(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、実施形態の電池監視装置を示す図である。
図1に示す電池監視装置1は、5つの電池モジュール2(2−1〜2−5)と、制御部(電池ECU(Electronic Control Unit))3と、メインリレー4とを備える。なお、電池監視装置1は、例えば、電動フォークリフト、ハイブリッド車、又は電気自動車などの車両に搭載される。また、電池モジュール2の数は5つに限定されない。
【0015】
各電池モジュール2(2−1〜2−5)は、それぞれ、電池5と、リレー6と、電圧検出部7と、電流検出部8と、温度検出部9と、監視部(監視ECU)10(10−1〜10−5)とを備える。なお、各電池5は、互いに並列接続され、負荷11(例えば、他のECUなど)に電力を供給する。
【0016】
電池5は、充電可能な電池であり、例えば、リチウムイオン二次電池やニッケル水素電池などとする。なお、電池5は、直列接続された複数の電池により構成されてもよい。
リレー6は、メインリレー4と電池5との間に設けられている。リレー6がオンしているとき、メインリレー4がオンすると、電池5から負荷11へ電力が供給可能となる。
【0017】
電圧検出部7は、電池5の電圧を検出するものであり、例えば、電圧計とする。
電流検出部8は、充電時の電池5へ流れる電流や放電時の電池5から流れる電流を検出するものであり、例えば、電流計とする。
【0018】
温度検出部9は、電池5の周辺温度を検出するものであり、例えば、サーミスタとする。
各監視部10(10−1〜10−5)は、それぞれ、リレー制御部12と、記憶部13と、識別情報設定部14と、通信部15とを備える。なお、リレー制御部12、識別情報設定部14、及び通信部15は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、マルチコアCPU、プログラマブルなデバイス(FPGA(Field Programmable Gate Array)、PLD(Programmable Logic Device)など)などにより構成され、記憶部13に記憶されているプログラムをCPU、マルチコアCPU、又はプログラマブルなデバイスなどが読み出して実行することによって実現される。また、監視部10−1〜10−5の各通信部15と制御部3の通信部19が通信線を介して環状に直列(デイジーチェーン)接続されている。
【0019】
リレー制御部12は、リレー6のオン、オフを制御する。
記憶部13は、例えば、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などであり、各種情報や各種プログラムを記憶する。
【0020】
識別情報設定部14は、自身の識別情報を設定し、その識別情報を記憶部13に記憶させる。例えば、監視部10−1〜10−5に対して、「101」〜「105」の5つの識別情報を設定する場合、先頭の監視部10−1の識別情報設定部14は「101」を自身の識別情報として設定し記憶部13に記憶させる。また、2番目の監視部10−2の識別情報設定部14は「102」を自身の識別情報として設定し記憶部13に記憶させる。また、3番目の監視部10−3の識別情報設定部14は「103」を自身の識別情報として設定し記憶部13に記憶させる。また、4番目の監視部10−4の識別情報設定部14は「104」を自身の識別情報として設定し記憶部13に記憶させる。また、最後尾の監視部10−5の識別情報設定部14は「105」を自身の識別情報として設定し記憶部13に記憶させる。
【0021】
通信部15は、前段の監視部10又は制御部3から送信される信号を受信したり、後段の監視部10又は制御部3へ信号を送信したりする。
制御部3は、メインリレー4のオン、オフを制御するリレー制御部16と、記憶部17と、通信異常箇所特定部18と、監視部10−1〜10−5と通信を行う通信部19とを備える。なお、記憶部17は、例えば、ROMやRAMなどであり、各種情報や各種プログラムを記憶する。また、リレー制御部16、通信異常箇所特定部18、及び通信部19は、例えば、CPU、マルチコアCPU、プログラマブルなデバイスなどにより構成され、記憶部17に記憶されているプログラムをCPU、マルチコアCPU、又はプログラマブルなデバイスなどが読み出して実行することによって実現される。また、制御部3は、監視部10−1〜10−5からそれぞれ送信される識別情報を通信部19により受信し、それら識別情報を記憶部17に記憶させる。また、制御部3は、記憶部17に記憶させた識別情報を用いて、監視部10−1〜10−5からそれぞれ送信される電池5の状態(例えば、電池5の電圧、電流、及び温度など)を示す情報を通信部19により受信する。また、制御部3は、受信した情報に示される電池5の状態が予め決められた状態になるとき(例えば、電池5の電圧、電流、及び温度の少なくとも1つが閾値よりも大きいとき)、電池5の状態が異常であると判断し、待避走行モード(例えば、一定時間経過後までに車両を徐々に減速させてから停止させる指示を、車両の走行を制御する上位制御部に送るとともに、一定時間経過後にリレー制御部16によりメインリレー4をオフさせる処理)に移行する。また、制御部3は、通信異常が発生したと判断すると、待避走行モードに移行する。
<第1実施形態>
図2は、第1実施形態の制御部3の動作を示すフローチャートである。
【0022】
まず、制御部3は、自身の電源がオンすると(S201:YES)、監視部10−1〜10−5の各電源をオンさせ(S202)、先頭の監視部10−1へ設定信号S1(第1の設定信号)を送信する(S203)。
【0023】
次に、制御部3は、最後尾の監視部10−5から送信される設定信号S1を受信すると(S204:YES)、通信異常が発生していないと判断する(S205)。
また、制御部3は、最後尾の監視部10−5から送信される、通信異常が発生したことを示す設定信号S2(第2の設定信号)を受信すると(S204:NO、S206:YES)、その受信した設定信号S2に応じて通信異常の発生箇所を特定する(S207)。
【0024】
また、制御部3は、先頭の監視部10−1へ設定信号S1を送信してから所定時間が経過しても最後尾の監視部10−5から設定信号S1又は設定信号S2を受信しない場合(S206:NO、S208:YES)、最後尾の監視部10−5と制御部3の間で通信異常が発生したと判断する(S209)。
【0025】
図3は、第1実施形態の監視部10−1〜10−5のそれぞれの動作を示すフローチャートである。
まず、監視部10−1〜10−5は、それぞれ、自身の電源がオンし(S301:YES)、前段の監視部10又は制御部3から送信される設定信号S1を受信すると(S302:YES)、設定信号S1を後段の監視部10又は制御部3へ送信する(S303)。即ち、監視部10−1〜10−5は、設定信号S1を受信すると、設定信号S1を変化させず、後段の監視部又は制御部3へ設定信号S1を送信する。なお、設定信号S1を変化させて、後段の監視部又は制御部3へ送信しても良い。
【0026】
また、監視部10−1〜10−5は、それぞれ、前段の監視部10から送信される設定信号S2を受信すると(S302:NO、S304:YES)、その受信した設定信号S2を変化させて後段の監視部10又は制御部3へ送信する(S305)。
【0027】
また、監視部10−1〜10−5は、それぞれ、自身の電源がオンしてから所定時間が経過しても前段の監視部10或いは制御部3から設定信号S1を受信しない場合又は自身の電源がオンしてから所定時間が経過しても前段の監視部10から設定信号S2を受信しない場合(S304:NO、S306:YES)、予め決められた設定信号S2を後段の監視部10又は制御部3へ送信する(S307)。
【0028】
例えば、
図4に示す情報が監視部10−1〜10−5の各記憶部13にそれぞれ記憶され、
図4及び
図5に示す情報が制御部3の記憶部17に記憶されているものとする。また、監視部10−2と監視部10−3の間の通信線が断線しているものとする。また、監視部10−1〜10−5は、それぞれ、設定信号S2に相当する矩形波を受信すると、その矩形波のDUTY比を+4%変化させて、後段の監視部10又は制御部3へ送信するものとする。
【0029】
このような場合において、まず、電池監視装置1の製造者や電池モジュール2を交換するサービスマンによるスイッチやサービスツールの操作などにより制御部3の電源がオンすると、制御部3は、監視部10−1〜10−5の各電源をオンさせ、設定信号S1としてDUTY比10%の矩形波を先頭の監視部10−1へ送信する。
【0030】
次に、監視部10−1は、
図4に示す情報を参照して、受信したDUTY比10%の矩形波が設定信号S1に相当すると判断すると、設定信号S1としてDUTY比10%の矩形波を後段の監視部10−2へ送信する。
【0031】
次に、監視部10−2は、
図4に示す情報を参照して、受信したDUTY比10%の矩形波が設定信号S1に相当すると判断すると、設定信号S1としてDUTY比10%の矩形波を後段の監視部10−3へ送信する。
【0032】
次に、監視部10−3は、自身の電源がオンしてから所定時間経過するまでの間、設定信号S1又は設定信号S2に相当する矩形波を受信していない場合(監視部10−2と監視部10−3の間の通信線の電圧レベルがローレベル又はハイレベルのままである場合)、予め決められた設定信号S2としてDUTY比54%の矩形波を後段の監視部10−4へ送信する。
【0033】
次に、監視部10−4は、
図4に示す情報を参照して、受信したDUTY比54%の矩形波が設定信号S2に相当すると判断すると、受信した矩形波のDUTY比を+4%変化させてDUTY比58%の矩形波を後段の監視部10−5へ送信する。
【0034】
次に、監視部10−5は、
図4に示す情報を参照して、受信したDUTY比58%の矩形波が設定信号S2に相当すると判断すると、受信した矩形波のDUTY比を+4%変化させてDUTY比62%の矩形波を制御部3へ送信する。
【0035】
そして、制御部3は、
図4に示す情報を参照して、最後尾の監視部10−5から送信されるDUTY比62%の矩形波が設定信号S2に相当すると判断すると、
図5に示す情報を参照して、受信した矩形波のDUTY比62%に対応する通信異常の発生箇所が「監視部10−2と監視部10−3の間」であると判断する。
【0036】
なお、制御部3は、
図4に示す情報を参照して、最後尾の監視部10−5から送信されるDUTY比10%の矩形波が設定信号S1であると判断すると、通信異常が発生していないと判断する。
【0037】
また、制御部3は、通信異常の発生箇所を特定すると、その通信異常の発生箇所をユーザ(例えば、電池監視装置1の製造者や電池モジュール2を交換するサービスマンなど)に報知してもよい。
【0038】
また、監視部10−1〜10−5により変化される、矩形波のDUTY比の変化量は4%に限定されない。
このように、第1実施形態の電池監視装置1では、通信異常の発生箇所よりも下流に位置する監視部10において設定信号S2が変化され、最後尾の監視部10−5から制御部3へ送信される設定信号S2により通信異常の発生箇所が特定されるため、制御部3と監視部10−1〜10−5が環状に直列接続される場合であっても、通信異常検知処理を行うことができる。これにより、識別情報設定処理の前に通信異常の発生箇所を特定することができるため、通信異常による電池監視装置1の誤動作を抑えることができる。
【0039】
また、第1実施形態の電池監視装置1では、一定の変化量でDUTY比が変化する矩形波を用いて通信異常検知処理を行う構成であるため、変調処理や符号化処理などの複雑な処理が必要な信号を用いて通信異常検知処理を行う場合に比べて、監視部10の構成を簡単にすることができる。
<第2実施形態>
第2実施形態の電池監視装置1では、通信異常検知処理後に、識別情報設定処理に移行する。
【0040】
図6は、第2実施形態の制御部3の動作を示すフローチャートである。
まず、制御部3は、自身の電源がオンすると(S601:YES)、監視部10−1〜10−5の各電源をオンさせ(S602)、先頭の監視部10−1へ設定信号S1(第1の設定信号)を送信する(S603)。
【0041】
次に、制御部3は、最後尾の監視部10−5から送信される設定信号S1を受信すると(S604:YES)、先頭の監視部10−1へ識別情報設定処理のための設定信号S3(第3の設定信号)を送信する(S605)。
【0042】
次に、制御部3は、最後尾の監視部10−5から送信される設定信号S3に対応する監視部10の数を記憶部17に記憶させ(S606)、監視部10−1〜10−5から送信される識別情報を記憶部17に記憶させる(S607)。
【0043】
また、制御部3は、最後尾の監視部10−5から送信される、通信異常が発生したことを示す設定信号S2(第2の設定信号)を受信すると(S604:NO、S608:YES)、その受信した設定信号S2に応じて通信異常の発生箇所を特定する(S609)。
【0044】
また、制御部3は、先頭の監視部10−1へ設定信号S1を送信してから所定時間が経過しても最後尾の監視部10から設定信号S1又は設定信号S2を受信しない場合(S608:NO、S610:YES)、最後尾の監視部10−5と制御部3の間で通信異常が発生していると判断する(S611)。
【0045】
図7は、第2実施形態の監視部10−1〜10−5のそれぞれの動作を示すフローチャートである。
まず、監視部10−1〜10−5は、それぞれ、自身の電源がオンし(S701:YES)、前段の監視部10又は制御部3から送信される設定信号S1を受信すると(S702:YES)、設定信号S1を後段の監視部10又は制御部3へ送信する(S703)。
【0046】
また、監視部10−1〜10−5は、それぞれ、前段の監視部10から送信される設定信号S2を受信すると(S702:NO、S704:YES)、その受信した設定信号S2を変化させて後段の監視部10又は制御部3へ送信する(S705)。
【0047】
また、監視部10−1〜10−5は、それぞれ、前段の監視部10又は制御部3から送信される設定信号S3を受信すると(S704:NO、S706:YES)、その受信した設定信号S3に対応した識別情報を自身の識別情報として設定し(S707)、その受信した設定信号S3を変化させて後段の監視部10又は制御部3へ送信し(S708)、自身の識別情報を制御部3へ送信する(S709)。なお、監視部10−1〜10−5から制御部3へ識別情報を送信するときに使用される通信線は、設定信号S1〜S3を送信するときに使用される通信線と異なっていてもよい。
【0048】
また、監視部10−1〜10−5は、それぞれ、自身の電源がオンしてから所定時間が経過しても前段の監視部10或いは制御部3から設定信号S1或いは設定信号S3を受信しない場合又は自身の電源がオンしてから所定時間が経過しても前段の監視部10から設定信号S2を受信しない場合(S706:NO、S710:YES)、予め決められた設定信号S2を後段の監視部10又は制御部3へ送信する(S711)。
【0049】
例えば、
図8及び
図9に示す情報が監視部10−1〜10−5の各記憶部13にそれぞれ記憶され、
図8及び
図10に示す情報が制御部3の記憶部17に記憶されているものとする。また、通信異常が発生していないものとする。また、監視部10−1〜10−5は、それぞれ、設定信号S3に相当する矩形波を受信すると、その矩形波のDUTY比を+4%変化させて、後段の監視部10又は制御部3へ送信するものとする。
【0050】
このような場合において、まず、電池監視装置1の製造者や電池モジュール2を交換するサービスマンによるスイッチやサービスツールの操作などにより制御部3の電源がオンすると、制御部3は、監視部10−1〜10−5の各電源をオンさせ、設定信号S1としてDUTY比10%の矩形波を先頭の監視部10−1へ送信する。
【0051】
次に、監視部10−1は、
図8に示す情報を参照して、受信したDUTY比10%の矩形波が設定信号S1に相当すると判断すると、設定信号S1としてDUTY比10%の矩形波を後段の監視部10−2へ送信する。
【0052】
次に、監視部10−2は、
図8に示す情報を参照して、受信したDUTY比10%の矩形波が設定信号S1に相当すると判断すると、設定信号S1としてDUTY比10%の矩形波を後段の監視部10−3へ送信する。
【0053】
次に、監視部10−3は、
図8に示す情報を参照して、受信したDUTY比10%の矩形波が設定信号S1に相当すると判断すると、設定信号S1としてDUTY比10%の矩形波を後段の監視部10−4へ送信する。
【0054】
次に、監視部10−4は、
図8に示す情報を参照して、受信したDUTY比10%の矩形波が設定信号S1に相当すると判断すると、設定信号S1としてDUTY比10%の矩形波を後段の監視部10−5へ送信する。
【0055】
次に、監視部10−5は、
図8に示す情報を参照して、受信したDUTY比10%の矩形波が設定信号S1に相当すると判断すると、設定信号S1としてDUTY比10%の矩形波を制御部3へ送信する。
【0056】
次に、制御部3は、
図8に示す情報を参照して、受信したDUTY比10%の矩形波が設定信号S1に相当すると判断すると、予め決められた設定信号S3としてDUTY比4%の矩形波を先頭の監視部10−1へ送信する。
【0057】
次に、監視部10−1は、
図8に示す情報を参照して、受信したDUTY比4%の矩形波が設定信号S3に相当すると判断すると、
図9に示す情報を参照して、DUTY比4%に対応する「101」を自身の識別情報として設定するとともに、受信した矩形波のDUTY比を+4%変化させてDUTY比8%の矩形波を後段の監視部10−2へ送信する。
【0058】
次に、監視部10−2は、
図8に示す情報を参照して、受信したDUTY比8%の矩形波が設定信号S3に相当すると判断すると、
図9に示す情報を参照して、DUTY比8%に対応する「102」を自身の識別情報として設定するとともに、受信した矩形波のDUTY比を+4%変化させてDUTY比12%の矩形波を後段の監視部10−3へ送信する。
【0059】
次に、監視部10−3は、
図8に示す情報を参照して、受信したDUTY比12%の矩形波が設定信号S3に相当すると判断すると、
図9に示す情報を参照して、DUTY比12%に対応する「103」を自身の識別情報として設定するとともに、受信した矩形波のDUTY比を+4%変化させてDUTY比16%の矩形波を後段の監視部10−4へ送信する。
【0060】
次に、監視部10−4は、
図8に示す情報を参照して、受信したDUTY比16%の矩形波が設定信号S3に相当すると判断すると、
図9に示す情報を参照して、DUTY比16%に対応する「104」を自身の識別情報として設定するとともに、受信した矩形波のDUTY比を+4%変化させてDUTY比20%の矩形波を後段の監視部10−5へ送信する。
【0061】
次に、監視部10−5は、
図8に示す情報を参照して、受信したDUTY比20%の矩形波が設定信号S3に相当すると判断すると、
図9に示す情報を参照して、DUTY比20%に対応する「105」を自身の識別情報として設定するとともに、受信した矩形波のDUTY比を+4%変化させてDUTY比24%の矩形波を制御部3へ送信する。
【0062】
そして、制御部3は、
図8に示す情報を参照して、受信したDUTY比24%の矩形波が設定信号S3に相当すると判断すると、
図10に示す情報を参照して、DUTY比24%に対応する「5」を監視部10の数として記憶部17に記憶させる。その後、制御部3は、監視部10−1〜10−5から送信される識別情報「101」〜「105」を記憶部17に記憶させる。
【0063】
なお、第2実施形態における設定信号S2を用いた通信異常検知処理の実施例は、第1実施形態における設定信号S2を用いた通信異常検知処理の実施例と同様であるため、その説明を省略する。
【0064】
このように、第2実施形態の電池監視装置1においても、通信異常の発生箇所よりも下流に位置する監視部10において設定信号S2が変化され、最後尾の監視部10−5から制御部3へ送信される設定信号S2により通信異常の発生箇所が特定されるため、制御部3と監視部10−1〜10−5が環状に直列接続される場合であっても、通信異常検知処理を行うことができる。これにより、識別情報設定処理の前に通信異常の発生箇所を特定することができるため、通信異常による電池監視装置1の誤動作を抑えることができる。
【0065】
また、第2実施形態の電池監視装置1では、最後尾の監視部10−5から制御部3へ設定信号S1が送信された後、制御部3から先頭の監視部10−1へ設定信号S3が送信されることがトリガとなって、識別情報設定処理に移行する構成であるが、監視部10−1〜10−5において、それぞれ、受信した設定信号S1を変化させて後段の監視部10又は制御部3へ送信するとともに、自身の電源がオンしてから所定時間経過するまでに設定信号S2を受信しない場合、受信した設定信号S1に応じて自身の識別情報を設定するように構成してもよい。
<第3実施形態>
上記第2実施形態の電池監視装置1では、通信異常検知処理後に、識別情報設定処理に移行する構成であり、識別情報設定処理が開始されるまでに時間がかかってしまう。
【0066】
そこで、第3実施形態の電池監視装置1では、通信異常検知処理と識別情報設定処理を同時に行う。
図11は、第3実施形態の制御部3の動作を示すフローチャートである。
【0067】
まず、制御部3は、自身の電源がオンすると(S1101:YES)、監視部10−1〜10−5の各電源をオンさせ(S1102)、先頭の監視部10−1へ識別情報設定処理のための設定信号S1(第1の設定信号)を送信する(S1103)。
【0068】
次に、制御部3は、最後尾の監視部10−5から送信される設定信号S1を受信すると(S1104:YES)、その受信した設定信号S1に対応する監視部10の数を記憶部17に記憶させ(S1105)、監視部10−1〜10−5から送信される識別情報を記憶部17に記憶させる(S1106)。
【0069】
また、制御部3は、最後尾の監視部10−5から送信される、通信異常が発生したことを示す設定信号S2(第2の設定信号)を受信すると(S1104:NO、S1107:YES)、その受信した設定信号S2に応じて通信異常の発生箇所を特定する(S1108)。
【0070】
また、制御部3は、先頭の監視部10−1へ設定信号S1を送信してから所定時間が経過しても最後尾の監視部10から設定信号S1又は設定信号S2を受信しない場合(S1107:NO、S1109:YES)、最後尾の監視部10−5と制御部3の間で通信異常が発生していると判断する(S1110)。
【0071】
図12は、第3実施形態の監視部10−1〜10−5のそれぞれの動作を示すフローチャートである。
まず、監視部10−1〜10−5は、それぞれ、自身の電源がオンし(S1201:YES)、前段の監視部10又は制御部3から送信される設定信号S1を受信すると(S1202:YES)、その受信した設定信号S1に対応した識別情報を自身の識別情報として設定し(S1203)、その受信した設定信号S1を変化させて後段の監視部10又は制御部3へ送信し(S1204)、自身の識別情報を制御部3へ送信する(S1205)。
【0072】
また、監視部10−1〜10−5は、それぞれ、前段の監視部10から送信される設定信号S2を受信すると(S1202:NO、S1206:YES)、その受信した設定信号S2を変化させて後段の監視部10又は制御部3へ送信する(S1207)。
【0073】
また、監視部10−1〜10−5は、それぞれ、自身の電源がオンしてから所定時間が経過しても前段の監視部10或いは制御部3から設定信号S1を受信しない場合又は自身の電源がオンしてから所定時間が経過しても前段の監視部10から設定信号S2を受信しない場合(S1206:NO、S1208:YES)、予め決められた設定信号S2を後段の監視部10又は制御部3へ送信する(S1209)。
【0074】
例えば、
図9及び
図13に示す情報が監視部10−1〜10−5の各記憶部13にそれぞれ記憶され、
図5、
図10、及び
図13に示す情報が制御部3の記憶部17に記憶されているものとする。また、監視部10−2と監視部10−3の間の通信線が断線しているものとする。また、監視部10−1〜10−5は、それぞれ、設定信号S1又は設定信号S2に相当する矩形波を受信すると、その矩形波のDUTY比を+4%変化させて、後段の監視部10又は制御部3へ送信するものとする。
【0075】
このような場合において、まず、電池監視装置1の製造者や電池モジュール2を交換するサービスマンによるスイッチやサービスツールの操作などにより制御部3の電源がオンすると、制御部3は、監視部10−1〜10−5の各電源をオンさせ、予め決められた設定信号S1としてDUTY比4%の矩形波を先頭の監視部10−1へ送信する。
【0076】
次に、監視部10−1は、
図13に示す情報を参照して、受信したDUTY比4%の矩形波が設定信号S1に相当すると判断すると、
図9に示す情報を参照して、DUTY比4%に対応する「101」を自身の識別情報として設定するとともに、受信した矩形波のDUTY比を+4%変化させてDUTY比8%の矩形波を後段の監視部10−2へ送信する。
【0077】
次に、監視部10−2は、
図13に示す情報を参照して、受信したDUTY比8%の矩形波が設定信号S1に相当すると判断すると、
図9に示す情報を参照して、DUTY比8%に対応する「102」を自身の識別情報として設定するとともに、受信した矩形波のDUTY比を+4%変化させてDUTY比12%の矩形波を後段の監視部10−3へ送信する。
【0078】
次に、監視部10−3は、自身の電源がオンしてから所定時間経過するまでの間、設定信号S1又は設定信号S2に相当する矩形波を受信していない場合(監視部10−2と監視部10−3の間の通信線の電圧レベルがローレベル又はハイレベルのままである場合)、予め決められた設定信号S2に相当するDUTY比54%の矩形波を後段の監視部10−4へ送信する。
【0079】
次に、監視部10−4は、
図13に示す情報を参照して、受信したDUTY比54%の矩形波が設定信号S2に相当すると判断すると、受信した矩形波のDUTY比を+4%変化させてDUTY比58%の矩形波を後段の監視部10−5へ送信する。
【0080】
次に、監視部10−5は、
図13に示す情報を参照して、受信したDUTY比58%の矩形波が設定信号S2に相当すると判断すると、受信した矩形波のDUTY比を+4%変化させてDUTY比62%の矩形波を制御部3へ送信する。
【0081】
そして、制御部3は、
図13に示す情報を参照して、最後尾の監視部10−5から送信されるDUTY比62%の矩形波が設定信号S2に相当すると判断すると、
図5に示す情報を参照して、受信した矩形波のDUTY比62%に対応する通信異常の発生箇所が「監視部10−2と監視部10−3の間」であると判断する。
【0082】
なお、制御部3は、通信異常の発生箇所を特定すると、その旨をユーザに報知してもよい。
次に、第3実施形態において、通信異常が発生していない場合の制御部3及び監視部10−1〜10−5の動作例を説明する。
【0083】
まず、電池監視装置1の製造者や電池モジュール2を交換するサービスマンによるスイッチやサービスツールの操作などにより制御部3の電源がオンすると、制御部3は、監視部10−1〜10−5の各電源をオンさせ、予め決められた設定信号S1としてDUTY比4%の矩形波を先頭の監視部10−1へ送信する。
【0084】
次に、監視部10−1は、
図13に示す情報を参照して、受信したDUTY比4%の矩形波が設定信号S1に相当すると判断すると、
図9に示す情報を参照して、DUTY比4%に対応する「101」を自身の識別情報として設定するとともに、受信した矩形波のDUTY比を+4%変化させてDUTY比8%の矩形波を後段の監視部10−2へ送信する。
【0085】
次に、監視部10−2は、
図13に示す情報を参照して、受信したDUTY比8%の矩形波が設定信号S1に相当すると判断すると、
図9に示す情報を参照して、DUTY比8%に対応する「102」を自身の識別情報として設定するとともに、受信した矩形波のDUTY比を+4%変化させてDUTY比12%の矩形波を後段の監視部10−3へ送信する。
【0086】
次に、監視部10−3は、
図13に示す情報を参照して、受信したDUTY比12%の矩形波が設定信号S1に相当すると判断すると、
図9に示す情報を参照して、DUTY比12%に対応する「103」を自身の識別情報として設定するとともに、受信した矩形波のDUTY比を+4%変化させてDUTY比16%の矩形波を後段の監視部10−4へ送信する。
【0087】
次に、監視部10−4は、
図13に示す情報を参照して、受信したDUTY比16%の矩形波が設定信号S1に相当すると判断すると、
図9に示す情報を参照して、DUTY比16%に対応する「104」を自身の識別情報として設定するとともに、受信した矩形波のDUTY比を+4%変化させてDUTY比20%の矩形波を後段の監視部10−5へ送信する。
【0088】
次に、監視部10−5は、
図13に示す情報を参照して、受信したDUTY比20%の矩形波が設定信号S1に相当すると判断すると、
図9に示す情報を参照して、DUTY比20%に対応する「105」を自身の識別情報として設定するとともに、受信した矩形波のDUTY比を+4%変化させてDUTY比24%の矩形波を制御部3へ送信する。
【0089】
そして、制御部3は、
図13に示す情報を参照して、受信したDUTY比24%の矩形波が設定信号S1に相当すると判断すると、
図10に示す情報を参照して、DUTY比24%に対応する「5」を監視部10の数として記憶部17に記憶させる。その後、制御部3は、監視部10−1〜10−5から送信される識別情報「101」〜「105」を記憶部17に記憶させる。
【0090】
なお、監視部10−1〜10−5により変化される、矩形波のDUTY比の変化量は4%に限定されない。
また、設定信号S1、S2に相当する矩形波のDUTY比は、互いに異なる値であれば特に限定されない。
【0091】
このように、第3実施形態の電池監視装置1においても、通信異常の発生箇所よりも下流に位置する監視部10において設定信号S2が変化され、最後尾の監視部10−5から制御部3へ送信される設定信号S2により通信異常の発生箇所が特定されるため、制御部3と監視部10−1〜10−5が環状に直列接続される場合であっても、通信異常検知処理を行うことができる。これにより、識別情報設定処理の前に通信異常の発生箇所を特定することができるため、通信異常による電池監視装置1の誤動作を抑えることができる。
【0092】
また、第3実施形態の電池監視装置1では、通信異常検知処理と識別情報設定処理が同時に行われるため、通信異常が発生していない場合、識別情報設定処理をスピーディに実施することができる。
<第4実施形態>
上記第3実施形態では、制御部3において通信異常が検知される構成であり、通信異常の発生箇所よりも上流にある監視部10は通信異常を検知することができない。そのため、一部の監視部10だけに識別情報が設定されることにより識別情報が重複してしまい電池監視装置1が誤動作するおそれがある。
【0093】
そこで、第4実施形態の電池監視装置1では、通信異常検知処理と識別情報設定処理を同時に行うとともに、通信異常が発生していた場合、その旨をすべての監視部に伝える。
図14は、第4実施形態の制御部3の動作を示すフローチャートである。
【0094】
まず、制御部3は、自身の電源がオンすると(S1401:YES)、監視部10−1〜10−5の各電源をオンさせ(S1402)、先頭の監視部10−1へ識別情報設定処理のための設定信号S1(第1の設定信号)を送信する(S1403)。
【0095】
次に、制御部3は、最後尾の監視部10−5から送信される設定信号S1を受信すると(S1404:YES)、その受信した設定信号S1に対応する監視部10の数を記憶部17に記憶させ(S1405)、監視部10−1〜10−5から送信される識別情報を記憶部17に記憶させる(S1406)。
【0096】
また、制御部3は、最後尾の監視部10−5から送信される、通信異常が発生したことを示す設定信号S2(第2の設定信号)を受信すると(S1404:NO、S1407:YES)、その受信した設定信号S2を変化させて先頭の監視部10へ送信し(S1408)、その受信した設定信号S2に応じて通信異常の発生箇所を特定する(S1409)。
【0097】
また、制御部3は、先頭の監視部10−1へ設定信号S1を送信してから所定時間が経過しても最後尾の監視部10から設定信号S1又は設定信号S2を受信しない場合(S1407:NO、S1410:YES)、最後尾の監視部10−5と制御部3の間で通信異常が発生していると判断し、予め決められた設定信号S2を先頭の監視部10−1へ送信する(S1411)。
【0098】
図15は、第4実施形態の監視部10−1〜10−5のそれぞれの動作を示すフローチャートである。
まず、監視部10−1〜10−5は、それぞれ、自身の電源がオンし(S1501:YES)、前段の監視部10又は制御部3から送信される設定信号S1を受信すると(S1502:YES)、その受信した設定信号S1に対応した識別情報を自身の識別情報として設定し(S1503)、その受信した設定信号S1を変化させて後段の監視部10又は制御部3へ送信し(S1504)、設定信号S1を受信してから所定時間が経過しても設定信号S2を受信しない場合(S1505:YES)、自身の識別情報を制御部3へ送信する(S1506)。
【0099】
また、監視部10−1〜10−5は、それぞれ、設定信号S1を受信してから所定時間が経過するまでに設定信号S2を受信した場合(S1505:NO)、その受信した設定信号S2を変化させて後段の監視部10又は制御部3へ送信し(S1508)、その受信した設定信号S2に応じて通信異常の発生箇所を特定し、自身の識別情報を設定しない(S1509)。
【0100】
また、監視部10−1〜10−5は、それぞれ、前段の監視部10又は制御部3から送信される設定信号S2を受信すると(S1502:NO、S1507:YES)、その受信した設定信号S2を変化させて後段の監視部10又は制御部3へ送信し(S1508)、その受信した設定信号S2に応じて通信異常の発生箇所を特定し、自身の識別情報を設定しない(S1509)。
【0101】
また、監視部10−1〜10−5は、それぞれ、自身の電源がオンしてから所定時間が経過しても前段の監視部10又は制御部3から設定信号S1又は設定信号S2を受信しない場合(S1507:NO、S1510:YES)、予め決められた設定信号S2を後段の監視部10又は制御部3へ送信する(S1511)。
【0102】
例えば、
図9及び
図13に示す情報が監視部10−1〜10−5の各記憶部13にそれぞれ記憶され、
図5及び
図13に示す情報が制御部3の記憶部17に記憶されているものとする。また、
図16(a)に示す情報が監視部10−1の記憶部13に記憶され、
図16(b)に示す情報が監視部10−2の記憶部13に記憶され、
図16(c)に示す情報が監視部10−3に記憶され、
図16(d)に示す情報が監視部10−4の記憶部13に記憶され、
図16(e)に示す情報が監視部10−5の記憶部13に記憶されているものとする。また、監視部10−2と監視部10−3の間の通信線が断線しているものとする。また、監視部10−1〜10−5は、それぞれ、設定信号S1又は設定信号S2に相当する矩形波を受信すると、その矩形波のDUTY比を+4%変化させて、後段の監視部10又は制御部3へ送信するものとする。また、制御部3は、設定信号S2に相当する矩形波を受信すると、その矩形波のDUTY比を+4%変化させて、先頭の監視部10−1へ送信するものとする。
【0103】
このような場合において、まず、電池監視装置1の製造者や電池モジュール2を交換するサービスマンによるスイッチやサービスツールの操作などにより制御部3の電源がオンすると、制御部3は、監視部10−1〜10−5の各電源をオンさせ、予め決められた設定信号S1としてDUTY比4%の矩形波を先頭の監視部10−1へ送信する。
【0104】
次に、監視部10−1は、
図13に示す情報を参照して、受信したDUTY比4%の矩形波が設定信号S1に相当すると判断すると、
図9に示す情報を参照して、DUTY比4%に対応する「101」を自身の識別情報として設定するとともに、受信した矩形波のDUTY比を+4%変化させてDUTY比8%の矩形波を後段の監視部10−2へ送信する。
【0105】
次に、監視部10−2は、
図13に示す情報を参照して、受信したDUTY比8%の矩形波が設定信号S1に相当すると判断すると、
図9に示す情報を参照して、DUTY比8%に対応する「102」を自身の識別情報として設定するとともに、受信した矩形波のDUTY比を+4%変化させてDUTY比12%の矩形波を後段の監視部10−3へ送信する。
【0106】
次に、監視部10−3は、自身の電源がオンしてから所定時間経過するまでの間、設定信号S1又は設定信号S2に相当する矩形波を受信していない場合(監視部10−2と監視部10−3の間の通信線の電圧レベルがローレベル又はハイレベルのままである場合)、通信異常の発生箇所が前段の監視部10−2と自身の間であると判断し自身の識別情報を設定しないとともに、予め決められた設定信号S2に相当するDUTY比54%の矩形波を後段の監視部10−4へ送信する。
【0107】
次に、監視部10−4は、
図13に示す情報を参照して、受信したDUTY比54%の矩形波が設定信号S2に相当すると判断すると、
図16(d)に示す情報を参照して、受信した矩形波のDUTY比54%に対応する通信異常の発生箇所が「監視部10−2と監視部10−3の間」であると判断し自身の識別情報を設定しないとともに、受信した矩形波のDUTY比を+4%変化させてDUTY比58%の矩形波を後段の監視部10−5へ送信する。
【0108】
次に、監視部10−5は、
図13に示す情報を参照して、受信したDUTY比58%の矩形波が設定信号S2に相当すると判断すると、
図16(e)に示す情報を参照して、受信した矩形波のDUTY比58%に対応する通信異常の発生箇所が「監視部10−2と監視部10−3の間」であると判断し自身の識別情報を設定しないとともに、受信した矩形波のDUTY比を+4%変化させてDUTY比62%の矩形波を制御部3へ送信する。
【0109】
次に、制御部3は、
図13に示す情報を参照して、最後尾の監視部10−5から送信されるDUTY比62%の矩形波が設定信号S2に相当すると判断すると、
図5に示す情報を参照して、受信した矩形波のDUTY比62%に対応する通信異常の発生箇所が「監視部10−2と監視部10−3の間」であると判断するとともに、受信した矩形波のDUTY比を+4%変化させてDUTY比66%の矩形波を先頭の監視部10−1へ送信する。
【0110】
次に、監視部10−1は、
図13に示す情報を参照して、受信したDUTY比66%の矩形波が設定信号S2に相当すると判断すると、
図16(a)に示す情報を参照して、受信した矩形波のDUTY比66%に対応する通信異常の発生箇所が「監視部10−2と監視部10−3の間」であると判断し自身の識別情報を設定しないとともに、受信した矩形波のDUTY比を+4%変化させてDUTY比70%の矩形波を後段の監視部10−2へ送信する。
【0111】
次に、監視部10−2は、
図13に示す情報を参照して、受信したDUTY比70%の矩形波が設定信号S2に相当すると判断すると、
図16(b)に示す情報を参照して、受信した矩形波のDUTY比70%に対応する通信異常の発生箇所が「監視部10−2と監視部10−3の間」であると判断し自身の識別情報を設定しない。
【0112】
なお、制御部3は、通信異常の発生箇所を特定すると、その旨をユーザに報知してもよい。
また、制御部3及び監視部10−1〜10−5により変化される、矩形波のDUTY比の変化量は4%に限定されない。
【0113】
また、設定信号S1、S2に相当する矩形波のDUTY比は、互いに異なる値であれば特に限定されない。
このように、第4実施形態の電池監視装置1においても、通信異常の発生箇所よりも下流に位置する監視部10において設定信号S2が変化され、最後尾の監視部10−5から制御部3へ送信される設定信号S2により通信異常の発生箇所が特定されるため、制御部3と監視部10−1〜10−5が環状に直列接続される場合であっても、通信異常検知処理を行うことができる。これにより、識別情報設定処理の前に通信異常の発生箇所を特定することができるため、通信異常による電池監視装置1の誤動作を抑えることができる。
【0114】
また、第4実施形態の電池監視装置1によれば、通信異常が発生している場合、その旨がすべての監視部10−1〜10−5に伝えられ、識別情報が設定されないようにすることができるため、通信異常により一部の監視部10だけに識別情報が設定されることがなくなり電池監視装置1の誤動作を防止することができる。
【0115】
また、第4実施形態の電池監視装置1では、最後尾の監視部10−5と制御部3の間で通信異常が発生していても、制御部3から先頭の監視部10−1へ送信される設定信号S2がトリガとなって、すべての監視部10−1〜10−5に通信異常が発生している旨を伝えることができる。
【0116】
また、第4実施形態の電池監視装置1によれば、複数個所で通信異常が発生していても、各通信異常発生箇所の下流の監視部からそれぞれ設定信号S2が送信されるため、すべての監視部10−1〜10−5に通信異常が発生している旨を伝えることができる。
【0117】
また、上記第1〜第4実施形態では、矩形波のDUTY比を用いて、通信異常検知処理や識別情報設定処理を行う構成であるが、矩形波を含む発振信号の周波数、単位時間あたりのパルス数、通信線の電圧、又は、矩形波を含む発振信号により示される数値や文字情報を用いて、通信異常検知処理や識別情報設定処理を行うように構成してもよい。
【0118】
また、上記第1〜第4実施形態では、制御部3が設定信号S1(第1の設定信号)を送信するのは、自身の電源がオンしたときであるが、サービスツール等からの指示があったときでも良い。
【0119】
また、上記第2〜第4実施形態では、監視部10は、受信した設定信号S1又はS3に対応した識別情報を自身の識別情報として設定し、受信した設定信号S1又はS3を変化させて後段の監視部10又は制御部3へ送信したが、順序は逆で良い。即ち、監視部10は、受信した設定信号S1又はS3を変化させて後段の監視部10又は制御部3へ送信し、受信した設定信号S1又はS3に対応した識別情報を自身の識別情報として設定しても良い。即ち、監視部10は、第1の設定信号を変化させて、後段の監視部10又は制御部3へ送信するとともに、第1の設定信号に対応した識別情報を自身の識別情報として設定するなら、その順番は問わない。
【0120】
また、上記第2〜第4実施形態では、制御部3は、最後尾の監視部10−5から送信される設定信号S1又はS3に対応する監視部10の数を記憶部17に記憶させたが、設定信号S1又はS3に対応する電池モジュール2の数を記憶しても良い。
【0121】
また、上記第4実施形態では、監視部10は、受信した設定信号S1に対応した識別情報を自身の識別情報として設定し、受信した設定信号S1を変化させて後段の監視部10又は制御部3へ送信して、その後、設定信号S2を受信すると、自身の識別情報を設定しないようにしたが、受信した設定信号S1を変化させて後段の監視部10又は制御部3へ送信し、その後、所定時間経過する間に設定信号S2を受信すると、自身の識別情報を設定せず、所定時間経過しても設定信号S2を受信しない場合は、受信した設定信号S1に対応した識別情報を自身の識別情報として設定しても良い。監視部10は、設定信号S1を受信した後、設定信号S2を受信した場合に、受信した設定信号S1に対応した識別情報を自身の識別情報として設定することを確定しなければ良い。
【0122】
また、上記第4実施形態では、設定信号S2を受信すると、その受信した設定信号S2に応じて通信異常の発生箇所を特定したが、通信異常の発生箇所を特定しなくても良く、自身の識別情報を設定しないことのみ行っても良い。この場合、
図16に示す情報が、監視部10−1〜10−5の各記憶部13に記憶されてなくても良い。