えればよい。以下、上述した第1実施形態の訪問検知システム1の音波に関わる構成を、光波に関わる構成に置き換えた例を説明する。
【0058】
図17は、この変形例の訪問検知システム1の全体構成を示すブロック図である。図17に示すように、発信機20は、スピーカ22に代えて、光波を発信する光波発信手段としての発光部24を備える。端末装置10と発信機20とが、光波による通信が可能な距離に近接した場合には、端末装置10は、発信機20の発光部24に発信させた光波を受信する。発信機20の発光部24が発信した光波が到達するエリア(以下、「光波到達エリア」という。)TLは、例えば店舗200の敷地内に含まれ、その全体が電波到達エリアTE内に含まれる。
【0059】
図18は、訪問検知システム1の構成を示すブロック図である。
まず、発信機20の構成を説明する。図18に示すように、発信機20は、アンテナ21と、発光部24と、発信制御部23とを備える。発光部24は、例えば発光ダイオード(LED; Light Emitting Diode)であり、発信制御部23の制御に応じて光波を発信する。発信制御部23は、電波及び光波を用いた情報の発信に関する制御を司る。光波による情報発信を説明すると、発信制御部23は、例えば赤外光又は可視光を明滅させる光波を発光部24から発信する。発信制御部23は、配信する店舗識別コードを一意に関連付けられた光波を発信する。
【0060】
次に、端末装置10の構成を説明する。図18に示すように、端末装置10は、上述した第1実施形態で説明したマイクロホン13及びA/D変換部14に代えて、撮像部19を備える。撮像部19は、撮像する撮像装置(デジタルカメラ)であり、撮像した画像を表す撮像データを生成して制御部11へ供給する撮像処理を行う。制御部11は、管理アプリケーションプログラムMAを動作させることにより、報知制御部111と、起動制御部112aと、処理部113aとに相当する機能を実現する。処理部113aは、発信機20が光波により発信した店舗識別コードを取得するためのコード処理を行うコード処理部1131aを実現する。
起動制御部112aは、例えば、発信機20が発信した電波が無線通信部12により受信されたことを条件として、光波受信部100aを起動して光波を待ち受ける待受け状態にする。光波受信部100aは、光波の待受け状態のときに光波を受信する手段(光波受信手段)であり、撮像部19とコード処理部1131aとにより実現される。光波受信部100aが光波の待受け状態のときには、撮像部19が撮像処理を行い、且つ、コード処理部1131aがコード処理を行う。
【0061】
処理部113aは、光波受信部100aにより発信機20から光波が受信された場合に、受信された光波に基づいて特定の処理を行う。処理部113aのコード処理部1131aは、撮像部19から供給された撮像データを解析して、店舗識別コードを取得するコード処理を行う。処理部113aは、コード処理により取得した店舗識別コードと対応関係を有するサービスアプリケーションプログラムSAを起動して、サービスアプリケーションプログラムSAに基づいて処理を行う。
【0062】
続いて、ユーザUが店舗200に来店したときの端末装置10の動作を説明する。
図19は、端末装置10が行う処理の流れを示すフローチャートである。端末装置10の制御部11は、ステップS1〜S3の処理ステップを実行して、無線通信部12により発信機20からの電波を受信してその旨をユーザUへ報知すると、光波受信部100aを起動して光波の待受け状態にする(ステップS4a)。ステップS4aの処理では、制御部11は、電波の受信により取得した店舗識別コードと対応関係を有するサービスアプリケーションプログラムSAを、管理アプリケーションプログラムMAに基づいて特定して起動する。次に、制御部11は、発信機20からの光波を光波受信部100aにより受信したか否かを判定する(ステップS5a)。ステップS5aの処理では、制御部11は、光波受信部100aのコード処理により店舗識別コードを取得したか否かによって、発信機20からの光波の受信の有無を判定する。制御部11は、発信機20からの光波を受信したと判定するまで待機する(ステップS5a;NO)。その後、ユーザUが、光波到達エリアTL内に移動して、撮像部19を発信機20の発光部24に向けた場合に、制御部11は発信機20からの光波を受信したと判定する(ステップS5a;YES)。そして、制御部11は、コード処理により取得した店舗識別コードに基づいて、上述した第1実施形態と同じ手順でステップS6の処理を実行する。
【0063】
続いて、ユーザUが店舗200を退店するときの端末装置10の動作を説明する。
図20は、端末装置10が行う処理の流れを示すフローチャートである。
端末装置10の制御部11は、撮像部19を光波の待受け状態にしているときに、発信機20からの電波を受信しなくなったか否かを判定する(ステップS11)。ユーザUが電波到達エリアTE外に移動した場合、制御部11は、ステップS11の処理で「NO」と判定して、報知部16によって発信機20からの電波を受信しなくなったことをユーザUへ報知する(ステップS12)。次に、制御部11は、無線通信部12により電波を受信しなくなってから、又は、ステップS12の処理でユーザUへ報知してから、設定時間が経過したかどうかを判定する(ステップS13)。制御部11は、発信機20からの電波を受信していないと判定した場合には(ステップS14;NO)、設定時間が経過するまでの間、ステップS13;NO→ステップS14;NO→ステップS13;NO→・・・の処理ステップを繰り返す。そして、制御部11は、発信機20からの電波を受信しないまま、設定時間が経過したと判定すると(ステップS13;YES)、光波受信部100aを停止させる(ステップS15a)。他方、制御部11は、設定時間が経過するまでに、発信機20からの電波を受信したと判定した場合には(ステップ;S14;YES)、ステップS11の処理に戻る。
上述した第2実施形態及び第3実施形態、更には、各変形例の訪問検知システム1においても、音波に関わる構成に代えて、光波に関わる構成を適用することが可能である。この適用をした場合の訪問検知システム1の構成及び動作については、この変形例の説明から類推できるはずである。
【0064】
(変形例5)
上述した各実施形態の音波受信部100は、A/D変換部14とコード処理部1131とを含んでいたが、A/D変換部14を含まなくてもよい。この場合、音波受信部100の停止中においても、制御部11は、マイクロホン13が検出した音波に基づいてA/D変換部14からデジタル形式の音響信号を取得する場合がある。この場合であっても、音波受信部100が停止しているときには、コード処理部1131は受信した音響信号に基づいてコード処理を行わないので、端末装置10の消費電力が削減される。この変形例の構成を、上述した第2実施形態の端末装置10に適用した場合、制御部11は、音波受信部100が停止中にマイクロホン13から供給された音響信号に基づいて、端末装置10が音波を受信可能な場所にあるか否かを判定してもよい。例えば、制御部11は、マイクロホン13からの音響信号に基づいて、ポケットの中やカバン中から端末装置10を取り出す際に発生する所定条件を満たす音を検知した場合に、端末装置10が音波を受信可能な場所にあると判定する。
また、上述した変形例4の光波受信部100aは、撮像部19とコード処理部1131aとを含んでいたが、撮像部19を含まなくてもよい。この場合であっても、光波受信部100aが停止しているときは、コード処理部1131aは受信した撮像データに基づいてコード処理を行わないので、端末装置10の消費電力が削減される。
【0065】
(変形例6)
訪問検知システム1は、店舗200への人物の来店以外に、例えば、以下に説明する場所に人物が訪れたことを検知してもよい。訪問検知システム1は、例えば、遊園地等の店舗以外の商業施設や、駅や役場等の等の公共施設、ホテルやオフィスのロビーその他の不特定多数の人物が出入りする場所に人物が訪れたことを検知する。また、訪問検知システム1は、スタンプラリーやウォークラリー等において、所定の地点(チェックポイント)に人物が訪れたことを検知してもよい。また、訪問検知システム1は、例えば会社、工場及び住宅等の特定の人物が出入りする場所に人物が訪れたことを検知してもよい。
訪問検知システム1が人物の訪問を検知する場所に関わらず、発信機20は、自機又は自機の設置場所を一意に識別する識別コードを、電波及び音波を用いて発信すればよい。
【0066】
また、発信機20は、電波の到達範囲である比較的広い電波到達エリアと、音波の到達範囲である比較的狭い音波到達エリアとを区別して、各エリアで異なる情報を発信してもよい。この場合に、発信機20は、階層的に関連付けられた複数の情報のうち、上位の階層の情報を電波を用いて発信し、下位の階層の情報を音波を用いて発信してもよい。
ここで、発信機20が、電車やバス等の車両(又は、各種乗り物や各種輸送機器であってもよい。)に設置されて、情報発信する例を説明する。発信機20は、車両の内外の空間領域を区別し、各空間領域に居るユーザUの端末装置10へ、その空間に居るユーザUにとって有益な情報を発信する。例えば、発信機20は、車両の周囲の外部空間(例えば乗降口付近の空間)及び車両の室空間(例えば客室)に向けて、例えば車両の行き先や主な経由地となる(例えば駅や停留所)、乗り換え案内等の情報をアンテナ21から発信する。また、発信機20は、車両の室空間に向けて、車両の次の停車場所やその停車場所付近の地理情報等の情報をスピーカ22から発信する。ここにおいて、発信機20は、車両の周囲の外部空間に向けては、スピーカ22から情報を発信しないようにする。
【0067】
(変形例7)
端末装置10から管理サーバ30に送信される来店状況データは、店舗に関するマーケティングに利用可能な種々の情報を含んでいてもよい。
端末装置10は、例えば、ユーザUを特定可能なユーザ特定情報(例えばユーザIDや氏名)や、ユーザUの属性を示すユーザ属性情報を来店状況データに含めてもよい。ユーザ属性情報は、例えば、ユーザUの年齢や性別、職業、趣味等の情報である。また、端末装置10が電子決済サービスを利用して店舗200で決済した場合には、端末装置10は、その決済の状況(購入商品や支払額)を示す決済情報を来店状況データに含めてもよい。また、端末装置10は、音波に基づいて特定される来店状況だけでなく、電波に基づいて特定される来店状況を示す来店状況データを、管理サーバ30へ送信してもよい。この場合、管理サーバ30は、店舗200に実際に入店したのか、店舗200の周辺に立ち寄ったが店舗200への入店はしなかったのかといった、ユーザUの更に詳細な来店の状況を検知することができる。
他方、管理サーバ30は、端末装置10から受信した来店状況データを解析して、マーケティングに関わる情報を生成して、マーケティング会社のコンピュータ装置等の所定の出力先へ出力してもよい。
【0068】
(変形例8)
発信機20と端末装置10とは、Bluetooth以外の通信規格に準拠した無線通信(例えば近距離無線通信)を行ってもよい。例えば、発信機20は、Wi−Fi(登録商標)規格やその他の無線LAN(Local Area Network)規格に準拠した無線通信を行うための電波を、アンテナ21から発信する。
発信機20が音波及び電波を発信する機能を有するのではなく、電波を発信する発信機(電波発信機)と、音波を発信する発信機(音波発信機)とが、独立した装置によって実現されてもよい。この場合、電波発信機と音波発信機とが、店舗200内の別々の場所に設置されてもよい。
また、一の発信機20が、電波の送信強度が異なる複数のアンテナを備えており、アンテナ毎に異なる識別コードを発信してもよい。この場合、端末装置10は、電波の受信強度ではなく、発信機から受信した識別コードに基づいて、所定の発信機20(即ち発信地点)までの距離を推測することができる。
発信機20が発信する電波及び音波の伝搬経路は、空気等の気体に限られず、固体や液体を含んでいてもよい。
【0069】
(変形例9)
訪問検知システム1は、複数の店舗200へのユーザUの来店を検知しうるように、複数の発信機20を備えていてもよい。また、一の店舗200の敷地内に、複数の発信機20が設置されてもよい。この場合、複数の発信機20の各々は、店舗200の敷地内のエリア毎(例えば売り場毎)に異なる識別コードを発信する。
上述した各実施形態では、端末装置10は、受信した音波に基づいてコード処理を行っていたが、コード処理以外の音波に基づく処理を行ってもよい。例えば、端末装置10は、音声認識処理や音響指紋の解析処理等を行ってもよい。
【0070】
端末装置10は、ユーザUの来店時において、ユーザUへの報知の後で音波受信部100を起動する例に限られず、例えば、ユーザUへの報知と音波受信部100の起動とを同時に行ったり、音波受信部100を起動してからユーザUへ報知したりしてもよい。
また、端末装置10は、音波受信部100を停止させるときには、ユーザUへの報知を省略してもよい。
また、端末装置10は、発信機20から受信した情報に基づいて行う音波受信部100の起動制御のうち、音波受信部100を起動する制御を行う一方で、音波受信部100を停止させる制御を行わないようにしてもよい。
【0071】
端末装置10は、スマートフォンに限らず、携帯電話端末やタブレット端末、パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistant)、モバイルコンピュータ、携帯型ゲーム機、携帯型音楽プレーヤ等の、ユーザが携帯可能な他の端末装置(つまり携帯端末装置)であってもよい。
端末装置10の制御部11や発信機20の発信制御部23が実現する機能は、複数のプログラムの組み合わせによって実現され、又は、複数のハードウェア資源の連係によって実現されうる。制御部11や発信制御部23の機能がプログラムを用いて実現される場合、このプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスク(HDD(Hard Disk Drive)、FD(Flexible Disk))など)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶した状態で提供されてもよいし、ネットワークを介して配信されてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1…訪問検知システム、10…端末装置、11…制御部、111…報知制御部、112,112a…起動制御部、113,113a…処理部、1131,1131a…コード処理部、12…無線通信部、13…マイクロホン、14…A/D変換部、15…記憶部、16…報知部、17…ネットワーク通信部、18…センサ部、19…撮像部、20…発信機、21…アンテナ、22…スピーカ、23…発信制御部、24…発光部、30…管理サーバ、100…音波受信部、100a…光波受信部、200,200A,200B…店舗
図1
図2
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