(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記下板部が、前記下板装着孔の孔縁から前記バッテリーポストに沿って延びる傾き防止部を備えている、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のバッテリーターミナル。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態を、
図1〜
図20を参照しつつ説明する。本実施形態のバッテリーターミナル1は、車両のバッテリー(図示せず)に備えられるバッテリーポスト140に取り付けられるものである。バッテリーポスト140は、
図19に示すように、バッテリー本体に固着される座部142と、座部142からバッテリー本体とは逆側に突出する円柱状の軸部141とを有している。
【0021】
バッテリーターミナル1は、
図6に示すように、ターミナル本体2と、ブラケット100(締付部材に該当)とを備えている。
【0022】
ターミナル本体2は、上板部10と下板部60とを備える。上板部10と下板部60とは、それぞれ、金属板を打ち抜き加工および曲げ加工することによって形成されたものである。上板部10の板厚は下板部60の板厚よりも大きくなっている。
【0023】
上板部10は、
図7に示すように、全体として一方向に長い板状の部材であって、上板締付部30と、上板装着部20と、上板接続部50とが、この順に連なって配置されている。上板部10は、
図19に示すように、バッテリーポスト140における軸部141の軸方向と垂直に配置される部材である。
【0024】
上板装着部20は、
図7に示すように、円形の板状の部位であって、上板装着孔21を有している。上板装着孔21は、上板部10の一面から他面まで貫通しており、内部に軸部141が挿通される孔である。上板装着孔21は、バッテリーターミナル1がバッテリーポスト140に取り付けられていない自由状態では、内径が軸部141の外径よりもわずかに大きくなっている。
【0025】
上板締付部30は、
図7に示すように、上板装着部20から連なり、上板装着部20と同一平面上に配置された、全体として矩形の板状の部位である。上板締付部30は、上板スリット部31と、上板第1締付部32および上板第2締付部33と、第1受け部41Aおよび第2受け部41Bと、第1ガイド壁44および第2ガイド壁45と、第1回り止め壁46および第2回り止め壁47とを有している。
【0026】
上板スリット部31は、上板装着孔21の孔縁から、上板締付部30の上板装着部20とは逆側の端縁まで延びる隙間である。この上板スリット部31の存在により、上板締付部30は、上板装着孔21と上記の端縁との間の部分が2つに分断されている。上板スリット部31を挟んで配置される2つの部分のうち一方が上板第1締付部32、他方が上板第2締付部33である。
【0027】
上板第1締付部32は、半割凹部34を有している。半割凹部34は、上板第1締付部32において、上板第2締付部33と対向する端縁から、上板第2締付部33に対して離間する方向に凹む凹部である。上板第2締付部33も、同様に半割凹部35を有している。半割凹部35は、上板第2締付部33において、上板第1締付部32と対向する端縁から、上板第1締付部32に対して離間する方向に凹む凹部である。2つの半割凹部34、35は、互いに向かい合って配置されており、2つの半割凹部34、35によって囲まれた空間は、締付ボルト110を挿通するための挿通空間36となっている。
【0028】
第1受け部41Aと第1ガイド壁44とは、上板第1締付部32の外側の側縁(上板第2締付部33とは逆側の側縁)に並んで配置されている。第1ガイド壁44が上板装着部20に隣接して配置され、その隣に第1受け部41Aが配置されている。第2受け部41Bと第2ガイド壁45とは、上板第2締付部33の外側の側縁(上板第1締付部32とは逆側の側縁)に並んで配置されている。第2ガイド壁45が上板装着部20に隣接して配置され、その隣に第2受け部41Bが配置されている。
【0029】
第1受け部41Aは、
図9に示すように、第1受け壁42Aと、第1重ね部43Aとを備えている。第1受け壁42Aは、上板第1締付部32の外側の側縁から、上板第1締付部32と垂直に延びる部位である。第1重ね部43Aは、第1受け壁42Aの延出端から、内側(上板第2締付部33側)に向かって、上板第1締付部32と平行に延びる部位である。
【0030】
第2受け部41Bも同様に、第2受け壁42Bと、第2重ね部43Bとを備えている。第2受け壁42Bは、上板第2締付部33の外側の側縁から、上板第2締付部33と垂直に延びる部位である。第2重ね部43Bは、第2受け壁42Bの延出端から、内側(上板第1締付部32側)に向かって、上板第2締付部33と平行に延びる部位である。
【0031】
第1ガイド壁44は、
図9に示すように、上板第1締付部32の外側の端縁から、第1受け壁42Aと同方向に、上板第1締付部32と垂直に延びる板状の部位である。第2ガイド壁45は、上板第2締付部33の外側の端縁から、第2受け壁42Bと同方向に、上板第2締付部33と垂直に延びる板状の部位である。
【0032】
第1回り止め壁46は、
図9に示すように、上板第1締付部32における上板装着部20とは反対側の端縁から、第1受け壁42Aと同方向に、上板第1締付部32と垂直に延びる板状の部位であって、上板スリット部31に近接して配置されている。第2回り止め壁47は、
図9および
図11に示すように、第1回り止め壁46と同形状であり、上板第1締付部32における上板装着部20とは反対側の端縁に、上板スリット部31に近接して配置されている。
【0033】
上板接続部50は、
図11に示すように、上板装着部20から連なる略L字板状の部位であって、上板装着部20を挟んで上板締付部30とは逆側に配置されている。上板接続部50は、上板連結部51と、ボルト覆い部52と、2つの外壁部54と、2つの固定板55とを備えている。
【0034】
上板連結部51は、
図11に示すように、上板装着部20において上板締付部30とは逆側の端縁から連なり、上板装着部20と垂直に延びる板状の部位である。上板連結部51は、上板装着部20に対して、第1受け壁42Aおよび第2受け壁42Bと同じ側に配置されている。ボルト覆い部52は、上板連結部51において上板装着部20とは逆側の端縁から連なり、上板装着部20とは逆方向に延びる矩形板状の部位である。ボルト覆い部52は、上板装着部20と平行に配置されている。ボルト覆い部52は、
図7に示すように、端子接続ボルト130を挿通するためのボルト挿通孔53を有している。ボルト挿通孔53は、ボルト覆い部52の一面から他面まで貫通する孔である。
【0035】
2つの外壁部54のそれぞれは、
図8に示すように、ボルト覆い部52の2つの側縁(上板連結部51と接続している端縁と垂直な2つの端縁)のそれぞれに1つずつ配置されている。2つの固定板55のそれぞれは、ボルト覆い部52の2つの側縁のそれぞれに1つずつ配置されている。外壁部54が上板連結部51に隣接して配置され、その隣に固定板55が配置されている。
【0036】
各外壁部54は、
図9に示すように、ボルト覆い部52の側縁から、上板連結部51と逆方向に、ボルト覆い部52に対して垂直に延びる壁である。各固定板55は、
図10に示すように、ボルト覆い部52の側縁から、上板連結部51と逆方向に、ボルト覆い部52に対して垂直に延びる固定側板56と、固定側板56の延出端から内側に向かって(反対側の固定板55に向かって)延びる固定片57とを備えている。
【0037】
下板部60は、
図12に示すように、全体として一方向に長い板状の部材であって、下板締付部80と、下板装着部70と、下板接続部90とが、この順に連なって配置されている。下板部60は、
図19に示すように、バッテリーポスト140における軸部141の軸方向と垂直に(上板部10と平行に)配置されている。
【0038】
下板装着部70は、下板装着孔71を有する装着本体部72と、下板装着筒部73(傾き防止部に該当)とを有している。装着本体部72は、円形の板状の部位である。下板装着孔71は、
図12に示すように、装着本体部72の一面から他面まで貫通しており、内部に軸部141が挿通される孔である。下板装着孔71は、バッテリーターミナル1がバッテリーポスト140に取り付けられていない自由状態では、内径が上板装着孔21の内径よりも僅かに大きくなっている。
【0039】
下板装着筒部73は、
図16に示すように、下板装着孔71の孔縁から、装着本体部72と垂直に延びる筒状の部位である。下板装着筒部73は、
図12に示すように、下筒スリット部74を有している。下筒スリット部74は、下板装着筒部73における下板部60と接続する端縁からその反対側の端縁まで延びる隙間である。この下筒スリット部74の存在により、下板装着筒部73は、切り欠きを有する断面C字状の筒となっている。
【0040】
下板締付部80は、
図16に示すように、下板装着部70から連なるL字板状の部位であって、下板連結部81と、締付本体部82とを備えている。下板連結部81は、装着本体部72から連なり、装着本体部72と垂直に延びる板状の部位である。下板連結部81は、装着本体部72に対して、下板装着筒部73と同じ側に延びている。締付本体部82は、下板連結部81において下板装着部70とは逆側の端縁から、下板装着部70とは逆方向に延びる板状の部位である。締付本体部82は、装着本体部72と平行に配置されている。
【0041】
下板締付部80は、
図12に示すように、下板スリット部83を有している。下板スリット部83は、下板装着孔71の孔縁から、下板締付部80の下板装着部70とは逆側の端縁まで延びる隙間であって、下筒スリット部74と連なっている。下板スリット部83の存在により、下板締付部80は、下板装着孔71と上記の端縁との間の部分が2つに分断されている。
【0042】
締付本体部82において、下板スリット部83を挟んで配置される2つの部分のうち一方が下板第1締付部84、他方が下板第2締付部85である。
【0043】
下板第1締付部84は、半割凹部86を有している。半割凹部86は、下板第1締付部84において、下板第2締付部85と対向する端面から、下板第2締付部85に対して離間する方向に凹む凹部である。下板第2締付部85も、同様に半割凹部87を有している。半割凹部87は、下板第2締付部85において、下板第1締付部84と対向する端面から、下板第1締付部84に対して離間する方向に凹む凹部である。2つの半割凹部86、87は、互いに向かい合って配置されており、2つの半割凹部86、87によって囲まれた空間は、締付ボルト110を挿通するための挿通空間88となっている。
【0044】
下板接続部90は、
図16に示すように、下板装着部70から連なる板状の部位であって、下板装着部70を挟んで下板締付部80とは逆側に配置されている。下板接続部90は、傾斜部91と、ボルト受け部92と、2つの内壁部93とを有している。
【0045】
傾斜部91は、装着本体部72において下板締付部80とは逆側の端縁から連なる板状の部位である。傾斜部91は、下板装着部70から離れるほど、下板装着筒部73とは反対側に傾いている。
【0046】
ボルト受け部92は、傾斜部91において下板装着部70とは逆側の端縁から連なり、下板装着部70とは逆方向に延びる矩形板状の部位である。ボルト受け部92は、装着本体部72と平行に配置されている。
【0047】
2つの内壁部93のそれぞれは、
図12に示すように、ボルト受け部92の2つの側縁のそれぞれに配置されている。各内壁部93は、ボルト受け部92の側縁から、下板装着筒部73と同方向に、ボルト受け部92に対して垂直に延びている。
【0048】
下板接続部90は、2つの固定受け孔94を備えている。2つの固定受け孔94のうち一方は、
図12および
図13に示すように、ボルト受け部92と、2つの内壁部93のうち一方とにまたがって配置されており、ボルト受け部92の一方の面から他方の面まで貫通する貫通孔と、内壁部93の一方の面から他方の面まで貫通する貫通孔とがつながった形状である。他方の固定受け孔94は、ボルト受け部92と、2つの内壁部93のうち他方とにまたがって配置されており、一方の固定受け孔94と同形状である。
【0049】
2つの内壁部93の外側面(相手側の内壁部93とは逆側の面)間の距離は、
図5に示すように、上板部10の2つの外壁部54の内側面(相手側の外壁部54と対向する面)間の距離よりも小さくなっている。
【0050】
上板部10と下板部60とは、
図17に示すように、下板装着筒部73が上板部10の方を向いた状態で、重ねて組み付けられる。両者が組み付けられた状態では、
図18に示すように、下板第1締付部84が上板第1締付部32と第1重ね部43Aとの間に挟み付けられ、第1受け壁42Aと第1ガイド壁44と第1回り止め壁46とで囲まれている。また下板第2締付部85が上板第2締付部33と第2重ね部43Bとの間に挟み付けられ、第2受け壁42Bと第2ガイド壁45と第2回り止め壁47とで囲まれている。つまり、第1上板締付部32と第1下板締付部84とが密着して配置され、第2上板締付部33と第2下板締付部84とが密着して配置されている。
【0051】
上板装着部20と下板装着部70とは、
図17に示すように、互いに平行に、間隔を空けて配置され、下板装着筒部73が上板装着部20の方を向いている。またボルト覆い部52とボルト受け部92とが、
図5に示すように、外壁部54および内壁部93が互いに相手側に向かって延びる向きで重ねられ、各外壁部54の内側に各内壁部93が配置されている。そして、固定片57が固定受け孔94に収容されている。
【0052】
ボルト覆い部52とボルト受け部92とによって、端子接続ボルト130が保持される。端子接続ボルト130は、
図5に示すように、頭部131と胴部132とを有する一般的な形状のボルトである。ボルト覆い部52とボルト受け部92との間には、内壁部93の長さ分だけの隙間があり、この隙間に端子接続ボルト130の頭部131が収容されている。端子接続ボルト130の胴部132は、ボルト挿通孔53を貫通して外側に向かって突出している。端子接続ボルト130には、電線側端子を介して電線を接続することができる。
【0053】
上板部10および下板部60の板面に垂直な方向から見て、上板装着孔21と下板装着孔71とが互いに重なって配置され、上板スリット部31と下板スリット部83とが互いに重なって配置され、上板部10の半割凹部34、35と下板部60の半割凹部86、87とが互いに重なって配置されている。
【0054】
ブラケット100は、締付ボルト110とナット120によってターミナル本体2に取り付けられて、ターミナル本体2を、上板装着孔21および下板装着孔71が縮径されるように変形させるための部材である。ブラケット100は、
図3に示すように、基部101と、2つの押圧部103A、103Bとを有する。
【0055】
基部101は、矩形の板であって、上板第1締付部32および上板第2締付部33に対して下板部60とは反対側に配置される部位である。基部101において、上板スリット部31と平行な2つの辺の間の距離は、上板第1締付部32の外側の端縁と上板第2締付部33の外側の端縁との間の距離よりも短くなっている。基部101は、
図4に示すように、上板部10と対向する面からその反対側の面まで貫通するボルト挿通孔102を有している。
【0056】
2つの押圧部103A、103Bのうち一方は第1押圧部103Aであり、他方は第2押圧部103Bである。第1押圧部103Aは、基部101において、上板スリット部31と平行な2つの辺のうち、上板第1締付部32に近い辺から、ターミナル本体2に向かって延びる板状の部位である。第2押圧部103Bは、基部101において、上板スリット部31と平行な2つの辺のうち、上板第2締付部33に近い辺から、ターミナル本体2に向かって延びる板状の部位である。
【0057】
第1押圧部103Aは、基部101から連なり、基部101から離間するほど第2押圧部103Bから離れる向きに傾く第1テーパ部104Aと、第1テーパ部104Aの基部101とは逆側の端縁から連なり、基部101と垂直に延びる第1垂直部106Aとを備える。第2押圧部103Bも、同様に第2テーパ部104Bと第2垂直部106Bとを備える。第1テーパ部104Aおよび第2テーパ部104Bにおいて、互いに相手側を向く面は、それぞれ、基部101から離間するほど相手側から離れる向きに傾く第1テーパ面105A、第2テーパ面105Bである。第1押圧部103Aおよび第2押圧部103Bは、それぞれ、第1テーパ面105Aおよび第2テーパ面105Bを第1受け壁42Aおよび第2受け壁42Bに当接させて、第1受け壁42Aおよび第2受け壁42Bを互いに相手側に向かって押圧している。
【0058】
締付ボルト110は、
図3および
図4に示すように、頭部111と、外周面にねじ山を有する胴部112とを有する一般的な形状のものである。
【0059】
ナット120は、
図2に示すように、矩形のブロック状で、ナット孔121を有する四角ナットである。ナット孔121は、ナット120の一面からその逆側の面まで貫通し、内周面にねじ溝を有する孔である。ナット120は、
図3に示すように、下側第1締付部84および下側第2締付部85において、上板第1締付部32および上板第2締付部33とは逆側の面に重ねて配置されている。
【0060】
次に、上記のように構成されたバッテリーターミナル1を、バッテリーポスト140に取り付ける手順について説明する。
【0061】
まず、上板部10と下板部60とを組み付けて、ターミナル本体2を組み立てる(
図17参照)。次に、ブラケット100をターミナル本体2に重ねる。次いで、締付ボルト110をブラケット100側からボルト挿通孔102、および挿通空間36、88に挿通し、胴部112の先端を下板締付部80から突出させる。そして、胴部112の先端にナット120をねじ付ける。この状態では、第1押圧部103Aが第1受け壁42Aに、第2押圧部103Bが第2受け壁42Bに、それぞれ接触し、基部101は上板第1締付部32および上板第2締付部33から浮き上がった状態となっている(
図3参照)。
【0062】
次に、上板装着孔21および下板装着孔71にバッテリーポスト140の軸部141を挿通させる(
図19参照)。このとき、下板部60が座部142側となり、上板部10が軸部141の先端側となるように配置する。
【0063】
この状態で、締付ボルト110をナット120に対して締め込んでいく。このとき、締付ボルト110の回転に伴ってナット120が回転しようとすると、ナット120の側面が第1回り止め壁46および第2回り止め壁47に当接し、それ以上のナット120の回転が抑制される。これにより、締付ボルト110の回転に伴ってナット120が回転してしまうことを抑制することができる(
図2参照)。
【0064】
締付ボルト110をナット120に締め込んでいくと、基部101が締付ボルト110の頭部111によって押圧され、上板第1締付部32および上板第2締付部33に近づく方向へ移動していく。すると、第1受け壁42Aが第1テーパ部104Aに、また、第2受け壁42Bが第2テーパ部104Bに摺接しつつ、基部101に近づく方向へ(つまり、第1テーパ部104Aと第2テーパ部104Bとの間隔が狭くなる方向へ)移動していく。これにより、第1受け壁42Aと第2受け壁42Bとは、互いに近づく方向へ移動していく(
図20参照)。
【0065】
第1テーパ部104Aによる第1受け壁42Aに対する押圧力の、上板部10および下板部60と平行な方向の分力が、上板第1締付部32および下板第1締付部84に伝えられることにより、両者は上板第2締付部33および下板第2締付部85に近づく方向に移動する。同様に、上板第2締付部33および下板第2締付部85も、上板第1締付部32および下板第1締付部84に近づく方向に移動する。
【0066】
これにより、上板装着孔21が縮径し、バッテリーポスト140の軸部141の外周面に、上板装着孔21の内周面が密着する。これにより、バッテリーポスト140とバッテリーターミナル1との導通が図られる。
【0067】
また、下板装着孔71および下板装着筒部73も縮径し、下板装着筒部73の内周面が軸部141の外周面に沿うように配置される。これにより、ターミナル本体2がバッテリーポスト140に対して傾こうとした際には、下板装着筒部73の内周面が軸部141の外周面に当接して、それ以上の傾きが規制される。
【0068】
以上のように本実施形態によれば、バッテリーターミナル1のターミナル本体2は、上板部10と下板部60とが別部材となっている。このような構成によれば、上側部と下側部とが一体となった従来のバッテリーターミナルと比較して、上板部10、下板部60それぞれの形状が小さく、かつシンプルとなるため、各部材の製造の難易度を下げることができ、製造工程の簡素化やコスト削減が可能となる。
【0069】
特に、上側部と下側部とが一体となった従来のバッテリーターミナルでは、上側部の電極嵌合部と下側部の電極嵌合部との中心が合うように折り曲げ加工をしなければならず、加工の難易度が高い。これと比較して、別に形成された上板部10と下板部60を組み付けて使用する場合には、あらかじめ組み付け公差が設定されており(つまり、組み付け時に多少の位置ずれが許容されており)バッテリーポスト140への取り付け時に上板装着孔21、下板装着孔71の孔縁がバッテリーポスト140の外周面に沿うことによって自動的に両者の位置が合うように修正される(セルフアライメント)。このため、本実施形態のバッテリーターミナル1は、従来のバッテリーターミナルほど高い加工精度が要求されず、工程の簡素化が可能となる。
【0070】
また、第1上板締付部32と第1下板締付部84とが重なって配置され、第2上板締付部33と第2下板締付部84とが重なって配置されている。つまり、ブラケット100によって締められる部分が重なって配置されているので、上板部10と下板部60とが別体であっても、ブラケット100による締め付け力を上板装着部20と下板装着部60との双方に伝えやすい。これにより、バッテリーターミナル1とバッテリーポスト140との導通を確実に図ることができる。
【0071】
加えて、上板部10と下板部60とが別体であると、2つの部材に役割分担をさせ、それぞれの役割に応じて板厚、材質、形状等を変えることができる。これにより、設計の自由度が向上する。また、各部材の形状を簡素化することができ、いっそうのコスト削減を図ることができる。
【0072】
具体的には、上板部10が下板部60よりもバッテリーポスト140の突出端に近接して配置される部材であって、上板部10の厚さが下板部60の厚さよりも大きくなっている。
【0073】
また、下板部60が、下板装着孔71の孔縁からバッテリーポスト140に沿って延びる下板装着筒部73を備えている。
【0074】
ここで、バッテリーポスト140の構造上、バッテリーポスト140の突出端に近接した位置でバッテリーターミナル1との導通を図ることが好ましい場合がある。本実施形態のバッテリーターミナル1はこのようなケースに対応しており、上板部10にバッテリーポスト140との導通、下板部60にターミナル本体2の傾き防止という役割を、それぞれ担わせている。
【0075】
つまり、上板部10の厚さを下板部60の厚さよりも大きくすることで、上板装着孔21の孔縁のバッテリーポスト140に対する接触面積を大きくしている。これにより、バッテリーターミナル1とバッテリーポスト140との導通を確実に図ることができる。
【0076】
また、下板部60が下板装着筒部73を備えているので、ターミナル本体2がバッテリーポスト140に対して傾こうとした際には、下板装着筒部73がバッテリーポスト140に当接して、それ以上の傾きが規制される。これにより、バッテリーターミナル1を正しい姿勢でバッテリーポスト140に取り付けることが容易となる。
【0077】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、上板部10の厚さが下板部60の厚さよりも大きくなっていたが、上板部と下板部とが同じ厚さであっても構わない。
【0078】
(2)上記実施形態では、下板装着部70にのみ下板装着筒部73が配置されていたが、下板装着部と上板装着部との双方に装着筒部が配置されていても構わない。