特許第6160495号(P6160495)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6160495光ディスクドライブ装置におけるスピンドルモーターの駆動制御回路、駆動制御方法および駆動電圧設定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6160495
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】光ディスクドライブ装置におけるスピンドルモーターの駆動制御回路、駆動制御方法および駆動電圧設定方法
(51)【国際特許分類】
   G11B 19/28 20060101AFI20170703BHJP
   G11B 19/00 20060101ALI20170703BHJP
【FI】
   G11B19/28 C
   G11B19/00 100H
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-7861(P2014-7861)
(22)【出願日】2014年1月20日
(65)【公開番号】特開2015-138562(P2015-138562A)
(43)【公開日】2015年7月30日
【審査請求日】2016年12月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000201113
【氏名又は名称】船井電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096703
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 俊之
(72)【発明者】
【氏名】梶川 和紀
【審査官】 中野 和彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−032952(JP,A)
【文献】 特開平10−112109(JP,A)
【文献】 国際公開第98/036413(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 19/28
G11B 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクドライブ装置におけるスピンドルモーターの駆動制御回路であって、
複数の回転速度域ごとに複数の駆動電圧で前記スピンドルモーターを駆動させたときに、必要な加速が得られた駆動電圧のうちの最低のものを記憶する記憶手段と、
前記スピンドルモーターの回転速度を検出する回転速度検出手段と、
前記回転速度検出手段で検出された回転速度に応じて前記記憶手段で記憶されている最低の駆動電圧で前記スピンドルモーターに駆動電圧を出力する駆動電圧出力手段とを具備することを特徴とするスピンドルモーターの駆動制御回路。
【請求項2】
複数の回転速度域ごとに複数の駆動電圧で前記スピンドルモーターを駆動させ、それぞれの駆動電圧と加速とを対応づける加速レンジ別駆動電圧判定手段と、
複数の回転速度域ごとに必要な加速が得られた駆動電圧のうちの最低のものを判定して前記記憶手段に記憶させる必要最低駆動電圧設定手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載のスピンドルモーターの駆動制御回路。
【請求項3】
前記記憶手段は、複数の回転速度域ごとに複数の減速用駆動電圧で前記スピンドルモーターを駆動させたときに、必要な減速が得られた減速用駆動電圧のうちの最低のものを記憶し、
前記駆動電圧出力手段は、減速時に、前記回転速度検出手段で検出された回転速度に応じて前記記憶手段で記憶されている最低の減速用駆動電圧で前記スピンドルモーターに駆動電圧を出力することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスピンドルモーターの駆動制御回路。
【請求項4】
光ディスクドライブ装置におけるスピンドルモーターの駆動制御方法であって、複数の回転速度域ごとに複数の駆動電圧で前記スピンドルモーターを駆動させたときに、必要な加速が得られた駆動電圧のうちの最低のものを記憶しており、
前記スピンドルモーターの回転速度を検出し、検出された回転速度に応じて前記記憶されている最低の駆動電圧で前記スピンドルモーターに駆動電圧を出力することを特徴とするスピンドルモーターの駆動制御方法。
【請求項5】
光ディスクドライブ装置におけるスピンドルモーターの駆動電圧を設定する駆動電圧設定方法であって、
複数の回転速度域ごとに複数の駆動電圧と回転速度の変化とを対応づける工程と、
複数の回転速度域ごとに必要な加速を取得する工程と、
複数の回転速度域ごとに必要な加速が得られた駆動電圧のうちの最低のものを判定する工程とを含むことを特徴とする光ディスクドライブ装置におけるスピンドルモーターの駆動電圧設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクドライブ装置におけるスピンドルモーターの駆動制御回路、駆動制御方法および駆動電圧設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、光ディスクの回転の立ち上げ時に、光ディスクの回転数を所定回転数に早く到達させて再生動作に移行させることができるようにするディスク装置に関する。段落0006と図2には、「光ディスク2の回転数が所定回転数R0に到達するまでの時間を所定時間以内に短縮するために、ディスク装置1に装着された光ディスク2の回転速度の加速度と基準光ディスクの回転速度の加速度との差に基づいて、スピンドルサーボ回路5に制御信号を送出してモーター駆動IC5aを制御」との開示がある。
【0003】
特許文献2は、電力消費量を低減させることが可能なメディアドライブ装置に関する。段落0007と図1には「モーターの回転速度を制御するコントロール・パルス信号を出力するとともに、前記コントロール・パルス信号のデューティ比を変化させて回転速度の調整量を設定する速度制御手段と、前記モーターを駆動するための駆動電圧」との開示がある。
【0004】
特許文献3は、スピンドルモーターのデータ読込み開始までの事前加速時の低消費電力化を実現するディスク制御方法及びディスク装置に関する。段落0018と図1には「読み込み開始時の回転数に対する事前加速の回転数を設定する第一段階設定器16と、スピンドルモーター2の回転数が、設定された第一段階の事前加速回転数に達したかどうかを検出する回転数検出器」との開示がある。
【0005】
特許文献4は、スピンドルモーターの回転の立ち上げ時間を短縮することができるようにするディスク再生装置に関する。段落0004と図1には「スピンドルモーターの駆動電圧と光ディスクの回転数との相関関係に基づき、前記算出手段により算出された光ディスクの回転数に応じてモーター駆動ICのゲインを設定する」との開示がある。
特許文献5は、光学記録媒体の記録待機時において記録動作の開始に適した状態を保持する記録装置、再生装置、及び制御方法に関する。段落0045と図7には「マイクロコンピューター74は、矩形波のエッジをカウントしてスピンドルモーター87の回転周期を算出し(ステップS23)、算出した回転周期に基づいてスピンドルモーター87の最適駆動電圧を算出」との開示がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−102951号公報
【特許文献2】特開2012−043488号公報
【特許文献3】特開2008−293612号公報
【特許文献4】特開2007−087560号公報
【特許文献5】特開2006−236415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
スピンドルモーターは、マウント時や倍速変更時には、フル加速であったり所定の加速度を得られるように、ある駆動電圧で駆動する。一方、加速に影響を与える要素として、ディスクの重さであるとか、実装されるスピンドルモータの仕様などがある。これらの要素にはばらつきがあるので、あらかじめそれらのワーストケースを想定し、ワーストケースでも最大回転数差間での加減速を十分に行えるようにしている。このため、加速域にかかわらず必要以上の駆動電圧を与えており、無駄が生じている。
【0008】
特許文献1は、異なる重さの個別のディスクに対応するものであるが、不足する加速度を補うために駆動電圧を上げるものであり、無駄を減らすものではない。
特許文献2は、短時間に加速させる際の電力消費量を低減させるものではない。
特許文献3は、加速域毎に無駄が生じている駆動電圧を低減させることはできない。
特許文献4は、加速時に一定の駆動電圧を設定するものであり、加速域毎に生じている無駄を低減させることはできない。
特許文献5は、加速域毎に生じている無駄を低減させることはできない。
【0009】
本発明は、スピンドルモーターでの加速時の消費電力を低減する光ディスクドライブ装置におけるスピンドルモーターの駆動制御回路、駆動制御方法および駆動電圧設定方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、光ディスクドライブ装置におけるスピンドルモーターの駆動制御回路であって、複数の回転速度域ごとに複数の駆動電圧で前記スピンドルモーターを駆動させたときに、必要な加速が得られた駆動電圧のうちの最低のものを記憶する記憶手段と、前記スピンドルモーターの回転速度を検出する回転速度検出手段と、前記回転速度検出手段で検出された回転速度に応じて前記記憶手段で記憶されている最低の駆動電圧で前記スピンドルモーターに駆動電圧を出力する駆動電圧出力手段とを具備する構成としてある。
【0011】
前記構成において、記憶手段は、複数の回転速度域ごとに複数の駆動電圧で前記スピンドルモーターを駆動させたときに、必要な加速が得られた駆動電圧のうちの最低のものを記憶している。そして、回転速度検出手段が、前記スピンドルモーターの回転速度を検出すると、駆動電圧出力手段は、前記回転速度検出手段で検出された回転速度に応じて前記記憶手段で記憶されている最低の駆動電圧で前記スピンドルモーターに駆動電圧を出力する。
すなわち、回転速度毎に、必要な加速度が得られる最低の駆動電圧を出力する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、回転速度毎に、必要な加速度が得られる最低の駆動電圧を出力するため、省電力化を図ることができる。すなわち、加速度から最適なスピンドルモーター駆動電圧を回転数毎に設定することにより、かけすぎていた電圧を抑制することができ、シーク動作や回転制御性能を落とすことなく、消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】光ディスクドライブ装置のブロック図である。
図2】最適な駆動電圧を設定するためのフローチャートである。
図3】回転速度域毎の駆動電圧と回転速度の変化を示すグラフである。
図4】回転速度域毎の駆動電圧と回転速度の変化を示すグラフである。
図5】回転速度域毎の駆動電圧と回転速度の変化を示すグラフである。
図6】回転速度域毎の駆動電圧と回転速度の変化を示すグラフである。
図7】フル加速時に駆動電圧を一定にした場合の駆動電圧と回転速度との関係を示すグラフである。
図8】フル加速時に駆動電圧を回転速度に最適化した場合の駆動電圧と回転速度との関係を示すグラフである。
図9】加速時の駆動電圧の制御を示すフローチャートである。
図10】シーク時の加速中の消費電流を示すグラフである。
図11】スピンドルモーターの駆動減衰率と消費電力減衰率の関係を示すグラフである。
図12】最適な駆動電圧を設定するためのフローチャートである。
図13】減速時の駆動電圧の制御を示すフローチャートである。
図14】加速度と加速経過時間の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第一実施例)
以下、図面にもとづいて本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかる光ディスクドライブ装置をブロック図により示している。
同図において、スピンドルモーター11は、光ディスクが載置されて回転駆動されるスピンドルを駆動する。トラバースモーター12は、光ピックアップユニット13を光ディスクの径方向に沿って駆動する。トレイモーター14は、光ディスクを保持する光ディスクトレイ15の開閉とカム機構を駆動する。制御回路(駆動制御回路)16は、図示しない外部機器による光ピックアップユニット13による光ディスクへの読み書き動作を制御するほか、各モーター11,12,14を駆動する制御を行う。なお、制御回路16には不揮発性の記憶領域であるメモリー16aが備えられている。また、センサー17は、スピンドルモーター11の回転速度を検出するものであり、制御回路16はセンサー17の出力を監視してスピンドルモーター11への駆動電圧を制御している。本実施例においては、センサー17を使用してスピンドルモーター11の回転速度を検出しているが、このような独立したセンサーを使用するのではなく、制御回路16内にあるドライバーICで生成されるFG信号を元に回転数を検出することも可能である。この場合、FG信号を元に検出した回転数に基づいて制御回路16内にあるメインICで同回転数を制御すればよい。
【0015】
制御回路16は、スピンドルモーター11に対して目標となる回転速度となるように駆動信号を適宜変更して出力する。スピンドルモーター11に対する駆動電圧は、制御回路16内で所定のレジスタに値を設定すると、同レジスタ設定値に対応して外部のドライバー回路が所定の駆動電圧となるように増幅して出力する。このとき、制御回路16では一定の低い基準電圧を適宜クリップして(分圧)出力し、ドライバー回路はこのクリップした電圧を入力値として駆動用の高い基準電圧に増幅している。このような処理をクリップ処理とも呼ぶ。
【0016】
図2は、最適な駆動電圧を設定するためのフローチャートである。また、図3図4図5図6は、回転速度域毎の駆動電圧と回転速度の変化を示すグラフである。
図2におけるステップS100では、加速時の加速レンジ別の駆動電圧との対応付けを行なう。 図3図6は、異なる回転速度域毎に五種類の駆動電圧を与えたときの回転速度の変化を示している。駆動電圧として、1)出力最大、2)出力最大の95%、3)出力最大の88%、4)出力最大の82%、5)出力最大の75%を与えている。これらは、制御回路16における前記所定のレジスタに設定する値を適宜変化させた場合に、ドライバー回路からスピンドルモーター11に対して出力される駆動電圧を、出力最大の場合との比で表している。従って、制御回路16がスピンドルモーター11に対してこれらの駆動電圧のいずれを出力するかは単に同レジスタに設定する値を変化させるだけでよい。
【0017】
図3は、スピンドルモーター11に対する駆動電圧を前記5つのそれぞれとした場合における回転速度が1000rpmから4000rpmに達するまでの経過時間と回転速度との関係を示している。
図を参照すると、1000rpmから1500rpmへ達するまでの時間は、出力電圧にかかわらず概ね同一の300msである。すなわち、5)出力最大の75%を与えた場合も、1)出力最大を与えた場合も、結果は同じである。従って、その差の出力最大の25%を300msにわたって与えていた分は無駄である。
【0018】
次に、図4は、スピンドルモーター11の回転速度が2000rpmから4000rpmに達するまでの経過時間と回転速度との関係を示している。
図を参照すると、2000rpmから3100rpmへ達するまでの時間は、5)出力最大の75%を除き、出力電圧にかかわらず概ね同一の500msである。すなわち、4)出力最大の82%を与えた場合も、1)出力最大を与えた場合も、結果は同じである。従って、その差の出力最大の18%を500msにわたって与えていた分は無駄である。
【0019】
次に、図5は、スピンドルモーター11の回転速度が3000rpmから5500rpmに達するまでの経過時間と回転速度との関係を示している。
図を参照すると、3000rpmから5000rpmへ達するまでの時間は、1)出力最大を与えた場合と、2)出力最大の95%を与えた場合とでは、いずれも概ね同一の850msである。すなわち、2)出力最大の95%を与えた場合も、1)出力最大を与えた場合も、結果は同じである。従って、その差の出力最大の5%を850msにわたって与えていた分は無駄である。
【0020】
次に、図6は、スピンドルモーター11の回転速度が4000rpmから6000rpmに達するまでの経過時間と回転速度との関係を示している。
図を参照すると、4000rpmから5000rpmへ達するまでの時間は、1)出力最大を与えた場合と、2)出力最大の95%を与えた場合とでは、いずれも概ね同一の450msである。すなわち、2)出力最大の95%を与えた場合も、1)出力最大を与えた場合も、結果は同じである。従って、その差の出力最大の5%を400msにわたって与えていた分は無駄である。
【0021】
ここで、図3に基づく第一の回転速度域として1000rpm〜2000rpm、図4に基づく第二の回転速度域として2000rpm〜3000rpm、図4に基づく第三の回転速度域として3000rpm〜4000rpm、図5に基づく第四の回転速度域として4000rpm〜7000rpm、およびそれ以上の回転速度域と分けるとする。第四回転速度域は図5に示す例よりもやや広めの速度域としているが、これ以上の細分をしても省電力の効果は顕著ではなかったので、このようにした。
【0022】
このような複数の回転速度域ごとに、上述した5種類の駆動電圧を与えてスピンドルモーター11を駆動させ、それぞれの駆動電圧と回転速度の変化である加速とを対応づけた。従って、ステップS100の工程を実施することが加速レンジ別駆動電圧判定手段を構成するといえる。
次に、図2のステップS110では、加速レンジ別の最低駆動電圧を判定・記憶する。このため、以上の結果から、複数の回転速度域ごとに必要な加速が得られた駆動電圧のうちの最低のものを判定する。
【0023】
図3に基づく第一の回転速度域については5)出力最大の75%が最低であり、図4に基づく第二の回転速度域については4)出力最大の82%が最低であり、図5に基づく第三の回転速度域については5)2)出力最大の95%が最低であり、図6に基づく第四の回転速度域については2)出力最大の95%が最低である。残りの回転速度域は図示はしていないが1)出力最大を設定する。
【0024】
そして、複数の回転速度域ごとにこれらの最低のものを記憶領域であるメモリー16aに記憶させる。なお、このステップS110の工程を実施することが必要最低駆動電圧設定手段を構成する。また、この結果、記憶領域であるメモリー16aは、複数の回転速度域ごとに複数の駆動電圧でスピンドルモーター11を駆動させたときに、必要な加速が得られた駆動電圧のうちの最低のものを記憶することになり、記憶手段を構成する。
【0025】
一方、上述した実施例では、複数の回転速度域毎に最大の加速を得られることを前提として、それに必要な駆動電圧を判定した。この意味で、複数の回転速度域毎に必要な加速とは、複数の回転速度域毎に出力最大の場合と同じ加速ということになる。しかし、必ずしも複数の回転速度域毎に必要な加速が出力最大の場合と同じ加速である必要はなく、適宜、少し下げた加速であっても構わない。そして、そのような加速を予め別の手段で記憶しておけばよい。そのような加速を得る工程が、複数の回転速度域毎に必要な加速を取得する工程に相当し、その後、複数の回転速度域毎に必要な加速が得られた駆動電圧のうちの最低のものを判定する工程を実施すればよい。例えば、シーク時間を多少犠牲にしてさらにクリップ値を下げる(駆動電圧を下げることに相当する)ことで消費電力をより削減することが可能となる。
【0026】
図7は、加速時に駆動電圧を一定にした場合の駆動電圧と回転速度との関係を示すグラフであり、図8は、加速時に駆動電圧を回転速度に最適化した場合の駆動電圧と回転速度との関係を示すグラフである。
図7に示すように、加速時に駆動電圧を一定の出力最大にしている。すなわち、回転速度にかかわらず、駆動電圧は一定のままということである。上述したように、回転速度域毎に観察すると、より低い駆動電圧であっても加速度は変わらないことがあるので、駆動電圧を出力最大のまま与え続けるのは無駄を含んでいる。
【0027】
一方、図8に示すように、加速時ではあっても、駆動電圧を回転速度に最適化した場合は、斜線の部分は駆動電圧が最大となっていない。言い換えると、この斜線の部分だけ出力電圧を下げており、省電力化が実現できたことになる。また、図3図6のグラフを参照すると、このように省電力化を実現してもスピンドルモーター11は最大の加速から何ら劣っているわけではないことが分かる。つまり、加速の効果は一緒でありながら、使用電力だけを低減できている。最適なスピンドルモーターの駆動電圧を設定した時の方が斜線部の無駄な消費電力が低減できるといえる。また、回転数に応じてスピンドルモーターの駆動電圧を最適値に可変するため、シーク時間に影響なくシーク時の消費電力を低減することが可能となるともいえる。
【0028】
図9は、加速時の駆動電圧の制御を示すフローチャートである。
ステップS200では、制御回路16はセンサー17の出力に基づいてスピンドルモーター11の回転速度域を検出する(なお、FG信号を元に回転数を検出する場合は、センサー17の出力は必要ではない。以下、同様)。
上述したように、メモリー16aにはスピンドルモーター11の回転速度域ごとに最適な駆動電圧を記憶されているため、現在の回転速度がどの回転速度域であるかを判断する。回転速度域が判断されたら、ステップS210にて、制御回路16はメモリー16aから回転速度域に対応した駆動電圧を読み出し、ステップS220にて、制御回路16はスピンドルモーター11に対して同駆動電圧を出力する。例えば、所定のレジスタに同駆動電圧に対応する値を設定すればドライバー回路が駆動電圧に変換して出力することになる。
【0029】
駆動電圧を設定した後、制御回路16は、ステップS230にてセンサー17の出力に基づいてスピンドルモーター11の回転速度を検出し、目標回転数に達したか判断する。目標回転数に達していなければ、ステップS200〜ステップS220の処理を繰り返す。この間、回転速度は徐々に上がっていくので、ステップS200で判定される回転速度域が変化していき、それに伴ってステップS210にて駆動電圧も最適なものが選択されて、ステップS220にて出力される。そして、目標回転数に達したら本加速制御を終了する。
【0030】
この場合、メモリー16aは、複数の回転速度域ごとに複数の駆動電圧でスピンドルモーターを駆動させたときに、必要な加速が得られた駆動電圧のうちの最低のものを記憶する記憶手段に相当し、センサー17またはFG信号を元に回転数を検出する際の同FG信号は、スピンドルモーター11の回転速度を検出する回転速度検出手段に相当し、制御回路16が実行するステップS200〜ステップS230の処理は、回転速度検出手段(17)で検出された回転速度に応じて記憶手段(16a)で記憶されている最低の駆動電圧でスピンドルモーター(11)に駆動電圧を出力する駆動電圧出力手段に相当する。
【0031】
図10は、シーク時の加速中の消費電流を示すグラフである。
同図は、以上のようにして最適な駆動電圧を設定する前後のシーク時の加速中における12Vの消費電流平均値(AVE)を示している。
図において、左のものから説明していく。まず、2倍速でシーク開始アドレスが240000h、シーク終了アドレスが150000hであるとき、Disc半径位置で示すと、開始位置は56mmで、終了位置は45mmとなるが、このとき変更後の電圧設定は変更前に比べて75%の設定とできた。次に、同じ2倍速でシーク開始アドレスがC0000h、シーク終了アドレスが30000hであるとき、Disc半径位置で示すと、開始位置は36mmで、終了位置は24mmとなるが、このとき変更後の電圧設定は変更前に比べて82%の設定とできた。
次に、4倍速でシーク開始アドレスが240000h、シーク終了アドレスがd0000hであるとき、Disc半径位置で示すと、開始位置は56mmで、終了位置は45mmとなるが、このとき変更後の電圧設定は変更前に比べて82%の設定とできた。また、シーク開始アドレスがC0000h、シーク終了アドレスが60000hであるとき、Disc半径位置で示すと、開始位置は36mmで、終了位置は28.5mmとなるが、このとき変更後の電圧設定は変更前に比べて88%の設定とできた。
最後に、6倍速でシーク開始アドレスが220000h、シーク終了アドレスが110000hであるとき、Disc半径位置で示すと、開始位置は55mmで、終了位置は41mmとなるが、このとき変更後の電圧設定は変更前に比べて88%の設定とできた。
このように、シーク時の加速中の消費電力は、0〜1500rpmの回転速度域では最大18%程度を削減でき、1500〜3200rpmの回転速度域では3%程度を削減でき、3200〜5000rpmの回転速度域では効果なしとなった。
【0032】
図11は、スピンドルモーターの駆動減衰率と消費電力減衰率の関係を示すグラフである。なお、測定の対象となったシーク動作は、図10に示すものと同じである。
同図において、駆動クリップ率に対して消費電力削減率が一致しないのは、クリップ処理時の効率や発熱量、スピンドルモーター特性(トルク、逆起電圧、電気抵抗など)に依存するものと推測される。
なお、エネルギー効率とスピンドルモーター特性によってはもう少し効果を発揮できると考えられる。また、
スピンドルモーター特性:[効率]=(2π・[回転数]・[トルク])/([電機子端子電圧]・[電流])
[電機子端子電圧]=[逆起電圧]+[電機子抵抗]・[電流]
という関係がある。
【0033】
(第二実施例)
図12は、減速時の最適な駆動電圧を設定するためのフローチャートである。
図12図2の加速時のフローチャートに加え、減速時の駆動電圧に対応したステップS120,ステップS130の処理が加わっている。このため、ステップS100とステップS110の説明は省略する。減速時は制御回路16からドライバー回路を経てスピンドルモーター11に反対の極性とした駆動電圧を出力する。図示していないが、減速時も、加速時と同様に無駄な駆動電圧が発生していることが分かった。
【0034】
減速時は、回転数が高いものから低いものへと徐々に下がる。このため、ステップS120では、第一の回転速度域として1000rpm〜2000rpm、第二の回転速度域として2000rpm〜3000rpm、第三の回転速度域として3000rpm〜4000rpm、第四の回転速度域として4000rpm〜7000rpm、およびそれ以上の回転速度域と分けると、最大の回転速度域から、第四の回転速度域、第三の回転速度域、第二の回転速度域、第一の回転速度域と徐々に下げていく課程で、それぞれの回転速度域(加速レンジ)で複数の減速用駆動電圧を与えてみて減速効果を対応づける。
【0035】
そして、ステップS130では、必要以上の駆動電圧を与えることなく出力電圧最大の場合と同じ減速の効果を得ることができる最低の減速用駆動電圧を判定し、メモリー16aに記憶する。なお、減速時の出力最大は、加速時の出力最大と極性が反転しつつ電圧自体も約1/3となる。この結果、記憶手段は、複数の回転速度域ごとに複数の減速用駆動電圧でスピンドルモーター11を駆動させたときに、必要な減速が得られた減速用駆動電圧のうちの最低のものを記憶していることになる。
【0036】
図13は、減速時の駆動電圧の制御を示すフローチャートである。
ステップS300では、制御回路16はセンサー17の出力に基づいてスピンドルモーター11の回転速度域を検出する。上述したように、メモリー16aにはスピンドルモーター11の回転速度域ごとに最適な駆動電圧を記憶されているため、現在の回転速度がどの回転速度域であるかを判断する。回転速度域が判断されたら、ステップS310にて、制御回路16はメモリー16aから回転速度域に対応した減速用駆動電圧を読み出し、ステップS320にて、制御回路16はスピンドルモーター11に対して同減速用駆動電圧を出力する。
【0037】
減速用駆動電圧を設定した後、制御回路16は、ステップS330にてセンサー17の出力に基づいてスピンドルモーター11の回転速度を検出し、目標回転数まで減速したか判断する。目標回転数に達していなければ、ステップS300〜ステップS320の処理を繰り返す。この間、回転速度は徐々に下がっていくので、ステップS300で判定される回転速度域が変化していき、それに伴ってステップS310にて駆動電圧も最適なものが選択されて、ステップS320にて出力される。そして、目標回転数に達したら本減速制御を終了する。
【0038】
この場合、メモリー16aは、複数の回転速度域ごとに複数の減速用駆動電圧でスピンドルモーター11を駆動させたときに、必要な減速が得られた減速用駆動電圧のうちの最低のものを記憶し、制御回路16が実行するステップS300〜ステップS330の処理は、減速時に、回転速度検出手段(17)で検出された回転速度に応じて記憶手段(16a)で記憶されている最低の減速用駆動電圧でスピンドルモーター(11)に駆動電圧を出力する駆動電圧出力手段に相当する。
【0039】
ところで、減速時はドライバー回路でのゲインを下げている(例えば、1/3程度)。具体的には、シーク時のブレーキゲインとしてDriverICに設定するゲインを下げている。これは加速時と減速時とでスピンドルモーターの特性上、必要な電圧値が異なるためである。減速時として、例えばDisc停止時等に同様に最適化を図ることができる。また、個別の機器で学習することで、学習後には最適な設定でスピンドルモーターを駆動することが可能となる。
【0040】
(第三実施例)
次に、機器毎に最適値を設定する場合の手順について説明する。
予め、その機器のモデル毎に、典型値を初期値としてメモリー16aに格納しておく。なお、組立工程において再度初期値を設定しても構わない。
次に、機器の個体バラツキを吸収するために、最適設定学習を実施する。学習のタイミングとしては、Disc挿入後のマウント時等が適切である。
【0041】
図14は、4000rpmから7000rpmへと加速する場合の、加速度と加速経過時間の関係を示すグラフである。
スピンドルモーター駆動電圧の最適値設定のための学習では、目的とする加速度[PRM/s]を基準として、その加速度を得るのに必要な最適駆動電圧値を図14を参照して求める。例えば目的とする加速度(閾値)を1000rpm/sとする。図14を参照すると、1000rpm/sを実現するのであれば、省電力化の観点からは出力82%が最適設定値といえる。言い換えると、出力75%はより省電力ではあるが、目的とする加速度の1000rpm/sを維持できない。また、出力88%以上は、目的とする加速度を超えており、必要以上の駆動電圧となっている。
【0042】
目的となる加速度は、マウント時のフル加速時や、倍速変更時に加速度を取得しておく。そして、各回転速度域でのスピンドルモーター駆動電圧として最適値を判定する。判定した最適値を、メモリー16aに書き込むことにより、その機器毎の学習が終了する。
この結果、シーク等の回転数変更時においてスピンドルモーター駆動電圧は常に最適となり無駄な消費電力を低減できる。また、マウント時のフル加速時にDiscサイズを判別し、12cmと8cmDiscのそれぞれで最適値を設定できる。
【0043】
むろん、マウント時のフル加速時や、倍速変更時といった加速側のみの学習に加えて、減速側も学習してもよい。
なお、駆動電圧を選択するためには、上述したものと同様、対応するクリップ値を設定することによる。本実施例では、駆動電圧を選択するためにクリップ値を設定することとしているが、ドライバー回路でのゲインやトルク設定で同様のことを行うことも可能である。
【0044】
なお、本発明は前記実施例に限られるものでないことは言うまでもない。当業者であれば言うまでもないことであるが、
・前記実施例の中で開示した相互に置換可能な部材および構成等を適宜その組み合わせを変更して適用すること
・前記実施例の中で開示されていないが、公知技術であって前記実施例の中で開示した部材および構成等と相互に置換可能な部材および構成等を適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
・前記実施例の中で開示されていないが、公知技術等に基づいて当業者が前記実施例の中で開示した部材および構成等の代用として想定し得る部材および構成等と適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
は本発明の一実施例として開示されるものである。
【符号の説明】
【0045】
11…スピンドルモーター、12…トラバースモーター、13…光ピックアップユニット、14…トレイモーター、15…光ディスクトレイ、16…制御回路、16a…メモリー、17…センサー。
図1
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