(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の実施の形態を実施形態に基づいて説明する。
【0022】
A.第1実施形態:
A−1.システムの概略構成:
図1は、本発明の一実施形態としてのネットワークシステムの概略構成を示す説明図である。ネットワークシステム1は、無線接続装置10と、無線端末20と、を含んでいる。
図1では便宜上、説明上必要としない他のネットワーク中継装置、回線、端末等については図示を省略している。無線接続装置10は、IEEE802.11に準拠したアクセスポイント装置である。以降、無線接続装置10を「AP10」とも呼ぶ。無線端末20は、IEEE802.11に準拠した無線通信インタフェースを備える携帯端末である。以降、無線端末20を「スマートフォン20」とも呼ぶ。
【0023】
AP10は、ルータとしても機能し、有線ケーブルを介してインターネットINTに接続されている。AP10は、無線通信に関する設定情報を無線通信のクライアントに自動的に設定させる機能として、従来から知られたAOSS(AirStation One-Touch Secure System、AOSSは登録商標)およびWPS(Wi-Fi Protected Setup)をサポートしている。無線通信に関する設定情報は、通信情報と暗号化情報とを含む。「通信情報」とは、無線LAN(Local Area Network)の混信を避けるためのSSID(Service Set Identifier)、BSSID(Basic Service Set Identifier)、ESSID(Extended Service Set Identifier)等を意味する。「暗号化情報」とは、無線通信を暗号化するためのWEP(Wired Equivalent Privacy)、WPA(Wi-Fi Protected Access)、WPA2−PSK(Wi-Fi Protected Access 2 Pre-Shared Key)等の暗号化方式と、暗号化の際に用いられる鍵とを意味する。
【0024】
上述のAOSSまたはWPSは、AP10が、設定ボタン120の押下を検出することをトリガとして開始される。このため、スマートフォン20の利用者は、AP10に設けられている設定ボタン120を押下することで、AP10のAOSSまたはWPSを用いて、AP10とスマートフォン20との間の無線通信の設定を行うことができる。このような場合において、従来では、悪意のある第三者によってAP10の設定ボタン120が押下された場合であっても、AP10と第三者のスマートフォン30との間の無線通信が設定されてしまうという問題があった。本実施形態のAP10は、以降に説明する設定開始処理を実行することによって、上述の問題、すなわち、第三者のスマートフォン30とAP10との間の無線通信が設定されてしまうという問題の発生を抑制することができる。
【0025】
A−2.APの概略構成:
図2は、AP10とスマートフォン20との構成を機能的に示すブロック図である。
図2(A)は、AP10の構成を示している。AP10は、CPU110と、設定ボタン120と、RAM130と、無線通信インタフェース140(I/F)と、有線通信インタフェース(I/F)150と、フラッシュROM160と、NFC(Near Field Communication)インタフェース(I/F)170と、を備え、各構成要素はバスにより相互に接続されている。
【0026】
CPU110は、フラッシュROM160に格納されているコンピュータプログラムをRAM130に展開して実行することにより、AP10を制御する。また、CPU110は、中継処理部111、設定処理部112、制御部113、第1の開始指示部114、第2の開始指示部115の各機能を実現する。
【0027】
中継処理部111は、AP10が受信したパケットを宛先に応じて転送する中継処理を実行する。
【0028】
設定処理部112は、以下のa1〜a3に示す処理を実行することによって、AOSSの機能とWPSの機能とのうちのいずれか一方を実現する。なお、以降では、AOSSとWPSとを総称して「設定処理」とも呼ぶ。
(a1)設定処理部112は、クライアントとしての装置(以降「クライアント装置」とも呼ぶ。)との間で、一時的な無線通信を確立する。
(a2)設定処理部112は、確立された一時的な無線通信を介して、設定情報161に記憶されている無線通信に関する設定情報を、クライアント装置へ送信する。
(a3)設定処理部112は、クライアント装置が受信した無線通信に関する設定情報を保存させることで、クライアント装置に対して無線通信の設定を行う。
【0029】
制御部113は、設定開始処理を実行する。設定開始処理とは、設定処理部112による設定処理を開始させるための処理である。設定開始処理において制御部113は、特定の無線端末と、AP10とを関連付けると共に、関連付けがされた以降における第1の開始指示部114の動作を抑制する。ここで「特定の無線端末」とは、AP10の管理者の無線端末を意図し、本実施形態では例えばスマートフォン20(
図1)であるとする。
【0030】
第1の開始指示部114は、第1の開始指示に応じて、設定処理部112に設定処理を開始させる。第2の開始指示部115は、第2の開始指示に応じて、設定処理部112に設定処理を開始させる。本実施形態において「第1の開始指示」とは、設定ボタン120の押下の検出である。また、本実施形態において「第2の開始指示」とは、特定の無線端末とAP10との関連付けを利用した開始指示であり、具体的には、AP10に記憶されている特定の無線端末、すなわち、管理者の無線端末であるスマートフォン20を識別するための情報を含む開始指示である。
【0031】
なお、「第1の開始指示」は任意に定めることができる。例えば、無線接続装置が提供する情報コードを無線端末に内蔵されたカメラで撮影する形態で与えられる指示を採用してもよい。具体的には、例えば、QRコード(登録商標)やバーコード、ホログラム等の情報コードを撮影する形態で与えられる指示を採用してもよい。さらに、赤外線通信を用いて与えられる指示を採用してもよく、無線接続装置または無線端末のGUI(Graphical User Interface)を利用して与えられる指示を採用してもよい。
【0032】
同様に、「第2の開始指示」は、第1の開始指示とは異なる指示である限りにおいて、任意に定めることができる。ここで「異なる指示」とは、i)第1の開始指示において使用されている方式とは異なる方式が使用されている指示と、ii)第1の開始指示と、第1の開始指示において使用されている方式とは異なる方式が使用されている指示との組み合わせからなる指示と、の両方を含む意味である。ここで「異なる方式」とは、異なる実現方法を意味する。例えば、使用するハードウェアが異なる場合は異なる方式である。また、同じ近距離無線通信であっても、異なるプロトコルに準拠する限りにおいて、異なる方式である。第2の指示の具体例としては、例えば、上述した情報コードを撮影する形態で与えられる指示、赤外線通信を用いて与えられる指示、GUIを利用して与えられる指示を利用してもよいし、Buletooth(登録商標)を用いて与えられる指示や、USB(Universal Serial Bus)バス接続を介して与えられる指示を利用してもよい。また、これらの指示の組み合わせであってもよい。
【0033】
第1の開始指示と第2の開始指示との組み合わせの変形として、例えば、以下のような態様を採用できる。第1の開始指示にBuletoothを利用した開示指示を採用し、第2の開始指示にNFCを利用した開示指示を採用する態様。第1の開始指示に設定ボタン120の押下の検出を採用し、第2の開始指示に設定ボタン120の押下の検出とNFCを利用した開示指示の組み合わせを採用する態様。第1の開始指示に設定ボタン120の押下の検出を採用し、第2の開始指示にNFCを利用した開示指示とUSBバス接続を介して与えられる指示との組み合わせを採用する態様。第1の開始指示にQRコードを撮影する形態で与えられる指示を採用し、第2の開始指示にNFCを利用した開示指示を採用する態様。
【0034】
設定ボタン120は、AP10の筐体に設けられたスイッチである。無線通信インタフェース140は、送受信回路を含み、アンテナを介して受信した電波の復調とデータの生成、および、アンテナを介して送信する電波の生成と変調を行う。有線通信インタフェース150は、インターネットINT(
図1)側の回線と接続されるほか、有線ケーブルを通じてLAN内の他の装置(例えばNASやパーソナルコンピュータ等)と接続される。有線通信インタフェース150は、PHY/MACコントローラを含み、受信した信号の波形を整えるほか、受信した信号からMACフレームを取り出す。
【0035】
フラッシュROM160には、設定情報161と、管理者情報記憶領域162とが含まれている。設定情報161には、無線通信に関する設定情報が記憶されている。管理者情報記憶領域162は、設定開始処理において、AP10がスマートフォン20から取得した情報、換言すれば、特定の無線端末の情報を記憶させるための領域である。
【0036】
NFCインタフェース170は、ISO/IEC14443およびISO/IEC18092に準拠した近距離型の無線通信インタフェースである。NFCは、通信可能な距離が10cm前後に限定された近距離無線通信であり、NFCインタフェースを備える通信機器同士が非接触な状態でも無線通信が可能なことから、非接触無線通信、または、近接無線通信とも呼ばれる。NFCインタフェース170は、NFCリーダ/ライタとアンテナとを含み、アンテナを介して送受信される電波を用いて、近接しているICチップへの情報の読み書きをする。
【0037】
A−3.スマートフォンの概略構成:
図2(B)は、スマートフォン20の構成を示している。スマートフォン20は、CPU210と、ROM220と、RAM230と、無線通信インタフェース(I/F)240と、移動体通信網通信インタフェース(I/F)250と、タッチパネル260と、音声通信部270と、NFCタグ280と、を備え、各構成要素はバスにより相互に接続されている。
【0038】
CPU210は、ROM220に格納されているコンピュータプログラムをRAM230に展開して実行することにより、スマートフォン20を制御する。また、CPU210は、WEBブラウザ211の機能を実現する。WEBブラウザ211は、例えば、HTTP(HyperText Transfer Protocol)のようなデータ転送プロトコルに基づいてWWW(World Wide Web)から取得されたコンテンツの閲覧に使用されるコンピュータプログラムである。
【0039】
無線通信インタフェース240は、送受信回路を含み、アンテナを介して受信した電波の復調とデータの生成、および、アンテナを介して送信する電波の生成と変調を行う。移動体通信網通信インタフェース250は、アンテナと、送受信回路とを含み、例えば、WiMAX/3G/LTEに準拠した移動体通信方式により、通信キャリアとの間で、データ通信や音声通信を行う。
【0040】
タッチパネル260は、例えば液晶画面等の表示部と、無色透明のタッチパッド等の入力情報取得部と、が積層された構造を有する。スマートフォン20の利用者が、液晶画面に表示されているアイコン等のGUI(Graphical User Interface)を指で押圧すると、タッチパッドが、アイコンが表示されている位置への入力(例えば押圧)を検出し、検出した位置を表す電気信号をCPU210へ送信する。
【0041】
音声通信部270は、音声を出力するためのスピーカや音声を入力するためのマイク、これらを駆動する回路などを含む。スマートフォン20は、移動体通信網通信インタフェース250と音声通信部270とを備えることにより電話としても動作する。
【0042】
NFCタグ280は、ICチップを含み、ICチップ内に情報を記録しておくことができる。タグ情報281は、ICチップ内に記憶されている情報である。タグ情報281は、NFCリーダ/ライタを持つ機器によって読み書きすることができる。本実施形態において、タグ情報281には、スマートフォン20を識別するための情報が予め記憶されている。スマートフォン20を識別するための情報には、特に限定はなく、例えば、スマートフォン20のMACアドレスやUUID(Universally Unique Identifier)、または、スマートフォン20が備えるデバイスのMACアドレスやUUID等を採用することができる。
【0043】
なお、スマートフォン30の構成は、
図2(B)に示すスマートフォン20とほぼ同様である。ただし、スマートフォン30のタグ情報281には、ブランク値、または、スマートフォン20のタグ情報281と異なる値が格納されている。
【0044】
A−4.設定開始処理:
本実施形態のAP10による設定開始処理の手順について説明する。設定開始処理とは、設定処理部112による設定処理(AOSSまたはWPS)を開始させるための処理である。以降に説明する設定開始処理は、管理者の無線端末、本実施形態ではスマートフォン20に対して、AP10とスマートフォン20との間の無線通信の設定が完了していることを前提として開始される。そのため、以降の設定開始処理を経た設定処理(AOSSまたはWPS)が実行されるのは、スマートフォン20以外の無線端末が対象となる。なお、管理者の無線端末であるスマートフォン20に対する設定処理は、第1の開始指示(すなわち設定ボタン120の押下の検出)をトリガとして開始される。設定開始処理は、設定開始処理と、設定開始処理の前に実行される初期処理と、を含む。
【0045】
A−4−1.初期処理:
図3は、初期処理の手順を示すフローチャートである。ステップS102において制御部113は、管理者の無線端末の情報をAP10へ登録する旨の指示(以降、「登録指示」とも呼ぶ。)を取得したか否かを判定する。本実施形態において、登録指示は、HTTP等の手段により提供されるAP10の設定画面を介して与えられる。登録指示とは任意に定めることができ、例えば、AP10に設けられたボタンの押下であってもよいし、近距離無線通信や音声を用いた指示であってもよい。登録指示を取得していない場合(ステップS102:NO)、制御部113は、処理をステップS102へ遷移させて登録指示の取得を待機する。
【0046】
登録指示を取得した場合(ステップS102:YES)、ステップS104においてNFCインタフェース170は、スマートフォン20のNFCタグ280のタッチを検出する。なお、ステップS104では、タッチの検出に代えて、スマートフォン20のNFCタグ280が、NFCインタフェース170のNFCリーダの読み取り可能範囲にあることを検出してもよい。
【0047】
ステップS106においてNFCインタフェース170は、NFCタグ280のタグ情報281を読み取り、タグ情報281に記憶されているスマートフォン20を識別するための情報を取得する。
【0048】
ステップS108において制御部113は、NFCインタフェース170からスマートフォン20を識別するための情報を取得し、取得した情報を「管理者情報」として、管理者情報記憶領域162へ記憶させる。
【0049】
このようにすれば、制御部113は、スマートフォン20(特定の無線端末)の情報、具体的には、スマートフォン20を識別するための情報を、AP10(無線接続装置)の管理者情報記憶領域162に記憶させることで、スマートフォン20とAP10とを関連付けることができる。この初期処理を経て、スマートフォン20が管理者の無線端末として、AP10に関連付けされる。
【0050】
A−4−2.設定開始処理:
図4は、設定開始処理の手順を示すフローチャートである。ステップS202において制御部113は、第1の開始指示を取得したか否か、具体的には、AP10の設定ボタン120の押下を検出したか否かを判定する。
【0051】
設定ボタン120の押下(第1の開始指示)を検出した場合(ステップS202:YES)、ステップS204において制御部113は、AP10の管理者情報記憶領域162を参照し、管理者情報(スマートフォン20を識別するための情報)が記憶されているか否かを判定する。管理者情報が記憶されていない場合(ステップS204:NO)、ステップS206において第1の開始指示部114は、設定処理部112に設定処理(AOSSまたはWPS)を実行させる。
【0052】
管理者情報が記憶されている場合(ステップS204:YES)、ステップS208において制御部113は、AP10の利用者に対して注意を喚起するための案内を行う。制御部113は、種々の方法を用いて利用者への案内を実現することができる。例えば、制御部113は、AP10のインジケータを点灯または点滅させる、AP10の表示部(液晶画面等)に注意喚起のメッセージを表示させる、警告音を鳴らす、予め定められているメールアドレス宛てに注意喚起のメッセージを送信する、等の方法を用いて、注意を喚起することができる。
【0053】
一方、ステップS202において設定ボタン120の押下(第1の開始指示)を検出しない場合(ステップS202:NO)、ステップS210において制御部113は、NFCインタフェース170が無線端末(スマートフォン20やスマートフォン30)のNFCタグ280のタッチを検出したか否かを判定する。なお、ステップS210においても、タッチの検出に代えて、無線端末のNFCタグ280が、NFCインタフェース170のNFCリーダの読み取り可能範囲にあることを検出してもよい。NFCタグ280のタッチを検出しない場合(ステップS210:NO)、制御部113は、設定開始処理を終了させる。
【0054】
NFCタグ280のタッチを検出した場合(ステップS210:YES)、ステップS212においてNFCインタフェース170は、NFCタグ280のタグ情報281を読み取り、タグ情報281に記憶されている無線端末を識別するための情報を取得する。
【0055】
ステップS214において制御部113は、NFCインタフェース170から、タグ情報281に記憶されている無線端末を識別するための情報を取得し、取得した情報が、管理者情報記憶領域162に記憶されている情報と一致するか否かを判定する。一致しない場合(ステップS214:NO)、制御部113は、設定開始処理を終了させる。なおこの際、制御部113は、タグ情報が一致しない旨の警告を行ってもよい。警告には、ステップS208と同様の方法を用いることができる。
【0056】
一致する場合(ステップS214:YES)、ステップS216において第2の開始指示部115は、設定処理部112に設定処理(AOSSまたはWPS)を実行させる。
【0057】
このように、第1実施形態の設定開始処理によれば、制御部113は、スマートフォン20(特定の無線端末)とAP10(無線接続装置)との関連付けによって、より具体的には、スマートフォン20とAP10との関連付けの有無によって(ステップS204)、以降における第1の開始指示部114による設定処理(AOSS、WPS)の開始を抑制する。このため、スマートフォン20とAP10との関連付け以降、換言すれば、
図3に示した初期処理の完了以降は、AP10の設定ボタン120の押下の検出(第1の開始指示)に応じた設定処理の開始が抑制される。また、第2の開始指示部115は、設定ボタン120の押下の検出(第1の開始指示)とは異なり、かつ、スマートフォン20とAP10との関連付けを利用した第2の開始指示、すなわち、NFCタグ280のタッチの検出およびタグ情報281と管理者情報の一致、に応じて、設定処理を開始させる。すなわち、この形態のAP10によれば、スマートフォン20とAP10との関連付け以降は、スマートフォン20とAP10との関連付けを利用した第2の開始指示、すなわち、NFCタグ280のタッチの検出およびタグ情報281と管理者情報の一致によらなければ、設定処理を開始することができない。この結果、設定ボタン120の押下の検出(第1の開始指示、所定の開始指示)に応じて無線端末への無線通信の設定が可能なAP10において、設定処理におけるセキュリティを向上させることができる。
【0058】
また、スマートフォン20とAP10との関連付けを利用した第2の開始指示とは、上述の通り、AP10(無線接続装置)に記憶されている特定の無線端末、すなわち、管理者の無線端末であるスマートフォン20を識別するための情報を含む指示である。このため、
図3に示した初期処理を経て、予めAP10の管理者情報記憶領域162に情報(スマートフォン20を識別するための情報)が記憶されることで、AP10と関連付けられたスマートフォン20以外の他の無線端末、例えば悪意のある第三者の無線端末(スマートフォン30)は、AP10に対して第2の開始指示を与えることができない。この結果、設定ボタン120の押下の検出(第1の開始指示、所定の開始指示)に応じて無線端末への無線通信の設定が可能なAP10において、設定処理におけるセキュリティをより向上させることができる。
【0059】
さらに、第1の開始指示はAP10の設定ボタン120の押下の検出であり、第2の開始指示は、NFCタグ280のタッチの検出およびタグ情報281と管理者情報の一致である。このように、第2の開始指示は、第1の開始指示において使用されている方式とは異なる方式を使用した指示であるため、設定の処理におけるセキュリティをより向上させることができる。また、設定開始処理のステップS208によれば、AP10の利用者は、第2の開始指示に依らなければ設定の処理を実行することができないことを知ることができる。
【0060】
B.第2実施形態:
本発明の第2実施形態では、第1実施形態とは異なる「第2の開始指示」を採用した構成について説明する。以下では、第1実施形態と異なる構成および動作を有する部分についてのみ説明する。なお、図中において第1実施形態と同様の構成部分については先に説明した第1実施形態と同様の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0061】
B−1.システムの概略構成:
第2実施形態におけるネットワークシステムの概略構成は、
図1に示した第1実施形態と同様である。ただし、第2実施形態では、AP10に代えてAP10aを備える。
【0062】
B−2.APの概略構成:
図5は、第2実施形態におけるAP10aとスマートフォン20aとの構成を機能的に示すブロック図である。
図5(A)は、AP10aの構成を示している。
図2(A)に示した第1実施形態との違いは、CPU110に代えてCPU110aを備える点と、フラッシュROM160に代えてフラッシュROM160aを備える点である。
【0063】
CPU110aは、制御部113に代えて制御部113aを備える。制御部113aは、設定開始処理における処理内容が第1実施形態とは異なる。
【0064】
フラッシュROM160aは、管理者情報記憶領域162に代えて識別情報163を備える。識別情報163には、AP10aの管理者を識別するための情報(以降、「識別情報」とも呼ぶ。)が予め記憶されている。識別情報163は、設定開始処理における認証に使用される。識別情報には、任意の情報を採用することができ、例えば、AP10aの販売時に添付(製品パッケージに同梱または記載等)されているIDカードに記載のPIN番号の、一部または全部であってもよい。なお、PIN番号とは、AP10aの正当な利用者であることを判定するために用いられる暗証番号を示す文字列である。
【0065】
B−3.スマートフォンの概略構成:
図5(B)は、スマートフォン20の構成を示している。スマートフォン20、30の概略構成は、
図2(B)に示した第1実施形態と同様である。
【0066】
B−4.設定開始処理:
第2実施形態の設定開始処理は、第1実施形態と同様に、設定処理部112による設定処理(AOSSまたはWPS)を開始させるための処理であり、管理者の無線端末、本実施形態ではスマートフォン20に対して、AP10aとスマートフォン20との間の無線通信の設定が完了していることを前提とする。第2実施形態の設定開始処理は、設定開始処理と、設定開始処理の前に実行される初期処理と、を含む。
【0067】
B−4−1.初期処理:
図6は、第2実施形態における初期処理の手順を示すフローチャートである。ステップS302において制御部113aは、AP10aの管理者を識別するための情報(識別情報)の発行を求める旨の指示(以降、「発行指示」とも呼ぶ。)を取得したか否かを判定する。なお、発行指示は、
図3のステップS102と同様の手段によって実現可能である。発行指示を取得していない場合(ステップS302:NO)、制御部113aは、処理をステップS302へ遷移させて発行指示の取得を待機する。
【0068】
発行指示を取得した場合(ステップS302:YES)、ステップS304においてNFCインタフェース170は、スマートフォン20のNFCタグ280のタッチを検出する。なお、ステップS304では、タッチの検出に代えて、スマートフォン20のNFCタグ280が、NFCインタフェース170のNFCリーダの読み取り可能範囲にあることを検出してもよい。
【0069】
ステップS306において制御部113aは、フラッシュROM160aの識別情報163に記憶されている識別情報を取得する。また、制御部113aは、識別情報163に識別情報の取得が完了した旨の情報を追加する。
【0070】
ステップS308において制御部113aは、ステップS306で取得した識別情報をスマートフォン20へ送信する。制御部113aは、種々の方法を用いて識別情報をスマートフォン20へ送信することができる。例えば、制御部113aは、利用者がスマートフォン20のWEBブラウザ211で識別情報を閲覧可能な態様で、識別情報を送信してもよい。この場合、ステップS302の登録指示にHTTPを用いれば、ステップS302の登録指示の応答として、スマートフォン20へ識別情報を送信することができる。また、制御部113aは、所定のメールアドレス宛てに識別情報を送信してもよい。この場合、識別情報の送信先であるメールアドレスは、ステップS304において、NFCインタフェース170を介して取得してもよい。
【0071】
このようにすれば、制御部113aは、AP10a(無線接続装置)による認証に必要な識別情報163をスマートフォン20(特定の無線端末)に通知することで、スマートフォン20とAP10aとを関連付けることができる。この初期処理を経て、スマートフォン20が管理者の無線端末として、AP10aに関連付けされる。
【0072】
B−4−2.設定開始処理:
図7は、第2実施形態の設定開始処理の手順を示すフローチャートである。
図4に示した第1実施形態との違いは、ステップS204に代えてステップS402を備える点と、ステップS212、S214に代えてステップS404〜S408を備える点である。
【0073】
ステップS202において設定ボタン120の押下(第1の開始指示)を検出した場合(ステップS202:YES)、ステップS402において制御部113aは、識別情報が発行済であるか否かを判定する。具体的には、制御部113aは、識別情報163に、識別情報の取得が完了した旨の情報が記憶されているか参照する。識別情報の取得が完了した旨の情報が記憶されている場合、制御部113aは、識別情報が発行済であると判定する。識別情報が発行済でない場合(ステップS402:NO)、ステップS206において第1の開始指示部114は、設定処理部112に設定処理(AOSSまたはWPS)を実行させる。
【0074】
識別情報が発行済である場合(ステップS402:YES)、ステップS208において制御部113aは、AP10aの利用者に対して注意を喚起する。詳細は第1実施形態と同様である。
【0075】
ステップS202において設定ボタン120の押下(第1の開始指示)を検出しない場合(ステップS202:NO)、ステップS210において制御部113aは、NFCインタフェース170が無線端末(スマートフォン20やスマートフォン30)のNFCタグ280のタッチを検出したか否かを判定する。詳細は第1実施形態と同様である。NFCタグ280のタッチを検出しない場合(ステップS210:NO)、制御部113aは、設定開始処理を終了させる。
【0076】
NFCタグ280のタッチを検出した場合(ステップS210:YES)、ステップS404において制御部113aは、管理者の無線端末へ識別情報の要求を送信する。具体的には、例えば、制御部113aは、初期処理(
図7)のステップS308と同様の方法を用いて、管理者の無線端末、本実施形態ではスマートフォン20に対して、識別情報の要求を送信する。
【0077】
ステップS406において制御部113aは、管理者の無線端末から識別情報を取得する。具体的には例えば、制御部113aは、管理者の無線端末、本実施形態ではスマートフォン20から、ステップS404の応答として送信される識別情報を取得する。
【0078】
ステップS408において制御部113aは、ステップS406で取得した識別情報が、フラッシュROM160の識別情報163に記憶されている識別情報と一致するか否かを判定する。一致しない場合(ステップS408:NO)、制御部113aは、設定開始処理を終了させる。なおこの際、制御部113aは、識別情報が一致しない旨の警告を行ってもよい。警告には、ステップS208と同様の方法を用いることができる。
【0079】
一致する場合(ステップS408:YES)、ステップS216において第2の開始指示部115は、設定処理部112に設定処理(AOSSまたはWPS)を実行させる。
【0080】
このように、第2実施形態の設定開始処理によれば、制御部113aは、スマートフォン20(特定の無線端末)とAP10a(無線接続装置)との関連付けによって、より具体的には、スマートフォン20とAP10aとの関連付けの有無によって(ステップS402)、以降の第1の開始指示部114による設定処理(AOSS、WPS)の開始を抑制する。このため、スマートフォン20とAP10aとの関連付け以降、換言すれば、
図6に示した初期処理の完了以降は、AP10aの設定ボタン120の押下の検出(第1の開始指示)に応じた設定処理の開始が抑制される。また、第2の開始指示部115は、設定ボタン120の押下の検出(第1の開始指示)とは異なり、かつ、スマートフォン20とAP10との関連付けを利用した第2の開始指示、すなわち、管理者の無線端末であるスマートフォン20へ発行した識別情報と識別情報163との一致、に応じて、設定処理を開始させる。すなわち、この形態のAP10aによれば、スマートフォン20とAP10aとの関連付け以降は、スマートフォン20とAP10aとの関連付けを利用した第2の開始指示、すなわち、スマートフォン20へ発行した識別情報と識別情報163との一致によらなければ、設定処理を開始することができない。この結果、第2実施形態の設定開始処理によれば、設定ボタン120の押下の検出(第1の開始指示、所定の開始指示)に応じて無線端末への無線通信の設定が可能なAP10aにおいて、設定処理におけるセキュリティを向上させることができる。
【0081】
また、スマートフォン20とAP10aとの関連付けを利用した第2の開始指示とは、上述の通り、管理者の無線端末であるスマートフォン20へ通知された識別情報を含む指示である。このため、
図6に示した初期処理を経て、予め識別情報が通知されることで、AP10a(無線接続装置)と関連付けられたスマートフォン20(特定の無線端末)以外の他の無線端末、例えば悪意のある第三者の無線端末(スマートフォン30)は、AP10aに対して第2の開始指示を与えることができない。この結果、設定ボタン120の押下の検出(第1の開始指示、所定の開始指示)に応じて無線端末への無線通信の設定が可能なAP10aにおいて、設定の処理におけるセキュリティをより向上させることができる。
【0082】
C.第3実施形態:
本発明の第3実施形態では、第1実施形態または第2実施形態の設定開始処理における変形について説明する。以下では、第1実施形態または第2実施形態と異なる構成および動作を有する部分についてのみ説明する。
【0083】
図8は、第3実施形態の設定開始処理において実行される処理の手順の一部を示すフローチャートである。第3実施形態の設定開始処理では、第1実施形態の設定開始処理(
図4)のステップS208、または、第2実施形態の設定開始処理(
図7)のステップS208に代えて、
図8に説明する処理を実行する。
【0084】
ステップS502において制御部113は、管理者の無線端末へ設定処理の実施を許可するか否かの問い合わせ(以降、「実施確認」とも呼ぶ。)を送信する。具体的には、例えば、制御部113は、初期処理(
図7)のステップS308と同様の方法を用いて、管理者の無線端末、本実施形態ではスマートフォン20に対して、識別情報の要求を送信する。
【0085】
ステップS504において制御部113は、管理者の無線端末から実施確認の結果を取得する。具体的には例えば、制御部113は、管理者の無線端末、本実施形態ではスマートフォン20から、ステップS502の応答として送信される情報を取得する。
【0086】
ステップS506において制御部113は、実施確認の結果が許可であるか不許可であるかを判定する。具体的には、制御部113は、ステップS504において取得した情報が「許可」である旨を表す情報であった場合に、実施確認の結果を「許可」と判定し、他の場合には実施確認の結果を「不許可」と判定する。
【0087】
実施確認の結果が「許可」である場合(ステップS506:許可)、ステップS508において制御部113は、設定処理部112に設定処理(AOSSまたはWPS)を実行させる。実施確認の結果が「不許可」である場合(ステップS506:不許可)、ステップS510において制御部113は、AP10の利用者に対して注意を喚起するための案内を行う。詳細は第1実施形態の設定開始処理(
図4)のステップS208と同様である。
【0088】
このように、第3実施形態の設定開始処理によれば、制御部113は、スマートフォン20(特定の無線端末)とAP10(無線接続装置)との関連付け以降に設定ボタン120の押下の検出(第1の開始指示)があった場合に、スマートフォン20(特定の無線端末)に対して設定処理(AOSS、WPS)の開始を許可するか否かを問い合わせ、その結果に応じて設定処理を開始させることができる。この結果、関連付け以降において、第2の開始指示(NFCタグ280のタッチの検出およびタグ情報281と管理者情報の一致、または、管理者の無線端末であるスマートフォン20へ発行した識別情報と識別情報163との一致)以外の他の開始手段を提供することができる。
【0089】
D.変形例:
上記実施形態において、ハードウェアによって実現されるとした構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されるとした構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。その他、以下のような変形も可能である。
【0090】
・変形例1:
上記実施形態では、ネットワークシステムの一例を挙げた。しかし、上記実施形態におけるネットワークシステムの構成はあくまで一例であり、種々の変更が可能である。例えば、構成要素の一部を省略したり、更なる構成要素を付加したり、構成要素の一部を変更したりする変形が可能である。
【0091】
例えば、ネットワークシステムは、例えば、ルータ、スイッチ、モデム、ハブ等のネットワーク通信機器や、パーソナルコンピュータ、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistants)等のモバイル機器や、デジタルカメラ、プリンタ、ネットワークディスプレイ、スキャナ等の画像入出力機器や、オーディオ、テレビ等のAV機器や、冷蔵庫、空調機、テレビ等の家電製品や、NAS(Network Attached Storage)等の他の装置を備える構成としてもよい。
【0092】
・変形例2:
上記実施形態では、無線接続装置と、無線端末と、の構成の一例を挙げた。しかし、上記実施形態における構成はあくまで一例であり、種々の変更が可能である。例えば、構成要素の一部を省略したり、更なる構成要素を付加したり、構成要素の一部を変更したりする変形が可能である。
【0093】
例えば、無線接続装置は、ルータとしての機能を持たなくてもよい。また、例えば、無線接続装置において、有線通信インタフェースやNFCインタフェースは省略してもよい。
【0094】
例えば、無線接続装置において、フラッシュROMは異なる記憶媒体で構成されていてもよい。例えば、無線接続装置は、フラッシュROMに代えて、USBメモリやUSBハードディスク等の着脱可能な記憶媒体を備えていてもよい。また、例えば、上記実施形態においてフラッシュROMに記憶されると説明した情報は、複数の記憶媒体に分散されて記憶されていてもよい。
【0095】
例えば、無線端末は、NFCタグに加えて、NFCリーダ/ライタを備えていてもよい。
【0096】
・変形例3:
上記実施形態では、初期処理および設定開始処理の一例を示した。しかし、上記実施形態における処理の手順はあくまで一例であり、種々の変形が可能である。例えば、一部のステップを省略してもよいし、更なる他のステップを追加してもよい。また、実行されるステップの順序を変更してもよい。
【0097】
例えば、初期処理は省略してもよい。この場合、例えば、制御部は、管理者の無線端末に対してAOSSまたはWPSによる設定処理を実施する際に、近管理者の無線端末のタグ情報を読み取って、管理者情報記憶領域に記憶させてもよい。タグ情報の読み取りは、例えば、近距離無線通信を使用することができる。また、例えば、制御部は、管理者の無線端末に対してAOSSまたはWPSによる設定処理を実施する際に、管理者の無線端末の識別情報を読み取って、管理者情報記憶領域に記憶させてもよい。識別情報の読み取りは、例えば、近距離無線通信や無線通信を使用することができる。管理者の無線端末の識別情報とは、管理者の無線端末を識別可能な限りにおいて任意の情報を使用することができる。
【0098】
例えば、上記実施形態の初期処理および設定開始処理、具体的には、
図3のステップS104、
図4のステップS210、
図6のステップS304では、無線端末のNFCタグが無線接続装置のNFCリーダの読み取り可能範囲にあることを検出してもよいとした。しかし、NFC以外の他のデバイスを利用する場合、上記各ステップでは、無線接続装置側の通信デバイスが、無線端末側の通信デバイスを検出してもよい。
【0099】
例えば、上記実施形態の設定開始処理では、ステップS208の注意喚起の際に、意図しない第1の開始指示を与えた人物(具体的には、設定ボタンを押下した人物)の情報を通知してもよい。通知は、例えば、当該人物の画像の表示部への表示、メール添付等の方法を採用可能である。また、人物の画像を撮影するために、無線接続装置は、カメラを備えていてもよい。このようにすれば、無線接続装置の管理者は、意図しない第1の開始指示を与えた人物を容易に特定することができる。
【0100】
例えば、上記第1実施形態の設定開始処理では、
図4のステップS202〜S206の処理と、
図4のステップS210〜S216の処理と、を並列に実行してもよい。同様に、上記第2実施形態の設定処理では、
図7のステップS202〜S206の処理と、
図7のステップS210〜S216の処理と、を並列に実行してもよい。
【0101】
例えば、上記実施形態の初期処理および設定開始処理では、データ転送プロトコルの一例としてHTTPを用いた。しかし、データ転送プロトコルは、例えばTCP/IPのような通信プロトコルにおいて、ループバックアドレスを利用することにより情報の送受信を行うことが可能なクライアントサーバ型プロトコルである限りにおいて任意のプロトコルを用いることができ、例えば、HTTP、HTTPS(Secure HyperText Transfer Protocol)、FTP(File Transfer Protocol)等を利用することができる。また、HTTP、HTTPS、FTPはあくまで例示であり、これらのプロトコルに限られるものではなく、専用のアプリケーションを用いて情報を送受信してもよい。
【0102】
例えば、第2実施形態の初期処理および設定開始処理では、制御部が管理者の無線端末と識別情報をやりとりする手段の例として、HTTPやメールを介した識別情報の送受信を例示した。しかし、制御部は、他の方法によって管理者と識別情報をやりとりしてもよい。例えば、制御部は、無線接続装置の表示部(液晶画面等)に識別情報を表示させ、無線接続装置の入力部(タッチパッドや英数字の入力ボタン)から識別情報を取得する態様で、管理者と識別情報のやりとりをしてもよい。
【0103】
・変形例4:
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。